1.開会挨拶(名古屋NGOセンター副理事長 佐藤光)
なかなかNGO外務省の間の連携についての議論に参加する機会の少ない我々にとって、東京以外での開催に感謝している。本日は東海地区のNGOのオブザーバーも参加しており、良い議論ができることを望む。
2.五月女NGO担当大使の挨拶
国連と日本も60年間良きパートナーとして国際協力に取り組んできた。現在、各機関とのパートナーとしての連携なしに国際協力の裾野を広げることはできない。東京での会議では、JICA、JBICなど、ほかの政府機関も入っている。先日、大学とNGOの連携を探るというシンポジウムで、ファシリテーター役をした。この二つの連携も新しいかつ大切な連携だと思った。大学が、会計・経営・税制・国際法などNGOに対する必要な情報、技術を提供できる。一方、NGOも現場での経験を、大学で指導することを通して伝えることもできる。こうして双方がパワーアップできる。
「連携」がキーワードだが、政府もNGOも国民のサポートを受けるためにどのようなことをすることが必要かを見極めることが大切だろう。国際協力は政府やNGOだけがしているわけではない。企業、メディアでも活躍できる。国際協力を学んだ人が活躍する場は、政府やNGOだけではなく、民間企業やメディアでもいい。その意味で、日本のあらゆるセクター(オールジャパン)が関わらなければできない。本日も、新聞社の取材を受けているが、メディアは国民への啓発に大きな役割を果たしている。日本の国際協力推進には、六者連携(政府、自治体、NGO、大学、メディア、企業)が重要である。今回の協議についても、二者の連携をより良くするためのみならず、六者連携の一つとして考えたい。
3.報告事項<熊野>
(1) イラク及びアフガニスタンへの渡航情報(邦人テロ対策室主管)
イラクでは、引き続き治安組織や駐留米軍、民間人等に対する攻撃や外国人誘拐等が相次いで発生しており、外務省から「退避勧告」及びテロや誘拐の脅威について注意を促している。如何なる理由があろうとも渡航を見合わせるようにしてほしい。アフガニスタンについては、これまでも、カブール、ジャララバード、ヘラート、バーミアン、カンダハール、マザリ・シャリフ各市内について「渡航延期」を、これらを除く全土に対して「退避勧告」を発出している。
(2)草の根・人間の安全保障無償資金協力、NGO向け外部委嘱制度説明会の実施報告(無償資金協力課主管)
9月13日に説明会が行われた。9月30日までに出されたプロポーザルについては現在在外公館で書類選考中である。
(3)国連改革に関するパブリックフォーラムの実施報告(国際社会協力部政策課主管)
添付資料参照。
《報告事項に対する意見質問》
<戸代澤>
草の根・人間の安全保障無償資金協力、NGO向け外部委嘱制度説明会に向けてどれくらいの数のプロポーザルが集まったか。
<熊野>
120団体に案内し、12団体が参加。詳細は無償資金協力課に聞いてほしい。
4.協議事項
〔協議事項と関連する外務省からの報告事項〕
<城守>
前回の委員会で、この場では11項目を長く議論するだけでなく、幅広く話したいということを提案した。それを受け、NGO相談員制度や専門調査員制度など具体的な環境整備支援事業についてNGOの提案をいただけて有難い。
予算については、予想以上に厳しい状況にあることを理解してほしい。外務省も以前からNGOの能力向上支援を心がけてきたが、NGOからのたくさんの要望になかなか答え切れないのが現状である。日本の政府のシステムとして、次年度予算は前年度予算の3%減を上限とすると言われ、さらに今年から、前年度未使用の予算は必要無いものと考えられて削減を求められている。3%減の上に使わなかったものを切らないといけない状況下で、要望の多いところは増額しようとするとその分をどこかで減らさないといけないこととなる。NGOのキャパシティ・ビルディング支援策に関しては、選択が必要になることを理解して頂きたい。
また、アカウンタビリティについて、時に一部のNGOからの提案書のなかで、国民の税金を使うということを考えているのか疑問に思うものがある。何でも入れてしまっている、またその後、国民の税金をどのように使ったのかを国民へ報告、フィードバックしているのかいうこともある。昨今、一般からの質問でNGOもアカウンタビリティをきちんとやっているのでしょうね、という声を聞いた。プロジェクトを実施する際のその辺の説明責任をしっかりしていきたい。
<平田>
税金を正しく使うということはご苦労なことだと思う。一方外務省のODA一般会計予算約5,000億円の予算中わずか約28億がNGO支援に使われているようだ。約300団体の調査の中で、政府資金を使っている団体はわずか。約90%以上の団体は、援助を受けずにやっている。さらに財政規模が1億円以上の団体は37団体のみ。その他は中小NGOがほとんどであり、その実態から援助を受けられずにいるので、使いやすいスキームを作って欲しい。また、小規模であってもNGOとして草の根で途上国の自立発展のために努力している団体が数多く存在する実態を知り、NGOが国際協力に取り組んでいることについて日本全体に向けた広報を強化するべきである。わずかな数の大手のNGOへの資金の透明性などを議論することに時間を費やすことはいかがなものか。
<城守>
外務省の持っている予算・制度については、できるだけ広く知ってもらうような努力をしている。年に10人くらいの当室の職員を各地に送り、広報している。17人いるNGO相談員もそのような方向活動のその一つといえ、万の単位でパンフレットを作っている。一部のNGOのためだけに行っているわけではない。NGO支援無償について、ぜひ問い合わせを直接電話でして欲しいとあちこちで伝えることはやっているが、他方全てのNGOの状況を網羅して調べて、というのは物理的にも無理である。それについては必要性があるならば、何ができるかNGOとも協議していきたい。
<野田>
大使の発言にあるように、この連携推進委員会の場は、外務省とNGO、さらに日本全体がそれぞれ協力し合い、どのように国際協力の推進を可能にするかを議論する場である、という理解は共通していると考える。
(1)日本NGO支援無償資金協力の改善について
<山口>
3年間にわたり、新たに生まれた同支援無償資金協力制度についての議論をしてきた。この間の議論で11の提案、そして2つ加わり、13の新たな提案として「日本NGO支援無償資金協力改善のための11+2の提案」の最終評価を作成した(添付資料)。
これは単なる希望を並べたものではなく、根本にあるNGOの援助は如何にあるべきかという「援助理念の議論」があったうえでの提案となっている。たとえば、「提案1.ソフト要素の重視」では、従来ハード面の支援が多かったものから、ソフト面の重要性を認識してほしいという内容を、「提案2.複数年度支援」では、NGOでは、通常、3から5年度の中期的な支援を行うという内容を、「提案3.パートナーシップ型の重視」では、現地のNGOの力を支援に使うことが必要であり有効であるという内容などを提案したが、これらはすべてNGOの援助理念から出てきたものだ。これらの協議を進める中で、外務省側も、可能なところから運用を含めた改善を行ってきたことは評価できる。ただ定率支援、費目の調整、人件費の標準単価制度など細部については、まだ継続した議論が必要なところもある。しかし、今回で提案の議論を最終化できれば、連携推進委員会での議題としての議論を終え、今後、個別の研究課題として移行すると理解している。
<戸代澤>
資料のNGO側コメントのうち、外務省側にとくに重く受け止めて欲しい部分は以下のとおり。
「提案1.ソフト要素の重視」:
引き続き、全大使館への周知徹底をよろしくお願いしたい。全ての大使館が理解しているとは言えない状況がある。
「提案3.パートナーシップ型を認める」:
ガイドラインにある記載を、開発支援事業にも同じく記載してほしい。
「提案4.現地職員の継続性を保証」:
なぜ現地職員の人数制限があるのか議論してきたが、NGOの団体の人事管理としては、単年度での雇用を続けるには限界があることを理解して欲しい。
「提案7.人件費の標準単価制度導入」:
他のNGOとパートナーシップ事業をしている場合、同じ職種内容なのに給与が違うということが問題となることが起きることを危惧している。
「提案12;本部運営管理費の定率支援」:
議論している費用の中に、プロジェクト執行に必要な経費もある。表現が異なるだけで、NGOの指す内容と、外務省側の指す内容は同じではないか。そうであれば、次の議論に発展できる。長いスパンで議論したい。
「提案13.支援費目の整理」:
費目についても、フォローアップを行う際は、NGO側にヒアリングするなど協議して決めて欲しい。
<熊野>
定率費支援について、用語の定義などを改めて行った方が良いと考える。議論の整理をしつつ研究していくことが今後必要。
現地職員雇用に関しては、日本NGO支援無償のスキームはあくまでも事業実施支援であり、事業実施後の現地団体の運営は入らない。事業実施期間中の支援はもちろんあるが、継続的・恒常的にというと、いつまで支援するかという議論がでてくる。事業実施期間内では対応可能であると考えて欲しい。
<城守>
全大使館への周知徹底については困難なところがある。これは在外公館職員が2-3年で変わるためであり、また、現地の職員は日本NGO支援無償だけでなく、草の根・人間の安全保障無償資金協力など、他の制度も担当しており、交替したばかりの職員がこれらのスキームを覚えきれないことは大いにありうる。現地の大使館が不案内であれば大使館から民間支援室に聞いて欲しいと担当者に言ってもらえると良いし、またNGOから直接当室に照会いただいても良い。
定率支援については、ソフト、間接、管理という言葉が混乱している。私としては、本部事業費、本部非事業費と分けてくれると有り難い。本部の当該事業費はすでに積み上げているので、それを定率支援するのは合理的なのだろうか。まだ言葉で混乱しているので、言葉の定義を整理した上で協議して行きたい。
<五月女>
周知徹底に関しては、担当者の継続性の問題がある。担当者の人事に関しては、途上国では特に頻繁に職員が変わる。長年現地で活動を行っているNGOの方がスキームについて良く知っていることがある。NGO側から本省に聞いてもらうことで、東京もその在外公館の状況が分かる。その上でこちらも現場での意思疎通を円滑に進めるよう働きかけることができる。現地でスムーズな人間関係を築いていきたい。
<龍田>
たくさんの質問がある。あとで聞いていいか。たとえば、雇用一つでも、長期雇用となると労働契約の中の2年のことという形になるが。
<城守>
この11提言については勉強会で議論してきた。右の詳細については今後も、基本的にこの勉強会で継続して議論していくのが良い。
<野田>
日本NGO支援無償については、連携推進委員会の議題としては今日で一つの区切りとなるが、今後も適宜必要に応じて検討課題としていきたい。
<城守>
3年にわたり、双方で議論してきた。6-7割については合意がみられたことは喜ばしい。連携が進んだことと理解している。その上で、今後、必要に応じて、研究、勉強課題として進めていきたい。
<高橋(秀)>
この提言を巡る議論は、具体的な内容なので良いと思う。城守さんの、予算が厳しいなかで、日本NGO支援無償に関する議論を議題の一つとして継続させていきたいというメッセージは受け止めた。ODA全体の中でのNGOの占める割合が、欧米諸国と比して少ない。これは金額の問題だけではない。この日本NGO支援無償スキームを改善することによってNGOの関心を呼び、もっと予算を増やして欲しいという流れができるだろう。しかし現状としてまだそういっていない。
日本のNGOのキャパシティは低いという意見もあるが、私はそう思わない。日本のNGOは多くの点で比較優位があると考える。これらを踏まえて、日本のNGOの長所を活かせるように今まで様々な改善要求をしてきた。かなりの部分を外務省には一緒に考えてもらったが、改善の実施にあたっては法律、財務といった壁があるといわれている。NGOと外務省のより深いパートナーシップに向けて、こうした壁をNGOと外務省で一緒にどう乗り越えて、NGO支援無償を伸ばしていくかを考えることが必要である。かならずしもNGOから要求し、外務省側が返答するということではない。この委員会では、どこをどう改善すればいいのかを具体的な提案として出している。そこを室長は考えて欲しい。外務省の日本NGO支援無償は、NGOと外務省の連携による国際協力の改善の一つの先例、モデルになっているのではないかと考えている。日本NGO支援無償を活かすことは、外務省・NGO双方の広報にとっても良いのではないか。
時々、NGO支援をODA総額の5~10%にしようという意見が出るが、では単に金額が大きくなれば良いかいうと、今のスキームのままではかえってNGOは自分の首を絞めることになりかねない。NGOのキャパシティの向上やの自己資金を高める仕組みも必要である。NGOと外務省の連携による様々な取り組みを通じてNGOが伸びることによって民援室の評価も向上するのではないか。
<城守>
日本NGO支援無償へのエールは有難いことだし、今後ともこれを使いやすくすべく協議を続けることには賛成である。
日本NGO支援無償は28億円あり、関連スキームの中では大きい方だが、NGOと政府全体の協働のなかでは、この日本支援無償はどれだけ大きなものかは分からない。民間支援室だけがNGOの相手ではなく、皆様色々な政府機関と協議の場やスキームをお持ちだと思う。なお、日本NGO支援無償のスキームを利用している団体は現在60~80どまり。最初に資金を渡すという形態から、受け取る団体が財務管理ができている、法人としての活動を行っている、などある種の制約が出てくる。広く薄く使ってもらおうという時には、この制約が制限になるかもしれない。
<高橋(秀)>
昨年の名古屋会合でも同様の意見が出たが、NGOに関連するODA関連部署は、民間援助支援室だけでなく他の関連部署もある。これまでの議論をふまえて再度確認しておきたいのは、必要な時に、民支援室以外の関係者もこの連携推進委員会の場に呼んで頂き、外務省のなかでNGOの声を少しでも理解する層を増やしていただくことが将来の改善につながるだろう。
<城守>
自分としてはこれまでも他部署との連携に心がけてきたつもりだが、これからもそのつもり。たとえば、ある部署がやっている事業にNGOが関心があるということがあれば、アレンジの会合を持つなど、はじめのコーディネーションをすることはできる。しかしその後の細かい課題、問題については直接両者でやってもらうことになろう。
<杉本>
提言を3年で出せたことはよい。最近外務省HPのレイアウトが変わり、NGOとの連携の部分が見えにくくなっている。せっかく提案を3年かけてできたので、合意部分だけでもそれをHPに載せるというようなことはどうか。そのスケジュールもあれば知りたい。
<戸代澤>
協議会の議事録アップに配布資料が添付としてあるといい。
<熊野>
それをこれからしようと考えている。
<高橋(良)>
基本的に1ヶ月をめどに、外務省ホームページとJANICホームページに同じものを載せている。昨年度まで手元資料は載せていなかった。前回のODA政策協議会では配布資料も載せることとなったので、連携推進委員会についても、今回から配布資料を載せるということで合意ができるかうかがいたい。
<城守>
資料を記録に残すことは合意済。ただし個々人が出す物ではなく、外務省、NGOサイドとして出したものに限定したい。
<全員>
合意。
<野田>
議事録に加えて、配布資料も記録に残すことは合意ということでいきたい。また、この連携推進委員会には民間支援室とNGOだけでなく、必要に応じて、外務省の他部署もでてもらえると良い。
<高橋(秀)>
前回名古屋での会合で確認したことであるが、必要であれば、審議官等直接意思決定にかかわる立場の方の当委員会への出席も検討できるということを聞いた。こういった方の出席が全体として議論を進めるのであれば実現できると良い。
<五月女>
昨年、東京では一度出席した例がある。
<城守>
公的な会合のなかで審議未了となる場合は、次の非公式勉強会などの機会での協議が可能であり、必要なら審議官の参加も前向きに検討したい。
<五月女>
経済協力局全体で知っておくべきこと、また小委員会など細かいことで勉強会をした方がいいことなどを仕分けする中で、全体の理解を得る必要があるということが全体での議論となろう。
現在の定期協議内の2委員会だけでなく、勉強会を行い、そこから上がってきたものを他部署も入って考える形はあろう。その場合、多くの部署が入るとなるとまずは東京での開催となろう。オール外務省による会合といえるか。また動きやすい形の東京以外での会合も作るなりするとよい。
<高橋(秀)>
審議官が出ないことそれ自体が問題ではない。しかし連携事業を考えていく中で政策に関係してくることもあり、必要に応じてこの委員会で話すことになるかもしれない。
<城守>
基本的には、何を議論するかが焦点である。右がはっきりすれば、2つの委員会があるなかで、どちらでするかが決まる。又誰に出席してもらうかも、その会議の内容で考慮すべきものである。かかる議論が無いまま誰かをこの席に出す事を約せとか、この委員会が政策マターも議論するということを決めるのは無理。
<野田>
今の何人かのご意見は、先ほどの大使の発言に集約されていると思う。連携推進委員会にはその時々の議論の進展に応じて、必要な関係者に加わってもらうという理解でよろしいか。
<全員>
よい。
<野田>
日本NGO支援無償資金協力のスキームについて、一点補足で議論したい重要な論点として、派遣者の年齢制限の問題がある。この問題はある壮年者を中心としだ団体が指摘してくださり、NGOとして検討した結果、非常に重要な問題であると考えるので、ここで議論させていただく次第である。でこのスキームの「派遣者の年齢についてのガイドライン」(配布資料参照)によると、派遣する専門家は65才未満であることとなっている。これはNGOとくに地域で活動する中小のNGOにとっては大きな問題である。こうしたNGOの実態として、しばしば平均年齢が高くシニアが中心になって運営している団体もある。NGOとしてはいわゆる「2007年問題」にもあるように、これからは企業や行政機関を退職される方々にも、ぜひ第2の人生を市民社会で活躍していただきNGO活動にも参加してもらいたいと考えている。また社会全体のノーマリゼーションの観点からもこういった年齢制限を設けるガイドラインは理解に苦しむ。
<城守>
これを作った時に心配したのは、派遣された人の健康問題であった。若い人と同じような健康ではないこと。JICAでもある。全文を読めば派遣が必要であれば行くことができると書かれている。これは、書き方の問題で、わかりやすいように代えることは問題ない。あくまでも年齢による健康問題が一番考慮した問題。
<平田>
一般論として正論だが、あくまでNGOはボランティアとしての関わりなので、年齢が進んでも大いに活躍してもらえばいいのであって、単に自己責任といえばいいのではないか。外務省直轄のしごとならば年齢制限も必要だろうが。
<戸代澤>
心配して下さるのは有り難いが、他の国ではここまで心配してくれない。NGO側が自分の団体において人事管理、人を雇う上での責任をもっと強く持つべきだろうが、それをエンカレッジするような体制を作ってほしい。ガイドラインに記載されている文面は露骨すぎる。
<城守>
NGOの人事管理にこちらから言及できない。しかし政府資金でもNGOだから好きにさせてというのは難しい。政府資金を使うと、管理責任が出てくる。事業に65歳以上の方を参加させたい場合は、その方の健康に問題が無く、プロジェクトに必要な人材であるということをNGO側から示していただきたいということ。
<林>
ガイドライン3.の「なお、政府資金、自己資金を問わず」を取った後の部分だけで十分ではないだろうかと提案したい。
*補足:該当箇所の記述は次の通り。「高齢者を派遣しようとするNGOは同人の健康状態に十分留意し、現地の在外公館と連絡を密とし、派遣される高齢者の方の万一の事態に備え十分なバックアップ体制を備えておくようにしてください」。
<野田>
外務省が高齢者のNGO活動を制限しているわけではないということは理解した。高齢化社会がすすむ中でリタイアしたらNGO活動をしようとする人は多いしNGOにとっても貴重な戦力となるので、こうした志をディスカレッジするような制限を減らして欲しい。この外務省の「年齢ガイドライン」によって壮年者を中心とした団体にはNGO活動の未来に大きな不安を感じているところもある。外務省は高齢者のNGO活動をディスカレッジするのではなく、高齢者を含めたすべての市民の国際協力への参加をエンカレッジするという基本的な立場を確認していただいたうえで、詳細については引き続き検討してもらいたい。
<五月女>
イラクやアフガニスタンの場合、避難勧告しても行く人は仕方ない部分があるが、それを無償資金なり政府資金が入ってくると、制限を強めるというのが役所の本来の手続きといえる。自分も該当する年令であるが、元気であり海外での活動も可能であるが、暦年令、健康年令と個人差があることは分かる。予算執行をするうえではこの条件は仕方ない部分がある。もちろん、表現でもっとエンカレッジすることに代えることは必要。さらに、元気で経験のある人々に国際協力において働きやすい環境を作るべきである。
<城守>
原則を言えば、政府資金で何かを行おうとする方は、当該期間しっかりと目的を果たす健康状態を有していることが前提である。フェローシップなどでも健康診断書を求められるでしょう。NGO支援無償でもそう求める事もできるかもしれないが、全員に診断書を提出していただくことも現実的でない。よって健康面で不安の高い高齢者について、JICAの専門家の年齢制限を参照してこの年齢制限を設けたが、議論のうえ、ガイドラインの文面を変えていきたい。
(2)日本NGO活動環境整備支援事業の見直しについて
<高橋(良)>
NGO相談員、専門調査員、研究会などこれまでの日本NGO活動環境整備支援事業での評価について、過去4年間の受託団体に連携推進委員会事務局としてアンケートとヒアリングを行った。今回は、その結果をもとに、NGOからみた評価と、改善策案を報告したい。(評価と改善案1~3参照)。これらは限られた予算の中で「集中と選択」を行う際の目安となる。なお、アンケートは対象団体すべてからの回答を受けていないが、資料として出すに十分な数の内容を得ている。資料の後半は、アンケートの回答文をそのまま添付したので、参考にされたい。
第1に、NGO相談員制度にかんする現状の利点として、相談対応による日本のNGO能力強化、国際協力への理解促進、各地域・各分野におけるネットワークNGOの知見の活用、ネットワークNGO支援としての有効性などが挙げられる一方で、問題点として、相談単価の不均衡、選定基準の不明瞭、不十分な広報などをNGO側として認識している。広報に関しては、外務省のメディアをより有効に利用できるようにしたいという意見もある。
これを受け、NGO相談員制度の改善案として、配置方式の再検討(各NGOの相談対応能力に応じてグループ分け、業務費支払額を対応能力に相応して差異化等)、登録形態を現行の個人登録から団体登録へ変更する、相談件数が少ない団体の出張サービスの柔軟活用、NGO側イニシアティブに基づく相談員会議開催を通じたノウハウ共有、定期的なヒアリング・アンケートの実施による効果測定、などを提案したい。
第2に、NGO研究会にかんしては、分野別・国別研究会の保健、教育、農業・農村開発、スリランカの研究会事務局に対してヒアリングを行った。分野別NGO間のネットワーク形成、共同調査研究による案件形成能力の向上、現地プロジェクトの促進、PDM作成、ガイドライン・マニュアルなどツールの開発も可能となるなど、NGOのキャパシティ・ビルディングに大きく役に立っている。
その一方で、ODA大綱・イニシアティブ・中期計画との関連性などとの関連が見えにくく、研究会開催当初はNGOが困惑している場合もある。今後、NGO研究会の目的を明確にするため、研究会のトピック・テーマ選定のプロセスへNGO側が参加すること、数カ年継続したコミットメントができる体制づくり、後払い方式の変更・専門家への人件費増加など支援費用の見直し、研究会の成果を外務省・NGO共同で考えるべきなどの課題・提案が出されている。つまり、NGO研究会は全体としてNGOの能力向上に役立っているものの、NGO側として目標設定の段階から外務省と協議し、獲得目標をはっきりさせたいという意見がある。
第3に、NGO専門調査員についても、全体として役立っていると評価している。各NGOの専門分野での調査研究、ファンドレイジングなど組織基盤の強化への支援として有効である。その一方で、調査内容に応じて、1年未満の短期派遣や、1年以上で継続性を持たせた派遣など、期間を柔軟に変更すべきという意見があった。また、調査の専門員だけでなく、実務の専門員の派遣に対する要望もあった。専門調査員制度については、まだ材料を収集している段階であるので、今後、当委員会や非公式勉強会などを通じて詳細を検討していきたい。
<野田>
高橋さんのご報告では、NGO外務省連携における重要な柱の一つであるNGO環境整備事業に関するこれからの当委員会での議論大枠を示してもらったと理解している。
<城守>
多くの指摘、提案を感謝する。小さな改善で可能なところから、制度全体を考えないといけないものもある。予算を増加させるのは難しい。詳細を非公式勉強会、次の連携推進委員会で議論していきたい。
(3)国際協力における市民参加・広報促進のためのNGO外務省連携
<野田>
昨今、国際協力の重要性は高まりつつあるものの、それを取り巻く環境は非常に厳しい。国際協力にたいする市民の理解を深めていくうえで、ODA・NGOの双方がアカウンタビリティを高め、納税者への説明を果たさなければならない。さらにそれらの人々の支持を得ていくためにODA大綱にも掲げられている市民参加は非常に大切といえる。NGO・外務省がそれぞれの長所や役割を活かして国際協力への理解を高めていくひつようがある。NGOはこれまで専門性を活かし、開発教育や市民講座、国際協力イベントなどのチャネルを通じて草の根レベルでの活動を展開し、市民と「顔の見える」関係を構築し、国際協力への理解を深めてきたという実績がある。他方、外務省側にはホームページなど多くの人々に知られるメディアを持っている。また新聞などマス・メディアとの連携も重要である。
国際協力への市民参加を促進するため、外務省・NGO双方の持つ強み、専門性を活かしあっていきたいと考える。本日のところは素案を示すにとどめ(配布資料参照)、具体的には今後の連携委員会で検討していきたい。
<城守>
国民の税金をかりてNGOの活動推進に使ってもらっているものとして、国民に知らせることは大切だと考えている。外務省、NGOそれぞれのリソースを活用して行くべく議論していきたいが、当方では、たとえば、民間援助支援室のホームページに、NGOのプロフィールを掲載することも考えている。
<野田>
市民参加、広報推進における連携がNGO新たなキャパシティ・ビルディングの一環となる可能性もある。
今回の連携推進委員会にて、日本NGO支援無償資金協力の改善についての提言が具体的な成果として結実したのは良かった。これは数年来の外務省とNGOの協議の賜物である。この成果を踏まえつつ、今後、環境整備事業、市民参加など他の議題についても協議を深めていきたいと考えている。そのために、連携推進委員会をはじめ非公式勉強会など様々なレベルでの対話を継続させていきたい。
最後に、昨年に引き続き、名古屋において連携推進委員会を開催し、実りある議論ができたことについて、遠方よりご参加いただいた外務省およびNGOの方々、地元NGO・市民の方々そして開催に当たってご尽力いただいた事務局をはじめ関係各に厚く御礼申し上げたい。また、外務省とNGOの連携は、首都圏一部の大手NGOだけではなく、地域で活躍する中小のNGOや、今日話題となった高齢者を中心とするNGO等さまざまなNGOとの連携が重要であり、それが国際協力への幅広い市民参加につながることを確認しておきたい。
次回日程、3月3日(金曜日)午後。東京にて。
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