平成14年11月14日
廣野ODA評価東京ワークショップ議長
11月13日から同14日まで、「ODA(政府開発援助)評価東京ワークショップ」が国連大学にて開催された。このワークショップは、昨年に次いで第二回目の評価ワークショップである。
ワークショップには、アジア17カ国から援助関係機関の政府高官及び国際機関(世界銀行、アジア開発銀行、国連開発計画)の評価関係者他、約50名が出席した。我が国からは、国会議員、外務省やその他の政府機関、国際協力事業団(JICA)及び国際開発銀行(JBIC)の関係者他が出席した。
ワークショップの参加者は、特に、パートナー国の負担軽減に繋がるより効果的・効率的援助の実施を目的として新しい援助モダリティーが登場する中、新しい援助モダリティーにおける評価の役割と評価におけるドナー側とパートナー側との連携の重要性について積極的に意見交換や議論を行った。
国際社会において、数々の開発課題に対する取り組みが行われる中、我が国国内においても開発問題への関心は高まっており、より効果的・効率的な開発援助の実施とともに国民に対しアカウンタビリティを果たしていくことが重要な課題となっている。このような状況の中、ワークショップが一般国民にも広く公開されて行われたことは有意義であった。
アジア諸国からの参加者が、国際機関からの参加者を交え国際的な援助の潮流とODA評価について議論を行い、その知見と経験を共有したことは極めて有意義であった。ワークショップでは、援助の国際的潮流における評価の役割、アジアにおける援助の主な特徴と評価の役割、パートナー国が評価で果たすべき役割等が議論され、右議論は、機械的かつ技術的な評価からより大きなマクロ経済及び開発経済全体における共同のアプローチに大きく移行していることを考慮に入れた効果的なODA評価の実施のための共通のアプローチ及び評価の制度的な枠組みの構築を促すものであった。
ワークショップに参加したアジア諸国からの参加者全てが、日本が第二回目のワークショップを開催したことを評価するとともに、ODAを通じてアジア諸国の開発のための自助努力を支援するとの日本の変わらぬ強いコミットメントに対して歓迎の意が表明された。
このワークショップにおける注目すべき主要点は、次の通り。
開発援助の実施に際しては、開発効果を最大限にすると共にパートナー国の受益者等援助関係者全員がパートナーとして参加する透明な援助方式が求められており、国際社会共通の開発課題を達成する上で、モニタリング・評価の役割が益々重要になっているとの共通の認識が得られた。右関連で、近年、モニタリング・評価は、セクターワイドアプローチに見られる様に、二国間及び多国間の開発援助システムの中に組み込まれるようになっている。参加型合同評価を含む評価においてドナー国とパートナー国の連携の重要性及びドナー間における評価基準及びプロセスの調和化の重要性も認識された。
参加者の多くは、プロジェクト・レベルの評価に加え、政策及びプログラム・レベル評価の重要性が高まっていること、更には事前評価(審査)、モニタリング、継続的評価が重要であるとの共通認識を得た。これら評価の実施に向け、今後更に議論を重ねていくことで合意した。ドナー国及びパートナー国の国内並びに援助国及びパートナー国の間の評価情報の共有化の必要性につき共通の認識が得られた。
ODA評価の真の意義は、その評価がいかに現在のプログラムや将来の援助政策に反映されるかによって、判断されるべきである。その際パートナー国を評価のフィードバックの仕組みの中に取り組むことが不可欠であり、援助計画の企画・立案、モニタリングや援助戦略において評価のフィードバックが活かされることが必要である点について合意が見られた。また、そのためにもパートナー国のキャパシティービルディングを進めることが重要である。これにより開発援助の有効性が向上し、また、ドナー側のみならずパートナー側においても国民に対するアカウンタビリティが増すことにもなる。また、援助計画の企画・立案に際し、的確な指標を設定することの必要性も強調された。
ワークショップの参加者は、パートナー国の評価能力を高める為、パートナー国における評価協会の創設の必要性につき合意した。また、右評価協会の創設の過程で国際社会が支援する必要性についても合意に達した。
アジア諸国の多数の参加者から来年も同様なワークショップが開催されるべきことが提案された。日本は、同様のODA評価ワークショップを明年東京で開催する用意があることを表明した。
今次ODA評価東京ワークショップの概要は、報告書に取りまとめられ公表される予定である。アジアの被援助諸国からの参加者は、今回のワークショップの成果を持ち帰り、それぞれのODA評価の改善に寄与することが期待されている。