ODAとは? ODA改革

関係各省庁との意見交換

2002年11月22日
於:外務省

 以下は、「ODA総合戦略会議」の議論を踏まえ、外務省がベトナム国別援助計画の見直しを行うに当たり11月22日に実施した関係各省庁との意見交換の概要をまとめたものである。(順不同)。

I.本日は10省庁(関係団体を含む)、計16名の関係省庁関係者から出席があった。

II.河野外務省国別計画策定室長より、本件見直しの経緯、見直しプロセスを含む基本的な考え等について、概略以下の通り述べた。

(従来の作業体制)

 従来、国別援助計画は策定作業は、在外公館と東京とのやり取りを踏まえ、最終段階で関係省庁にコメントを求めた。しかし、本計画は最終的に政府全体となるものであり、早い段階で各関係省との意見交換を行い反映すべきとの声があった。

(新たな作業体制)

<コア・パーソン体制>
 「ODA総合戦略会議」の議論を踏まえ、外務省として対越国別援助計画の見直しを行うにあたり、本日、その作業過程の早い段階で関係省庁との意見交換を行うことした。但し、今回の見直し作業は、新たな取り組みとして実験的なものであり、試行錯誤を重ねて行っていく。こうした意見交換の場は、現在予定している明年3月のドラフト案(箇条書き)提出の前後を含め必要に応じ適時設ける。
 (配布資料を適宜利用しつつ)本件見直し作業の形態は、「ODA総合戦略会議」での大野教授による報告・説明にある通り、メンバーを決めた委員会方式ではなく、現地大使館に加え、JICA及びJBICの各事務所といった、越の現状をより良く把握している機関を中心とした「現地中心主義」で行う。その中で、大野教授から方向性、ガイダンスを得ながら進めていく。その意味で、大野教授と現地関係者の取り纏め役(大使館の北野公使)がコアパーソンとなる。

<オープンネットワーク方式>
 また、オープンネットワーク方式と名付け、現地だけではなく、東京サイドにおいても、(日本の)関係省庁を始め、越政府、NGO、企業関係者、学識者等との意見交換を行う。その概要、関係者の問題意識・ポイントをODAホームページ内に掲載し、透明性のある形で行う。メールアドレスも設け、広く意見を受ける体制を整備する。

(ODA関係省庁の協力関係の強化)

 本日の意見交換は、関係省庁の連携強化といった一環であり、前広に外務省として取り組む対越国別援助計画の見直しについて、関係省庁との意見交換を行うということ。なお、今回の作業形態が今後の本計画策定の一般的な作業となるか、また、こうして外務省が纏める計画案を、如何なるプロセスで政府全体のものとするかはについては、今後検討していく。

(今回の意見交換の目的)

 上記の方法論に基づき、構成案(配付資料1)を踏まえ、本計画として取り上げるべき要素・諸点について意見交換を行いたい。例えば、我が国の対越援助の意義について、援助を実施する上での環境整備といた観点から議論を深めていきたい。従来の国別援助計画では重点分野の分析が希薄といった点が指摘されており、そうした分析を行うにあたり、関係省庁の知見を得たい。但し、こうした意見交換における全ての意見を計画に反映することは現実的ではない。本計画を政府全体として拠り所となるものとして出来る限りの努力をしていく。

(大野教授からの補足説明)

 (殆ど河野室長が説明したと述べつつ)自分(大野教授)が取り組む作業が政府の計画となるための「たたき台」となることを確認。ある程度作業が進んだ段階ではなく、早い段階でこうした意見交換を通じ、対越援助における我が国の国益、対応すべき開発課題とその目的、重点分野等について、(資料1にある)構成案を基に出来る限り議論頂きたい。また、各省庁間に跨る日本のODAのあり方について問題点も指摘されており、省庁間の連携のあり方についても考えて頂きたい。

III.意見交換

1.本件見直しのプロセスについて

(1) 今回の意見交換も含め本件見直し作業は、あくまで外務省としての作業の一環であり、ODA総合戦略会議で承認されたものが政府としての最終案とならないことを確認したい。政府レベルで、こうした原案を如何に扱うかについては重要な問題。

「ODA総合戦略会議」の議論を踏まえた原案を如何に政府の文書とするかは、本件見直しが初めてのケースであり、今後検討していく。同様の指摘が、前回の「ODA総合戦略会議」でもあった。(外務省)
外務省が纏める案を政府の文書とするプロセスの必要性は認識。(大野教授)


(2) 外務省として国別援助計画を策定していくに当たり、早い段階から関係省庁の意見を聞いていくことは賛成。

今回の作業は、重点分野の絞り込みも課題としており、全体のプロセスにおいて、外務省が作ったものに途中プロセスにおける意見交換を行わず、最終段階で各省庁から意見を得るのは生産的ではない。(外務省)
形態・形式の如何を問わず、早い段階で関係省庁間の連携・意見交換を行うことが重要。(大野教授)


(3) 外務省の「ODA総合戦略会議」のプロセスと、各関係省庁との意見交換が前後するのか、パラレルに進むのか、途中からパラレルに進むのか、そのプロセス、タイムスケジュールが不明。

情報提供が不十分であれば、コア・グループとして積極的に対応していく。
現段階では詳細な段取りは未定。例えば、次回は2月、また、3月の箇条書きの中間案を踏まえた形で、数ヶ月に一度のペースが有り得る。外務省のODAホームページでも常時意見の聴取を実施。例えば、一般の国民の方からの意見は、適宜纏め匿名の形でODA総合戦略会議に報告、ホームページ上に掲載することを検討。(大野教授)


(4) 関係省庁に対しては、ODAホームページを見て下さいという待ちの姿勢を求めるのか。こちら側から随時、意見を発信するツールはないのか。また、本件見直しに係るセミナー、意見交換等の開催は是非、案内が欲しい。

積極的に意見を求めたい。また、その際の窓口は、外務省国別計画策定室で結構。セミナー等の開催は、関係省庁に案内する。(外務省)


(5) こうした作業は、前例のない取り組みであり、作業を進めながら考えて行かざるを得ない事情は理解。他方、今回の作業プロセスが適当ではないことが明らかとなった場合は、他の形態を検討していくといった柔軟性が必要。

今後の見直し・策定にあたっては、現地主導方式が現実的ではないこともあり得るため、種々の事情を踏まえ具体的に検討していく。(外務省)


2.新規策定国の選定について

これまでのODA総合戦略会議の議論では、国別援助計画の対象国の選定プロセスについて納得するような議論はあまりない。今回は外務省の責任で対越国別援助計画の見直しを始めたということだが、今後の対象国選定のプロセス如何。

関係省庁間の連携強化といった要請はあるも、一つ一つの決定について全ての省庁の合意を得ることは現実的ではない。新たな対象国の選定プロセスは、現在検討中。(外務省)


3.その他の議論

(1) 各省関係のNGO、留学生組織を活用してもらいたい。

そうした組織から意見を聴取する機会についての提案を歓迎。緊密に連携していきたい。(外務省)


(2) 従来の国別援助計画は、現状分析と方針が混在。明確に立て分けが必要。省庁が有する知見をもって具体的な提案をしたい。

問題指摘を理解。提案を歓迎。(外務省)


(3) 社会セクター(民生部門)及び生産セクター(産業部門)といった分け方をありきとすることは疑問。例えば、インフラ整備あるいは運輸サービスといった分野は双方に該当する。セクター毎の調査を踏まえた上で整理が必要。対越援助の意義については、本邦企業の活動及び地域レベルでの活動を含めた日本の対越外交政策に基づいて評価されるべき。(国土交通省)
 また、こうした成長と社会的公正の両方が必要な中で、保健医療援助は後者を担保する上で重点分野と認識。

ODA政策の前提として、我が国の外交政策がある。経協局と地域局がこうした問題意識を共有し、外交政策を考えていく。こうした問題意識・視点を持って、ドラフトに書き込んでいきたい。
重要だからすべてを優先分野とすることは困難。例えば、重点分野は大きく分け、サブセクターで絞り込むということもあり得る。(外務省)
現状を書く章と、重点目標・分野を書く章は別構成で良い。当然両セクターにインパクトをもつプロジェクトがあって良い。但し、重点目標・分野をどのように書き込むかはまだ決まっていない。(大野教授)


(4) 農業・農村開発は、現在の国別援助計画で重点分野となっているが、貧困層の90%以上が農村地域にいることを踏まえ、貧困削減や格差問題解決のためにも、引き続き重点分野とすべき。留意事項として、援助によるブーメラン効果といった記述を入れるべき。

重要な指摘と考える。但し、分析結果が日本産業に配慮するという結論になるかは分析・検討次第。(大野教授)


(5) 環境面で、開発途上国は、日本を始めとした先進国が経験した公害等の問題から学ぶといった後発の利益を享受していない。その意味で、援助に当たっては、「環境と開発の統合」を単なる標語に終わらせることなく、各省庁においても、環境を配慮すべきといったことを政策対話を通じ訴えるべき。また、こうした環境への対応は、中央政府レベルのみならず、地方レベルのアプローチが大切である。

今後の作業過程において留意していく。(外務省)


:→は、外務省ないし大野教授からの回答・対応振り)
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