平成14年6月27日
おはようございます。今日はお忙しいところ、また雨で足下の悪い中、朝早くお越し頂きまして有り難うございます。「ODA総合戦略会議」第1回会合を開催致します。
最初に、私のODAについての問題意識を申し上げたいと思います。今、ODAについて国民の皆様の理解を得ていくことが非常に重要な時期になっております。財政的に非常に難しくなっている状況で、ODAの重要性を理解して頂きながらODAを実施していくということが大事だと思います。このためには、ODAに対するいくつかの疑問、例えば本当に効率的に使われているのか、あるいは十分に透明な形で実施されているのか等について、きちんと説明をしてご理解を頂くことが必要だと思います。
私は、2月に外務大臣に就任した時に「開かれた外務省のための10の改革」を発表し、その10項目の1つにODAを挙げておりますが、これは今申し上げたような問題意識から来ております。
今後、ODAについては、改革を積極的に進めていきたいと考えております。ODA改革の具体策については、「第2次ODA改革懇談会」の最終報告で、「国民参加」、「透明性の確保」、「効率性の向上」を具体化すべしとの提言を頂いており、現在、それを具体化するための作業を進めております。
ODAについて国民の十分な理解を得ることは、日本のみならず、どの国でも難しいとは思いますが、IT技術その他いろいろな方法がありますので、国民の皆様に分かりやすい形で提示をしていくことが大事であろうと思います。
このような問題意識の中で、この「ODA総合戦略会議」に対して何を期待するかを述べたいと思います。この会議の目的は、まず国別援助計画を策定することですが、同時に、国と分野は相互に縦糸・横糸の関係にあると思いますので、分野別に何を重点化していくかという点についても議論に含めて頂ければと思います。
専門家の方に集まって頂いておりますので、国別の援助計画や分野別の援助の重点化について、あるいはその折々のODAの重要課題について、是非レベルの高い議論をして頂きたいと思っております。
この会議の議長は私が務めることとなりましたが、残念ながら毎回出席できるわけではないと思いますので、渡辺先生に議長代理をお願いをしたいと思います。
さて、ODAに対する批判には、先ほど申し上げた透明性あるいは効率性についての批判のほかに、戦略が見えないということがあると思います。この点については、委員の皆様のご意見を政策に反映していくことによって、外務省の持つODAの調整機能を十分に発揮して、政府全体としてODAが有機的かつ一体的に行われる状況になることが大事だと思います。
私が外務大臣を拝命して以来5カ月間になりますが、いくつか思うことの一つに、軍事的な手段を持たない我が国にとって、ODAがいかに重要かということがあります。例えば、アフガニスタン、パレスチナ、ミャンマーなど国造りが非常に必要な状況にある国に対して、我が国として何をしていくかというと、経済大国の一つとしての国際的な責任の果たし方は、ODAを以てそうした国造りに貢献をしていくことです。
今まさにカナダのカナナスキスで開催されているG8サミットの主要課題の一つは途上国の開発問題であり、アフリカも一つの大きなテーマになります。先般、小泉総理は、アフリカ諸国を含む低所得国に対して教育分野で今後5年間で2,500億円(約20億ドル)以上の支援を行うこと表明いたしました。
このように、ODAを積極的に使って外交課題に応えていくことが重要だと思います。今年は8月の終わりから9月にかけて、ヨハネスブルグでWSSDが開かれる予定であり、ODAの果たす役割は今後益々重要になっていくのではないかと思います。
ここでの議論を通じてODAの意義・役割を発信していくことによって、国民のODAに対する理解が更に深まるということも、私がこの会議の役割として期待をしていることの一つです。