ODAとは? 国際協力とNGO(非政府組織)

NGO・外務省定期協議会平成17年度第1回「連携推進委員会」議事録

※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations


日時: 2005年7月8日(金曜日)15時00分~17時00分
場所: 外務省南庁舎 396号室
議題: 1. 開会
2. 五月女NGO担当大使の挨拶 5分
3. 城守民間援助支援室長の挨拶 5分
4.報告事項
(1)保健関連MDGsに関する報告(開発計画課)5分
(2)17年度のNGO・外務省合同評価について(開発計画課)5分
5.協議事項
(1)11+2提言のフォローアップ 10分
(2)日本NGOのキャパシティ・ビルディング支援策の検討 30分
(3)ODAとNGOの今後の連携パターンの提案 30分
(4)ODAとNGOの広報協力の検討 20分
6.次回協議会の開催について
7.閉会
司会: 民間援助支援室 熊野事務官
議事録担当: 民間援助支援室
参加者 31名 <外務省> 10名
五月女 光弘 NGO担当大使
城守 茂美 民間援助支援室 室長
中野 正則 同室 首席事務官
鈴木 康久 開発計画課 課長補佐
椎原 猛 開発計画課 事務官
深澤 千春 同上
玉川 麻衣子 通常兵器室 事務官
熊野 忠則 民間援助支援室 事務官
内田 みどり 同上
藤井 郁子 同上

<NGO> 7名
高橋 秀行 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC) 副理事長
山口 誠史 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC) 理事
野田 真里 特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター 理事
平田 哲 特定非営利活動法人 関西NGO協議会 顧問
戸代澤 真奈美 GII/IDI定期懇談会
高松 幸司 ジャパン・プラットフォーム 事務局長
清沢 洋 ネパールNGOネットワーク 代表

<オブザーバー> 14名
岩井 雅明 JICA 国内事業部 市民参加協力室 連携促進チーム
福田 綾子 JICA インターン
田辺 輝行 JBIC NGO・地方公共団体連携担当審議役
北澤 由紀子 JBIC 開発業務部企画課 副主任
大屋 直久 特定非営利活動法人 難民を助ける会 AAR JAPAN コーディネーター
高橋 敬子 特定非営利活動法人 難民を助ける会 AAR JAPAN 理事
高瀬 国雄 TICAD市民社会フォーラム 理事
橋場 美奈 特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会 理事
水野 康次郎 特定非営利活動法人 日本ウミガメ協議会 事務局長
筒井 哲朗 特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会 事務局次長
釜野 徳明 特定非営利活動法人 日本ケナフ開発機構 理事長
山崎 唯司 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長
高橋 良輔 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)(事務局)
永淵 芳法 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)(事務局)


議事録(各発言の要旨)


○熊野 お疲れ様です。若干開始が遅れてしまっていますので、早速、平成17年度の第1回「連携推進委員会」を開催したいと思います。本日、進行役を務めさせていただきます民間援助支援室の熊野でございます。よろしくお願いいたします。
 限られた時間ですので、それぞれの発言等は、簡潔にしていただきたいことを最初に、皆様にお願い申し上げます。
 それでは、早速ですが、五月女NGO担当大使の方からごあいさつをいただきたいと思います。

○五月女 皆さん、どうもこんにちは。ようこそいらっしゃいました。お忙しい中を来ていただきまして、ありがとうございます。
 たまたま昨日、イギリスでああいうテロが起こってしまって、テロはなぜ起こるかという話から始まって、よく言われているのは貧困から来るのではないかということで、アメリカなどがODAを非常に増額しているという話がございましたけれども、ちょうどサミットが行われるということと、テロというのが同時に起こってしまって、ある意味では海外で活躍するODA関係者、それからNGOの方々も非常に心配なことが起こってしまったという感じがいたします。
 その中で、皆様方「連携推進委員会」のメンバーの方々、それぞれプロジェクトを持っていらっしゃるNGOの方々が大勢いらっしゃる中で、我々としても安全ということも考えつつ、かつ予算の効率的な執行ということも考えながら議論を進めていきたいわけです。
 今年のグレンイーグルスのサミットの大きなテーマとして、アフリカ支援というのがあるわけなんですが、幾つか、最近アフリカ支援のためのNGOの集まりというのがございましたり、いろいろあるわけなので、こちらの皆さんの中にもアフリカ支援に携わっているNGOの方々がたくさんいらっしゃるわけですけれども、やはり日本がこれまでODA自体が残念ながら減額が進む中で、その中でもやはりアフリカ支援のODAも下がってしまっている。
 しかも、その下がり方がODAの下がり方よりももっと悪いといいますか、低い状態になってしまっていることは非常に残念なことではあるんですけれども、今年のそういうようなサミットを機会としまして日本のODA予算全体がアップすることと、アフリカ支援の予算が、これは総理もおっしゃっているように、3年のうちに今の2倍にするということを発言されておられますので、そういう面では若干ODAとアフリカ支援、あるいはNGO支援、その他の予算面での伸びというものが期待できるのかなという気はいたします。 そんなこともありまして、現時点では平成17年度のNGO支援関係の予算というのも粛粛といいますか、スムーズに執行されつつあるわけでございまして、その執行につきましては皆様方のNGOの方々が非常に協力していただいているということで、御礼申し上げます。
 そういうこともございまして、これから2時間弱でございますけれども、具体的かつ建設的な議論がなされることを期待しております。
 長くお話しする時間がございませんので、途中でまたいろんなところでコメントさせていただきますけれども、とりあえずは、この会議をスタートさせていただくということで、2時間弱ですが、よろしくお付き合いお願い申し上げます。
 それでは、お願いいたします。

○熊野 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、城守民間援助支援室長の方からごあいさつさせていただきます。

○城守  どうも、皆さん、お忙しいところありがとうございます。
 私が室長になりまして3か月ぐらい経ちまして、私にとって初めての「連携推進委員会」ということでございます。今までの記録を読ませていただいていますけれども、私の前任者、前々任者、そして皆様方がいろいろ議論されて築かれてきた成果を更に一層深める形で、この推進委員会でいろいろとお話をさせていただければと思っております。
 今日は、私の初めての委員会なので、2~3、まずお願いを申し上げてから議論に入っていきたいと思います。
 1つ目は、私がこれまでの記録を見ておりますと、例えば去年ですと11項目についていろいろ議論がされているわけですが、私は、それはこのような非常にいい会合にはもったいない。もう少しいろんなことを皆様と議論してきて、連携のいろんな対象を広げる形で議論していきたいと思っております。
 2つ目は、討議の仕方も以前のものですと、例えばそちら様の方から要求が出て、私どもがそれにお答えをしているというスタイルもあったようですが、勿論そういうことも続くと思いますけれども、もっとあるテーマについてお互いにいろいろ話しながら、アイデアを出しながら、どうやったら連携できるか。お互いの手段はどういうものがあるのか、そういうものを議論しながら、お互いに有効に連携ができるような形のスタイルに持っていけたらと思っております。
 3つ目は、最近パシフィック・コンサルタントの事件もありまして、あれに関わった企業さんについては、私どもも調達ができなくなっているわけですが、透明性、それから会計ということにつきましては、また皆様ともお話をしながら更に一層そういう面でも充実が図れればと思っております。

○熊野 どうもありがとうございました。
 それでは、まず最初に、協議に入ります前に、外務省の方から報告事項ということで、開発計画課の担当者の方から「(1)保健関連MDGsに関する報告」をまずお願いしたいと思います。

○椎原  開発計画課の椎原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に既にお配りしております「保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラム(概要と評価)」と「『保健と開発』に関するイニシアティブ(概要)」の2つのハンドアウトに沿って御説明させていただきたいと思います。
 既に、多くの皆様、御案内のとおり、去る6月21日及び22日に、日本政府はアジア開発銀行、世界銀行、世界保健機関の協力を得て、「保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラム」という国際会議を東京の三田共用会議所で開催しました。
 こちらは昨今の国際開発会議で、ややもするとアフリカに焦点があたりすぎる地域的にかなり偏った議論がなされているのではないか、アジア太平洋地域においても、引き続き保健医療セクターの多くの課題が存在しているのではないかという問題意識を日本政府がイニシアティブを持ちまして、昨年1月に、ジュネーブで開かれました「保健MDGsハイレベル・フォーラム」の場で、アジア太平洋地域にフォーカスした保健MDGsハイレベル・フォーラムをやりましょうと呼びかけまして開催されたものでございます。
 お陰様をもちまして、アジア太平洋地域の24か国から11名の閣僚、こちらは保健、財務、または開発省関係の閣僚の方々と、13の主要ドナー国・国際機関を含む多くの方々の御参加をいただきまして、大変盛況のうちに閉幕することができました。
 このハイレベル・フォーラムの議論の概要としましては「(1)能力開発を通じた保健システムの強化」「(2)分野横断的取組」「(3)資金の確保および効果向上」「(4)保健サービスへの衡平なアクセス」といった、4つのテーマを基軸としましたディスカッションを行いまして、最終日の22日には議長総括という形で発表いたしました。
 こちらの裏面の方を見ていただきたいのですが。「2.評価」の(ロ)のところでございます。
 2日間のディスカッションに基づきまして、保健MDGs達成に向けた取組みを進める上で、我が国が重視する「(1)成長を通じた貧困削減」「(2)インフラも含めた分野横断的取組の必要性」「(3)南南協力」「(4)人間の安全保障」「(5)女性のエンパワメントとリプロダクティブ・ヘルス・サービス普及の重要性」が議長総括に盛り込まれました。
 また、この2日間のディスカッションを通じまして、アジア太平洋地域においては新興感染症の問題、感染症以外の病気の問題。あるいは域内、国内格差の問題、具体的には民族とか性別による格差の問題等、多くの問題が存在する。しかし、各国で非常に有効な取組みが行われているケースもございまして、そうした各国における成功事例、教訓といったものを地域で共有をして、南南協力等を含む地域協力を推し進めることによって、地域における保健問題を効果的に解決していくことができるといった共通認識を得ることができました。
 この会議の場で、私どもの方から保健医療分野に関する新イニシアティブ「『保健と開発』に関するイニシアティブ」というものを発表いたしました。これは皆様御案内のとおり、2000年の九州・沖縄サミットの際に発効した「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」が本年3月をもって終了したことに伴い、作成されました後継イニシアティブでございます。
 前の「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」というのは、主に感染症対策にフォーカスをする形で行われたものです。これ自体は、非常に国際場裏等で感染症対策は国際社会が共通して取り組んでいかなければならない重要な課題であるというメッセージを強力に打ち出すことができ、また後の世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立につながったイニシアティブでございました。
 この後継イニシアティブとして発表された「『保健と開発』に関するイニシアティブ」の主眼の一つが、開発途上諸国の保健MDGs達成に対する取組みを日本政府が積極的に支援をしていくというものです。
 保健MDGsは、皆様御案内のとおり「目標4:幼児死亡率の削減」「目標5:妊産婦の健康改善」「目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止」であり、これら保健MDGsの達成を、このイニシアティブを通じて支援していこうというものでございます。
 こちらは、6月28日に、小泉首相の方から金額的な目標の部分に関して発表がございまして、5年間で50億ドルを目途とした支援を、このイニシアティブの下で行っていくという表明をしたところでございます。
 後ほど皆様に「『保健と開発』に関するイニシアティブ」のパンフレットをお配りしますので、詳細はこちらのパンフレットをごらんいただければと思いますが、このイニシアティブの特色としましては、基本方針として我が国のODAが従来より保健医療セクターで重視をしてきた基本的なコンセプト、援助哲学といったものが盛り込まれている点にあります。
 「(1)『人間の安全保障』の視点の重視」「(2)横断的取組」。これは、例えばインフラや教育あるいは水・衛生といった保健分野に関連するセクターと有機的に連関性を持ちながら支援活動を実施するということです。
 「(3)国際社会における連携と協調」「(4)開発途上国の多様な事情に応じた援助戦略の形成」「(5)援助実施現場における研究機能の強化と現場固有の事情への配慮」。こういった基本方針に基づいて具体的な取組みを現場レベルで推進していくということでございます。
 こちらは今後、6月下旬に発表したばかりでございますので、今後、各国の在外公館あるいはJICA、JBICの現地事務所等を通じまして、現地のNGOあるいは国際NGO等とも協議をしながら現場レベルで、何を実施するのが一番裨益者のためになるのかといったことを具体的に詰めていくということになるかと思います。
 私の方からは、以上でございます。

○熊野 ありがとうございました。
 引き続きまして、報告事項の(2)の「17年度のNGO・外務省合同評価について」同じく開発計画課の担当の方からお願いします。

○深沢  今年度のNGO・外務省合同評価を担当させていただくことになりました深沢と申します。よろしくお願いいたします。
 まず第1点に、昨年度の合同評価であります日本NGO支援無償スキーム評価についてでございますが、皆様の御協力を賜りまして、無事報告書が完成しましたことを御報告申し上げますとともに、お礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。ちなみに、こちらの方は外務省のホームページの方に公表されておりますので、ごらんいただければと思います。
 次に、本年度の合同評価についてでございますが、フィリピンの教育セクターについての評価を行ってまいりたいと思っております。外務省は、政策レベル、プログラムレベルの評価を担当ということでございますが、プログラムレベルであるセクター別評価を行いたいと思っております。
 目的としましては、フィリピンの教育セクターの政策全般を見て、その効果的な援助のための教訓、提言を得るとともに、NGOと外務省との合同評価ということで、今後ODA・NGO間の協力、連携の方向性を見ていきたいと思っております。
 その旨この「連携推進委員会」の評価のリエゾンの御担当である渡辺先生の方に御提案という形で提案申し上げたんですけれども、渡辺さんの方から東京、関西、名古屋の方のそれぞれのリエゾンの方から御了承頂いたということを伺いましたので、今年度はフィリピンの教育セクターの評価ということでやらせていただきたいと思います。本年度もお世話になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 私の方からは、以上でございます。

○野田 名古屋NGOセンターの野田です。私、昨年、合同評価を担当させていただきまして、本年も担当させていただきます。昨年はどうもありがとうございました。本年もよろしくお願いします。
 今私がご紹介申し上げている昨年の合同評価報告書については外務省さんホームページにもありますが、詳細をお話しする時間はございませんので、一言だけ感想を申し上げさせていただきます。
 私この「連携推進委員会」で名古屋の地域のNGO、そしてほかの地域・セクターのNGOの方々と議論をしながら、外務省さんとこういう形で連携推進の対話をさせていただいております。今回の場合カンボジアに一緒に評価ミッションに行かさせていただきましたし、また東京におきましても、中野さんを始め多くの外務省の方々と議論させていただいたんですけれども、こういった形で共同評価をするというのは定期協議とはまた違った意味でNGOにとってもすごく意味のあることだと考えております。
 この報告書の議論を少しだけ紹介いたしますと、まずえられた共通の認識としては「人間の安全保障」の推進にはNGOと政府の連携が不可欠だという事です。私どもが調査した中では、多くのカンボジアの政府関係者が日本のNGOの協力、そして、それに対する日本NGO支援無償資金協力に対して高い評価をされております。特に、今後、先ほども御言及ありましたけれども、MDGsを推進する、特に「人間の安全保障」の観点に立ったときに政府だけではできない、NGOならではのエキスパタイズ、専門性を持って国際協力を推進していかなければならないということは、カンボジア政府の方はもとより我々評価チームのNGOや外務省の方も含めて、この合同評価に関わった人間の共通した見方であると思います。それと同時に、さまざまな課題も浮き彫りになりましたが、これらの点については今後の議論中で深めていきたいと思います。
 せっかくこういった形で評価をしたわけですから、NGOないしは外務省さん双方にとってかならずしも100%満足できる文章ではないかもしれませんけれども、多くの共通点、共通の認識・課題が生まれたことも事実ですので、是非これを単なる報告書にとどめずにこれを踏まえてさらなる連携推進のために役立てていければというふうに考えております。今後ともよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○熊野 ありがとうございました。
 ほかに、今の報告事項に関して何か質問等ございましたら。
 どうぞ。

○戸代澤  今回の日本NGO支援無償スキーム評価とは別に、外務省さんの方で、在外公館から出している草の根無償資金協力スキームの評価を計画していると耳にしたことがあるのですが、いかがでしょうか。

○中野 私が承知している限り、草の根無償について評価するということは聞いていませんけれども、それは個別の案件についての評価かどうか、事実関係がわからないと。

○戸代澤  ODA評価の一環として、有識者の先生方がおやりになる評価のチームがあるようなことを聞いたんです。

○深沢  評価班の者ですが、今年度のODA評価案件で「草の根・人間の安全保障無償」という案件はございます。草の根の案件の全般を見ていくという感じです。(追加:草の根・人間の安全保障無償資金協力全般を対象とするもの。)

○戸代澤  そういうものが幾つかアドホックにあるかもしれないので、一度まとめてぱっとリストか何かいただけませんでしょうか。

○深沢  毎年度の評価ということでございますか。

○戸代澤  今まで、例えばどういう評価がやられているのかとか、これから今後どういう評価をやる予定なのかとか、もしかしたら私たちがやっていることとダブっていることがあるかもしれないので、その辺を整理させていただけませんか。

○深沢  4月にホームページの方で、今年度はこういうODA評価をやりますという計画を公表しています。

○戸代澤  過去3年とか5年分ぐらいと、今後の予定を。

○深沢  過去の案件はすべて報告しております。(→注:3年の中期計画は公表されていない旨、戸代澤氏に事後訂正済)

○戸代澤  それでは、そちらを見ればわかるということでいいんですか。

○深沢  ただ、全てがNGOとの合同評価という位置づけではなくて、評価班で担当するその年毎のODA評価案件の一覧ということです。

○戸代澤  わからなかったら、後で個別にコンタクトさせていただきます。

○野田 その評価報告書は、必要であればPDFなりハードコピーでいただけるかと思います。

○深沢  HP上で公表されているものはPDF形式となっております。

○戸代澤  ありがとうございます。

○熊野 それでは、報告の部に関しましては以上にさせていただきまして、本日の協議事項の方に入らさせていただきたいと思います。
 まず、第1点目に関しましては「11+2提言のフォローアップ」ということで、これに関しましては、お手元の方に「外務省からの回答」というペーパーを配布させていただいております。

○城守  私どもの紙はこれまでの答えを焼き直しただけで、中身的にはほとんど変わっていないと思いますが、ただ、評価のところはうちの評価でございます。

○熊野 この件に関しましては、とりあえず双方の回答が出そろったということで、またじっくり読んでいただきたいと思います。

○野田 御説明なしで、とりあえずは読んでからということですか。

○城守  書き方が変わっているだけで、基本的には変わっていないと思います。

○野田 それでは、質問させてもらっていいですか。
 外務省さんからのご回答をこの場で読んで議論するのはなかなか難しいのですが、とりあえず先ほどの合同評価に関連してご質問させていただきます。合同評価の中で1つ共通の認識として出たこととして、要は草の根レベルにおいて持続可能な開発支援は単年ではできないわけです。それで、ある程度長期的なビジョンに立ってやらないとできないと思います。
 特に、いわゆるキャパシティー・ビルディングないしはキャパシティー・ディベロップメントと言われる形で、ただ単にプロジェクトをやるだけではなくて、それを現地において根づかせて持続可能なものとするためには、複数年度ではないとなかなか難しいというのは多分、認識レベルでは共通だと思います。
 それでは、具体的にどうするかということで、1つ御提案として、この報告書の中に書かさせていただいたのは、複数年のプロジェクトをテストケースとして幾つかやってみてはどうかということです。
 勿論、様々な制約から一般論として複数年にわたるプロジェクトにコミットできないというご説明はすでに伺っております。ですが、実際ODAの事業でもフェーズを区切って複数年のプロジェクトを行うことはごく普通に行われておりますし、これと同様にNGOのプロジェクトに複数年の支援を取り入れた場合どれぐらい有効性があるのか、それによってどのような課題が見えてくるのかというのをテストケースとしてやってみてはどうでしょうか。また、こうしたテストケースをNGOと外務省さんで合同で評価し、制度ないし運用の改善に活かして行ってはどうでしょうか。この提言は一応、合同評価の会議の中でも出ましたし、報告書の中にも提言として書かせていただいております。現時点ではどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

○城守  複数年の支援をコミットできないということは、申し訳ありませんが、何をしてもできないんです。正式にコミットはできないんです。
 他方、今おっしゃったように、実質的には長期間かかるものは、テストケースはできるのではないかとおっしゃいますけれども、私の知っている範囲ではそういうものは現実論としてもう始まっているわけでしょう。動いているわけでしょう。我々は別にやらないと言っているわけでもないし、それから、そういうテストケースをやらないというのではなくて、実態上はもう始まっているわけです。ここに書いてありますように、うまく連携していけば空白期間を少なくしてやっていける。頭からコミットしろという議論にしたら、それは難しいんです。でも、中味は既に連携を進めているわけです。
 ただし、1年で1回評価はいたします。これは単年度主義ですから、しようがありません。それをうまくやっていただければ、しかもうまくプロジェクトが発展していけば、結び付き合う可能性は非常に大きいと思います。

○山口  今日は、回答をどうもありがとうございました。
 書面でこういう形で出していただいたので、非常に私たちもわかりいいと思いますが、今は御説明なしですので、すぐこの場で、それでは了解しましたということで全部OKというわけではないので、これを持ち帰りまして、NGO側としての評価と突き合わせてみて、前も民間援助支援室さんの方からおっしゃられているように、前へどんどん進めた方がいいと思います。既に両者が合意できることは、成果として合意して、残った部分についてもう一回整理をして、それで継続するものが何かということを改めてまとめてみて、それを公式の場プラス勉強会等の場を利用して更に深めていくという形にしたいと思います。
 とりあえずは、今日はこれを納得するという意味でなくて、回答していただいたものに対して、私ども、これを受け取りまして、また持ち帰らさせていただきたいと思います。

○城守  今の私どもの説明が悪くて申し訳ありませんでしたけれども、私どもの趣旨もそういうことでございます。
 確認したいという御要望もありましたから、私どもの考えを書かさせていただいて、これを踏まえて勉強会なり、もしくは次回の会議でまた検討を進めていきたいと思っております。○戸代澤 1つ御提案ですけれども、11+2の項目の中で、今後話し合いを継続しても何か改良の余地があるだろうというポイントを、外務省側の方で考えていらっしゃるポイントが何番と何番と何番なのかということを後日教えていただいて、NGO側でも同じようなチョイスをして私たちとしては考えるということで、それで一旦すり合わせをして、次のプロセスに進めるのでいかがでしょうか。

○城守  それでは、そういうことで。

○山口  それと、追加の2つのうちの定率支援に関しましては、外務省がCSO連絡会の方に委託した調査というのがありますが、それに関して是非、公式にNGO側に説明するような機会、こういう場では時間がなかなか取れないかもしれないので、別の機会がいいかとは思うんですけれども、是非その内容を共有していただけるような場を設定していただければと思います。

○城守  それも、先ほどおっしゃったような提示と同じ機会でできると思います。

○熊野 それでは、最初の協議事項に関しましては以上ということで、続きまして2番目の「日本NGOのキャパシティ・ビルディング支援策の検討」に入らせていただきます。まずはキャパシティー・ビルディング策の概要について担当の方から説明いたします。

○内田  民間援助支援室の内田です。平成17年度のキャパ・ビル支援策の概要について説明ということなので、紙がお手元に行っていると思いますので、簡単に説明させていただきます。
 去年度から余り大きく変わっているところはないんですけれども、今年度も同じく研究会、相談員、専門調査員、セミナーという形で4つ大きな事業をすることになっています。 現状について御説明したいと思いますが、まず「(1)NGO研究会」の方は、これは何度も機会があるごとに、去年度とはやり方を変えるということで説明してまいりましたので細かい点は省きますけれども、今まで国別、分野別という形で分けていたのを一本化しまして「人間の安全保障」という大きなテーマの中にサブテーマを3つつくるという形で研究会を実施することにしました。
 今年から、完全に企画書による公募形式ということで、5月ごろに「母子保健」「障害者支援」「災害復興」というテーマで企画書を公募しました結果、「障害者支援」と「災害復興」に関しては既に実施が決定しまして、今、準備を進めているところです。残りの「母子保健」につきましては、企画は出てきたんですけれども採用に至らなかったということで、このテーマは見送りになりまして、今、別のテーマ「保健分野における分野横断的取組」というテーマで現在公示を出していまして、企画を公募しているところです。
 続きまして「(2)NGO相談員」につきましては、これは複数の団体に相談員というのを当省から委託して、市民から、またほかのNGOからの質問等に答えていただいたり、出張して講演をしていただいたりというものですが、今年度は去年よりも1人増員になりまして、16団体に全部で17人の相談員を配置して、既に事業をしていただいております。 「(3)NGO専門調査員」は、何らかの専門性や経験を有する人材が欲しいという団体に専門員を派遣するというものですけれども、これも去年度より多分1人増えたと思いますけれども、11団体に11人を派遣して、7月1日付で契約をしております。
 最後に「(4)海外NGOとの共同セミナー」ですが、これはまだ準備中なんですけれども、去年、平和構築セミナーというのをやった中で危機管理についてのテーマを取り上げたところ、非常に評判も高く、ニーズが高いということがありましたので、今年は「NGO活動における危機管理」をテーマにして、11月の中旬から下旬ごろにセミナーを実施できればと思って、現在準備しているところです。
 今年度の事業につきましては、以上です。

○城守  引き続きまして、私の方からキャパシティー・ビルディングについて御提案をさせていただきたいと思います。
 提案をお話しする前に、ときどき皆様とお話をするときがあるんですが、タイムスケジュールは知らなかったというようなことをおっしゃる方もいらっしゃるので、外務省の予算の仕組みと、こういうことを議論する際のスケジュールを簡単にお話ししたいと思います。
 うちに限りませんけれども、政府の各省の予算というのは、例えば来年度、平成18年度の4月から始まる予算というのは、今、ほとんど終わっています。4月か5月に組み始めていて、8月にはこんな厚い書類を出しますから、7月ごろには全部細かく決まっていなければいけなくて、5月、6月ぐらいには、省の中で細かいことをみんなで議論しています。ですから、4月、5月になって来年何をしようかというのでは遅いんです。
 ですから、来年何かしたいと思うことは、多分今年中ぐらいまでにアイデアを固めて、色々な資料を集めて計算をしていって、来年の4月ぐらいにはちゃんと、ほとんど固まったアイデアがないといけない。それで省の中でまた予算の取り合いがありますから、こっちはだめ、こっちがいいという議論があって、それをやって8月に、省としてのこんな厚い予算書ができあがります。
 これから来年度、新しい予算を付けて何かこんなことをしたいというものについては、今ぐらいから議論をしていって、いろんな調査をして、資料を集めて、年末か来年の頭ぐらいまでには、ほとんどのことが見えていないと予算要求ができません。ですから、今、私の、この省でつくっている来年度予算というのは私はほとんど関われなかったわけです。です。これが予算の仕組みです。
 そうではなくて、予算は要らないんだけれども、中を変えてみようかというのがございますね。こうあった切り口をこっちに変えてみようか。予算は要らないけれども、いろいろ関係当局の御理解が要るというのがあります。これは、来年の4月にやるものであれば、やはり今年中の年末ぐらいまでに了解を得ないと、来年の4月にはできません。
 来年3月ごろにこれを変えたいと言っても、仕組みとしまして無理です。そうすると、12月までに関係当局のOKをもらうのであれば、その前に議論をして、いろいろ調べて、資料など納得できる材料を全部そろえていかないとできない。こういうサイクルがありますので、是非、皆様の念頭に止めておいていただいて、3月とか2月になってこうしたいといってもなかなかできないということは御了解いただければと思います。これはスケジュールという意味で申し上げました。
 それで、今日、私の方から2~3点御提案したいことがあるんですが、まず私の基本的な認識としまして、これまで私の諸先輩が、皆様方と一緒にキャパ・ビルということをやってきて、相当な予算を一緒に投じて尽力してきたわけですけれども、どのように効果があったんだろうか。もしくは、どこが効果がなかったんだろうか。それでは、将来、これから日本のNGOの皆様のキャパシティー・ビルディングをやるとなれば、どこが更に必要で、どこに力を注ぐべきなんだろうかという基本的な疑問があります。
 そういうことを考えながら、今、私どもが持っているキャパシティー・ビルディングの色々な制度を少し皆様とお知恵を借りながら相談していきたいと思っております。
 例えば、相談員17名、専門調査員11名を今年度配置しておりますけれども、これも今までは外部の方の意見も聞きながら大体こういう配分かな、こういうところかなとやってきているんですが、できれば来年度どこに配分するかということについては皆様のアイデアをいただけるよう、お誘いしたい。
 どういうふうに配分したら、日本のNGO全体のキャパシティー・ビルディングに役立つんだろうか。例えば相談員を配置するときに、勿論、相談員は市民の方々やこれから立ち上がろうというNGOの方々への相談ですから、地方のネットワークのNGOの方にお願いする。
 それと、環境とか教育とかの各分野のNGOの方にもお願いしていますけど、実は日本のNGOを育てるにはこういうところにこういうふうに配分すると最も効果的ではないかというような御意見をいただければ、実に私どもとしましても、次のNGO相談員の配置のときに非常によい配置ができるのではないか。いただいた御意見をそのまま入れるかどうかはわかりませんけれども、是非それらを尊重していきたいと思っておりますし、同じことが専門調査員にも言えると思います。
 今、11名を皆さんのNGOのところに配置しておりますけれど、それではどういう専門調査員を置いたら有効なんだろうか。例えば、よく私が聞きます広報が大事だというのであれば、広報担当専門調査員を広報を一生懸命やってくださるNGOに置く。そこに皆様のいろんなインプットなりを入れていって、NGO全体としての広報の発信力を強めていくということも可能かもしれませんし、もしくはHIVの専門調査員をこういうところに置いたら非常に有効かもしれない。そういうふうな皆様の御意見を是非いただければと思っております。
 私ども来年、予算がそのまま通ればという前提ですけれども、また十何人配置するわけですが、その前にこういうお話をさせていただいて、さっき申し上げましたように、多分こういうのは今年末、来年の頭ぐらいまでに大体のことを固めて、それで準備に入っていくという形になろうと思います。今すぐお答えいただく必要はありませんが、そういうようなことについても皆様でお話しいただいて、こういうのがいいとおっしゃっていただけると非常に幸甚ですというお誘いが1つです。
 2つ目は、透明性とアカウンタビリティー。これを向上するにはどうしたらいいんだろうか。これは今までも皆様が御尽力されてきて、いろんなセミナーとかがあったと思うんですが、それを更に向上させるためにはどうしたらいいか。
 例えば、相談員の方にしても、今回から皆様が相談されたことは、ちょっと経つとホームページに載るという形で透明性を高めてきていますけれども、一般的に日本のNGOの方々のそういうふうな能力を高めるにはどうしたらいいか。
 今、私、ここですぐこういうものをどうしようというのはありません。皆様にそういうふうなお誘いをして、皆様でお話しいただいて、こういうのがいいのではないかというアイデアを是非いただければ、それをまたベースに来年どのこととか、もしくはその先のことを考えていきたいと思いますので、皆様で御検討いただけるようにお願いします。
 もう一つは、勿論、開発を担当されておられるNGOも大事なNGOなんですが、ネットワーク型のNGOさんというのもまた大事ではないか。
 今、申し上げましたように、相談員の話とか、地方にある小さなNGOを育てるというような観点からしていきますと、やはりネットワーク型NGOさんをどのように御支援すれば全体として良いのか。勿論、今までもJANICさんとか名古屋さん、関西さん、それぞれ非常に御尽力いただいているわけですが、地方のNGOさんを育てるため、もしくは特定分野でもいいんですけれども、さっき申し上げました広報なら広報でもいいんですけれども、こういうことでネットワークNGOさんを支援していくと、更に全体的なNGOの力が高くなるというようなアイデアとか皆様のお知恵を拝借できればと思っております。
 これも一つの、討議項目ということにしまして、今後皆様のお話を聞ければと思っておりますので、よろしく御検討のほどをお願いいたします。

○熊野 ありがとうございました。何かあれば。
 どうぞ。

○山崎  オブザーバー参加のJANICの山崎です。どうも、いろいろありがとうございました。
 今、室長のおっしゃったNGOという括りは、恐らく日本全国のNGOというものを視野にされているのかなというふうに理解したんですが、それでよろしいわけですね。

○城守  はい。

○山崎  そうなってきますと、やはりそれぞれの地域地域で活動しているネットワーク型のNGOというのがありまして、そこが地域のNGOをうまくまとめていく、コーディネートしていく機能を持っています。そういった意味では、その辺のところも視野に入れて、今のお話をNGOとして検討すべきではないかと思います。
 具体的にはこの定期協議会の中ではJANIC、関西、名古屋が中心となっていますが、そういった地域地域のネットワークの方にもいろいろ意見を聞きながら、どういう形でやっていけば日本全国のNGO全体の多少なりとも底上げができるのかをNGO側で議論をしてまとめる必要があるのではないかと思います。その上で、具体的にこんな形はできます、こんな形で一緒にできませんかというような提案がいいのではと思っています。
 私はオブザーバーという形で今日参加しておりますので、あくまでもオブザーバーとしての意見ですが、できればJANIC、関西、名古屋辺りでいろいろ議論させていただく時間をいただき、「連携推進委員会」の方にその協議の結果を提案し、検討していただいたものを最終的に御提示できるような形になればいいと思うのですが、平田さん、そんな進め方でいかがですか。

○平田  ネットワークは、既に歴史的には横的に地域を基盤にして、そして外務省さんも随分、例えば開発教育の援助を地域で育てられたわけです。あれには随分統一されて、地域に既にかなり担い手になる方が点としてあるわけです。それはNGOであったり、学校の先生であったり、地域の国際協力に非常に関心がある自治体の方、みんながお互いにある程度育ってきているんですが、なかなかそれがネットとしてうまく機能しない。
 だから、九州あるいは広島、いろいろなところが既にいろいろあるわけですけれども、今もってまだ関西、名古屋、こういう特殊化した形にしかネットが非常に機能しないというようなことはよくないので、やはり今までの過去の積み重ねをもっと生かしていくやり方として、どうしたら更にこれから共同していけるかということをもう少しお話し合いして、現に生きている人がいるわけですから、横的に地域でやろうかという人もいるわけですから、それをもう少し底上げして、全国のネットワークの会議がこの間横浜でございました。ああいうのをもうちょっと外務省は力を入れていただいて、あそこでもっと結び付けるようにフォローアップしていただくとか、一緒になってそれを考えるというようなことはいかがでしょうかと思っております。

○戸代澤  1つ、後でNGO側に持ち帰って検討する前提として確認させていただきたいんですけれども、日本のNGOのキャパシティー・ビルディングを外務省がするというところにおいて、一体何を目的としているのか。

○城守  するというのはおこがましいですが、できる範囲でできることをお手伝いしましょうということです。しかも効果的なリソースは限られていますから、そのときには私から見ても、皆様から見ても一番効果的な形でやっていきたい、少しでもお助けできればいいということだと思います。

○戸代澤  というのは、ざっくばらんにお話しすると、例えば日本NGO支援無償に質の高いプロポーザルを出すNGOを増やすということを主たる目的としているのかとか、そうではなくて、そういうものは一切関係なくて、日本のNGOの全体的なファンドレイジングを含めた国民に受け入れられて、そういうカルチャーをつくっていくとか、そういうことまで含めたものを目的としているのか。その辺のバランスをお聞かせいただけますか。

○城守  そういうことは室内でも話したことはありませんけれども、それは難しいのではないでしょうか。
 私どもは、すべてのNGOさんをお助けする立場にあって、先ほど申し上げたように、アカウンタビリティーを高めてNGO支援無償のプロポーザルをしっかり書けるようなNGOさんも多くなっていってほしいですし、本当に地方の、これからNGOを立ち上げたいという方からかかってくる電話にもきちんとお答えして、現場で1人2人で立ち上がっていくNGOさんも支援しているわけです。だから、私は切れないです。

○戸代澤  それでは、全部を含めてということですね。

○城守  そういう意味で、ネットワークの方々も大事になってくるし、開発の方も大事になってくるし、その中で、ただ私どもの持っているリソースは少ないですから、いかに効果的に使っていけるか御相談したいという話です。

○戸代澤  わかりました。

○山口  今の室長のお話は、私たちにとっても非常に心強いんですけれども、ネットワークNGO支援の在り方に対してどうであろうかとか、あるいは現在の枠組みである研究会、相談員、専門調査員に関してどういうようなニーズがあるかということに対して御意見を聞いていただけると非常にありがたいと思うんですけれども、一方でNGO側から見て、キャパシティーを高めるためにはどうしたらいいかということが、すべてこの枠の中に収まるとも限らないわけです。ですから、私たちとしては、まず外務省さんが考えて、これがいいのではないかと言うだけではなくて、そもそもどういうものが必要かというところから一緒に議論ができればと思っています。
 既存の相談員とか専門調査員の改善というだけではなくて、もっと違う必要性があるかもしれないし、そういうところを、例えばタスクフォースをつくるですとか、そういう形で日本のNGOがキャパシティー・ビルディングするためには何が必要で、そのためには例えば5年間でどういう目標を立ててやっていくかということを一緒に議論をして、そこの中から外務省として、これは可能だというところを取っていただければと思います。これを基礎にしつつ、これ以外の分野においてもキャパシティー・ビルディングというのを是非御検討していただければと思います。

○城守  私どもが皆様のキャパシティー・ビルディングをやるなどというような、それこそおこがましいことは考えておりませず、私どもが、今、持っているリソースをどう効果的に使うかというお話をしただけです。当初に申し上げましたように、私は今までやってきたことがどれだけ有効だったのかという疑問を持っていますから、これはわかりませんが、可能であれば今年にでも、その評価といいますか、調査をしてみたいと思っています。
 してみなければわかりませんから、評価をしてみて、これは有効だったがこちらは国民の税金を使ってきて有効でなかったのだったら、私はそれは振り替えたい。有効であるのだったら伸ばしていきたい。おっしゃるように、新しいものが必要であれば考えていきたい。これらは私にとっては、開かれたオプションです。ただ、1回皆様と、どういうふうな調査になるのかわかりませんけれども、そういうことはしてみて、だめなものは切る、いいものは残すという考え方でいきたいと思っています。

○高橋(秀)  あと、今いただいている資料を拝見して、ネットワーク型NGOでも、とかく今まで国内のネットワークだけが論じられがちだったんですが、勿論、国際協力しているNGOでございますし、また国際協力をしているという観点から日本のネットワークNGOが海外のネットワークのNGOと連携したり、あるいはその他いろんな国とのネットワークを相当やっているところもありますので、このネットワークNGOの支援というのも、国内と海外両方の視点でというところはどうなんでしょうか。
 最近、やはり海外との連携をしている、そういう国際的な潮流の中で、日本のネットワークNGOに対してもっといろんな意味で連携しようという呼びかけもありますし、そういう視点は、今、ここに書かれているところに範疇として入るんでしょうか。

○城守  初めてお伺いして、私も答えにくいですけれども、このお話については、ここでやるだけではなくて、御関心があればそういう議論の場をつくってもいいと思いますし、細かなお話をしてもいいと思います。

○熊野 今の、キャパシティー・ビルディングの今後の在り方についての検討についてはいろいろ御意見が出ましたので、とりあえずそういったことで検討を始めたいということが発案されたということで、またそれぞれ一度検討して、担当者の間で連絡を取って、別途話し合っていくということにしたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)

○熊野 それでは、続きまして次の議題「(3)ODAとNGOの今後の連携パターンの提案」に入らせていただきたいと思います。これに関しましてはNGOの方から提案ということでお願いします。

○高松 それでは、私の方から簡略に説明をさせていただきます。
 政策的に連携していく体制を構築していくところで、まず最初のところでは、今まで「連携推進委員会」では、主にセクター別アプローチでどのように協調ができるのかということと、あるいは今、御議論いただいておりますが、NGO活動総体をどのようにキャパ・ビルしていくのかというところに、その2つを両輪にして集中議論を重ねて、それについては一定の成果を上げているということでございます。
 これについては、今後とも踏襲、継承されるべき方向性であろうという背景の認識に基づいて、もう一つ新しい方向性として、今までのアプローチというのは言わば外務省あるいはODAというものと、NGOの活動というものが別の入れ物の中にあるといった中で、どうやって連携できるんですかと。
 具体的に申し上げますと、ODAという観点で言えば、国としてのODA政策というのはODA政策でつくるんですけれども、それを実行していく中で、それではNGOとどう協調できるんですかというような論点で今まで語られてきたということがあると思います。そこをもう一つ進めて、その政策づくりのところにNGOの視点というものを取り込んでいただくことによって、言わば塀で隔てられていたところを同じ塀の中に入って、一つの明確なゴール、お互いに共有できるゴールを設定して、それを実現するためにはどのような連携のパターンがあり得るんでしょうか。そういうふうに連携していくためには、どういったスキーム上の調整が必要なのか。そういったアプローチで、連携というものを考えていく時期に来ているのではないかというのが、御提案でございます。
 実務的なところでは、今まで従来の全体の底上げを行うということであるとか、セクター別の協調、アプローチであるとかそういったことを踏襲しつつも、加えて具体的に意識できるアウトプット。それを実現するために、政府もNGOも協力して立ち向かうんだというような形の連携の方途を探るということが、より連携の形を実効的なものにしていくのではないかというふうに考えております。
 以上です。

○熊野 質問等、何かありますか。
 それでは、引き続き、その連携パターンについて、御説明をお願いします。

○戸代澤  それでは、そちらの方は私の方から説明いたします。
 今回は、今、高松さんが御説明してくださったようなアイデアもありますし、これからご紹介するようなアイデアもありますと、幾つかのパターンが新たな連携パターンとして考えられるのではないかということで、その中から2つを今日は提案させて頂きたいと思います。実現の可能性があるようでしたら、今後の議論につなげていきたいというような意味の頭出しです。
 経緯をお話しすると、ちょっと昔の話なんですけれども、ザンビアでワールド・ビジョンが実施していた農村開発の地域にたまたま日本の無償で井戸を200基つくるという事業が決まり、そのときにそれを請け負ったコンサルタントの会社の方からご連絡をいただいて、200基の井戸建設に関連してワールド・ビジョンで住民組織をつくったりして井戸のフォローアップやメンテナンス体制をつくる活動担ってくれないかというようなお話を受けました。私たちの活動地域では、既に住民組織もできていましたし、私たちが考えていた水資源開発プラントとも合致していたので、是非お手伝いをしましょうということで、そのコンサルの会社と一緒に仕事をしたという経験があります。
 2枚目以降に付けているストーリーは、参考として、そこの会社が、これはJICAさんの『フロンティア』という雑誌の方に寄稿しているもので、こういう形で現地のNGOと協力しましたという話が書かれています。
 この話は、たまたま私たちがそこで活動していたということを、そのコンサルの会社の方が見つけて下さり、東京のオフィスにコンタクトをしてきてくださったからこういう連携ができたということになったんですけれども、恐らくJICAにしても、外務省本体にしても、JBICにしても、このようなハコモノの支援をしているケースはたくさんあると思うんですけれども、その中でこういった形でNGOが強みとしているようなパッケージをハコモノの支援と一緒にやるようなケースも結構増えてきているのではないかと思います。JBICさんの第2メコン橋の事業で、HIV/エイズのコンポーネントが入ってきているとか、そういうのも同じ流れだと思います。
 今回のご提案は、このような案件があったときに、もうちょっと戦略的に日本のNGOを絡めさせるような仕掛けができないかというのが「可能性検討」というところに書かれていることです。
 いろいろなことが考えられると思いますが、普通はこういうハコモノ事業はいわゆるコンサルタント登録をしているような企業に仕事が落ちているわけでしょうから、そこと日本のNGOがどうやってパートナーシップを組んでいくのかということもあるでしょうし、あるいは発注・公募の仕方を工夫して、ハコモノコンポーネントとソフト部分を2本に分割するとか、どこまで可能なのかよくわかりませんけれども、そういうことの可能性も含めて、ODAが全体としてより効果的になるように議論させて頂きたいという御提案です。
 以上です。

○中野 1つコメントをしたいと思いますけれども、基本的には、今日はこれについて具体的に議論をする場ではなく、今日お話をお伺いして将来につなげていくというふうに我々は理解しています。
 最初に、高松さんから御提案のあった話ですけれども、これは政策づくりの中でNGOと外務省が、どういうふうに役割分担しながら具体的にどういうふうに進めていけるかということだと思うんですけれども、この問題について果たしてこの「連携推進委員会」で議論をするのがいいのか、または「ODA政策協議会」がございますので、そこで議論するのがいいのか。政策協議会を担当している国別一課等とも相談しつつ、どういうふうに考えていったらいいのかというのを部内で話をしたいと思います。
 もう一つ、戸代澤さんから言われた件ですけれども、連携について、基本的に我々としてNGOと連携していくということについては、ODA大綱や中期政策等で強調しているわけですから、連携の方向は今後とも変わらず、ますます強化されていくことになると思います。
 ただ、今、言われた話が果たして既存のスキームの範囲内でできるのか。または、新規のスキームでやらないといけないのか。これは民間援助支援室の所掌事項を超えた話でもありますので、経協局内の関係課等に話を持っていって、どういうような対応が可能かということについて話をつなげたいと思いますので、継続協議とさせていただきたいと思います。

○高橋(秀)  今、中野首席の御発言に対して、これは今までの「連携推進委員会」でも何度か話し合いをした点で確認されていると思うんですが、政策協議は政策協議でも、討議する政策的な事項があると思いますが「連携推進委員会」においても、やはり開発とか実際に現場レベル等に関わる政策的なことも話していこうという方向でもありますので、やはり一つの事例として柔軟に対応していただければありがたいと思っております。

○山口  それと、補足なんですけれども、特に高松さんがおっしゃったことを言葉を借りて言いますと、NGO支援無償は極端に言うと、NGOがこういう地域でこういうことをやりたい、これは意味があるからという、NGOが自分たちで考えて、それに対して外務省さんが見て、これは有効であろうというところに支援が来るということです。それではなくて、この高松さんの資料のペーパーの裏に付いているパワーポイントにも書かれていますけれども「例えば」という例で、一番下に「アフリカ支援に関するイニシアティブ」ですとか、そういう個別のイシューに対してテーマを立てて、それに関してやりたいというNGOが集まって、外務省と一緒にこの問題をどう実現していくか。その意味での政策レベルの協議をして、それでは具体的にプログラムとしてこういうものはどうかと提案をしていく。 今、「ODA政策協議会」の方で行われているものとちょっと意味合いが違うかと思うんですが、もう少しプロジェクトレベルといいますか、イシューをかなり絞った中で、しかも実際のプロジェクトの実施と直接ドッキングさせて、それはただ言いっぱなしにするのではなくて、この問題に関してコミットをする、自分たちでプロジェクトを実施するという意思があるところが実際に、例えばアフリカ支援だとかIDIイニシアティブとか、いろいろとそういった外務省が考えるような重要なテーマに関して協議し、しかも実施していくということだと思います。
 ですから、そういった意味では私たち「連携推進委員会」の方で議論できる内容ではないかというふうに思うんです。

○中野 結論的に言うと、いかに連携の実を上げるかということが一番大事だと思うんです。また今おっしゃられた政策の面でもいろいろレベルがあると思うんです。
 ですから、そこは硬直的に考える必要はなくて、もし政策協議会でやるべき話であれば政策協議会でやるべきだし、もっとより具体的に現場で連携していくということで「連携推進委員会」で取り上げるべき話であれば、こちらで議論をするべきだと思うんです。
 ただ、今日はまだお話の内容が若干抽象的なところがありますので、話の中身をもうちょっとお聞きしながら、具体的にどちらで議論をするかということについては、勿論NGO側の意見も十分配慮しつつ部内でも協議していきたいと思っています。

○五月女  先ほど、戸代澤さんがおっしゃっていて、私もザンビアにいていろんなところに絡んでいたんですけれども、給水事業とか医療とか、それで勿論、最初のインフラの整備とかハードをやる、物を建てるとかというのは一般無償でやっていて、ところがその後のフォローアップといいますか、あるいは住民参加の、それをいかに有効に使うかということについては、まさにNGOの出番になるということで、当時も、あるプロジェクトではケア・ザンビアが参加して、住民に対するいわゆる感染症といいますか、水の危険についての教育というのをやっていたんです。
 水をいかに有効に使うかということで、井戸をつくったり、掘ったり、それから給水事業を、ネットワークといいますか、給水のこういう大型プロジェクトでタンクを上の方に上げて、みんなが水道を使えるようにするというようなシステムは無償資金でやったんですけれども、それをほかの水を使わせないで、この水を是非使いなさいと。なぜかというと、水がきれいになれば感染症というのは激減するわけです。それが実際上、そのことを住民に理解させるためのプロジェクトというのはまさにNGOでできることで、そのときはケア・ザンビアがやっていたんですけれども、そういうことを考えると、前にも別の会議でもあなたがおっしゃっていたんですけれども、日本型のNGOでやるか、アメリカ型のNGOでやるかということで、例えば日本の場合だと、日本のNGOがイニシアティブを取って決定したプロジェクトを外務省の支援無償で支援するという形が日本で今やっている形です。
 アメリカの場合だと、プロジェクトを決めるイニシアティブを政府がUSAIDか何かが決めて、そのプロジェクトに参加したいというNGOが委託事業としてそれを受けるという形が、結果を重視する形のプロジェクトを執行するのはアメリカが多いわけです。
 だから、大型プロジェクトというのはどうしてもアメリカ型になるんですけれども、私はそれを合体した形で、先ほど言ったように、物によっては政府が決めてやったプロジェクトなんですけれども、その後のフォローアップとか、そういうものについてはNGOに是非やっていただきたいことというのは実際はいっぱいあるんです。保健の問題とか、教育の問題とか、水の問題とかがそうなんですけれども、そこについては、今、言ったアメリカ型に近いんですけれども、日本の政府が一度実施したハードとかそういうインフラ整備のプロジェクトに対して、あるいは大規模なプロジェクトに対して、そのフォローアップとしてNGOが参加していくという形を取ることによって連携がうまくいくのではないか。その場合には、あくまでも一番基になるものは政府の実施するプロジェクトなんですけれども、その後のフォローについてはかなりの部分が、NGOの主体性を持って行える部分ではないかと思うんです。
 だから、日本型でいくとすれば、各NGOの人たちがここのプロジェクトをこの国でこういうことをやりたい。だから、それを応援してくださいというので始まるわけです。ところが、今、挙げたアメリカ型はちょっと違うやり方を取っているので、そこをうまく合体した形のことでやれば、ODAとNGOの連携というのはうまくいくのではないか。二通りあっていいと思うんです。
 NGOがやっていくものを、主体性を持ってやっているのを応援するのと、それから政府がODAとしてやったものを、そのフォローアップといいますか、側面的なそういう面でのプロジェクト、周辺事業については、やはり政府がやることができない部分をNGOがそれを請け負ってやってもらえるという形でいけば、かなり効果が上がるようなプロジェクトの立て方ができるのではないかと思うんです。

○野田 大使の御発言にちょっと補足をさせていただきます。
 大使のご指摘の点はこの合同評価報告書でも論じられており日本型、アメリカ型という非常にわかりやすくカテゴライズをしていただきまして、ありがとうございました。
 大使の議論をふまえつつこの合同調査でやったことに関係して言いますと、もう一つ、大使がおっしゃった二つの型に加えて「第三の型」といいますか、「人間の安全保障」の観点に立った場合、プロジェクトの事前調査や立案の段階からNGOとODAが連携するという発展型が可能なのではないかというふうに思います。以下、簡単にご説明申し上げます。
 例えば今日いらっしゃっているJICAさんやJBICさんは「環境社会配慮ガイドライン」を出していらっしゃいます。これは一体何かといいますと、要は、ちょっと言葉は荒っぽいかもしれませんけれども、「ODAで変なものをつくってしまったら、それはなかなか後で変更するのは難しいので、事前の段階でなるべく住民のニーズや環境的社会的要因に配慮したものをつくろうではないか」という形でガイドラインができているわけです。
 今回の調査報告書でもそうでありまして、「人間の安全保障」の観点に立った場合に、本当に困難な人々の地域ニーズというのは、やはり事前の調査の段階でかなり丁寧に見ないとわからない。例えば、コンサルタント企業さんもそういう調査はされているんですけれども、先ほど、まさに戸代澤さんがおっしゃったように、それは申し訳ないんですけれども十分とはいえない。コンサルタント企業さんの1か月とか数週間の調査に比べれば、そこでずっと根を張ってやっているNGOの方がはるかに専門性も高いですし、知識も能力もあるわけです。
 ということは、大使がおっしゃられたODAプロジェクトのフォローアップだけではなくて、事前の企画、調査、立案の段階から、特に環境社会配慮に関してNGOがコミットしていくという別の形があるのではないか。それをやると、まさに「人間の安全保障」の観点に立ったときになかなか短期間の調査だけでは目が届かない、特に貧困な、困難な地域の人たちに対して目配せのきく案件ができますし、それによって、当然、大使がおっしゃったような形でのフォローアップもうまくいくというふうに考えられるのではないかと思います。
 特に、一般無償もそうなんですけれども、大使がかねがね御紹介されているように、我が国には「人間の安全保障無償」というスキームもありますので、そういったところを中心に、大使の御発言に踏まえて、第三の型、更に発展日本型とでもいいましょうか、事前の段階からNGOがコミットして、我が国全体としての援助効率をより持続的なものにしていくというアプローチもあるのではないかと思います。

○五月女  確かに、おっしゃるのが私は、今、理想だと思うんです。前から私が言っているオールジャパンの援助というのは、政府だけでやってもできないし、NGOだけでもできないというところでのどういうふうなドッキングができるかといえば、今おっしゃったように、今たまたま高松さんとか戸代澤さんのおっしゃっていたものにちょっとフォローしたんですけれども、いわゆるここに中心になるODAのプロジェクトがあって、その後のフォローについてのお話なんですけれども、今、野田さんがおっしゃった、まさにその前の段階から参加して、それでよりよい企画といいますか、プランニングとして、実施するのは、そこはまずODAでやってしまう。
 でき上がった後の、今度はそれの評価と監視とか、あるいは教育とかそういうものをその後で続けるということにすれば、一緒になってやるというのではないけれども、役割分担をして、前段階、後の段階で、真ん中の段階のいわゆるハード部分といいますか、あるいはインフラ部分というのはODAでやってしまう。
 その前にスタートする場合についての、今、言ったいろんな知見を持っていらっしゃる人たち、あるいはアフリカならアフリカに非常に詳しい情報を持っている人たちが参加して、これについてはこういうプロジェクトがいいだろうということを立ち上げると、確かにこれはいいと思うんです。特に、今年からアフリカ支援ということを強化しているのを一つの例とすれば、まさに2倍にしようと。2倍にしようと言っても、実は残念ながら元に戻るだけなんですけれども、それでもそういう方向が出ているということはいいことで、そういうときにこそまさに、アフリカに詳しいNGOの人たちがそこでプランニングの段階から参加してくれるということが実際に実現すれば、非常に効果的な支援ができると思うんです。

○野田 参考までにですけれども、私がJICAさんから聞いた話としまして、緒方総裁が国会の答弁の中で、人間安全保障の視点に立った援助というのはどういうものかということを説明されたときに、橋を架けるのも人間の安全保障の観点が重要だとおっしゃっていたということです。
 それはなぜかというと、巨大な橋が一般的に悪いというわけではないんですが同じお金を使って橋を架けるときに、まさに大使がおっしゃったように、例えばアフリカのある地域に橋を架けるといったときに、それではそこの住民がいったいどういう橋が欲しいのかということを考えるのは重要なことです。ひょっとしたら大きな橋を1本架けるよりも、小さい橋を何本か架けて住民のアクセス道路をつくった方が有効なのかもしれない。そのことによって、例えばワクチンの運搬であるだとか、教育へのアクセスが上がって人間の安全保障が実現されるかもしれない。 緒方さんがそういったことを例として出していらっしゃったというお話を今、思い出しまして、まさにずっと現地でやっているNGOは御協力できるのではないかと考えました。ありがとうございました。

○戸代澤  高松さんが発表された連携案への補足ですが、このような連携パターンでは、参加するNGO側もそれなりに覚悟を決めて取り組むという意思が最初から必要です。自己資金が必要になるのも、これは多分避けては通れないでしょうから、その辺の募金活動もやるということを、最初から覚悟を決めた上でNGOがきちんと手を挙げて、それで最初からそのプランニングから関わっていくという、がっちりしたチームづくりが必要です。その結果、確かにこういう連携の事業ができましたということにつながると思うんです。
 余り口だけ出して実際に活動しない、途中でいなくなってしまうようなNGOではなくて、それはお互いにNGO側も外務省側も、そのぐらいまでの覚悟をちゃんと決めて進める必要があるということです。

○中野 恐らくといいますか、断定できないんですけれども、例えば今のスキームでできることもあるかもわかりません。いろんなケースがあると思うので、今、言われた連携策というのは、一方で政策の議論等をするとともに、個別のケース・バイ・ケースで考えていくべき話もあると思うんです。そういう話というのは、実際にスキームを担当している課でどういう例があるのか考えてもらって、その上で具体性に基づいて議論した方がもっともっと話が深まっていくのではないかと思います。
 ですから、今日は具体的な議論まではできないと思いますので、とりあえず担当課の方につないで、何ができるのか、できないのか、その辺りについては、次回または別の会議等で協議をしていただきたいと思いますけれども、それでよろしいですか。

○高橋(秀)  今の議論のある意味での延長部分と同時に、先ほど日本のNGOのキャパシティー・ビルディングとも関係するんですけれども、こちらのキャパシティー・ビルディングの方は、先ほど、いわゆる予算を伴っての話ですが、一方は制度上、やはりここに日本のNGOがこう関わることができるのではないかなどの話は、基本的にはお金がかからないわけで、でもそこに、制度的に日本のNGOがここにこういう部分で期待されているというような、そういう情報の出し方によって、NGO自体が黙っていても日本のNGOのキャパ・ビルを後押しする一つの力になるわけです。
 ですから、そういうような持っていき方をすることによって、むしろ日本のNGOが自発的に、やはりここは自分で関わりたいと思えばキャパ・ビルを自分でするわけで、そちらの方が場合によっては非常に相乗効果が高い場合がある。
 同時に、先ほど五月女大使がおっしゃられたんですけれども、やはりいろんな組み合わせの仕方で、最初からきちっとある程度コンサルと一緒に関わることによって、いい意味での競争が起きます。同時に、コンサルにもNGOを見る目も一緒に仕事をしていく中で変わってくると思いますし、そういうようなプロセスが日本のNGOの能力を底上げしていく一つの環境づくりにもなると思います。
 あとは、本当に、私の限られた経験で言えば、やはりODAはODAのスキームがある。しかし、例えばプロジェクトの自立発展性を高めようという場合には、最初からそういうプロジェクトのデザインをしておかないと、フォローアップだけでやってくださいというのは無理ですから、最初からきちんと関わる必要があると考えます。そういう中で、お互いに情報交換をしながらプロジェクトをデザインしていくという方式も一つの選択肢としてあることが必要ではないかと思っています。

○中野 1点だけ付け加えさせて頂きます。この連携推進委員会というのは、民間援助支援室がやっているNGO支援という範囲内で議論を進めています。その意味で言うと、さっきの話に戻りますけれども、今、高橋さんの言われた話は、より大きなODA総体という話も関係する部分があると思われます。それではそういう話についてはどちらでやったらいいのかということも含めて、部内で議論したいと思っています。
 その結果、要するに連携推進委員会よりも、実際にマンデートを持った課長なり、その課の方が来たそういう機会に議論した方がより効果的な議論ができるということもあると思うんです。ですから、そこは何を議論するかによって、どちらの機会を使うかということについては我々としても考えていきたいと思っています。

○熊野 それでは、今の点につきましては、外務省の中でも関係先がいろいろ多岐にわたりますので、外務省の方で関係先等と相談して、今後どういうふうに話し合っていくかも含めて、また別途NGO側の方に伝えて検討を続けていくということでよろしいでしょうか。

○野田 1つだけお願いですけれども、いずれにしても、先ほど高橋さんもおっしゃったように、キャパシティー・ビルディングはNGO支援とも関係する事柄ですので、必要があればですけれども、こちらの委員会に担当の方に来ていただくとか、ないしは我々がでむいて一つの場で議論するとか、そこはあっちかこっちではなくてフレキシブルにやられた方がいいと思います。

○中野 連携推進委員会、ODA政策協議会それぞれの目的というのがあり、それに合わせて皆さん来られるわけですから、そこは勿論、ある程度柔軟にやっていきたいと思いますけれども、他方でその中身についても十分精査した上でどちら側にかけるべきかというのは判断していきたいと思っております。

○熊野 よろしいですか。
 それでは、もう一点、この連携に関連して、国際機関と日本NGOの今後の連携の可能性について中野首席からお願いします。

○中野 国際機関とNGOとの連携をどういうふうに進めていくかということで、お手元に国際機関との意見交換実績に関し、平成16年度、平成17年度に具体的にやった勉強会と意見交換会の例を挙げております。
 これまで、例えばダルフール関係勉強会とか、インド洋津波災害に関する国際機関駐日事務所とNGOの情報交換など、NGOと国際機関の連携に向けた意見交換会をやってきたわけですけれども、これまでやってきた国際機関との意見交換でいろいろ一般的な議論をやったわけですけれども、これからはより具体的に、例えば特定の国際機関、UNDPとか、WFPとか、UNHCRとか、そういう特定の機関を呼んで、関心のあるNGOの方たちに集まっていただいて、その機関とどういうふうに、より連携を深めていけるのかというような意見交換会、会合を近いうちに持っていきたいと思っているんです。
 さしずめ、我々が考えていますのが、まだ決まったわけではありませんけれども、UNDPとの意見交換会に関心のあるNGOさんに集まっていただいてやりたいと思っています。これは、まだ先方の方に伝えていませんけれども、具体的にまとまりましたらJANICさんとかJPFさん等を通じて、情報を流していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○戸代澤  数年前だったと思うんですけれども、色々な機関の方が、日本のNGO向けにスキームの説明会をやって下さったのですが、即効性があって効果的だと私が思ったのがアジ銀でした。実際にアジ銀本部のマニラの方からジャパンファンドの責任者の方がいらっしゃって、企画中の案件のリストを持っていらっしゃったんです。セミナー終了後は各NGOと個別のコンサルテーションを持ち、どこの国だったら連携の可能性があるのですかという質問を一番最初にしてくれたのです。
 いつまで経ってもスキームのお話をしているとそれで終わりということになってしまうでしょうから、具体的な予定案件を携えてセミナーをやっていただけると、結果がついてくるのではないでしょうか。

○中野 これまでは、いろんな関心を持ったNGOさんもいるし、団体もたくさんいたわけで、どうしても総花的な議論が多かったきらいがありますが、そういうことを踏まえて、より関心をピンポイントしてぶつけられるように、特定の国際機関に来ていただいて忌憚のない話し合いをするということが趣旨です。今、言われたような話も出るかもわからないですし、そういうものを用意してもらいたいということも言えるかもしれないと思います。
 いずれにせよ、連携を一歩進められるような国際機関との意見交換会を今後持っていきたいという趣旨なんです。

○高橋(秀)  是非、これはやはりNGOのキャパシティー・ビルディングの一環としても進めていただきたいと思います。私自身が何回か国際機関との会合に出て、実際に結果として成功したケース、だめになったケースですけれども、話を具体的に詰めていくと、NGOはいわゆる単なるサブコントラクターであったとか、単に使われるためだけとか、ある部分ではエクスキューティング・エージェンシー(執行機関)と期待されているとかそういう重要な情報が後になって出てくる場合があるんです。
 最初はパートナーシップという言葉だけで人は来るんですけれども、やはり国際機関によってはNGOに対する組み方が結構ばらばらなところもあります。ですから、どんなにNGOが頑張っても、結局、国際機関の名前だけを冠してやらないとだめであるとか、結構そういうマンデートがあったりしますので、やはりそういうところはNGOにとって非常に大きな部分でもあります。その辺、外務省の側でもきちんとその関連する条件を把握して欲しいと思います。それらの事をNGO側から聞くというよりも、むしろ外務省の方でも、日本のNGOの主体性とかキャパ・ビルとか、そういうところの視点を踏まえたようなアドバイスも側面としていただければありがたいと思います。

○熊野 それでは、最後の議題ですが「(4)ODAとNGOの広報協力の検討」ということで、これはNGO側の方からの提案ということで、発言の方をお願いいたします。

○高橋(秀)  ODAとNGOの広報協力という面でございますが、今までも外務省の日本NGO支援無償を主体にしてNGO側がいろんな案件を実施しているわけですが、NGO側の関心としましては、我々の一般的な認識の一つなんですけれども、外務省とNGOの関係者のみが知る状況ではなく、納税者が払った税金がODAという形で、それがNGOに使われてこうですということをもっと広く一般に知ってもらうということがより国際協力に対する国民の意識の底上げにもなるし、同時にODAとNGOとの連携ということがいかにいろんな意義があり側面を持っているかということを、やはり外務省の側でももっと正面から広報をしていただきたい。それから、勿論それがNGOの側からも広報をするということが必要ではないか。
 やはり、これをしない限りは我々NGOがどんなに頑張っても限界があります。同時に、最近はまたODAを増額と言いますけれども、やはりNGOとODAの連携というものがより広く認知されることは、NGOの側にとってもやはり中長期的にはどうしても国際協力に対する国民の理解の底上げになります。国民が払った税金がどんなふうに使われているかということは、NGOの視点からも情報が発信されるということは非常に効果が大きいと思います。この広報協力というものをもっと重視して、日本のマスコミを含めてやっていきたいと思っている点でございます。
 当然、ここには個別のNGOも関わりますけれども、同時にネットワーク型NGOの果たす役割も大きいかな。そのように感じております。

○中野 一言コメントさせていただきます。
 お手元に「NGOとの連携事例の広報について」という紙をお配りしていますけれども、この中で外務省として持っている広報ツールで、勿論、外務省としても当然限られたものしか持っていないので、その中でやらざるを得ないわけですけれども、例えば我々が持っているものとして「(1)外務省ODAホームページ」「(2)ODAメールマガジン」「(3)国際協力プラザ紙」「(4)国際協力プラザホームページ」「(5)ODA広報テレビ」「(6)国際協力フェスティバル」等がございます。このうち、「(5)ODA広報テレビ」については、昨年、ODAとNGOのパートナーシップに関し、カンボジアとかバングラデシュで具体的なNGOとの連携の具体例を海外取材をしてテレビ放送した例もございます。
 外務省の方としても、今、高橋さんが言われたように、ODAとNGOの連携について広く納税者に知っていただくということは極めて有意義だと考えておりますし、こういう広報ツールを通じてできる範囲でやりたいと思っています。
 他方で、広報というのはやはりインターアクションという面がありますので、これは外務省だけでできる話ではないですし、外務省とNGOとが双方で努力し合ってやっていくという面があると思うんです。ですから、まずNGOとして何ができるのか。外務省として何ができるのか。外務省とNGOが双方で協力し合って何ができるのか。そういう観点から考えていくべきだと思うんです。
 そういうことで、今後何ができるのかについては、また別途機会があれば具体的な事例を持って協議していきたいと思いますけれども、我々の考え方としては、NGOが一方的に外務省に要請するだけではなくて、NGO側として何ができるかということを考え、双方で協力してやっていくということが非常に重要であると思っています。

○野田 どうもありがとうございます。まさにおっしゃるとおり、インターアクションだと思うんです。
 この別紙に付けていただいたのは、当然外務省さんの資料ですので、外務省さんの広報媒体案ということなんですけれども、私が申し上げたいポイントは2つです。
 第1に、NGOがもつ様々な広報メディアについて。国際協力の広報に関するインターアクションということですから、当然NGOもやらなければいけないし、既にNGOはさまざまな媒体をもち、取り組んでいるわけです。例えばニュースレターやホームページもありますし、イベントとしては東京での国際協力フェスティバルをはじめ地域による取り組み、例えば名古屋ですと地球市民フェスティバルという形でやっております。また、NGOによっては、プロモーションビデオも作成しています。したがいまして、国際協力の広報におけるNGOと政府のインターアクションとしましては、外務省さんのメディアを使うだけではなくて、NGOのメディアも是非御活用いただきたい。また、キャパシティー・ビルディングの観点からいえばこうしたNGOのメディアをつよくするために外務省さんの御協力もいただきたいというふうに考えております。
 第2に、NGOならではの高い専門性を持つメディアというのもあると思うんです。その中で日本の市民に直接触れ合うメディアとして、私は開発教育の役割は大きいのではないかと思います。
 御存じのとおり、ODA大綱にも開発教育の重要性というのは書かれておりますし、現実に、例えば私ども名古屋NGOセンターの場合、中部地域においては政府機関とかなり連携して開発教育をやっております。具体的にはJICAの中部さんと協力をしまして、あと自治体として、愛知県、名古屋市等も巻き込みまして、愛知県の小中高、養護学校全部に対して開発教育、国際理解教育のニーズ調査をやりました。結果、かなりの学校が既に何らかの形で開発教育をやっており、かつ専門的なノウハウや情報といった部分で政府機関ないしは我々NGOのノウハウを必要としているという客観的なデータがございます。
 こういった形で、既に学校現場で国際理解・開発教育が取り入れられており、特に総合的学習が始まってから、ニーズが高まっているわけですから、そういったチャンスを我々国際協力を推進する者は逃す手はない。ここは是非、一緒に御協力をさせていただければと存じます。開発教育というのは歴史的に見てもNGOが発展させてきたものであり、外務省さんが自らされるというのは難しいと思いますが、私たちNGOは既にノウハウもございますので連携が可能です。例えば、中部地区ではNGOとJICAさん、自治体が協力して「国際理解教育セミナー」を開催しております。また、JICAさんの開発教育の研修にNGOがお手伝いする事は日常的になされています。逆に、JICAさんがおつくりになったフォトランゲージという教材があるのですけれども、それを我々が使って、ODAではこうなんだということを我々NGOが学校でやっているケースもあります。また、NGOがつくった教材をJICAの研修やサーモンキャンペーンで御利用いただくことも可能です。このように様々な形での連携も進んでおりますので、是非既存のメディアに加えまして、NGO自身が持っているメディアの御活用および御支援、それにプラスして、NGOが高い専門性を有する開発教育を利用しての広報とその支援ということをお願いできればと思います。
 さらに開発教育に関して付け加えれば、今日は広報ということでお話をしていますけれども、もう一つ、ODA大綱に書かれております国民参加型協力を推進する上でも非常に意味がある。なぜかといえば、小・中・高の若い子どもたちないしはその保護者に対して国際協力の重要性を伝えることは、とりもなおさず将来のODAの担い手ないしはNGOの担い手を育てることになりますので、更に広い効果が期待できるのではないかと思います。国際協力への国民参加についても御協力、御支援も一緒にインターアクションにやっていければと思います。

○五月女  今おっしゃったように、まさに私も、今、大学で教えているんですけれども、これは単位まで出しているんですけれども、そのほかに、やはり依頼を受けた場合には私も、それこそ出張していろんな大学とか、大学ばかりではないんです。高等学校の文化祭とか何かも頼まれて行ったりするんです。ですから、多いときで月に4~5回は出ていっています。
 私も、NGOの方々もそういうチャンスはたくさんおありだと思うんです。ですから、大学に限らないで、高等学校も含めてODAの重要性とか、あるいはNGO活動の重要性ということがわかる年代になってきているところでは、ある意味では積極的に各学校にそういう機会を設けてもらうような依頼をしてもいいのではないかという気がするんです。 要するに、国際貢献におけるNGOの役割といいますか、そういうことについての裾野を広げるという意味で、本当はメディアの協力を得るのが勿論一番いいし、メディアばかりではなくて直接語りかけるというのは大事だと思うんです。
 今は、やはり若い人たちに理解してもらえるように育てていかないと、なかなか裾野が広がらないと思うんです。だから、今おっしゃったような開発教育というのはやはり大事であって、それはやはり、高等学校辺りからどんどん進めていく。その場合に、勿論役所の人たちも積極的に出かけていってお話しするということも今はやっていますけれども、更に皆様方もそういう面では各地域で、ネットワークNGOの方は特にその辺で頑張っていただいてということがよろしいのではないかという気がします。

○野田 ちょっと補足で、今、愛知県で進んでいる事例を紹介したいと思います。
 大使、本当にありがとうございます。まさに今、大使がおっしゃっていただいたことを、愛知県では、うちの名古屋NGOセンターが中心になって進めております。
 1つは、さっきも申し上げましたけれども、愛知県内の、大学は入れなかったんですけれども、すべての学校のニーズ調査をやりました。ですから、今、愛知県内で一体どういう開発教育のニーズがあるかというデータは、我々NGOとJICAさんと自治体がすべて共有して持っているという状況になっています。
 それにプラスして、まさに大使がおっしゃったように、それでは学校に対してどう働きかけるのかということで、昨年から国際開発教育のアクションプラン研究会というのを立ち上げまして、NGOもODAも一緒になって、具体的に、ニーズがあるところに対してどのようにNGOもODAも開発教育をして、国際開発協力に対する理解を深め、人を育てていくかというプランを練っているところです。
 これはたまたま、愛知県で我々ネットワークNGOとJICAさんがうまく連携ができた事例なんですけれども、是非こういったことはJICAさんだけではなくて、JBICさん、そして外務省さんも含めたすべてのODA機関と私たちはやりたいと考えておりますし、また地域も愛知県だけではなくて、中部地域全体でやりたいと思いますし、全国各地域で様々な取り組みがやられております。
 もう一点だけ、私、まさに大使がおっしゃったことにすごく賛成できるのは、広報と言うとついついマス・メディアとかというふうに考えてしまいがちですが、人と人の直接的なつながりや生の声というのはもっと重要であり、インパクトのあるものだと思います。 いまさらながらで恐縮なんですが、私、学生のときに五月女大使の講演会を聞いたときの記憶というのは結構いまだに痛烈に残っていまして、やはりフェース・ツー・フェースで語りかけられるというのは非常に大きいわけです。それがなぜか時はめぐって、今こうやって同じテーブルでお話をさせていただくのは非常に僭越であり、恐れ多い気がします。日本の援助は、「顔の見える援助」というふうに言っているわけですから、是非、広報活動の方も「顔の見えるPR、顔の見える広報活動」をフェース・ツー・フェースで講演会、開発教育等でできればというふうに考えておりますので、是非一緒にやっていただければというふうに思います。
 また、その際に重要なのは、先ほど申し上げましたけれども、NGOは高い専門性やノウハウとか地道な経験はある。しかし、より大きな取り組み例えばさっき言いましたけれども、全県的なところで調査をやるとかというふうになると、正直申し上げると、NGOのお金だけではできないんです。それでJICAさんと一緒にやらせてもらってお互いが長所を出してうまく連携できている。あと現実問題として、特に地域のNGOというのは小さいところが多いですから、学校さんに行くとなると、専従スタッフが何人もいるところはいるんですけれども、そうではないところは仕事を休んで行かざるを得ない。そうすると、まともに生活の問題に関わってきます。そこで例えばNGOが行ったとしても、そこではODAさんの教材も使うこともできますし、日本全体の国際協力として開発教育をやるという観点から費用の部分でも是非御協力を賜れればというふうに考えております。

○平田  何か名古屋だけが動いているようで。

○野田 すみません、あくまで中部地域での事例です。関西もやっていることはよく知っております。

○平田  ワン・ワールド・フェスティバルです。五月女さんに来ていただいたんですが、あれはまさに横的に市民参加型で、JICAもJBICも外務省も、それから企業も組合も大学もみんな協力して開発教育をしているんです。それで2日間かけて、このための、私たちNGOが本当にみんな集まって、90ぐらいのNGOが参加して、それで市民に呼びかける。
 だから、東京の国際協力フェスティバルにかなりの費用をお使いのようですから、関西にも少し回してください。あれだけのものをやっているんですから、それだけお願いしておきます。

○中野 1点だけ補足させてください。
 広報の仕方については、先程出された例えば新聞やテレビにでかでかと出すといった方法は、これは大変な金がかかるので、勿論難しい、予算がなければできない面があるんですけれども、たださっき野田さんから言われたようなことは、いろんな工夫の仕方によってできるので、むしろお互いに知恵を出し合って、そこで連携をしていく、まさに連携をどのように進めていくかという話でもあると思います。
 例えば、我々は相談員連絡会議というのをやっているんですが、例えば、そういうものを地方でやって、その際に地方の、例えばいろんなシンポジウムなり、いろんなフェスティバル等とリンクさせることも可能ではないかと思います。いろんなアイデアがあると思うんです。ですから、そういうアイデアを、この場でもいいですし、また別の機会でもいいので、お互いに出し合ってできるものをやっていくというのが一番具体性に基づいたやり方ではないかと思います。
 ということで、この点については今後とも継続的に協議、検討していきたいと思っています。

○戸代澤  もう一つだけ追加なんですけれども、欧米の場合はテレビや新聞や、そういうメディアがただで枠を提供するというのが普通の世の中になっているわけです。日本も早くそうなってほしいとずっと思っているわけなんですが、そのようなことを交渉して、CSR活動として、新聞社やテレビ会社もそろそろそういう時期ではないですかというようなプレッシャーをかけていくとか、そういうふうなことはお考えになりませんか。

○中野 NGOさんの方がずっと力を持っているのではないですか。

○山崎  ケーブルテレビでは、よく番組枠が空いていますので、基本的にただでやってくれるんのですけれども、ただどれだけの人が見るかというのはあります。

○戸代澤  キー局で。

○熊野 今、この広報協力についてはいろいろと事例も御紹介いただきましたし、またいろいろな事例なりアイデアがたくさんあると思いますので、これについても引き続き検討を進めていくということに、それではよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○熊野 済みません、大分時間が押してまいりまして、それでは、協議事項については以上で、大方のものが引き続き検討を続けていくということになりましたので、また連絡を取りつつ、どのような形で検討を進めていくかも含めて話し合っていきたいと思います。 次回の協議会なんですが、ちなみに去年の第2回目というのは11月5日に名古屋のNGOセンターさんの方で開催をしていますが、今年についても10月の終わりぐらいかのタイミングでということになると思うんですが、何か御意見等、またこの辺りはちょっと都合が悪いのではないかというようなことがもしあらかじめわかっていれば、お聞かせいただければと思います。

○野田 名古屋NGOセンターとしましては、本年度もホストさせていただく用意がございますので、遠路恐れ入りますが、是非お越しいただいて、また会議が終わったら交流会を開いて名物の手羽先で盛り上がりたいと思います。
 11月ということで検討させていただいたのですけれども、11月というと前半がいろいろありますので、18日ないしは25日はいかがですか。それが遅いということでしたら、もう一回持ち帰って10月の末で検討します。

○中野 第1プライオリティーは、10月の終わり辺り。今、大使に聞きましたら、大使はウィークデーでという話なので。

○野田 それでは、テンタティブに21日、28日とかそういうことですか。
 名古屋NGOセンターとしては、金曜日がありがたいんです。皆さんにとっても多分、休日前の金曜日がゆっくり出来ていいと思いますがいかがでしょうか。

○山口  10月28日は、JANICの理事会があるので。

○野田 28日ですね。ということで、28日はいけないそうですので、候補で10月21日、11月18日。11月25日は遅過ぎますね。

○熊野 11月の後半ぐらいになりますと、予算の関係の作業が大詰めになってきますので。

○野田 わかりました。それでは、とりあえず10月21日で頑張って調整して、それで無理だったら11月18日もあるかなということで、また御連絡をさせていただきます。

○高橋(秀)  10月21日ですか。

○野田 28日は、JANICさんの理事会ですので。

○熊野 一応、第1候補が10月21日の金曜日ということで、それがだめな場合は。

○高橋(秀)  他の団体の御都合はいかがなんでしょうか。それをお伺いしないと。
 10月21日金曜日ですが、どうでしょうか。

○野田 もう一回とりまとめ直して、御相談を申し上げます。

○中野 あとは、事務的にまた調整しましょう。

○野田 せっかく名古屋に来ていただくのに10月だと愛知万博が終わっていて恐縮なんですけれどもよろしくお願いします。

○熊野 それでは、平成17年度の第1回「連携推進委員会」は以上で閉会させていただきたいと思います。どうも皆さん、お疲れ様でした。

以上

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