ODAとは? 国際協力とNGO(非政府組織)

NGO・外務省定期協議会平成16年度全体会議

※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations


■日時 2004年5月14日(金曜日)14時00分~16時00分
■会場 三田共用会議所
■対象 NGO、外務省、NGO関係者、JICA、JBIC
■ 議事次第案 総合司会:民間援助支援室首席事務官・中野正則

1.主催者挨拶 14時00分~14時05分
外務省側:経済協力局審議官・広瀬哲樹
NGO側:特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター理事・西井和裕
2. 報告 14時05分~14時35分
(1) ODA政策協議会(2002年12月~2004年2月)からの報告
報告者
NGO側:「環境・持続社会」研究センター 石田恭子(NGO側コーディネーター)
外務省側:外務省経済協力局政策課長・渡邉正人・・・補足説明等
(2) 連携推進委員会(2002年11月~2003年11月)からの報告
報告者
NGO側:特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター・理事 山口誠史(NGO側副座長)
外務省側:外務省経済協力局民間援助支援室長・城所卓雄・・・補足説明等
(3) 質疑応答(報告内容について)
3.開発に関する国際的議論の動向
(G8サミット、UNCTAD、TICAD等)について
14時35分~14時45分
(外務省からの報告:経済局、アフリカ審議官組織より)
4.意見交換 14時45分~16時00分
議題:「NGOと外務省の対話:どこまで来て、これからどこに向かうのか」
リードオフ:これまでのNGO・外務省定期協議会を振返って(五月女NGO担当大使)
本論:今後のODAとNGOの連携のあり方について
発言者(登壇):計8名
 外務省側(4名)
・経済協力局審議官・広瀬哲樹
・NGO担当大使・五月女光弘
・経済協力局政策課長・渡邉正人
・経済協力局民間援助支援室長・城所卓雄(司会)
NGO側(4名)
・特定非営利活動法人 関西NGO協議会 提言専門委員・神田浩史(ODA政策協議会より)
・ 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター副理事長・高橋秀行(連携推進委員会より)
・ 「環境・持続社会研究」センター・石田恭子
・ 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター理事・山口誠史
5.その他 ・ODA50周年について(経済協力局政策課より)
・海外安全情報について(海外安全相談センターより)
6.閉会 (特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター理事長・船戸良隆)



■今会合事務局 外務省側:民間援助支援室
NGO側:特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター/特定非営利活動法人 関西NGO協議会
協賛:特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター

<出席者> 計:66名

外務省からの出席者(計19名)

1 五月女光弘 NGO担当大使 大使
2 広瀬哲樹 経済協力局 審議官
3 渡邉正人 経済協力局政策課 課長
4 塚田玉樹 経済協力局政策課 企画官
5 和田充広 経済協力局調査計画課 課長
6 山田彰 経済協力局無償資金協力課 課長
7 城所卓雄 経済協力局民間援助支援室 室長
8 中野正則 同上 首席事務官
9 三輪昭 経済局 審議官
10 三上正裕 経済局総務参事官室 企画官
11 伊藤光子 領事移住部邦人保護課海外安全相談センター 室長
12 大場雄一 中東アフリカ局アフリカ第2課 首席事務官
13 阿藤隆司 外務報道官組織国内広報課 課長補佐
14 柘植亮司 外務報道官組織国内広報課 事務官
15 中野卯一郎 国際社会協力部人道支援室 事務官
16 斎藤憲二 民間援助支援室 事務官
17 安田国彦 同上 事務官
18 中島千絵 同上 事務官
19 清水謙一 同上 事務官


JBIC・JICAからの出席者(計3名)

1 佐藤綾 JBIC 開発業務部企画課 業務主任
2 伊藤博夫 JBIC NGO・地方公共団体連携担当 審議役
3 竹内康人 JICA 国内事業部市民参加協力室連携促進チーム、開発教育チーム チーム長


NGO側出席者(計:44名)

1 石田眞帆 CSO ネットワーク 事務局
2 磯野隆蔵 プロジェクトHOPEジャパン  
3 伊藤文美 アジア太平洋資料センター スタッフ
4 内田聖子 ツーリズムマーケティング研究所 スタッフ
5 長有紀江 JCBL 運営委員
6 片山信彦 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン 事務局長
7 倉田洋子 にいがたNGOネットワーク 副理事長
8 小堺元貴 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 インターン
9 釜野徳明 日本ケナフ開発機構  
10 鈴木瑛子 市民平和基金 スタッフ
11 鈴木剛史 AMDA スタッフ
12 高橋清貴 日本国際ボランティアセンター スタッフ
13 高松幸司 ジャパンプラットフォーム 事務局長代行
14 田坂興亜 アジア学院 スタッフ (校長)
15 丹野絵里子 女性と健康ネットワーク(WHJ) スタッフ
16 中村正董 にいがたNGOネットワーク スタッフ
17 野口千歳 財団法人 ケア ジャパン 事務局長 スタッフ
18 平野祐司 財団法人 日本フォスター・プラン協会 スタッフ
19 松山孝弘 特定非営利活動法人 スクール・エイド・ジャパン スタッフ
20 萬代保男 財団法人 オイスカ 地域第一部
21 森田智 特定非営利活動法人 国境なき子どもたち コーディネーター
22 森田恵 特定非営利活動法人 シャプラニール スタッフ
23 守谷季美枝 特定非営利活動法人 国境なき子どもたち 専務理事
24 山形 文 財団法人 日本フォスター・プラン協会 スタッフ
25 山中悦子 特定非営利活動法人 草の根援助運動 スタッフ
26 吉岡健治 特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会 スタッフ
27 吉村龍助 社団法人 国際農林業協力・交流協会
JAICAF
JANARDアドバイザー
28 高橋秀行 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター 連携推進委員会委員
29 山口誠史 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター  
30 野田真里 特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター  
31 戸代澤真奈美 GII/IDI
32 米山敏裕 地球の友と歩む会
33 清沢 洋 ネパールNGOネットワーク
34 神田浩史 特定非営利活動法人 関西NGO協議会 ODA政策協議会コーディネーター
35 西井和裕 特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター 理事
36 石田恭子 「環境・社会持続」研究センター  
37 榛木恵子 特定非営利活動法人 関西NGO協議会  
38 森祐次 農業・農村開発NGO協議会  
39 船戸良隆 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター 理事長
40 山崎唯司 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター 常務理事・事務局長
41 竹崎希 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター スタッフ 事務局
42 渡会裕美 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター インターン  
43 岩尾一輝 JACCESインターン  
44 高橋良輔 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター インターン  



<議事録>

○司会(中野民間援助支援室首席事務官)
 そろそろ時間となりましたので、若干まだ集まりがよくないようですけれども、時間の限りがありますので、ただいまより平成16年度NGO・外務省定期協議会全体会議を始めさせていただきます。
 私は、本日の総合司会を務めさせていただきます外務省民間援助支援室の中野と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、登壇者の紹介をさせていただきます。
 NGO側の方から御紹介させていただきます。
 向かって左側の方から、国際協力NGOセンターの高橋秀行さん。高橋さんは、NGO外務省定期協議会の連携推進委員会の座長を務めておられます。
 次に、国際協力NGOセンターの山口誠史さん。山口さんは、この定期協議会の連携推進委員会副座長を務めておられます。
 それから、関西NGO協議会提言専門委員・神田浩史さん。神田さんは、ODA政策協議会のコーディネーターを務めておられます。
 最後に、環境・持続社会研究センターの石田恭子さん。石田さんは、ODA政策協議会のコーディネーターを務めておられます。
 次に、外務省側に移ります。向かって右側からですけれども、外務省・五月女NGO担当大使。
 続きまして、外務省経済協力局・広瀬審議官。
 外務省経済協力局政策課・渡辺課長。
 外務省民間援助支援室・城所室長。
 以上です。
 それでは、早速、主催者側といたしまして、外務省経済協力局・広瀬審議官よりのあいさつ、並びに名古屋NGOセンターの西井理事よりお言葉をちょうだいしたいと存じます。 よろしくお願いいたします。

○広瀬経済協力局審議官
 外務省の広瀬でございます。主催者の1人として初めにごあいさつ申し上げます。
 本日、蒸し暑い中あるいは遠くからおいでいただきまして、どうもありがとうございます。最近いろいろな事情がありまして、セキュリティを厳しくしております。そういった意味で、外務省においでになるとき、あるいはここにおいでになるときにもいろいろと不自由をおかけしているかと思います。
 本日の全体会合ですけれども、新たな体制になりまして、実務的な議論を踏まえた上で全体会合をするという最初の会合に当たります。私も久し振りにODAの世界に戻ってきたわけですけれども、NGOの方々が実施面で政府機関と連携するだけの段階を通り越したということを実感しました。同時にNGOが政策に関与するというのが定着してきていると思います。例えば、2000年前後、債務削減への働きかけでありますとか、MDGなどの目標設定に当たって大きな働きがあったわけです。
 今後の基本的な方向というのを私なりの期待を込めて申し上げますと、政府とNGOは実施面において、より密接な連携を図るということは当然としましても、政策立案においては適度な緊張感それから距離感というのを持つ。ただ、ODAに吹きます逆風というのがあります。そういったものに対しては、政治やあるいは国民に対してODAの必要性・意義といったものを一緒に説いていくことができればと思っております。
 本日、有意義で建設的な議論が行われるということを期待しまして、最初のあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○西井名古屋NGOセンター理事
 名古屋NGOセンターの理事の西井です。全体会の始まりに当たりまして一言ごあいさつをさせていただきます。
 1996年から始まりましたNGO外務省定期協議会ですけれども、昨年2003年から2つの委員会と、今日の全体会というふうになりました。そういう新しい体制になって初めての会合ということで、非常に画期的な意味があるのではないかなと思っております。
 近年、NGOとか、それから、ODAに対する日本の市民の関心とかが高まっていまして、さまざまな場面でNGOのことが槍玉に挙げられたり、あるいはODAの予算の部分とか、議論される部分が多いかと思います。特に先月ですけれども、イラクにおきまして、日本人の人質事件というのが起こりまして、それをきっかけに自己責任論というようなことで、NGOとか、あるいはそれにかかわってODAというものの在り方に日本の市民の関心が非常に高まっている状況ではないかと思います。
 この定期協議会の中では、外務省とNGOとの信頼関係を築くということでやってまいりました。今日の全体会議の会合をきっかけとしまして、自己責任論において議論が行われましたNGOとは何かとか、あるいはODAの在り方は何かというようなことも含めて、新しいNGOと外務省あるいは政府との関係の在り方を、この場でもって新しく議論していくには非常にタイミングのいい会合ではないかなと思っております。
 今日、実りある議論が行われますことを願いまして、あいさつの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○司会
 どうもありがとうございました。それでは本日の会議の最初の議題といたしまして、NGO・外務省定期協議会のODA政策協議会及び連携推進委員会のこれまでの活動等につきまして御報告をさせていただきます。
 その前に、1つ御説明を申し上げたいんですけれども、会場にお入りいただいたときに各種資料と一緒に質問表というものをお配りしております。議題2の報告と議題4の意見交換につきまして、外務省側あるいはNGO側に対して御質問がある方はこの質問表にお名前と所属先、だれに質問をされたいのかを御記入の上、質問を簡潔にお書きいただきます。議題3の報告の終わった段階で、係の者が白い箱を持って会場を回りますので、その係の者にお渡ししていただければ幸いです。
 回収しました質問ですけれども、時間及び議題のテーマの関係上、こちらで選別させていただきまして、すべての質問にお答えできないかもしれませんけれども、その点については御了承いただきたいと思います。
 それでは、報告に入ります。石田さん、よろしくお願いします。

○石田氏(「環境・持続社会」研究センター)
 こんにちは。「環境・持続社会」研究センターの石田と申します。私は先ほど御紹介いただきましたODA政策協議会のコーディネーターとしてこの1年間働いてきました。このODA政策協議会のことを御存じの方もここにいらっしゃる方は多いと思いますが、念のためにどういったものかを最初に簡単に御説明申し上げたいと思います。
 1996年からNGO・外務省定期協議会が始まりましたが、そこでは政策に関して特に焦点を絞って協議するという場は設けられてきませんでした。しかし、先ほど外務省の方が冒頭のごあいさつでお話しくださいましたとおり、やはり政策に関してもNGOと一緒に協議するというその必要性というのを随分感じてきまして、是非こういった協議会を持ちたい、かつ、その協議の開催の方式というのは、参加を希望するNGOの方はだれでも参加できるといった形で是非開催したいという、そういう要望を何年か言ってきまして、それで、ついに2003年、去年の7月に第1回ODA政策協議会というのを開催することが叶いました。
 この協議会は年3回開催しまして、参加は事前に登録すれば誰でも自由ということと、議事録も外務省・NGO双方それぞれ何を話したかというのを逐語録という形でホームページで公開しております。
 議題を何にするかに関してはNGOの間で事前にかなり準備し、外務省の方と調整させていただいております。こういった形で協議会が開始したということを大変喜んでおります。
 実際、昨年の御報告ですが、配布資料にもありますとおり、2003年度中に3回のODA政策協議会を実施しました。配布資料に議題一覧というのを載せましたので、詳しくどういったことが話し合われたかというのはこちらの方をご覧いただければと思います。
 これまで政策に焦点を絞った協議会があったわけではありませんので、こういうのを開始したことによって、こういった場でNGOからODA政策についてこういう視点を持っているんだとか、こういった手順を考えているんだということを、定期的に外務省の方と情報交換、意見を交換する場が持てたということは昨年度非常に大きな成果だと考えております。
 こうした協議を通じまして、これまではなかなか外務省の方と正直NGOの方とこういった特にODA政策の課題について話すといったことに対する、恐らくお互いどういったことを考えているんだろうという疑心暗鬼みたいなところがあったかとは思うんですけれども、定期協議会3回通じて、徐々に話していくことによって、少しずつ信頼関係というもの、一緒に政策を語るというベースの基盤をつくる上での信頼関係というものが確実に強化されてきたと思います。
 政策面でどういった議題をお話したかというのを少し御紹介します。例えば、ODA大綱が去年8月に改訂されましたけれども、このODA大綱の改訂に関しまして、参加しているNGOの間では内容に関してはいろいろな意見、やはりこうすべきであったのではないかという内容面での意見もたくさんありましたし、改訂プロセスもやはりこうした方がよかったのではないかというのも実はいっぱいありました。が、この定期協議会が開始したのは7月で、ほぼODA大綱ができ上がる直前だったということもあって、そこの場で初めて外務省の方と意見交換をさせていただいて、私が受けた感じでは、外務省の方もこのODA大綱の改訂プロセスというのは本当に万全を尽くして、いろんなところでパブリックコンサルテーションをやって頑張ってらっしゃったというのは、定期協議会を通じてそうだったのかなということをこちら側も理解することができました。
 しかし一方で、それで外務省の方は十分だと考えていらっしゃるかもしれないけれども、実は、私たちは内容面でやはりこうだったとか、あるいは実は改訂プロセスの初期の段階においてもっと早くから議論をしたかったといったことをお伝えすることができたかなという意味で、お互いが感じている課題の認識というものを共有することができたかなと感じています。
 国際平和協力の在り方についてというのも難しい課題ですので、やっと去年、今後どうしていくかなど、議論をスタートできたということかなと思っています。
 また、外務省の方で無償資金協力の審査ガイドラインというのをこの4月にパブリックコメント募集というプロセスに至りましたけれども、そういったプロセスに関しましても、第2回・第3回の協議会で、私たちはこうしたいという話をして、当初はパブリックコメント期間を2週間ぐらいとおっしゃっていたのを実際1か月間取っていただいたりと、それもNGOにとっては成果かなというふうに考えております。
 また、ODA総合戦略会議というのを、これまで長い間開催されておりますけれども、それも今後どうしていくか、あるいはODA中期政策の見直しというのが行われておりますけれども、やはり私たちが一貫して考えておりますのは、そういった初期の段階からなるべく議論していきたいということです。そういったことが昨年1年間開催したODA政策協議会で、課題を認識することができたということで、非常に意義深かったと考えております。また、更に外務省はこういった定義協議会をオープンな形で行うということによって外務省行政の透明化が強化されていくということにもつながると考えております。
 今後、どういったことが考えられるかということはまたゆっくり議論をしていくことだと思いますが、別に財務省・NGO定期協議というものが開催されておりまして、これは世界銀行とかアジア開発銀行といった部分でのODAの問題を議論しているのですが、そこはもう1997年からオープンな形で始めておりまして、これとちょっと私自身の経験もベースにして考えさせていただきますと、例えば、こういった財務省NGO定期協議会が行われているのを基に、協議会以外の場で、例えば、世界銀行ならば世界銀行でインスペクション制度、異議申し立て制度というのがありますけれども、それについて研究会を行おうということで、環境社会配慮研究会というのが財務省主導で行われて、そこにNGOが参加したりとか、あるいはもっと気軽な形で定期協議会で議論ができなかったので、個別にこういうのが問題なのでどうでしょうということも日常的にコンタクトを取って会議を一緒に開いていけるとか、そういったことがあります。
 また、あともう一点だけお話ししますと、例えば、アジア開発銀行などですと、ODAの政策に関して情報公開政策とか、インスペクション政策とかでは、実はパブリックコメントを付すときに、かなり政策作成の初期段階で、ドラフトも2回コメントを募集するとか、すごい先進的な方法を取っています。こういったことも結構議論してきたのですが、是非こういった点をまた外務省さんとのODA政策協議会で今後期待をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

○司会
 どうもありがとうございました。それでは外務省より、もし何か補足があれば、経済協力政策課長の渡辺課長から、よろしくお願いします。

○渡辺経済協力局政策課長
 外務省といたしましても、この政策協議会において、例えば、ODA大綱、アフリカ開発会議(TICAD III)、日ASEAN特別首脳会議におけるメコン開発などについて報告し意見交換を実施させていただいております。
 大綱とのかかわりでは、ODAの新しいテーマあるいは課題として、平和構築であるとか、人間の安全保障といった点が大綱に掲げられておりますけれども、こういった点についても意見交換が行われているのではないかと思っております。
 過去2回の政策協議会での主要な論点の1つというのは、イラクに対する復興支援あるいはその中での国際平和協力の在り方ですが、これは我々にとっても新しい課題であり、チャレンジであり、論点であります。NGO関係者との意見交換は我々にとってもとても参考になる点を含んでおり、こういった形での意見交換を今後とも継続する中、よりよいODAを目指していくという努力を今後とも続けていきたいと思っております。

○司会
 どうもありがとうございます。次に進みまして、連携推進委員会側の方から、NGO側の副座長でいらっしゃいます国際協力NGOセンターの山口さん、並びに外務省経済協力局民間援助支援室長の城所より報告いたします。

○山口氏(国際協力NGOセンター)
 今、御紹介にあずかりました副座長をしております山口です。
 石田さんから先ほどお話がありましたように、もともとNGO・外務省定期協議は1つのものだったんですが、それが、理念の部分を話し合うODA政策委員会と、そして具体的なNGOとODAとの連携ということを議論する連携推進委員会に分かれて、連携推進委員会ではこの2002年11月から今年3月までの間に5回の委員会と2回の学習会を実施してきました。
 詳しい内容に関しましては、資料の2ページ目にあるとおりなんですが、2002年11月から始まりまして、まず、この連携委員会そのものが何を目的に、どういう内容で議論を進めていくか、特に協議内容に関しては、現行の連携推進策を議論する。しかし、それだけではなくて、対話を促進し、推進策以外のどういう協力関係がつくられるかということを議論することが確認されました。そして、具体的に今までの支援策にはどういうものがあって、どういう良い点・悪い点・問題点があったか、改善点があるかということを議論していく中で、NGO側より、日本NGO支援無償資金協力改善のための11の提案というのが提案されました。
 この連携推進委員会で非常によかったのは、議論を進めていく中で、公式の場、委員会の場だけでは話し切れないところがあり、具体的なスキームに関してインフォーマルでもいいので、ざっくばらんな話をしたいというNGOからの希望がありまして、それが2回にわたる勉強会という形で行われました。特に、2003年8月に行われた勉強会では、シャプラニール=市民による海外協力の会の事務所を会場としてお借りしまして、当初の予定をオーバーして4時間にわたって非常に突っ込んだ議論がなされました。それを含めまして11提案というもの、その内容に関しましては後で簡単に触れたいと思うんですが、その提案の内容を委員会の場でも確認をしながら議論を続けてきました。 また、今年の3月に行われた委員会では、今後、NGOと外務省が協力していく中で、外務省におけるNGO支援のビジョンが何かということを少し議論する機会もありました。
 今、簡単にこの1年半を振り返ってみたとおり、中心的な議題は外務省によるNGO支援にかかわるスキーム設計であり、国内及び実施国における実際の案件、実践例を基に議論をしまして、NGOの方からこういう点は改善してほしいという提案がされ、それに対しての外務省から、こういう点に関してはNGO側の要望に歩み寄れる、あるいはこういう点はちょっと難しいというような意見交換がなされてきました。
 この1年半を振り返ってみますと、委員会の場、そして先ほど出ました非公式の勉強会の場を通じて、突っ込んだ議論を重ねていくことによって、NGO・外務省双方で意思の疎通が図れ、信頼関係が築かれた、醸成されたということが非常に大きな成果だったと思います。
 そういった信頼関係に基づいて具体的なスキーム、今、外務省としてNGO支援の一番基本的なスキームである日本NGO支援無償に関して、具体的に突っ込んだ議論が行われて、それが一部改善され、また運用によって対応できるところは対応しようということで合意ができつつあります。
 その中心的議題でありました11提案というのはどういうものか、詳しくは添付資料を見ていただきたいんですが、主に3つのテーマに分かれております。
 まず第一は、より効率的かつ効果的な援助を促進するための制度にしてほしい。ODAの中でNGOへの資金というのはまだ非常に少ないわけですけれども、NGOの特性を生かし、その長所を伸ばすような支援が行われるということが重要である。それは例えばソフト重視、社会開発というものが非常に重視されている中で、箱ものではないNGOが得意なソフトを重視した支援。それと、補助金・助成金は政府のお金的には単年度支援になっているんですが、プロジェクトは1年では終わらないわけで、複数支援にしてほしい。また、NGOがローカルNGOや国際NGOを含めて協力してやっていくパートナーシップ型の支援というものを認めて重視してほしい。こういうNGOの特性を生かした支援というものに変えてほしいということです。
 2番目が、NGOの能力強化を促す制度、1つには現地のローカルスタッフに対しての継続的な雇用の保証ですとか、また、細かい点ですけれども、見積書の提出やタイムシートの改善、本国銀行送金等々具体的に改善できる点に関しては改善していただきたいし、また、NGOの専門性を正当に評価して、NGOなら安くていいんだというような人件費に関しての考え方を変えていただきたいという分野。
 そして、3番目に、NGO、外務省との情報の共有と信頼関係の強化。具体的に言いますと、在外公館で言われることと本省で言われることはちょっと食い違うことがある。あるいは本省の中でも担当者の方によって微妙なニュアンスの違いがある。そういう点に関して意思統一を図ってほしい。
 それとこれは一番NGO側の強い要望だったんですが、審査を迅速化してほしい。昨年がNGO支援無償の初年度であったということもあるんですが、申請から決定に至るまで非常に長い時間かかってしまった。そのために多くのNGOが自己資金でその分をカバーしなくてはならなくなって財政的な基盤が揺らいでしまった、非常に危機的な状況に陥ってしまったという声が幾つかのNGOから強く出ました。それに対して、是非申請から決定まで2、3か月以内で出るようにしてほしいというような要望が出ました。 また、これらを含めて制度設計プロセスにおいてNGOの参加と意見が反映できるようにしてほしいというような、こういうことが提案されました。
 このように議論していく中で、ある部分制度的な枠組みの中で難しい面はあるけれども、運用でもって対応しましょうというのが全体的に外務省からの答えでした。例えば、ソフト重視に関してはJICAとのデマケーションのために、なかなかソフトだけというのは難しいんだけれども、それを運用でもって対応しましょう、ですとか、そういうような形で非常に歩み寄りがあったことを連携推進委員会のNGO側委員は外務省に対して感謝しております。
 また、制度設計プロセスにおける参加というのは、そういう議論を積み重ねていく中で、あるいは学習会等におけるざっくばらんな意見交換において、非常に進んできたと思います。ただし、まだ私たちからの提案を聞いて、それを外務省の中で議論をして答えを出すというような状態なのですが、できれば一緒になってつくっていくというようなことができればと思っております。
 今後、連携推進委員会をどのように続けていくかについてですが、この1年半の成果を基に、例えばかなり突っ込んだ議論によって改善が進みつつあるNGO支援無償に関して引き続きフォローしていきたいと思っております。
 それとまた、外務省、NGO双方によるNGO支援のビジョン、これはまず先にNGO側が出さなければならないのですが、いかにNGOと外務省ODAとが協力していくか。基本的にODAとNGOは異なる理念、役割を持っておるわけですが、途上国の生活改善や社会的公正の実現という意味では協力できる部分がある。お互いに違いを認めつつ協力していく中で、どういうビジョンを持って進んでいったらいいかということを現在意見交換をしております。
 また、NGO環境整備事業、これは直接的な途上国支援以外の部分での外務省からの支援ですけれども、その部分について、利便性・成果について現状分析をすると同時に、これから改善のための議論をしたいと思っております。
 それと、単に資金的なやりとりだけでなくて、人材交流や相互研修等、外務省とNGOとの間で資金以外の分野でどう交流できるか。その中には、ここ3年ほど続いております外務省によるNGOへのインターン制度などもありますが、そういう相互理解と人材交流というものを今後進めていきたいというふうに思っております。
 そういうことを含めて、その他連携の在り方に関して議論を進めていくということが、今後の連携推進委員会の役割だというふうに思っております。以上、簡単ですが、この1年半の活動を御報告させていただきました。

○城所経済協力局民間援助支援室長
 どうもありがとうございました。外務省の城所でございます。私の方から、今、山口さんが言われた点にコメントというわけではないんですけれども、振り返ってみますと、やはり外務省とNGOの間で言えば、活発な意見交換ができたなというのは私も同感でございます。我々の基本的なポジションとしてはNGOにもっと体力をつけてもらおうという中で、いろいろな支援・連携というのを考えてきたわけで、先ほど言っておられた11の提案については、私たちもかなりサポートできたなと思います。
 それで、彼が3点挙げたのですが、強いて挙げれば、審査の迅速化ということをちょっと紹介しようと思うんですけれども、平成15年度案件でも申請書がわりと出てきて、それでよく担当官ベースで「補正」と言っていますけれども、中身の確認とかはしますけれども、それがなければ2週間程度で我々は承認しているケースもあります。
 要するに、学校の宿題ではないんですけれども、宿題が出て、それがリターンが遅いと、いろんな意味で遅くなるわけですけれども、何もなければさっと通っていくという事例はたくさんございますので、もし、宿題というものが出た場合でも迅速に処理していただければ、もう翌日でも我々はどんどん手続ができていくわけで、そういう意味では引き続き迅速化ということを図っていきたいと思っています。
 それから、当方としてみれば、先ほど11の提案がございましたけれども、要するに、NGOの方の利便性ということをもっともっとこれから求めていこうということですが、他方で、アカウンタビリティというのか、それだけの責任というのを果たしていただかなきゃいけないということがあるので、そこがいつも車の両輪であるということをお願いしております。特に昨年、私が着任して2週間で補助金の不正受給事件が発生して、私もショックを受けたことがあるのですけれど、やはりそういうことが起きると若干身構えてしまうということがありますので、先ほどお話しました利便性とアカウンタビリティということについては車の両輪だということを是非理解していただきたい。
 それから、我々の最終目的というのはよく例に出ますけれども、アメリカやヨーロッパの先進的なNGOに対峙し、日本のNGOがそれに対等な能力を持っていただいて、最終的には外務省の資金のみならず、国際機関の資金も活用できるというところまで行っていただきたいというのが私の本音なものですから、引き続き、外務省・NGOで協力してやっていきたいと思います。
 最後、一点ですけれども、その外務省との人材交流でございますが、勿論、外務省もインターンでNGOにお世話になっております。実際外務省の在外公館に専門調査員の制度がございます。只今220名行っております。任期が2年なんですけれども、そのうちときどき何名かが1年間更新しますから、3年勤務の方もいらっしゃる。となると、毎年70名ぐらいが新たに専門調査員として入ってくるんですけれども、現在、前職がNGOで、現在専門調査員に就いている方というのは4名おりました。それ以外にNGOから民間企業とか、また大学とかで勉強して専門調査員に入ったとなると、そこまでは実はデータがないんですけれども、いろんな意味で門戸は開放されていますので、もっともっと頑張っていただきたいと思います。
 とりあえず私からは以上です。

○司会
 それでは、続きまして意見交換に入ります前に、G8サミット、UNCTAD、TICADなどの開発に関する国際的議論の動向につきまして、外務省より報告させていただきます。
 本日は外務省の担当部局であります外務省経済局の三輪審議官、経済部総務参事官室の三上企画官、並びにアフリカ第2課大場首席事務官が来場しております。報告は三輪審議官よりさせていただきます。なお、御質問があります場合には、この議題のみに関しまして、三輪審議官の報告の後に挙手でお願いいたします。その際には所属先とお名前をよろしくお願いします。

○三輪経済局審議官
 ただいま御紹介にあずかりました外務省経済局の審議官をしております三輪と申します。10分ほど時間をいただいておりますので、最近の国際場裡における開発問題にかかわる議論の動向ということで報告させていただきます。
 お手元に「開発問題に関する国際的な議論の動向」という紙を配布しておりますので、それに基づいて行います。
 昨年は3月に水フォーラムがあって、6月にエビアン・サミットがあって、10月に、先ほども言及がございましたけれども、東京において第3回のアフリカ開発会議TICAD IIIというのが開催されております。ここにおられる方々もこの件についてはよく御存じではないかと思いますけれども、わが国がアフリカとの関係で、イニシアチブをとっているものでございまして、第1回が93年、第2回が98年、それで昨年が第3回ということでございます。
 今回は従来以上に多くの参加を得まして、85か国47機関、特にアフリカからは研修に23人も東京に参加いただいたということでございます。総理の方からはここに書いてありますとおり、「人間中心の開発」、「経済成長を通じた貧困削減」、「平和の定着」という3本柱の対アフリカ支援イニシアチブというのを発表しております。
 また、この機会に国際社会の対アフリカ支援の方向性を示すというTICAD10周年宣言というのを採択しております。
 わが国の独自のイニシアティブとしましては、エイズ対策を含む保健医療、教育、水、食糧支援等の分野で今後5年間で10億ドルを目標に無償資金協力を実施するということを表明しておりますし、また分野横断的な目標として南南協力、人間の安全保障ということを挙げております。
 この会議以降、フォローアップに努めておりまして、平和の定着という意味ではアンゴラとかコンゴとかリベリア等において、元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰、難民の帰還支援というようなことをやっておりますし、またアジア・アフリカ協力を推進するということでは、4月に日本の支援の下でセネガルにおきまして、UNDPが第3回アフリカ・アジア・ビジネスフォーラムを開催しておりまして、そのフォーラムでは59件の商談、金額にして3,600万ドルが成立したという報告を受けております。
 今から3週間ほど経ちますと、アメリカのジョージア州の海岸シーアイランドにおきましてG8サミットが開催されます。今回の主要なテーマはその紙に書いてございます世界経済貿易、大量破壊兵器の不拡散、テロ対策、地域情勢とありまして、開発も1つの主要テーマになるのでございますけれども、本年の特徴としてはODAそのものというよりはODAを補完するものとしての民間資金・活力の活用ということが1つのテーマになる見込みでございます。
 より具体的に申しますと、例えば先進国に多くの途上国から労働者が来ておられる。それが稼いだ資金を本国に送金する。この送金する額が現時点で、年間900億ドルと言われておりまして、ODAが今、500億ドルということであるとして、それの2倍弱のお金が送金という形で途上国に流れている。そこで、1つは送金にかかわる手数料を何らか大幅に削減できないかということ。それから送金されたお金が途上国の開発、国内の開発に利用されるように持っていけないかというようなことで今議論をしております。
 また、途上国の貧困対策として、やはり経済の浮揚のためには途上国に民間企業というのを育ててあげないといけないということで、恐らくはマイクロないし中小企業の企業の立ち上げ増資のための何か資金的な支援はできないかということで、これは恐らく多国間の開発金融機関に何かより中小企業ないしマイクロファイナンスに焦点を当てたイニシアチブをとってもらおうというような方向で議論をしております。
 また、この民間資金活用及び民間活力の活用という以外にも従来から議論しております保健の問題、ポリオ、エイズ、またアフリカは特にエチオピア等アフリカの角と言われる地域を中心とした飢餓の問題というような議論も行われる予定でございます。
 6月サミットの後、今度はブラジルのサンパウロにおきましてUNCTADXIが開催されます。UNCTADは4年に1回この種の会議をやっておりますけれども、本年はここに書いてありますとおり、途上国の開発戦略とグローバルな経済プロセスとの間の政策一貫性の強化というふうなことがテーマになっておりまして、より言いますと、途上国の生産能力の模索、それから貿易からの開発益の確保、それから市民社会及び民間部門とのパートナーシップ、というようなことについて議論がなされるということでございます。
 ここには書いてございませんけれども、WTOが今ドーハラウンドということでジュネーブで交渉が続けられておりますけれども、本年の7月に今後の交渉の進展のためのフレーム枠、枠組みについて合意しようという今機運がジュネーブで出てきておりまして、従来と違って、今WTOは大多数の国が途上国でございまして、途上国が貿易から利益を得るということが確保されないと全体の交渉がまとまらないということで動いておりますので、7月に向けて、今言いました点、途上国が国際貿易体制の中からどういうような利益を得られるのか、得ることを確保できるのか、その辺について議論が7月を目途に進んでおるということでございます。
 ページをめくっていただきまして、来年でございますけれども、来年はG8サミットの開催国はイギリスになります。イギリスは現時点で既に国連のミレニアム開発目標、それの実施を確保するための資金ないし資金不足の充足というような問題について、もう既にいろいろ考えを述べ始められておられていますし、またアフリカということに焦点を当てたいという意向だということでございまして、来年のイギリスになると、今年の民間をいかに途上国の開発に利用するかということから、伝統的な、要するにミレニアム開発目標ないしODA、その資金をどう確保するか、そういうふうな話にまた中心が戻ってくるのではないかと思います。秋にはミレニアム目標のレビューというのが、これは国連で首脳レベルで行われることが予定されておるということでございます。
 私の方からはとりあえず以上です。

○司会
 それではもし御質問がありましたら、挙手でよろしくお願いいたします。よろしいですか。どうぞ。所属先とお名前をよろしくお願いいたします。

○高橋氏(日本国際ボランティアセンター)
 御説明どうもありがとうございました。日本国際ボランティアセンター事務室の高橋と申します。
 今の御説明の特に2005年のイギリスで行われるG8サミット、これでミレニアム開発目標MDGの議題がまた戻ってくるというか議論されるというお話でしたが、これに向けて日本はどのようなレベルで、どういうふうなことを今、今年1年ぐらいかけてやろうされているのか、何か計画があれば教えていただければと思います。

○三輪審議官
 率直に申し上げまして、我々は今から3週間後に行われるそのシーアイランドのサミットの準備で毎日忙殺されておりまして、開発問題にかかわる国際的な議論の動向ということで、アメリカがかなり特徴のあるリーダーシップを発揮しておりますが、それ以外のイギリスのような話があるということをちょっと私、御説明させていただきましたけれども、イギリスのプロセスは勿論正式には始まってはおりませんし、それに対して日本がどう対応していくかということも、これもまだもう少し先のことになりますので、残念ながら現時点で我々が今説明できることはないかと思います。

○司会
 そのほかございますでしょうか。どうぞ。

○田坂氏(アジア学院校長)
 アジア学院の田坂と申します。このG8シーアイランドサミットの中でアフリカにおける飢餓という項目がございますけれども、これは具体的にはどういうことが行われる予定なんでしょうか。
 1つ気になりますのは、このアフリカについての大きなパンフレットの例えば16ページでも日本の2国間ODAの形態的配分でどうも技術協力よりも無償資金協力という形でものを与えるという形のものが従来、特に食糧増産援助では農薬、化学肥料等、そういったものが余りにも中心であったために、本当に飢餓をなくすことにそれが役立たなかったように今になると思います。そういう点でどのような内容のものを、そして特に技術支援としてはどういったことが考えられているのかを、もしお聞きできれば御説明いただければと思います。

○大場アフリカ第二課首席
 御回答申し上げます。アフリカ第二課の大場です。
 アメリカのG8サミットで飢餓の問題については、エチオピア、エリトリア、ソマリア、広く言えばスーダンを含むアフリカの角地域、特にエチオピアが焦点になっております。今、御指摘のありました無償資金協力と技術協力を通じて、どのようなことを日本は実施しているのかという点については、この地域ではもう何十年も飢餓が続いていまして、飢餓は構造的な問題になっているため、そういう中で、単に食糧援助ですとか食糧増産援助というのを繰り返していてもその問題は永遠に解決しないということが日本だけではなくて、アメリカも含めG8各国が共通の認識を持っております。飢餓問題については構造問題に対して中・長期的な取り組みが必要であるとの認識が共有されています。勿論、現に食糧不足で困っている人はいますので、食糧援助というのは引き続き大事です。けれども、それだけではなくて別な対応が必要だということです。
 そういう中で、エチオピアを例にとりますと、エチオピアでは一部の地域で非常に食糧が不足して困っておりますが、一方で食糧が余っている地域もあるのです。そのために何をするかとなると、余剰地域と不足地域を結ぶための市場の整備ですとか、あるいは流通ネットワークですとか、あとは道路の整備が必要になってくる。日本は、エチオピアの首都アジスアベバと北部の穀倉地帯を結ぶ道路建設プロジェクトを無償資金協力を通じて支援しております。
 それから、技術協力の面では、エチオピアの農業省に日本の専門家を過去2年以上にわたり派遣しています。その専門家を通じて、エチオピアの食糧安全保障政策の構築のための手助けをしております。そういったこともあって、エチオピア側自身も最近は新しい取り組みを始めておりまして、去年ぐらいから食糧安全保障連合、食糧安全保障のためのコアリションというのをエチオピア政府が中心となって作っておりまして、これはまさに我々がTICADで言ってきたアフリカのオーナーシップ、つまりアフリカの自助努力が顕著にあらわれた例と言えます。そして、日本を含むG8、それから国際機関も支援して、特に現地ベースで、現地のNGOも入る形でエチオピアの食糧安全保障というのはどうあるべきか、どのような支援を実施すべきかという議論を続けています。それと軌を一にして、今回G8のサミットで飢餓問題というのが取り上げられているという状況でございます。

○司会
 そのほかに御質問がありますか。もし、なければ、これで報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、ちょっと確認をしたいんですけれども、お手元にお配りしております質問表への御記入は終わりましたでしょうか。もし終わっていなければ、この機会に回収をしようと思ったんですけれども、もし終わっていなければ、この後、議題4に移りまして、意見交換が行われますけれども、その際に、係の者が回ります。
 それでは、もう少しお時間を差し上げますので、次の議題4に移ります。
 このセッションから、外務省から経済協力局の山田無償資金協力課長、それから、和田調査計画課長も参加しておりますので、登壇をしていただきます。
 それでは、初めに、リードオフといたしまして、五月女NGO担当大使より、これまでのNGO・外務省定期協議会を振り返って御発言していただきます。それに続きまして、今後のODAとNGOとの連携の在り方ということで、外務省側より広瀬議官、渡辺政策課長からも発言をしていただいた後に、NGO側の方から関西NGO協議会の神田さん、国際NGOセンターの高橋さんから御発言をいただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

○五月女NGO担当大使
 どうもこんにちは。ようこそお忙しい中参加していただきましてありがとうございます。
 今年、御承知のようにコロンボプラン、日本がODAを開始いたします1954年の10月6日から数えまして今年50周年ということで、いろんな行事がこれから行われるかと思っております。また、御承知かと思いますけれども、NGO補助金あるいはNGO支援のための草の根無償がスタートいたしましてから15周年経ちますのと、それから皆様と御縁のあります民間援助支援室が創設されてちょうど10周年になります。そんなこともございまして、今年はある意味でODA、NGOとの関係では非常に意義深い年でございますけれども、その年にこういった全体会議が行われるということは非常に喜ばしいと思っております。
 御承知のように、このNGOと外務省との定期協議は8年前にスタートいたしまして、ちょうど私はそのころ東京の経協局におりまして、最初のときから見ておりますけれども、そのときから見ますと非常に各分野広い分野にわたりまして協議が行われまして、そして、いろいろなことが生まれてまいりました。皆様それはもう御承知のように、もう既に担当の課長、担当の室長からお話しされていますので、そこは省きますけれども、いずれにしましても、それまで15年前、10年前というのはやはりそこに大きな溝がございまして、なかなか協力関係が生まれなかったという中で、この定期協議が始まりまして、そして現在に至っている。そして、この50周年コロンボプラン、ODA開始50周年の年に全体会議が行われるということは非常に喜ばしいことだと思っております。
 私は昔からよく言うんですけれども、日本という国は、歴史上国際交流と国際貢献で最も恩恵を受けた国であるということを常日ごろから思っておりますし、言ってきております。更に日本は恩恵を受けたことに対してしっかりと恩返しを国際社会にしてきている国であるということで、これをまず更に続けていかなければならないということを思っておるわけでございます。
 御承知のように戦後の日本が今から約60年前に、日本という国は今のアフリカ諸国、皆さんのお手元にパンフレットがございますけれども、アフリカ諸国と何ら変わらないぐらいにGNPも小さかったし、そして食糧難、いろんな面で悩んでいたときですけれども、そのときに日本は国際NGOの連合体であるララとか、あるいはケアといった国際NGOから大きな支援を受けまして、その支援が6年間続いたわけですけれども、わずかコロンボプランが始まる1954年の2年前に、国際NGOからの支援が終わったということでございますので、ある意味では非常に日本という国が困ったときに本当に助けてもらったんだということをやはり現代の我々も忘れてはいけないと思います。
 更に、その当時、コロンボプランが始まった1954年は国連ユニセフの援助をまだ受けている最中だったと。ユニセフは10年間にわたって日本に対して、当時のお金で65億円の無償資金をしてくれましたけれども、それがまだまだ続いている段階だったんです。でも、当時の日本はやはり国際社会に何か貢献しなくてはいけないということで、小さな規模でしたけれども、コロンボプランに加盟して、そして研修生の受け入れ、専門家の派遣といった十数名の小さな規模だったけれども、とにかく国際社会に貢献しようといってスタートしたわけでございます。
 そんな意味で、この50年目という今年は、ある意味では非常に意義深い年になっておりまして、私はこういったときにこういう会議が行われて、更に前に一歩前進するということになっていけば非常に私はよろしいのではないかなと思っております。
 更に日本という国は、先ほどから申しましたように、国際社会から非常に恩恵を受けた国であるということを忘れない上に、やはり日本という国は政府だけでは国際貢献はできない、NGOだけでもできない。ある意味ではオールジャパンでやらないとうまくいかないわけです。ですから、現在は外務省とNGOの定期協議をやっておりますけれども、更に最近ではジャパンプラットフォームというものがございまして、経団連等も参加していただいていますけれども、日本政府と、それから自治体と、それからNGO、それから企業といった官民のあらゆる部門にわたる皆さんが協力しあってこそ、NGO活動もODA活動もうまくいくのだと。それぞれの持っている力を寄せ合って、そして初めてそこに効果が上がってくるものだと思っております。
 ですから、この政府とNGOとの定期協議の対話がこれまでもずっと積み重ねが行われまして、効果的・効率的、そして透明性を持って、この3つのモットーを持ってずっと行われてきたということで、それはまさに継続は力なりということで、継続しているということが非常に大事なことである。更にそれが次の将来に向けて発展していくものであるというふうに思っているわけでございます。
 私は、たまたま今日お配りしてあるパンフレットを見てつくづく思ったんですけれども、私はNGO担当大使になる前にザンビア大使とマラウイ大使をやっていましたが、アフリカというのは日本から遠いということもございまして、非常に注目が少ないというのは極めて残念でございます。私はアフリカの応援団として、もうちょっと日本の方にもアフリカに目を向けてもらいたいなと常日ごろから思っているわけです。
 ですから、どうしても日本はアジアの国としてアジアに中心を置く、あるいは石油問題等において中東に対して注目するということは必然的なことなんですけれども、やはり遠いからといって、それは見捨ててはいけない。遠いところに53の国があって、そういう国々は日本に対して非常に大きな期待を持っているわけです。ですから、残念ながら在京大使によく言われるんですけれども、アフリカの諸国は日本の東京にほとんどの国が大使館を置いているのに、日本国はアフリカには53も国があるのに19しか置いてくれないと。多くの国々が兼轄公館になってしまっている。すごく片想いになっているのが残念ですと言うんですけれども、やはりそれは何も外務省ばかりに限らず、こちらにマスメディアの方がいらっしゃったらちょっと申し上げたいんですけれども、やはりアフリカに特派員というのはそれこそ2~3人しかおられない。53か国もあっても、それこそカイロとナイロビとケープタウンかヨハネスブルグか、そういうところにしか置かれていない。つまりアフリカのニュースはなかなか日本に伝わらない。そういうのが現状なのです。
 ですから、やはり私はアフリカにおいて水問題それからHIVエイズ問題ということをずっと見ていましたけれども、やはり見てみますと、日本の今から60年前の姿が今アフリカにあるんだということをつくづく思うわけです。そして、60年前の日本は国際社会からいろいろと支援を受けたということもあって、だからこそ、遠いからと言って放っておいてはいけない。やはり遠くても困っている人々を助けるということは、日本政府のみならずNGOの方々も含めてオールジャパンでやっていただきたいと。日本はアジアの国だからアジアだけというのではなくて、やはり世界中の国々が助けを求めていれば、そこに日本は助ける手を差しのべるということを努力するべきではないかということを思っているわけでございます。
 そんなこともございまして、若干、私の我田引水ではございませんけれども、アフリカの話を申し上げましたけれども、今年のコロンボプラン、ODA50周年記念というこの機会にやはりもう一度よく考えて、そして、日本政府それからNGO、自治体、企業、皆さん協力し合って、お互いに連携して、情報を交換し合って、そしてよりよき成果を上げるような援助が行われればいいのではないかと思っております。
 そんなこともございまして、これから行われる会議、お互いに忌憚のない意見の交換がされることを期待しております。どうもありがとうございました。

○広瀬審議官
 続きまして、外務省の広瀬から、本日の意見交換に当たりまして、私が考えていることを簡単に申し上げたいと思います。
 やはり全体会合では、NGOの方々と、私は意見交換する機会がないものですから、是非この場でもいろいろ幅広い御意見を伺いたいと思います。我々自身が抱えている課題というのと、多分NGOの方々が抱えている課題というのは全く違うアプローチであって、ただ目指すところは同じだという思いがあるものですから、有益な議論になると思っています。
 外務省のNGOに対します連携あるいは支援といった基本的な考え方を私なりに整理いたしますと、我々が政府機関と一緒になってやっているODAと、NGOの方々が行います国際協力活動、これはアプローチが全く違うものですから非常にいいパートナー、お互いに補完的な関係にあると思っています。つまり途上国といいましても、地域で数えれば180 くらいあるかと思います。そういったところに一人ひとり色々な民族がいて色々な伝統社会があるわけで、多様なニーズにどう応えていくかということを政府機関だけでやるというのはほとんど不可能です。これをきめ細かく援助できる、あるいは相手国との外交関係、手続ということを一旦置いて、迅速にかつ柔軟に支援できる、そういった緊急人道支援といった面で、NGOに勝る方法を持っているところはないと思っています。
 我々自身NGOの活動と連携し、また支援するということを重視しております。このためにも先ほど紹介がありましたように信頼関係が必要だということ、またその前提としてやはり話をしないと、文書だけで伝わらないものがあると思っています。我々政府部局の中では予算という形で仕事をしていくわけですけれども、その中でODA予算といいますのは、数字をごらんいただきますと明らかですが、5年間連続して減っております。その額も2、3千億円、1千億円、2千億円という単位で減ってきております。この中で、我々の目から見ますとかなり努力をしてNGO支援のための予算を獲得しているのではないかと思っております。
 例えば、16年度予算で全体で390億円ぐらいODA予算が減少しております。その中でわずかですけれども、4億円ばかり増やしております。合計額で224 億円なんですけれども、我々のやっております仕事の中で目立つ増加額になっています。そういう方向を今後とも続けていきたいと思っているのが我々でございます。
 具体的な支援例を申し上げますと、支援の形態としましては、いろいろ御議論があるかもしれませんが、NGO事業補助金でありますとか、日本NGO支援無償資金協力でありますとか、あるいはジャパンプラットフォームを通じました緊急支援型の支援、それからJICAにおいて行われております草の根技術協力といったソフト面の支援、そういった予算を増やすような形で我々は支援をしているつもりです。と同時にNGOの方々を見てみますと、非常に強い部門と、例えば事務処理能力からみますと、我々が見ていても心配になるような弱い部門も若干見受けられます。そういった意味でNGOのキャパシティビルディグというのを共通の課題として取り組んでいこうと思っております。
 そういった意味でNGOの相談員でありますとか、あるいは専門調査員制度を使いましたり、諸外国で進んでおります医療、教育分野の研究事例を共同研究の形で知識として共有しましたり、あるいは緊急人道支援のセミナーなどを開きまして、諸外国の取り組みはどうなんだ、それを我々の中にどう取り込んでいけるのかといったような、世界で最先端の議論も我々の中に持ち込もうとしております。これらを通じまして、何ができるかということを考えていただくのが、このNGO・外務省定期協議会の役割だと思います。これには政策もあり、それから具体的な日常的な課題もあり、それをどう共通に解決していけるかというのが我々の課題設定であろうと思います。
 また、在外公館におきましてはODA大使館などを開きまして、現地で駐在している方々と一緒にODAの中に大使館の機能も取り込んでもらおうという試みをしております。草の根・人間の安全保障無償というのはいろんなツールでありますし、今では世界各国でかなり定着してきている手法であります。これは日本のNGOの方々も利用できるシステムでありますので、是非そういった多様な使い方をいろんなところで工夫していただきたいと思っています。
 同時に政策の面で、環境サミットでありますとか、ODA大綱の策定、それから今後の国別の援助計画、それからODAの中期政策でありますとか、いろいろな政策アジェンダをまとめていくプロセスで皆さんの考え、あるいは経験といったものをお伺いできればと思っています。
 最後に、我々自身かなりの問題意識を持ち、NGOとの連携強化に努めているわけなんですけれども、我々の基本というのをもう一度確認できればと思っております。我々お互いにODAでいろいろ考えてきた人間というのを専門家同士と考えますと、我々は厳しく議論した方がいいと思うんです。同時に国民や政治家の方々に一体となってODAの意義というのを解いてほしいと思います。我々、1、2例ODAで問題が起こりますと国会で孤立して担当の人間の責任を問われるようなことが起こります。支援が必要です。私の個人的な感じではやはり声なき声というのは声ではないと。
 NGOの方々に力をつけていただくために我々はいろいろなことをやっておりますけれども、ODAへの理解というのは、先ほど紹介がありましたような箱もの、特徴的な公共事業と類似の橋であったり鉄道であったり、そこだけを注目するわけですけれども、途上国ではやはりそれを受け入れて、どうやって高度に使うのかということを考えながらやっているところが非常に多いわけです。これは残念ながら画面では見られません。それから、よほどなれている人が取材しない限り、そこの機関がどういうふうに人間を養成して、5年、10年あるいは20年、メンテナンスも考えながらやっているのかというのは見えないわけです。こういうことを伝えられるのは、我々政府職員も勿論そうですけれども、NGOの方々の力というのが非常に大きいと思います。それはソフトである限り最も重要な翻訳家だと思います。
 そういった意味で、国際的にミレニアム開発目標の下、あるいはODAを大きく増やしていこうという世界の試みの中で、残念ながら我々は量だけを追求するわけではないわけですけれども、世界的な動向と違う方向を向いているため、今、ODAが必要なんだという意義を解き続けなければならない状況が続いています。ほかの国では増やすことがあたりまえで、どういうふうな部門で協力を深めていこうか、アフリカなのか、アフリカの中でもエイズなのか食糧なのか、それから成長加速なのか、いろいろな課題設定をやりながらやっているわけですけれども、先ほど数字を御指摘になった方がおられましたけれども、アフリカというのは我々まだ大きな援助対象地域ではありません。いろんなターゲットを目標をつくって努力しておりますけれども、やはり皆さんの中でODAの意義を解いていただく力、それが声となって広めていただくということが大きいと思います。そういう問題意識を持ちながら議論に参加させていただいたらと思っております。よろしくお願いします。

○渡辺課長
 補足的なことだけ申し上げます。
 先ほど、来年のサミットについて御質問がありましたけれども、我々としては、2005年はアフリカの開発及びミレニアム開発目標中間レビューの年ということで重視しております。
 MDGsについては、水・衛生であるとか教育であるとか、感染症であるとか、いろんなイニシアチブを日本として取り、資金的な協力をこれまで行ってきております。来年のこの重要な年に向けて我々が直面している1つのチャレンジはODA予算ですが、この場ではこれ以上のことは申し上げません。
 それから、NGOとの連携を強化することについて我々も全く賛成ですし、NGO関係の予算をできるだけ増やしていきたいという気持ちも同じです。と同時に、日本国内に根強いODA資金の適正使用に対する見方ということについても留意せざるを得ません。
 これは特に財務省や会計検査院の対応がどうこうということではないと思います。資金の適正使用については、日本国内の一部には援助で使われるお金について日本国内で適用される規準よりもっと厳しめの規準を適用しようというような雰囲気があって、そういった規準から少しでも外れるような事例が出てくるとODA全体が何となくよくないのではないかとか、そういった否定的な風向きに変わるという傾向があるように感じます。背後には日本国内の景気の影響とかがあるのだろうと思いますけれども、こういった日本国内の援助というものに対する考え方というのをもう少し肯定的なものに変えていくための努力をしていかなければならないのではないかなと思います。
 NGOの関係の方々にはやはり日本のNGO全体の専門性を改善していく努力を、我々も一緒に協力していきますけれども、今後とも継続していただければと思います。我々としても、NGO支援の制度あるいは仕組みを改善するために今どういったことができるかということについてはNGO関係者と共に引き続き一緒に考えていきたいと思っています。
 最後に、今年は日本がODAを開始してからちょうど50周年の節目の年になります。9月から11月の今年の後半の3か月間を50周年記念の期間と定め、いろんな事業を幅広く実施していきたいと思っております。その中でNGOの関係者の方々のお知恵と御協力も是非いただければ幸いです。

○司会
 次に、高橋さんより御発言願います。

○高橋氏(日本国際協力NGOセンター)
 今、御紹介いただきました高橋でございます。私は現在、NGO外務省連携推進委員会の座長を仰せつかっています。いろいろと外務省と議論をしていく中で、外務省と率直な意見交換ができる関係ができ上がり素晴しいことだと思っています。
 外務省とNGOの関係は、先ほども外務省の方からお言葉がありましたけれども、距離間のある緊張感は、私もむしろある意味で必要だと思っています。結構いろんなことを率直に意見を述べ意見が違うのは当たり前であるという認識をお互いが共有しているためだと思います。このような認識の中で議論が着実に進展しています。私の意見を二、三申し上げたいと思います。
 私は幾つかの援助機関の援助事業に係り、対象国の援助現場を見ております。これは日本のODAだけではなくて、NGOが行う援助、日本以外のODAの援助も幾つか見ております。そしてこれは1つの大きな課題だと思うのですが、いわゆる援助資金の切れ目が援助活動の切れ目という援助世界の現実があるということです。援助の世界では持続可能な援助、自立発展性ということをよく求められます。これは非常に重要な点だと思いますが、現実には援助資金の切れ目が援助の切れ目となり持続可能な援助や自立発展性には結び付いていません。お金を出し続けないと援助活動が続かないということになるわけです。そのような状況を改善する余地があるのではないかと思っています。
 海外援助が例えばAという地域に3年間お金を出した。お金が切れた途端に実は援助活動が切れてまた援助をする前の状態に戻ってしまった。一体いつまで同じところに援助資金を出し続けるのかいう課題が提起されます。そこで私はいわゆる草の根の視点の必要性と、NGOの介在と地域住民に密着したきめ細かな援助が必要であると考えます。顔の見える援助とよく言われます。では、いつまで顔が見え続け、出し続けなければいけないんですかという課題があります。持続可能な援助というのはある部分は、顔が見えなければいけないと同時にもっと相手の心の中に入っていく、地域の中に入っていくと同時に、何でもかんでも日本がするのではなくて、最近では途上国のNGOが相当力をつけていますので、相手国や相手国のNGOが力をつけたのであれば、その力をつけたNGOなどに対して日本のNGOがリソースや技術を繋げてあげて、どのように連携するかというプロジェクトデザインとプロジェクト発展のための戦略が持続可能な援助の1つのステップではないかなと思っています。
 先ほど、外務省の側からの御説明で、世界のODAが約500億ドルある。これだけ大きなお金が動いていながら実際には世界各地で援助資金の切れ目が援助の切れ目になっている。一方では持続可能な開発ということが地球規模的に提唱されています。MDGという世界的な到達目標と課題があるわけですが、MDGの課題一つひとつ、例えば貧困の削減、妊産婦死亡率の減少、乳幼児死亡率の減少、HIVエイズの減少。これを考えてみますと、結局世界の取り組むべき課題として残ってしまったのが草の根のアプローチと地域住民に密着する対策が必要な視点の援助と活動だと思います。
 草の根への援助というのは言葉で言うと上から見て末端というような意味合いを持っていますが、地域住民の視点に立つ援助というものがどこまで実践的にできるのかということが大切です。ODAは政府対政府の援助ですから相手国の中央政府から地方政府に入っていく。これは当たり前の援助形態ですけれども、その方式がずっと続いていて、一方ではどこまでその援助資金が草の根の住民と活動に届きますかという課題と疑問が国際的に提起されています。この点は改めて真剣に見直されなければいけないと思います。
 ODAが相手国中央政府から入って行き、援助資金が一体どこまで届いているのかを見届ける。相手国によっては日本のNGOが援助資金を直接草の根に届け援助活動を展開できる。180か国の途上国にあるこの巨大な草の根の地域をカバーするためにはODAだけでは無理です。では日本のNGOがしなければならないと言われても、NGOだけでも当然それは出来ません。先ほど広瀬審議官がおっしゃられましたけれども、いわゆる物資を寄贈しよう思っても相手国に受け皿がなければなりません。受け皿のないところにどうやって援助をするわけにいきません。たとえ援助をしても効果はありません。
 受け皿づくりとか援助効果を高めるためにはソフト支援は不可欠です。ソフトというのはいわゆる人件費や管理費等だけはなく、事前の準備、受け皿づくり、人材養成などすべてが連動して初めて援助が届けられるわけです。これらの関連業務と活動にはすごく時間と力が掛かります。そういう人材を日本だけではなく途上国にも作る必要があります。このような援助をするためにNGOは資金と必要経費が必要ですと発言をしています。
 NGO外務省連携推進委員会での議論で援助の方向性は基本的に同じです。けれども、援助を実践的に実施するためにはNGOにとり無理な点や改善して欲しい点があります。例えば援助事業をNGOが適切に運営管理するための実質的な管理費が事業費全体に対して10%とか15%ではできないということを申し上げています。援助の持続可能性というのは言葉で言うのは簡単ですが、世界の中でこの持続可能性を達成している援助は非常に数が少ないと思います。そのような援助世界が共通に抱えている課題に向かってチャレンジしていかなければ、援助資金を効果的に使いまた資金援助を効率的に使い続けることもできません。援助を行なっている特定の地域からその援助を他の地域に移すときに、従来援助をしていた地域の状態が援助をする前の元の状況に戻ってしまっている援助の現場をいかに変えていくかという視点は必要不可欠だと思います。
 単発の援助や単年度の援助など短期的な援助はある部分では必要かもしれません。しかし、今世界では南のNGOが力をつけてきています。日本の政府やNGOがすべて途上国に出掛けて行って、それで現地で何でもかんでもやっているという現象を途上国の側から見ると、自分たちでもできることを何で日本の政府やNGOはするんですかという意見も出ています。その時に、南のNGOが力をつけてきたら、その力を我々がどのように活用するかということが北のNGOが発揮すべき別の能力と役割ではないか考えます。世界情勢が刻々と変化する中で北のNGOの役割というものが二国間、多国間、グローバルの視点でODAと効果的に連動するべきではないか考えています。そういう視点を踏まえて援助資金をNGOを通じて使うことによって、より大きなODAの相乗効果が出ると思います。
 2国間で見る目と、途上国から見る目と、多国間で見る目で日本のNGOがODAを使えたら日の丸だけではなくてほかの国の旗も一緒に出てきてもそこが日本の懐の深いところだと理解されと思います。
 NGOが日本のODAともっと違う多角的な視点で連携して、その連携のために税金が活用される意味はアカウンタビリティの視点からも大きいと考えます。現在のNGOとODAとの関係は殆どが縦割り一直線的です。 このような視点で外務省とNGOは連携推進委員会で議論を率直に交わすことができ、私は非常に画期的なことと思っています。しかも、外務省の関係者はこのような議論を受け止めて下さる。NGO側も議論を具体的にするためにどういう手順とステップを踏んだら良いかを冷静に考えられます。課題に直面した時は出来るだけ具体的に物事を検証して、課題はシステムの問題なのか、理解の問題なのか、運用の問題なのかなどを外務省と一緒に考える外務省とNGOの関係は大きなNGOと外務省の大きな財産であると思います。ありがとうございました。

○神田氏(関西NGO協議会)
 引き続きODA政策に関しましてお話しさせていただきたいと思います。お配りしていただいた資料の中に私の1枚紙がありますので、限られた時間ですので簡潔にお話したいというふうに思っております。
 ODAの必要性というものが高まっているのに対して、日本の国内では逆にODAなんて要らないのではないかという声が大きいなどというのが現状ではないかと私などはそのことを非常に憂慮しているというふうな中でもあります。
 なぜ必要かなどというのをここでとうとうと私が述べる必要はないかと思いますけれども、大きく述べて南北格差のより一層の拡大などということがグローバリゼーションの進展に伴って激しくなっているということ。それから、これは日本社会ですとか、アメリカ社会、ヨーロッパ社会などは肝に銘じるべき課題ですけれども、多消費・多浪費の社会形態というものが環境問題をより深刻化させているという中で、民間資金でとてもではないけれども無理な分野というのが多々出てきているというのがあるというふうに思います。
 そういった中で、ODAの必要性というのはより一層高まっているにもかかわらず日本社会が後ろ向きであるというのは、いろんな意味合いがあると思います。私は1つはこの必要性というものが十分に日本社会に浸透していないという現実があるのだと思います。外務省などでも一生懸命広報活動をされておりますし、外務省で開発教育という言葉を用いてそういうことをやられたりしているけれども、なかなかそれが浸透しないという中で、NGOが考えていく開発教育ということとの観点の違いということも大きな課題なのではないかと思います。NGOの間ではよく出てくることというのは、私たちが原因となっていろんな問題が起こっているということを重視するのに対して、政府の側、行政の側から出されるものというのは現象として貧困が増大しているというふうな立て方をされるという違いがあるのではないかといつも思っております。
 それともう一つはODA政策の信頼性の欠如ということが大きいのではないか。これも一部のものをとらえて国会などで議論されるからというふうに先ほどもお話がありました。そういった面は勿論あるとは思いますけれども、それではどうしたらこの信頼性を回復できるのかということに関して、いろんな施策が必要であろうと思っております。NGO・外務省定期協議会というものがそういったものの1つなっていけばと思いますし、このたび1年間、ODA政策協議会というものを続けてきたそういった場が、そういったことに1つでも役立っていけたらという思いで、私自身もかかわっている次第でもあります。
 また、そういった中で冒頭石田さんの方から報告がありましたけれども、いろんな形で改善というものが出てきているというのもあります。これは外務省の方で努力されて変えてこられているというところもありますし、私たちの目から見れば、実施機関であるJICAとかJBICにおいて、よりそういった改善が早いなどという面もあるといます。具体的には政策立案プロセスの透明化、市民参加というふうな点におきましては、実施機関が先鞭を付けられて、それに言葉は悪いですけれども、引きずられる格好でもって外務省もそういう手法を取ってこられたのではないかと見たりもしています。あるいはそういったことをNGOなりに問題提起をし、議論を重ねてきたということが1つの成果として表われてきているのではないかと思ったりもしております。
 こういったODA政策の信頼性を増すためのプロセスというものをより実のあるものにしていって、より信頼性の高い公共政策としてODAを変えていくためにどんなことが必要なのかということを、これから先、私たちNGOと外務省との間で議論していく中で構築していきたいという思いが私自身多々あります。
 ODA政策に市民やNGOが参加するのはなぜか、どういうふうな意義があるのかというふうなことを私なりにまとめますと、1つはそういった信頼性の確保ということもありますし、2つ目から言いますと、さまざまな意見というものを反映させるために市民、NGOが参加する必要がある。これは政策合意というものを見る上で多様な意見がそのプロセスにおいて反映されるあるいは参加していくというふうなことはすごく重要なのではないか。政策の信頼性を増すということは多様な意見をどういうふうに吸収していくかということを十二分に配慮する必要があるのではないかと思います。こういった場も1つですし、あるいは交渉プロセスなどというような、パブリックコメントや公聴会を開いていくというのも1つのやり方でしょうし、あるいは後から申しますけれども、各種委員会というものを開催するならば、その透明性や信頼性を更に増していくという努力もその1つであろうというふうにも思います。
 それから、本来、こういった政策というのは議会でももう少しきちんと議論すればいいという意見もございます。それが間接民主主義、代議制民主主義の日本において正当な民主主義のとらえ方であろうかとも思いますけれども、ただし、一方でODAの政策というものが有権者の間で広く共有されている、認識されているものでもない。そうすると、代議制民主主義の政策課題としては非常に乗りにくいというものに関してどう考えていくのか。また、国会議員の方々の少なからずが、特定の業界の利害を代表して出ていられるという現実がある中で、そういった方々からの圧力というものをどういうふうに排していくのかということは、私自身、代議制民主主義の大きな課題、欠陥であろうと考えております。
 そういう中で、直接民主主義的な手法の1つとして市民・NGOが政策立案に参加する。そして、政策プロセスを透明化することによってそういう密室から来るような圧力というものを排していくということが、何よりもODA政策の信頼性を高める上で重要なことではないかとも思っております。
 NGOというものは何ものも代表するわけでもないということは私たち自身が自戒しておくポイント、重要なポイントであろうとも思っております。したがいまして、こういった形でもって外務省と定期的に協議をするということのアカウンタビリティをきちんと確保するということは何よりも重要であって、特定の業界が行政と密室で議論しているというふうなことを外部から詮索されるという場であれば、逆にODA政策の信頼性を低下させてしまうという恐れがあるのではないか。これは今後NGO・外務省定期協議会というものを2つの委員会でもって構成して進めていきますけれども、その中で、念には念を入れて留意していくべき大事なポイントであろうと思ってもおります。
 それから、NGOと外務省の関係などということを言い出すと非常に長い話になってしまいますけれども、定期協議会が始まってからというものもはじめの6年ぐらいというのは手探りの関係が続いてきて、信頼性の醸成というふうなことにも時間がかかってきたとも思っております。今も勿論適度な緊張関係、時には過度な緊張関係というふうなことがすごく大事だということは多くの方が話をされておりますけれども、これからより一層そういった信頼関係というものを確立していくということ、そしてアカウンタビリティを確保していくということがこの定期協議会自体の課題であろうとも思っております。
 最後に、ODA政策においてどういった形で、NGOと外務省の間でコラボレーションというものが考えられるのかということに関しまして、これは私の個人的な意見に過ぎませんけれども、幾つか挙げてみたいと思います。
 1つは、政策立案プロセスのより一層の透明化。これはODA大綱の例を石田さんが引いておられました。従来の政策立案に比べるとはるかに透明度が高かったという意味での評価はある一方で、初期の段階からいろんな形で透明化が図られたわけではなかったし、市民参加・NGO参加が確保されたわけではなかったということが、その原案に対する疑念というものを生んだという現実。
 更にはパブリックコメントや公聴会という手続きは踏まれましたけれども、そういったところに出てきた意見をどういうふうに採択するのか、その是非はだれが判断するのかということの明示なしに進められたということが、「言うてもあかんやん」という失望感を一方でもたらしたなどということがあります。こういった経験を踏まえた上でより一層これから先、策定されるODA中期政策ですとか、あるいは作成途上にあります国別援助計画などを議論していく中で、どういった形で政策原案を策定していって、そこに市民参加というものをどのように確保していったらいいのかということ、その手法自体を議論する、確立していくというのはこういった場の僕は大きな課題ではないかと考えております。これが1点目です。
 2点目は、ODA総合戦略会議を初めとしてさまざまなODA政策に関するいわゆる諮問委員会的な委員会、諮問委員会、諮問会議とは言っておりませんけれども、そういった有識者という人たちが集まっての委員会というのが幾つも組織されてはおります。ただし、いずれの委員会も透明性が欠落しているがために、そのこと自体がODA政策立案の信頼性を低下させるというような要因になっている委員会というのが幾つかあると私ども見ていて、見受けるところでもあります。
 委員構成をどうするのかということもすごく大事なポイントだと思います。これまでもこういった協議会を通じて、NGO側から代表者を出してくださいという依頼はよく来るようになりました。これはこれで、従来NGOからだれも委員が出なかったころに比べると一歩前進というふうに見る見方もありますけれども、ただし、NGOに代表制などどだい存在しないという中でNGOの代表制というのは虚構の上にしか成り立っていないということも事実でもあります。
 そして、そういったNGOから1人、2人が入っての委員会というものの透明性が担保されないがためにほかの多くの知見・経験というものがそういった場に反映されないというもったいない状況というのが出ております。1人、2人のNGOから出ている委員が、NGOの意見・知見・経験というものを集めて回るなどというのは不可能な話でもありますので、そういったところというのは、意見を言いたい人間が自由に意見が言えるという場をつくっていくということがすごく大事ではないかと思っております。
 それから最後3つ目ですけれども、政策立案において今後どういった手法でもって協働ができるのかというふうなことを一緒に研究会などをつくって研究していくなどというのはすごく大事な可能性ではないかというふうに思ったりもしております。あるいは相互にもっている事実関係や論理構成を持って、相互の意見を出し合う。今の政策協議会ですと2時間という限られた時間内で、年に3回という回数ですから、そこで議論できることというのは限られているんです。議題案というのは非常に多数出てくるのに、それをNGO側で取捨選択せざるを得ないというふうな状況がありますので、もう少し特定のことに絞って長時間お話をする、あるいは経験を分かち合うというふうな機会をつくっていってもいいのではないか。これはJIBCなどでは行われているというふうなことでもあるとは思いますので、実施機関でやられていることを上位機関、上位機関という言い方は語弊があるかもしれませんけれども、政策の責任機関である外務省とNGOの間でやっていくという可能性があるのではないかと思ったりもしております。
 もう一点は、政策立案に関する業務委託ですとか、あるいは政策立案の透明化を図るための業務委託などということが将来的な可能性としてあるのではないかというふうにも思ったりもしております。国内の公共政策を立案する中で、最近信頼性を高めるためにNPO、国内のNPOに事務局を依頼し、多くのNPO市民参加を図って立案するというふうなことが関西などでは国土交通省などを中心に行われてきております。NPOでなくてもシンクタンクを活用する形でもって行われているというふうなケースもございます。そういったことで政策を透明化し、信頼性を増すというふうなことにおける協働事業というふうな可能性というものを将来的に考えていったらどうか。
 ODA大綱のとき見ていて気の毒に思ったのは、外務省のスタッフの方が1から10まで全部やろうとするから手が回り切らない、あるいはそれでもって倒れてしまう人が出てくるなどという不幸な事態が起こり得るということがあるんだと思います。もっとそういった手法の善し悪しについて吟味した上で慎重に協議した上で、そういう可能性についても今後の課題として調査研究を進めていったらどうかということが最後に僕自身の提案でもあります。
 以上簡単ですけれども、これぐらいで問題提起させていただきたいと思います。

○司会
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、先ほど回収させていただきました質問に移りたいと思います。時間に実は会場の都合等もございまして、一応4時5分ぐらいまでを目途にこのセッションを進めていただくということでお願いしたいと思います。この司会は壇上の城所室長にお願いしたいと思います。

○城所室長
 はい。それでは私が引き継ぎます。只今、質問表を回収しましたので、その順番に従って回答していきます。そして、効率よく4時ごろまでに終わらせようということでやっていきます。
 では、問1なんですけれども、これはNGOサイドで見ていただくと、要するに、何が問題かという問題点を。

○司会
 それから、回答は簡潔にお願いいたします。

○石田氏
 いただいた質問は、このODAに関し、NGOの立場から何が依然として問題な事項と思う点に関してですか?
 例えば、時間がございませんので余り多くお話しできませんが、政策協議会で確かにODA大綱の問題というのは非常に議論したと思います。その中でNGOの間で大きな関心としてあったのは、今回のODA大綱の内容がむしろ日本にとっての利益、そういったものをわりと強調した文章に変わったというところですね。これに対してNGOの間ではその前のODA大綱、1992年ですか、そのときに策定されたODA大綱というのはどちらかというと、より地球市民益といいますか、環境とか、ちょうど1992年地球サミットがあったので、そのときの流れも受けて、環境に配慮し、地球全体でどのような持続的な社会をつくっていくかという理念に乗っていたと思うのですが、今回改定されたODA大綱ではむしろ日本にとってどれだけODAが有効なものであるかというニュアンスが強くなったのと同時に、例えば、うちの団体でも提言など出したのですが、実際ODAを受ける途上国の住民の参加や、そういった人々への情報公開など記されていないという点を感じました。もし神田さんの方からあれば。

○神田氏
 同じです。

○石田氏
 以上です。

○城所室長
 よろしいですか。次の問題ですが、自己責任について。

○広瀬審議官
 自己責任について役所の考えを述べろというお話であれば、実は外務省のインターネットのホームページに事務次官の竹内の発言が全文載っております。私はそれを斟酌して説明するつもりはありませんが、こういうふうにお考えいただいたらと思います。
 国民の安全を守ることというのは当然政府の役割です。これは法律的に言うと堅苦しいかもしれませんが、統治権限の及ぶ範囲内においてこれは当然の義務であって、それは国家をなす要件の一つです。ですから、夜警国家と言われるような非常に抽象的な、かつ政府の狭い権限及び義務の中でも当然やらなければいけないことなわけです。
 一旦、外国に出た場合どうなるのかというと、主権国家というのが存在する場合には皆さんパスポートを持って入ると思うんですけれども、パスポートコントロールがあること自体、そこでその人の身の安全の受け手がどちらかに移行するということを示しているわけです。ですから、パスポートが必要になって、入国審査、要するに、この人間を受け入れて安全の保障をしていいかどうかという審査が行われるわけです。そういう国際法上のつくりになっているわけです。
 ですから、例えば、この議論になっていますイラクにおいてもし統治を完全に行う主体であれば、そこでパスポートコントロールが行われて第一義的にはイラクであれはイラク、あるいはネパールであればネパールの国がその受け入れた外国人の生命・身体・財産の安全及び確保を担う、つまり、外国政府が第一義的な役割を持つわけです。これは従来型の考えなんですけれども、我々が今議論していますのは平和構築の中でどうするのか。少し応用編といいますか、従来の国際法を少しはみ出ている話だと思います。
 その中で、国際法の整理をするつもりはありませんけれども、我々ODAでは何をやって安全を図っているかといいますと、セキュリティを保ってほしい。そのための費用もいるし、是非やってください、政府関係の仕事をやっているときはお願いしています。これはNGOで政府関係の仕事をされた方々には平和構築をやっているときには必ずそれをお願いする。確保されるところで活動するかあるいは必要なセキュリティの措置を講じてやってくれ、アフガンであればセキュリティの人たちを雇って、きちんと自分たちが守られるようにしてやってくれというふうに必ず言われるはずなんです。
 自己責任論というのはここまで、常識の範囲内ではここまで終わりです。それができない人、要するに自分で安全の保障をやらない人たちについてどうなるのかというところが多分議論になっており、それを整理しない人たちがすべて平和構築をやっているようなところに参加するNGO一般が悪いというふうに短絡的に議論しているところで誤解が生じているんだと思います。例えば、オックスファムなどから例を引きますと、彼らは受入れ国が必ずしも安全だと言えないところに入っていく場合にはセキュリティを保証できる会社と契約して、まずセキュリティを確保し、自分たちがどこかで捕縛された場合に救出する契約を結んで職員を救出できる措置を講じた上で入っています。これが自己責任なんです。オックスファムにおける自己責任の原則では、まず安全を確保し、少し危険が残された場合には今のような措置を程度に応じて構築した上で入っていく。しかし、それでも安全を担保できないところは入らない。安全を担保できないところにもし入っていたときどうするかというと、安全の確保は出身国の責任ではないんです。
 ですから、日本国が例えば他の主権国家に入って行って、そこに安全装備を持った人たちで回りを取り囲んで、自分の判断でリスクをおかしていく人たちを守る義務があるかというと、義務はないんです。むしろそんなためのお金があったらHIV/AIDSなどで死にそうな人にそのお金を使うべきだというのが今の国際的な基準だと思います。
 整理として、ではつかまったときにはどうするのか、あるいはだれかに誘拐されたときにはどうなるのかというと、我々は主権の許される範囲内で相手国に働きかけ、救出のために最善の努力をします。これは自己責任を前提に、常識を超えてリスクを危して行動した人たちも一旦そうなれば国は救出の努力をやります。そのときに経費を負担しろとか云々というのは、実は今政府が考えているような自己責任論とはちょっと次元の違う話だと理解していただきたいと思います。
 外務省がやらなければいけないことは在外公館等を通じて相手国に働きかけて、その人たちの生命・身体ができる限り安全に保たれるような形で早期に救出されるように最大限の努力をすることです。この前のイラクの2つの事件でも24時間体制で、本省でも何十人の人間がずっと勤務をして、働きかけられるところに働きかけて、できるだけ早期の無事救出をやった。それは自己責任云々ではなくて、邦人の生命・身体・財産を守るために行ったことであります。我々がお願いしていることは、危ないか危なくないかという判断のためにいろんな情報を、今日もコピーや判断の材料を提出していますし、もしそれを冒して行くのであれば、自己責任の範囲内で先ほどの国際NGOを参考にしてやってほしいということです。
 国際NGOのように自己責任で自分のために安全措置を講じてやるところでも入らないところがあるわけです。今回つかまったところも入らないところなんですが、それでも入った人たちに対して我々はその人たちがつかまらないようにすることはできないわけです。ただし、捕まってしまえば、我々先ほど言いましたようなことをやる。国の責任としてやるということは変わりないと思います。
 ですから、旧来の考えですと、外国における自己責任論というのは生命・身体にかかわる場合は受け入れられた国によって日本国政府から相手国政府に第一義的責任が移転される。ただ、今日、平和構築などで問題になっているところではそういうことができないため、できる限りの措置を講じた上で入っていただくし、できない場合には入らないようにしていただくというのが政府の基本的方針です。
 そこで、安全措置も講じられないし、安全も保障できないところに入るときに対して、それを保護しろというのはそれは政府の責任を超えた話だと考えます。以上が自己責任論と言われる概要だと思います。正確な話は恐縮ですけれども、インターネットの外務省のホームページで、事務次官の竹内の当時の記者会見の全文が載っておりますので、そこをごらんいただいたらと思います。

○城所室長
 はい。ありがとうございました。今の自己責任論に対してNGOサイドからの御発言をお願いします。

○山口氏
 自己責任論に関しましてはいろんな観点がありますし、私自身もNGOを代表して意見を述べるという立場ではないんですが、1つ非常に今回の議論の中で残念に思っておりますのは、一部の人ですとかあるいはマスメディアの中で、今回外務省が国外退去を出したのに従わなかった、そういう態度がよくないと、したがって、NGO含めて政府が言うことを聞くべきだと、そういう議論があったことが私は非常に残念だと思っております。
 確かに外務省の立場として、そういう退避勧告等を出すことは当然かと思いますが、一方で、NGOの立場としては国境を超え、国益ですとか特定の政府の考えを超えてあくまでも人道支援という立場で、自分たちで必要であると、ニーズがそこにあるということにおいて活動を続けていくわけで、それはある意味では人道支援であるからこそ安全性が確保できるという面もあるかと思います。特定の考えや立場に組することなく、あくまでも中立的に、そこに住む人々の命を助ける、そこにある問題点を広く見つめ、それを多くの人に知ってもらうために行う。そういう意味で不偏不党といいますか、特定の政治的な思惑にとらわれずに動くこと自体がある意味では安全性を確保することにつながるかと思います。
 ただ、その場合に勿論、今審議官もおっしゃったように、具体的にどこに危険があるかということを慎重に見極め、そして対策を立てるなり、あるいは本当に危険であれば出ていかないという、それが一番よくわかるのはそこに住む人たちの声を聞くことだと思うんですが、そういうことを十分しつつ入ることは必要です。
 私自身もこの連携推進委員会をずっと続けていく中で、政府とのODAとの連携というものをどう進めていくかという中で、あくまでも政府との関係は緊張感を持ちつつ、住民の生活改善ですとかあるいは社会的公正のためというものにおいては互いに協力できることは協力するけれども、だからといって政府ODAの下請けをするわけでは勿論ありませんし、政府の判断に従って自分たちの考えを曲げて動くということでもない。そういうNGOの立場というものはやはりしっかりと守っていくことが重要ですし、それによって自分たちの自己責任といいますか、責任を果たしつつ本当の安全を確保するということが重要かというふうに私自身は思っております。

○城所室長
 ありがとうございました。それでは、次の質問は、ODA中期政策のレビューの進捗状況についてお聞かせくださいということで、調査計画課長の和田さんお願いします。

○城所室長
 ありがとうございました。それでは、次の質問は、ODA中期政策のレビューの進捗状況についてお聞かせくださいということですので、調査計画課長の和田さんお願いします。

○和田調査計画課長
 調査計画課長の和田でございます。中期政策のレビューの進捗状況ということなんですけれども、昨年度外務省では外部の有識者の先生方にお願いをしまして、中期政策について評価を行いました。その報告書がもうできておるんですけれども、今、それをホームページにアップして公表する手続きをやっています。ちょっとそれが遅れていますが、もうしばらくしたら発表されますので、そちらの方を見ていただければと思います。
 99年にできた中期政策につきましては、5年程度を目途にということで中期政策にも書いてあります。新ODA大綱が昨年できたこともございますので、いずれ見直しのプロセスをすることになると思いますけれども、ちょっとこちらの方については今内部的にいろいろ検討しております。もうしばらくしてはっきりした段階で、また皆様にも御報告もし、また皆様の御意見を伺うような機会も考えていきたいと思っております。とりあえず現時点では、以上でございます。

○城所室長
 どうもありがとうございました。それでは次の問題です。
 次は、NGOのレベルアップというか支援について、基礎体力を付けるためには資金とかいろんなサポートが必要ではないかということです。これは私の方からお答えします。 NGO支援については外務省だけができるわけではなくて、JICA、いろいろの組織がありますので、私は双方で協力していこうという考え方でやっております。ですから、実はこれは清沢さんの質問ですけれども、外務省とJICAが連携をして、双方ができるところをそれぞれやっていこうということは絶えず私たちとJICAの間でも連携を図っております。
 それから、免税云々について言いますと、これは外務省だけでできる話ではないわけです。うちも総務省・内閣府とも連携を取っていますけれども、これは一省庁だけでできませんので、引き続き検討しているというところで今日は御勘弁いただきたいと思います。 次の質問はNGOサイドにお願いするにして、提携支援について、どこが主導で、だれを対象に、何についてアンケートを取ったのかというところと、それからどんな問題がありましたかということ。これは山口さん。

○山口氏
 質問は、私がつくった資料の中でNGO支援策のアンケートということがあったんですが、その内容はどういうことかということですね。これは連携推進委員会の名前でJANIC、名古屋NGOセンター、関西NGO協議会と国内の複数の地域別あるいは分野別のNGOネットワークに依頼をして、アンケートを実施して回収しました。57団体ほど回収しまして、それを基に分析をして、そこから出てきた問題点などが次の日本NGO支援無償への改善提案につながっていきました。これに関して、詳しくはJANICのホームページからダウンロードできますので、是非そのアンケートに関して知りたい方はJANICのホームページをごらんください。

○城所室長
 よろしいですか。この会場は4時15分までなのであと7~8分ありますので。

○高橋氏
 済みません。

○城所室長
 どうぞ。

○高橋氏
 NGO支援ビジョンについてどのような提示があり、どのような議論が行われてきたかという次の御質問ですけれども、実はこのNGO支援ビジョンということについては、つい先日の3月末の連携推進委員会でかなり議論されました。ただ、これは今年度の非常に大きなテーマの1つになっておりまして、まだ第1回目の議論でございます。
 ここで外務省とNGO側が議論した非常に有益なポイントは、いわゆるNGOを外務省が今支援するといういろんなスキームがありますから、当然そこには具体的なものができるということは何らかの、我々から見れば考え方があるわけで、その考え方とかあるいはビジョンというのは極めて具体的にこの3年あるいは5年先を見据えたものという、そういう視点で何を考えているかということを我々は相互に議論をしたいということで、そういうステップを今後踏んで行きましょうということが基本的に合意されたということが、今まで外務省側とNGO側が議論する上で実は非常に大きく欠けていた点なんです。
 いわゆる理念とか、在り方だとか、非常に極めて抽象的な議論、それはそれで必要な部分はあるんですが、この連携推進委員会ではその抽象的な議論だけではなく、そこからできるだけ具体的に議論をして、そしてそのスキーム上どのように一体感を持ってスキームを今後改善し、つくり上げていくかという、そういう方向性では基本的に一致したということで、とても前回のビジョンについての議論は有益であったということを申し上げたいと思います。具体的なものについては今後それぞれのスキームを取り上げて、その3年後あるいは5年後、NGOがどうあるべきかと同時に、外務省側からはNGO自身はどうなりたいのかということも言われています。そのようなことをすり合わせながら議論をしていくということになっております。

○城所室長
 どうもありがとうございました。それでは次にNGOとJICAの連携ということと外務省の機構改革ですか。その辺のところを渡辺課長から。

○渡辺課長
 質問は、「根本的に『NGO支援無償=ハード』、『技術協力=JICA』という構造を撤廃して、1つのスキームに合体させ、予算も一本化する等の抜本的改革はどうしたらできるのか? どのような機構改革が必要か? 可能か?」、こういう質問です。
 日本の援助が無償資金協力であるとか、技術協力であるとか、有償資金協力というふうにスキーム立てで分かれているのは、これは恐らくスキーム管理あるいは予算執行の観点からそういった体制に合理性があって今日まで続いてきているのだと考えます。
 では実際に、例えば、NGO支援無償において人づくりのような支援ができないかと言えば、それはそういった要素がNGO支援無償の中でできているという事実があります。それからこういった種々のメニューやスキームについて我々としてはできるだけ柔軟に運用するという考え方も取ってきております。最近では国別のアプローチ重視の発想から現地ODAタスクフォースが現地のNGOなどとよく協力しながら、技術協力あるいは無償資金協力の要素をうまく組み合わせた支援を行うといった取り組みを強化しようとしています。そういった中で、スキーム間の連携が実態的には改善できると思います。

○城所室長
 それでは、次の質問でアカウンタビリティに関連した、いわゆるコンサルタントの関係ですけれど、山田無償課長お願いします。

○山田無償資金協力課長
 この質問の趣旨が必ずしもよくわからないんですけれども、例えばNGO支援無償、あるいは例えば外国のNGOを支援する草の根無償もそうですけれども、NGOは本来資金をもらう資格があるわけですけれども、民間企業はございません。コンサルタント会社というのは例えばJICAにおける無償資金協力の調査であるとか、開発調査などで参加している会社を念頭に置いておられるんだと思います。2つの違いはまずNGOは支援無償であるとかはNGO自身が実施主体である。一方、開発調査であるとか無償資金協力の調査等は途上国政府がむしろ実施主体であって、日本がそれを助ける。コンサルタント会社はそのために雇われているというものでございます。
 それから、NGOがではそうしたコンサルタント会社と同じようにそうした調査に参画できないのかといったら決してそういうことはないわけであって、そういう一定の技術・能力があれば、JICAの方にコンサルタントとして登録して参加していくことはできる。現に少数ですけれども、そうしたNGOがあるというふうに承知しています。
 私としては、そうしたNGOが更に積極的に政府事業に参加していけるような仕事がもっと増えればいいなと思っております。具体的に何が問題かということを、私は連携推進委員会は非常にいい議論をしていると考えているのは、具体的な問題が紙にして提出され、それを一つひとつ解きほぐしていったということで、制度を一遍に変えるということは大変なんですけれども、具体的な問題がここにあると、これに対して、ここはこうしたらいいのではないかという具体的な提案を出していけば、すぐに変えることは難しくても、少しずつの改善はできるというふうに考えています。
 それから、質問から離れますけれども、石田さんの方からも無償資金協力審査ガイドラインの話があったというふうに承知していますので、ちょっと現状の進行を申し上げますと、4月中にパブリックコメントを行いました。実際、10件ぐらい意見が来たんですが、実はシステムの不具合があって、意見を出した人の内容が入っていないというところがございまして、その意見を出した人たちにもう一度意見を出してもらうような作業をしております。
 これから先、パブリックコメントは勿論意見を受け付けるだけではなく、これに対してどういうふうに対応するか。これについてはその意見に対する考え方を示すのか、あるいは意見交換会みたいなものをやるのか、そこをちょっと考える必要があると考えています。多分、その無償資金協力審査の場合はゼロから初めたようなものでございまして、必ずしも完全ではないと思いますけれども、少しでもこうした形で透明性を高めながらガイドラインなどを示すことによって前進が示せればいいというふうに考えております。

○城所室長
 はい、ありがとうございました。それでは次の質問でいわゆる「速やかな審査」ということの関係で、速やかに申請の補正を求めるという行政手続がありますねということで、それはそうなんですが、それでNGO側に対してリマインドを求める姿勢はいかがなものかということで、これは別途お聞きしますけれども、我々は早め早めにやっていこうと。我々がいろいろお願いすると、組織によっては今ちょっと担当の人が休暇でいませんとか、二、三か月放っておかれるケースがあるものですから、これは逆に我々の方から迅速に実施してあげようという観点からやっている話であって、リマインドとか御迷惑をかけようという趣旨ではございません。
 それから、政策協議において、具体的にどのような政策変更が行われたかのかということですが、今16年度の申請手続について最終調整に入っておりますので、それが全部終わった段階で公表しようと思っています。その際にも変更したポイントとかいうことも別途列記しようと思っています。それから個別的にまた御連絡いただければ日々、先ほどもお話ししましたように使い勝手いわゆる利便性ということも求めてやっておりますので、その度に紹介していただけたらと思います。
それから、政策協議の第三者評価についてどのように考えるかという御質問ですけれども、これは非常に難しい問題ですけれども、もし本当にそういうものが必要であるのであれば考えますし、またそういうものが必要でないという意見があれば、それはまた見送るということで、これはちょっとお時間をいただきたいと思います。 それでは、次の質問にいきます。

○渡辺課長
 質問は、「『ODA政策』にはODA大綱のみではなく、国別援助計画も含まれるはずであるが、外務省では国別援助計画の策定が遅れているように考えられる。そのため、外務省とJICA、JBICの連携が取りにくいのが現状ではないか。この問題に関する意見と今後の展望が知りたい。また、国別援助計画の策定において、現場からの声や情報を積極的に反映させる必要があるが、そこでNGOが貢献できる余地は少なくないのではないだろうか」です。
 後段については全くそのとおりでありまして、現に国別援助計画の策定という観点だけではなくて、日本のODAを少しでもよくするために、昨年から現地化ということを重点にしておりまして、既に五十数か国の大使館を中心に現地ODAタスクフォースというのを立ち上げております。勿論、すべての現地ODAタスクフォースが積極的に活動しているというわけではなくて、おのずと濃淡はありますけれども、先進的な取り組みを行っている現地タスクフォースでは日本や海外のNGOと、あるいは現地のNGOと積極的に連携しております。今後ともそういった取り組みを強化していく必要があると考えています。
 国別援助計画の策定については、4月28日に対外経済協力関係閣僚会議においてスリランカの国別援助計画(新規策定)及びベトナムの国別援助計画(改訂)が決定されました。現在、モンゴル、インドネシア、パキスタン、インドといった国々の国別援助計画の策定作業を継続中でありまして、その後に新しい国の援助計画の策定あるいは見直しに取りかかる、そういう予定になっております。
 次の質問は「イラクでは日本政府からNGOがヨルダンのアンマンに呼ばれたり『サマワで活動するなら金は幾らでも出す』と言われた結果、日本のNGOではなく外国のNGOが日本のODAを使って活動することが増えていると聞く。それについてどのように思うか。日本のNGOからは一部不満の声として上がっている。」です。
 まず事実関係から申し上げれば、「サマワで活動するなら金は幾らでも出す」というようなことを日本の政府が言ったということはないと承知しております。他方で、イラクに対する復興支援につきましては、日本のNGOだけではなくて、これまでにも日本以外の国のNGOにも日本のODAが資金協力をしていること、これは事実です。例えばヨルダンのハシミテ慈善財団であるとかケアインターナショナルといったところには昨年の早い段階から資金協力をして連携しております。
 日本のNGOに対する協力は我々としては積極的に行っていきたいと思いますけれども、同時に海外のNGOとも連携を図っていきたいと思います。いずれにせよ、質問にあったようなことを、あるいはそういったメッセージを日本が出しているということはありません。

○城所室長
 それでは最後の質問ですけれども、日本企業の参加をどこのアフリカ圏の国も求めているが、政府からのサポートは無償資金のほかに何かあるのかという質問ですけれども、いろいろな意味での協力であれば、勿論技術協力もございますし、それから有償資金の協力もございます。それから人の出入りという関係でいくと、若い青年協力隊それからシニアボランティアの制度もありますので、そこはJICAの事務所等に聞かれたらいいと思う。
 JICAとの関係でいくと国内に19の国内機関がございますので、これは新潟のケースですから、本部は東京本部ですけれども、緊密な連携を取っていただければ細かいことがわかると思います。それから、先日マダガスカルに行かれて、要するに飛行機賃がかかるというお話なのですけれども、そういう意味ではTICに御連絡いただければ、いわゆる国民参加型という意味でのサポートは可能かと思います。それから、勿論、外務省が持っているNGO事業補助金の中にもそういう仕組みがございますので、そういうのを活用していただけたらと思います。
 それから、最後の質問で、アフリカのJICA各地域にNGO側のサポートするスタッフを置いてほしいということですけれども、これについては、JICAはNGOデスクといって担当官を1名置いておりますので、現地と連絡を取ることではなくてTIC東京事務所経由でもコンタクトされたらと思います。そういう意味でも私たちは外務省・JICAとの連携というのをものすごく高めておりまして、日々電話してお互いに、ある件についてどうなったこうなったと連絡をとり合っておりますので、御質問があれば勿論私の方もTICとコンタクトすることはやぶさかではございません。
 それから、外務省が在外公館でNGOとの関係では、「ODA大使館」というのを開いておりまして、外務省、JICA、JBIC、その他いろんな方々を呼んでNGOとの関係をよりよくする。それから場合によってはいろんなアドバイス、セキュリティ情報なども交換することをやっておりますので、そういう意味でも連携は深まっていると思います。
 とりあえず以上です。
 では、中野さん。

○司会
 では、よろしいですか。それでは意見交換のセッションを終わりまして、5のその他の議題に移らしていただきます。外務省から2件お知らせがございます。
 まず初めに、経済協力政策課塚田企画官よりODA50周年について報告をさせていただきます。

○塚田経済協力政策課企画官
 外務省政策課の塚田と申します。お手元の2枚ものの「国際協力50周年記念事業について」という資料については既に外務省ODAホームページにほぼ同じ内容の情報が掲載されておりますので、既に御承知の方もたくさんおられると思いますが、若干追加情報がございますので、改めてこの場をお借りして御案内させていただきたいと思います。
 先ほども御紹介あったとおり、50年前の10月6日、日本はコロンボ計画に参加しまして、爾来、50年にわたって国際協力を展開してきたわけですけれども、1987年に10月6日が「国際協力の日」と決められ、今年ちょうど50年ということで、本年は10月6日を中心に全国レベルで大々的に国際協力ODAについての理解と関心を高めるべく外務省を中心にいろいろなイベントあるいは企画を広報事業を含めて検討しております。
 ここに書いてございますとおりに10月6日を中心に、9・10・11の3か月間を国際協力記念月間と位置付けまして、政府サイドではここに書いてございますとおりに50周年記念特集号のODA白書を発表する。更に、これは例年やっていますけれども、本年は10月2日及び3日に予定している国際協力フェスティバルも50周年の観点からできるだけ歴史的な観点も盛り込んだいろいろな企画というのを外務省の方でも検討していますし、参加されるNGOの方々も50周年ということを一応念頭に置いた形で是非このフェスティバルを盛り上げて頂きたいというふうに思っております。
 更に10月3日には小泉内閣タウンミーティングというのを検討しておりまして、これはODAの関係閣僚、外務大臣も含めて参加して、国民の方々との直接対話というのを企画しております。
 更に10月の半ばにはJICAさんの方で企画しております国際協力のシンポジウムが予定されております。緒方理事長とUNDPのマロック・ブラウン総裁の参加を得て、50周年という角度からのテーマを検討しております。
 ここに書いてございませんが、11月には全国展開で、これもほぼ2か月か3か月に一遍の割合でやっておりますODAのタウンミーティング、これを日本全国の自治体の協力も仰ぎながら回って、皆様と議論を深めていきたいというふうに考えております。
 次のページをごらんいただきたいんですけれども、これはホームページの方でももう御案内を始めておりますが、共通ロゴマークということで、この資料の1ページの右上にもちょっと張らせていただきましたけれども、この機会に政府のみならず地方自治体・民間団体そしてNGOの皆様にも是非このロゴマークを使って50周年記念キャンペーンに御参加いただきたいというふうに考えております。
 ロゴマークの使用には厳しい条件があるわけではなくて、ここに書いてあるように、国際協力に関するイベントですとか、セミナー、シンポジウムを既に皆様の方で企画・検討されている場合には、是非この共通ロゴマークを使っていただいて、一緒にこのキャンペーンに御参加いただくと、そういう形にしたいと思っております。ホームページの方にも部分的にもう御紹介しておりますけれども、申請をしていただければ、我々の方で団体名ですとか連絡先、こういった情報だけ提供いただければ、基本的にはODAに関する理解促進という趣旨に適うものであれば幅広くこのロゴマークを使用していただきたいと思っておりますので、奮って御応募いただければと思います。
 なお、ホームページはまだ技術的な理由で申請部分が開設できていないんですけれども、来週の後半にはホームページ上の申請フォーマットが開設されますので、そちらをごらんいただくか、あるいは直接政策課の広報班宛てに御連絡いただいても勿論結構でございます。
 最後に繰り返しになりますが、対象期間は9月から11月の3か月間となっておりますが、勿論、その時期から外れた場合でも構いませんので、何かイベントを企画している場合には、広報班の方に御連絡いただければと思います。
 以上でございます。

○司会
 続きまして、外務省領事移住部海外安全相談センターの伊藤センター長より海外安全情報について報告をお願いいたします。

○伊藤領事移住部海外安全相談センター長
 外務省海外安全相談センターの伊藤です。よろしくお願いいたします。
 皆さんに配布しております「海外安全のための『渡航情報』発信状況」という2枚紙がありますけれども、これを見ていただきたいと思います。
 先ほどもちょっと話が出ましたけれども、先般のイラクにおける日本人誘拐事件の発生などに伴い、外務省としては従来以上に海外安全情報の普及、周知徹底に努力している次第です。その関連で具体的に安全情報をどのような形で発信しているかをここで取りまとめたものです。まず初めに、海外安全ホームページで、我々が持っているすべての安全情報をこの海外安全ホームページに網羅しております。www.mofa.go.jp/anzen というホームページです。
 その他に、事前に登録していただくと、渡航情報のメール配信サービスが受けられます。一般向けのメルマガと、団体とか企業向けにスポット情報や渡航情報などを発信しているものがあります。海外安全相談センターという窓口を設けて、電話や訪問による照会に応じています。
 この他にファックスサービスや空港にタッチビジョンを設置しており、また、旅行代理店とかパスポートセンターを通じて情報を発信しています。
 NHKの海外安全情報へも情報提供をしております。
 7月には「海外安全キャンペーン」を計画しておりまして、7月いっぱい色々な広報活動を行う予定です。
 このように色々な形で海外安全情報を発信しているのですが、この関連で、本日お願いしたいことが3点あります。
 1点目は、「海外安全ホームページ」ですが、より多くの人にアクセスしてもらいたいと考えております。出来ましたらNGOの皆様は、ホームページを設置していると思いますので、皆様のホームページに「海外安全ホームページ」へのリンクを張って頂きたいと思います。詳しいリンクの張り方は別紙に出ておりますので、それを参考にしていただきたいと思います。
 2点目にお願いしたいのは、渡航情報Eメール配信サービスがありますので、是非それぞれの団体で希望地域等について渡航情報Eメールを配信サービスに登録していただき、情報を入手していただきたいということです。
 3点目は紙媒体での安全に関する紙媒体の資料を配布資料の通り用意しておりますので、ミーティング等で配布していただきたく、御活用下さい。
 このように3点お願いしましたが、海外安全情報の普及に皆様から協力していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○司会
 それでは最後になりましたが、国際協力NGOセンターの船戸理事長より閉会のごあいさつをいただきます。よろしくお願いいたします。

○船戸国際協力NGOセンター理事長
 船戸でございます。本日は皆様お忙しいところ、このようにお集まりくださいまして、全体会議を開くことができましたことは私たち一同の喜びでございます。
 先ほど、五月女大使からのお話にもありましたように、この外務省・NGOの話し合い協議会は1996年に始まりまして、8年という歳月が流れました。その中には大変貴重な話し合いができた時期もありましたが、率直に言いまして、ある場合には余り成果が上がらなかったというような時もございました。
 最近になりまして、そういうことを反省して、「政策」と「連携推進」という二つの部会に分かれまして、お互いに協議が進められるようになり、現在は、大変有意義な協議を持つことができていると思います。また、そのまとめといたしまして、このような全体会を持つことができたということも大変喜ばしいことです。
 私たちがこの協議会を進めるに際しまして、最も重要なことは相互理解と、相互信頼ということではないでしょうか。お互いにお互いをよく理解し合うこと、これはNGOの方から外務省の皆様にお願いしたいことでもあるし、またNGOとしても十分に考えなければならないことです。
 また、その中で、私どもはお互いに国際協力をしている基本原理と申しますか、根本的な原則に立ち返るということを考えなければならないと思うのです。ということはどういうことかというとイコール・パートナーシップの立場に立って、私たちが話し合いをするということです。
 具体的には、私どもNGOも、そしてまた外務省も、イコールパートナーの立場に立ちつつ、共通の目標に向かって歩むということです。今、最も重要なことは、「国際協力」ということについてより多くの方々、市民、国民に理解を持っていただくということではないかと思います。 このような共通の目標に対して、ともに理解し合いながら、また信頼し合いながら、新しいものを生み出していくところに、この協議会の目標があるのではないでしょうか。
 本日このような全体会が開けたということは大変喜ばしいことであり、今後ともお互いに協議を進めることによって、より一層の理解と協力を、そしてまた信頼をつくっていきたいと思います。
 本日は大変長い時間、このようにみんなで協議をすることができたことを心から感謝し、閉会のあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

○司会
 どうもありがとうございました。それではこれをもちまして、NGO・外務省定期協議会全体会議を閉会させていただきます。
 お帰りの際にバッチをつけていらっしゃる方は、会場の係の者にバッチをお返しいただきますようお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

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