※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations)
■日時 | : | 平成17年度(2005年) 5月20日(金曜日) 14時00分~16時00分(開場13時30分~) |
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■会場 | : | 総評会館 3階 会議室AB (東京都千代田区神田駿河台3-2-11) |
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■プログラム | : |
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■配付資料 | : | 1. NGO・外務省定期協議会概要 2. 政策議論の深化に向けて 3.16年度連携推進委員会の成果と課題 4.11の提言フォローアップ |
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■NGO・ 外務省定期協議会 関係者 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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<議事録> <敬称略>
開会
○総合司会(榛木) 皆さん、こんにちは。ただいまより「平成17年度(2005年)NGO・外務省定期協議会全体会議」を始めさせていただきます。
私、総合司会を務めさせていただきます、特定非営利活動法人の関西NGO協議会の榛木と申します。どうぞ御協力をよろしくお願い申し上げます。
それでは、始めに皆さんに5点お願いとお知らせをいたします。
皆様のお手元に、受付で6種類の資料をお渡ししていると思います。何分、闊大報告で時間が限られておりますので、配布させていただきました資料及びパワーポイントを活用させていただきます。ご覧くださいますようにお願いいたします。
同じく、アンケートをお渡しいたしました。次の第3回全体会につなげるためにも、皆様の御意見は貴重なデータになりますので、どうぞ御協力をお願いいたします。回収に関しましては後程ご案内をいたします。
記録、またホームページでの議事録公開のために写真を撮らせていただきます。その点もどうぞ御了承いただきますようにお願いいたします。
今回の司会は、私、またほかのファシリテーターの方々も呼称はさん付けでさせていただきますので、御理解ください。
どうぞ、お手持ちの携帯電話はマナーモードにして頂きますようにお願いをいたします。
1.NGO・外務省定期協議会関係者 自己紹介
○総合司会 それでは、始めさせていただきます。
「NGO・外務省定期協議会」は、資料をごらんのとおりに「ODA政策協議会」と「連携推進委員会」がございます。関係者の自己紹介を始めさせていただきます。
では、私の左側からお願します。本日は皆様、座ってのご発言ということで御了解ください。
それでは、宜しくお願いいたします。
○船戸 国際協力NGOセンターの船戸でございます。私は、個人的には特活アジアキリスト教教育基金という小さなNGOの事務局長をしておりまして、バングラデシュの初等教育に携わっております。よろしくお願いいたします。
○高橋 高橋と申します。個別NGOとしてはJOICFPでございます。ネットワークNGOではJANICでございます。よろしくお願いします。
○野田 名古屋NGOセンター理事、政策提言委員連携担当の野田真里です。「まさと」と読みます。よろしくお願いいたします。
○米山 地球の友と歩む会の事務局長をしております米山と申します。あとは、農業・農村開発NGO協議会の代表をやっております。
○神田 大阪のAMネットの神田と申します。ここには関西NGO協議会の提言専門委員として参加しております。
○西井 フィリピン情報センター名古屋に所属しています、それから、名古屋NGOセンターの理事と政策提言委員をしています西井です。よろしくお願いします。
○城守 外務省経済協力局民間援助支援室長の城守と申します。4月1日付で前の城所室長と交替いたしました。新米室長ですが、よろしくお願いします。
○和田 外務省経済協力局国別開発協力第一課長の和田でございます。アジア地域に対する経済協力等を担当しております。よろしくお願いいたします。
○上村 外務省経済協力局政策課長の上村でございます。去年8月からですので、今回は初めての参加ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
○広瀬 外務省の広瀬と申します。今回で何回目の全体会合かと思ったんですが、2回目です。全部出ております。よろしくお願い致します。
○五月女 外務省参与でNGO担当大使の五月女でございます。以前、アフリカ、ザンビア、マラウイで大使をしておりまして、帰国いたしまして、初代のNGO担当大使を務めておりまして、皆様とは長いお付き合いをさせていただいております。今日もよろしくお願いします。
○中野 外務省民間援助支援室の首席事務官をやっています中野と申します。よろしくお願いいたします。
○戸代澤 ワールド・ビジョン・ジャパンの戸代澤と申します。今回は、GII/IDIからの参加となっております。
○総合司会 本日の会場は、日本労働組合総連合会国際部の御提供・御協力をいただきました。ありがとうございました。
2.主催者あいさつ
○総合司会 それでは、「2.主催者あいさつ」に進ませていただきます。
外務省経済協力局審議官の広瀬哲樹さん並びに特定非営利活動法人国際協力NGOセンター理事長の船戸良隆さんよりお言葉をいただきたいと思います。
それでは、船戸さんからよろしくお願いいたします。
○船戸 本日は「NGO・外務省定期協議会」の第2回の全体会議をこのような形で開くことができたことは、外務省にとりましても、また私どもNGOにとりましても大変喜ばしいことであると思います。
昨年開かれました第1回の会議は、第1回ということもありまして多少緊張しておりましたが、今回はこの1年の成果を踏まえまして、一般の方々の御参加もいただくことができるようになりまして大変よかったと思っております。この1年間を振り返ってみますと、協議の上でかなりの進展、成果があったのではないかと思います。
この定期協議というのも、1996年に始められたわけですから、かなり長く、10年近くになったわけでございますが、ある時期におきましてはなかなか対話というわけにはいかないというような時期もございました。しかし、この1年、この協議会から具体的な成果が生み出されてきたということを伺いまして、私はそれは画期的なことであるというふうに思います。
どのような成果が生み出されたかということは、政策協議の神田さん、連携推進の高橋さんが後ほどレポートしてくださると思いますが、私はそのような成果が生み出された根底には相互理解といいますか、相互の信頼関係がより深まってきたということが言えるのではないかと思います。
勿論、まだ課題が山積しておりまして、例えば年々増額している、「NGO支援無償」というものをどのように効率的に使っていくかという問題にしましても、従来ならば「NGOが使わないのではないか」、いや、「使いにくいのだ」というような議論がなされておりましたけれども、今やどのようにしたら使いやすくなるかという議論がなされてくるようになりました。また、これはNGO内部の問題かもしれませんが、スマトラ沖地震の災害復旧によって、緊急復興から開発に向けてどのように連携していくか。ODA予算との関係はどうなのかなど、実質的な協議ができるようになりました。
そういった中にありまして、今つくられております相互信頼というしっかりとした基盤に立って、今後ますます建設的な議論が進められていくことを願っております。
古人も、信なくば立たずと言いました。本日の協議も相互信頼を持って実り豊かなものとなりますように祈り、私のあいさつとさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○広瀬 外務省から、共同主催者として簡単なごあいさつをさせていただきます。
船戸さんから総評をいただいたものですから、私の方は外務省がこの会議に期待するもの、それから将来に向けてどういうことを望むのか、今日の会議について、こういうふうに進められればということを簡単にお話しできればと思っております。
今日の全体会合、実は先ほど御紹介ありましたように、こういう定期協議を始めた1996年から2004年まで、随分時間がかかって全体会合が開かれ、その後、今年も開催できないのではないかと心配していました。実は、いろいろ報告を聞きますと、1年の割には随分成果があったというふうに私なりに理解しております。
2回目の全体会合なんですけれども、こういうふうに定期的になってきたことは議論の成果というものが今後問われていくんだと思います。特に、今回の会場設定でも、役所などですと会議場があるものですから、それなりに一生懸命やればできるんですが、JANICを始め、関西NGO協議会、名古屋NGOセンターの方々が御尽力されて、この立派な会場をしていただいたことに志気を感じます。また、NGOの日頃の活動に比べれば非常に抽象論になることが予想されるわけですけれども、これだけたくさんの方々にお集まりいただいたということは各関係者の御尽力のお陰だと思います。改めて感謝申し上げたいと思います。
その印象論なんですけれども、過去との比較では、やはりODAの全般に関する政策論、我々政策を立案しているという自負がありますが、今は当然ながら立法府も交えて政策が決定されています。NGOの方々はどちらかというと、私どものイメージでは言いっ放しという感じが強くて、シングルイシューで議論する傾向があるというふうに理解していました。今や具体的な成果を求めて議論が行われるという健全なステップを何回も踏んでいると思います。
特に、NGOの支援は我々にとっても大いに具体論が必要なところです。ODAでは、政府でできることには勿論限りがあります。今までのODAでは、商社でありますとか、実際の建設業者でありますとか、そういった方たちと一緒に実施面で連携して、JICAやJBICなどの実施機関と一緒になってODAを仕上げてきたという気がいたします。
金額自身は小さいんですけれども、NGOの事業は特定の国ではODA全体よりも有名になるぐらい大きな影響力を持っています。特に「草の根」は、通常の国では一番身近な、かつ具体的に成果の上がるODAと言われているほど重要な手段です。その担い手は、外国のNGOであったり、日本のNGOであったり、実際に使うコミュニティーに入っていって仕事をする人達です。こういったことをNGOの方々と政府の間で議論できるというのは重要なことです。
同時に、ODA大綱の改定、中期政策の改定など、非常に抽象度の高い政策論にもいろんな方々から御議論いただいています。また、抽象論かなと思って私もコメントを何十個か拝見しましたが、実に役人的なと言ったら変ですけれども、具体論に踏み込んで議論されておりました。この方向が定着することを期待しています。
我々望むことはたくさんありますが、未来志向という観点からは、正直に、お互いにお互いを有効に使い合うというのが基本精神であろうと思います。そういった観点から、まだ課題がたくさんあるというのは、健全なことで、お互い思いがあるところだと思います。
本日、2時間を予定していますけれども、貴重な時間だと思います。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。実際に仕事を抱えている方々がこの午後の貴重な時間を割いて出席されていると思います。本日の会議においては、是非明日に向けて建設的な議論ができればと思っております。
3.報告および協議(NGOとODAの連係の成果と課題)
○総合司会 NGO・外務省全体会議を始めるにふさわしいお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、「3.報告および協議『NGOとODAの連携の成果と課題』」に入ってまいります。ここのセッションは、「(1)報告の部」と「(2)協議の部」と2部構成にさせていただいております。
(1)報告の部:小委員会の協議成果と今後の課題
ODA政策協議会
○総合司会 まず、「(1)報告の部」は小委員会の協議成果と今後の課題です。どうぞ、お手元の資料で議題及び提出いたしました資料をご覧いただきますようにお願いいたします。
それでは、「ODA政策協議会」。外務省経済協力局国別開発協力第一課長の和田充広さん。引き続きまして、特定非営利活動法人関西NGO協議会提言専門委員の神田浩史さんにお願いいたします。
○和田 和田でございます。私の方から、最初に過去1年間の政策協議会の概要と、我々から見た成果について簡単に御報告をさせていただきたいと思います。
お手元に資料で「NGO・外務省定期協議会 概要」という2ページものの紙がございますけれども、そこに書いてありますとおり、年に3回政策協議会をやってきております。
2ページ目に、第1回、第2回、第3回ということで、それぞれの議題、場所等についての記載がございますので、それをごらんになっていただければと思います。
私どもから見た、この政策協議会の成果でございますが、幾つか挙げられると思っております。
例えば、中期政策。政府はODAの中期政策の改定をしたわけでございますけれども、その際におきましては、いろいろな形で国民の皆様の御意見を伺う機会をつくったわけでございます。この政策協議会の場でも、いろいろ議論をさせていただきましたし、特に、この政策協議会の場で国民の声をいかに聞くかということのやり方につきましていろいろいただいた御意見というものを踏まえまして、我々の方もやり方を考えさせていただいて、プロセスの改善につなげることができたのではないかというふうに思っておる次第でございます。
また、毎回イラクの復興支援の問題などについても議論を継続的に行ったわけでございますが、必ずしも意見が一致しない場面も多々あったわけですけれども、双方の立場についての理解と認識を深めることができたのではないかと思っております。
総じて申し上げて、ODAのかなり上流部分の政策論につきまして、お互いの顔が見えるといいますか、お互いの顔をちゃんと知った上で、勿論、一定の緊張感と距離感というものはあるわけでございますけれども、そういったものを保ちながらも顔が見える形での信頼関係というものが少しずつ深まってきているというふうに考えておりまして、我々が政策をいろいろ考えていく上でも非常に役に立っているというふうに思っております。
また、東京以外の方、具体的には大阪でも1度会議を開催したことは非常によかったのではないかというふうに思っております。
課題といいますか、更に成果というよりは今後の課題にもつながるんですけれども、なかなか時間の関係とかいろいろあって、必ずしも議論し尽くせないという部分はどうしてもあると思うんですけれども、この政策協議会の場に限ることなく、もっと特定の議題について個別の意見交換などもやってほしいというような御意見も受けたこともありまして、実は外務省としてはいろいろな場を最近になって設定をするようになってきております。
中期政策の改定に際しましては、いろいろなパブリック・ヒアリングとかということをやったわけですけれども、それ以外にも、昨年11月にはダルフールの問題についての勉強会を行ったり、今年になってからはインド洋の津波災害に関する子ども支援に関する意見交換会だとか、国際機関の駐日事務所との、NGOとの意見交換会を外務省でセットしたりとか、アフリカ支援に対する意見交換会といったような形で、いろいろな個別のテーマについての会合も行ってまいりました。
外務省といたしましては、いずれにしましてもこういうような形でNGOの皆様との政策的な意見交換、協議というものを継続させていただきたいというふうに思っている次第でございます。
以上でございます。
○神田 和田さんの報告に引き続きまして、NGO側からの報告をさせていただきます。1枚の紙で、小さな紙で「NGO・外務省定期協議会 ODA政策協議会『政策議論の深化に向けて』~議論のさらなる深化のために求められるもの~」という、私の名前、神田名でお出ししているペーパーがあると思います。
和田さんの方からもお話がありました、1年間といいますか、都合2年間こういった形で政策に特化して議論してきたこと自体がすごくいろんな意味での信頼醸成につながっているということはいろいろと評価できる点ではないかというふうにも思います。
それから、この「ODA政策協議会」を運営上非常に透明性を高くしてやっていくということが外務省、NGO双方の事務局の努力によって貫かれているというふうなことは最初に報告していることではないかというふうにも思います。そういうことが2年間で確立してきたということは、一つ大きなプロセスであったと思います。
それを踏まえた上で、私自身なりにODA政策立案実施プロセスにおける市民参加の段階論というものを立ててみました。それが上に書いています、第1段階から第4段階というふうに踏まえて書いておりまして、NGO側も第4段階で自分たちの経験・知見に基づいた政策提言を実現したいという思いでやっておりますけれども、ただ、あくまでもこの「ODA政策協議会」というものはそういった意見を交換する一つの場であるという位置付けでもあります。そうして考えていきますと、まず最初に情報を共有することの重要性ができれば、まず第1段階ではないか。
第2段階では、そういった公開協議の場というものをつくっていければ、これも一つですし、それ以外にもつくられれば第2段階と見るのではないか。
そして、第3段階というところでは、きちんとODA政策立案実施プロセスにおいて対話性が持たれているかどうかというところ。対話性というものは、提案に対してのきちんとした返答というものが「挙証説明」という形で言っておりますけれども、理由付けがきちんとなされて説明されているかどうかという形で、3つの段階というものを挙げております。
第4段階につきましては、少し相を異にしますけれども、ここに付け加えております。昨年度1年間で協議された議題に関しまして、その中で幾つかの議題を抜き出しまして、それがどういう状態にあるかということを記したものが、その後の「2004年度ODA政策協議会 協議議題3例についての到達段階」という私なりの評価でもあります。
和田さんの方からも、イラク復興支援というものについて何度も議論しましたという話がありました。イラク復興支援に関しまして考えてみますと、第1段階のうちでも広報に関するような資料の情報共有ということは行われてきた。ただし、広報資料というものは逆に言うと、協議会にわざわざ来なくてもホームページでも入手できるというものでもありますので、こういった場はそれをもって成果と見るというふうにはなかなか言えないのではないかという部分でもあります。
ですから、そこから1歩も2歩も踏み込んだ形でもって、NGOからも口頭での情報公開を請求するというようなことがありましたけれども、具体的に文章等でのそういったことが弱かったということもありまして、その段階でとまっているというのが、このイラク復興支援に関する議論ではないかと思います。
2つ目、新ODA中期政策の策定に関しましては、これは和田さんの方からもくしくも大きな成果があったというふうなお話がありました。私自身もこれに関わってきた中で、自分なりの段階論で言えば、これは第3段階まで進んだというふうな意味での成果は見られたのではないか。
第4段階という意味で、私たちの提言が多く受け入れられたわけではないという辺りは、NGO側にも十分な裏付けを持っての提言が弱かったのではないかという反省点もあろうかと思います。ただ、そういったことも挙証説明という形で具体的にパブリック・コメントや公聴会で出てきた意見に関しまして、外務省の方で諾否の理由も付けた上で公開をというふうに提案してきたことに関しまして、ここまで外務省の方でも準備されてきたというふうなことに関しましては、恐らくこういった協議会での信頼関係の中での提案・提言が生かされてきたのではないかというふうに思う点でもあります。
ですから、そういうことをベースに今後も重要なODA政策に関しまして、十分に市民参加の方途というものが確立されていくということを大いに期待する点でもあります。
3つ目のODAの情報公開というものは、大阪での会合で大阪のNGOの関係者の方々から出された提案でもありました。比較的細かに具体的な提案というものが列挙されてはいたんですけれども、それに関しましての意見交換というものはまだまだ不十分に終わっている。
段階論で言えば、第1段階まで行っていないということは、現状、外務省のODA政策に関する情報公開においてどのような状況にあるのかということの具体的な説明もここではなかなかなかったというふうな、もっともそれを準備する側が大変ということもあるのかもしれませんけれども、そういったような状況であろうかというふうにも思っております。
4か月に1回、年3回という限られた回数頻度でありますし、それから1回が2時間という短い時間でもありますから、NGO側でもいろいろと議題提出に関しまして精査調整をしなければならないというふうな中ではあります。なるべく、これからもODA中期政策に見られたような具体的に目に見える改善、改革、前進というふうなことが見られるような政策協議ができるように、あえて私の報告というものは、成果を上げるとともにこういった課題が多く残っていますという報告にさせていただきましたけれども、後半の協議の中で具体的にそれをどういうふうに変えていきたい、変えていこうというお話ができればと思います。
連携推進委員会
○榛木 ありがとうございました。
特定非営利活動法人国際協力NGOセンター副理事長の高橋秀行さん並びに外務省経済協力局民間援助支援室長城守茂美さんに報告をお願いいたします。
○高橋 今、御紹介いただきましたJANICの高橋でございます。私の方では、「NGO・外務省定期協議会連携推進委員会」の報告をさせていただきます。
「NGO・外務省定期協議会連携推進委員会」、今まで定期的に開催しているわけでございますけれども、まず議題の中身に入る前に、とても私自身ありがたいと思っておりますことは、外務省とNGOの意見の相違があるのは当たり前であって、その上で非常に率直かつ継続的な意見の場が持たれているという場ができていること。しかも、意見の違いがあっても、決してそれは何ら感情的なことにもならず、意見の違いは立場の違いでもあり、考え方の違いでもあり、その背景をどうやって知ろうかというような方向性でこの「連携推進委員会」が運営されているということは、とても私どもにとってもありがたいことだと思っております。
更に、この「連携推進委員会」では保健、農業、教育、緊急援助、それからネットワークNGOの代表が皆この「連携推進委員会」に入って、外務省との対話の場になっております。
この「連携推進委員会」では、分野ごとのそれぞれの代表が共通の課題は何かというような方向性で議論をしているということは、全国のNGOをつなげるという意味においてもとても有効な場所であると考えております。
同時に、私どもが認識しておりますことは、この「連携推進委員会」における議論は、開発途上国における現場型NGOが非常に多いということも特徴でございます。もう一歩進めて言いますと、我々日本のNGOは「北のNGO」であるということです。世界的に見ますと「南のNGO」が非常に力を付けてきて、「南のNGO」が出来ることは「南のNGO」がやるという時代に入っている中で、「北のNGO」は一体何をすべきか。実は、これが暗黙の、非常に大きな課題になっています。
こういうことを踏まえながら、現場において「北のNGO」はどうするべきか。NGOはODAとどう向き合うべきかということが、この場で議論されている大きな核心の部分ではないかと思っています。
民間援助支援室が所管されております「日本NGO支援無償資金協力」のスキームがあるわけですけれども、このスキームを実際に使っている日本のNGOあるいは「北のNGO」は、それぞれの課題を提案しています。
皆様方のお手元にあります「日本NGO支援無償資金協力改善のための11の提言」というものが昨年の大きな一つのテーマでございました。私どもNGOにとりましては、この11の改善提案に対して外務省側は非常に真摯に取り組んで検討してくださいましたし、また現在でも議論が進行中のものもございます。NGO側の立場として、一応そのフォローアップが現在どういう状態にあるか。これは決してフォローアップがいいとか悪いとかではなくて、フォローアップしている中でもその課題に対して、今どのような現状にあるかということを中間報告として、今お手元の資料に配布させていただいたわけでございます。
最近、発表になると思いますが、日本NGO支援無償合同評価というものがございます。この合同評価も非常に重要な内容でございまして、外務省側の見解、NGO側の見解がどういうような形でこの合同評価に反映されているかということもございます。 更に申し上げますと、先ほども船戸理事長の方からも御発言がありましたけれども、今、日本のNGOがそれぞれの分野に所属しているわけでございますが、世界の視点から見ると日本のODAに占めるNGOの割合というものは、数字だけでございますが、まだ1%にも達しておりません。我々は、ただこの数字を伸ばせということだけを言っているわけではないんですが、その背景にあるものは一体何なのか。そういうことを我々はもっと外務省と話し合っていきたい。同時に、我々は外に出て行けば日本のNGOであると同時に、ほかの国との連携も大いに進めるわけです。そういう中で、NGOの持っている特色あるいはNGOの持っているネットワークがODAと連携するとどういう相乗効果を生むことになるのかということも、我々は現場で経験しているわけです。
一方、国内では、緊急援助復興と開発というものが、バランスが取れた形でNGOの特性を生かす形でこの連携が進むことにより日本のODAとNGOの対話だけではなくて、相乗効果が上がる道ではないかと思っています。
昨年度の議題の中に、NGO支援に関するいわゆる各国の比較調査というものがございました。これは、いわゆる欧米諸国におけるNGO支援策について検討された報告書でございます。今年もまた新しくNGO支援室の方で報告書がつくられているわけですけれども、我々が取り上げたプライオリティーの高いテーマに対して民援室が徹底的に調査をしました。この内容は我々が議論を進める上でのとても大切な資料となります。
私どもは、議論する上で、外務省にも認識を深めていただいておりますのは、スキームとか、途上国における支援とかというだけではなくて、このような活動をしていることが日本国内においてどのように広報され、納税者とか市民社会に対して我々が行っていることをどこまで理解してもらっているのかの視点は必要です。このようなことが一体として議論されることが、結果としてODAの質を高め、国民の理解を深め、NGOに対する支援を高めることに結び付くのではないかと考えております。
ありがとうございました。
○城守 外務省の城守でございます。今の「連携推進委員会」につきまして、私の方からも一言話をさせていただきます。
私自身は4月に来ましたものですから、「ODA政策協議会」「連携推進委員会」、残念ながらいずれも出席したことがなくて、これまでの記録もしくはいろんな皆様のお話を聞いて今日お話を申し上げるしかないんですけれども、今、高橋さんの方から御紹介のありましたように、非常によい方向性で外務省とNGOとで議論が進んでいるということをいろいろとほかのところからもお伺いして、非常に喜んでおります。そういう方向で今後とも続けていきたいと思っております。
また、その1年間の記録を見ておりますと、11の提言、非常に具体的な提言が出されて、それが1年間検討されてきているわけですけれども、私の前任者でありました城所室長も、外務省でございますからお役所の制限がいろいろある中で、どこまでできるか皆様といろいろと話をして、できるところとできないところ、具体的に議論がされてきたようでございます。これも非常によかったと思っております。
先ほど配られました紙の中では評価があって、△×○がありますけれども、私どもはもう少し△が付いてもいいのではないかと思うところはあるんですが、それはそれぞれ、先ほど皆さんがおっしゃっていらした立場と評価の違いですので、またそれについては更にいろいろとお話をさせていただければと思います。
そういうことで、余り私は、今、御発言するような詳細を知らなくて申し訳ないんですけれども、今ありますよりよい非常に効果的な協議の在り方、更によりよく進めるよう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
質疑応答
○総合司会 それでは、「ODA政策協議会」「連携推進委員会」の報告が終わりましたので、フロアの方から、今、発言されましたことに関してもう少し事実確認をご希望の方とかがございましたら、御質問をお受けいたします。ございますでしょうか。
所属とお名前をお願いします。できましたら、簡略に御質問の内容をお願いいたします。
○高瀬 TICAD市民社会フォーラムという新しいNGOです。これは、これまでのようにNGOだけでは非常に弱い、専門能力がないし、お金がないというふうなことを含めて、NGOプラス研究者、コンサルタント、企業体、JBIC、それからJICA、そういうところまで全部集めた市民社会で結成をいたしました。TICADは、皆さん御承知のように1993年からTICAD1、2、3とやっていきましたけれども、2002年のTICAD3の結果、もうちょっとTICAD4というものは広くしなければいかぬというふうなことでできた、これはアフリカとアジアと日本のNGOが連帯をして、本当に立派なアフリカ協力というものができるようにしようというふうなことです。
それが、実は今年の4月21日、バンドン会議の50周年記念で記者会見をいたしました。その記者会見は、今までアフリカに対する日本のアプローチ、TICADは非常に大事なアプローチだったと。
○総合司会 申し訳ございません、ここで報告されましたことに関しての事実確認とかでお願いをしたいと思います。御協議のときで御発言いただく場はございますので、この場におきましては、報告の部の発議者の事実確認等の御内容でお願いしたいと思います。
○高瀬 申します。
神田さんの方からありました、第4段階に早く行きたいということ。それから、高橋さんの方からありました、「北のNGO」としてもっとアドボカシーというふうなものをやるべきである。それから、ODAの方からNGOに何%使うかということがまだまだ少ないという点につきまして、アフリカ関係は特に大変まだ少ないと思いますので、このアフリカ関係、今年2005年というものは非常にアフリカに対して力を入れられております。G8のサミットがあります。それから、MDGがあります。そういうふうなことにおいて、外務省のそういうふうな今年のアフリカ対策ということがどのぐらいの絵を描いておられるかをお伺いしたいと思います。
以上です。
○榛木 神田さんへの御質問でよろしゅうございますでしょうか。
○高瀬 あと、外務省です。
○榛木 それでは、神田さんからお願いいたします。
○神田 高瀬さん、どうもありがとうございます。お名前の御紹介がなかったので、代わりに紹介させていただきます。
アフリカ関係の前の話、第4段階にというふうな話は、第4段階への到達というのは私自身、この場で必ずしもというふうなことを考えているわけでもありません。政策を変える中での市民参加という中で、NGOはその中での一つの参加者にすぎないというふうに考えておりますので、NGOからの提案というのはすごく大事ではありますけれども、より大事なことというのは広範な人たちの意見というものが政策立案に反映されるということが大事かというふうに思っております。
当然、私たちの目的は第4段階にはありますけれども、また一方で閉鎖的な空間で行政とNGOで何かを決めるということはかえって不健全さをもたらすというふうにも考えておりますので、私たちはあらゆる場をオープンにしていくということを考えた上できちんと議論をしていきたいというふうに考えております。
○榛木 外務省は、和田さんからお答えいただけますか。
○広瀬 和田ではなくて、広瀬からお答えいたします。
非常に簡単に答えますと、さっき挙げておられましたバンドン会議で総理から御発言をいただきました。今後3年間でアフリカ向けODAを倍増したいと。今、非常にアバウトで5.5億ドルぐらいのアフリカ向け支援を11億ドルぐらいにしたいという気持ちです。
これにはさまざまな支援が入っていますが、よく例示されますのは、マラリアに対応するために防虫薬をすり込んだ蚊帳を供与したい、あるいはHIV/エイズ・マラリア・結核に対するグローバルファンドなどへの支援といったものを中心にやりたい。
それに加えて、日本が従来からやっていました貧困削減に特に有効な手段である成長を通じた手法も是非確保したいといった形で、3年はもちろん数年にわたる検討も今やっております。
今後、G8プロセスとか、あるいは9月のミレニアム開発レビューなどを通じて、その政策を明らかにしていきたいというふうなことを考えています。
○榛木 高瀬さん、よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
ほかに、どなたかございませんでしょうか。もう一件ないし二件はお受けできると思いますが、宜しいでしょうか。
ラウンドテーブルの皆様も、宜しいでしょうか。
それでは、時間をできるだけ協議の方にお渡ししたいと思いますので、報告の部の質疑応答はここで終わらさせていただきますので、最後に経済協力局審議官の広瀬さんに今までの議論を踏まえてコメントをお願いしたいと思います。
コメント
○ 広瀬 私、3回目の発言になるものですから、しゃべり過ぎだという自戒を込めて、短く申します。
成果について余り議論がなかったということはよいことでもあり、悪いことでもあろうかと思います。よいことというのは、かなり分野別に重点的に議論されて、対立点は残されたところは残されているし、まとまったところはお互いに評価し合った上で成果として次のステップになるんだと思います。
議論が余り進まなかったのは、全体会議を今後どのように進めていくかという我々の課題だと思います。そういう反省点も踏まえてコメントさせていただきますと、どこまではっきり2つの会合に分けて議論した方がいいかというのは、今後検討すべきという感じを持っています。
同時に、その具体例としてインド洋の津波支援で、NGOと国際機関、外務省の間で協議をやり、あるいはダルフールの議論では、地域局で実際の政策をやっているところも巻き込んで、どういう支援が可能なのかを検討した。「北のNGO」あるいは「北のODA」をやる組織として何ができるのかを、日本の知見で一度まとめてみる作業をやったわけです。
そういったときに、NGOとの定期協議会に参加されている有力団体の方々に参加いただいて、政策論や現場での議論を闘わせて何ができるのかを踏まえた上で、政府としてやるべきこと、国際機関を通じてやること、それからNGOの方々にどう参加していただくかということをジャパン・プラットフォームなどを通じて議論をまとめ、政策決定をしたという経験があります。
これらを考えますと、やはり日本の「北のNGO」としての役割は小さい、これは正直に認めた方がいいと思います。
我々も、多分皆さんも欧州のNGOや、アメリカのNGOを勉強されていると思います。私自身、何年間か私の外国にいたときの住居のそばにオックスファムがありました。彼らと一緒に仕事をしましたが、昨年のこの会議でも申しましたけれども、彼らは政府の予算を、政府との適切な距離を保ちながら、積極的に利用している点です。緊張感があります。お互いに政策論を闘わせます。しかし、きちんと利用します。 昨年言い忘れたのですが、やはり正直にお互いを利用し合う点が重要です。これがNGO政府の共通項なんです。ですから、決定的に対立して何も生まない関係は絶対避ける。お互いにクーリング・オフの期間を置いてでもお互いに利用し合う機会をつくり、お金を持っているところからそのお金を有効に使ってあげるという精神で提案していく。我々の方からしますと、国民の税金をどう適切に使うべきかというときに、アイデアをいただく。それから、政府ではなかなかできないような、コミュニティーに入っていって支援しなければいけないときに、NGOの人たちが持っている力と外へのネットワークというものを使わせていただく。併せて国民の税金を途上国の開発のために有効に利用していくという観点で議論を深めたり、あるいは具体的な政策論をつくったりしていく。そのときに、神田さんがおっしゃったように、我々が裏で談合をして何かつくり上げるというのではなく、常にアイデアの競争がある、いろんなアドボカシーの人も含めて、アイデアがあり、実行力があり、日本のみならず外国の人たちも協力してやれるものが見つかれば、それをみんなして協力して実現していくという関係でありたいと思っています。
そういった意味で、これまで築いたことは私は確かに大きいことだと思いますし、また我々がODAをやっている上で最善だと思わないところはたくさんあると、我々自身思っています。
更に、説明責任について一言言わせていただきますと、私も中期政策などのときにいい提案をしたと思うのですが、いつの間にか没になって、なぜかについて説明責任を果たしてくれません。文句を言うと内部からの反乱だと言われかねません。そういう個人としての、私の役割分担を越えたいい提案をしたと思いながらも、答えてくれないことがあります。
そういったように、ODA政策も実施面ではまだ定着していないテーマがあるわけですから、活発な議論を期待したい。ただ、建設的な議論であってほしい。そして、お互いに相手の良い所を利用し合うという正直な心で相場感をつくっていければと思います。
○総合司会 ありがとうございました。
それでは、五月女大使、よろしくお願いいたします。
○五月女 五月女でございます。一言コメントというか、先ほど高橋さん、神田さん等がおっしゃったことで、私が考えていることをお話させていただきたいと思います。
御承知のように、NGO担当大使というのは両方の立場の架け橋となるということで、双方で考えていることをうまく両方の方々に取り次ぐ役割もあるかと思いますので、その辺も含めまして一言コメントさせていただきたいと思います。
私、日本のNGO活動が、例えば先ほど申されたように、緊急支援というものに対して非常にメディアの注目が集まる傾向がございまして、NGOの活動というものは即緊急人道支援、例えばジャパン・プラットホームの活動にどうしても向いていくわけです。勿論、これは非常に大事なことで、非常に緊急性を持って、かつ医療支援あるいは食糧支援等、どうしても急がなくてはならぬということは必要なんですが、私はやはりNGOが関わる支援活動というものは3段階に分かれていると思いまして、1つは、今、申しましたような緊急支援で、これは言わずもがななんですが、その次に来るのは復興開発支援ということなんですけれども、これがある意味では日本の多くのNGOの方々が参加している部分ではないかと思うわけです。
その中には、農業開発とか工業技術の指導あるいは病院を建てる、学校を建てるといったような復興そして開発に関係ある事業というものは非常に時間をかけてやっていかなくてはなりませんけれども、やはり活動としては非常に大事なものであるということがありまして、その次の段階にやはり社会の安定を支援するということがあって、それには例えばよく言われているアフリカの地域の法律が整備されていない国の法律の整備の支援とか、教育制度の支援、あるいはこれはJICAの青年海外協力隊にもありますけれども、音楽とかスポーツという分野での支援というものがあるということは、少なくともその国が安定して復興していくには心のケアも必要ですし、それからそのような文化的な面での支援というものも必要であるということで、やはり長期的に考えれば緊急支援、復興開発支援、社会安定支援という3段階にわたっての活動があって、それぞれに合った形での外務省の支援のスキームというものをつくるべきだというふうに思っているわけです。
現在、御承知のように緊急援助につきましてはジャパン・プラットホームというものが存在している。ところが、その次のステップにはそのようなものはないということです。それを実行するには時間がかかる。やはり、私もこの民間援助支援室ができて11年、それから、このNGO支援の無償とか補助金ができてから16年になるわけですけれども、できた当初から見るとはるかにうまくいっているといいますか、発展している。勿論、金額の増額は当然のことですけれども、そのスキームが使いやすくなっているという面では外務省は随分努力したと自負しています。同時にこの関係のこういった協議というものが行われて、ますます両方での意見交換によってそういったスキームとか予算の増額等については両者の協力によってこれだけ進んできているということでは、私は非常にうまくいっていると思うわけです。
しかしながら、予算上の問題で見ますと、やはり日本のODAに占めるNGO支援の予算というものはまだまだ小さくて、1%に満たないという数字をNGOの方々がおっしゃって、外務省では、いや2.7%になっている。これはいわゆる人間の安全保障無償も入っていますが、これも努力すればNGOの方々も使えるということで2.7%ぐらいのものがNGO支援に使われているということになるわけです。それでも国際比較すれば小さい。そして、今、申しましたような予算上、全体のODAが下がってきている中でNGOへの支援の無償にしても、その他のJICAの予算にしても増額されているということは喜ばしいことですけれども、全体がまだまだ小さい。
一方で、アメリカなどでは、アメリカのODA予算というものは、日本を抜いてから2~3年経つんですが、ついに日本の2倍以上になってしまった。つまり1991年から2000年までの10年間、日本はODA世界一と言ってそれを自慢していたわけですけれども、それが抜かれた途端に日本はどんどんどんどん減っていってしまって、今は8,000億円弱になりそうである。一方で、アメリカは1兆6,000億円以上というような形で、完全に日本の2倍になってしまっている。そして、ほかのイギリス、フランス、ドイツといった先進国もどんどん増額してきて、日本を抜きそうな状況です。
しかも、アメリカではODAの中でのNGO支援のために使う予算がこれまで40%近い比率であったことを考えますと、もしこの状況で行けばアメリカのNGO支援予算が日本のODAに近付いてしまうというようなことが起こりかねない状態です。もしその比率がつづくとすれば、アメリカの1兆6,000億円の中で7,000億円近くがNGOを通しての予算になってしまう。日本の場合は、全くそこまで行くわけではなく、ODAそのものがまた小さくなっていってしまうということですから、本当に先行きが非常に心配なことであるわけです。
ただ、それではアメリカのそれだけのNGO予算が果たしてどのように使われていて、日本とどう違うのかと言いますと、完全にやはり考え方、理念、スキームが違うものですから、やはりそこには数字だけで申し上げるわけにもいかない。つまり、アメリカの場合にはやはりNGOの中にも2つの考え方があって、日本もそうですけれども、やはりNGO独自の色彩を消さないで、独自性を持って行っていくべきで、政府の干渉は受けるべきではない。政府は、そのNGOの決定したプロジェクトを支援するという形を取るべきだというのが基本的にあるわけですけれども、アメリカなどの場合はそういうものもありますけれども、同時に、一番大きいのは政府がこういうことをしていきたいという支援のプロジェクトにNGOの方々がそれに賛同して参加するという形で行われるということで、要するに政府とNGOとの連携、一体化でもって行われる部分というのは非常に大きいということがあるものですから、やはりそこに考え方の違いによってこれだけ大きく予算の執行が日本とアメリカあるいはヨーロッパとは違っているのではないかと思うわけです。
ですから、そういうことももう少し詰めて、我々はもっと協議していくべき状況にあるのではないかと思うわけで、私は一つとして例えばジャパン・プラットホームの形で、外務省とNGOと経団連、メディアといったものが連合で企画して行うところの緊急支援の考え方を次のステップにも考えてもいいのではないかと思います。そして、そういった復興開発支援が迅速に行われるような努力をすべきではないかと思うのが一つ。
もう一つ、私はなぜ日本のNGOがなかなか大きく強くなっていかないかというのは、やはりネットワークNGOがまだ弱体である。日本の場合、ネットワーク型NGOがもっともっと強くならないとNGOの連携というものも横の連携というものも図れないし、人材の育成、情報の提供といった面で非常にまだまだ改善の余地がある。
私はやはり、今後の形として政府の側も日本全体のNGOの強化をするにはどうしたらいいかということを考えますと、やはりもう一歩踏み込んで、そういったネットワークNGOを強化するということの方にも予算が使えるような形にしていったら、私は今よりは更によりよい日本のNGOができてくるのではないかというふうに思うわけであります。
どうしてもプロジェクトという形が見えるものに対する支援というものはやりやすいんですけれども、考え方とかいわゆるフィロソフィーといいますか、そういったものを推進するための目に見えないもの、いわゆるソフト的なものに対する支援というのは日本の支援の場合には非常に弱いということが見受けられますので、そういった面を強化していくということが行われれば、全体の日本のNGOの強化ということにつながっていくのではないかというふうに思ったわけです。
ちょっとそれだけコメントさせていただきました。
○榛木 ありがとうございます。先ほど、NGOと外務省の会議の準備会合でもNGO担当大使の五月女さんにはごあいさつだけでなく御意見もいただきたいと思っておりました。
本当にありがとうございました。
(2)協議の部:NGOとODAの連携の具体的方向性について
○総合司会 それでは、「(2)協議の部」に進めさせていただきます。「NGOとODAの連携の具体的方向性について」というテーマでさせていただきます。
ここから、進行を外務省民間援助支援室首席事務官の中野正則さん、GII/IDI懇談会の戸代澤真奈美さんにバトンタッチをいたします。ファシリテーターをよろしくお願いいたします。
○戸代澤 それでは、時間も限られておりますので、早速「(2)協議の部」を始めさせていただきたいと思います。ファシリテーターをさせて頂くワールド・ビジョン・ジャパンの戸代澤です。
「(2)協議の部」は、後ろのスライドの方に出ると思うんですが、2つの論点を御用意させていただきました。
まず、最初の論点は、政策議論の深化に向けて、どうやったらもっと深い政策議論ができるのかということをみんなでディスカッションしていきたいと思います。
2点目は、途上国の幅広いニーズに応えるためにNGOとODAがどのように連携を強化したらよいかということについて、2つの論点を用意いたしました。
それぞれの論点について、NGO側の発議者から説明し、それからこちらのテーブルに座っている委員、関係者の中でディスカッションをし、後半でフロアの皆さんにマイクをお渡ししたいと思います。活発な御意見、御質問等を承りたいと思っております。
始める前に、幾つかのお願いがあるんですが、時間が限られておりますので、御発言はなるべく短くお願いいたします。一人一発言一要点でということでお願いいたします。
発言をする場合には、特にオブザーバーの方々は発言の前に所属先とお名前をお願いいたします。それから、発言の前にどなたに対する質問なのか、コメントなのかなどという点も付け加えてくださるとわかりやすいかと思います。
それでは、まず最初に論点1に関し、神田さんから発議をお願いいたしたいと思います。
○神田 政策議論の深化に向けてということで、先ほど広瀬さんの方から成果についての議論が少ないではないかという御指摘がありました。成果についていろんな方々が重々理解している部分があるということと、それからこの場もすごく大きな成果でもありますね。去年と違うところというのは、いろんな方が参加できるというふうになってきている。より公開性が高まっていく、透明性が高まっていくという、少しずつかもしれませんけれども、それが改善していくという幾つもの成果があるのではないかというふうにも思います。
ただ、そういったことを踏まえまして、先ほど説明に使わせていただきました1枚の紙、「NGO・外務省定期協議会 ODA政策協議会『政策議論の深化に向けて』~議論のさらなる深化のために求められるもの~」というタイトルの紙の最後の部分の説明だけさせていただきます。
政策議論の深化に向けて、これは特に「ODA政策協議会」の今後に向けてこういうふうな3つのポイントの改善というふうなことを早急に図っていくと、より前向きな、そしてより実のある議論ができるではないかというふうな意味合いから入れております。
ただし、そのためにはいろんな作業であったり、労力が伴うということがありますので、外務省、NGO双方の関係者の方々から拒絶反応が出るかもしれませんけれども、あえてそういうことを提案させていただきたいと思います。
1つ目は、先ほど説明しました第1段階というものを達成するために、「ODA政策協議会」における議題に関する情報については外務省はこれを公開するよう努める。公開する文書が恐らく膨大になる場合が多々あるというふうに思います。それらを一々持ってくるわけにはいかぬという場合、最低限外務省は対象文書リストを作成し、「ODA政策協議会」に提出する。例えば、イラク復興支援に関して協議しましょうというときにこういうふうな文書を現在つくっているんですというものがあると思うんです。勿論、情報公開請求という手段でもって私たちがそれを請求するということは可能にはなっておりますけれども、文書名の特定自体がそもそも困難であるというケースが多々あります。こういったものはあるはずだと思って試行錯誤するという前段階に外務省の方からこういったものを作成していて、現時点でこれは公開可となっていますというリストがあるだけで相当次の議論に移る上での助けになる、実のある議論ができるようになるというのは経験的に強く感じる点でもあります。
2つ目は、新ODA中期政策においてさまざまな形で行われたという経験、それこそ成果に基づいての提案でもあります。新ODA中期政策を策定するに当たりまして、原案作成段階で非公式ながら公開で意見交換会を行っていった方がポイントです。非公式公式というのは外務省の判断であるとは思いますけれども、これが公開であるか否かというのは大きな違いがあります。具体的には、私などもわざわざ担当課長が大阪にお越しいただいて、関西のNGO関係者と議論したり、あるいはJICAの施設を借りてテレビでもって議論をする機会をつくったりということをやってまいりました。
ですから「ODA政策協議会」というものは、先ほど申しましたように非常に回数も限られていますし、協議時間も限られている。そこで議論をし尽くすということははなはだ困難でもあります。ですから、十分に議論が進展しなかった場合や、さらなる議論が必要と思われる場合は、NGO、外務省双方の合意を受け、別途、単一テーマの協議の場を設ける。ただし、その場合も協議の公開性を担保する。これは何度も繰り返すところです。 それから、多種多様な参加者の確保のために開催時間、場所等に配慮するというのは、東京で職業としてNGOに関わっておられる方というのは、平日昼間東京開催というものに参加できるわけです。ところが、東京以外におれば物理的にそれが困難であるということ。更には、東京から離れればNGOの規模が小さくなっていく傾向もあります。勿論、東京近辺でも小さなNGOは幾つもあります。そうすると、昼間は別途職業を持っていて、あいた時間でNGOの活動をしている。実は、ここにいる私もその一人ですけれども、私は自由業ですので比較的融通がきいて動けるわけですけれども、友人の中にはサラリーマンをやりながらNGO活動に頑張っている人たちも多くいます。そういう人たちも意見表明ができるという配慮が必要ではないか。これは大阪の小さなNGOに関わっている、私などから見たら大事なポイントではないかというふうにも思います。
3つ目が、今後私たちにとってもすごく大事なポイントであろうと思います。
政策協議の場で、消化不良に終わったケースというものを考えてみると、何も外務省からの情報公開が不十分だったからというだけではないというケースも多々あります。NGOの関係者の方々に反発を受けるかもしれませんけれども、私たちの議題提案の仕方が、十分な説明ができずに不十分であったと見られるようなケースというものも幾つもあるというふうに思います。
ですから、議題提案に当たって提案者、これはNGOだけではなくて外務省から提案されるケースというものも将来的に出てきてほしいというふうには思っていますが、双方は提案に関する根拠となる事実並びに論理的裏付けについて説明することにする。国際会議などでよくファクツ・アンド・ロジックというふうに語られる。どうしてそういったことを提案するのかという事実と、根拠となる論理的な裏付けに関して提案者もきちんと説明をすることによって、一体自分たちは何を実現したいのか、何を提案しようとしているかということを明確にしていく。そして、そのためには自分自身の知見や経験もきちんと開陳するというふうな必要性であります。
そして、それに対する協議については、十分な事実並びに論理的裏付けを持って議論を展開することを原則とするというのは、先ほど報告の中で課題として述べました。ともすれば、どういう理由でもってそのことができないのかということが十分に私たちにもわからない、理解できないままに協議が過ぎていくということが、昨年度3回の協議の中にも幾つか見受けられたということがあります。
ですから、できないというのは当然、外務省、NGO、双方立場が違いますから、幾つも出てくる話であり、差異、相違点というものがあって当然ですし、緊張関係というものが生まれるという関係性でもあろうかと思いますけれども、そういった中になぜかという理由付けをきちんとしていくことによって今後の問題解決の方途を考えていく題材にしていく。そうすることによって恐らくNGOからもより具体的に、更により建設的に、そしてより解決志向、未来志向の提案が改めて出せるのではないかというふうにも思っております。
ですから、協議において十分でない場合には後日書面において補足できる、これは外務省からも書面で説明をいただくということもありでしょうし、NGOからも書面において別途質問あるいは補足説明をするという方策が考え得るというふうにも思っております。
付け加えて、2つ目の論点について、先ほどの和田さんの報告などから思いますと、外務省の方でもこういったテーマ、例えばダルフールですとかいろんなテーマに関して協議をやってきましたというのはありましたけれども、「ODA政策協議会」の議題とのつながりが希薄であったり、関係者が異なるということなどもあって、なかなか周知ができていない。これはNGO側の情報伝達の問題もあるのかもしれませんけれども、そういったことをもっと有機的に連携してつなげていけばより多角的な政策論議が展開できるのではないかというふうにも思います。
雑駁な提案ではありますけれども、以上3点、情報公開、十分な公開性を持った協議の場、協議の仕方としてのファクツ・アンド・ロジックの原則という提案をさせていただきます。
○戸代澤 どうもありがとうございました。
それでは、NGO側でどなたか、神田さんの発議の内容に追加するような点がありましたらお願いいたします。
○西井 名古屋NGOセンターの西井です。よろしくお願いします。
今、神田さんの方からまとめた形で3つ提案をされました。まとめてありますのでわかりにくい点もあるかと思いますので、やや具体的な提案をさせていただいて、少し議論の参考にしてもらえればと思います。
2つ目の「ODA政策協議会において、十分に議論が進展しなかった場合や、さらなる議論が必要と思われる場合は、NGO、外務省双方の合意を受け、別途、単一テーマでの協議の場を設ける」という部分に関してなんですけれども、「ODA政策協議会」においては事前に単一のNGOから協議題の募集をしまして、それから上がってきた議題をコーディネーターの方で議論をしまして、外務省と事前の折衝をして協議会を設けるようなプロセスを取っております。その中には、幾つか協議会まで上がらなかったりとかして落ちていった議題も幾つかあります。具体的には、MDGのテーマなんですけれども、ミレニアム開発目標に関しては何度か事前の折衝でも協議題にということでお願いをしていました。しかし、外務省側でこのテーマについての責任ある回答ができるような準備がまだできていないというような理由で、協議題としてはまだ一度も上がっておりません。
ただし、その代わりという形なんだと思うんですけれども、外務省からの報告というような形で、例えば2004年度の10月15日に行われた第2回目の協議会においては、ミレニアム開発目標について、外務省の方から報告をいただいたとか、それからアフリカ開発会議についての報告もありましたので、この中で議論をしていきながら、それに補足して説明を聞くというようなことをやりました。
ただ、それではやはり議論が不十分になっておりますので、今まさに神田さんから提案のありました個別の単一のテーマということで、MDGについて今後議論の場を設けていただくというようなことが必要ではないかというふうに思います。
開発目標では8つの重点項目が設けられていまして、非常に範囲が広く、分野が広いわけでして、なかなかそれをまとめていくというようなことには苦労を伴うかと思いますけれども、この問題に関心を持っているNGOは多いかと思いますので、十分な公開の原則を守りながらやっていただくということが必要かなと思います。
MDGに対する日本国内の関心も余り高まっていないような感じがいたしますので、併せて国内の関心を広げていくというようなことも必要ではないかと思いますので、一つ提案として挙げさせていただきました。
以上です。
○戸代澤 どうもありがとうございます。
それでは、外務省の方にバトンタッチしたいと思います。
○中野 それでは、これまでのNGO側の発言に対して、まず国別開発協力第一課長の和田課長からコメントをお願いいたします。
○和田 神田さん、どうもありがとうございました。いただいた御提言については外務省の内部でもいろいろ議論をして、またNGOの皆さんとの議論をさせていただく過程で考えていきたいと思いますけれども、とりあえず私個人の感想といいますか、お許しをいただければ、今、感じたことをお話しさせていただきたいと思います。
広瀬の方からも発言があったと思いますけれども、我々もNGOの皆様とやはりパートナーとして途上国の援助を具体的によりよいものにしていくために一緒に働いていければという気持ちがあるわけでございます。
他方、ときどきこう言うと怒られてしまうかもしれないんですけれども、何となくこの議論を続けていっても何も実りも得られないのではないかというふうに思うような場面とかそういった場面も正直ときどきあるわけなんですけれども、何を申し上げたいかと言うと、何らかの目的を達成するためにこういう情報が欲しいということに対して我々もそれに対応していくということは考えていくべきですし、やるべきだと思うんですけれども、とにかく情報開示が究極の目的であって、そのためにとにかく何でも情報を出せということだとすると、それは我々の方の体制も十分あれば理想的なのかもしれませんけれども、日々物すごく忙しくて、さっき広瀬の方からもありましたけれども、本来相談をちゃんとして御報告をしなくてはいけない人にも十分相談、報告ができていないというような、外務省の内部でも大臣とか副大臣、次官、局長、審議官、何とかとかたくさんいろんな人と相談をしたり、報告をしたり、協議をしたりということをやり、説明をすることが求められているわけですけれども、我々往々にしてしかられるわけです。十分な報告がないとか、十分な説明を受けていないとか言ってしょっちゅう怒られているわけですけれども、何でそういうことになるかといいますと、1つには物すごく忙しくて、日々朝から晩までいろいろふってくる仕事を処理していく中で、なかなか皆さんに全部きちんと情報を提供し、相談し、説明しということが実際問題として全然できない。内部の人間であってもできない。それに対して、プレスから、マスコミの人からも質問があり、国会議員からも質問があり、NGOの皆さんからもいろいろ情報提供の要請があるというような中で、実は正直申し上げて、NGOの皆さんとの間でもそれなりにすぐいろいろ、不十分だと言って怒られたらあれなんですけれども、相当努力をしてやっているのではないかと実は思うぐらいやっているんですけれども、そういう中で何ができるのか。それから、何をすることがいい成果につながっていくのかという観点から、勿論いろいろやるとコストがかかりますので、コストとベネフィットをしっかり合わせていくということを考えながらどこまで何をやるかという観点で我々もちょっと考えていかないといけないのかなというふうに思っております。
それから、公開の場でいろいろなテーマについて単一テーマでの協議の場を設けるべしということについては勿論、これまでも少しずつやってきていると思いますけれども、勿論それ自体やるべきことだと思っているわけですけれども、今、言ったようなことも踏まえてどういう成果を期待しつつやるかということかなと思います。
以上です。
○中野 それでは、今の和田課長のコメントに補足することがございましたら、また外務省の方からよろしくお願いいたします。
よろしいですか。
○戸代澤 それでは、NGO側で今の和田課長の御発言に対して何かフィードバックがございましたらお願いいたします。
神田さん、よろしいですか。
○神田 発言しているので申し訳ありませんけれども、今の和田さんのお話を聞いていてもよく思うんです。何度か和田さんとも話をしているので思うんですけれども、問題が結構内部的にいろいろあるということが推察できます。
そのときに、解決の糸口は一体何なんだろうということを今のお話に即して思ったら、内部で報告する人が多過ぎて困っていらっしゃるのだろうか。それとも、人手が少な過ぎて困っていらっしゃるのだろうか。それとも、ODAに関心のある人たちが多様にあるということで困っていらっしゃるのだろうかなんていうふうにいろいろと思うんです。
そのあたりをフランクに出し合ってみて、例えばODA関係の要員が余りに少な過ぎるということがあるならば、そういったことをもう少し世論に訴えるということはどういうふうにしたらいいのだろうかという考え方もあるでしょうし、それからODAに関して口出しする人たちがいっぱいいるというのは、ODAに対しての関心が高いからいいというポジティブにとらえているという見方もありますけれども、例えば、これは私たちのおかしな見方かもしれませんけれども、政治家の方などで特にむちゃな要求を外務省に突き付けて来られたり、せずもがなの報告を求められたりするというケースがないんだろうかなどというふうに思ったりなどもする。
そうすると、いろんなことに関する説明の場というものをいろんな人を公開の場で一緒にやってしまったら手間暇も一つ省けるのではないかなどというふうに思ったりもするんですけれども、その辺の問題の所在というものを確認しながら解決策というものを出していけば、恐らく外務省内の枠の中では荒唐無稽に思われるという提案かもしれませんけれども、ひょっとすると実現するなどということもあり得るのではないか。
ちょっと楽観的過ぎますでしょうか。そんなふうなことを思いました。
○広瀬 私もしゃべり過ぎているのですが、お答えいたします。関係者が多いというより、まず人間の面では、外務省自身がほかの国と比べて人員が少ないと思います。ODAの部署が更にその中で少なく、深刻だということも事実です。
もう一つは、情報。これは整理した方がいいと思うんです。我々が情報として詳細を出したいもの、ただし、今ホットでないものは、実は全然需要がありません。何冊、100ページの情報を出してもほとんどニーズがありません。
今、欲しがられている、例えばサマーワ周辺のODAは何をやろうとしているのかという、政権にとっても非常に機微なテーマで、出せないものを出してくれというのが物すごく多いんです。これは情報公開法で請求されても我々は出せません。それは政策立案のプロセスに係わるものですから、これはどこの国も出していません。出すことによって人命も失われることがあります。そういうものは出せません。
出したいものと出せないものの間にあるものというのは何かといいますと、実はほとんどニーズがないんです。我々ODAを対外的に説明しても、新たなODAの話は不必要というものが多いんです。
つまり、問題は、我々の提供したい情報と、皆さんが求めている情報の間にすごいギャップがあって、それを一般論で言いますと、和田のような答えになります。情報公開法に則り議論しても、我々が出せないものは請求されても断るという答えになってしまうのです。
我々の目からは、皆さんが、できれば長く関心を持ってほしいものと、先を見て情報を求めてほしいという情報があります。政策形成以前の問題であれば、例えばMDGsについて2~3年前から我々は準備はしているわけですけれども、そのプロセスで情報請求していただければ我々は喜んで出します。昨年の段階でどういうオプションがあるかというのを求められれば我々は喜んで出しました。個人向けについても、専門家に対してもいろいろ話し合ったりしています。
こうした情報にはほとんどニーズがないんです。お渡ししても、MDGsとは何かという話なわけです。こういう英文の情報があるんですけれども、まだ翻訳していませんが、どうぞと言っても、そんな分厚い資料要りませんと言われるのが、10出せば8~9ぐらいです。
ですから、情報のギャップ、それから皆さんがニーズとして欲しいと思われるものとタイミング、その間で随分ギャップがあって、政策立案している方は結果が出るまで大体1年ぐらい前に作業を始めているのですが、そういう情報のタイミングをうまく利用していただけたらと思います。
○戸代澤 どうもありがとうございました。
それでは、そろそろフロアの皆さまにマイクを移したいと思うんですけれども、どなたかこの論点に関してコメント、御意見、御質問等ございますでしょうか。
それでは、どうぞ。
○稲場 私、アフリカ日本協議会という団体と、このMDGの関係で補足いたしましたNGOのネットワークであります「ほっとけない 世界の貧しさキャンペーン」の稲場といいます。
先ほど、西井さんの方からMDGに対する取組みに関して定期的な協議会が必要ではないかというような提起がありましたので、私の方から若干補足をさせていただければというふうに思います。
私どもは、1点としてはMDGに関してまだそれほど世論が盛り上がっていないわけですけれども、これに関してどう盛り上げるかというようなことでさまざまな広報手段というものを海外とも連携してやっていこうというふうに考えています。及び政策づくりの面でNGOとして政府と連携をしてどういうことをやっていけるのかということを初発の段階できちんと議論していきたいというふうに思っているところで、私ども自体は5月26日、来週に立ち上げの集いというものをやらせていただくというようなスケジュールになっております。
このMDGに関しては、国の政策課題であるということと、あともう一つ、世論が盛り上がらないとなかなか難しいということが一つあると思います。また、これに関してODAの増額に向けて一歩踏み出せるかどうかということでは、国にとってもNGOにとっても非常に共通する利害もありますし、共通するビジョンというものをシェアできるのではないかというふうに思っているわけです。
その点で、やはりG8からMDGサミットまでの流れの中で、定期的な協議というものをNGOと政府が何らかの形で連携して、例えば世論を盛り上げていくとか、そういうようなことも含めてできないかというふうに思っているところなんですけれども、その点で若干お伺いできればというふうに思っております。
ありがとうございます。
○中野 それでは、今の御質問に対して、外務省の方でどなたか、MDG関連で。
上村課長、お願いします。
○上村 政策課長の上村です。
1つは、国民の皆さんにわかっていただく啓発活動というものは、是非連携してやらせていただきたいと思います。そういう分野での連携というものは、私は恐らく可能だと思いますので、うちのお座敷あるいは政策協議会の枠組みか何かでそういうお話、そういうピンポイントに絞った格好での協議というものは非常に実りがあると思います。
2つ目は、私がそのMDGのお話を聞いてちょっと不安に思いましたのは、MDGがあれだけいっぱいあって、こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいということの言いっ放しだけで終わってしまうと単なる勉強会みたいになってしまいます。先ほど和田も言いましたように、実は我々も担当官はほとんど終電で帰るというような生活をしている中で、そのような勉強会みたいなことは、なかなかやっている暇がありません。
そういう感じですので、広報とか国民の世論をどうやって盛り上げていきましょうかとか、そのプロセスでこういうことを政府としてはプログラムとして考えていると御紹介はできるかもしれませんし、あるいはNGOの方からいろんなプログラムがありますと。その中から、もしかすると支援無償につながるものもあるかもしれないと。こういう対話はあるかもしれません。
他方で、MDG8分野の力点のおき方については、NGO側でも政府側でも様々な考え方、違った見方があり得ますので、そもそも論に立ち返っての、これこれをこうすべしという議論になってしまうと、不毛な議論になる可能性もある。そういう不毛な議論は私はあまりやりたくないという気はするんです。つまり、例えばこの分野は中でも特に大事だと思うので、これを日本政府としてやらないのは問題だ、是非やるべきであるというふうな感じの政策協議であると、我々ちょっと二の足を踏むようなところがあるという気はしてお伺いしました。
今の稲場さんの御提案のピンポイントに絞って打合会をやっていきましょうというのは、私は基本的には大賛成です。よろしくお願いします。
○戸代澤 ありがとうございます。
それでは、本件に関しては、MDGの協議に関して明確なゴール設定を外務省・NGO間で持った上で、それに向けてのさらなる協議を今後の「ODA政策協議会」あるいは「連携推進委員会」あるいはそれらの非公式の勉強会などを通して進めていければと思います。
ほかに、フロアのオブザーバーの皆さんから御意見などございませんでしょうか。
それでは、お願いいたします。
○片山 NHK経済部の片山と申します。
NGOと外務省の連携ということでちょっと質問をさせていただきたかったことがあるんですが、それはNGOの皆さんに対してなんですけれども、いわゆる外務省との連携を取って無償資金なり補助金でお金を上手に使って活動していく。あるいは今日11の提言というふうに、NGOにとって使い勝手のいい無償資金協力というものを提言していくというところまで進めていらっしゃるのであれば、当然、税金を使う以上、NGOにとってもその成果といいますか、税金を使ってこれだけのことができましたということが外部から問われるという状況に徐々になっていくと思うんです。
ただ、そうなりますと、せっかくノンガバメントでありながら周りから監視されて活動がきつきつになるということもおかしい話ですし、そういう意味で日本のNGOがどういう将来の、自分たちはこういう組織になるんだという絵を描いていらっしゃるのか。本当のノンガバメントのプロフェッショナルを目指すのか、それとも日本ならではの外務省などと連携した独自の在り方を目指すのかというところを、どなたかNGOの方にお聞きしたいと思います。
○戸代澤 ありがとうございます。
NGO側の方で、どなたか御発言をお願いします。
野田さん、よろしいですか。
○野田 名古屋NGOセンターの野田と申します。御質問ありがとうございました。
まず、言葉の揚げ足を取るつもりは全くないのですけれども、一つ基本的な認識の問題として申し上げておきたいのは、御質問の中でNGOにとって使いやすい補助金という言い方をされたと思うんですけれども、少なくとも私個人としてはNGOにとって使いやすければそれがいい補助金であるというふうには全く考えておりません。
なぜかというと、我々NGOは、だれのために活動をしているかというと、NGOはNGOのために活動しているのではなくて、主には国際協力NGOの場合ですけれども、途上国の人々の生活向上のため、そして人間の安全を守るために人間の安全保障の観点からやっているわけでして、我々が使いやすければそれがいい補助金である。すなわち、我々にとって使いやすいことを自己目的化していろいろ協議をやっているのではない。勿論、片山さんがそういった意図ではないということは私も存じ上げておるんですけれども、あえて一言申し上げさせていただきました。
すなわち、あの11提言の基本的な考え方にあるのは、まさしく先ほど広瀬さんが御発言になられたように、お互いに利用し合うという観点に立ったときにどういうふうに、例えばNGOにないリソースをODAが利用すれば、より効率的な国際協力、国際開発協力、緊急援助等を含めてできるかという観点に立ったときにスムーズに回るにはどうすればいいかということで、ああいった観点で提言をさせていただいているということでございます。
これが1点です。
2番目としては、そのことと密接に関係するのですけれども、NGOであれ公的なお金を使うということは当然これは税金ですから、納税者に対するアカウンタビリティーというものが発生します。それは別に縛られるとかそういったことではなくて、我々の社会においてないしは世界の市民社会の中で一つのアクターとして活動していく以上は、それは責任とアカウンタビリティーを持つというのは当然のことであって、それを果たしていくことがNGOの役割ではないか。
それは、先ほどプロフェッショナルとかアマチュアとかという御議論がありましたけれども、規模の大小にかかわらず、それは一つの社会アクターとして我々NGOにとってはとても大切なことであり、また逆にそういった形で皆さんの御理解を得ることないしは皆さんに対して適切な説明ができることがNGOそれ自体を育てていくプロセスになるというふうに考えています。
○戸代澤 ありがとうございます。
高橋さん、どうぞ。
○高橋 今の御質問、私、いい点を御指摘されていると思って、感謝をいたします。
私、1つ申し上げたい点は、ノンガバメンタルというものは決して反政府でも何でもない。政府のできないところをNGOがやる。
実は、世界でもNGOが支援しなければならないところ、あるいはNGOでなければ支援出来ないところがあります。例えば反政府地域のところには政府のルートからは入っていけないわけです。そこでは住民が困っている。でも、そこではODAと違ったチャネルで入らなければいけない。あるいは今、世界的な議論のひとつですが、世界の途上国の草の根に一体どのくらいのODAが実質的に届いているんだろうかという大きな課題があります。
今、ここ2~3年の間に世界のODAは500 億ドルから約780億ドルまで増えている。しかし、この巨額なODAが増え続ける中で、草の根に届かないという現状が、世界の援助の構造をゆがめているのではないかという議論があります。そのときに、NGOの役割は途上国の住民に届く援助することができます。世界の貧困削減というけれども、お金を増やせば貧困が減るわけでありません。援助をいかに草の根の住民に届けるかということが貧困削減と繋がったり、乳幼児死亡率を減らしたり、妊産婦死亡率を減らしたりします。
そういうNGOの役割に対して、UNのECOSOCでも、NGOのノンガバメンタルというのは国連のECOSOCがつくった言葉で、政府でできない部分はあると国際的に認めています。これが1960年代、70年代に世界中で議論されました。その議論が日本に来たら、何となく日本ではノンガバメンタルというと、一部の人の間にはノンガバメンタルとアンチガバメンタルが何となくファジーになってしまってよくわからないというようなことになっていまった。政府ができないところはNGOが堂々とやります。その実施に国民の税金が必要であれば、NGOは堂々と使います。しかし、それはフィードバックも必ずやります。それが日本のNGOの一つの姿であると思います。
世界はますますグローバル化しているため、いわゆる国という単位ではできない部分が増えています。政府でできないところをNGOがやります。こういう姿に徐々に変わっていくのではないかと思います。そのような意味で、日本のODAにおけるNGO実施の割合が1%というのは余りにも少ないと考えます。
○戸代澤 議論が白熱してまいりましたが、恐れ入ります、時間の関係でここで一旦区切らせていただき、論点の2番目に移らせていただきたいと思います。
こちらは、NGOとODA、途上国の幅広いニーズに応えるためにどのように連携を強化していったらよいかということを議題にしたいと思います。
高橋さん、発議をお願いいたします。
○高橋 済みません、私が言おうとしていることを今の答えの中で既に話してしまっている部分もあります。先ほど五月女大使からかなり御意見も出していただいたりしているところもありまして、途上国の幅広いニーズに対してNGOとODAがどのような連携ができるかということは、NGOにとっても大変大きな課題です。
先ほどちょっと申し上げましたように、今、我々NGOが要求していることに対してODAが仮に増えたときにNGOはできますかと聞かれたときに、NGOは正直言って、できませんと返答します。NGOにも助走期間が必要です。今のODAのNGO支援金額を5倍に増やしましょう、10倍に増やしましょうといっても、やはりそこには人材も要る。組織的なる対応能力も要る。経験も要る。そういうものが積み重なって、実践を通しての自信が次の自信を生んで行く。このプロセスが必要不可欠です。
私どもが1つ考えているのが、緊急支援のジャパン・プラットホームの仕組みの応用です。ここには、いわゆるいろんな分野の団体が入るようにします。先ほどもNHKの方がおっしゃいましたが、NHKの方も含めて、私がこれからもっとも力を入れなければいけないと思うものは、広報だと思います。市民社会、納税者に対する広報と、援助を実施する立場になると広報してもらうということは、刺激と同時にセルフコントロールになる、そういう効果を含んでいると思います。
一方では緊急援助、復興支援、そして中長期的な開発支援の一体化が必要です。もう一つ、日本も含めて世界の援助が直面している課題は、援助資金が切れたときにほとんどの援助プロジェクトが停止するか、崩壊しています。
ですから、例えば毎年何千億円というお金を使っても、それが例えば3年間とか5年間とか、プロジェクトの期間が終わると同時に途上国の現場ではいわゆる要員が引き揚げたり、活動が止まっています。そこで、NGOの視点で住民参加を促す活動をすることによって援助の自立発展性とか援助の効果が高まります。その視点が、NGOとODAの連携の大きな部分ではないかと私は思います。
我々は援助資金が出ている間や場所しか見ない傾向がありますが、大切な点は援助資金が止まった後に援助プロジェクトやプログラムはどうなっていますかというところを欧米諸国もまだ注意を払っていません。こういうところをNGOは住民参加を促し、イノベーティブなものを考えて援助活動を続けようとして相乗効果を生みます。
私どもは緊急、復興、開発において大切な点はプロジェクトのサステイナビリティー、継続性と自立発展性だと思います。そのような分野は、援助資金の金額ではなく、地域住民の行動の変容を促すことです。いかに住民のやる気を起こすか、いかに住民に心の変化を起こすかということに重点が置かれます。
○戸代澤 ありがとうございます。
それでは、補足コメントを船戸さんの方からお願いいたします。
○船戸 私は、今、高橋さんがおっしゃったことと全く意見は同じですけれども、非常に具体的に申し上げますと、スマトラ沖の地震の問題で、外務大臣がNGOの人たちと話をしたいということで、我々外務省へ行きましていろいろな話し合いをしました。そのときに外務大臣から、やはりこの支援というものは少し長期的に考えたいというお話がありました。私どもも、それに全く賛成しました。
先ほどからお話が出ていますように、日本の支援といいますと、緊急ということが非常にクローズアップされているわけですけれども、実際、問題に携わると、緊急だけではとても済まないわけでありまして、その後の復興、開発というようなものが続いてこないと問題解決にはなりません。また日本の支援というグローバルな点から見ても、ただ緊急だけでは問題解決にならないということ。それは南の方々がよく知っているところです。
ですから、要は緊急、復興、開発をどのように連携して実施してゆくかです。現在、日本のNGOで言いますと、緊急というのはジャパン・プラットホームがやっておりますが、それとJANICなどを中心に集まっております開発をしているNGOがどのようにお互いに意見を交わしつつ、しかも外務省などと意見交換をしつつ、一つの統一された、統合されたプロジェクトとして進んでいくかということが非常に重要な課題であると思うのです。
ですから、この点、先ほど五月女大使から十分な御説明がありましたが、わたしも全くそのとおりだと思います。しかし、先ほど高橋さんも言われましたように、NGOというものが実際に強化されなければ、そういうプロジェクトを担っていかれないということも事実です。ですから、日本のNGOを将来、5年、10年、どういう形で強化していったらいいか。それは、先ほど広瀬審議官がおっしゃってくださったように、未来志向でどういうふうに具体的に対策をしていったならば、これからの日本のNGOを強化していくことができるかということに問題を絞って、具体的に話し合っていくことが重要ではないかと考えております。
○戸代澤 どうもありがとうございます。
NGO側から、補足するようなコメントはございますでしょうか。
それでは、野田さん、お願いします。
○野田 名古屋NGOセンターの野田でございます。今、お二人から御発議あったことに若干補足させていただきたいと思います。
成果報告のところで、高橋さんの方から言及がありましたけれども、先般、外務省さんとNGOの方で日本NGO支援無償のスキームにかんする合同評価をやらせていただきました。私はNGO側の担当者として参加させていただきまして、この評価で得られたレッスンを簡単に紹介して、今の議論とつなげたいと思います。
ポイントとしては、私が言うのも釈迦に説法的で恐縮なんですけれども、NGOを含めて日本全体の開発援助戦略を考えたときに、「人間の安全保障」というものがかぎになっているわけです。「人間の安全保障」というものは、よくよく考えてみると「国家の安全保障」だけでは限界があるから出てきた議論わけです。
即ち、今までのG to G(政府対政府)の援助は勿論大切ですし、これからも続けていくことが大事だと思うんですけれども、それだけだとどうしてもこぼれてしまう人がいる、裨益しない人がいる。つまり、国家によって安全を守られない人々をどうするか、これが「人間の安全保障」のコンセプトの中心になるというふうに私は思います。
これを具体的に日本NGO支援無償のスキームの議論につなげていきますと、例えば、私は合同評価チームの一員として、外務省の方と一緒にカンボジアに行かせていただきましたが、カンボジアにはものすごく辺境の地域がある、ないしはいろんな政治的、社会的な要因で政府の方がアクセスするのは困難なところがあるわけです。ですが、よく考えてみればそういった困難な状況下で住んでいる人々こそ安全が脅かされているんです。ではこうした国家によって守られていない、脆弱で貧困な人々をどうするか。人間の安全保障の観点からはほうっておくわけにはいかない、一人ひとりの安全を守ることが大切であるということになるわけです。
次に、こうした国家が十分に安全を守れない人々をどう支援するかといったときに、当然政府以外のアクター、即ちNGOの役割が重要となります。「人間の安全保障」を促進するという観点から、ODAとNGOの連携および日本NGO支援無償のスキームのことを考えたときに次の2つのポイントが大事であると思います。
まず第1に、事前調査および事後評価についてです。今のスキームですと、事前にプロジェクト予定地行って調べるということはNGOが自前のお金でやりなさいというふうになっています。ですが、政府の支援も届かない、本当に困難な地域に行くのにNGOはどうやって資金を調達するんでしょうか。非常に困難です。
さらに、困難な地域であればあるほどプロジェクトの終了後の持続性や自立性が重要なわけですが、事後評価もNGOがやることになります。しかし、先ほど広瀬さんからも発言がありましたとおり、目に見えるプロジェクトにはお金が出るかもしれませんが、御存じのとおりプロジェクトが終わった後、サステーナビリティーを高め、住民の自立や意識の変化を促し、それを見守っていくことに対してなかなかお金が出ない。こうした点から、プロジェクトそれ自体だけでなく、事前事後のことに対しても民間のお金だけではできにくいことであるからこそNGOとODAがパートナーシップを組んで支援していく必要がある。
第2に、中長期的な複数年の支援についてです。言わずもがなのことですけれども、貧困削減は一朝一夕にはできません。特に「人間の安全」を脅かされている人々にとっては、キャパシティビルディングを含め、息の長い取り組みが必要であり、非常に持続的なプロセスでないとできません。ということは、必然的に複数年かかるということです。
現在のところでは日本NGO支援無償は基本的には単年度ということなっておりますけれども、残念ながら1年間で有効な貧困削減ができると考えるのは無理があるわけです。したがって、本スキームをより「人間の安全保障」の観点から有益なものにするためには、例えばパイロット的なケースとして複数年のプロジェクトを支援し、それを、NGOと外務省さんがお互いに合同評価という形を取ってレッスンを学ぶ中で運用面でうまく改善していくことは可能ではないでしょうか。
以上のように、日本NGO支援無償のスキーム合同評価を通じて、我が国の援助政策である「人間の安全保障」と、それを可能にするための持続可能な発展に対して、NGOがODAと非常にうまくパートナーシップを組んでいくことができるのではないか、そのための課題と政策的インプリケーションは何かについて考えることができました。
合同評価の中ではご紹介した以外にも多くの重要な論点が浮き彫りになりました。また、お互いに意見をぶつけ合い共通の理解をつくっていくということでなるべく両論併記はしないようにしました。様々な制約のため、お互いにとって意を尽くさないところもありましたが、今後の議論を発展していく上で非常にいい素案ができたというふうに考えております。以上です。
○戸代澤 ありがとうございます。
NGO側で、ほかにコメントはございますでしょうか。
どうぞ。
○船戸 先ほどのNHKの方の質問で、ちょっと気になるのですが、NGOというものはODAのお金をもらって何か仕事をしようと考えているのではないかと思っていらっしゃるのでしょうか。そういうことではないのです。勿論、政府と我々は協議して、NGOでなくてはできないところにODAの資金を使って仕事をすることがあります。けれども、それがすべてではありません。NGOは、基本的には市民からの寄附金や会費で運営されております。そして、ODAからのものも、例えば全体の予算の何%までにしようというようなことをきちんと決めている団体がほとんどです。100%ODAのお金をもらって、NGOを運営していこうなどと考えている団体は私はほとんどないと思います。少なくとも、JANICの会員ではそういう団体は許されていません。そのことをもし認識していらっしゃらないということであればえらいことになると思いまして、一言コメントいたします。
○戸代澤 大切なポイント、ありがとうございました。
それでは、NGO側でコメントはよろしいですか。
米山さん、お願いいたします。
○米山 私自身、農業・農村開発NGO協議会の、通称JANARDと呼ばれている30ほどのいわゆる農業関係のNGOに関わっているんですけれども、ここも先ほど五月女大使がおっしゃったようなところ、要するにネットワーク型の組織をもっと強められるようにならないという、まさにそのとおりかなというふうに思うんですけれども、これはなかなかどこのネットワークの中でも抱えている問題ですけれども、やはり財政的になかなか厳しいといいますか、それぞれのNGOが仕事を抱えながらやっているという中でそれぞれ時間を割いてやっていくところで難しさがあるのではないかというふうに常々私も思っております。
そういう中で、2点ほど多少提案というかアイデアなんですけれども、やはり1点は、これも「NGO支援無償」の協力改善の11の提案の中でもあります、いわゆるソフトな部分とも関係するんですけれども、常々思っておりますのは、教育あるいは保健分野でもそういうふうなところがあると思うんですけれども、やはり管理運営の問題はどうしてもネックになったりします。ただ単にプロジェクトが現地で行われるだけの費用を出すと、なかなか難しいところがあって、また事前の調査なりあるいはフォローアップなどというものも必要になってきますので、そういうところがもっともっと改善される必要があるかなというふうに思っております。
もう一点は、よくパートナーシップという言葉が使われるわけなんですけれども、私たちJANARDの中ではいわゆる有機農法を運営委員がいろんなところでやっておるんですけれども、やはりそういう有機農法に対する考え方というものがまだまだ、こういう言い方をするとちょっとあれですけれども、具体的に挙げてしまうとちょっと失礼かもしれませんけれども、例えばJICAの専門家の方々はまだまだこの有機農法に対する見識が少ないのではないか。勿論、専門性は持って出かけるというところもあるんですけれども、どの程度成果が上がっているかというと、ちょっと私たちはクエスチョンマークを付けているというところもあります。
そういう中で成果を上げる、かなりそこの住民にとっても成果の上がる、農業という点で考えると、それの情報交換なり、現場は実際どういうふうになっているのかということの共有をもっとしていく必要がある。そういう意味でのパートナーシップ、そういう人材育成も視野に入れた予算配分も是非これから強めていく必要があるのではないかというふうに思っております。
最初にネットワークの必要性を紹介しましたけれども、今回の津波の復興の中で私たちが関わっているNGOの中でも、最初の緊急支援だけではなくて、その後の精神的なダメージを負った方々、要するにトラウマというんでしょうか、そんな方々への支援というものも、いろいろ現地に入りながら感じているところがあります。そういうことの情報交換なんかも、やはりネットワークの中でしかできないものではないかと思います。
そういうようなことも、NGOは機動性はいっぱい持っていると思います。そういう機動性を発揮できるような、そんな財源の確保なんかも十分なされるといいと思うようなところです。
○戸代澤 どうもありがとうございました。
NGO側が一巡しましたので、外務省の方からフィードバックをお願いしたいと思います。
○中野 それでは、今、4名のNGOの方々から御発言がありました。
それでは、民間援助支援室長の城守室長からお願いいたします。
○城守 時間もありませんので、簡単にお話ししたいと思います。
まず、皆さんからいろいろ御意見がございまして、新しく来ました室長としましては皆様の活動を細かく支援しているつもりなんですけれども、こうやってお伺いしていると、あれも足りない、これも足りないとなかなか大変な部署に来たなと思っています。去年1年間の連携推進委員会のテーマは非常に現実的なと言いましょうか、ある特殊なテーマで実務的な議論がされていたと思うんですが、今回はそれを超えた大きなテーマが出されたと思います。
又、アカウンタビリティーの議論がありましたけれども、そういうことについてはまた実務的に「連携推進委員会」で話をしていきたいと思っております。
そういうことを考えますと、壁がたくさんある。他方で、すべての議題についてすべて並行的にやられると会議ばかりやって終わってしまうような不安もありますから、次回はその「連携推進委員会」、もしくはその前の準備の段階で皆様とお話ししながら、緊急性のあるものに的を絞りながら具体的な方向性を探していきたいと思います。よろしくお願いします。
○中野 それでは、外務省の方で補足またはコメントございましたら、よろしくお願いします。
五月女大使、お願いします。
○五月女 1つ、メディアの方、ちょうどNHKの方に来ていただいているということに大変感謝申し上げます。特に関心を持っていただくということは大変ありがたいことであり、極めて大事なことだと思っています。
私、アフリカにおりましたときに痛切に感じましたのは、今年アフリカを支援するということで注目を浴びておりますけれども、残念ながらアフリカ大陸に53か国ありますけれども、その中で日本のメディアの特派員の方々というのはトータルしても4~5人しかいらっしゃらない。その方々が全部の国をカバーするということで、少なくとも1人で20か国ぐらい見ているというような形で、非常にニュースが伝わらないということがありました。
実は、ちょうど2年ぐらい前、SARSでアジアで非常に問題になっていて、その1か月、2か月の間に700人亡くなったということが大きなニュースになっていましたけれども、その同じ時期にアフリカでは50万人の方が亡くなっている。つまり、1,000倍の人たちが亡くなっているのに、ほとんどニュースにならないというくらい、非常にメディアのカバレッジが小さかったということが経験としてありまして、やはりいろんな問題点、あるいはそれから改善するNGOの問題、ODAの問題につきましても、メディアの方々がそれをカバーしていただく、そこに積極的に取り組んでいただくということがやはり国民の中に支持層あるいは裾野を広げるという意味で非常に大事なことである。
私も何回も申し上げているんですけれども、やはりオールジャパンによる国際貢献あるいはNGO活動というものは政府だけでもできませんし、NGOだけでもできませんし、企業だけでもできません。
それから、そこに必要なものはメディアの方々がそれを報道していただく。いい成果を上げている活動についてはそういう報道をしていただくし、問題点があればそれをちゃんと指摘した上での提言はしていただくという面で、メディアの参加ということが非常に大事ではないかと思うわけです。
今日来ていただいているのは大変にありがたいことで、私はもっとたくさんのメディアの方々に来ていただきたかったと思いますけれども、いずれにしてもそういったことで、日本のNGO活動あるいはODAを更に発展させるためには、メディアの方々のサポートが非常に大きな要因であります。
例えば、ここだけでこうお話ししているだけということは、本当に50人、100人の中の発言ですけれども、メディアの方々は100万人、1,000万人にメッセージを伝えることができるということで、是非とも、これから我々もそうですけれども、NGOの方々のメディアの方々への働きかけということをもっと積極的にやっていただきたいという感じがいたしました。
○戸代澤 それでは、フロアの方にマイクをお渡ししたいと思います。
本当は4時に終了ということなので、時間が過ぎてしまいますので、1名もしくは2名ぐらいコメント等をいただきたいと思います。
それでは、そちらの方、どうぞ。
○秦 シャンティ国際ボランティア会の秦と申します。
5年ぶりにこういう会議に出席させていただきましたので、少しピントが外れているかもしれませんが、1部で質問をすればよかったかと思うんですけれども、ODAとNGOの連携にかかるいわゆる保健、医療、農業、教育、緊急援助、ネットワーク等もNGOと外務省との関係というお話があったわけで、これは成果として挙げられていますけれども、具体的にネットワークがまだ弱いというお話、それから緊急援助についてはかなりプラットホーム系の活動も含めて、恐らく五月女大使の御発言ですと○に近い評価なのかなと思っているんですけれども、ほかのネットワーク等との連携についてNGOの方と外務省の方でどういうふうな評価をお持ちなのか、今後の課題、それから方向性も含めてもしコメントをいただければ大変ありがたく思います。よろしくお願いします。
○戸代澤 ありがとうございます。各ネットワークと外務省との連携状況についてのコメントというような質問でよろしいですか。
こういうものは、いろいろな方が関わっていらっしゃるかと思うんですが、とりあえず城守室長、お願いいたします。
○城守 私の知っているところで、まだ1か月半でございますから、残念ながら今の御質問にお答えできない段階にあるんですけれども、それでも1か月半の間に私が目にしまして、例えばアフリカ関係の問題であるとか、これは現に会議があったものですから、アフリカ支援の日本のNGOの方々といろいろとお話をする機会があったわけですけれども、そのほかにも私どもが送っています支援無償の関係でネットワークNGOの方々と話したこともありますし、これらを踏まえて申し上げれば、先ほど広瀬の方から申し上げましたように、適当な緊張感を持ちつつ建設的な議論ができてきたというふうに思っております。
○戸代澤 高橋さん、短くお願いいたします。
○高橋 今は「連携推進委員会」の方を担当させていただいている立場として、具体例で申し上げます。
例えば、緊急援助の場合には、大体2~3か月の援助が一般的です。しかし、援助している立場としては、2~3か月でいいんだろうかと開発型NGOは考えます。
例えばNGOが仮に保健医療分野で入っても、保健医療はむしろ消費する一方で、収入の確保という意味では農業が必要です。農業と保健医療が一体でなければ、住民にとっては援助は根付きません。
分野を超えてパッケージで動くとか、緊急から復興というものがスキーム上でつながっていないと、NGOの間でも連携は出来にくいと考えます。そういうことの情報がオープンに共有されてきたことは画期的です。
○戸代澤 ありがとうございます。
予定の時間をちょっと過ぎてしまいましたので、まだまだ言い尽くせないこともあると思いますが、今回出ました幾つかの提案事項、これは各小委員会の方で継続討議事項とし、今後の議論につなげさせていただきたいと思います。
それでは、今まで2時間、いろいろありがとうございました。
最後に、五月女大使の方からまとめと閉会のごあいさつをお願いしたいと思います。
4.閉会のあいさつ
○五月女 どうも、本日は遠くからたくさんの方々に御参集いただきまして、ありがとうございます。いろいろな分野で意見交換が行われて、大変に喜ばしい限りです。
私は、やはり政府、NGOの方々の身近なよきパートナーとして顔の見える成果を上げるということが本来のNGO活動の第一歩で、議論だけで終わってしまっているぐらいに思っております。ですから、そのフォローアップをするために、この後いろいろな個別の会合で細かくそれを詰めていくという作業は必要であろうと思います。
それから、この会議も含めまして、公開されておりまして、一般の国民からだとネットの上で見ることができるということで、私もいろいろな方々から聞きますけれども、大変に学者の方々あるいはメディア、政治家の方々もこれを見ていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるということを知りました。そういう面では、この会合は大変大事であるし、そして真剣な議論がされたということは大変によかった、すばらしいことであると思っております。
私、ここで1つ、NGOの方々から提案、質問が外務省の側に行われておりますけれども、逆にイコールパートナーという立場から見て、やはり外務省からの提案と質問ということがNGOの方からでもなされるべきであって、そういうことでお互いに信頼関係あるいは相互理解というものを深める必要があるというふうに思っています。そういうことで、更にこれを発展していかなければならないと思っています。
今年は御承知のように、日本が新しく生まれ変わって60年。そして、国際連合、我々のパートナーであります国連の誕生から60年ということで、ある意味では今年はその60年を振り返り、またこれからの60年を考える節目の年であるというふうに考えております。
私、この間までアフリカにいたせいもございますが、アフリカにある姿というものは今から60年前の日本の姿であります。1957年にアフリカで最初に戦後に独立したガーナという国がございますが、そのガーナという国は当時の日本よりも豊かでありました。GDPでは日本を上回るだけの国でありました。日本を上回っている国というのは、フィリピンもございましたし、ベトナムもありました。そのようにして、60年前当時の日本というのは今の途上国という状況であったことを我々はやはり知らなければならないと思っています。
その日本を救ってくれたのは、やはり国際社会でありました。その中に、大きな役割をしてくれたのは、やはり国際NGOがありましたし、国連もありましたし、世界銀行もありましたし、いろいろな国際社会から日本は助けられて現在になってきたということを我我は忘れてはいけません。
そういう中で、我々日本人の行う国際貢献の在り方は何であるか、どうやったらいいのかということを考えますと、私はやはり顔の見える支援、人から人への支援だと思っております。それは、やはり途上国の人たちが自立できるような形の支援であります。いつまで物を上げ続けるということで途切れてしまったら終わりというのでは、本当の援助ではないと。やはり、数年間は必要かもしれませんけれども、その後はやはり自立ができるような援助を続けることが大事であると私は思っています。
昨年、いろいろと議題になりましたけれども、コロンボ・プランに日本が加盟して50年。1954年の加盟以来、日本はいろんな形での援助をしてきておりますけれども、その当時のコロンボ・プランに入りましたときは、日本はまだ被援助国でありましたけれども、援助国としてのスタートも切ったわけでございます。
そのときのODAというものは、わずかにアジアからの研修生受け入れが16人、そして日本からの専門家の派遣を行ったのがたったの28人。その総額というものが、3,840万円のものでありました。当時の日本の国家予算は1兆円でありましたから、1兆円から見ても本当に少ないものでありました。
しかしながら、日本は持てる技術をもって、お金はありませんでしたけれども、そこで途上国の人たちを助けてあげようということで、人から人へ、そして技術をもって支援するということが始まったわけです。そこに日本の援助の原点があるのではないかと思います。
ですから、人から人への技術指導ということが、現在はまさに人から人へという面で草の根で到達する援助というものは日本のNGOの方々がやっていらっしゃることがまさにそれにつながります。それと同時に、JICAの青年海外協力隊も同じように現場に行って、一緒に汗水流すという面では非常に日本の原点に返った形での援助であるということではないかと思います。それは全体のODAの金額が落ちてきても、その中で何とか工夫すれば行えるものであるというふうに思っているわけです。
残念ながら、先ほども申しましたように、日本のODAは年々減額が続いておりまして、そして日本は世界一のODA大国だと言っていたものが、現在ではアメリカに抜かれて2位、そして、多分2~3年後にはドイツ、フランス、イギリスに抜かれて第5位になってしまうであろうというおそれを抱いております。
これまで日本は、ODA世界一ということを言っていましたけれども、GDPの比率で言えば非常に日本は小さかったですし、実は更に小さくなってしまって、現在は0.19%まで落ちてしまいました。アメリカも小さいんですけれども、アメリカはどんどん増額しているので、また日本を追い抜いてしまう。現在、先進国22か国の中で日本は20番目になってしまっています。つまり、総額でも海外に対して日本の姿勢を示すこともできない上に、今のようなGDPの比率で取っても世界的には低い状況になってしまう。これではいけません。
やはり、私はODAを増やすということは質の改善もそうですし、やはり金額も増やす必要があります。なぜかというと、その中に草の根無償、人間の安全保障無償もありますし、NGO支援無償も入っているわけですから、やはりそれを増やさないことにはどうにもなりません。
そういう面では、先ほども申しましたように、今アメリカが1兆6,000億円を超えていっている。日本は8,000億円を切ってしまうという状況の中で、更に日本のNGO予算というものをもっと工夫して使わなくてはならない状況になっていますけれども、やはりアメリカが行っている、あるいはヨーロッパ諸国が行うように、やはりODAの中のパーセンテージを増やしたい、増やすべきだというふうに思っています。今のように、1~2%だけではなくて、それはやはりアメリカ並みとはいかないけれども、せめてヨーロッパ並みには増やしていくべきではないかと考えております。
ただ、高橋さんもおっしゃっていたように、その受け皿としてのNGOが力を付けないことにはそれは実施できない。幾ら予算を5倍にしたからと言って5倍の活動ができるとは限らない。そうすると、やはり我々の役割というものは、日本のNGOの力を付ける、人材を育成するということにまず力を入れていかないと、本当の意味での日本全体のオールジャパンとしての国際貢献はできないということが言えるのではないかと思っております。
そんなこともありまして、やはり政府が増額すべきであるけれども、ただ増額するわけではなくて、それをまた利用しやすくする努力も必要であると同時に、NGOの方々もやはり努力が必要であります。そこには政府との連携をしていく場合に、その中にはやはり人材の育成も入ってくるでしょうし、体力の強化も必要になる。そして、政府との間で柔軟な姿勢を持って、そこでよりよいパートナーシップの関係を築いていくということが必要ではないかと思うわけです。
本日の会議は、非常に大事なことであって、お互いにそういった面で忌憚のない意見交換ができるという場がこうやって設けられるということは、外務省、NGO双方にとって非常にいいことであると思っています。ですから、これがますます発展していく必要がありますし、そのためにはお互いに努力しなくてはいけません。一方だけが一方的に非難する。一方だけが一方に対応する。そういうことではなく、やはりイコールパートナーということを考えるとすれば、同じように考えていかなくてはならないと思います。
それから、国の予算予算と言いますけれども、国の予算というものはしょせん国民のお金ですから、国民から預かっているお金ということで、決して政府のお金でもありませんし、だれのお金でもなくて、国民のお金ですから、それを国民の代表たる方々であるNGOの方々、あるいは政府の人間が一緒になって使うのは当たり前の話です。ですから、国の支援を受ける必要がないとか、受ける必要があるとかということではなくて、いわゆる国民が出したお金をみんなで上手に使おうという話ですから、そこに垣根をつくってはいけないと思っております。
そんなことで、お互いに協力し合って、そしてよりよいこういった会合は更に継続されていくことを願うわけでございます。今日の議論を、その次の分科会あるいはいろんな会合でしっかりとフォローアップしていただけることを期待しております。
今日は、非常に実りある会議であったと思いますし、たくさんの方々が出席されたことに対して感謝申し上げます。
今日は、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○総合司会 最後に、お知らせを3点させていただきます。
本日の全体会議の記録、議事録は1か月から1か月半を目途にいたしまして、外務省のホームページ、国際協力NGOセンター、関西NGO協議会、名古屋NGOセンターのホームページに掲載いたします。今までの会合の議事録と併せて、是非ごらんになってください。
そして、先ほど申し上げましたアンケートでございますが、どうぞ御記入に御協力いただきまして、入り口のところにボランティアがおりますので、お渡しいただけますようにお願いいたします。
最後に、訂正でございます。
このNGO・外務省定期協議会は、どちらの小委員会も年3回ずつ開催しております。どうぞ皆様方、積極的に大事な御提案、御出席をお願いしたいと思いまして、問い合わせ先を書かせていただきました。どうぞ、何事でも結構でございます、御遠慮なく問い合わせ先、外務省、NGO側、どちらでも結構ですので、御連絡をください。
なお、名古屋NGOセンターのEメールアドレスとホームページアドレスが間違っております。
Eメールアドレスは、nangocというのは名古屋NGOセンターのニックネームですので、info@nangoc.org。
ホームページの方も、http://www.nangoc.org/ でございます。事務局の方の不手際をお詫びいたします。
それでは、皆様、本当に御協力ありがとうございました。これで終わらせていただきます。(拍手)
以上