※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations)
【日時】 |
2004年3月12日(金曜日)14時~16時 |
【場所】 |
外務省会議室 南庁舎 396 |
【議題】 |
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1.開会の挨拶(城所民間援助支援室長) |
2.五月女NGO担当大使の挨拶 |
3.報告事項(20分) |
(1) |
「平成15年度国際協力NGOインターンシップ・プログラム」実施報告(人事課 高羽課長補佐) |
(2) |
「平成16年度NGO支援予算(民間援助支援室 中島事務官) |
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4.協議事項 |
(1) |
「NGO支援無償に関する11提言の検討状況について(45分) |
(2) |
外務省のNGO支援ビジョンについて(55分) |
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5.次回会合日程について |
6.閉会
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【司会】 |
中野民間援助支援室首席(外務省側)
高橋秀行(JANIC副理事長/財団法人 家族計画国際協力財団国際協力推進部長)(NGO側) |
【配付資料】 |
1.国際協力NGOインターンシップ・プログラム職員派遣実績(人事課)
2.平成16年度ODA予算(政府案)(NGO支援の概要)(民間援助支援室)
3.最近のテロ情勢 (邦人特別対策室)
4.「日本NGO支援無償資金協力改善のための11の提言」検討状況フォローアップ(NGO側) |
<出席者:合計26名>
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NGO側委員(9名)
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NGO福岡ネットワーク
大谷賢二(カンボジア地雷撤去キャンペーン代表)
特定非営利活動法人 関西NGO協議会
榛木恵子(特定非営利活動法人 関西NGO協議会事務局長)*清家委員代理
京都NGO協議会
森雅一(ネパールの子供達に愛の心の会代表)
特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター
高橋秀行(財団法人 家族計画国際協力財団国際協力推進部長)
山口誠史(特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会事務局長)
CSO連絡会
今田克司(CSO連絡会事業開発担当オフィサー)
GII/IDI懇談会
浅野恵子(特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン)*戸代澤委員代理
特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター
坂井敏子(特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター事務局)
ネパールNGOネットワーク
鈴木宏美(ネパールNGOネットワーク事務局長)
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NGO側オブザーバー(五十音順)(4名)
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新石正弘 ブリッジ エーシア ジャパン・事務局長
筒井哲朗 特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会・事務局長
高橋良輔 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンターインターン
富田直樹 日本民際交流センター
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外務省(11名)
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五月女NGO担当大使
高橋首席事務官 国内広報課
阿藤課長補佐 同上
高羽課長補佐 人事課
中垣事務官 調査計画課
神尾事務官 人道支援室
城所室長 民間援助支援室
中野首席事務官 同上
小杉課長補佐 同上
中島事務官 同上
藤井事務官 同上
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JBIC(オブザーバー)
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佐藤主任 開発業務部企画課
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JICA(オブザーバー)
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竹内課長代理 国内事業部国内連携促進課
議事録
1.開会の挨拶
<城所室長>
本協議会は今年度最後の第3回であるが、外部からも問い合わせがあるなど関心を呼んでいる。今回も特に後半の協議を充実させ中身のある協議会にしていきたい。
2.五月女NGO担当大使の挨拶
<五月女NGO担当大使>
今年はODA50周年の節目の年である。ODAとNGOの連携の歴史は今までいろいろな形で積み上げられてきた。ご存じの通り、ODA予算は減少傾向にあり、外交の柱である経済協力にとっては非常に危機感をもつものであるが、NGO予算は反対に伸びを続けている。その内訳はまだ1%に満たないが、今後ともODAとNGOの連携を強化し、ますます発展させ、また、ODA、NGO支援が重要なことを国民に理解してもらうために、双方で協力してODA50周年の広報を行っていきたい。
3.報告事項
(1)「平成15年度国際協力NGOインターンシップ・プログラム」実施報告
<人事課 高羽課長補佐>
本プログラムは平成14年度から開始されたが、平成14年度は計49名が17団体にそれぞれ1週間派遣された。その後、インターン経験者から、1週間では研修期間が十分ではないとの意見が多く示されたことを踏まえ、平成15年度は、期間を原則として1ヶ月(実質2週間から4週間)とし、現在まで計14名が12団体に派遣されている。
また、平成16年度予算より関連経費が予算化された。
(2)平成16年度NGO支援予算
<民間援助支援室 中島事務官>
日本NGO支援無償は22億円から27億円に5億円の増額、NGO事業補助金は「事業促進支援事業」のみが継続、その他が廃止されたため、5.4億円から1.8億円に減額、NGO支援関連事務費は3.5億円から3.2億円に減額、全体としては3.5%増の32.0億円となった。日本のNGOに対しても裨益しうる、草の根・人間の安全保障無償については、平成15年度と同額の150億円の予算となった。
<JICA国内連携推進課・竹内課長補佐>
草の根技術協力事業の拡充を目的として3億円の増額が認められた。
<NGO>
ネットワークNGOへの支援として、相談員制度以外でも手当できるスキームを考えて欲しい。
<民間援助支援室中野>
NGO側からの希望として持ち帰る。
4.協議事項
(1)NGO支援無償に関する11提言の検討状況について
<NGO>
2月16日に非公式で行われた勉強会では、的確な説明を受け、当方の提言につき踏み込んで検討して頂いていることが分かり、高く評価する。現在までなされた11の提言のフォローアップ状況は配布した資料のとおり。現在までの話し合いでの結果がどのような形で反映されるのか?
<外務省>
現在来年度実施要領の改訂作業を実施しており、省内で協議をして今までのNGOからの要望等を出来る限り反映すべく必要な手続きを進めている。
<NGO>
NGO側でも政府のNGO支援事業に関する理解が深まっており、貴省の対応を積極的に受け止めており、この場でその謝意を示したい。
(2)外務省のNGO支援ビジョンについて
<山口>
今までに提案した支援のあり方についての要望に対し、外務省が具体的にその支援策の改善に努めていることに感謝する。ただ資金を供与するのではなく、人的交流においてもNGOと政府の間で連携が行われてきている。なぜ連携するのか、どう連携するのかについて、双方で意見等を共有すべき。NGO内でも政府との連携について意見をまとめることも必要だが、それには時間がかかるだろう。
<高橋>
具体的な連携の可能性として定期協議会を始めいろいろな場で着実に深い議論の積み重ねが行われ、信頼関係も築きあげられてきた。人的交流を始め、援助についての意見交換も活発に行われた、多様なNGOのビジョンを統合してNGO側のビジョンをまとめたいと思う。ODA大綱より具体的なものを考えている。
<五月女大使>
長期的なビジョンを持つことは必要である。外務省・NGO双方国際協力に対する思い、方向は同じであるが、それぞれ手段や制約がある。そのような中で、目標を設けることは必要であり、そのために、何ができるかを議論して検討していくことが重要である。NGOを含めたODA全体として組織力や人材育成等で強化する必要性がある。NGO間において同様、外務省内においても意見を纏めるのは難しい。今年と同時に2・3年後の世論形成も視野に入れていくべき。NGO支援については、2通りの方法があり、1つは予算の増額、もう1つは2・3年後にどういう形になるかを検討することである。
欧米諸国において政府のNGO支援予算が大きいのは、予算を消化できるだけの力を有するNGOが多くあるためである。日本の場合、たとえNGO支援予算を増やしたとしても、予算を消化することができる能力のあるNGOが少ないのが現状である。とりあえず、最初は政府がNGOを支援し、来年度だけでなくその先も念頭において、目標値を作っていくことも必要。
<高橋>
同感である。先を見通しながら、今できることを議論していきたい。消化できるかどうかについても議論していきたい。人材も必要だがNGOを伸ばせるスキームはあるのか等について外務省とも意見交換していきたい。
<城所室長>
政府、NGO、民間は相互依存関係にある。人間の安全保障が想定する国家の枠組みではできない部分は草の根レベルで活動するNGOにお願いする等、補完し合い、協力し合うことが重要。NGOの水準、若者の関心も確実に上がっているがそれを受け止めるものがない。先駆的な団体は、後続的なグループを牽引していかなければならない。
<五月女大使>
NGOへの関心は高まっているが、受け皿となるシステムができていない。政府、NGOとして長期的にどのように連携していくか考えていくべき。
人的交流は図られている。NGO出身の専門調査員が在外公館でも活躍しているが、外交の柱である経済協力を担当することはとても意義があるものである。さらにNGO出身の専門調査員を増やすとよいと考える。できれば途上国のすべての公館に配置して欲しい。外務省・NGO双方で人材強化を図るべき。
<山口>
大使のご意見には強く賛成する。連携推進委員会において人的交流につき今後NGOからの専門調査員を増やしていくことについて議論していきたい。
<高橋>
国が入っていけないところにNGOが入っていく具体的な例を示して頂ければ理解が深まるだろう。このような点について今後詰めていきたいが、可能か。
<城所室長>
まず、非公式な意見交換から入ればできるだろう。具体的にNGOができる領域の分野がはっきりすれば、NGOの責任も増加し、中身のあるプロジェクトになる。お互い心に残るプロジェクトを作っていきたい。
<高橋>
具体的にNGOができる領域とは、政府では手の届かない領域とは何かについて政府はどう考えるのか。それを政府から案として出してもらい、それをもってNGO自身もどうキャパシティ・ビルディングをしていけるのかこの場で議論したい。
<城所室長>
ビジョンについてはNGOからの発案がまず先。例えば、NGOは迅速な対応が可能等自分たちの強みを認識すべき。それを私たちにインフォームしてもらいたい。
<高橋>
NGOと政府では見方が異なるだろうから、その点について意見交換して認識したい。
<城所室長>
いつでも議論に応じる用意はある。
<今田>
NGOから議論を持ちかけているのは、フォーマルな場での議論を重要と考えているからである。フォーマルとインフォーマルの議論の2本立てでやるべき。NGOが先に考えを示すべきだが、政府側にも考えて欲しい。それによって、NGOが政府の考えに合わせていくことになるのではない。公式な形で政府側としてのNGOビジョンをある程度積み上げていき正当性を付与すべき。先の見通しを持つことはやはり重要。
<榛木>
NGOにも多様性がある。地域との連携も視野に入れてもらいたい。そのためにはNGO内でもネットワークの強化に努めたいが、政府側より具体的な提案が欲しい。
<中野首席>
ビジョンというのは広範囲に渡るものであり、どこから切り口をとってよいか分からない。例えば現状から課題、要請を認識し、そこから議論した方がよいのではないか。また今後のビジョンを考える場合には、NGOが今後経済的な自立性を高めていく方向を目指していくのか、またNGOの活動を広い意味での行政を補完してくれる活動と捉えるのかといったNGOに関する基本的な見方についても考えることが必要であろう。
<高橋>
こちらとしても抽象的な議論はしたくない。現実の中でどのように具体的に連携できるのかについて、1年あるいは5年先を視野において外務省側からのある程度のビジョンを示してもらえればNGOも対応する。短期及び中長期における方向性を示して欲しい。
<中野首席>
先程述べた観点を踏まえると、まずNGO側から(個々のNGOからでも構わないが)どのようなNGOを目指しているのか示して頂き、それを踏まえ政府・NGO間でどのような連携が可能か議論した方が具体的な議論ができるのではないか。
<城所室長>
中長期的な視野、つまり、申請から事業終了までではなく、事業終了からが始まりであるというマインドを持ち、どういう風にしたら体力がつくのかについて考えるべきである。
<浅野>
ODAの中でNGOが持つ役割とは何か?NGOには何が求められているのか?双方でビジョンを出すべきである。政府だけでのODAは成り立たない。国民参加、専門性が重要であり、オール・ジャパンとして国際協力に携わるのならば、長期的な視野をお互いが持つ必要がある。
<五月女大使>
カナダ、スェーデン等は大国ではないが、人道的活動に強い関心を持っており、医療、教育等の特定の分野はNGOに任せている。このような方法はやり方としてすっきりしている。しかし、NGOは政府の下請けではない。政府がツールか民間がツールかの違いだけでお金は国民のもの。それぞれの強みを生かし何ができるのか、具体的分野を決めるのも一つのやり方ではないだろうか。特化した方が強くなれるのではないだろうか。短期の具体的な話も大事だが、長期的な展望を記録に残しても構わない。NGOのノウハウを生かしていくべきである。
<山口>
JICAとも同じような議論を行っている。省全体でのNGOへの理解を深めてもらいたい。パートナーとしてNGOを認められるのかアピールしてもらいたい。
<五月女大使>
海外においても、大使館、NGOの間の信頼関係が重要である。途上国での活動はいろいろな事が起こるが、そこでの苦しみや喜びの共有をすることで信頼関係が生まれるのではないか。
<高橋>
欧米と比較して、日本のNGOは現場レベルで考えて劣ることはないと考える。欧米のNGOや援助機関が日本のNGOから学んでいる例もある。では、なぜ日本のNGOは伸びないのか。日本のNGOの自助努力が不足しているのか、それとも政府との連携強化が必要なのかなどについて考えたい。
<城所室長>
イランの震災時は日本のNGOが現地に一番にかけつけ、今もフォローしている。「ODA大使館」においてはいい成果を挙げている。その一方で、NGO出身の大使館員のNGOに対する評価が厳しい。NGOをサポートすべき人がサポートしていない。日本のNGOの特徴として、他者に辛口、足をひっぱりあっていることが挙げられる。NGO内での相互補完関係を高める必要があるのではないか。NGOを支えるのはNGOである。
<中野首席>
政府からのインセンティヴもさることながら、まずNGO自身が自発能動的なインセンティヴを持つことが極めて重要。インセンティヴはNGO側にあるべきである。
<高橋>
連携も、何かインセンティヴがあればやりやすいだろう。連携に特化した勉強会の開催も一案だろう。
<五月女大使>
共同プロジェクトとしてそれぞれの専門性や強みをどう補完し合うかが重要である。
<山口>
実際、現場レベルでの協力や情報交換等は日常的に行われている。最初から共同で事業を作り上げていくことも可能であるが、協力と競合は紙一重とも言える。
<坂口>
NGO同士の連携というのは、日本のNGO同士である必要はない。国際NGOや現地のNGOとの連携も可能である。
<今田>
外務省が委託調査した欧米での政府のNGO支援の比較調査の報告をぜひ次回の委員会で行ってもらいたい。
<高橋>
今回は率直且つ、実りある意見交換ができた。これからもビジョンを積み上げる報告で進めていきたい。
5.次回会合日程について
2004年7月5日(月曜日)15時00分~17時00分を予定。
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