(渡辺議長代理) | おはようございます。ただいまから第7回ODA総合戦略会議を開催致します。本日は議長の川口外務大臣は所用がありましてご欠席ですので、代わりに私が司会を務めさせて頂きます。 本日の議題は、主として次の3つです。第1にODA大綱の見直しです。草野委員を中心にワーキングチームで、論点整理をして頂いています。前回はその中間報告をして頂きましたが、さらに詳細に論点整理がなされていますので協ご報告頂きます。第2は、今後の国別援助計画策定候補国についてです。前回概ねの合意は得ましたが、合意が得られない点もありました。この点について1つ提案致しますので、それに基づいてご議論頂きたいと思います。第3は事務局からの報告事項です。 それでは、草野委員より、ワーキングチームでのODA大綱見直しの論点整理についてご報告頂きたいと思います。 |
(草野委員) | 多少長いですが、重要だと思いますので読ませて頂きます。本日、小島委員はご欠席ですが、磯田委員と荒木委員と私の4人を中心にして、年明け2回を含めて計5回、ODA大綱見直しの論点整理を行いました結果です。改めて確認させて頂きたいと思いますが、資料2の冒頭に書いてありますように、この資料は「ODA総合戦略会議」におけるODA大綱見直しの議論の前提として、論点整理を行ったということです。従って、これはワーキングチームの論点整理であるということを確認をさせて頂きたいと思います。 第1に、見直しの一つのポイントである構成ですが、現行の「基本理念」、「原則」、「重点事項(重点地域、分野)」、「実施上の配慮点」、「実施方針(政府開発援助の効果的実施のための方策)」、「政策立案・実施体制」、「内外の理解と支持を得る方法」という構成とすることで概ね意見が一致しました。この構成に従って、以下に論点を整理しました。「基本理念」については、(1)ODAの目的として、(イ)ODAの目的としては、(a)人道的な観点、(b)相互依存の観点、この中身というのは国力相応の責務や、グローバリゼーションの視点をも含みます。(c)我が国の安全と繁栄(例としてエネルギー等の対外依存を挙げる意見もあった)の要素を挙げることで意見が一致しました。(ロ)基本理念の具体的表現ぶりとしては、「国益」という言葉は多義的なものであるので、「我が国の安全と繁栄」という言葉を使うべきことで、概ね意見の一致をみました。(ハ)上記(イ)の各要素を記述する順番については、特に意見の一致は見られなかった。(2)ODAの背景となるグローバリゼーションの進んだ国際社会の特徴については、(a)貧富の格差の拡大、(b)民族的、宗教的対立と紛争、テロ、大量破壊兵器の拡散等の不安定要因の深刻化、(c)環境等の地球規模問題、(d)人権及び民主主義の抑圧の存在、が挙げられることで意見が一致をしました。(ロ)尚、上記諸点の一部を感染症等をも含め、「人間の安全保障への脅威」という観点からも整理しうるという意見も支持をされました。(3)アジア重視、(イ)「アジア重視」を「基本理念」の中できちんと位置付けるべきとの意見が多く出される一方で、アジア重視の考え方は、「重点地域・分野」の個所に入れれば十分との意見も出された。また、いずれにせよ、「基本理念」に最低限アジア重視の考え方をきちんと導ける論理を記述すべきとの指摘も出された。(ロ)この関連で、「基本理念」で、我が国のアジア諸国への援助が一定の成果を収めたことを指摘すべきとの意見が多く出されたが、その表現ぶり、例えば「一定の」「かなりの」等、について異なる意見がありました。また、成果に言及するなら、問題点があったことも言及すべきとの意見も出されました。(4)その他、(イ)「基本理念部分」の論理構成として、今申し上げた「ODAの目的」(上記(1))、から「国際社会の特徴」(上記(2))とする順番の方が、メッセージ性として明快ではないかという意見ェある一方、ODAの責務性を強調する観点から、逆に、「国際社会の特徴」を先ず初めに述べ、そして「ODAの目的」の順番の方が良いのではないかという意見も出されました。(ロ)「基本理念」において、「平和構築」、または「平和の定着」、「紛争後の復興支援」等に言及すべきことで、意見が一致をしました。(ハ)「基本理念」に、ODAが国民参加の下で行なわれることを盛り込むべきことで意見が一致した。この関連で、主語を、「日本はNGOを個々の国民が協力して国民参加の下」とすべし、との意見が出されました。(3)原則、(1)総論。ODA大綱の原則は、ODA大綱の重要な構成要素であり、我が国の独自性を明確にするものとしても引き続き必要である、ということで意見の一致をみました。(2)原則、柱書きの内容。(イ)現行ODA大綱の原則柱書きにある相手国の要請について、我が国の主体的判断という観点から再考する必要があるという意見も出されましたが、残すことで意見が一致した。尚、この関連で、文章の主語を明確にすべきとの意見が支持を得ました。(ロ)また総合的に判断の文言は、ODAの機動性の観点から引き続き用いるべきことで意見が一致したが、他方、その運用については説明責任が果たされるべきであるとの指摘がなされました。3)原則の内容ですが、(イ)環境と開発を両立させるとの原則については、現行大綱の文言に代えて、開発に当たっては環境的要因を(最大限尊重)または重視する、という意見が大勢を占めた。また、受入れ難い環境乃至は、社会的影響を伴うものに関しては回避する、との意見も出された。(ロ)軍事的等への使用を回避するとの原則については、重要な方針であるので、現行のとおりで良いとの意見が大勢を占めました。他方、第二原則が平和構築等におけるODAの活用の制約要因になっている、との指摘がなされました。運用方法を改善すべきであるとの意見が出されました。(ハ)開発途上国の軍事費、大量破壊兵器の開発製造の動向等に十分注意を払うとの原則については、同じ軍事関連である第二原則とまとめて書くべきとの指摘があったが、両原則の趣旨が異なることから、現行の通りで良いという意見が大勢を占めました。(ニ)開発途上国の民主化の促進、市場指向型経済導入の努力、並びに基本的人権、及び自由の保障情況に十分注意を払うとの原則に関しては、市場指向型経済導入の努力については、90年代初頭の国際情勢を背景としたものなので、もはや不要とい、ことで意見が一致した。また、平和構築の概念も含めれば良いとの意見も出されたが、むしろ平和構築は重点分野とすべきであるという意見が支持を得ました。(四)重点事項(重点地域分野)。1)重点地域、(イ)重点地域の考え方については、アジアを重視する現行ODA大綱の考え方で良いことで、意見が一致した。(ロ)アジアを重視する理由として、(イ)国益のためにアジアが重要であること、(ロ)アジアの経済発展は日本のODAの成功例であること、(ハ)アジアにおける援助卒業国による南南協力が重要であるとの3点とすべきとの意見が大勢を占めたが、南南協力には問題点があることから、現行ODA大綱の記述ぶりで良いという意見も出された。(ハ)アジア以外の地域については、貧困削減の観点からアフリカも重要であるとの意見も出されました。(ニ)重点分野。重点分野については、新しい開発課題を巡る最近の動向を踏まえ、以下の通りとすることで意見が一致しました。(イ)地球的規模の問題への取組み。地球的規模の問題の取組みについては、引き続き1番目の重点分野とすることで、意見が一致した。但し、その際、環境問題や人口問題のみならず、グローバリゼーションに伴う格差拡大の問題や、感染症の問題についても言及すべきであることで、意見が一致した。(ロ)貧困削減。現行大綱でいうDHN基礎生活分野については、むしろミレニアム開発目標等を反映しつつ、貧困削減として整理すべきことで意見が一致した。(ハ)平和構築。新たな分野として平和構築を加えることで意見が一致した。但し、平和構築は広い概念なので、説明をきちんとする必要がある旨の指摘があった。(ニ)政策支援および人造り等。政策支援の概念を現行大綱の人づくり等に加えることで、意見が一致した。(ホ)インフラストラクチャー整備については、引き続きニーズが高く、経済社会開発にとって重要との観点から、引き続き重点分野とすることで意見が一致した。尚、現行大綱で挙げられている構造調整等については、過去の世銀の、いわゆる構造調整アプローチを念頭に置かれたものであるから、項目を立てる必要はないとの意見で一致した。但し、政策支援の言及の中で、現行大綱の構造調整等で書かれている内容について整理することが必要であることで、意見が一致した。(五)実施上の配慮点。これは新たな点でありますが、現行ODA大綱(四)における、開発における女性、社会的弱者、貧富格差、地域格差等への配慮については、新たに実施上の配慮点という項目を設けて、その中で整理すべきことで意見が一致した。具体的には、社会的配慮、ジェンダー、子供、貧困格差等、現地住民の参加への配慮、被援助国の国内地域格差への配慮が、この実施上の配慮点として整理されることで意見が一致した。(六)実施方針。ODAの効果的実施のための方策。1)実施方針部分に含むべき論点として、国別援助計画、連携、透明性(情報公開等)、不正・腐敗および目的外使用の防止、評価、人材の育成および確保、開発研究が挙げられることで、意見の一致をみた。2)ここで言う連携とは、国内における連携、国民参加、他の援助国との連携、援助協調、南南協力、国際機関との連携という、三つの次元の連携があるということで意見が一致した。(七)政策立案実施体制。政策立案実施体制については、例えば自由民主党ODA改革の具体的な方策、昨年12月等を基に、政府が改善しようとしている内容につき、簡潔に分かり易く記述するべきことで、意見が一致した。(八)内外の理解と支持を得る方法。1)我が国国民の理解と支持を得ることがODAにとって重要であるとの観点から、開発教育、広報、情報公開の関連記述を充実させるべきとのことで、意見が一致した。2)特に開発教育について、内容を詳細に書く必要はないものの、狭義の開発教育に留まらず、地球市民として途上国問題を考える教育にも言及すべきであることで、意見が一致した。3)情報公開については、評価を含めるべきではないかとの意見が出された。4)情報公開の関連で、大綱の運用実施状況について、定期的に評価、公表するとの内容も盛り込むべきであることについて、意見の一致をみた。長くなりましたが、以上です。渡辺先生、よろしくお願いします。 |
(渡辺議長代理) | 大変ありがとうございました。大変密度の濃い討論を経ての産物であろうと思います。今までのODA大綱がお手元におありと思いますが、それと比べてみましても項目数も多くなっていますし、既存の大綱の項目内についても、かなりの変更を提案されております。意見の一致しているものも、しないものもありますが。この点に関する皆様方のご意見、自由に頂きたいと思います。全体を通じてどこから入って行って下さっても結構です。
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(青山委員) | まず質問ですが、確か各委員に意見を求めたと思いますが、それはどうなったのでしょうか。 |
(草野委員) | それを申し上げるのを忘れました。具体的に各委員の方々から、ファックス等で、丁度その中間報告を頂戴した後に送って頂いたわけですが、それを個々のご意見をテーブルの前に置いて、一つ一つこの提言に活かすというような議論はしていません。というのは、各委員が大変に多くの論点をお出しになって、そして全体的な方向性としては、我々の判断では大きな相違はないという、そういう判断の下で、各委員が皆さんから頂戴した意見を頭の中に置いた上で更に議論を重ねた、こういうことが実態です。 |
(渡辺議長代理) | お手元にございます報告書には各委員の意見が何らかの形で反映されていると理解しています。それでは青山さん、どうぞ。 |
(青山委員) | 以前、国別援助計画策定候補国の選定基準について各委員に意見を求めた時、それらの意見をまとめた表を作っていただいたと思います。難しければ結構ですが、その時のように各委員の意見をまとめた表を作っていただけるとよいと思ったので、お伺いしました。
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(渡辺議長代理) | その点については、何れにしても今日は用意されてません。今日の議論がそちらの方にいって、その方がよろしいといえば、また改めてそれについての議論をお願いしてみたいと思います。 |
(草野委員) | 全員の委員からご意見を提出頂いたわけでなないんですね。その意味でやはり全員のご意見を、今日も含めてですが、ご意見を聞く必要もあるだろうという、そういう配慮もあったのですが。
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(青山委員) | 今の論点整理の中で、実施上の配慮にいれてある内容は、原則の方にいれるべきではないかと思います。また、実施体制に関して簡潔に書くということでご意見でまとめておられました。簡潔に書くということで大変良いと思いますが、詳細については、何か別文書にした方がよいのではないかと考えております。つまり、大綱ではなく、実施体制としてまとめたものがある方がよいのではないかと思います。
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(渡辺議長代理) | (7)については、この大綱の、アネックスのような格好でつけるという意味ですか。
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(青山委員) | 具体的な、実施のガイドラインのようなものを想定しています。大綱は基本的な事項だけにした方がよいという意見です。 |
(渡辺議長代理) | 分かりました。 |
(草野委員) | 青山さん、実施体制については何かございますか。 |
(青山委員) | 実施に当たって配慮すべきこととして、非常に重要な内容が含まれていました。これはむしろ原則の方に入れた方がよいのではないかと思いました。 |
(大野委員) | 私も事前に出した意見と重なりますが、先ず第一点は、グローバリゼーションの背景となる国際状況、(二)の二の(イ)に当たるところですが、グローバリゼーションでここではかなり問題点がいろいろ新しく出て来るという感じで書いてますが、二つ私は付け加えたいのです。一つは必ずしも悪いことだけでなくて、グローバリゼーションによって成長のきっかけを注入されるという社会もあると。それがオポチュニティーであります。それと逆に、失敗すると東アジアの危機のような、あるいはいろんな途上国の生産雇用の崩壊のようなことが起こるというので、リスクとオポチュニティーが非常に厳しく、両方とも激しくなったというような記述が一つ欲しい。それから、もう一つグローバリゼーションについて是非申し上げたいことは、これは後にも関係あるのですが、市場民主主義というような理念が、単一のものに収束しろというような力が往々にして働きます。これはある意味では良いのですが、ある意味で多様性を抹殺する、或いは民族的な自立を破壊するような点があって、これも良い面と悪い面の緊張関係があるということ。それがグローバリゼーションについて申し上げたいことです。二番目に、これは2ページ目の真中に書いてありますが、(二)の4)の(ハ)ですか。これは全員の一致ではなくて、そういう意見が出されたということですけど、日本はNGOを個々の国民が協力して、と書いてありますが、団体組織としては勿論NGOは非常に重要であるわけですが、必ずしも国際協力というものはNGOだけでなくて、企業でも大学でも、或いは財団法人でもできるわけですから、せめて「など、等」というような言葉が欲しいと思いました。三番目に、4ページ目のところで、これは貧困削減とインフラストラクチャー整備というのが、別の項目に立っている点について。この数年間世界で貧困削減が議論されていますが、貧困削減を支援するということが、援助ディペンデンシーになってはいけない、つまり、貧困削減というのは、彼等途上国の人々、或いは国民、政府が上がっていくことによって、自分達の財政、或いは企業の利益、或いは国民の所得を通じて、ヘルス、エジュケーションそういうものをサステインして行かなければいけないという、そういうことは未だ考えてなかったのではないかということが、今の正に国際機関その他、現場で議論されていることです。これはアフリカでも東アジアでも同じ。ですからA言いたいことは、貧困削減を書く時に成長、或いは自立的発展、彼らのですね、援助依存脱却を目指すということを書いて頂きたい。これは日本がずっと言ってきた自助努力と全く同じ考え方であります。このことに関して、インフラストラクチャー整備というのは非常に大事ですが、成長自助努力支援の中の一項目に過ぎない。他に人材育成とか、政策支援とかありますから、そういうような整理をして頂きたいと思いました。 また、2ページ目の下の所にある、要請主義の問題ですが、要請をするために向こうの政府に色々下ごしらえをして持って行くというような形もあるし、必ずしも向こうの政府が要請しているものが良いということはないので、政策対話ということにしたいと私は思うんです。これは向こうを無視するという意味ではなくて、相手を尊重しながらも日本のインプットも積極的に行うという意味です。その両方向が必要なので、必ずしも向こうの言ったものを全て受け取るということではない。 |
(渡辺議長代理) | 今の、最後のご発言はかなり重要だと思います。相手国の要請、いわゆるリクエストベースの文言を外すというような意味合いも含んでいるのでしょうか。 |
(大野委員) | そうです。勿論、要請があった時無視するという意味ではなくて、向こうの要請とこちらのやりたい援助、或いは彼らが考えてないと思われる全体のことをインプットした上で、勿論向こうの方が正しいと思えば折れれば良いのですが、その双方向がなければ、双方とも政策対応の能力が高まらないと思います。 |
(浅沼委員) | 私もごく簡単に、各項目についての私の意見を申し上げます。基本理念のところで、現行大綱には書いてあるのですが、この論点整理の中で余り強調されなかった点なのですが、先ず第一に、我が国の安全と繁栄を投射するような感じで、途上国の安全というと軍事的な面が含まれるかも知れないので、平和と繁栄というところをキーワードとして、強調して頂いてはいかがでしょう、というのが第一点です。それから、同じように、今現行のものでは、途上国の経済的な離陸という言葉が使われていますが、それに代わって、やはり途上国の経済社会の持続的な発展という文言を、これはひょっとしたら基本理念の所に入れないで原則の所に、そのために使用するという風に、ポジティブに使う方が良いのかもしれませんが、キーワードとして途上国の経済社会の持続的発展、というのを入れて頂いてはどうだろうと。その文言が入ってないんですね、今どこを見ても。それが第二点です。第三点が、グローバリゼーションの影響のところですが、私も大野さんと同じように、余りにもネガティブな点が強調され過ぎていると思います。その次に、原則のところで、相手国の要請という言葉がありますが、私もこの要請主義というのが過去に形式化している点もありますし、それから、あまり思わしい反応を得なかったということで、相手国のニーズという風にして、そのニーズをどうやって見つけ出すのというところで、大野さんの仰っている政策対応みたいなものが出てくるような気がします。そのニーズを見極めるというところが大切で、単なる形式、要請ではないということを示すために、相手国の要請という言葉は改定してはどうなのかと思いまして、これは大野さんと意見が一致しております。それから、重点項目の中で、インフラストラクチャーという言葉が出てきて、これは常にインフラストラクチャー整備というその二つの言葉と相まって、直ぐにハードの設備、装置その他のことが考えられるのですが、そうではなくてこの概念をもう少し拡大して、経済・社会的インフラストラクチャーの、しかも整備というとまたハードのことを考えますので、構築というふうに言って、もう少し相当ソフトなものまでもここに含めるような、制度的なソフトなものも含めるような形で書くと、例えばこれは教育や、それからヘルスセクターにおけるインフラというふうな概念にも使われるわけなので、その拡大をしては如何かという気がしますB以上です。
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(砂川委員) | この大綱の見直しを考える前に、始めに現大綱が時代に合わない、時代遅れであるという認識があったのだろうと思います。そして、ODAに対する批判が高まっていたと、そういう認識の基にこの大綱を見直しましょうという話があったと思うのですが。この時代に合わないというところは、今回の案で非常に良く出ていると思うのですが、批判が多いというところが、どの程度出ているのかなという見方をしてみたら、おそらく政策のところが非常に緻密に考えられて、内容が充実してきていると思うのですが、一方で実施のところが、実施段階のところがちょっと手薄であるというような気がします。この間、12月の末に自民党のペーパーが出て、あれを読んだのですが、あそこではやたらに連携という言葉が出まして、正にキーワードは連携かなと思ったのですが。これは、正にいわば実施段階のところが、ある意味では手薄であるということの表れではないかと思います。今回の案を見てみまして、六番目の実施方針の所を見ますと、連携という所で国内における連携、或いは他の援助国との連携、国際機関との連携という3つの次元ということを書いてありますが、現大綱を見ますと、援助形態間の連携というような観点も十分に言われているわけで、今批判が多いのは、おそらく日本の実施主体間の連携が弱いというところが一つの大きな問題ではないだろうかと思います。その辺を十分見据えた上流からの議論をして頂きたい。これが渡辺議長代理が仰っていた一貫性の問題と非常に繋がる問題だと思います。いわゆる上流・下流ということを意識して頂きたいと思います。それからもう一点は、今大野さんと浅沼さんから仰られたのですが、今回一番力点を置かなくてはいけないのは、日本の立場ということに加えて、それ以上に相手国の立場というものを考えてやって行く。それが日本と相手国との間では、それがいわゆる政策対話になるだろうし、ドナーサイドの機関同士の話になると連携ということにもなるのだと思います。相手国の立場というものを良く理解するということが大事だろうと思います。そこでその重点分野の所で見てみますと、相手国の立場というのと、いわゆる時代、グローバルな要請というものが、いわばちょっと混在したような形になっていると思うのですが、グローバルの問題というのが、ここで言われているのは(イ)と(ハ)だろうと思います。それから貧困政策支援、人づくり、インフラという所は、ィそらく相手国の立場なのではないかと思うのですが。これを一つ、いわば開発という言葉を入れて頂いて、いわゆる具体的にどういうアスペクトが、相手国の立場に立って重点分野になって行くのだろうか、それに対して日本がどういうことが、いわば比較優位に立って出来るのだろうかという、日本ならではの支援というものを、どういう具合にして行ったら良いんだろうかと、そういった面がこの重点分野に出るのではないだろうかと思います。因みにここでは援助計画を作成するということになっておりますが、重点分野というものは、グローバルの問題については、余り国に落とし込んでいくということはちょっと難しい面もあろうかと思いますので、グローバルの問題というのは地域に落とし込んで行って、例えばアジアに対するグローバルな問題をどう適応して行くのだ、それからその援助計画になった場合に、国ごとの援助計画になった場合に、地域に対するいわばアロケーションみたいなものを、その国はタイならタイ、或いはベトナムならベトナムが、そのグローバルな問題をどう、いわば反映して行くのだろうかというような位置付けをしていくと、国別という観点と、重点別という観点が上手く入って行くのではないだろうかと思います。以上です。
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(宮原委員) | 3点申し上げたい。一つは論点整理のODAの目的の所で、基本理念の具体的表現として「国益」という言葉は多義的だとして、「我が国の安全と繁栄」という言葉を使うということにされております。確かに「我が国の安全と繁栄」これは非常に良い言葉だと思いますが、国益が多義的であるということであるならば、「国益すなわち我が国の安全と繁栄」、という表現にしてもらっても良いのではないかと思います。つまり国益という言葉を残したいという意味です。それから同じくODAの目的の所の(ハ)で、(イ)の(a)、(b)、(c)の順番に関しては、ワーキングチームでは、特に意見の一致はみられなかったということですが、私は国民の支持を得るという意味でも、やはり第一番には「我が国の安全と繁栄」つまり「国益」を第一番に持って来るべきではないかと思います。もう一点、例の要請主義の点ですが、これは先ほど大野先生、それから浅沼先生が仰ったような意味で、要請主義という言葉に対して政策対応、つまり双方のコミュニケーションが、我々ODAを実施している者にとりましても非常に大切であると思います。つまり大野先生や浅沼先生の仰るような意見に同意したいということです。
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(千野委員) | 私も簡単に二つほど、殆ど同じなんですが、皆さんの指摘された点と。1ページ目のグローバリゼーションの所ですが、確かにここに挙げられている点というのは、やはりネガティブな側面だけを、とまでは言いませんが、ネガティブな面に力点を置いているなということで、光と影と言いますか、リスクとオポチュニティーというお話もありましたが、そういう捉え方の方が良いであろうということが一つと、もう一つは、先程砂川委員が仰った、今この種のものは、大体グローバリゼーションから話が入るわけですね。もう分かっているよ、という感じも一方でありますので、それは無くして、個々の考え方の中にそれを意識して書くという方法もあるだろうなという気がしました。また、2ページ目の、やはり大野委員、それから宮原委員も仰ったかと思うのですが、この基本理念の最後の(ハ)のところですが、ここでこの形容詞が固まったとは思いませんが、日本はNGOと個々の国民が協力して、というような表現になりますと、NGOだけがどうも突出して受けとめられるということで、それはNGOにとっても本意ではなかろうと思います。民間企業とか財団とか、今後こういったODAに様々なアクターが必要である時に、やはりこの表現では足りないと。しかしいろいろ盛り込ませていくと、結局長くなるだけと言いますか、そういう意味からはいっそ、要するに国民参加なのだということだけでも、良いのではないかなという気もします。以上です。
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(牟田委員) | 二点ありまして、一つは今千野委員の仰った国民参加のところで、私も全く同じ意見で、これは国民参加だけでよろしいのではないかということと、それから要請主義も皆さん方のご意見と一緒ですが、例えばその評価、ODAをやったことに対する評価、或いは責任ということを考えた時に、よく書いてあるのは相手の要請に基づいてやったのだと。だから出来不出来といいますか、使われる・使われない、作ったものがですね、相手の責任だと、こういったような記述もままあるんですね。やはり要請によってやったということは、何となく責任が向こうにあるということに繋がりやすいということで、私は、例え向こうの要請であれ、要請という言葉が悪いのですが、ニーズに合わせてやるというのは当然のことですが、やはりODAの責任は、やった方のこちらにあるという立場で仕事をすべきだし、評価もすべきだと思いますので、少なくともこの要請という言葉は取って、先程ご意見ありましたように、ニーズに基づきとか、そういったようなことで、ニーズをどう判断するかというのはこちらの責任ですから、我が国の責任がはっきりするような書き方の方がよろしいのではないかと思います。以上です。
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(大野委員) | 追加です。アジア重視は良いと思うんですが、それが他の地域の否定にならないような表現ぶりが必要だと思います。数量的にも、国の数も何割とかそういうことは全く情勢に従って変えれば良いと思いますが、アジア以外の国、これもアフリカだけを書くとまた中近東、中央アジア、ラテンアメリカにも貧しい国はありますから、その表現ぶりの重要性を一つ指摘したいと思います。それから、先程ははっきり言わなかったのですが、どこかに市場指向型トランジションはもう時代遅れであると書いてあった。90年代初めの、ロシアなどのことがあってからこういう風に書いたのだと書いてありますが、私は必ずしも今市場指向、或いは民主化というものは時代遅れでは全然ないと思う。コンテクストはどんどん変わっていますが、そういう大きい目標については、やはりそんなに数世紀たったらどうなるか分かりませんが、我々の世代では絶対外せない目的なんだと思います。ただし民主主義と市場化というのは、さっき言ったグローバリゼーションの光と影が、多様化を抑圧するということを回避しながらやらなければいけないということは、留意すべきと思うんです。それから援助トピックには数年間非常に流行ることがあって、例えば構造調整という言葉、最近殆ど聞きません。これはやらないということではなくて、それはトピックとして比較的小さくなった。で、今流行っているのは貧困削減、或いはMDG(ミレニアム開発目標)ですね、これも余りそれを書き込むということは、これは何年続くのか分かりませんが、やはり普遍的なものと、今流行っているキーワードを気を付けて日本がやりたいこと、自助努力に対応するような持続的経済社会発展、そういうことは今流行ってなくても書くべきで、その辺の理念の書き方というものは、国際情勢の大きい流れを踏まえながらも、日本らしいものを書いて欲しいと思います。
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(砂川委員) | 今までやってきた援助に対する成果のところですが、大いに成果があったということをおっしゃって頂くべきではないかと思います。それと同時に、ここにも書いてございますが、いろいろな問題点があったということも併記しながらこれを書くということによって、先程も申しましたように、批判に対してここから応えることになるのだろうと思います。それを是非して頂きたいと思います。 |
(浅沼委員) | つの考え方は次のような考え方だという気がいたします。当初から我が国の安全と繁栄という言葉が出てくるし、それから国際社会における依存関係という話が出てくる訳ですが、その中で二つの面があるような気がします。特に依存関係というところでですね。一つは国際社会経済体制というシステムの問題なのですが、それを円滑に運営させたり、発展させたりしていくことがすなわち我が国の国益、安全と繁栄に繋がるのだという一つのシステムの観点ですね。それからもう一つはそのシステム内の中には実質的にいろいろな関係が存在する訳ですね。貿易であり、投資であり、金融であり、社会的・文化的な関係が存在する。その存在の仕方ということを考えてみますと、どうしてもこれ重力理論ではないですけれども、やはり近い国、それから歴史的にも繋がりのある国との関係というものが、非常に密度が濃く質量的にも大きいものになってくる。そういう意味で、目的からして日本の援助が近隣諸国に目が向くということは当然のなりゆきであろうという気がします。それを、それ程長くなく、どこかで二つの問題、つまり地球規模的な国際経済社会のシステムの問題とそれから現実に存在する関係からするところの重要性というものを何かうまく表現できれば良いような気がしますし、そうすることによってなぜアジアかとういところが良くわかるように書けるのではないかという気がします。
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(渡辺議長代理) | そうかも知れませんね。浅沼さん、ありがとうございました。荒木さん、ちょっとご意見を伺いたいのですが、第2次ODA改革懇談会でも、この会議でも、国別ODA計画を重視していこうと主張が強かったですよね。援助の政策や実施などの全プロセスを、上流・中流・下流にわけますと、その上流の部分でおそらく重要性を持つのが国別援助計画ですよね。その国別援助計画をできるだけ国毎に重点化して、日本のODA資源の選択と集中を図っていこうという精神がずっと流れていました。大綱の中にもそういう一本筋の通った論理性が然るべきと私は感じながら皆さんの意見も聞いているのですが、そのことをずっとご主張なさってきた荒木さんの立場からもう一つコメントを伺いたいと思います。いかがでしょうか。突然振ってすみません。
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(荒木委員) | 今お金のない時にいかに効果的に、効率的に、援助を実施するかということも一つ国民の非常に重要な関心事であると私は思うのです。そういう意味でどういうような方法で援助をしているのかということが見えないというのが、今までの意見なのです。そこで、やはり上流・下流の問題を、まさに砂川さんがおっしゃったように、一貫性のある体制を整え、そして重点化を図っていくのだということをここに盛り込み、そのためには各関係者との連携が必要なのだということをある程度書き込めば、相当の部分が今までにないODA大綱の一つの重要な要素を成すと私は思っています。これは第2次ODA改革懇談会でずっと主張してきたことでございますので、それは是非おっしゃったように入れて貰いたいと思います。
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(青山委員) | 先程の連携や国民参加に関する意見を申し上げます。大綱の中に連携という言葉や国民参加という言葉が入るのは本当に良いことだと思っています。ただ、連携が必要であることはずっと言われ続けているのに、連携するための仕組みがない、システムがないために連携できてないことのほうが多いと思います。個人の努力で連携するのでなく、省庁間あるいはスキームの中で連携の仕組みができていない限り、やはり連携は難しいと思います。これは大綱の中というよりも、先ほど砂川委員が言われた上流・中流・下流という考え方で言えば、中流あたりの実施する時のガイドラインとして、連携のシステムを作っていかなければならないと思います。 国民参加も、もちろん大賛成なのですが、本来、民主主義の社会だったらODAが国民の意向に沿って実施されているのは当然のことではないかと思います。それが、もし国民の意向を反映していないとしたら、まず第一に国民が関心をもってODAの進め方をしっかり監視していくことが必要だと思います。また、国民参加というのも具体的に何を意味するのかやや曖昧な部分があります。ODAは国民一人一人が何かをするというよりも、もっと大きな枠組みの仕事をするものであると思います。そのため、ODAにはかなりの専門性を必要とする部分が多く、個々の国民の気持ちだけではできないことがたくさんあります。したがって、原則は国民参加として、中流の実施体制の部分では、専門性の重要なことが明確になるようにした方がよいのではないかと思います。最初に申し上げた、実施体制のところは、別文書にした方がよいのではないかというのは、そういうことでございます。 |
(脊戸委員) | 他の委員の方達と重複している所を除きまして、最後の国民の理解と支持を得る方法という所なのですが、国民の皆さんがODAをどれだけ理解して、どれだけ支持していくかというのは非常に大事なことであります。開発教育の文言があとで必要と思います。開発教育については、省庁でこの言葉の使い方も例えば地球理解教育ですとかいろいろありますので、この文言の使い方を説明する。そして順序としては広報、情報公開、国民対話という文言を織り込めると宜しいのではないかと思います。 |
(砂川委員) | いわゆる国別援助計画は非常に大切だと思うのです。これは、結局援助を受ける国側の要求の羅列に終わると、まずいと思うのです。それを実際に対話をして、それを日本側からも向こう側からも意見を出し合い、納得のいく議論の成果でなければならないと思うのです。我々は今大綱の議論をしている訳ですが、この大綱は結局いわゆる外交政策上の話ですが、それはタイならタイのニーズというものをどういう具合に援助計画の中に反映させていくかという仕組みなりシステムなりを我々としては見据えたものでなくてはいけないと思います。 |
(荒木委員) | ですから、いかに外交上の重要な手段であるということはわかるのです。ちゃんとした外交の成果を上げるためには、要するに効率的・効果的な援助の成果を上げないといけません。今までODA外交というと、インプット型だったんですね。これからアウトプット、要するに成果重視ということをやるためには、やはりこういう方法でやっていかねば外交の成果は上がらないですよという意味の考え方ですね。 |
(砂川委員) | 全く同感です。 |
(渡辺議長代理) | ニーズを計画に反映させるということはほとんど自明のことだろうと思います。
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(砂川委員) | ただ、グローバルな問題というのは、例えばタイと話をしていても、なかなか向こうからそういう話が出て来ないですよね。
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(渡辺議長代理) | 第2次ODA改革懇談会・最終報告にどういう文言があったかどうか、今ちょっと思い出せませんが、日本の持っているODA資源の比較優位性の問題がありますよね。その両者の関係で重点を決めていくという方向になるべきだと思います。まだちょっと時間がありますので、何度でもご発言ください。では磯田さん、吉川さんの順序でよろしいでしょうか。
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(磯田委員) | すみません、タスクの委員でありながらなのですが、先程来話の出ている国民参加の部分なのですが、ここの部分は必ずしも私がこう入れて欲しいと言ってNGOが入った訳ではなくて、いつのまにか入っていたという感じです。私自身も正直言って、ここにあるのに若干違和感があるのは、発言の機会を逸したまま出てしまったという感じもあるからですが、一点NGOの立場から申し上げさせていただきたいのは、国民参加と言ってもODAは政府開発援助ではありますし、政府と言ってもそのお金というのは税金なり何なりということで公的な物であるということですから、当然NGOなり国民の一機関がODAとして援助に参加するという部分もある訳ですね。その場合のNGOの特徴と言いますのは、逆に政府ができない部分、あるいは日本が背負っていけない部分、例えばかつてで言えば国交のない国、極端に言えばそういう所もできるということです。ですから、ここで言う参加というのは狭い概念ではなくて、広い概念で考える必要があると私は考えております。つまり例えば、日本政府が決めた方針通りに従わなければそれはできないということではなく、広く理念にそぐう部分であれば、必ずしも政府機関が実施するのではない部分をNGOが担うということが当然あると私は考えております。そういうものを保証するODAでないと、非常に狭くなると思っております。そういう意味でこの文言をもう一度、そういう意味ではもう少し見直しをする必要があると考えております。
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(渡辺議長代理) | そうだと思います。国民参加については、ODAが国民全体の活動であり、今までの官主導を超えて国民参加の下でODAを計画し、実施していくということがどうしても必要だという側面と、それから今砂川さんの話にレスポンスしたように、NGOの持っている比較優位性は政府にないものかもしれないので、そういう所に積極的に参加していくという、二段構えのややストーリー性のあった主張があったほうが、私もここは良かろうと思います。草野さんもそうお考えだろうとは思いますが、それでは吉川さんお願いいたします。
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(吉川経済協力局審議官) | ありがとうございます。ご議論の参考までに一点だけ気づいた点を申し上げます。それは、人道支援なのですが、現在論点整理しているODAの目的の一番冒頭に人道的な観点というのが書かれております。他方で4頁の重点分野というところを見ますと、人道支援にかかわる部分、例えば緊急援助、この週末にもメキシコの地震で緊急援助を決めましたが、難民の支援、飢餓に対する食糧支援、こういう物がなくなっております。2番目の貧困削減のところで、「現行大綱でいう「基礎生活分野(BHN)」については、むしろミレニアム開発目標(MDG)等を反映しつつ、「貧困削減」として整理すべきことで意見が一致した」と書いてありますが、現在の大綱の中でBHN等となっているのは、「飢餓・貧困により困難な状況にある人々や難民等を対象とする基礎生活分野を中心とした支援及び緊急援助」を重点にしようと書いてありまして、この緊急援助の部分が議論の過程で消えてしまったのかもしれません。人道支援は日本の援助の額としては、かなりのものを依然占めておりますので、これは意識的に削除されたのか。また議論があったならばこれからの一つの視点かと思いますので、ご指摘申し上げます。 |
(渡辺議長代理) | ワーキングチームの中から何かレスポンスありますか。 |
(草野委員) | 重要なご指摘です。実は私の記憶では、緊急援助という言葉で今のような、吉川さんがおっしゃったようなことは当然皆さんの意識にはあったと思いますけれど、具体的に議論を改めてするという機会は私の記憶ではなかったような気がします。これは何らかの形で、ワーキングチームはこれで責任を終えておりますが、最終的に皆さんがおまとめになる段階で是非反映をされるよう、これは渡辺先生にお願いするとしてはどうでしょうか。
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(渡辺議長代理) | ちょっと待ってください。終わっていませんよ、まだ。 |
(草野委員) | これは重要なポイントだと思います。ついでに申し上げてよろしいですか。これは一委員としてこういう理解でしたし、これはやはりぜひ強調していただきたいなと思うのですが、先程来、砂川さん、荒木さん、渡辺先生、様々な方からご指摘いただいた連携、自主体制、立案の体制、この辺に関わるところです。今までのODA大綱というのは実施の体制とか、そういうことについてあまり詳しく書かれていなかった。今回そこが一つの目玉になっている訳です。一つの考え方というのは、連携という、これはちょうど最後のページ、5頁目になりますが、ここでいう連携とはと言って3つのレベルを挙げていますが、国内における連携のところでは今までの日本のODAは、砂川さんご指摘のように縦割りという言葉はお使いになりませんでしたが、非効率であるということがあって、必ずしも十分効率的にODAが行われて来なかったということです。ですから国内における連携の所は国民参加だけではなく、やはり非効率さを前提として、今までの実施体制は良くないよというようなメッセージがここに伝わるように書かなければいけないのではないかと思います。もう一つ、この実施体制全体で別に柱を立てて書く訳ですが、これはまさに国民が今までODAがどういう仕組みで行われているのか良くわからないという不透明さの部分を解消するために、これを改めて立てるということではなかったかなと思います。つまり連携とか、実施体制のところのポイントは二つあるのだということを確認しておきたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | 砂川さんからも先程出ましたし、多くの人々がそういう感覚を共有していると思うのですが、援助実施省庁それから実施体制、特に省庁間の連携が見えにくい。見えやすい形で効率的な連携の仕方が必要だというところが重要ではないか。もしもそうであれば、三つの連携が必要だという表現だけでなくて、どこに問題があるのかということをもう少し明記すると良いと思います。牟田さん、お願いいたします。
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(牟田委員) | 重点分野のところですが、1から5まで5点書いてあるのですが、それぞれ立派なことで私は反対する訳ではないのですが、オーバーラップと申しましょうか、わかりにくくなっている所があるのかなという気もするんですね。例えば平和構築ですが、平和構築と言っただけではできない訳で、貧困の削減もそれからインフラストラクチャー整備もなければ平和構築は達成できません。そういう意味でここに書いてある5つはあまり独立性がないという気がするのです。ですから例えば、重点分野として先程お話があったように、人道支援、政策支援および人作り、それから社会基盤整備、こういうふうにすれば比較的この三つは独立ではないかなと思うのです。この三つの分野が大事なのだということで、そういう独立した分野にまたがるような物として重要なグローバルイシューもあるし、貧困削減もあるし、平和構築もあるのだというような整理をすれば、少しわかりやすくなるのかなと思います。そうでないと、ここはいくらでも増えてしまうと思うのです。ですから分野は人道支援と政策支援と社会基盤整備だけ、そして大事な別の観点から貧困削減とかグローバルイシューとか平和構築を書き込むということで少し整理がつくのかなという気がいたします。
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(新藤委員) | 先生方大変ありがとうございます。また私も委員に加えていただいて、第4回にお邪魔しましたが、そのあと出張したり、日程が合わずに参れなかった訳でございまして、大変良い作業を草野先生にやっていただいたと、このように思っております。そこでちょっと私はこの中では一番素人的な立場ですから、敢えて申し上げるのですが、ODAの基本理念、大綱を見ますと、基本理念があって、原則があって、重点事項と移っていくのですが、本来ならば基本理念を打ち立てて、それによって何を達成するのかという目的を作って、そしてその目的を実現させるための実施を考え、そしてそのための例えば広報などもそこに織り込んで、それを最終的にどう評価するかといった一連の流れがあると思うのです。だとすると、その基本理念が良く見ると全て盛り込まれていると思うのです。そして今回はそれに目的を入れていただいたのですが、例えば1番のODAの目的の(イ)ODAの目的としては、とありますが、私は、ここは人道的な観点が目的なのではなくて、人道的な観点でODAを実施することで何かを達成するのが目的だと思うのです。それから相互依存の観点でODAを行った結果、何かが達成され、それは我が国の安全と繁栄にいわゆる国益に総括されるような、そこに帰着するというように考えられたらどうかな、と思うのです。 ですから先日お邪魔したときも私発言させていただいたのですが、もう少しわかりやすい言葉で、例えば良い関係をつくるとか、もちろん相互の繁栄のための経済交流をしましょうとか、それから我が国がこれだけ発展してきた経済大国として世界に貢献するのだとか、その柱を今回立てていただいてありがたいのですが、これは私の持論でございまして、経済だけでなくて平和構築のための経済活動を行うということも入れていただきました。こういうものを実施するときに国別重点だとか、地域だとか、要するに戦略性をもってやりましょう。それからその実施にあたっては各省庁間、それから企業やNGOや実施団体と国との一体性をもった活動をしていきましょうというように繋がっていくのではないかと思うのです。そういう組み立てをおそらく頭の中でされていて、しかも読めば全部入ってくることなのですが、私はもっと素人にというか一般の国民にわかるように、わかりやすい言葉できちんと構築をして、そしてそれが貢献するという度合いからしたらどれくらい貢献度が上がったのかという評価をする。それから平和構築という意味でどれだけのことができたのかということで評価をする。それから資源の確保という意味でも実はこれは隠れた、あまり表だっての話ではないかも知れませんが、我が国にとってものすごく大事なことです。そういう意味での評価はできるのではないか、こんなふうに組み立てされたらわかりやすくなるのではないかということですが、これは持論です。 それからもう一つこの中にぜひ入れていただきたいと思っておりますのは、これは党においてもそれから政府の中でも私申し上げているのですが、広報という観点が皆さん言葉では知らしめるということでわかっているのです。でも現実に、今一番欠けている広報というのは、国民向けのODAはこうやってやりますよという広報も大切です。でも、もっと大切なのは、相手の国の国民に対して、現地の実際に援助を受けた相手の国の国民に対して我が国はこういう貢献をしていて、またあなたたちとおつき合いをしているのだということが必要なのです。ところが、私がこういう話をすると、相手にあげてしまうことだから、それをどう広報するかは相手様のことになるのですよ、という答えが帰ってくるのです。ですから結果的には政府が感謝をしてくれる。政府間同士ではありがとうと言うけれども、現地に行って、これはどういうことで、こういう物が来ているのかご存じですかと聞くと、「これはNGOが持ってきてくれた」と答えるし、HCRがやっている仕事も難民キャンプの人たちはHCRに感謝しませんね。HCRがやっている難民キャンプなのですが、感謝しているのは毎日運んできてくれるドイツ人のNGOだったりするので、だから「ドイツ人ありがとう」という訳ですね。そのHCRが出している仕事の元金は日本のお金なのです。ですから私が行って、私が何人だかわかりますかなんて聞いても「中国人かな」とか「韓国人かな」とか、そういう事があって私もODAの話を一生懸命やるようになった訳です。これでは根本が抜けてしまっています。相手様の政府ではなくて、国民に対してどういうふうに日本の国民の気持ち、つまり納税者のお金を使って国がODAを出す訳ですからこちらの国民の気持ちと相手の国民の気持ちをリレーションさせるのは、今後非常に必要なことではないかと私は思っておりまして、そういうような視点を入れていただければありがたいと思っております。PRがこのままで行くと、いつも国内向けになり、これだけのODAを何千確保しましたとか、世界中にこんなにODAをやっていますと国民に言っても大きすぎてしまって、「あぁ何かやっているのだろうな」ということになるので、そこは少し考えるべきではないかと思います。それから先程も出ていましたNGOの文言の話ですが、これはNGOだけやったら確かに突出してしまうというのは事実です。でもやはりこれからの具体的なODAの担い手としては、政府それからNGOは欠かせないものだと思っております。ですから、そういう意味で企業、各種団体、NGOを並べた形で記述するのが必要なのではないかと、敢えて付け加えさせていただきたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。現ODA大綱の基本理念を見ても、確かに日本語の文章としてはやや羅列的で、一本筋が通った、つまり概念が因果関係の意味を持った系列になってはいないという感は否めません。いろいろと都合があってそうなったのでしょうが、このあたりで今新藤さんがおっしゃったような形に文章を変えたらいいですよね。例えば、人道的観点、相互依存の観点、我が国の安全と繁栄という要素が挙げられています。諸要素が重要であることは勿論ですけれども、その意味連関がどうなっているのかをイメージさせる文章にしないとどうも心を打たないという感じですね。 |
(新藤委員) | そこをちゃんと立ててないと政策評価できないんです。 |
(渡辺議長代理) | ですから仮にこの3つを並べるとすると、人道的な観点のODAは相互依存の現在の世界においては回り回って我が国の安全と繁栄に繋がるのだと、この三つのテーマを与えられればそのように結びつけるという、因果的な結びつき方にいろいろなコメントがありうるだろうと思いますが、そういうふうな形で修文していかないと、そういう要素もいろいろあるなという、そういう印象の薄い物に終わってしまいかねないところがあるんですね。ただ、今言ったような因果的な説明にはいろいろと反発があると思います。いろいろな問題がありましょうから。ですからこれは全く個人的な考えですけれども、3月に出すものには論点整理をもう一歩越えないかという気持ちは持っている。そうなるかどうかわかりませんが、論点整理プラスODA総合戦略会議としての集文化された大綱ということになります。ただ、それが実際に政治的なインパクトを及ぼす面では、そんなことをすると弱いという意見もありますから、私はそれにこだわりませんが、何かそういう形で持っていければなぁという気分が抜けないでいるということです。まあほとんど一人ごとですが。 |
(草野委員) | その一人ごとの点は非常に重要なポイントだと思います。新藤さんがおっしゃったことは非常に重要な問題ですけれども、これは別に私は委員として官僚的な物の考え方に影響されたという訳では決してないのですが、このODA総合戦略会議及びワーキングチームに与えられたODA大綱の見直しのマンデートというのは、私なりに解釈しますとどういう論点に関して足りないか、あるいはこれをこういうふうに議論すべきだということが最大の目的ではなかったかと。先程新藤さんがおっしゃった一般の国民が最終的にODA大綱を読んでストンと胸に落ちるような文章にするかとか、そういう話というのは勿論重要ですし、それはやらなければいけないとは思います。しかし大綱は最終的に閣議決定をする文章ですから、これは論点整理を参考にしたうえで事務方が用意する。その際には、文章についても十分注意をしていただきたいなと注文したいと思います。別にネガティブに渡辺先生に申し上げているのではなくて、マンデートの関係でそれは押さえておく必要があるかなと思います。もう一つ、同時に新藤さんがおっしゃったことは誠にその通りで、私もそう思いますので、現行のODA大綱はこういうふうにひどい文章だというようなことは具体的に、全然わからないとか、これでは日本の中学生が読んだら理解不能とか、そのような厳しい評価を文章上やっておく必要はあるのかなという感じがいたします。
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(古田経済協力局長) | あの、マンデート云々というお話がありましたので、それについて一言申し上げたいと思います。まず私どもとしては、この戦略会議で思い切った論点整理をお願いし、現行の大綱についてのご批判も十二分に頂いて、それと同時に私どもも平行していろいろと広く各階・各層の方々のご意見もこれから募りながら、成文化の作業をしていきたいと思いますので、勿論それから各省の意見も集約することも必要ですし、集約する過程でまた逐次お諮りして今の論点整理が十分に盛り込まれているかなど、全体としてご意見があったように国民に響くようなロジック、表現になっているかということについてもまたご意見ご批判を頂きたいと思っておりますので、とりあえずのところはこの論点整理あるいはその背景としての現行大綱の不十分な点、問題点を大いに洗い出していただくということをまずお願いしたいというのが私からのお願いでございます。 それから先程、実施体制については別添で何か付けたら良いのではないかとのご意見が、特に政策立案の実施体制の所でございましたが、おそらくこれは自民党の方策としての案も一つ出ておりますし、政府として考えていくとおそらく対外経済協力関係閣僚会議もありますし、それから外務省自身の組織改革というものもこれから打ち出していく訳ですし、いろいろなところで議論をなされ、出ていくということですので、それを念頭に置きながらどの程度この大綱に書き込むかという問題があろうかと思いますが、大綱に別添が付くとか、何かそういうことを今から考えてしまいますと大綱の体裁について、どういうことになるのかとわかりにくい面もあります。申し上げたいのは立案実施体制のところは並行的にいろいろな動きがありますので、それはそれとし、この会議にご報告させていただくという前提で大綱にどこまで書き込むかということをご議論いただくと、このようなことでお願いできればと思っております。 それからもう一つ、先程来ODAの目的の所でもありましたが、いろいろな所でODAの議論をされると必ず起こってくる問題なのですが、何のためにODAを使うのかといことです。ODAはあくまでも手段であると考えますと、手段が自己目的化してはいけないという議論も出てくる訳でありまして、ODAの目的という時にどの程度手段としてのODAがどういう目的に繋がるようにやっていったら良いのかという議論になりますし、その目的を誰がどこでどのように作るのかという議論もありますし、ODA大綱の中でそういうODAが手段としてサポートしていく目的をどこまで全部書き込めるかという問題もありましてて、この辺を私どもも意識はしていますが、おそらく現行の大綱が羅列的であるとか、わかりにくいという点もおそらくその辺の所から来ているのではないかと思いまして、そこは慎重に引き続きご意見を伺いながら私も考えていきたいと思っております。 |
(荒木委員) | 今の局長の話と関連する所もあるのですが、この議論の始まる前にワーキングチーム委員の中でもいろいろな意見があったのですが、3点ぐらいまとめますと、一つはやはりメッセージ性を高めていく、国民に対するメッセージを高めるということが第一点で、それから第二点が主体性を高める、主体性を確立するということです。それから三番目が効率的な援助を目指すということでして、上の上位のメッセージ性と主体性というのは今まで少し新藤委員もおっしゃったように、やはり国民にわかりやすく訴えていくということが一つです。それから主体性というのは、やはり日本がという主語、日本はどうするのだという、世界がどうなったからこう従うのではなくて、やはりそういう世界を見て日本がどう行動するのだということをはっきり埋めるべきだという話でございます。 |
(大野委員) | 先程から局長も新藤委員もおっしゃられている目的を上手に書くということについて。確かに今両方言われたように、一方でもっと良い文章で心を打つ必要があると思うのですが、同時にODAというものが日本外交のすべてでないとすると、やはりODAだけの都合でその目的を決められない。外交そのものの目的が先にあって、それにODAをどう使うかということであるから、その辺は良く考えないといけないというのはわかります。ただ、そのODAの議論の過程で日本外交全体について問題を提起するという形はできると思います。ですから、そういうことを意図するならば、書き込んだ方が良いのではないかと思います。もう一つ具体的にお聞きしたいのですが、というか決めなければいけないと思うのですが、今のこの会議で渡辺議長代理と草野委員のお話を聞いておりますと、我々は最終的に文書化して提案するということだと思うのですが、局長のお話を伺うとむしろ文書化は外務省でやるということなので、その辺はどうなっているのかと思うのですが。本日の続きの作業を草野委員のチームがやるのか、それとも文章の上手な方がやるのか、それは別として、僕はここで書いても良いと思うのですよ。ただ、それはたたき台であって、そのままがイコール外務省の案ではないし、それが政府に反映されるかどうかわからないけれども、文書化するというのは一つの参考になるので、やっても良いと思います。3月に出すとすれば、その辺は決めておいた方が良いのではないでしょうか。論点整理だけでなくて文書ということを議長代理がずっとおっしゃられていたので、ちょっと確認しておきたかったのですが。
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(渡辺議長代理) | 私は、これも議長代理ということより個人的な感想として言いたいのですが、こういう形で出すとそれぞれこのコンポーネントを使ってもらえるという、使い勝手の良さがありますよね。そういう意味では論点整理も必要だろうと思いますが、しかし何度もそういう言葉を使っておりますが、ODA総合戦略会議として何を考えているかというその太いところですね。一つの精神というものを持ってこの会議は運営されるべきです。会議として何を考えているのかという全体像をやはり受け取ってもらいたい。ここが重要だと思います。一言で言えば精神の見えるもの、魂の入ったものにして、別に論点整理に魂が入っていないとは申し上げませんが、やはり文章化することによってそれがより明快になるのかなという印象なのです。今日もかなりの論点が新たに出たり、あるいはコンシステンシーやらストラクチュアについての議論がいろいろ出た訳ですから、ワーキングチームには誠に申し訳ありませんが、今日の議論に基づいてもう1回やっていただく訳ですね。違いますか。
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(草野委員) | 違うと思いますけれども。もう我々の仕事は終わったという認識なのですが。その前にこれだけはちょっと確認をさせていただきたいのですが、別に渡辺先生と論争するつもりはないのですが、悩ましいのは、これ非常に官僚的な発言と思われるかもしれませんが、このODA総合戦略会議というのは外務大臣が議長なのですよね。 |
(渡辺議長代理) | そうです。もちろん。
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(草野委員) | 外務大臣の諮問機関あるいは私的諮問機関であれば、いくらでもこういうふうに提言をさせていただきますという話で結構なのですが、外務大臣が議長ということになりますと、それがイコール外務省の意見だと少なくとも外からは見える。ということは、やはりこれは重要なポイントだろうと思うのです。ですから、必ずしも渡辺先生がおっしゃっる事を否定するつもりはなくて、私は私的諮問機関であれば渡辺先生のおっしゃる通りでご一緒に書きたいと思っています。ただそこのところがどういう事情で外務大臣が議長になったのかというのは、ここでは議論しませんが、そういうことがあるということと、ということはどういうことかというと、当然のことながら閣議決定まで大綱を持っていかなければいけないということになると、その下作業というのは、事務方は各省庁と連絡をして作る訳ですね。そうすると外務大臣が議長をしているODA総合戦略会議バージョンがひょっとして事務方がお作りになったものとかなり違う性格のものができてくる可能性が最悪のシナリオとしてあり得ない訳ではない。とすると折衷案で、先生が文章お上手だということは重々承知しているので、論点の部分について先生がもう少しご自分だったら、今日の皆さんのご意見も踏まえて、かなりディテールの部分まで踏み込んだ形で渡辺先生が独自に論点整理をされるという、こういうことが一つのアイディアとして考えられるのではないかなと常々思っています。
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(古田経済協力局長) | 実は私どもの一番悩ましい点を今、草野先生におっしゃっていただいたわけで、このODA総合戦略会議案は、外務大臣案でもあるということの難しさがありまして、私どもとしては、大綱案は事務局の方で作らせていただいて、ここにまたご相談をすると、それから当然他省庁、あるいは国民各界・各層に色々な形でパブリックコメントも頂くとか、色々のことをやって行きながら、まとめていくというプロセスに入るわけです。そういう中で、外務大臣が議長をしているODA総合戦略会が案を作りましたということになると、その外務大臣と大綱を閣議決定までもって行く外務大臣と、どういう関係になるのかということになってしまいますので、そこの難しさは正直あります。従って、今の草野先生の案も一つの案かと思います。いずれにしても、ODA総合戦略会議が大綱案そのものを用意するというのは、少し私どもにはちょっとawkwardな話になりかねませんので、しかし、実質的にはいずれかの時点で、この会議で行なわれた議論も踏まえながら、素案のようなものを出させていただいて、それを更にこの場でどんどん叩いていただくというようなことで、進めさせていただければと思っております。
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(新藤委員) | 古田局長の話は、それはそうかもしれないが、私はそんなことは全然気にする必要はないと思います。大体において、これは外務大臣が議長になったのは、同じ立場で皆さんと一緒に議論しながら、こういうものを進めていきましょうね、という意志の現われであって、本来であれば諮問をして、大臣は冒頭だけお願いしますねと言って、また我々もお願いしますねと言って、後はやってくださいと、出来あがったら受け取って、それを参考にさせていただきながら、こちらでやりますと、そういうスタイルから一緒に中に入って、同じ関心を持つ者としてやりましょうということであって、それをきっちりと法律や制度に基づいて、こうだ、ああだなんて考える必要は全然ないです。それから、仮にこれはこれで、ODA総合戦略会議の素案が出てきたとしても、それは我々も、私は自民党の時は外務省改革の機構の改革の案を皆書いて出しましたが、それはそれなのです。良いところを取ればいいし、最終的に全体としてこの国として良いものを作ればよいので、そこで変な垣根を作らないで、もしやっていただけるならば、私はこれだけの議論があるので、どういうものになるのか、これが渡辺議長代理もおっしゃっていただいていますが、後はやっていただければよいので、それとは別に、2003年度の中旬位までに、政府としてはこの大綱を作る予定になっています。その作業は他の省庁も入れて、いろいろな国民からの議論も、パブリックコメントを貰うし、そういう作業もありますが、まず第一段で、ここがそれのたたきを出したというふうに考えればよいので、全然打ち合わせをしていないので、言われると困るかもしれないが、そういうふうにやっているから、形式的になってしまうというか、やればいいのですよ。良いものをいいとこ取りして、そのかわり、俺たちのを使わなかったと怒られないように、そこはご理解いただかなくてはなりませんが、私はそういうふうに、平場で議論して良いものを作ればよいと思います。そういうことを言えるのも僕が委員だから言えるので、これが政務官としてここに陪席して、お願いしますというのでは言えないわけですから、そんなものはやめろというのが今の私達の考え方です。
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(草野委員) | 官僚の方々と打ち合わせをして、発言をしたわけではまったくございませんが、渡辺先生と古田局長がおっしゃった話で、若干気になることがございます。局長がおっしゃったように、事務方は事務方として案をご用意いただくというのが先行しますと、仮に私がアイディアとして提供した、つまりかなりディテールに踏み込んだ論点整理というのを渡辺先生におやりいただくより前に、事務方がお書きになってしまう。とすると、時間的制約もあってそういうことになるのかもしれませんが、それは順序として違うのかなあという感じがしました。
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(古田経済協力局長) | そうはならないですよ。その点は、また今年の年央をめどに作業をしていくわけでございますので、むしろ、そういうものをご用意いただけるとすると、それも私どもが案を作る際の重要なドキュメントだと思いますので、むしろそれを睨んで、それを待って動き出すということにさせて頂くがよいのではないかと思っております。 |
(渡辺議長代理) | 草野先生、前回の議事録を夕べ読んできたのですが、大変な齟齬があります。前回会合で、ワーキングチームは1月末で解散するつもりですが、3月にまた復活するのでしょうか、という質問がありまして、そんなことはありませんと私はちゃんと答えています。要するに、これだけの密度の濃い議論を重ねてきた立場として、ワーキングチームがそれを成文化することは、どうしても必要なのではないでしょうか。むしろ私も議長代理として、手伝わさせてもらいますが。それで今日で解散というわけにはまだいかないのでないでしょうか。いかがでしょうか。今日はこれだけ更に議論が深まりもし、幅も広がったわけです。これをワーキングチームのレベルで更に整理をし、今日の議論を加えて、それを修正・成文化するという作業が必要です。
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(草野委員) | これは私の一存では決められません。多分、荒木さん、小島先生、磯田先生と相談した上でということがありましょうし、今の御注文ですと、やはり渡辺先生にもお入りになって、おやりいただかないといけないと思います。
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(渡辺議長代理) | もちろんそれは、私も入らせて頂いて結構でございますが、今日で終わりというわけにはもちろんいきません。最後に申し上げようと思ったので順序が逆転しますが、次回会合は、2月26日(水)、ここで10時から12時となっております。この日は緒方貞子さんが訪日されており、折角の機会ですので、緒方さんをお招きし、皆様との意見交換の場を設けるつもりでおります。それが終わった後、今日の議論の続きをやりたいと思っています。その時の議論のたたき台となるようなものを、つまり今日の論点整理のリバイズド・バージョンを欲しいという感じがします、どうでしょうか。
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(草野委員) | ご趣旨はよくわかりますが、作業上の効率とかを考えますと我々が4人で議論した結果、今までの時点のベスト案というのを今日ご報告したわけです。今日の皆さんのご意見を踏まえて書き換えるということであれば、文章状の問題を考えても、渡辺議長代理にご一任した方が良いのではないでしょうか。
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(渡辺議長代理) | 成文化するという意味ではもうちょっと先だと思いますがね。そうでななくて、論点整理について如何ですか。 |
(草野委員) | 渡辺先生にお任せしたほうが、私は良いものができるのではないかと思っております。
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(渡辺議長代理) | 別に僕が労を厭ってノーと言っているわけではないのです。くどいようですが、ワーキングチームを今まで何回か重ねられて議論の上に何かが乗っかっている。何かが乗ったわけですね、今日。そういう立場で付け加えていただいたほうが、適切であろうということで改めてお願いしたいのです。どうでしょうか。
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(荒木委員) | ですから、論点整理の追加になると思います。これは事務レベルでやっていただいて、一度早めにペーパーを出して頂いてはどうかと思います。論点整理については基本的に出たのに追加するということで、ワーキングチームは終わりかなとと思います。というのは、草野先生は最初から、ワーキングチームのマンデートは論点整理とういことで決めていましたので、それで一応ワーキングチームは終わりというふうに思っていたわけです。ですからその後は本委員会の方にお任せして、それでいくつか出たもので足らないところがあったら、もちろんある程度論点整理されたものを後から追加したりすることは必要として、ワーキングチームがもう一度論点整理のペーパーを作るということはいかがなものかということですね。
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(草野委員) | おっしゃるとおりです。効率性という言葉を使ったのですが、今日の各委員のご発言というのは大変に貴重なものがあったわけですが、多分荒木さん、磯田さん、草野さん、小島さんが受けとめている認識が若干違うかもしれないのです。それでまた、改めて一つ一つを議論、吟味し、と言うことになりますと、多分一回の議論では、もう一度たたき台の改正版を2月26日に出すことは難しいと思います。ということからすると、今荒木さんがおっしゃったように、一応事務方で今日の皆様のご意見を踏まえて、改正バージョンを作っていただいて、それに渡辺先生が手を加えられるなり、形式をきちんとして、2月26日にご提出いただくほうが、よろしいと思います。
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(渡辺議長代理) | ワーキングチームの論点整理というのはひとまずこれでセットとして、それに今日どのような意見が付加されたかと、あるいは深まったかということを出来るだけコンパクトにまとめた一枚の紙を作りましょう。一枚か二枚かわかりませんが、その紙を使って、次回詰めるべきところまでは詰めるということで、ちょっと接木的ですが致し方ないと思います。局長の話しを伺いますと3月末と言っていますが、もう少し時間的な余裕があり得るようですので、そのような線で行こうと思います。事務方にはご厄介をおかけしますが、よろしくおねがいいたします。もう一つ議題があります。簡潔に、短くお願いいたします。
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(磯田委員) | この大綱の見直しに関しまして、一つご報告いたします。先週21日に、ODA総合戦略会議委員の方々と外務省の方にご出席いただいて、フランクにNGOと意見交換会をするということを行いました。荒木委員と浅沼委員と須永調査計画課長にご出席頂きまして、私と伊藤委員ということで、NGO関係者が約50人くらい集まっかと思います。割合ざっくばらんの意見交換をしました。非公式的というのでしょうか、意見交換と言うことだったのですが、その場で提案されたポイントがいくつかあって、大きなポイントとしては見直しのプロセスにできるだけ早い段階で一般の人々、NGOからの意見聴取、実施機関からの意見聴取などを行って欲しいというような提案がありまして、例えば、公聴会なども出来るだけ早い時期にしていただきたいという提案がありました。課長ないしは、ご出席いただいた委員の方々からは前向きなご意見を頂きましたので、出来るだけそういう方向でこの2月、3月でも進めていくという形を取っていただけばと思っております。
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(渡辺議長代理) | ちょっと、考えさせていただきたい。今、局長のご意見にもあった通り、パブリックオピニオンの聴取を設ける等いろいろな手段がありうると思いますが、そういうご発言もありましたし、私どもそうやろうと思っております。どんな形になるか、もうちょっと考えさせてください。それで、この議論は次回も続きますので、今日はひとまずここまでということにさせていただきます。少し気になっていますのは、大野委員からこの前、議論がなされ、その他、その議論がきっかけになって、広がった議論がございましたね。国別援助計画策定の新規策定や見直しを議論する際には、やはり日本のODAの原理・原則というものが事前に決まっていないとなかなか進みにくいのだという話ですね。そういうことでこの議論を更に進めたいと思います。次回には大野委員あたりから、その議論の口火を切っていただけるとありがたいと思っております。さて、ありがとうございました。
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(渡辺議長代理) | 次のテーマ、ニ番目のテーマ、前回会合で議論がありました、今後の国別援助計画策定についてです。この点について私から一つの提案を申し上げます。新規策定候補国についての策定の基準等について議論をいただき、いくつかの国については合意を得られましたが、意見が分かれた点もあったわけです。前回の議論を踏まえて、事務局といろいろ相談した結果、差当たりという言葉を使ってよいと思いますが、以下の通り進めさせていきたいと考えていますので、是非ご協力頂きたいと思います。前回の会合で、合意が得られたのは、インドネシア、インド、パキスタン、モンゴルでした。この4カ国についてはレッツ・ゴーということになったと思います。この4国につきましたは平成15年ないし、平成16年に新規に国別援助計画を策定していきたいと考えています。当然のことです。この4つにつきましては次回、先ほど申し上げた2月末の会合で、国別援助計画策定に関わるタスクフォース、誰を主査とし、どんな構成メンバーでやっていくかということをお示ししたいと思います。ただ、この点については皆様方で、こういう人がいいのではないか、ああいう人が人がよいのではないかとお考えをお持ちであろうとおもいますが、その点は事務局を通じましてご推薦をいただければ、優れた方々であれば私どもも考慮の対象にしたいと考えています。 ところで、問題はその他についてです。その4国以外についてです。前回いくつかの国、ラオスとか、カザフスタンやその他2、3の国があがりましたが、これらにつきましては、既に決まっている4カ国の策定作業の進捗状況を踏まえながら、追って相談を差し上げるということにさせていただいてはいかがか、というのが提案です。成文化するかどうかはともかくとして、ODA大綱見直しの議論が並行的に進んでいます。4カ国まではよいとして5番目以降になると、ちょっとその辺で選定基準がグレーになってきているように思われます。4カ国をまず策定し、平成15、16年でそれを動き出させ、その動き出している過程の中で次の国を浮かび上がらせるという、つまり走りながら考えるという戦略で行こうと思っていますが、この点いかがでしょうか。いつまでも決めないという訳ではありません。いかがでしょうか。 |
(青山委員) | それでよろしいと思います。ただ、アジアに限定された印象を与えるおそれがありますので、アジアに限定して考えているわけでなく、おって他の地域の国も考えていくという趣旨が伝わるような形にしていただきたいと思います。
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(大野委員) | 私もそれでよいと思いますが、残りの他の国にはラオス、カザフスタンその他2、3あったと思いますが、これは曖昧のままで残りの国の選定はまだ決まったわけではないという理解でよいのですか。 |
(渡辺議長代理) | しかし、そうは言ってもこの前出した2つの基準があって、その2つの基準それぞれがまた2つのまたに分かれまして、なかなか、その基準に基づいて5番目の国を設定するというふうに行きがたい。以前の議論が無になるわけではないでしょうが、ひとまず心を空にしてこの4カ国をともかく進めてみましょうと、少々あいまいな提案で申し訳ありませんが、目下のところそうせざるを得ない。ともかく走らせなくてはならないという要請が一方にあるものですので、5番目の国の議論にあまり長く今の段階で関わっていられません。さて、時間が少しオーバーしてしまいましたが、お許し頂きたいと思います。事務局より報告事項が2点ございます。お手元に紙も行っていることですので、出来るだけコンパクトにポイントを示して頂くということでお願いしたいと思います。吉川審議官、古田局長の順序でお願いします。
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(吉川経済協力局審議官) | 川口外務大臣は1月5日から9日までスリランカとインドを訪問し、私も同伴致しました。この会議との関係では総理以下、日本政府として力を入れております平和の構築にODAを使うという考えのテストケースの一つがスリランカであります。外務大臣はスリランカ政府軍とLTTEの激戦地であったジャフナを主要国の外務大臣として、初めて訪問しました。大統領、首相、外務大臣と長い議論をしてまいりました。スリランカではクマーラトゥンガ大統領は野党の党首、ウィクラマシンハ首相は与党の党首という、コアビタシオンが行われており、国内の政治上、和平問題ということについてコンセンサスがありません。首相との会談で6月に東京で復興会議を行うことを決め、その準備が着実に進んでいます。来週には世銀、ADBのスリランカの代表が来日します。明日はLTTE側の開発担当者が来日します。和平交渉そのものについては新聞でも出ていますように、いろいろな問題が起きております。「これから順調に進むだろう」などと言うのは非常に楽観的過ぎると思います。いずれにしましても、3月には東京の近郊で和平会議を招致しますし、6月にはスリランカの首相を迎えての復興会議が行われます。インドについては98年の核実験の後、経済措置をとっておりましたものを、9.11のテロ事件を受けてこれを解除いたしましたが、今回外務大臣からは1100億円の円借款のプレッジを行いました。インド側での日本の協力に対する高い評価というのは、これも新聞等で伝わっておりますので省略いたします。
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(渡辺議長代理) | ありがとうございました。古田局長より来年度ODA予算案についてご説明頂きます。
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(古田経済協力局長) | 資料4の現在国会に提出させて頂いていますODA予算政府原案の概要について申し上げます。政府全体のODA予算の総額は平成14年度の9,106億円から8,578億円へとマイナス529億円、5.8%の減少です。平成14年度は対前年度比マイナス10.3%でしたので、マイナス幅としては大幅に小さくなりましたが、全体としては削減の流れが続いています。我が国のODA予算のピークは平成9年度で約1.2兆円ありましたので、平成15年度までの6年間で27%減少ということになります。その中でメリハリをつけていこうといことで、資料4の1ページ目の下の方にありますが、無償資金協力については、債務救済無償を廃止した他、前回ご報告させて頂いた通り、食糧増産援助を大幅に削減しました。一方、2ページ目をご覧頂きますと、平和構築という観点から、対人地雷対策無償や緊急無償、紛争予防・平和構築無償を重視しております。また、「人間の安全保障」の観点から、草の根無償に人間安全保障を加えて、草の根・人間安全保障無償として5割増しに増額いたしておりますし、水資源無償や麻薬対策無償という新しい枠組みを新設しております。その他、地球環境無償、子供の福祉無償といったものも増額しています。さらに、2ページの下の方にございますが、監査、評価、NGOとの連携、人材、情報公開・広報といったようなODA改革に関わるところについても予算的に拡充させて頂いております。
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(渡辺議長代理) | ありがとうございました。先程も申し上げましたが、次回会合(第8回会合)は2月26日(水)10時から12時、外務省飯倉公館で開催いたします。その次の第9回会合は3月31日(月)に開催致します。時間は未定です。以上で終了致します。ありがとうございました。 |