※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations)
日時: | 2004年11月5日(金曜日)15時00分~18時30分 |
場所: | 名古屋NGOセンター内会議室 |
次第: |
1.開会の挨拶(山下名古屋NGOセンター理事長) 2.五月女NGO担当大使挨拶 3.参加者自己紹介 4.報告事項 (1)NGO支援における定率支援についてのNGOと外務省の非公式勉強会の 実施状況及び概要の報告 (2)五月女大使より追加報告(アフガニスタンにおける安全情報) 5.協議事項:NGO活動環境整備支援事業について (1)NGO相談員 (2)NGO専門調査員 (3)分野別・国別NGO研究会 (4)その他 6.閉会挨拶(五月女NGO担当大使) 7.次回日程 |
1.山下名古屋NGOセンター理事長挨拶
山下理事長より挨拶があった。主な内容は以下のとおり。 首都圏以外の地域で本委員会を初めて行えることを大変うれしく思っている。本日の議題の「NGOの環境整備」という面での本格的な議論は初めてである。本委員会は平成8年からスタートし、当時五月女大使が民間援助支援室の室長をやっている頃にNGOへの呼びかけがあり、連携を強めることによってお互いの役割を尊重しながら国際協力を深めようとしてきた経緯がある。本日の会合はNGOの環境整備について様々な問題、障害、そういうものを一つ一つ克服しながら進んでいく事を目標とし、積極的、建設的な討議により成果をあげられることを期待している。 2.五月女NGO担当大使挨拶 外務省・五月女NGO担当大使より挨拶があった。主な内容は以下のとおり。 本日は初めての地方開催であり、名古屋で開催できることを大変うれしく思っている。外務省は特に海外で活躍するNGOの方を支援しているが、日本のNGOは国の内外に関わらず災害等があれば海外でのノウハウを生かし被災者を助けている。しかし、被災者に対する義援金等はあるが、救援を行っているNGOに対する支援がないため、NGO活動はNGO自体が強力にならないと良い成果を挙げられない。それには政府、NGO、自治体、企業、大学、マスメディア等が互いに連携することで良い結果がでると思っている。 また、本年度は日本のコロンボプラン加盟50周年であり、大きな節目の年にもう一度NGOとの連携について、どうやったら立派な成果が挙げられるか見直す必要がある。本日は活発な議論が行われることを期待している。 3.参加者自己紹介 参加者がそれぞれ自己紹介を行った。 4.報告事項 (1)NGO支援における定率支援についてのNGOと外務省の非公式勉強会の実施状況及び概要の報告 外務省民間援助支援室より定率支援についての報告があった。内容は以下のとおり。 定率支援についてはまだ結論は出ておらず、現在各方面との協議を行っている途中である。また、NGO側からの要望により今まで4回の勉強会を行ってきた。定率支援はいわゆる委託業務と支援という性格上の違いがあり、色々な制度面での制約の有無、資金の適正使用の確認、国際機関での支援策を参考にし、間接費等の支援のあり方について議論をしている。NGOとの勉強会の第1回は8月4日に行い、NGO側より国際機関における管理費支援の実例について紹介があった。第2回は8月27日に行い、国際機関からの定率支援の紹介、各NGOにおける経費の区分・方法の紹介等の議論を行った。第3回は9月30日に行われ、本部プロジェクト実施経費のほか、直接費として扱うべき費目、間接経費の中で想定すべき費目は何か議論を行った。第4回は10月28日に行い、間接経費として含めるべき費目のリストアップ、プロジェクトとの関連性の立証方法について議論し、NGO支援無償における実際に要した管理費の割合の実績についてNGOより報告を受けた。次の勉強会は11月25日に行う予定である。 本件についてNGO側より補足説明があった。主な内容は以下のとおり。 (NGO) これまでNGO側より外務省に対し、定率支援の要望を出しているが、NGO側はただ支援をして欲しいと言っているだけではなく、現在多くのNGOが外務省の日本NGO支援無償を活用している中での改善要請として出している。また、外務省にはNGOを育てるためのスキームがたくさんあるが、ODA全体から見た場合NGOに対する支援が1%に達していないのが現状である。外務省とNGOがどういった連携をしたらより高い効果をあげられるかについて議論を進めている途中であるが、一定の時期は日本のNGOを育てるための支援をして欲しい。欧米ではNGOを育てることはたんにNGO/市民社会だけではなく、市民参加型の社会をつくる等の面から社会全体としてもプラスになるという成果が出ている。同様にNGOが育つことは日本全体にとってもプラスになると考える。その意味でNGO支援無償を如何に使いやすくするかは重要であり、その議論の中で定率支援がでてきている。多くの国際機関では既に定率支援を行っており、NGO側はそれについての比較調査、各NGOの財務分析を行い、外務省側に伝えているところである。 (NGO) 勉強会は過去4回行われ互いに一つの目標に向かい、いい形で進んでいると思っている。この互いの知見を持ち寄り、一つの目標に向かっていくという姿勢は連携推進委員会でも望まれている事であり、他の政策的課題に立ち向かって行くために同様のアプローチを重ねて頂きたいと思っている。 (2)五月女大使より追加報告 五月女NGO担当大使よりアフガニスタンでの安全情報について報告を行った。概要は以下のとおり。 先程、危機管理官より連絡があり、11月4日に米国務省が発表した情報によると、パキスタンで活動している過激派がNGOに扮してアフガニスタンへ潜入し、欧米NGOを誘拐する計画を持っているとのことであった。一般的にはアフガニスタンでの脅威は続いており、外国人を誘拐する可能性が増大しているため、事業を実施する際にアフガニスタンに入ることは控えて欲しい。カブール、ジャララバードへは渡航延期が発出され、その他の地域には退避勧告を発出しているので必ず守って頂きたい。既にアフガニスタン国内で活動している邦人スタッフについては日々の活動に際し、細心の注意を払うようお願いしたい。また、未確認情報だが、現地のNGOスタッフの中に過激派が潜入している可能性があり、団体の秘密事項等は話さないほうが良いと考えている。 (NGO) 今の注意喚起に関して、欧米の多くの国際機関や有名なNGOは安全マニュアルを持っており、NGOはその研修会等にも参加している。外務省も先進国のNGOを習い研修会等の機会を設けて頂きたい。 (外務省) 外務省においても危機管理セミナーを開催していきたいと考えており、11月16日~18日に平和構築分野でのセミナーを開催することとなっている。セミナーにはノルウェーのNGOやアメリカ人を招聘している。またこれからもNGOからのニーズに沿ったセミナーや研修会を開催していく所存である。 5.協議事項:NGO活動環境整備支援事業 城所民間援助支援室長より活動環境整備について発言があった。主な内容は以下のとおり。 <<NGO相談員制度>> NGO相談員の数は年々減少しているが、対前年比を見て人数を増やして欲しい旨財務省に要求をしている。選定について今までは外務省のみで行っていたが、アカウンタビリティの観点から外部より選定委員を3名入れて選考し、第2次選考をお願いしている。外務省は第1次選考である程度の数に絞るが、第2次選考おいては選定委員に対し基本的な説明をするのみとしている。また、本年度より選定委員より地域バランスにも配慮すべしとの意見もあり、四国にも相談員を配置している。 (専門調査員制度) 本スキームは基本的には組織力の弱いNGOを支えるために作られたものであり、公平性を保つために、一定以上の資金を持つNGOには受入を遠慮してもらうこともある。 報告書については、内容的にNGO内部に関することもあるので、その点を考慮しHPに載せていないが、今後はNGOの了解を得た上で公開という前提で作っていくつもりである。 これに対し、NGO側より以下の質問があった。主な内容及び回答は以下のとおり。 (NGO) 外務省側へ「こうして欲しい」という要望を出せば、活動環境整備は柔軟に対応できるようなスキームであるのか?また、NGO支援予算は増加傾向にあるが、内容がよければ将来的にもっと増えるのか? (外務省) 環境整備についてはNGOからの要望などを聞きながら柔軟に対応していきたいと考えている。予算を増やしていくためには成果を見せる必要がある。また、今年度より地方公共団体補助金が廃止されたが、県によっては補助金廃止後も国際協力を行いたいと言う所もあるので、来年1月に東京にて地方自治体等との間で今後如何なる協力が可能かについて協議を行う予定である。 (NGO) 環境整備は既に何年も行っているが、関われる団体は限られているのではないか。もっと予算が増えないのは何故か?また、外務省で行っているキャパシティビルディング事業予算は日本全体のNGOにとって十分な額であるのか? (外務省) 現在、日本の景気は落ち込んでおり、環境整備の予算の維持を行うだけでも難しい。しかしながら、外務省にはNGO事業補助金等の他のスキームもあるのでそれらも是非活用して頂きたい。 (NGO) 環境整備は平成11年以降6年間行い実績を積んできたと思うが、その実績を踏まえた上でこれから、どういった形で協力・建設的議論ができるのか?<ここでNGOより資料として今回の定期協議のために各ネットワークNGOを通じて作成した「NGO活動環境整備支援事業に関するアンケート」結果を提示、以下4点の要望があげられた。>
地域バランスについては、外務省側も配慮・努力していく所存である。地方出張も積極的にやっていきたい。情報啓発についてはまだ検討すべき点があるので、今後とも努力して行きたい。既存のスキームとの協調については、JICAや地方との連携も含め協議中でありメリハリをつけて行っていきたい。 (五月女NGO担当大使) ODA全体の予算は年々減っているが、顔が見えるNGO向けの予算は年々増えている。NGO向けの予算は国際社会に比べると貧弱であるが、その予算が増えても使うことが出来なければ意味がないので、如何にNGO自身が体力をつけ、強化していくかが問題であり、この後はそういった部分での建設的議論が行われる事を期待している。 <10分間の小休止> NGO側より相談員制度への質問及び要望があった。主な内容は以下のとおり。 (NGO) 相談員は1年間ではなく少なくとも2・3年以上の期間で契約すべきである。また、外務省において相談員の質の向上ため研修会や資格制度を設けてはどうか。 (外務省) 契約については会計法上単年度契約となっているため、1年度を超える契約は難しい。 (NGO) 資格制度をつくり合格者のみを採用することは出来ないのか? (外務省) 相談員は能力のある団体に積極的に委託しているが、先に研修や試験を行い、合格した者のみを採用するということは大変難しく、外務省がそのようなことを行って良いか疑問がある。現行の制度では地域による差異や相談員自身の能力のばらつきがあるので、その問題を払拭するために本年9月に相談員全員を東京に集め、情報交換のための連絡会を行った。また、相談員同士での連携も必要と考える。 (NGO) 相談員を選考する際に、ある一定の資質を保つことは必要であり、資格制度や研修は最終目標で有り得ると思う。しかし、実際問題として今何が出来るのかを見た場合、求める人材を選定する際にもう一手間かけ、個別面接や1日研修を行ってはどうかと考える。 また、地域バランスを考えた場合、各都道府県ごとに人数枠を決め、それを募集要項に盛り込むことが出来るのではないか? (NGO) 単年度主義について、2年目には前年度と同じ団体が申請することは出来ないのか?また、運用面で、1年目が終わったら2年目も契約するという確約が出来ないのか? (外務省) 相談員を選考するにあたり、前年と同じ団体を先に選出してしまうことは不公平である。しかし、結果として同じ団体が3・4年間相談員をやっている実例はある。またNGOの底上げを図るのであれば、同じ地域でいくつかのNGOに順番に委託し、地域全体の底上げになるよう検討する余地はある。地域バランスについては、まだ検討すべ貴店があると思うが、地域の活性化についても考えなければいけないと思う。 (NGO) 現行の相談員制度では実質、約半年しか活動することが出来ない為、仕組みやノウハウを勉強した時には年度が終わってしまう。複数年単位で契約をすることは難しいのかも知れないが、申請は年度毎でも構わないので、2~3年の上限をつけて継続して欲しい。 (JICA) 参考であるが、JICAには国際協力推進制度というスキームが在り、そこでは海外青年協力隊のOBやOGが単年度契約ではあるが、運用面で通常3年間の委嘱業務を行っている。 (NGO) 相談員制度に資格を設けることには賛成である。相談員を制度だけで終わりにせず、契約期間が終了した後も活かしていくことが重要であると考える。また、外務省が文部科学省等と連携し、学校で行っている国際理解・開発教育にNGO相談員を使うことによって各地での相談員制度が広がりを見せるのではないかと思う。 (NGO) 相談員が現在でも過去であっても「外務省委嘱NGO相談員」として活動することが出来れば、相談員制度自体のニーズが高まっていくと思う。 NGO側より専門調査員制度に関し質問があった。主な内容は以下のとおり。 (NGO) 現在の専門調査員の選考プロセスはどうなっているのか? (JICA) どこの団体が受け入れ、どういった調査をしているのかがHP上でわかるようにして頂きたい。調査員は公的な業務であり、透明性・共有性を考えていただきたい。 (外務省) 1つ目の質問に関して、調査員の選考では、受入側が何を望み、その必要性が十分にあるか、また、団体からのニーズに調査員側が対応できるか等を考慮している。 2つ目の透明性の確保については、ご指摘の通りであり来年度に向け検討致したい。 <ここで外務省側より専門調査員選考の補足説明を行った> (NGO) NGO相談員と専門調査員との連携が必要であり、互いが連携することによってNGO同士の協力関係が生まれるのではないか。 NGO側より分野別・国別研究会について質問があった、主な内容は以下のとおり。 (NGO) 分野別・国別研究会については首都圏の団体中心で行われており、地域の団体やネットワークにはほとんど情報が来ないし裨益していないがいかがなものか。 (NGO) 新しく分野別研究会のテーマとして平和構築があげられたが、国家レベルの平和構築ではなく、NGOが活動する現場の観点からのより小さな範囲の課題で進めて欲しい。また、医療・保健分野に関しては現在は専門的にセレクトされた領域の保健が尊重されてきているため、プライマリーヘルスケア(包括的医療保健)を進めていく姿勢が段々と崩されているが、もう一度包括的な観点から考える必要がある。 (NGO) 1~2年単位で何らかのテーマ性を持たせると良いのではないか。各NGOは元々動機主義で活動しているので、中・長期的な展望を持っていない場合が多い。また、NGOワーカーの高齢化が進んでおり、若い世代を如何に育成していくかということも重要であるし、個別のNGOでは出来ないことを複数のNGOが分担してやっていくような努力も必要。NGO自身の自己評価能力もまだ低いので、強化していく必要がある。 (外務省) NGO同士の協力という点では、保健分野の研究会ではいくつかの参加NGOがコンソーシアムを組み、一つのプロジェクトを作っていくことを目指し準備が進んでいる。農業分野についても今年度に共同プロジェクトを形成する事としており、非常に画期的なことだと思っている。 (外務省) 平和構築分野に関しては日本のNGOとしてどのような活動が望ましいのか、また、紛争予防も含めたことを考えていく必要がある。 NGO側より連携推進委員会への要望があげられた。主な内容は以下のとおり。 (NGO) NGO・外務省定期協議会「連携推進委員会」に関して、毎回外務省からの真摯な答弁をありがたく思っている。他方、本委員会は一つ一つのスキームを議論する場として特化してしまっているように思われる。政策協議と同様、本委員会でも政策的なマターを含むものは多いので、今後は審議官や政策課長にも出席して頂き、現場の実践を踏まえた上での政策についても議論をしていきたい。 (五月女大使) 定期協議会には2つの大きな柱があり、ひとつは政策協議、もうひとつは連携推進である。政策提言を主とする政策協議では総論的な議論を行っているので、具体的な事業についての議論を行う場ではない。一方、連携推進委員会には活動現場での色々な問題に立ち向かっている方々が出席しており、そういったNGOからの個別の提言は非常に大事だと思っている。 6.閉会挨拶 五月女NGO担当大使より閉会挨拶があった。主な内容は以下のとおり。 個々のNGOは力が非常に弱いが、そこで必要になるのがネットワーク型NGOの強化であり、また、個々のNGOが一つの目標を持ち一致団結することが必要である。今年度は大きな節目の年であるのでここで両者の考えをまとめ、これからのキャパシティビルディングをどうしていくか、委員会やワークショップを行い検討していく事を望んでいる。 次回の日程については、2005年2月か3月に行うこととする旨提案があり委員会で了承された。 7.当日配布資料 NGO側
以上
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