ODAとは? 国際協力とNGO(非政府組織)

平成16年度日本NGO支援無償資金協力について
(実施要領)

※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations

I.開発協力事業支援の実施要領

1.概要

 開発途上国(以下途上国)・地域で活動している日本のNGOが実施する草の根レベルに直接裨益する経済・社会開発協力プロジェクト(注1)に対して資金協力を行うものである。

(注1) ここにいうプロジェクトの中には、一定の開発効果をもち、複数のプロジェクトからなる継続的な活動を一つのプログラムとするものを含む。


2.実施対象国・地域

 別紙1.の国・地域

3.対象分野

 上記2.の国・地域の草の根レベルに直接裨益する経済・社会開発プロジェクト(施設建設、機材供与、啓蒙活動など)を対象とする。

4.供与限度額

(1) 1件当たりの供与限度額(注2)は以下のとおりとする。

(イ) 海外での国際協力活動の実績が2年以上あり、かつ直近2年間の支出実績が各年1000万円以上ある団体に対しては、供与限度額は原則1000万円とし、プロジェクトの内容に応じ最大供与額を5000万円とする(但し、供与額が2000万円を超える場合には、7.供与条件(2)(ロ)を参照。)海外での国際協力活動の実績は2年以上あるが、直近2年間の支出実績が各年1000万円以下の場合には、当該団体の組織・財務体制を勘案した上で、原則として最大供与額を1000万円とする。
(ロ) 海外での国際協力活動の実績が2年以下であり、かつ国内外での活動実績が2年以上ある場合には、供与限度額は原則500万円以下とする。
(注2) 供与限度額は、申請時ではなく承認時の実勢レートにより確定される。


(2) なお、プロジェクト総額が2000万円を超えるものについては、総額の80%または2000万円のいずれか高い方の金額を供与限度額とする。

(3) 上記(1)の次第はあるが、上記(1)(イ)の条件に該当する団体に関し、人間の安全保障の理念が反映され、供与額が5000万円を超える事業については「草の根・人間の安全保障 無償資金協力」を適用し、供与限度額として最大1億円まで認める(注3)
(注3) 人間の安全保障の理念が反映されているプロジェクトとしては、当面、以下のようなものを優先することとする。
1)コミュニティの能力向上のための基礎教育支援
2)紛争後の難民・避難民帰還支援
3)難民・避難民への母子保健支援
4)地雷除去活動支援
5)HIV等感染症対策支援
(上記のような分野における複数の支援活動を、一つの地域で総合的に行っていく(Value Added Approach)プロジェクトを積極的に支援する。)

5.対象プロジェクトの実施期間(供与資金の使用期限)

 契約締結日より1年間。

6.支援対象となる経費

(1) 現地事業費

(イ) 直接費目
 資機材、施設及び役務を調達するために必要な経費(注4)(注5)(注6)
(ロ) ソフト費目
(a) 会議・セミナー等開催費(注7)
会場借料及び会議開催に要する設営費
講師招聘料(旅費、宿泊費及び謝金)
参加者支援(旅費、宿泊費)(注8)
資料作成費
キャンペーン配布資料作成費(Tシャツ、帽子、ポスター等)
機材賃借料
(b) 現地スタッフ人件費・雇用費(当該プロジェクト実施に直接携わる、申請NGOの現地常設事務所の現地スタッフの人件費(プロジェクト・マネージャー及び同補佐クラスの計2名を限度)(注9)、及び同プロジェクトを実施するための人員の新規雇上げ費)
(c) プロジェクト管理費(プロジェクト実施期間中に、同プロジェクトの実施に伴って生じる管理費)
プロジェクト実施のために開設する現地事務所のプロジェクト実施期間における借料(光熱・水道料を含む)
機材借料・修理費(プロジェクト実施に不可欠な機材)
通信費
旅費・移動費(車両借料を含む)
印刷費等の経費
(d) 専門家招聘費(注10)
専門家招聘に伴う旅費、宿泊費
専門家謝金(技術指導及び専門的作業、機材設置に伴う技術指導、通訳・翻訳等に係るもの)
(e) 人材派遣費(当該プロジェクト担当の本部職員をプロジェクト調整業務のため現地に派遣するための旅費、日当、宿泊費)(注11)

(注4) 車両について
 ゴミ収集車や消防車、救急車のような特殊車両ではない普遍的用途と高い移動性を有する車両については、私用を含め当初の目的以外に使用される可能性や、供与後の管理が不十分となる可能性が排除されないため、下記の点を含め慎重に対処するものとする。
(イ) プロジェクト実施に当該車両が必要不可欠であり、かつその役割が明確であること。
(ロ) 運転手が確保され、運転日誌が整備される等、具体的な使用計画が立てられており、また、燃料の確保、メンテナンス体制等の維持管理体制が確立していること。
(ハ) 車両が2台以上にわたる場合は、現在利用されている台数では不足する理由、及び何故その台数が必要かという点につき明確かつ具体的な説明があること。
(注5) パーソナル・コンピューター等について
 パーソナル・コンピューター(以下PC)等の電子機器については、技術の発展に伴い、更新期間が年々縮減され消耗性が高まっていることを踏まえ、供与に際しては慎重を期すものとする。特に、PC等の電子機器のみを供与する(あるいは供与費目の大勢を電子機器が占めている)案件については、原則として支援しない。
 具体的には以下の基準に照らしつつ、供与の是非を個別に検討する。
(イ) プロジェクト実施に当該PCが必要不可欠であり、かつその役割が明確であること。
(ロ) 草の根の人々を裨益者として想定していること。
(ハ) 被供与団体の事務能力向上を主たる目的としていないこと。
(ニ) 最低5年以上を目安とする長期的な利用を被供与団体が確約し、消耗品の調達を含め、維持管理体制を充実させていること。
(注6) 土地について
 施設建設案件においては、建設予定地は被供与団体が自助努力にて確保すべきものであり、その購入費用は支援しない。施設建設案件の実施にあたっては、建設予定地に対する所有権の有無ないし所有者との関係を必ず確認することが重要である。
(注7) セミナー開催費には菓子、飲食代は含まれない。
(注8) セミナーに参加する特定の参加者についてその旅費・宿泊費も支援対象とするが、住民への啓蒙活動のように不特定多数の場合は対象外とする。
(注9) 各現地スタッフの業務日報(様式3-Cを使用)により、全労働時間中、当該プロジェクトに従事した時間に応じて計算される。人件費の単価はNGOの給与体系に基づく基本給とし、かつ事業実施国の同業種の給与水準に照らし、妥当な水準にあることが必要。給付対象となる労働時間は1日当たり8時間を限度とする。本部スタッフ人件費に準じ、別紙3の様式1-Cを使用する。
(注10) 派遣専門家の略歴等の情報に関し、別紙3の様式1-dのフォームに記入し提出の必要あり。単価は基本的にJICA専門家派遣に係る経費単価を上限とする。
(注11) 単価は各NGOの旅費規程に基づくものとし、基本的にJICA専門家派遣に係る経費単価を上限とする。日当・宿泊費については、1渡航につき日当と宿泊費の日数がそれぞれ30日までは単価の100%、31日以上60日までは90%(0.9掛け)、61日以上は80%(0.8掛け)となる。また、本人材派遣費には、入国の際に義務付けられる予防接種、査証取得費、空港使用料を含むものとする。同経費は(1)(ロ)(d)の専門家招聘に係る旅費、宿泊費にも適用する。なお、人材派遣費の査定にあたっては、プロジェクト遂行上、当該職員の派遣が不可欠であるかの観点から検討することとなる。


(2) 本部プロジェクト実施経費(プロジェクトを実施するために不可欠なNGO本部スタッフのソフト経費)

(イ) 当該プロジェクト実施に直接携わる本部スタッフの人件費(各職員の業務日報により、全労働時間中、当該プロジェクトに従事した時間に応じて計算される)(注12)
(ロ) 会議費(プロジェクトの実施に不可欠な業務打ち合わせ会議開催に係る会場借料及び旅費、講師招聘料)
(ハ) 通信・輸送料(現地事務所及びカウンターパートとの通信連絡及びプロジェクト関連資機材・資料の輸送・送付に係る経費)
(ニ) プロジェクト資料作成費
(ホ) 機材借料・修理費(プロジェクト実施に不可欠と判断される機材に限る。)
(ヘ) 雑費(事務用品購入費)

(注12) 人件費の単価は、各NGOの給与体系に基づく基本給とし、基本的にJICA専門家派遣に係る経費単価を上限とする。また給付対象となる労働時間は国内、プロジェクト実施地ともに1日8時間を限度とする。業務日報は別添の様式3-cの日本NGO支援無償資金協力事業担当者業務日報を使用する。なお本部スタッフには、本部より現地に常駐職員として派遣され、当該プロジェクトを直接担当するスタッフを含む。なお、本部プロジェクト担当者に関する情報を別紙3の様式1-cフォームに記入し、提出の必要あり。


(3) 外部監査費

 原則として供与申請額(支援額)の5%~10%(内数)を目安として計上する。


7.供与条件 (以下の各条件は、基本的に開発協力事業支援以外の支援事業にも適用される)

(1) 対象となるNGOの条件

1) 日本のNGO(団体本部の住所が日本国内にある民間非営利団体)であること。
2) 自ら供与対象プロジェクトの主要部分を実施すること(事業を事実上他団体に委託して実施する場合は対象外とする。)
3) 国際協力活動の実施が団体の主要な設立目的の一つとなっていること。
4) 原則として法人格(公益法人、NPO法人)を有すること。
5) 予算書、決算書等の財務諸表が整備されている等、適切な会計処理及びその透明性の確保が図られており、かつ累積赤字を有している等の財務上の不安定要因を抱えていないこと。
6) 政治的、宗教的活動を主たる目的としていないこと。
7) 営利活動を目的としていないこと。
8) 非合法的行為・反社会的行為等を目的とする団体でないこと。
9) 過去1年以内に、下記(6)(ヘ)に基づく資金返還を行ったことがないこと。


(2) 供与額に係る条件

(イ) プロジェクト実施にあたり、為替レートの変動により為替差損が生じる場合には、被供与団体が負担する。
(ロ) 2000万円を超える資金の供与を申請するNGOは以下の要件を満たしていることが必要。
(a) 原則として、当該途上国・地域において経済・社会開発プロジェクトを3年以上実施した実績を有すること。
(b) 過去に草の根無償資金協力、NGO事業補助金等の公的支援制度により2件以上の資金供与を受けた実績を有し、適正な事業実施、事業報告及び会計処理を行ってきたこと。
(c) プロジェクトを効果的に実施しうる組織体制、人員及び予算規模を有しており、かつ外部監査を実施する等適切な会計処理を実施していること。
(d) 現地事務所を有し、常勤スタッフを配置する等、適切にプロジェクトを監理することができる現地体制を確保していること。


(3) プロジェクト内容に係る条件

(イ) ODA大綱を踏まえたプロジェクト内容であること。
(ロ) 前記当該国・地域に対する我が国の援助政策に沿った内容であること。
(ハ) 現地ニーズを十分に踏まえ、地域社会の経済・社会開発、民生の安定につながるものであること。
(ニ) 地域住民の自助努力による自立を促し、地域住民の参加があること。
(ホ) 環境面、人道面、ジェンダーの観点等で十分な配慮がなされていること。


(4) 経費積算に係る条件

(イ) 適正かつ妥当な経費積算がなされていること(資機材、設備の調達、施設建設、サービス等で3万円相当以上を要する場合には、原則として三者見積もりを提出する必要がある)。
(ロ) ソフト経費については以下の調査を実施。
供与額が2000万円を超える案件または2000万円以下でも供与総額の3割以上のソフト費目を含む案件については、在外公館もしくは委託機関(外部調査委託)による調査結果を踏まえ、事業目的、費用対効果を検討し、プロジェクトを適切な規模に絞り込むことがある。
本部プロジェクト実施経費については、原則として、当該NGOは、外務省(または委託機関)により、申請された費用内容が適正かつ妥当かどうかの確認調査を受けること。


(5) 安全確保について

 申請NGOが自己の職員等につき十分な安全対策措置を講じていること。
 なお、事業実施地(国)の治安が悪化した場合は、プロジェクトの実施方法等につき在外公館または外務省と緊密に連絡・協議し、必要な安全対策をとること。

(6) その他の条件

(イ) 報告書(中間報告書、事業完了報告書)等の提出及び、必要に応じ、プロジェクト実施中のモニタリング調査及びプロジェクト完了時及びその後の調査等の受入(注13)
(a) 全ての事業に関し、中間報告書(別紙5.様式3のフォームを使用)、事業完了報告書(別紙6様式4を使用)を在外公館(または外務省)に提出する。
(b) 中間報告書及び事業完了報告書等で不明・不審な点がある場合には、当該NGOに対する事情聴取や追加資料の提出を求めるほか、必要に応じ、本省、在外公館または委託機関等によるモニタリング調査等を実施する。
(注13) これらの調査結果を踏まえ、在外公館または外務省は、当該NGOに対し然るべき改善措置等を求める場合もある。
(ロ) ソフト経費の分割供与
 供与金額の中に、ソフト経費(本部プロジェクト実施経費と現地事業費ソフト費目)を含む場合には、その部分については贈与契約(G/C)後、2回に分割して供与する。2回目の供与は原則として1回目の供与から半年後に行うこととし、当該NGOは2回目の供与に先立ち、在外公館にプロジェクトの進捗に関する報告書、領収書、銀行残高等を提出し、審査を受けるものとする。
(ハ) 外部監査の実施
(a) 資金供与を受けるすべての案件につき現地監査法人等による外部監査(会計監査)を実施する。なお、本部プロジェクト実施経費については、日本国内の監査法人等による監査を実施することでも差し支えない。
(b) 外部監査は既定のガイドライン(別紙参照)に従って行うこととする。
(ニ) 供与資金の精算
(a) プロジェクト終了後、NGOが在外公館に提出する事業完了報告書(事業資金収支表、資金使用明細書等を含む)及び外部監査結果等に基づき、供与資金の精算を行う。
(b) 最終的に余剰金が生じた場合は、在外公館または外務省の指示に従い、返納手続きをを行う。
(ホ) 事業の変更・中止
 プロジェクトの実施において、以下のいずれかに該当する場合には、プロジェクト内容変更申請を在外公館または外務省(経済協力局民間援助支援室)に対し行った上で、予め在外公館または外務省の承認または指示を受けるものとする。特に、事業終了間際の変更申請は、事業期間内の処理が困難になることもあるので、必ず余裕をもって行うこと。
プロジェクトに要する経費の項目毎の変更(軽微な変更を除くが、同変更についても事後報告を行うこと)(注14)
プロジェクトの内容または期間の変更(軽微な変更を除くが、同変更についても事後報告を行うこと)(注15)
プロジェクトの中止
プロジェクトが予定の期間内に完了しないこと、またはプロジェクトの遂行が困難となったことが明らかになった場合
(注14) 経費項目毎(各小、中、大項目)20%以上の流用の増減。但し、外部監査費は流用の対象外。なお、経費を流用できるのは贈与契約書の別紙「支援額内訳」に記載された項目間に限定される。
(注15)
(1) 供与機材・物資の変更
(2) 施設設置の場合、1)設置場所の変更、2)規模もしくは構造の大規模な変更
(3) 実施時期、期間の1ヶ月を超える変更
(4) 専門家派遣、本部プロジェクト担当スタッフ及び支援対象となっている当該NGOの現地常設事務所の現地スタッフの場合、1)人数の増減、2)対象専門家等の変更
(ヘ) 供与資金の返還
 供与目的に沿った適正な供与資金の使用がなされていないことが判明した場合には、NGOは供与資金を返還しなければならない。
(ト) 情報公開
 当該プロジェクトに関する申請内容、事業完了報告書(事業資金収支表を含む)を公表することとし、後者については、ホームページを開設しているNGOの場合には、NGO自身のホームページに掲載することとする。また供与資金の不適正使用が判明したNGOについてはその内容を公表することもある。


8.案件の申請と審査について

(1) 申請から実施までの流れ

(イ) NGOから在外公館または外務本省(民間援助支援室)に対し申請書を提出(注16)
(ロ) 在外公館による審査(書類審査及びプロジェクト・サイト視察など)、外務本省及び外部機関による審査(主に本部プロジェクト実施経費及び団体審査、申請書内容の審査)
(ハ) 外務本省による実施候補案件の選定・承認(不採択の場合には不採択通知を発出)
(ニ) 原則として在外公館とNGOとの間で贈与契約(G/C)を締結
(ホ) 原則として在外公館からNGOに対する資金の支払い
(ヘ) NGOによるプロジェクトの実施、在外公館等によるモニタリング
(ト) プロジェクト終了後、事業完了報告書、外部監査結果を在外公館(または外務省)に提出(外部監査結果は、時間を要する場合には、事業完了報告書の提出後でも差し支えない)
(注16) 申請書の到達後、同内容等に関し必要な補正を経た上で、案件内容等にもよるが約2~3ヶ月程度を目処として審査手続きの完了を目指す。


(2) 申請に要する書類

 本開発協力事業支援のみならず、その他の支援(II.~VI.)についても、基本的には以下のような書類の提出が必要である。詳細については、外務省経済協力局民間援助支援室(下記(3)参照)に照会願いたい。申請に必要な書類は外務省ホームページからダウンロードが可能。
(イ) 申請書
 申請書(別紙3.)に必要事項を記入の上(10枚程度を目安とする)、下記(ロ)の提出書類とともに当該途上国・地域の在外公館または外務本省に提出する(郵送でも可)。
(ロ) その他の提出書類
 以下の書類のうち(a)~(i)については、本省(民間援助支援室)に提出することとする。但し、同一団体が複数の事業につき申請を行う場合、2件目以降の申請においては、記載事項に変更がない場合は、(a)~(i)の書類の提出を要しない。
(a) 団体の設立趣意書
(b) 法人登記簿謄本
(c) 印鑑証明
(d) 定款、寄付行為、規約等
(e) 財産証明(預金残高証明書)
(f) 本年度事業計画・過去2年間の事業報告
(g) 本年度収支予算・過去2年間の収支報告・最近時の貸借対照表及び監査報告書(監査を受けている場合)
(h) 役員名簿
(i) 職員名簿(常勤、非常勤及び有給、無給の区別、担当業務内容を明記)
(j) 施設建設等の場合には工事設計書、図面等の参考資料
(k) プロジェクト・サイト地図
(l) プロジェクトの設計・仕様の明細
(m) 購入予定の財・サービスの3者見積もり(3万円相当以上のもの。数量や仕様を明記の上、現地語の見積もりには日本語または英語訳を付すこと)
(n) 外部監査の見積もり(可能な限り積算内訳を明記)
(o) NGOパートナーシップ事業支援の場合には、主契約者と他のNGO等が締結する契約書等の写し
(必要に応じその他の書類・資料等の提出を求める場合もあります。)


(3) 申請先及び申請に関する問い合わせ先

(イ) 日本で申請する場合:
外務省経済協力局民間援助支援室(担当 NGO支援班)
住所:〒105-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
TEL:03-5501-8000 (ダイヤル・イン) 内線5768、5869、5883
FAX:03-5501-8360
(ロ) 海外で申請する場合:
在外公館の連絡先は外務省ホームページで閲覧可能。


II.NGOパートナーシップ事業支援の実施要領

1.概要

(1) 日本のNGOが日本国内外の他のNGO(注18)と連携・協同し、上記.Iの開発協力事業を実施するもの。

(2) コンソーシアムの中で契約総額の50%以上を受け取る日本のNGOは、主契約者として在外公館との間で締結される贈与契約(G/C)に署名を行う。なお、同契約に添付する支援額内訳は、主契約者のNGOを始めとする各NGO毎に記載することが必要。

(3) 本支援内容及び供与条件等は、以下2.及び3.の点を除き、上記I.の開発協力事業支援と同様。

(注18) 本事業の連携相手となる国内外のNGO(国内のNGOについては必ずしも法人格を有している必要はない)は、国際協力活動(開発協力事業)の実施が団体の主要な活動目的の一つとなっていること、政治的、宗教的活動を主たる目的としていないこと、営利活動を目的としていないこと、非合法的行為・反社会的行為等を目的とする団体でないこと、主契約者となる日本のNGOと連携して事業を実施しうるに足る組織体制等を有していることが必要。 本事業の支援にあたっては、連携相手となるNGOの団体概要を提出することが必要。


2.主契約者となるNGOの条件(1.開発協力事業支援の場合(7.供与条件 参照)と異なる条件)

(1) 申請プロジェクトに関してコンソーシアムの中で問題が生じた場合は、主契約者が調整、解決を図り、かつ法的責任を負うこと。

(2) 対象プロジェクトに類した一定規模以上の事業(2000万円程度を目安とする)を3年以上実施した実績を有すること。

(3) 過去に少なくとも3件以上の草の根無償資金協力、NGO事業補助金等を受けた実績を有すること。

(4) 現地事務所を有し、常勤スタッフを配置する等、適切に事業を管理しうる現地体制を整備していること。


3.対象事業の実施期間

(1) 対象事業の実施期間は契約締結日より1年間。

(2) 但し、数年に及ぶ案件については、3年間を限度として2年目以降の事業についても考慮し、以下に従い採択の可否につき検討を行う。
(イ) 事業の初年度の申請の際に、当該年度の事業計画書(参加する各NGO等の事業計画書を含む)に加えて、プロジェクトの全体計画書(参加する各NGO等の事業計画書を含む)を提出する。
(ロ) 当該プロジェクトの進捗状況を踏まえて審査を行い、当該案件の持続的効果が高く、次年度も継続することが望ましいと判断される場合には、次年度の申請も優先して採択する。


III.NGO緊急人道支援の実施要領

1.概要

 海外で発生する大規模な武力紛争や自然災害に伴う難民・避難民に対する緊急人道支援活動に従事する日本のNGOが、より迅速かつ機動的に活動を立ち上げられるよう支援するためのもの。

2.対象事業

 武力紛争、自然災害等の現場で支援活動を展開した実績を有する日本のNGOが、武力紛争、自然災害等の被災民(難民・避難民を含む)に対する緊急人道支援または被災地の復旧・復興支援として被災地の現場で実施するプロジェクト。

3.プロジェクト期間

 原則として6ヶ月以内(但し、緊急ではあるものの、一定程度の継続性が必要と認めれられる場合には、例外的に1年まで可とする。)

4.供与限度額

 1件あたりの供与限度額は1億円とし、原則、供与額はプロジェクト総額の80%を上限とする。

5.支援対象経費

 基本的に開発協力事業支援の場合に準じるほか、紛争地域に近い場所で活動する場合の傷害・死亡保険費(戦争特約を含む)も支援対象とする。

6.審査にあたっての留意点

(1) 審査にあたっては、NGOが現地政府や関係国際機関による支援活動と十分な調整・連携の下でプロジェクトを実施し、相互補完的に最大効果を発揮するものであることが重視される。

(2) 申請団体は上記I.7(1)の要件及び海外での緊急人道支援実績に加え、過去5年間に5000万円以上の海外支援実績を有することが必要である。

(3) NGO間の活動の調整、協力・連携の促進
(イ) NGOの異なるプロジェクト間で活動地区及び支援分野の重複がある場合には、NGO間で直接協議を行う等により重複を解消する必要がある。協議が必要な場合には、外務省より関係NGOに調整をお願いするが、調整が行われない場合には、当該重複部分について支援できないことがある。
(ロ) NGOの異なるプロジェクト間で、支援分野が相互に関連している等の相互補完性が認められる場合には、それぞれのプロジェクトに係る申請を行ったNGOが相互に協力・連携を図ることが望まれる。
(ハ) 申請を行ったNGOが国際機関との協力実績のない団体である場合には、このような実績を有する他のNGOと合同で、または協力・連携して活動を行うことが望まれる。

(4) 申請したNGOが現地で十分な安全対策を講じる用意がない、または人員、経験、連絡体制等の面で十分な安全対策を講じうる体制にないと判断される場合には、同プロジェクトの支援を行えないことがある。


IV.リサイクル物資輸送費支援の実施要領

1.概要

(1) 日本の地方自治体や医療機関、教育機関などが提供する優良な中古物資等(消防車、救急車、病院用ベッド、車椅子、学校用机・椅子、仮設プレハブ住宅等)を、開発途上国において日本のNGOが引き受け、当該途上国のNGO、地方公共団体等に贈与するにあたり、その輸送費等を支援するもの。
 なお、援助物資を当該途上国において引き受ける(受け取る)のが、その国のNGOや地方公共団体等である場合には、草の根・人間の安全保障無償資金協力の申請書によることになる。この場合、申請書は途上国引き受け(受け取り)団体より、わが方在外公館に対し提出されることになる。
(2) 供用期間が過ぎたことにより、本来ならば処分される中古救急車・消防車等が開発途上国からの要請に基づき再利用に供されることは、資源の有効活用の観点から望ましいことである。また国民参加型ODAの推進の観点から、わが国NGO、地方公共団体等との一層の連携も重要である。これらを踏まえ本件リサイクル物資輸送費支援を実施している。


2.供与限度額

 1件当たりの供与限度額は1000万円とする。

3.支援対象経費

 原則として中古物資の輸送費(日本国内における物資の提供先から途上国の供与先まで)、事前の修理・整備費(注19)を支援対象経費とする。なお、関税、通関手数料は援対象外とする。
(注19) 事前の修理・整備費は必要最小限のもの。またスペアパーツについては、特別な事情がある場合に限り、必要最小限のものを認めることとする。


4.実施上の留意点

(1) 本輸送費支援を実施するためには、1)日本のNGOの途上国における駐在事務所等が、当該国内で物資を途上国の地方公共団体等に確実に分配する能力を有すること、2)援

(2) 援助物資(注20)は、わが国提供団体から無償で提供され、途上国も受入団体により無償で配布または活用される必要がある(注21)

(3) 途上国において援助物資を確実に受入れ、責任をもって分配または活用することができる入団体が申請に先立って特定されている必要がある。

(4) 途上国受入団体が、新品の調達ではなく、中古品であってもわが国からの援助物資の輸送を希望している必要がある。

(5) 援助物資(特に中古車両)の性能・規格が受入国の国内法令・規制に適合していることが必要。

(6) 現地にて新品を調達する場合のコストより、中古品等を輸送する場合のコストの方が低く収まっている必要がある。

(7) 公平性の観点から、特定企業に対する利益誘導となりうる支援は差し控えることとし、具体的には特定の商標等が付された物資を大量に輸送することは支援対象としない。

(8) 原則として、災害時の緊急人道支援の場合を除き、消耗品や個人所有となる物資(食糧、古着、文房具等)は支援対象としない。

(注20) 援助物資は利用可能な中古品を想定しているが、無償で提供されるのであれば、新品または新古品であっても差し支えない。なお、一度使用不能となった物品を改造するための整備費用は支援対象外とする。
(注21) 援助物資の最終送付先は、途上国において草の根レベルで経済社会開発プロジェクトを実施している非営利団体である必要がある。物資の提供団体は、営利団体(企業等)や個人であっても差し支えない。


5.申請から実施までの流れ

(1) 援助物資を引き受ける日本のNGOより外務省(民間援助支援室)または在外公館に対して、援助物資の輸送費支援につき日本NGO支援無償資金協力の申請書を提出。

(2) 外務省及び在外公館の双方において申請事業の妥当性等を検討した後、外務省において実施の可否を決定し、当該NGOに通報。

(3) 外務省または在外公館と当該NGOとの間で贈与契約(G/C)を締結し、必要な資金を当該NGOに対し供与。

(4) 当該NGOより途上国の受入先に対し援助物資を輸送。

(5) 当該NGOは援助物資の活用状況に関する報告書を在外公館または外務省に提出する。


V.マイクロクレジット原資支援の実施要領

1.概要

 マイクロクレジットは、担保手段を持たないために民間銀行等からは融資対象として不適格と見なされる貧困層、特に女性に対し、生産手段の確保・拡充、所得向上のために少額・無担保の信用を供与するもの。現地でマイクロクレジットの実績をもつ日本のNGOに対し原資となる資金を供与し、団体は供与された資金を使用し、貧困層の人々に少額・無担保の貸付を行う支援である。

2.実施対象国

 本支援は、主に以下の諸点を考慮し、実施することが適当と判断される途上国を対象に実施する。

(1) マイクロクレジットについて大きな需要が存在するか。

(2) 資金供与の対象となりうるマイクロクレジット実施団体が存在するか。

(3) 主要ドナーがマイクロクレジット支援を実施しており、かつ同支援により効果が上がっているといえるか。

(4) 日本NGO支援無償資金協力によるマイクロクレジット支援が大きな効果を上げると考えられる条件が揃っているか。


3.対象となるNGO

(1) 本支援の対象となるNGOは、既述の開発協力事業支援の対象となりうるNGOの条件(I.7(1)参照)を満たすとともに、マイクロクレジットについての実績のある団体であることが必要であるとし、新規にマイクロクレジットを実施する団体については、原則として支援の対象としない。

(2) 支援対象NGOの選定にあたっては、以下の点を考慮する。
(イ) 実施団体の体制
1) 良好・健全な運営状態を可能にする諸条件を満たしているか(過去3年以上にわたりマイクロクレジット事業を実施)。
2) 正確な情報管理を行っているか。
3) 小規模融資を効果的に実施できる実施体制にあるか。
4) 財務報告能力(定期的なモニタリングの結果の報告能力)はあるか。
(ロ) サービス内容の質
1) 貧困者等、通常の融資へのアクセスの少ない者を対象としているか。
2) エンド・ユーザー本位の融資をしているか(小規模融資について、簡易・迅速な対応を可能としつつ、連帯責任制等の返済促進のための措置をとっているか。)
3) 顧客ニーズへの対応が早く、しっかりとした拡張計画を有しているか。
(ハ) 財務状況
1) 貸し付け利子で運営費用をカバーできているか。
2) 延滞、焦げ付きが少ないか(過去3年以上にわたり債権回収率が95%以上)。
3) 補助金やドナーからの支援への依存が少ないか。


(3) 被供与団体が実施するマイクロクレジットの貸し付け目的については、貧困者の生産手段の確保・拡充、所得向上等貧困削減に資する目的となっているものとする。但し非合法的行為・反社会的行為等を目的とする事業に対し融資している団体を除く。


4.供与限度額

 1件あたりの供与限度額は2000万円を上限とする。

5.資金供与方法

 贈与契約(G/C)締結後、先ず供与限度額の半額につき被供与団体に供与する。供与限度額の残りの半分については、原則として同一会計年度内の6ヶ月後に、被供与団体からの使用状況についての報告、外部団体による会計監査報告等を踏まえて、在外公館の判断に基づき供与する。

6.供与資金の使途

 供与する資金の使途は、マイクロクレジットの原資のみに限ることとする。但し、その必要性につき十分な理由があると認められる場合には、住民指導関連経費、現地スタッフ雇用費、プロジェクト管理費を含めることもできる。また、利子収入については、被供与団体の活動目的に反しない範囲での自主的な使用を認めることとし、事後に在外公館の承認を得るものとする。

7.供与資金の適正使用の確保

(1) 被供与団体は、原則として最低年1回外部の会計監査を受けるとともに、最初の資金供与を受けた時から2年間、最低3ヶ月に1回以上、3年目以降からの3年間においては最低1年に1回以上、同期間以降についてはわが方からの要請に応じて、資金使用状況を在外公館に報告するものとする。

(2) 在外公館は、被供与団体が信用するに足る外部の会計検査を受けていない場合には、外部の会計監査法人等に会計検査を委託し、最初の資金供与を行った時から2年間、最低6ヶ月に1回以上、会計監査報告を受けるものとする。

(3) 上記(1)、(2)の報告は、以下の内容を含むものとする。
(イ) 融資状況
1)当該期間内に貸し付けられた融資数及び融資額
2)延滞債務状況
(ロ) 利子状況
1)貸し出し利子
(ハ) 収入
1)利子収入
2)投資その他の事業収入
3)事業以外での収入
4)ドナーからの贈与(事業歳出のため、あるいは原資支援のため)
5)収入総額
(ニ) 支出
1)人件費
2)事務所借料その他の運営費
3)返済されなかった融資額
4)事業以外での支出
5)支出総額


(4) 供与資金が供与目的に沿った適正な使用がなされない場合には、同供与資金の返還を求め得るものとする。


8.資金の再供与

 日本NGO支援無償資金協力によるマイクロクレジット融資資金の供与より2年後以降に、それまでに報告された被供与団体からの資金使用状況についての報告や外部団体による会計監査結果等からみて、供与資金が適正に使用されており、かつ所期の効果を上げていることが確認される場合には、再度日本NGO支援無償資金協力により融資資金を供与することができるものとする。2回目以降の本支援の実施方法は上記1.~6.に同じ。

VI.対人地雷関係支援の実施要領

1.概要

 日本のNGOが行う地雷・不発弾除去、犠牲者支援、地雷回避教育といった対人地雷関連の活動を支援するもの。

2.実施対象国

 地雷埋設国を中心とし、対人地雷対策で活動するNGO等を積極的に支援するニーズが高いと考えられる国を対象とする。

3.対象となるNGO

(1) 地雷被埋設国において対人地雷対策に資する活動を開始する日本のNGOを支援対象とする。主に除去活動を対象とする。

(2) 当該活動について実績のある団体とし、選定にあたっては、以下の諸点を中心に検討する。
(イ) 実施団体の体制
1) 対人地雷対策活動において実績のある団体であるかどうか(過去3年以上にわたり実績があるか否かを一つの目安にする)。
2) 正確な情報管理、財務報告能力(定期的なモニタリングの実施とその報告能力)があるか。
3) 当該活動を効果的に実施できる体制となっているか。
(ロ) 支援活動の内容・質
1) 裨益効果が高い活動であるかどうか。
2) 除去活動後の土地利用計画等も見据えた総合的な開発計画を有しているか。
3) 効率的な対人地雷対策活動を行っているか(効率のよい除去技術を有することが望ましい)。
(ハ) 過去数年間の財務状況
1) 借入額が大きい等、将来の活動に不安定要因がないか。
2) 被埋設国政府や他のドナーからの支援等収入が十分得られているか。当該支援によりわが国の顔の見える援助となるかどうか。


4.供与限度額

(1) 1件あたりの上限を1億円とする。

(2) 同一団体への、同一の地雷被埋設国における地雷除去活動に対する支援は、特段の理由がない限り、承認件数の多寡を問わず年間2億円を超えないものとする。


5.支援対象経費

 基本的に、開発協力事業支援の場合に準じるほか、危険地での業務に直接従事する関係者のみ傷害・生命保険費も支援対象とする。
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