ODAとは? 国際協力とNGO(非政府組織)

2003年度第2回ODA政策協議会議事録

※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations


1.日時 2003年10月31日(金曜日) 14時00分~16時00分
2.会場 三田共用会議所
3.議題 1.開会の挨拶(渡邉政策課長)
2.五月女NGO担当大使の挨拶
3.出席者自己紹介
4.報告事項 (1)イラク、アフガニスタンの治安状況
 (南邦人特別対策室補佐)
(2)メコン流域開発に関する本邦NGOとの意見交換
 (萩野南東アジア第1課補佐)
(3)「第3回アフリカ開発会議(TICAD III)」について
 (原田アフリカ第2課専門官)
5.協議事項 (1) イラク復興支援と国際平和協力のあり方について(30分)
(2)ODA大綱の改訂プロセスと今後の運用方針(30分)
(3) ODAにおける環境社会配慮(30分)
6.次回会合日程について   
7.閉会 
(司会:城所民間援助支援室長)

<配布資料>
1. 渡航情報
2.メコン地域開発(現状と課題)
3. TICAD III-第3回アフリカ開発会議-
4. 「第2回ODA政策協議会」議題の論点
5. 政府開発援助大綱
6. ODAとNGO(パンフレット)
8.出席者 1.NGO関係者
 1.石田恭子 「環境・持続社会」研究センター
 2.折居徳正 京都NGO協議会(小野了代代理)
 3.神田浩史 特定非営利活動法人 関西NGO協議会
 4.熊岡路矢 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター
 5.西井和裕 特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター
 6.福田健治 ODA改革ネットワーク・東京
 7.有田重夫 財団法人 日本フォスター・プラン協会
 8.大重早苗 財団法人 日本フォスター・プラン協会
 9.伊藤文美 ODA改革ネットワーク・東京
 10.上笹貫格士 ODA改革ネットワーク・東京
 11.河内伸介 アフリカ日本協議会
 12.高橋清貴 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
 13.高橋真美 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン
 14.田中好子 特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
 15.丹野絵里子 女性と健康ネットワーク
 16.谷口真由美 女性と健康ネットワーク
 17.榛木恵子 特定非営利活動法人 関西NGO協議会(事務局)

2.外務省関係者
 五月女NGO担当大使
 渡邉課長   経済協力局政策課
 藤井事務官  同上
 和田課長   調査計画課
 山田課長   無償資金協力課
 原田専門官  アフリカ第2課
 堀内首席   国際平和協力室
 南課長補佐  邦人特別対策室
 萩野課長補佐 南東アジア第1課
 大條課長補佐 国内広報課
 吉原課長補佐 地球環境課
 城所室長   民間援助支援室
 安田事務官  同上
 中島事務官  同上
 藤井事務官  同上
 清水事務官  同上

3.JBIC(オブザーバー)
 佐藤副主任  開発事業部企画課

4.JICA(オブザーバー)
 竹内課長代理    国内事業部国内連携促進課
 倉岡ジュニア専門員 企画・評価部 環境・女性課 


<議事録>

○ 司会(城所民間援助支援室長)
 渡邉政策課長は別件で若干遅れていますので、このまま議事進行します。私は本日の司会をします民間援助支援室の城所と申します。それでは、プログラムに従って、まず最初に五月女NGO担当大使からごあいさつをいたします。

○ 五月女NGO担当大使
 どうもこんにちは。皆さんお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。数名の方がまだお見えでないということですが、時間がきていますので始めたいと思います。
 御承知のように、この会合は今日で始まってから3回目ですけれども、非常に活発にいろいろ意見交換などをしてよろしいのではないかと思います。今年にもう一回やるそうですけれども、私はいろいろな関係のNGOの方、アフリカ関係のNGOの方々、あるいは水関係、一般的な施策の関係、あるいは人権、人道関係のNGOの方、いろいろな分野で外務省が関わり合っているNGOの大勢の方と接する機会がございまして、皆様方の考え方あるいは御希望を随分お聞きしています。
 それをできる限り反映するようにという努力をしているわけですが、今年は非常にいろいろなイベントがございました。TICADのアフリカ開発会議、水フォーラム、更にはアフガニスタンあるいはスリランカ復興支援会議のNGOセッション、いろいろございまして、そのために皆さん方にはいろいろな面で御参加いただいたり、御協力いただいて本当にありがとうございました。これからも引き続きよろしくお願いしたいと思っていますが、御承知のように今、予算の関係で外務省はいろいろな努力をしていて、極力使いやすく、かつ予算も増やすということで努力しているわけですけれども、日本のNGO支援無償というものができまして20億でスタートして、今年は22億、来年には27億というふうに増やしていく方向でいっているわけです。これを有意義に使うためにも皆様方からいろいろな要望、どうしたらいいか、どういうふうに使ったらいいか、有効に利用していただけるように考えていきたいと思っているわけです。
 いつも私は申し上げるんだけれども、アメリカと日本との制度の違いで、アメリカ等ではやはり民間からの給付が非常に大きなものを占めていると同時に、政府のODAの中からNGO支援に使われる金額もパーセントとして見れば日本よりもはるかに大きい。いろいろな面でNGOの活動のしやすい環境になっていますけれども、残念ながら日本はそこまではいっていないというのが現状だと思います。ですから、我々も努力をするし、皆様方もいろいろな希望、要望を入れていただいて改善に努めたいと思っておるわけです。
 そんなこともございまして、今日も有意義な会議になることを祈っております。また途中でいろいろな議論がございますけれども、そのときに必要に応じて皆さんと意見交換をさせていただきたいと思います。御承知のようにイラク問題、アフガニスタン問題、東ティモール、スリランカと、海外ではいろいろな戦争が起こっているわけですけれども、そういうことに関わり合うNGOの方々もたくさんおられるし、いろいろな面で国際情勢が非常に流動的な中で、お互いにいろいろと御相談しながらいいプロジェクトを立ち上げてやっていきたいと思っております。
 今日、外務省の方からも多数出席してもらっておりますので、それぞれいろいろな話が聞けるかと思います。時間の関係で皆様方から一人ひとり順番に自己紹介をしていただいていると時間がなくなるかもしれないので、発言されるときにお名前と所属を言っていただくという形でさせていただきたいと思います。
 それでは、皆さんこれから2時間ですけれども、忌憚のない意見交換、それから有意義なディスカッションができることを期待しております。どうぞよろしく。

○ 司会
 どうも五月女大使、ありがとうございました。それでは、大使のサジェスチョンに従いまして自己紹介を省略してその間を有効に活用するということでプログラムを進行させていただきます。
 最初に4.の報告事項、「イラク、アフガニスタンの治安状況」について南邦人特別対策室補佐からお願いします。

○ 南邦人特別対策室補佐
 テロと誘拐に関連する邦人安全対策を担当している邦人特別対策室から参りました南と申します。イラクで活動予定のある方もいらっしゃるとお聞きしており、本日はイラク、それに加えてアフガニスタンの最近の治安情勢についてご紹介します。
 お手元には、「ウサマ・ビン・ラーディンによると見られるテロ攻撃の声明」、「バグダッド中心部における連続爆弾テロ事件」、「アフガニスタン南西部における援助機関職員の誘拐」という3つの注意喚起のお知らせ(スポット情報)をお配りしています。今月18日に、アル・カーイダの首領とされるウサマ・ビン・ラーディンによると見られる録音テープが、カタールを本拠地とする衛星テレビで放送されました。これまでもウサマ・ビン・ラーディンによると見られる声明が出され、その中にもテロを促すような内容がありましたが、今回は初めて日本をテロの攻撃対象として言及しています。
 この声明について、外務省としてとりあえずの認識をご説明します。まず、録音テープそのものの信憑性は、現時点では確認はされていないものの、米CIAのスポークスマンはこのテープが真正ものである可能性が高いと認めたと報じられています。いずれにせよ、このような声明が放送されたこと自体が世界各地のアル・カーイダの細胞組織の活動に影響を及ぼすと考えられます。
 これまでの例を紹介すると、昨年10月にウサマ・ビン・ラーディンによると見られる声明が発せられた時には、これと前後する形でバリ島爆弾テロ事件やイエメンにおけるタンカー爆破事件が発生しています。また、今夏にはジャカルタのホテルにおける爆弾事件やバグダッドにおけるヨルダン大使館に対する爆弾テロ事件が発生しましたが、これらと相前後する形で、8月にウサマ・ビン・ラーディンの副官といわれるアイマン・アル・ザワヒリによると見られる声明が放送されています。
 因果関係は不明ですが、このような声明の発出とテロ活動の活発化には一定の相関関係があるであろうといわれています。特に、今回の声明は初めて日本が攻撃対象として明示的に言及されており、特に注意が必要であると考えています。該当部分は、「イラクに対する不当な戦争に参加する全ての国々、特に、英国、スペイン、オーストラリア、ポーランド、日本、イタリア」となっており、特に米国との協力関係が緊密な国々が挙げられているとみることもできます。
 特定の地域や国だけでなく、世界的に注意が必要とは思われますが、声明の内容等を勘案すると、中東地域を始めとするイスラム過激派の活動が見られる地域では一層高い注意が必要と考えています。
 特にイラクに関しては、10月26日にバグダッドの赤十字国際委員会の本部がテロに遭っており、米軍や各国政府の権益のみならず、援助関係者を狙ったと見られる攻撃も発生しているので、今後引き続き十分情報収集を行い、必要な場合には皆様に速やかにお知らせしていきたいと考えています。
 続いて、アフガニスタンについてお話しします。同国では、最近、援助関係者を狙ったと見られる誘拐事件が発生しています。また、国連は特に南部のカンダハール県周辺の3県とカンダハール県の一部において、その活動を停止しています。詳細は不明ですが、国連として何らかの情報に基づいてこのような措置を取っていると承知しています。
 イラクとアフガニスタンのいずれにおいても、テロ対策としては、最新の情報やより具体的な情報を入手できるよう、大使館や外務本省との連絡を密にして頂きたいと思います。いつでも邦人特別対策室にご連絡頂ければ、その都度最新の情報をお知らせします。また、既にイラクに入っているNGOの方々は、既に民間援助支援室と緊密に連絡を取っていると承知していますが、そのような緊密な連絡体制は、何か起こったときに重要ですので、引き続き是非ご協力をお願いします。

○ 司会
 ありがとうございました。もしこれに関連して何か御質問があれば。

○ 折居(京都NGO協議会)
 1点よろしいでしょうか。イラクにおいて米軍も戦闘中の会見で使用を認めています劣化ウラン弾の残留放射能について、先日のマドリッドの会議でもUNEPが調査を行うというようなことになったと聞いております。また、テレビ朝日の報道等ではバクダッド市内の戦闘でも米軍は使用したというふうにされております。これについて邦人の安全保護という面と、それから現地のイラク人に対する影響等で日本政府として何か対策等を講じていかれる予定があるのかどうか。そこら辺はいかがでしょうか。

○ 南邦人特別対策室補佐
 まず、バクダッド市内でも使われている、それからイラクで劣化ウラン弾が使われているという御懸念があるということなんですけれども、イラクの治安そのものが今、決してよくない状況なので、我々の見方としては劣化ウラン弾を取り上げて安全対策、それそのものが重大な脅威であるという見方で、非常な脅威ではないということではなくて、それだけを取り上げなければいけないような状況というよりは、むしろ中に入っていらっしゃる皆さんにとっての最大の脅威が爆弾テロであったり、あるいは実はまだ依然として車で移動しているときのカージャックですとか、強盗といったたぐいの犯罪もまだ起こっているという状況でございますので、皆さんの安全対策ということに関して言えばそちらの方を優先して注意していただく方がまず第1なのかなと思います。 あとは、劣化ウラン弾そのものがどういう影響を与えるのかという若干政策的な話については私どもの範疇を超えてしまうので、どなたか今日来ている中でお答えできる方がいらっしゃるかどうかちょっとわからないですけれども、そこについてはまた別途お答えせざるを得ないのかと思います。

○ 折居(京都NGO協議会)
 わかりました。

○ 司会
 それでは、次のプログラムで「メコン流域開発に関する本邦NGOとの意見交換」を萩野南東アジア第1課補佐にお願いします。

○ 萩野南東アジア第1課補佐
 アジア太平洋州局南東アジア第1課の萩野と申します。よろしくお願いします。本日は私からの報告事項はメコン地域の開発について、NGOの方々と意見交換をさせていただきたいという提案あるいはお願いでございます。
 お手元に簡単な資料として、これまでのメコン地域開発についての概要をまとめました「メコン地域開発(現状と課題)」と書いた2枚紙で後ろに別添が付いております資料をお配りしております。それを横目でごらんになりながらお聞きいただければと思います。 ここの資料にも出ておりますとおり、メコン地域開発というのはまずメコン川が流れておりますインドシナ半島の5か国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、ラオスと、その川の源流であります雲南省を合わせた地域の総称でございます。ただ、必ずしも川が流れているところだけではなくて、例えばミャンマーではメコン川は2%くらいしか流れていないんですけれども、その全体も含めた地域をメコン地域と称しております。それで、メコン地域開発と称しますのはこの地域を対象として、このそれぞれの国や地域をまたいだ広域的な開発という構想でございます。我が国は積極的にこのメコン地域開発をそれこそ90年代初めからいわば冷戦が終わって、カンボジアですとか、ラオスですとか、そういった地域にも支援ができるようになってきた時期からいろいろ積極的な支援を行ってきております。また、この下の資料の方にも御紹介をしておりますが、インドシナ総合開発フォーラムというものを93年に設置を提案したり、国際的にもさまざまなイニシアチブを取ってきているところでございます。
 他方、そういった間に皆様も御存じのとおりベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、ラオスというそれぞれの国々というのは皆ASEANに参加をしまして、いわゆる新規加盟国と言われる国々ですが、こういった国々を支援をしてASEANの一体性を強めていくということがASEAN、または我が国にとっても重要な課題となっています。 これまでずっと我々は道路網の整備ですとか、そういったインフラ整備を中心とした経済協力を行ってきたところでありますが、同時にやはり貿易、投資といった市場の力といいますか、あるいは持続的な成長を達成していくということが重要な課題になってきているところでございます。
 そういった次の段階に進むべき状況にきている前で、お聞き及びかもしれませんが、12月には東京で日ASEANの特別首脳会議が開催されます。こういった首脳レベルでのASEAN諸国との会議がASEANの地域の外で行われるのは初めてのことでございまして、非常に記念すべきことではあるんですが、当然メコン地域開発というものもASEANの中の5か国、まだ5か国にとどまらない、ほかのASEANの国々も非常に日本にとっても関心の強いテーマでございますので、この場で議論がされるということを我々は想定しております。
 そういった前提があります中で、是非12月の日ASEAN特別首脳会議の前にメコン地域開発についての御関心の我が国のNGOの方々と我々との間で意見交換をさせていただいて、その結果、皆様からいただいた意見というのを今後の我々の日本政府としてのメコン地域開発、それに対する支援に生かしていきたいという考えを有しております。
 既に事務局をしていただいております関西NGO協議会さんの方にはこういったお話を差し上げたところではございますが、12月までということになりますので、現実的には11月中ということかと思いますが、是非改めてそういう意見交換の場を設けさせていただきたいと思います。今日はその御紹介といいますか、提案をさせていただいている次第でございます。以上でございます。

○ 司会
 どうもありがとうございました。これに関しての御質問をどうぞ。

○ 福田(ODA改革ネットワーク・東京) 
 メコンウオッチというNGOでスタッフをしております。非常に興味深い話ということで、特に1つは外務省としてメコン地域に対してきちんとした政策支援の方向性というものを持っていきたい。その上で、それに対してNGOの意見を聞きたいということで、それ自体は非常に評価させていただきたいと思っています。 2点ほどあるんですが、1つは私たちの団体でいつも気にしているのは、こういう地域の統合のプロセスあるいは東西会合といったインフラの支援によって市場が統合していく中で、本当にこの地域にいる貧しい人たち、特にカンボディアやラオスのような国が地域統合の中でどういうふうな影響を受けるんだろうか。特にこうした国の人口の大半が農村に住んでいますし、こういう人たちの土地だとか、あるいは森林や川へのアクセスといったものがどういうふうな影響を受けるんだろうということを私たちとしては非常に懸念しているということは1つ申し上げたいと思います。
 こういった議論を是非やっていきたいと思うので、11月の件も私たちとしては積極的に関わりたいと考えているんですが、いかんせん12月に会議があるので何か日本政府として準備していくというものに対して、11月に意見交換会をして、それに対してインプットしてくれと言われても、なかなかしんどいものがありまして、現実的にブレーンストーミング的な会合は可能でも、それほど具体的に日本政府のそこで、例えば12月に発表されるものに対するきちんとしたインプットということにはなかなかなりにくいのかなということもありまして、むしろブレーンストーミング的な会合を元に、12月に例えば日本政府が何か発表するとして、それを具体的にどう実施して、どう中身をつくっていくのかというプロセスも含めて、この先NGOと外務省の皆様との意見交換の場というものを継続的につくっていける。そういうふうなものの第1歩になるような意見交換会であるといいなと思っているというところです。以上です。

○ 萩野南東アジア第1課補佐
 どうも御関心を抱いていただいてありがとうございます。今、御指摘がありました、特に最後の点については、我々も同じ考えを有しているところでして、決して1回限りとか、あるいは12月というふうに、私はいい機会ということで申し上げましたが、それで終わりということではなく、その後も長期的なプロセスとして考えていきたいと思います。是非よろしくお願いします。

○ 司会
 よろしいですか。では、3番にいきまして「第3回アフリカ開発会議」について原田アフリカ第2課専門官からお願いします。

○ 原田アフリカ第2課専門官
 アフリカ第2課の原田でございます。TICADを担当させていただいております。
 皆様のお手元にTICAD IIIについて、その「評価と概要及び関連資料」というペーパーが配られているかと思います。後ほどは詳細はこれを見ていただければと思いますが、私の方から簡単にTICAD III及び我々としてどういうふうにTICAD IIIを評価しているかという点を中心に御報告させていただきたいと思います。本日ご参加の一部の方は、河内さんを始めTICAD IIIの会合にも御出席いただきました。
 9月29日から10月1日まで実質2日半の会議でしたけれども、アフリカから50か国、そのうち23か国については元首クラスの参加を得ました。その他ドナー国、アジアの国等、全体で89か国、更に国際機関は47機関が参加しました。アフリカ開発に関する会議では最大級の規模の会議を開催できたと思っております。93年のTICADI、98年のTICADIIに比べて参加数等を見ても、関心の高い会議だったと思っております。NGO関係者についても、日本のNGOの代表の方、アフリカからの招待の方々、アジア及び国際的なNGO等44団体、約60人の方にオブザーバーとして参加をいただきました。
 2日半の会議を終えまして、成果物としてはTICADを開始してより10周年を迎えた節目として、TICAD10周年宣言というものを発出いたしました。また、会議でアフリカの開発の重点分野について議論をしたことを踏まえまして、議長サマリーを最終的に発出して会議を終えました。このようなTICAD IIIを我々はどういうふうに見ているかということなんですけれども、私の方から5点、かいつまんで御紹介させていただきたいと思います。
 1つ目は繰り返しになりますけれども、アフリカ開発に関しての世界最大規模の政策対話のフォーラムとしての役割を果たしたと考えております。アフリカ諸国、いろいろな国際機関、地域機関、更に南南協力の観点からアジア諸国の参加を得ました。更にNGOの代表の方々、民間セクターの方々にも参加していただきまして、合計1000人以上の規模でアフリカに関わるすべてのステイクホルダーと申しましょうか、関係者が一堂に会した対話の場を設けることができたと思っております。
 2つ目は、10年間やってきましたTICADプロセスの役割を評価していただいたということです。具体的にはアフリカ開発の問題を国際社会の主要なアジェンダに据える。アフリカの開発の重要性を国際社会に訴えていくというのがTICADの大きな役割なんですけれども、TICADのその役割が会議参加者から評価されるとともに、引き続きTICADが重要であるとの点を再確認いただいたということであります。
 3つ目は、会議の中での一つの大きな議題にもなっておりますけれども、NEPAD支援を確認したということです。アフリカ諸国が自ら書き上げたアフリカ開発のイニシアチブである、NEPADというものがございますけれども、それについてアフリカの首脳から説明を受けるとともに、開発パートナーからNEPAD支援の重要性について確認がされたことが挙げられると思っております。
 4点目ですけれども、アフリカ開発におけるアジア・アフリカ協力を中心とする南南協力の有効性について再確認ができたと思っております。日本政府が中心となって進めてきましたTICADは、他のイニシアチブ、例えばアフリカとEUとか、アメリカとアフリカ諸国の会合等と幾つかイニシアチブはあるんですけれども、それに比べてもユニークな点としてアジア・アフリカ協力というものを一つの柱にしております。アジア・アフリカ協力に関してアフリカ側からの評価にとどまらず、アジア諸国、とりわけマレーシア、インドネシア、ヴィエトナム等から、アフリカ開発に貢献する用意ありというコミットメントをいただきました。
 最後に5点目ですけれども、我が国独自の対アフリカの支援策として対アフリカ・イニシアチブというものを発表いたしました。引き続き日本はアフリカに対して積極的に政府の貢献をしていくという姿勢を打ち出すことができたと思っております。
 このTICAD IIIを終え、今後フォローアップをいかにしていくかという点について、外務省の中で協議を始めたところですけれども、対アフリカ外交の一つの柱になっておりますTICADプロセスをどういうふうに着実に進展させていくかということが課題であると考えています。TICADの組織化といいましょうか、インスティテューショナライズといいましょうか、これから検討を重ねていきたいと思っております。
 TICAD IIIでもアジアとの貿易投資の拡大というのが一つのテーマだったんですが、来年度中に世銀などとも協力しまして、アジア・アフリカ貿易投資会議というものを開催する予定です。いずれにしましても、TICAD IIIを契機に高まった対アフリカ支援のモーメンタムをどう維持していくか、TICADプロセスを通じてどう維持・発展させていくかということが重要であり、具体的なステップを踏んでいきたいと思っております。以上でございます。

○ 司会
 何か御質問、御意見はありますか。

○ 河内(アフリカ日本協議会)
 今回、私どもの団体は他の日本のNGOと一緒に、「ACT2003」という名前のTICAD IIIに向けた市民行動というキャンペーングループで行動しました。「ACT2003」は、他の日本のNGO、アフリカのNGO、アジアのNGOと合同で本会議に提言書を出しました。日本のNGOは、外務省との間で定期的に協議を持ち、アフリカで4回行われた地域会合にも参加しています。私はACT2003を代表して今、来ているわけではないんですけれども、簡単に幾つかコメントさせてください。
 TICAD自体は、原田さんからはっきりは言われなかったですけれども、特定の約束をする会合ではない、要するにプレッジをするわけではないわけです。性格も日本政府単独で主催というわけではなくて、非常に曖昧なイメージがあります。今回、TICADに参加したアフリカNGOの多くは、TICADに対して「foggy(曖昧だ)」という言葉を使っていたんですけれども、なかなか全体像が捉えにくいなと思います。ただ、それだけではなくて、実際に会議に参加して感じたのは、これは国際会議の慣行というか、そういったものに照らしてもちょっとおかしいんじゃないかと思うところがあったという点です。あまり批判ばかりするのも何ですけれども、少し言わせてください。
 ひとつは、採択されたと言われている文書のひとつ、10周年記念宣言です。これについては、本会議の中でアフリカの各国政府の参加者からもコメントがありました。この文言は正確でない、矛盾している、したがってこうこうこのように訂正すべきだと言った時に議長団の方から、この文章は修正できないんだというコメントが返ってきました。これは非常におかしいわけです。アフリカのNGOもやはり同様のコメントをしていまして、プロセスとして成り立っていないのじゃないかということを言っておられました。それで、でき上がった議長サマリーの中にもこの辺りの経緯が特に反映されているわけではなく、奇妙な感じがしました。
 あとは、メディアの規制が幾つかありました。規制と言っても、2日目のセッションなどは少なくとも分科会については、全く取材ができません。それから、その後の全体会合とか、市民社会との対話とか、南南協力といったことについては冒頭取材だけということになっていました。実は2日目の話が一番面白いと思うし、南南協力というのは多分NGOにとっても非常に面白いと思う話だと思うんですが、こういった肝腎な部分がなかなか外に向かって発信されにくいというのはちょっと残念だなと思いました。
 それで、これは質問なんですけれども、小泉首相が事前に5年間で10億ドルというプレッジをしました。これの根拠というか、どういった経緯で10億ドルという金額が出てきたのかということをお訊きしたいと思います。とりあえず、以上です。

○ 原田アフリカ第2課専門官
 では、私の方から可能な範囲で答えさせていただきたいと思います。2点あります。
 まず、一点目、10億ドルの根拠ということなんですが、具体的に何と何ですかと言われると、今後のプロセスで決定される性格のものですから、具体的にこれとこれですという風に申し上げることはできません。ただし、今後5年間のアフリカに対する無償資金協力を想定すれば、過去の実績を踏まえて全体として10億ドル程度は必ず実施しますという日本政府の決意であります。その10億ドルの分野については、大まかにこのイニシアチブの中に盛り込まれていますけれども、特に食料援助等を含めて保健・医療、教育、水、そういった分野で無償資金協力として10億ドル実施していく用意がありますという趣旨です。中身については、今後、個別具体的に、基本的には2国間協議等を経て積み上げられていくことになります。
 2点目は河内さんの方から御指摘がありました10周年宣言文書についてのコメントです。この10周年宣言の策定の経緯を申し上げます。議場での議長の説明が十分でなかったのかもしれませんけれども、10周年宣言というのは会議本番の議論を経て最終的にアドプトするという、採択するという性格のものではなくて、事前のプロセスがありました。即ち、今年の前半から始まりました準備会合等々で原案をアフリカの国も含めて議論を練ってきているんです。10周年宣言のドラフティングについては、TICAD共催者が中心となって実施してきました。その過程で議論をし、またアフリカ諸国、国際機関等の関係者のコメントも踏まえた上で、最終的に本会議の初日の29日に提示したものです。
 その場では関係者の基本合意が得られているという前提で提示したものですが、本会議で出たコメントも踏まえて、ドラフティングの責任者がTICAD共催者ですが、コメントを出したケニア等の関係者と議場外で協議をして最終的に了解をとりつけたというプロセスがあります。議長が本会議で修正できないということを申し上げたかどうかは私も定かに覚えておりませんけれども、実質的に会議参加者のコンセンサスを得た上で発出させてもらったという理解です。

○ 河内(アフリカ日本協議会)
 今、発出と言われましたけれども、採択はされたのでしょうか。

○ 原田アフリカ第2課専門官
 私の理解では、議長はアドプションという表現はしなかったと思いますけれども、会議参加者の合意を得た上で会合として発出をしたということだと思います。

○ 河内(アフリカ日本協議会)
 この件で引っ張るのはよくないと思うんですけれども、先日、アフリカ第2課の課長からは「採択された。アドプトされた。」というふうに伺いました。少し食い違いがあるように思いますが。

○ 原田アフリカ第2課専門官
 採択文書であると課長が申し上げたのであれば、その方が正しいかもしれません。TICAD IIIに関与してこられたACT2003の方々を中心とするNGOのメンバーと来週また協議の場を設けますので、そこで確認します。

○ 谷口(女性と健康ネットワーク)
 今回、TICADでポスターなども話題になって若者を中心としてとてもよかったと思うんですけれども、ポスターの関係でちょっと話題になったんですが、会議の諸経費というのは幾らぐらいかかったんですか。

○ 原田アフリカ第2課専門官
 ただいま集計中です。

○ 司会
 また別途ということで、とりあえず4.の報告事項を終わらせていただきます。 ここで冒頭に戻って、渡邉政策課長が別件で遅れていましたけれども参りましたので、ごあいさつを申し上げます。

○ 渡邉政策課長 
 渡邉でございます。遅参いたしまして大変申し訳ありません。今年の8月から前任の横井の後を引き継ぎまして、経済協力局の政策課長に就任しております。今後ともよろしくお願いいたします。
 政策課の仕事の一つの重要な柱は予算でございまして、ここの場で予算のお話を詳しくするつもりはないんですけれども、私としては是非ODAに対する皆様方の強い関心を強いサポートに変えて、ODAの拡充に微力なりとも尽力していきたいと思いますので、今後も是非よろしくお願いいたします。

○ 司会
 それでは、議題の5番に入りまして、協議事項といたします。まず最初に「イラク復興支援と国際平和協力のあり方について」です。これにつきましては皆様方の席上に論点が配られておりますが、いかがいたしましょうか。

○ 高橋(日本国際ボランティアセンター)
 もしできましたら、少し時間をいただいて説明させていただければありがたいと思います。
 今回、NGO側議題の最初の論点として「イラク復興支援と国際平和協力のあり方について」ということで、時間を随分使うだろうなと思いつつたくさん質問をさせていただきますのは、この問題については日本の多くの市民の関心が高いということもあって、是非この場を借りて外務省の意見、考え方を教えていただきたいからです。
 私自身も5月にイラクに行って、JVCとしてのニーズアセスメントということでしばらく滞在していたわけですけれども、やはりそのときに自分自身の目から見て、今イラクで進められようとしている「復興」、もしくは治安のプロセスにどことなく杜撰さを感じました。例えば電力セクターの回復ということにおいても、CPAがバクダッドの宮殿のところで立派なパワーポイントでこれだけ発電所を直しましたと力説しつつも、バクダッド市内のサドル・シティのような貧民窟では盗んできた送電線が銅に変えられているのを見たりすると、発電所はよくなっても送電ができなければ電気は市民には届かないわけで、このままでは「復興」も進まず、治安も悪化するだろうと想像していました。幾つかそういうぎこちなさを見つつ、今回マドリッドで復興会議があって、かなり巨額の金額のプレッジがあったわけです。
 今日の質問は、イラク復興支援の内容について具体的に教えていただきたいということ。それから、このイラクの復興支援の実態を踏まえつつ、これを外務省はODAの「平和構築」として位置付けるのかどうかということを後で教えていただきたいと思っています。今後日本がODAの柱の一つにするつもりであろう「平和構築」というものをどういうふうに考えたらいいかということに関する質問です。最後に、それに伴って制度ですとか、人材育成ですとか、幾つかのメニューを恐らく外務省の方でも考えていらっしゃるものがあるのであろうと思います。それがどういう内容で、どういうふうに進めるかということに関して是非、早い段階でNGOと共有していただきたい。今後一緒に取り組んでいく上で、そのメニューを早めに教えていただきたいということです。
 時間配分としては最後のメニューの話は簡単に御説明いただくとして、また2番目の考え方についても議論を始めるとかなり時間を取られてしまいますので、できれば1往復くらいのやりとりに止めておいて、必要であれば今後継続にしていただくというふうに考えて、今日は特に最初のイラク復興支援の内容について重点的に御質問させていただきます。5点あります。
 1点目は、今回日本はイラク復興に関し4年間で50億ドル、そのうち初年度、04年度で15億ドルを約束したという報道がなされました。しかし、問題はその内容、中身なんですね。積上げでこういうふうな数字になったのか、それともとりあえず数字的なプレッジとしてこういう格好を出して、今後何らかのアセスメントのプレッセスを通して具体的な詳細を決めていくのか。現時点で既に決まっているものがあれば、その詳細と金額について教えていただきたいと思います。私たちも現場で医療関係の活動をしていまして、例えば白血病の患者がイラクでは多いんですが、それに対する薬剤支援ということも私たちは検討しています。ただ、それだけでは十分ではない。そのために必要な検査、高度医療などに関する支援というのは恐らく政府関係によってきちんとやられなければいけないんだろうと思います。足並みをそろえる上で、政府が行おうとしている内容について教えてください。また、現地のNGOというか、市民団体への直接の支援などを考えているのであれば、私たちも協力できることがあるだろうと思っているので、是非今の段階で実施がわかっているものがあれば教えていただきたいということです。
 2点目は、拠出するお金の透明性ということに関してです。イラクには2つの基金がつくられる予定だと聞いています。CPAが管理する開発基金(DFI)というものと、恐らく今後国連と世銀が共同でつくる信託寄金というものになるだろうと思います。今回、日本がプレッジしたお金はどちらの方に入れられるのでしょうか?復興資金の使われ方に関してはいろいろ批判があります。特にCPAが管理する開発基金の使われ方に関してはアメリカのビジネスセクターを優先するという批判も聞いておりますので、今後供出したお金の使い方のモニタリング・メカニズムについてどう考えていらっしゃるか、教えていただきたいということです。これは、何も納税者である私たち自身の関心ということだけではなくて、イラク人自身が入ってくる金額の大きさに対する期待と現実の間のギャップということに対して関心を持っているんだろうと思います。これは東ティモールでもそうでしたけれども、期待と現実の間にギャップがあると、不安感というか、不信感みたいなものが高まって、それがひいては治安の悪化を招くことあります。やはりイラク人に対する透明性ということを第一に考えて、どういうふうにお金が使われるのか、その監視メカニズムのあり方についての考えを教えてください。インターナショナル・アドバイザリー・アンド・モニタリング・ボードというのが国連主導の下でつくられると思いますが、そのことに対する外務省の考えについて教えてください。
 3点目は、先ほど外務省の方から御報告があった国際赤十字に対する救急車を使った爆弾テロもそうですが、かなり治安が悪化しています。こういう中で私たちが最低限できることとして、人道的活動、医療や教育という分野で特にバルナラブルというか、弱い女性や子どもを保護する空間をきちんとつくろうという活動しているわけですが、今回の国際赤十字への攻撃のように人道活動までもが今、守ることができなくなっている段階において、早急に手を打つことが必要と感じています。治安をドラスティックに改善することは難しいかと思いますが、この問題を外務省は今どういうふうに考えていらっしゃるか。「復興」と治安は車の両輪ということですが、私は何よりも治安を優先すべきだとは思っています。この治安の問題についてのお考えを教えていただければと思っています。
 4点目は、額の問題です。15億ドルの中身はほとんどが無償資金協力中心だと思いますが、来年度の無償資金協力の外務省の概算要求額は約2,498億円と聞いています。それで、15億ドルというの大体1,500億円として、相当な比率になるわけです。私たちは、この結果として他の国での必要な無償資金協力が何らかのしわ寄せを受けることを懸念します。ラオスですとか、アフリカの小さな国等、まだまだ貧困問題に対する支援が必要なんだろうと思いますが、このしわ寄せの問題についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、是非教えてください。
 最後は債務の問題になります。イラクの債務金額はいろいろ報道がありますが、約2,000億ドルで、そのうち日本の債務の部分が70億ドルぐらいだろうと聞いています。中身は貿易保険や円借款、いろいろあると思います。債務問題の解決は国際社会でまだ合意が取れていないと思いますが、日本としてはどういうスタンスで取り組もうと思っているのかということです。この問題についてはNGOとして共通見解があるわけではないんですか、私個人の考えとしてはいわゆる戦争を通して否定した政権が被っていた債権というものを今のイラクの人々に返せと要求するということは果たして正当なのかどうか。これまでイラクの政権、すなわちサダム・フセインに貸し付けていたけれど、それが本当に住民のために使うような政権でないからあの政権を否定して戦争を支持したのではないでしょうか?自ら否定した政権に貸し付けた債務を返せといえるのでしょうか?それから、国連の経済制裁を通してイラクの人々にかなりの負担を負わせてきた事実がある。経済制裁の下では借りた金を返すことは難しく、そういう中で債務が随分たまってきたという現状がある。私たちがもたらした困難な状況の中で負わされた負債というものを今、返せということが果たして貸した側の権利としてあり得るのかどうかということを私は疑問に思っています。これについての外務省の考え方を是非教えてくださいということです。
 次は、ちょっと大き目の質問です。このイラク復興支援に伴って、日本の「国際平和協力」の考え方について聞きたいと思っています。大きく3つの切り口からお聞きしたいと思っていまして、ひとつは、ODAを通して、どういうふうな「国際平和」を実現しようとしているのかということです。今回改訂された新しいODA大綱の中では「わが国の安全と繁栄」という「国益」が明記されましたが、今度のイラクの復興にかなり巨額の金額をプレッジしたことは、この目的に照らしてどうなのかとうことです。今回のイラク支援がのようなやり方が本当にODAが国際平和協力に果たす役割として最適なものなのかということです。
 2つ目は、今の国際社会における「援助の政治化」という傾向の中でODAは今後どう取り組むかということです。この概念を果たして外務省が認識しているかどうか、こういう言葉遣いをしているかどうかということは分かりませんが、私たちは90年代以降の援助はかなり政治化している、政治ツールとして援助を使うという傾向が強まってきていると思っています。特に外交政策においては、交渉や軍事力や経済といういろいろなツールがありますが、特に欧米では軍事との関係を意識しながら外交ツールとして使う。結果、人道支援などの援助の領域に軍が介入してくるという問題が浮かび上がってきています。これまで私たちは、「日本ODAは重要な外交ツールである」と言われてきましたが、今後もますます政治のツール化していくことを懸念しています。外務省の今のお考えを教えてください。
 3つ目は、紛争や戦争一般に関わることで、これまで「復興」を中心に話をしてきましたが、もう一つ大事な概念として「賠償」というものがあると思っています。この問題をどこかできちんと考えるべきだろうと思っています。今、「力の論理」が幅をきかせる中で、「賠償」というものに対する国際上のルールというものがなし崩しにされようとしています。これもセットに考えていかないと恐らく「国際平和協力」という、国際という枠組みの中での平和を達成するということがかなり難しいのではないかと思います。国際責任ルールということにおいては、「賠償」は誰に適用されるのか、何を違反行為とするかということがかなりあいまいなので、さっきの劣化ウラン弾の話もありますけれども、賠償責任ということを恐らくどこかできちんと考えないと、本当に国際的な平和ということは成し遂げられないと思っています。もし何かお考えがあれば教えていただきたいということです。
 最後は、先ほど言いました「平和構築」について。日本が今後、人材育成に向けてどういうふうな取り組みをしようとしているかを教えていただければ、今後のNGOの関わり方を検討できますので。以上、長くなりましたけれども、よろしくお願いいたします。

○ 渡邉政策課長
 イラクの復興支援につきましては、先日、マドリッドの復興支援会議が行われました。会合自体は私たちとしては成果があったと思っていますけれども、それではこれから支援の実施はということになれば、それはそれで今お話がありましたが、治安の問題を始めとして難問は山積しておるわけでございます。それから、日本が表明した当面の支援15億ドル、それから中長期支援35億ドル、合わせて50億ドルの支援のパッケージにつきましても、これを実施するに際しましては日本国内各方面から強い関心を持たれているということを我々は重々承知しながら、これから作業を進めていかなければならないということで、正直言って課題は幾ら挙げても挙げ足りないくらいです。
 最初のイラク復興支援の内容、特に今回の15億ドルにつきまして御質問がありました。これは、最近のアフガニスタンの復興支援であるとか、あるいは東ティモールへの支援であるとか、コソボ支援であるとか、これまで日本及び国際社会が関わってきた復興支援における会議の準備と基本的には同じような考え方で我々は作業をしてきております。すなわち、こういった支援国会合が行われる前に通常、世銀、国連が援助需要の調査をいたします。今回のマドリッド会合に際しましても、世銀、UNDPなどの国連の各機関がニーズ調査を行っております。もちろんこのニーズ調査の過程で8月に悲劇的な国連の爆破事件というものがあったりして調査が中断したりいたしました。
 マドリッド会合における日本の貢献策は、いろいろな角度から世銀あるいは国連などが調査をした結果を踏まえ、日本が得意とする分野、イラクの復旧復興にとって重要と思われる分野を勘案して、電力であるとか水、衛生であるとか保健、教育、電気、通信、交通などといった重点分野について具体的な支援額をいろいろ考えた上で、更に国際社会において日本の貢献としてふさわしい支援を行うという観点から決定した額であります。
 今後の実際の資金の使い方、具体的にどういうルートでこの資金を活用していくかについては今後の検討課題でございまして、例えば先ほどお話にありましたような基金、信託基金のようなものに入れていくということであれば、その中で適正な使い方を考えていかなければなりませんし、2国間の支援が行えるような状況になれば、2国間の支援で必要な手続きを踏んでいくということになるかと思います。ただ、この件については現状ではまだ未解決の問題が多うございます。 2番目の御質問も恐らくこれに関わる問題だと思います。高橋さんの方からイラク開発基金(DFI)のお話がございましたけれども、今回、マドリッドの会合では、基本的にはDFIへの協力ではなくて、世銀や国連が管理する信託基金などを活用して国際社会として復興支援を行っていきたいというような形で呼びかけが行われたと理解しております。
 ちなみに、世銀及び国連の傘下にできる信託基金につきましては現在検討中でございまして、まだでき上がっておりません。したがって、我々としてここに資金を入れるとも入れないとも決め得る立場にはありませんけれども、いずれにせよ我々としてはこの信託基金をつくるという作業にはいろいろな形で関わっていきたいと思っています。
 日本が供与する資金が効果的、効率的に使用されるように、分野の特定にしても、実際の供与先にしても、それからお金の出し方などについても、我々としては適切に選択していきたいと思っています。信託基金への拠出についても、そういった中で今後検討をしていくべき課題だと思っています。仮に世銀及び国連にできる信託基金に拠出する場合には、単にお金だけをぽんと拠出するのではなくて人的な協力やその運営や将来にあり得べき案件の形成に対し日本としても積極的に関与していくという考えで臨んでいきたいと思っています。
 3つ目の質問は、治安の問題です。これは本当に日本のみならずイラクの復興に関わっている国々、国際機関、NGOの方々にとっても同じだと思いますけれども、大変頭の痛い問題です。8月の国連本部爆破事件、それからつい最近のICRCの爆破とか、非常に残念な事態が続いております。国連安保理などにおける外交努力、現地での政治プロセスの促進、復興の努力、それから治安の強化のための国際社会としての協力、こういったものを同時並行的にできるところから注意深く少しずつ進めていく以外に、解決できないと思います。今のところ万能薬はないと思います。
 現在、国連が国際スタッフを引き上げる方向で考えている、あるいは引き上げたといったような報道がございます。当面こういった一進一退が繰り返される可能性も排除されませんけれども、我々としては知恵を絞りいろいろな方法で、いろいろなルートでこの問題の解決のために関わっていきたいと思っています。
 先日、新しい国連決議ができました。これは、これまで以上に国際社会が団結してイラクの復興、安定の確保に取り組むという決意を示したものとして、決議の上で国際社会の一致した取り組みというものが強調されたわけでございますけれども、今後はこれを実践に移していく努力が必要ではないかと思っております。
 15億ドルの支援の結果、ほかの途上国、いわゆる伝統的な途上国への援助が影響を被るのではないかといったような御指摘です。この点につきましては、そういった心配をする向きもあるようでございまして、マドリッド会合の際にも、日本側代表団に対してそのような質問があったと聞いております。当面の支援である15億ドルについては、まずはODAの規定予算で極力対応していくということが基本になると思っておりますが、いろいろ精査していく必要はあるかと思います。他方で、財源措置については政府全体として適切な対応を図るという考え方の下に、今後引き続き検討されていくものだと思います。いずれにせよ、我々経済協力に携わる者としてはイラク支援の結果として他の途上国への援助に深刻な影響を与えるようなことがあってはならないという考え方の下に、最大限の努力をしていくということです。
 イラクには確かに多額の債務があります。日本のイラクに対する債権もかなりの額に上っております。サダム・フセイン政権がつくった債務の取扱いについては寛大な扱いをすべきとの考えを述べる向きもあります。イラクの債務問題の処理につきましては、恐らく日本国内でもいろいろな見方があるのではないかと思います。我々がこれまでいろいろな機会に説明しておりますのは、基本的にはイラクという国は世界第2の石油埋蔵量を持つ外貨獲得能力の高い国であるということなどを勘案して、債務の問題の処理についてはやはり慎重な検討が必要ではないかというものです。イラクの債務問題につきましては、全貌が明らかになっておりません。この問題につきましては今後債権国会議であるパリクラブなどの国際的な枠組みの中で債務の全体像、イラクの政権の在り方、中長期的な経済的な影響、それから石油収入の見通しを考慮した返済能力などを総合的に検討して国際社会としての判断が形成されていくのではないかと考えております。そういった枠組みの中で、この債務の問題の早期の解決に向けて日本としても日本の考えをもって貢献していきたいと思っています。いずれにせよ債務の問題というのは、イラクの復興にとっては先ほど申し上げた治安の問題や援助の受け皿の問題と並んで非常に重要な問題であると我々は思っております。
 この15億ドルの復興支援というのは過去のアフガニスタンなどの復興支援の支援策等の比較におきましても、大変重大なチャレンジだと我々は思っています。これは日本がそう思っているだけではなくて、日本以外の国際社会もそういうふうに当然実感しているわけです。我々としては、日本が持つあらゆる知識、経験、ノウハウを活用して取り組んでいかなければならない問題だと感じておりまして、外務省、援助実施機関だけではなく、関係する政府の機関、民間関係の団体にもいろいろ呼び掛けながら適切な分野、適正なプロジェクトの発掘や形成に取り組んでいきたいと思っております。イラクにおきましては既に日本のNGOが活躍をされております。NGOが持っておられる知見、経験、あるいはアイデアを是非とも活用させていただきたいし、協力させていただきたいと思います。いろいろなスキームを活用して、必要に応じこれを改善しながら一緒に協力させていただければと思っておりますので、是非その点をよろしくお願いしたいと思います。
 ODAが国際協力に果たす役割についての質問がありました。我々としては、中東、特にイラクの復旧復興、それから民生の安定というのはイラクの国民にとってのみならず、中東地域全体にとって、そして日本を含む国際社会の平和と安定にとって極めて重要だと考えております。中東地域に石油資源の9割近くを依存する日本自身にとっても極めて重要であるというふうに考えております。そういう観点からも、日本としてはイラクの再建のために積極的に取り組んでいきたいという考えでおります。
 援助の政治化という御指摘ですけれども、我々はこのような言葉は使っておりません。ODAにつきましては、日本として、国際社会の平和、安定、平和の実現に取り組んでいく上で、最も重要なスキーム、手段であると我々は考えています。 したがって、今後とも新しいODA大綱を踏まえてODAを是非拡充し、活用していきたいという考えであります。外務省としては外交政策の中でODAを積極的に活用していきたいという考えであることは言うまでもありません。同時に、開発援助というのは途上国の現場のニーズというものを的確に把握して、それにこたえていくという要素も忘れてはならない重要な観点であります。それは決して対立するものではないと我々は考えておりまして、外交的な要素と、そういった途上国の現場のニーズというものを両方にらみながら、適切な形でいろいろな協力を展開していきたいと考えております。 
 最後の賠償と復興のお話ですけれども、我々としては今回の支援の考え方というのは基本的には復興のためのものであるという整理です。
 日本の平和構築の在り方というのは、非常に大事な問題設定で、恐らく今後ともいろいろな機会や局面で議論させていただくことになるのではないかと思いますけれども、新しいODA大綱の中では平和構築というものを重点の柱の一つとして掲げたわけでございます。これはアフガニスタン、スリランカ、東ティモール等日本のODAの実践の中で、あるいは政策の中で、平和の定着であるとか平和の構築といった課題にどういうふうにこたえるかということが非常に大きなウェートを占めてきているということを認識しながら、新しい大綱の中に位置付けたわけでございます。 イラクの復興支援は新しいODA大綱の平和構築の実践において最も重要な舞台になるのではないかと思っています。
 人材育成の在り方についてどういった改善点があり得るのかといったことにつきましてはODAの領域だけではなくて、ODAと他の国際平和協力のさまざまな取り組みとの連携を深めながら検討していくべき課題であると思っておりまして、外務省の中でも経済協力、他の部局、JICA、内閣官房などとも意見交換をしていかなければならないと思っております。
 平和構築については、現在進行中のアフガニスタンのDDRのプロジェクトの進捗なども踏まえ、我々としての経験を積み上げていきたいと思います。

○ 司会
 どうもありがとうございました。

○ 高橋(日本国際ボランティアセンター)
 どうもありがとうございました。非常にたくさんの質問に丁寧に答えていただき、ありがたく思います。
 少しだけコメントをさせていただきたいと思います。お聞きしたかったのはイラク復興の内容なんですけれども、日本も実際の拠出の前に独自のニーズアセスメントもされるだろうと思っているんですが、どのような予定ですか?もちろん世銀や国連がニーズアセスメントをしたのは知っているんですけれども、やはり限られた予算をニーズを把握して効果的に使うかということにおいては、独自のニーズアセスメントをされていくんだろうと思うんです。そこら辺はどのように考えていますか?特に治安状況がかなり悪い中で、本当に日本からミッションを派遣してちゃんとニーズアセスメントができるかどうかということです。
 2つ目の透明性に関してですが、10月24日付けで国連でインターナショナル・アドバイザリー・アンド・モニタリング・ボードのTORが決まりました。その中でCPAの方からもアドミニストレーション・コーディネーターを用意するように指示していて、「開発基金」の監視もできるようになっています。しかし、恐らくCPAの方は多分嫌がると想像するのですが、こういう問題に対して外務省はどう考えているのか?また、そこら辺の事情がもしわかれば教えてください。
 最後の債務問題に関しては、日本が引き続き35億ドルを出していく上で、円借款とかが中心になると思いますが、債務救済してしまうと今後借款を出しづらくなるというか、出せなくなるということが恐らくある。その分、日本政府は慎重な対応を考えているのだろうということもわかりますが、「復興」だから何でもかんでも金を出せばよいというものではないと思います。
 それから、「賠償」ということを持ち出したのは、今のイラクにおける状況を見ていると、特に劣化ウラン弾の話も先ほどありましたけれども、いわゆる「復興」という枠組みだけではいかんともし難い問題が残る。「復興」というのは、いわゆる自発的貢献という意味なんですが、むしろそうではなくて、何らかの被害、破壊に対する義務とか責任という意味においてすべきことがあるということです。例えば、国連のUNEPが劣化ウラン弾被害の調査をすることになったとすると、そこでまた新たな資金が必要になってくることが想像される。それにどういうふうに対応すべきかということ、「復興」と「賠償」の峻別に関して、日本としても早目にきちんと整理した考え方を持つべきだろうということです。
 それから、人材育成、平和構築に関してはJICAや今日来ていらっしゃいます外務省の国際平和協力室の方でもすでに話し合いを進めていると聞いておりますので、今の時点でどういう具体的なメニューがあるのか、是非教えてください。今日はNGOの方もたくさん来ていますので、早いうちから関われる材料を提示していただければと思っております。

○ 谷口(女性と健康ネットワーク)
 平和構築の話に関してなんですけれども、こちらの方にどれだけジェンダーというか、男女共同参画の視点が組み込まれているかということで、国連の安保理決議の1325におきまして、平和構築にジェンダー平等、それから男女共同参画と日本では申しますが、そちらを組み込むことが重要であるとの旨、書かれておりますので、そちらを受けてどのような平和構築、ジェンダーがどのように盛り込まれていくかということについてお伺いしたいと思います。

○ 田中(パレスチナ子どものキャンペーン)
 私の伺いたいことは、治安の確保の問題と国際平和協力、そして平和構築という3つの問題に関わることです。
 パレスチナに私どもの現場があるのでその経験から申し上げますと、パレスチナには、インフラ整備のために大変莫大なお金が世界各国から入ったわけです。ところが、イスラエルの爆撃などによって、現実にはほとんど破壊されている。具体的にどのぐらいの額かというのはよくわかっていません。そのうち是非日本がどのぐらいの被害を受けられているのかも一度伺いたいと思いますけれども。さて、今イラクの復興、治安の状況がはっきりしない段階で非常に多額のお金が注ぎ込まれる。別に復興するなということを言っているわけではありませんが。庶民的な感覚から言って、戦争によって破壊をし、税金をつぎ込んで復興をし、また破壊されるというプロセスというのは、日本の国民の中にも非常に大きな批判として出てくると思います。治安の確保がないままで多額の資金をつぎ込んで良いのか、時期尚早でないのか、平和の構築が先なのではないのか? この辺りをクリアにしていかないといけないのではないでしょうか? その点どういうふうにお考えなのか是非伺いたいと思います。

○ 熊岡(国際協力NGOセンター)
 今回、スペインでの復興会議にオブザーバーとして参加させていただきました。
 そこで3点ほどあるんですけれども、今回の会議で一応プレッジ等という意味では成功だという見方もあるようですが、ドイツ、フランスも含めてかなり引いていた部分があって、これの元がどこにあるかといいますと、復興とか復旧とか、その先のプロセスというのは和平とか和解とか安定とかができて初めて言えることだと思うんですけれども、やはりそこが確立していないという意味で、カンボディア、アフガン等々で言えば、これもいろいろな批判的な見方はあると思うんですが、和平会合というものがまずきちんとあって、一応国内各政治派の和解といいますか、融和みたいなステップがあって、あるいは国際的なそういう和解を獲得するプロセスがあって復興と言ったんですけれども、今回はいわゆる軍事攻撃からそのまま占領軍が入り、占領軍が指名したガバーニングカウンシルができてということで復興ということが言い出されているんですが、大事な和平に至るプロセス、安定とか和解、融和がないままいっているのではないかという見方があります。
 これが確立しない限りは治安が永遠によくならない。治安がよくならない中で復興を言ってもしようがないというか、なかなか積み上がらないんじゃないかという見方が国連の人の中に、個人的な意見かもしれませんが、あるいはヨーロッパの外交家の中にありました。そこをどう見るかということが1つあります。
 2点目にアメリカのリーダー、日本のリーダーも含めて破綻国家にさせないという議論があって復興に協力しようということで、復興に協力すること自体はNGOも賛成していますけれども、では3月19日以前のイラクは破綻国家だったのかどうか。我々は前回の湾岸戦争以降1、2年、それから今回もサダム・フセイン体制のときから働いて、確かにいろいろ問題である独裁政権ではありましたけれども、いわゆる破綻国家ではなかったのではないか。むしろ3月20日以降、破綻国家になっていったのではないか。論議を元に戻すなという言い方もあるとは思うんですけれども、そこをどう考えるかということがまだ整理されていないのではないかと思います。
 3点目に、NGOコーディネーション・コミッティ・イラクというものがありまして、今回席上でも発表させていただきました。それからNGOを中心にした会議もありましたけれども、報告ですが、現在76のNGOが活動をし、250人以上の国際職員、それから1,500人以上のイラク人職員を雇用してというか、一緒に働いておりまして、結果的に国連はかなり下がってしまったので、NGOあるいはNGO連合は国連の役割が変わるわけにはいかないんですけれども、人数で言うとある意味で超しているというか、特に国際職員としては超しています。
 その中でイラクの中においても、これから今回スペインの会合でもNCCIが中心にNGOと国連関係、それから各国政府、大使館の人との会合がありましたが、残念ながら日本外務省大使館からの御出席がありませんでした。NCCIを中心に76名のNGOが持っている経験、治験が蓄積されておりますので、先ほど外務省の方からもお話がありましたけれども、是非そことコンタクトできるようなラインをイラクの中でも、それからさまざまな国際会議でもつくってもらいたいと思います。以上です。

○ 渡邉政策課長
 イラク復興支援について、日本独自の調査団を派遣するのではないのかということですけれども、今後、いつ派遣するとは申し上げられませんが、実際には経協関係では大使館も調査していますし、経済協力局からも出張者を出しております。そういった調査は今後とも行われるものだというふうに理解しております。
 CPA、開発基金についてのお話がありました。今後、イラクの復興支援が実際に動いていく中で、現地レベルにおける調整というのは重要です。今後、CPA、世銀、国連関係機関、それからドナーなどとの連携が当然強化されていくものと思われます。この開発基金の扱いについてもそういう中で議論が深められていくのではないかと思います。
 ジェンダーのお話がございましたけれども、新しいODA大綱の中でもジェンダーについて言及した箇所があることにも見られる通り、ODAの中でジェンダーは今後とも重視していくべき視点だと思っております。
 パレスチナとでは破壊と復興が交互に行われる、せっかく復興してもまたそれが破壊されていくということに対する懸念が指摘されました。パレスチナについては、政治プロセス、外交努力は治安の改善のための具体的な措置とともに復興を平行して進めていくということだと思います。
 イラク問題に対するフランス、ドイツなどの対応や、イラク復興のプロセス自体についての問題提起がございました。議論を始めると大変長くなる話ですが、日本としては当初からアメリカ、イギリスとともにイラクの問題について積極的に取り組むという姿勢で関わってきておりまして、特に復興の段階については日本は重要な役割を果たすという考え方を貫いてきました。そういう意味で、難しい課題はたくさんありますけれども、ここから先が日本の国際貢献の真価が問われるところではないかと思っています。だから、何でもやれるということではもちろんありません。治安、安全確保の問題などもあります。慎重に物事を注視しながら、できるだけのことをやっていくということであります。NGOとの連携につきましても、今後ともいろいろな形での関わりを深めていきたいと思っております。

○ 司会
 どうもありがとうございます。それでは議題の2番に進みたいと思います。「ODA大綱の改訂プロセスと今後の運用方針」です。

○ 石田(「環境・持続社会」研究センター)
 議題の2に関して、まず私の方から質問させていただきます。ほかのNGOの方からも質問があるかと思いますので、なるべく手短にと思っております。
 今回行われましたODA大綱の改定の全般的なプロセスと今回からの教訓、今後に向けてということでこの議題を挙げさせていただきました。1点目が改定プロセスに関しまして、確かに今日資料でお配りいただいていますとおり、これまで外務省さんの方でこういった改定プロセスがあった場合等を考えますと、NGOと市民との意見交換会など、こういったことがあったというのはこちらとしても評価いたします。
 ただ、それに立った上で更にということなんですけれども、ODA大綱を改定するという初期段階ですね。あるいは、ODA大綱の改定の内容の方向性を決めるようなことが、ODA総合戦略会議など、もっと事前段階で決められていたところが大きいというふうに見ています。この会議に関しては余り公開の場ではなかったと思っています。最初から公開と参加といったものが実現されるということは非常に重要だと思っています。
 今後また国別援助計画とか、ODA中期計画の策定に関する見直しなどいろいろ行っていくと思います。特に実際にODA中期政策の見直しが現在行われていると聞いております。ただ、この会合におきましてはNGOなど、ほかの方はオブザーバーで発言できないといったような形になっていると聞いています。 そこにおいてODA中期政策を見直すかどうかということの方向づけが決められるということになっていますので、やはりこういったプロセスにおいても最初の段階からの公開と参加というものを是非確保していただきたいとお願いいたします。
 続けて2点目です。ODA大綱の改定のときにパブリック・コメントを募集されたことに関し、私たちも内容に関しては意見がたくさんありましてコメントを出させていただいたのですが、最終的に決定されたODA大綱というのは私たちが提出させていただいたパブリック・コメントと比べてみますと、実際に余り原案と大きな変更が残念ながらないわけなんですね。それで、細かくこちらの方で計算させていただいたところ、全体的に変更箇所は43個所くらいあったのですが、実際にそのうちの40個所ぐらいのはたいへん細かい字句の校正だけで、内容に関する変更はほとんどなされていないわけです。そうしますと、パブリック・コメントを行った意義というのはどういったものになってしまうのか。こちら側からしますとそう感じてしまうわけですね。一生懸命コメントを出しても、どういった効果があるのか。
 パブリック・コメントに関するホームページでは、こういったコメントをどういうふうに取り扱ったのかという記載もあるのですが、それがパブリック・コメントの全体でなく、部分的です。ホームページに掲載されなかった場合の理由をどういうふうに考えていらっしゃるのか。それをお伺いしたいと思います。
 さらに2の2点目ですが、特にホームページでも、是非こういった国民参加の拡大ではなく、内外の理解と支持を得るための方策とすべきであるというふうにコメントを出させていただいていますが、やはりこれに関しても回答は特に見られません。是非私たちのコメントに対する回答の姿勢ということを御説明いただけるとありがたいと思っております。
 3点目は、今回決められましたODA大綱に関しましては今後どのように運用されていくかということです。次の3番目の議題の最後にも出させていただいておりますとおり、ODA大綱というもの自体は決まった後、それが法的な拘束力を持っているというわけでもありません。ですので、どういうふうに運用されていくんだろうか、あるいは、それに違反した場合一体どうなってしまうんだろうかという疑問もあるわけです。そこで、実際にこれはどういうふうに遵守あるいは運用といったチェック体制というものを考えていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。

○ 和田調査計画課長
 私も9月に新しく課長になったばかりでございまして、今後皆様と一緒に仕事をしていけることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。できるだけ御質問に則した形でお話ししたいと思います。
 お陰様で、皆様の御意見も踏まえた上でつくりましたものがお手元に配布しましたODA大綱でございますけれども、8月29日に閣議決定されたものでございます。今回の改定プロセスにつきましては、まさに改定プロセスにおいて近年進めてきたODA改革の重要点である透明性の確保、それから幅広い国民参加の確保ということを考え、それが実現されたというふうに考えております。この1枚紙の配布資料にございますように、昨年の12月にODA大綱の改定をするということを外務大臣の方から発表したわけですけれども、1月からNGO等との会合も初めておるところです。それで、もちろんODA総合戦略会議での議論、それからNGOのみならず経済界や学者の方との意見交換も行って、合計70回くらいいろいろな場で会議をやったわけですけれども、それに限らずいろいろなグループからも意見をいただきましたし、更にインターネットを通じたパブリック・コメントの聴取も行ったわけでございます。
 閣議決定後の記者会見で川口外務大臣も、これまでこういう形で外部の意見を伺いながらつくった大綱はODAの歴史上、あるいはODAに限らず政府の政策立案という観点において多分ないのではないか、空前のことをやったのではないかと自負しているというような発言をしております。
 それで、閣議決定の後、いろいろな方々とまた意見交換をさせていただいておりますけれども、もちろんいろいろ御批判を受けることもございますし、本日も御意見を伺っているわけでございますけれども、総じてみますと、NGOの方々を含めて多くの方々からプロセスについて今回外務省は非常によくやったという評価をいただいていると我々は考えております。まさに新しいODA大綱にも書いてありますけれども、国民参加の下でのODAを展開するために、今後とも皆様からの御意見を歓迎しておりますし、そういう形でODAに対する国民の皆様方の理解と支持が得られるように頑張っていきたいと思います。引き続き建設的な御協力をいただければと思っております。
 それから、中期政策と国別援助計画についても同様の手続きをとるべきであるというお話がございましたけれども、透明性をどう確保していくかということについては今後とも検討していきたいと考えております。現に現在ベトナムとかスリランカについて国別援助計画を策定しておりますけれども、そのプロセスにおいてもNGOの皆様との意見交換の場を設けたり、あるいはホームページの上で意見募集を行うということをやっております。
 それから、中期政策について先ほど検討中というようなお話がありましたけれども、中期政策については現在99年につくりました中期政策の評価を行っておりまして、まだ中期政策を改定するというプロセスが動き始めているわけではございません。いずれにしましても、御指摘も踏まえながら透明性の確保に留意していきたいと考えております。
 それから、パブリック・コメントをやったのに余り反映されなかったのではないかという御指摘がありました。パブリック・コメントは今日持ってきたんですけれども、今日皆さんからいただいたコメントを全部集計するとこれだけあります。(10センチメートル厚の文書ファイルを手に取って説明)204件と書いてあるんですけれども、204件というのは延べ204通の御意見をいただいたということであって、その1通の中に1つだけ意見を書いてあるものもあれば、大量の御意見が書かれているものもありますので、件数という形では何件になるのかわかりませんけれども、いずれにしても電話帳のような御意見ということになります。
 これで、これにもいろいろ付せんが付いていたりして見ていただくとわかると思いますけれども、私の前任者などを中心に皆で手分けをして全部読ませていただきました。それで分類をして、重なっている同じような御意見もありますし、全然違うものもあるんですけれども、これを全部読ませていただいて整理をさせていただいて、それで回答という形で出させていただいたわけです。考え方としてはこの電話帳のような御意見に対して電話帳のような回答を返すというのも一つの見方かもしれませんけれども、我々はむしろこれを一生懸命読ませていただいて、いいODA大綱をつくるという方に集中したいということがございまして、ああいうまとめた形で回答という形でやらせていただいたということでございます。このように整理してまとまった形で提示したということで、私たちの大綱改定に関する考え方を見やすい形で示せるのではないかと考えてこのようにまとめております。
 それから、パブリック・コメントでは余り変わらなかったではないかという御指摘なんですけれども、我々として見るとかなり最初の段階から皆様との意見交換を続けてまいりましたので、パブリック・コメントでいろいろ意見をいただいたんですけれども、我々が事前に予想していた御意見がかなり多かった。そういう意味でも、むしろパブリック・コメントにいく前から意見交換を行っていたがために、そしてそれを受けて大綱の原案をつくったために、実際のパブリック・コメントの結果、余り変わらなかったのではないかと我々としては考えております。決して我々の立場からするとこの作業は無駄というか、意味がなかったということではなくて、非常に有意義な作業だったと考えております。
 それから、内外の理解と支持ということでたまたま一つの例でございますけれども、まさに我々も国民の理解だけではなくて内外の理解と支持ということが重要だと思っていまして、大綱の前書きの一番下にも書いておりますが、我が国のODAに対する内外の理解を深めるために、まさにODA大綱を改定するということでございます。
 最後に、ODA大綱の運用を今後どうするのか、あるいはどういうふうにチェックしていくのかという御質問だったと思いますけれども、大綱は政府の閣議の決定ですので、政府全体として責任を持ってこの大綱を踏まえながらODAを実施していくということです。したがって、大綱の運用についての一義的な責任は政府が負うということでございます。
 それで、大綱の最後のところにも書いてありますけれども、大綱の実施状況については毎年閣議で報告されるODA白書において明らかにされるということでございますし、それに限らず国民の参加を得ながらなるべく透明な形でODAを展開していくわけですから、NGOの皆様との意見交換を、今日もそうですけれども、こういった場もございますし、今後とも重要な政策の節目節目で情報公開をやっていく考えでございます。こういう形で国民に開かれた形でODAを進めていくことによってチェックしていくことは可能なのではないかと考えております。
 以上、一応お答えになっているのではないかと思いますけれども、もし何か御質問がございましたらどうぞ。

○ 谷口(女性と健康ネットワーク)
 先ほど渡邉課長から、これからもジェンダーが重点というふうに考えてくださるということがあったんですけれども、パブリック・コメントを受けたODA大綱案まではジェンダーという言葉だったんですが、なぜか閣議決定後、男女共同参画という言葉に変わりまして、こちらがなぜそういう言葉に変わってしまったのかということについて若干の疑問があります。
 あとは、英語ではジェンダー・イクオリティというふうになっているんですが、これを日本語に訳すと男女共同参画の視点というふうになるのかどうか。若干意図が違うような気がするんですけれども、対外的に見ればジェンダーの平等を確保してくださるんだろう。公平性の確保ですね。しかし、国内的に見ると男女共同参画というのはちょっとずれているのではないかという気がいたしまして、なぜこの言葉が変わってしまったのか。各論的な話で恐縮ですが。

○ 和田調査計画課長
 私も詳細な経緯はつまびらかにしていないので確認して御連絡したいと思いますけれども、記憶では内閣府に男女共同参画局というものがございまして、そこで日本政府全体のジェンダー政策をやっているわけですが、たしかそこからのコメントか何かで日本語は男女共同参画の視点という形に変わったようにおぼろげに記憶しております。
 ただ、これは英語にするとジェンダー・イクオリティだろうということで英語にしているわけなんですけれども、いずれにしましても基本方針の一つに挙げることによりまして外務省のODA政策の立案から実施に至るまで、すべての過程においてジェンダーの視点をきちんと考えながらやっていくということでございます。

○ 司会
 では、最後に1つだけですみません。

○ 神田(関西NGO協議会)
 関西NGO協議会の提言専門委員会をしております。私も今回のODA大綱の改定プロセスというのは、これまでにない形でもって透明性が高まったなということでの評価は非常にしているところなんですけれども、先ほど和田課長がいろいろな方から評価していただきますというふうにおっしゃっていました。
 その中で1つ、省内の評価がどうなっているのかということを伺いたいと思うんです。外務省内で、こんなまどろっこしいことはやっていられるかという話になっているのか、それともやはりこれくらいやったからいろいろな人たちから評価してもらえるんだったらもっとこういうことはきちんとやっていこうというふうな話になっているのかという辺りはすごく大事かと思うんです。私たちもあえてこのプロセスを評価するというのは、外務省の方でこういったことをこれからもきちんと制度づけてほしいというふうな思いから言っているところもありますので、その辺の省内評価を教えてほしいということが1つです。 それに加えまして、ODA中期政策はこれから改定されるというふうなことを今お話いただきましたので、ここの中に盛り込んでいますように、原案作成の段階からきちんと透明性を増すというふうな御努力を改めて求めたいということが1つです。
 2つ目は石田さんの話と重複するところもありますけれども、今回出た意見ということに対して答えています。ただし、私はこれで終わりじゃないと思うんです。この大綱でもって実際にホームページを見ますと、こういう意見が出てきましたというふうなサマライズした意見のまとめと、それに対して後退をしましたというふうなことが出ています。それに対して必ずしも対応し切れていないということがあります。これはなぜかというと、出てきたコメント、サマライズした中身をきちんと答え切れていないということが1つと、それプラスなぜこう採択したのかという採否の理由がどこにも書かれていないんです。これを書いていただくと、ある程度コメントした側としても納得するところは納得する。こういう理由でもっていけなかったのか、そうしたら次回からはこういうふうな形で提案しようかという格好になっていくと思うんですけれども、そのなぜという部分が著しく欠落した格好で出ていますので、言ったのに何も入らなかったなという形になっている。
 対比して申し上げるのは変な形かもしれませんが、JBICの環境ガイドラインの改定プロセスのパブリック・コメントにおきましてはこのなぜという部分がきちんと書かれていたんですね。それで、データコメントのサマリーに対してこう対応しました。それに対してJBICの見解というふうな形で、その採否がどういうふうな理由でできなかったのか。できなかったところはできなかったということで理由づけすることが私は大事かというふうに思います。
 今回のODA大綱改定のプロセスというのは1回きりで終わるわけではなくて、これからもいろいろな政策に波及していくことですし、当然近い将来ODA大綱の改定というふうなことが出てきましたら、今回以上の参加と透明度というプロセスを確保するためにも、そういった作業ですね。これ以上しんどいことをやるのは嫌だというふうに多分、言われるかもしれませんけれども、そこまでやっていただいて初めて評価するというふうな声が確立していく。そして、ODAに対する批判が支持に転換していくきっかけになるのではないかと思うのでしつこく言うところであります。
 3番目の論点の大綱の運用についてまた後から具体策が3番目の議題で出てきますので、あえて触れませんけれども、そこでもコメントはあります。

○ 西井(名古屋NGOセンター)
 今の神田さんのコメントに関連で、東京から離れている地域に住んでいる者の立場からのコメントです。今回、パブリック・コメントを求められたということは今までなかったことで高く評価したいと思います。それで要望ですが、名古屋あるいは中部地域から何人かの個人や団体がコメントを出しているかと思うんですけれども、できれば市民の意見に対してどういうふうにそれを受け止めて、どういうふうに判断して、採択したかしなかったかと、そういう議論をする機会を持っていただきたい。名古屋だけに限らないんですけれども、地域へ出かけていって議論する場を持っていただきたい。そうすることによって国民参加とか透明性の確保というようなことが実現できる。実際にそれこそODA大綱をどう運用するかということに関わってくると思うんですけれども、そういう形でもっとODA大綱を広めていくということを一度検討していただきたいということを御提案したいと思います。

○ 高橋(日本国際ボランティアセンター)
 今の運用の話に関連するのですけれども、ODA大綱について外務省と議論してくる中で、解釈を許すところ、不明確なところ、議論が残されている部分があることが分かってきました。その後、外務省が寄せられたパブリック・コメントに対して外務省の考えがホームページで発表されていますが、議論の余地を残すものがまだあります。
 そのひとつが、「わが国の安全と繁栄」という例の国益論の議論のところです。国際的に共有されているODAの定義によれば、ODAは経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的とするとなっていて、日本としてもそれを踏襲していると考えています。しかし、新しい大綱ではそれにプラスアルファで「我が国の安全と繁栄」ということを付けたということなんだと理解していますが、先ほど神田さんからあった他の政策への波及ということに関して言うと、実は既にヴィトナムとスリランカの国別援助計画で議論されているものを見ると、「我が国の安全と繁栄」がまさに前面に出てきています。議論が残されているのに、国益よりの解釈をいつの間にか下位の政策に反映させていくのは、やはりおかしいだろうと思っています。そこで、是非先ほどの外務省が言われた解釈、つまりODAは国際開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的とするという解釈を明確にして、それを主目的とした国別援助計画にきちんと書き直すというか、そういう方向で改めて作り直していただければと思います。

○ 司会
 では、ここでとりあえず質問は打ち切らせていただきまして、最初の質問からの回答をお願いします。

○ 山田無償資金協力課長
 私は4月から来まして、調査計画課は本当に少ない人数でODA大綱の策定、それからいろいろな意見を聞きまして、本当に横で見ていると死ぬほど大変そうという感じでした。そういう意味では、調査計画課はある意味で省内には同情があります。それが第1点です。改訂の際の意見聴取をこれからやらないかというと、一回これだけやったら次は少なくとも同じ程度あるいはそれ以上やらなければ評価されない。やらないと言えば後退したと批判されるということだろうと思います。
 しかし、どういうふうにやるかというのはいわば新しい試みでやったので、今回の反省を踏まえてもう少し効率的というか、仕事の作業を減らしつつもちゃんと意見を聞くやり方はないかということをいろいろな側面から聞いてやっていく必要があると思います。
 それから、NGOの方々から出てきた意見というのは割と表に出るということはあるんですが、同時に調査計画課を中心として外務省にはいろいろな方面から相反する意見がきて、それのできるだけコンセンサスをつくったということだろうと思います。そういう意味で、それぞれの人に不満は残ると思うんですけれども、ODA大綱は一度できたら終わりではなくて、これはプロセスの中の一つの成果なので、これについてこれからも特段の仕組みを設けなくてもいろいろな意見を言い合う場といいますか、表明する場がこれからもできるんだろうと思います。

○ 司会
 それでは、採択の経緯などを和田課長からお願いします。

○ 和田調査計画課長
 省内の評価というのは山田の方から申し上げましたけれども、外務省の幹部は非常に高く評価していると思います。但し、一部ほかの人からはやり過ぎだという声もあります。
 それから、中期政策とか原案の段階からということは申し上げたように、引き続き幅広い国民の間のコンセンサスづくりに努力していきたいと思っております。
 それから、地方での説明とかということについてもいろいろタウンミーティングとか外務省の方でやっておりますので、そういった機会を利用して地方においても対話を続けていきたいということだろうと思います。
 それから、国益論についてはまさにここに書いてあるとおりなんですけれども、スリランカとベトナムの国別援助計画についても総合戦略会議の場でまさに御指摘の議論はありましたが、実際にその中をよく読むと、決してこの大綱から外れるような書き方にはなっていないという説明を主査の先生がしておられたと思いますし、この大綱を踏まえてやっていきたいと考えておりますので、引き続き見ていただいて何かおかしいところは御意見があったらと思います。

○ 神田(関西NGO協議会)
 今いただいたお答えの中で、地方と私たちは言わないんです。中央、地方という構図は取りませんから地域でというふうに言うんですが、そのことはどうでもいいんですけれども、タウンミーティングでというふうにおっしゃいました。タウンミーティングはあくまでも外務省のODAの広報活動であって、こういった意見交換をする場ではないというふうに考えております。実際に明後日、大阪のタウンミーティングに私も出席するようにという要請を受けておりますけれども、その中でくぎを差されているのはODA大綱を議論する場じゃないですよ、そういうふうな条件で来てくださいというふうに言われているという現実があります。実際タウンミーティングというのは幅広くいろいろな方がいらっしゃいますので、そこで今日お話ししたようなことをぎちぎち話をしてもらちの明かない話だと思いますので、是非大綱についての説明会というのを独自に開いていただいて、全国の何個所かで要請のあったところでということは検討していただけたらと重ねて思います。よろしくお願いします。

○ 司会
 それでは、3番目の議題で「ODAにおける環境社会配慮」です。

○ 神田(関西NGO協議会)
 最後の議題で、時間がきておりますので手短にお話をしたいと思います。
 環境社会配慮に関しまして、実施機関におけるガイドラインというものは非常に充実したものが構想されているということは私が説明するまでもないところではないかと思います。JBICではもうつくられておりますし、JICAでも間もなくパブリック・コメントのプロセスにかけられるというふうに伺っておりますけれども、ただJICA、JBICだけがODAを実施しているわけではございませんので、JICA、JBICなどでつくっておられるガイドラインを広くODA全般に広めていくといいますか、援用していく必要、あるいはその統括ガイドラインの策定というふうなことがこれから先、重要ではないかと思います。
 実際にJICAの環境ガイドラインの原案、これは作成段階でNGOの意見も多く、ここにいらっしゃる何人かも参画しておりますので、そこでの原案、提言として出てくる予定になっている中に、このJICAの環境ガイドラインを無償資金協力、あるいは技術協力、開発調査全般に援用するように、あるいは統括ガイドラインをつくるようにという提言が入ってくるというふうにも伺っておりますけれども、それに対しまして特に無償資金協力の大要を担っておられる外務省の方としてはどう考えておられるのか。JICAでつくられたものを援用するという程度でいいと思われているのか、あるいはそういったことはないと思いますけれども、その必要性もないと考えられているのか、あるいは改めて環境ガイドラインを作成しようと考えられているのかということに関しまして教えていただきたいというのが(1)並びに(2)のところであります。
 特に(1)の場合は外務省のみならず、開発調査やプロジェクト発掘の段階での環境影響評価、環境配慮がどう行われているのかということに関しまして、私どももそう詳しく知っているわけではありません。具体的には農水省ですとか国交省などの外郭団体などがプロジェクト発掘などに関しましてODAから助成金を出されているというケースがございますけれども、それに対して環境ガイドラインというのはどういうふうに適用されるのか。存在はしないと思いますけれども、どうなるのかということも出てくると思います。
 これも、ひいてはそういった外郭団体から出ているNGOへの助成金などに影響してくるのかもしれませんけれども、そういったことも含めての環境ガイドラインの必要性というふうなことで(1)(2)で伺いたいという点です。
 3つ目は今日だけで議論を尽くせる点ではないとは思いますけれども、開発調査、技術協力等の意思決定で外務省で担当されている部分について、それぞれの担当課での審査の透明性を高める指針をつくるべきではないのか。要するに、こういったところで特に環境社会配慮というものはどのように行われているのかということについて今日は若干説明していただけたらと思いますけれども、意思決定に関しましてはまた別途今後、議論していきたいと思いますので、今日はそのぐらいでとどめておきたいと思います。
 4番目は先ほどの大綱の議論ともつながっているところですけれども、大綱でいろいろな重要な点というのは盛り込まれています。例えば,JICAの環境社会配慮の部分で盛り込まれてくるであろう、提案として出てくるであろうと考えられます軍事支出ですとか民主化促進、人権などに対して、これは大綱にもうたわれているところでもありますので、この運用に関して透明性を確保するためには、ODA供与国のこういった現状に関しまして、外務省の方で例えば一定のテーブルですとか評価シートなどをつくられて情報交換されていくということは一つのアイデアとして考え得るのではないかとも思います。こういったことをやって、こういう事実に基づいてODA大綱をこういうふうに運用している。そして、環境ガイドラインをこういうふうに実施しているんだというふうなことでの運用の説明責任を果たすというふうなアイデアがおありかと思うんですけれども、その点に関しまして何かアイデアが考えられているのか。あるいは、これから検討されるのかということでお答えいただけたらと思います。
 以上4点、簡単ですけれども、御質問したいと思います。

○ 山田無償資金協力課長
 JICAの環境社会配慮改定委員会には私もずっと出ておりましたし、ここの石田さん、高橋さんも出ておられたので、私の発言も含めて一言一句に近い形で議事録が出ていますので同じことを繰り返すことになりますけれども、まず無償資金協力については環境社会配慮ガイドラインというよりはむしろ審査ガイドラインというものをつくるのがいいんじゃないか。それは、会議の中でそういうふうな発言もございましたし、私もそれをつくる、作成するということを申し上げました。なぜ環境社会配慮ガイドラインじゃないかというと、JICAが行う調査というのは無償資金協力の中核部分であって、その考え方を援用というのか、準用というのか、適用というのかすべきであろうし、まさにそれと違う考え方を外務省が持つということ自体、ある種おかしいんだろうと思います。 なおかつ、環境社会配慮ガイドラインというのはあれだけのエネルギー、それから時間を費やして非常に透明性の高いものをつくられつつあると思っております。それを超えるものをもう一回つくり直すというのは多分無駄なので、環境社会配慮を含めた、ではほかの点についてどういうふうな手続きでやるのかというものを含めたガイドラインをつくる。今どういうことを考えているかというと、来年度にJICAのガイドラインができるときに合わせてそれをつくろう。では、その間にパブリック・コメントなどができるのかというと、パブリック・コメントを待ってつくるのでは多分遅くなってしまうので、とりあえず案という形で完成したものとして出して、そこからコメントを入れて見直して、では1年したらもっといいものをつくりましょう。そういうふうなやり方で、外からの意見をも踏まえつつガイドラインができたらいいかということで作業を始めているところです。なかなか作業はそんなに敏捷にはできていないんですけれども、JICAの委員会の提言も踏まえてそうした行動を起こそうと考えているところです。
 それで、1の政府全体というか、JICAの委員会では全体というよりもまさに各省庁がそういうガイドラインなり、あるいはJICAのガイドラインの準用を適用するとか、何かその方策を考えろという提言を出したというふうに承知しております。それを踏まえて、現在まだ具体的な動きがあるということではないと思いますけれども、そうした提言というのはだんだん動かしていくんだろうと思います。それで、JICAの委員会は1回限りで終わりではなくて、これからフォローアップ委員会もありますし、ではこの後、本当にどういうふうに運用されているのかはいわば日々のチェックといいますか、あるいはおかしいじゃないかということで、外務省のみならずほかの省庁をも動かしていくのではないかと思います。
 それで、3は私の所掌外なので4の方にいきます。4も直接無償資金協力課ということではないかもしれませんけれども、経済協力に長らく携わって、よくODA大綱を適用した例、あるいは適用しなかった例というふうな言われ方を学者の人から言われることがあるんですが、私が反論するのは少なくとも経済協力局員たるもの、日々一つの案件を見ることにODA大綱を無意識のうちにでも全部適用しているんだと。もちろん、ODA大綱のどの条項に適用するとかないとかではないですけれども、ODA大綱が具現している、言わんとすることをこの案件についてどうなんだということを意識か無意識のうちか、それを一つひとつ私は適用しているんだろうと思っています。
 他方、それをどういうふうにガイドラインみたいなものに更に細かいものに落とせるかというと、私は率直なところかなり難しいのではないかと思います。これもJICAの委員会の中であったんですけれども、民主主義、人権、法の支配、あるいは軍事支出、これをガイドラインとしてどういうふうに数値化していくのか。それから、ODA大綱の中でもこうした諸点を踏まえて総合的に判断すると書いてある。総合的判断ということで、ガイドラインという明確な仕切りができるかというと、それは善悪以前に非常に難しいのではないかという感じがいたします。もちろん民主主義、人権、法の支配というものを政府なり情報収集する、あるいは批判に耳を傾けるということは必要ですし、これから工夫の余地はあると思うんですけれども、明確な基準をつくるというのはなかなか難しいと思います。
 それから、例えば民主主義、人権、法の支配ということについて情報収集はしておりますけれども、どういう形で今度はそれを外に出していくのか。相手国の評価を直裁的に出す。例えば国務省は人権報告書みたいなものを出しているわけですね。それがある意味ではすごいところでもあり、ある意味では一方的なアメリカの見方を押しつけているという批判もあります。
 軍事支出などはそもそも情報としてもなかなかわからないというところがあるんですけれども、なるべく幅広いところにその目を配りながらODAの実施に当たるという精神で、私はもちろん局員もそういう気持ちでやっていると思います。
 ただ、具体的に基準をつくるというのは率直なところこの無償資金協力ガイドラインの姿というものが頭の中にありますし、皆さんからこういうコメントがあったらそれを入れるとかという感じはありますけれども、ODA大綱の民主主義、人権等のガイドラインというとどういうものができるのかというのはイメージがなかなかわかないということです。

○神田(関西NGO協議会)
 山田課長、ありがとうございました。大変いろいろと興味深い御指摘をいただきました。お時間もないところ申し訳ないのですけれども、まず1点目が外務省で現在検討されている審査ガイドラインのことです。これをJICAと合わせて、つまり来年の4月につくられるということはかなり急激な話だなと今、聞いていて感じてしまったのです。JICAと時期を合わせたりなど、いろいろな御事情がおありだとは想像できるんですけれども、やはり外務省の審査ガイドラインというのはこれまた非常に重要なものですし、ODAの運用とかNGOにも深く関わってくるところですので、説明責任という意味でもできるだけ是非お時間をかけてじっくりつくっていただきたいというのが一つの要請です。
 2点目が、先ほどパブリック・コメントは時間がかかってしまうので今回は省略してというお話だったのですが、パブリック・コメント自体は確かに普通3か月くらいかかってしまうというふうに私も理解しているのですが、少なくともドラフト段階で何らかの市民の意見を伺うという機会は是非設けていただきたいと思っております。意見交換会ですとか、そういった是非パブリック・コンサルテーションを開いていただければと思います。
 先ほどちょっと言及がありました民主主義あるいは軍事支出、人権といった分野は私もかなり興味があります。ジェンダーの委員会の方でもお話がありましたとおり、明確な基準というところは本当に難しいと私も感じているのですが、ただ、前回の提言書にも含めさせていただいたとおり、こういったものに配慮するという基本的なところが確保されるべきであるということについては、皆さんコンセンサスがあるんじゃないかというふうに思います。ですので、是非そういった姿勢は外務省の審査ガイドラインの方でも入れていっていただきたいと思いますし、なるべく明確な基準というのも建設的につくっていく方向性でやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。』

○ 山田無償資金協力課長
 審査ガイドラインは私が4月になってやると決めて、JICAの委員会でも皆さんの面前で言ったのでもう後には引けないという感じです。パブリック・コメントをやらないというより、案で出してつくるのか、とりあえずこういうものと、そういう意味では案なのかもしれませんけれども、外務省としてこういうものをつくりました。それについて皆さん同士のコメントあるいは意見交換会をやって、半年なり1年たったらそこの部分を変えましょうという方がより早くというか、その間もその援助は続いているわけですからそうした方がいいかなと思っているんですが、そこは柔軟に考えたいと思っております。
 それから、ODA大綱の趣旨等についての議論も、私は明日から実はイラクに行くんですけれども、先ほど渡邉課長の申した経済協力局員の随時の出張の一環として行くことになるんですが、できるだけ幅広い機会でNGOを含めて幅広い人との話し合いを持ちたいというのが私の個人的な希望であり、同時に課長としての希望でもありますので、なかなか忙しくて今日も時間がない状況なんですけれども、形式にこだわらずそうした機会を持ちたいと考えております。

○ 司会
 では、最後によろしければどうぞ。

○ 高橋(日本国際ボランティアセンター)
 今の山田課長さんのお話で、やはり審査ガイドラインと総合的判断というところがどういうふうに組み合わさるのかというのがまだわからないので、またそれは追って議論させていただきたいと思っていますが、やはりODA政策のすべてにおいて、曖昧さがつきまとっている感じがします。ODA大綱にしてもしかりだという感じがしています。
 それで、ODAを目的論のところでいろいろやっていると、「国家として意義があるか」という議論になって、どうしても曖昧にならざるを得ないんだろうと思います。そこでいっそのことODAを目的ではなく、重点課題で規定してはどうか?例えば、貧困削減、平和構築、持続的成長、地球的規模の問題の取り組みの4つで絞るというような考え方です。今後、また大綱の見直しとか、基本法の議論が出てきたときに、そういう方向でやったらどうかとちょっと思っています。例えば、日本のODAは貧困削減だというふうにしてしまった方が結構解りやすいのではないかと思うんです。目的論でいろいろと議論しているとなかなか市民と財界と政府の間で目標を共有するのは難しいという感じがしています。今日、せっかく大綱の話が出てきたのでまたどこかで議論ができればと思ったので問題提起だけしておきます。

○ 司会
 何か最後に御質問とかございますか。
 では、とりあえず議題は以上とさせていただきます。
 次回のこの会議なんですけれども、何か御希望はございますか。私とすれば、今日の場でODAについて本省の課長クラスの方に集まって会合を持つことが出来ました。地方に行ってしまうと多くの課長が一度に出張するのは困難ですので、ざっくばらんなことを言えばやはり東京でやりたいなということです。

○ 神田(関西NGO協議会)
 もちろん早い時期といいますか、3回に追いつかないぐらいにいろいろなことができているという中ですけれども、年度内ですから2月、3月くらいまでというか。

○ 司会
 それでは、時期は2月くらいをめどに考えて、そのくらいで開催したいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは、閉会のあいさつを大使からお願いします。

○ 五月女大使
 今日はどうもありがとうございました。たくさんの意見が出て本当に有意義な会議だったと思います。100のNGOの方々がおられれば100の考え方があって、やはり役所の方もたくさんの人たちが出てきて、それぞれの立場のお話をしたんですけれども、私個人としてみればいろいろと意見があります。
 例えば先ほどのイラクの問題、イラクにこれだけのお金を使う話と、私は昨年までアフリカの大使をやっていたのでもう少しアフリカも注目してもらいたい。非常に厳しい現実がアフリカにはあるので、それも忘れてもらいたくないというのは個人的な意見です。さはさりながら、やはり外務省としては一つのコンセンサスをつくっていかなくてはならぬということもあります。それから、NGOの方々もいろいろな地域の方々はたくさんお集まりで、それぞれお考えがあるし、それからアジアに主力を置いている方も、パレスチナもあればアフリカを中心にして活動されている方もおられるということでいろいろあるんですけれども、やはりNGOとしての大きな目標と政府としての大きな目標が一体となって同じ方向に進むように、こういう会議を有意義に使っていただくということが大切じゃないかと思うんです。
 今日もいろいろとお聞きして、ODA大綱は私もいろいろと自分では考えがあるんですけれども、やはりODAは条約ではないということを申し上げたいんです。ですから、日々議論をして、検討をして、そこに意見を加えていって、よりよい方向に持っていくということが可能なものであると思っております。ですから、10年ぶりの見直しなんですけれども、何も10年ではなくてももっと近い時期に、これをもう少しこうした方がいいんじゃないかという意見があれば、それが一つの力になって変わっていくんじゃないかと思うわけです。ですから、ODAの大綱の目標というのは先ほども課長が申し上げましたように非常に努力をして皆さんと意見の積み重ねをしてよりよいものをつくってきたというふうに考えておりますし、更にもっともっと意見を入れていっていただきたいと思います。
 ですから、年度内にもう一度大事なことで更に議論を積み重ねたいと思うものがあったら、その御意見を是非入れていただいて、更に充実したものにしていけたらいいんじゃないかと思っております。今日も本当に遅くまで非常に活発な議論をしていただきましてありがとうございました。今日御発言いただけなかった方も、是非また次の機会には御発言いただきたいと思いますし、こういう会はできるだけたくさん持てればいいかと思っています。そんなことで、今日は本当にありがとうございました。

○ 司会
 最後に私の方から。私も実は9月に茨城にODA大綱が公表されて以後最初のタウンミーティングに行ったんですけれども、ここでの議論とは全く違いまして、話の半分以上は評価の話でした。ですから、それぞれの会合では全然中身が違うというのが実感です。
 それから、ODA大綱の中で国民参加型というものがあるんですけれども、ちょっと披露しますと、毎週のごとく新しいNGOの方が無償資金を使っていただけるということで説明にきます。これは着実に底辺が広がっているなということですが、私が必ずお願いしているのは、実施するのに対してアカウンタビリティが求められるようなちゃんとした責任を果たして頂く。お金だけがまず先にありきではないということも言っております。
 先ほど大使がお話をされましたように、本当に本日はお忙しいところを集まっていただき、司会の進行不手際で時間超過しておりますけれども、非常に有意義な会議だと思っております。2月にまた皆様とお会いできることを楽しみにしております。
 どうも皆様に本当にありがとうございました。

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