ODAとは? ODA改革

「ODA総合戦略会議」第25回会合・議事録

1.日時

 平成17年11月24日(木) 9:30~12:00

2.場所

 外務省南庁舎8階 国際会議室 893号室

3 出席者

 ODA総合戦略会議委員が出席(荒木、磯田、大野、小島、関山、千野、牟田、米山委員は欠席)。外務省(事務局)より佐藤経済協力局長他が出席。関係府省、JICA(国際協力機構)及びJBIC(国際協力銀行)がオブザーバー参加。

4.議事の経過

(1)「ODAの点検と改善」に関する報告書について、佐渡島経済協力局参事官より報告があった。
(2)国別援助計画
 対インド国別援助計画、対ラオス国別援助計画、及び対バングラデシュ国別援助計画について、絵所 秀紀(えしょ・ひでき)主査(法政大学経済学部長)、原 洋之介(はら・ようのすけ)主査(東京大学大学院教授)、山形 辰史(やまがた・たつふみ)主査(アジア経済研究所開発戦略研究グループ・開発スクール教授)からそれぞれ最終報告及び中間報告が行われた。

(渡辺議長代理) おはようございます。ODA総合戦略会議をただいまから開始したいと思います。
 今日予定しております議題は三つございます。第1がODAの点検の結果と一層の改善措置に関する報告書、これはかねてより懸案のものであったものが、きょうは最終報告という形で出ます。これについての報告と議論とおこないます。2点目は国別援助計画です。最終報告が2ヵ国、中間報告が1ヵ国ございます。3点目は事務局報告でございます。
 ODAの点検と改善に係わるワーキンクグループでの議論を踏まえまして、ODAの点検と改善に関する報告書が提出されたわけです。このワーキンググループに係わった5名の先生方、荒木光彌さん、磯田厚子さん、草野厚さん、関山護さん、牟田博光さん、5名のお忙しい日程を割いての作業に敬意を表します。これらのワーキンググループと外務省経済協力局との間で審議された結果が今日お手元に出ているということで、これを後で佐渡島経済協力局参事官より報告をしていただくということです。これが1番目の内容です。
 2番目につきましては、目下三つの国別援助計画が同時並行的に進んでおりますが、一つは、絵所先生にお願いしてあります「対インド国別援助計画」について、また、同様に山形主査にお願いしております「対バングラデシュ国別援助計画」です。これらは最終報告です。もう一つは「対ラオス国別援助計画」です。これは原主査にお願いしておりますが、これは中間報告ですので、更に最終報告に盛るための議論をしたいと思っております。
 今日は麻生太郎外務大臣、ご多忙の時間を割いて戦略会議にご参加いただいたわけでございます。最初にご挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
(麻生大臣) ODA総合戦略会議について、皆様方に常日頃から大変お世話になっておりますけれども、いろんな意味で、今、ODAの戦略性についていろいろ見直しが行われておりますのはご存じのとおりであります。基本的にはいろんな民間の英知を集め、少なくともこのフォーラムとしてはかなりの英知を集めてでき上がっているものだと私どもはそう思っておりますので、議長をさせていただいておりますけれども、今後、できるだけこの種の会議に出席をして、自分の意見を述べさせていただきたいと思っております。
 基本的に考えておりますのは、私自身は戦略性ということと、現場というものの理解というものが、このODAを今後効率的にやっていく上に不可欠のものだと思っております。
 戦略性。私は基本的には 196カ国、すべての国と等しく付き合うなどということはできっこないと思っております。したがって、どの国を選んでというような意味では、「選択と集中」というものは避けて通れないんだと思っておりますので、ぜひその意味では、皆さん方のご理解もいただいているんだとは思いますけれども、いわゆる日本という国の国威とか、国益というものを考えた上で、私どもとしてはどうやって日本という国を、ODAを使って、日本のためになり、結果としてそれが世界のためにもなっていくということになっていかんとおかしいと思っておりますので、そのためには選択と集中は避けて通れない一つの手段だと思っております。
 もう1点は現場の話ですけれども、私は西アフリカ、シエラレオネという、大使館はおろか、領事館もないような国に2年住んでおりました。ブラジルにも1年弱、11カ月少々住んでいた経験がありますが、2年間の間、アフリカの現場で働いているというイギリス人を見たことはありません。ブラジルにも1年ほどいましたけれども、そこで働いているアメリカ人というのを見た記憶はないんです。日本は主にアジアを、アメリカは中南米を、そしてヨーロッパがアフリカを、それぞれ主に開発とか、援助とかをやってきたのだと存じます。資本を投下し、技術を移転し、工場をつくり、ほぼ同じことをやったんだと思いますが、アジアは間違いなくテイクオフしていった、離陸していった。台湾、韓国、マレーシア、シンガポールは言うに及ばずだと思います。そういった意味では、なぜそれらの国は皆うまくいって、アフリカではさようにいかなかったのかという点が、私自身としては非常に興味のあるところであります。やったことはほぼ同じだというのに、結果はかなり差が出た。その点はなんだろうかというと、やっぱりアジアにおいて、私は住んだことはありませんが、よく工場やら、何やらに行ってみると、間違いなく、たとえば鋳物の工場で、少なくとも、額に汗し、手に油しながら働いている日本人のおじさんがいっぱいいるというのは事実だと思うんですね。そういった意味では、日本のやり方というのは、間違いなく、従業員の訓練をし、教育をし、そして自分自身も働いてみせる。山本五十六ではありませんけれども、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」という台詞じゃありませんけれども、それを現実にやってきているというのは日本なんじゃないのかなと、つくづくそんな感じが前からしておりましたので、ぜひこのODAをやる前に現場におります青年海外協力隊はもちろんのこと、いろんな形で、現場で現地の人たちと一緒にやっているというところが、この日本のODAというものを考えていく上で大事なところなのではないかと思っております。
 ぜひ、今後、いろいろなものの検討をさらに進めていかねばならぬところだと思いますが、過日、今後5年間でODAの事業費の 100億ドルの積み増しとか、今後3年間でアフリカ支援を倍増とかという話を、総理みずからしておられますので、そういったものを実行に移していくに当たっては、効率よく運転されるものをやっていかねばならぬと思っております。
 今日報告書をいただけるものがあると伺っておりますけれども、いただきました上は、できるものから即刻実施に移していくように指示をいたしたいと思っております。ということを最後に申し述べ、今日は、この後、沖縄やら何やらいろいろございますので、これで失礼させていただきますけれども、今後ともよろしくお願いを申し上げて、ご挨拶にかえさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。私ども、ODA大綱に始まり、中期政策、それからとりわけ、国別援助計画、それから今日のように、そういった上流の計画を開発の事業現場にどう結びつけていくかという具体論にまでいよいよ入ってきておりますので、どうか戦略会議の議論の方向を見つめてご支援いただければ大変ありがたいと思います。ご挨拶どうもありがとうございました。
 それでは、ここで大臣ご退場なさいます。
 では、大臣のお話に引き続きまして、金田勝年副大臣よりご挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
(金田副大臣) このたび、麻生大臣のもとで副大臣をさせていただきます金田と申します。よろしくお願い申し上げます。副大臣という立場で、経済協力等の担当ということになりましたので、ODAの総合戦略会議、このメンバーにさせていただきました。本当に先生方にはお世話になると思いますので、今後ともよろしくお願いします。
 大臣が言われた言葉に集約されていると思いますけれども、私は政治家になる前に大蔵省に勤務しておりまして、主計局がずいぶん長かったのですが、そういう意味におきましては、やはりODAの外交にとって非常に重要なツールであるということを踏まえながらも、一層、戦略的にODAを活用していく必要性、それから納税者の視点に立ちますと、一層のコストの節減に努めながら、無駄や、非効率性といいますか、そういうものがないかどうか、常にチェックをしていくという考え方が必要かと思っております。そういう意味におきまして、これからも委員の先生方のご指導を賜りながら、ODAの戦略性、効率性の向上、そしてチェック機能の強化等について、ぜひご指導いただきながら、皆様とともにがんばらせていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(渡辺議長代理) どうかよろしくお願いします。ありがとうございました。
 3番目になりましたけれども、伊藤信太郎政務官よりご挨拶賜りたいと思います。
(伊藤政務官) ご紹介ありがとうございました。外務大臣政務官の伊藤信太郎でございます。よろしくお願いいたします。
 私も、アフリカに住んだことはありませんが、海外に4年近く住んでおりましたので、また、日本が世界において存在価値を認められる中で、ODAの果たす役割の大きさというものも痛感しておりますし、これからの日本外交の一番大事なツールとして、ODAがより効率的に、また国民の納得が得られる形で行われるということが重要だと思います。現在、財政事情とか、国民のいろいろな考えもあって、ODA予算が大変大きく削られておりますけれども、ぜひ今回のODA総合戦略会議の先生方とよく協議しながら、今日の会議なども活用して、ODA予算が質、量ともに充実して、日本外交の要としての役割をしっかり果たせるように、その中で政務官として精一杯努力をさせていただきたいと思います。
 今日の会議、それぞれ忌憚のない有意義な議論が行われることを期待しております。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。
 さて、第1の議題、「ODAの点検と改善」に関する報告書についての意見交換に入りたいと思います。要点を佐渡島経済協力局参事官より説明いただき、それに基づいて自由な討議を行ってみたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
(佐渡島参事官) ありがとうございました。それでは、冒頭、簡単に経過、経緯をご報告いたします。渡辺先生から、冒頭にご指摘がありましたように、これは6月に骨太の方針で、事業量の戦略的な拡充と同時に点検や改善、改革をしなさいという指摘があったことを受けまして、8月3日の戦略会議で、荒木先生、磯田先生、草野先生、関山先生、牟田先生、5人の先生を選任いただき、ワーキンググループを立ち上げ、その後、議論を継続してきました。8月31日、9月26日、10月29日、計3回、この場で会合をしております。その間、メール等、書面で意見交換を継続して、本日の資料にあります「ODAの点検と改善~より質の高いODAを目指して~」という報告書を取りまとめました。ワーキンググループの先生方のご意見を踏まえて作成をしております。特にワーキンググループの5人の先生方の原則的な同意はいただいていると心得ておりますが、この報告書自体はあくまでも外務省経済協力局の責任で取りまとめたという性格のものでございます。冒頭、ご議論がございましたけれども、今回は特に現場に下りていく、いままで先生方にご議論いただきました大きな政策の枠から、そこをどうやって現場につないでいくかということを特に頭に置いて議論をさせていただいたものでございます。
 それでは、報告書をごらんいただきたいと思います。この報告書は、いろいろなことが書いてございますけれども、その中から特に10のものを取り出しております。中心的な課題と申し上げてよろしいかと思います。この紙は次の3本の柱からなっております。それは「国別のアプローチの強化による戦略性の強化」、「コストの縮減による効率性の上昇」、それから「チェック機能の強化」です。この三つ、取りまとめて、最後に何を目指しているかというと、よりPDCAサイクル (プラン・ドゥ・チェック・アクト) のサイクルの確立というところにつなげていきたいと思っております。
 まず戦略性の強化でございますが、冒頭に国別援助計画の拡充とございます。今までに19の国別援助計画を策定してきました。今日は、20番目のインド、それから21番目のバングラデシュが入っています。最終的にはパイプラインに今日あるものも含めて五つ入っておりますので、今のままの当面の計画では24ですが、これをさらに30まで届かせたいと思います。30に届けば、わが国のODAの約7割をカバーすることになります。更に、その30に届くと同時に、今までのものを改定していきますが、そのための標準化も、簡素化もしたいと思います。主査の先生方のご努力によって、それぞれ充実したものができ上がっておりますが、なるべく標準化を進め、インデックスを揃えていきたいと思います。
 それから、国別計画を絵にかいた餅に終わらせないといいましょうか、アンブレラがかぶさった中で、現場のフィールドのタスクフォースに旗を立ててもらいたいと思います。その大きいアンブレラの中で、当面、3年か、5年、現場のチームはどこに向かって走るか。たとえば私、北ベトナムにおりましたが、北ベトナムの北部3省の教育の就学率を5%上げるとか、あるいはシエラレオネの母子保健といいましょうか、乳幼児死亡率を向こう5年で2%下げるとか、何でもいいですけれども、現場のチームに旗を立ててもらいたい。そのための道具を導入したい。それはとりあえず「実行指針」と呼んでおりますが、機動性を向上させて、現場の旗を立てやすくするということをやりたいと思います。今年度から早速、試行的に3カ国程度について実施をしてみたいと考えております。
 それから有償、無償、技協間の連携とあります。もともと目標があれば、それに対してどうやって組み合わせるかという問題であるはずであって、連携ということでは本来ないのではないかなと個人的には思っておりますが、その立てた旗に向かって、より有機的に道具を組み合わせていくという意味における連携、プログラム化を推進していきたいと思います。
 それから4番目に、ODAタスクフォースによるレビューの強化とあります。レビューは、それぞれ今までいろいろな形で行われてきておりますが、私ども、今ここで申し上げているレビューは、政策レベル、特に自分の国に当てはまる政策レベルで、その照準がきちんと合っているかという政策レベルのレビューを定期的に、かつインデックスを揃えて行うということをしたいと思います。どの点に目をつけてきちんとやるか、政策レベルでの評価というのはきちんと合っているか。これは当然、国別援助計画の改定とか、そういうところにも最終的には情報がフィードバックされて上がってくるべき性格のものだと心得ております。
 それから、すでに実施されていることではございますけれども、特に東京、それから現場でも、プライベートセクターで仕事をされている方の意見をよく聞くということです。それで資金の連携の強化に努めていきたいと思います。それから、特に自分自身では中東で職業訓練の話を進めておりますが、パブリックセクター丸抱えによる職業訓練というのは壁に行き当たっております。その効率を上げるための一つの鍵、パラダイムシフトの鍵として、プライベートセクターの大幅な参加ということを議論しておりますけれども、たとえばそういうことも含めて一層の連携を図っていきたいと思います。
 それから効率の面でございますが、これは非常に具体的なところに入ってまいりますけれども、三つだけ典型例をここに掲げさせていただいております。6には、有償資金協力の調査から入札までの標準期間を設けて、それの期間短縮を図りたいと思います。世の中に、ここからここまでの標準処理期間はこれだけですということをやって、ネットその他で公開をして、その時間内に標準処理をするということを目標に、かつそれを実行していきたいと思います。
 それから7番目、無償資金協力のコスト縮減等の話ですが、これは一遍に十把一からげにやるということを考えましても、これは実際には現実にはなかなか難しく、既に転がっているもののコストその他を全部計算してやろうとすると、大変な行政コストがかかるということがわかりましたので、むしろこれからやること、特に現場でまとめてコストが削減できそうなもの、例えば、小学校の建設であるとか、あるいは簡易灌漑であるとか、道路については、現地の、なるべくローカルの機材、あるいは現地の下請け業者を活用することによってコストを下げていく。これは物事、ターゲットグループごとに、ある削減目標を定めて作業をしていきたいと思います。
 これは8番目とも絡んでおりますけれども、そうやる場合には、現地仕様の設計、現地業者の積極的な活用というものがないとうまくいかないので、そういうものにより多く取り組んでいけるようにしたいと思います。
 補足的に申し上げると、これは余りやり過ぎると、片方で旗が立たないという話になりますので、そこは向こうのニーズに合わせて、きちんと議論をして考えていきたいと思います。ただ、全体としては、国際社会においても、コストをなるべく下げましょうという動きがありますので、われわれもそこを追及していきたいと思います。
 それから、やるだけではだめでチェックをやる。評価にかかる9、10ですが、9の無償資金協力の事後評価については、今まで有償資金協力、それから技術協力は全部案件について実施していましたが、無償資金協力に関しては、サンプリングといいましょうか、部分的にしか行われてきておりませんでしたので、これから全部カバーするという目標を立てて始めたいと思います。
 それから10番目として、評価のプレーヤー、これは既存のコンサルタントを中心とした評価に関しては、私は層が薄いと思っております。さらに多くの人たちにマーケットに参入いただきたい。その意味では、独立法人化した大学とか、皆様、マーケットに入ってくる潜在性のある機関として、非常にタイミングよく、これは別に文部省と打ち合わせてこうなったわけではないですが、ポテンシャルのある機関がたくさんあります。そこに文科省と協力をしてなるべく広い参入を呼びかけてきたいと考えております。
 以上でございます。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。いま10の新たな改善措置、実にコンパクトにまとめてくださったわけですが、本文は御覧のように大変大部のものであります。余り細部に入って議論が出てこなくなると困る。時間のこともありますし、問題の立て方等について、さらにこの点、こう考えるべきである、こうすべきである、ああすべきであるというご意見があれば、コメントを承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(青山委員) 大変しっかりと全体を見たご報告をありがとうございます。少しだけですけれども、国別援助計画をコンパクトにして全体的にスタンダードなものにするという、そのご意見には賛成ですが、今日のインド、バングラデシュの計画を見ましても、非常に詳しい分析があって、理解するに当たって、これだけの証拠を揃えてくると、なるほどと思われるところがありますので、本文ではなくて、アネックスか何かをつくって、ぜひとも分析のところは入れていただきたいなという気はします。その分析は毎回ということなので、ある程度、リバイスでいいと思います。そういった点がないと、やはり何を根拠にこういうことを言っているのかというのがわかりにくくなるんじゃないかということで、コンパクトにするに当たって、分析も、本文以外のところでよろしいので、つけ加えていただきたいということが1点です。
 それからもう1点は、この実行指針ということを先程おっしゃいました。そして成果主義。それ自体には賛成ですが、日本の今までやってきた援助の大変よい点は、プロセスを重視していて、例えば保健の分野ですと、実際に死亡率が下がらなくても、その間の人材がどれだけ育つかということを重視してきたと思います。だから、そういう成果を見るときに、実際に死亡率が下がったとか、そういうところだけではなくて、どんなプロセスをやってきたかということを図るような指標を何か立てていかないと、サステナビリティのほうに問題が出てくるのではないでしょうか。欧米の支援は、成果は上がるけれども、いなくなったらお終いというのが結構多いというような気がいたしますので、プロセスも重視した成果主義でいってほしいと思っています。
(渡辺議長代理) 2番目は大変重要なことをおっしゃっているようですが、本文の中で修文を要するような感じのご発言になりますか。そうとは考えなくてよろしいですか。
(青山委員) 成果重視というと、結果だけ見るというように捉えてしまう方が大変多いものですから、プロセスも見る成果主義だということを強調したほうがいいかと思います。
(渡辺議長代理) 聞くべきご意見だと思います。
 それでは、砂川さん、伊藤さん。
(伊藤委員) 第1点目は、これを読んで、援助する側から見た視点というのはよく書かれていると思いますが、援助される側から見た視点というのが弱いのではないかと感じます。特に援助コミュニティでの連携とか、そのように謳われているところは評価できますが、援助をされる側の立場から見て、確かにODAタスクフォースで、相手国の政府との協議というのがなされると思いますが、相手国の住民参加とか、NGOの参加というものが非常に弱いと感じています。2国間政府間援助ですから、直接に相手国の住民とか、あるいはNGOへの働きかけが難しいかもしれませんけれども、少なくとも相手国の政府にそういった国民参加、住民参加、NGO参加型の事業の実施体制というものを促すような視点を出したらどうかと思います。それからもう一つ、日本側も、NGOのことを謳っておりますけれども、あれほど国民参加というものがキーワードになっているにもかかわらず、この報告書ではそれが弱いと感じました。
 それから2番目のコメントですけれども、これは国別援助計画の策定過程に非常に時間がかかっているということで、1年から2年近くかかっているケースもあるという報告がありますけれども、一つ理解しておかなければいけないのは、作業部会だけではなくて、日本大使館の中においても一つ大きな問題が潜んでいるのではないかと感じます。それは限られた経験ですけれども、見聞きする限り、大使館での職員の方々が本省を見て仕事をしているという傾向があると思います。やはりそれぞれの省を見ながら仕事をされているものですから、大使館の中での調整が非常に難しいようなことを見聞きしております。従って、もう少し外務省の方が大使館でチーフをされているのであれば、もっと強いリーダーシップでまとめ上げていくという姿勢が必要だと私は感じています。
 3点目は質問です。28ページの「新たな手法 (コミュニティ開発支援無償) の創設」とありますが、これは非常にすばらしい案だと私は理解します。質問ですが、この「コミュニティ開発支援無償」というのは問題解決型、それから非常に有機的な連携プレーを促進しながら、援助問題、開発問題を解決していこうという姿勢だと理解しますが、この中で一応「業者」という言葉を使っていますけれども、この中に例えば相手国のNGO、国によっては非常に能力の高いNGOが活動している国もありますので、そういったNGOのコンソーシアムをつくって、一部は地域社会の中小企業等に事業を下請けさせることもあるでしょうけれども、そういったような形でNGOがある一定地域を選んで、そこで農業開発、それから基礎教育の充実、職業訓練、環境保全等々、総合的にアプローチをするような場合、それに対する日本のODAがこのコミュニティ開発支援無償から出るのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。大変有力なコメントをいただいたと思いますが、3番目について、佐渡島さん、いまの伊藤委員のご質問、コメントにお答えいただけますでしょうか。
(佐渡島参事官) まず3番目のご質問のほうにお答えします。当然入ります。私どもが頭に置いているのはそういうことも当然頭に置いております。
 それから大使館の作業、これは私ども、気をつけたいと思います。この全体の報告書でございますけれども、これで終わりではございませんので、これはわれわれの中で、若い人たちが集まって議論をしているのを、アーリー・ハーベストでここに持ってきたということで、この議論を続けたいと思っております。今あったご指摘も、第2弾のほうに持っていければと思います。
 住民参加についてはODA大綱にも書いてありますけれども、それを今度どうやっていくのか。今度、大学のところで一部取り込みたいと思っております。現場、それから日本でのいろんなことにもっと知恵を働かせたいと思います。
 ありがとうございました。
(伊藤委員) 補足ですが、私が何故相手国のNGO参加を相手国の政府に促すような支援をすると言うことの理由は、相手国への広報として、日本のODAが自分たちの国に入っているのだということを知ってもらうためにも、住民参加、NGO参加はとても大事です。だから、同じ金で非常に広報成果、効果があるという視点もありますので、つけ加えておきます。
(渡辺議長代理) なるほど、おっしゃるとおりかと思います。砂川さん、どうぞ。
(砂川委員) まず、大変体系的な、詳しい案をお出しになっていただきまして大変ありがとうございました。特に実行指針の導入というのは、非常にいいことだろうと思います。ただ、それを実行するところにおいて、こういう具合にしていったほうがいいというような点を幾つか申し上げたいと思います。
 まず、現場において、三つの援助形態というものがそれぞれ別の組織でもって動いているもので、それぞれの目的を持って、極端に言うと、ばらばらに動いているということが結構見られるということをまず指摘したい。その辺のところ、うまく組み合わせてやっていくというご説明でしたが、是非その点をよく考えていただきたい。そこのところで、具体的にはたとえば無償と有償の案件というが、ある局面においては制度間の取り合いになっている面もあるわけですね。その裏には、たとえば無償はタイドである、有償はアンタイドであるということがどうしても絡んでいる面があります。その結果、無償でやったプロジェクトと有償でやったプロジェクトではコストに非常に開きがある。すなわち無償は非常に高くつくというのが現実の姿であります。これはやはり私どもの反省点としてきっちり見ておく必要があると思います。顔の見える案件というものとどうも関連があると思いますが、顔が見えるということとタイドであって、それが高くつくということとはやはり別の問題だろうと思います。この辺のところをよく考えていただきたいと思います。それが1点です。
 第2点、技術協力のところで、コストの削減というものの強化を非常におっしゃっておられて、まさにそのとおりだと思いますが、コストの削減がどういう具合にして行われているのかという現実は、例えば調査期間の短縮を図るというようなことが非常にあるわけです。そのときに、例えばこの調査をするときにはこのぐらいの能力の人が要る、というようなことが余り考慮されていない。本来なら、グレード1の人が必要だけれども、これは3ぐらいの人でやっていただけませんか、そうするとコストが下がりますねというような面も出てきている。すなわち経費の削減のために、いわゆる質の面というものがやや軽視されているという面があるのではないでしょうか。もっとこういう調査をするためには、こういう質の調査を目的とするならば、こういうことをしなければいけない。それにはやはりコストもかけなければいけない。先程の期間の問題で言いますと、あるレベルの高い人を拘束するのであるならば、例えば現状では4カ月拘束しなければいけない。そうすると、4カ月の間、その人はほかの仕事に携われないというようなことが現実には起こっているわけです。だから、それを部分的に参加することによって、より効果的なものができるという、そういう制度の見直しというものが伴わなければ、なかなかできないのではないかという具合に思います。その点をぜひ考慮していただきたいと思います。
 それから「官民連携の一層の推進」ということですが、日本の場合はODAにおける官民の連携というのはやはり非常にレベルが低いと思います。ほとんど余りないのではないかと言ってもいいと思います。特に「民」が非常に力を発揮するのは運営の段階であると思います。その運営の段階のところで効率、いわゆるコストベネフィットを考えた運営をする、そこに大きな参画を求める必要がある。ここでODAというのは対政府に対する援助であるというところが非常に絡んでまいります。従って、「官」に対するODAではあるけれども、運営については「民」にどこまで移転、移管するのかというような点というところが非常に重要だろうと思います。そして、運営を考えたようなプロジェクトを形成することです。だから、建設と運営とはやはり一体となっているわけですね。今、恐らく建設をするのはある特定の人であって、運営はまた別の人であるということになっています。建設をするということは、やはりそういうプロジェクトをつくるということ、開発ニーズというものを極めなければいけないですが、これも「官」から見た開発ニーズだけではなく、やはり「民」から見た開発ニーズというものが非常に必要だろうと思います。その点、ドナー側の、あるいはレシピエントサイドのいわゆる「官」と「民」というものをもっと重視する必要があろうかと思います。
(渡辺議長代理) 運営のところが少々わかりにくいのですが。
(砂川委員) 運営というのは、例えば発電所をつくりました。その発電所をつくった後の運営ですね。オペレーション、あるいはメンテナンス、これがODAの世界ではどうしても公営になる可能性が高い。この場合に、公営になると、どうしてもコストベネフィットの意識が非常に弱いという面があります。そして、公営になりますと、なるべく大きな、なるべく立派な施設が欲しいということになるわけです。実際にプロジェクトファイナンスなんかでいきますと、この10年間のデマンドを考えた場合、この程度の施設が一番適切であろうという結論が出るわけです。その辺のところがものすごく立派なプロジェクト、建設物をつくるきらいが「官」にはあります。
 それからあと、2点はちょっと補足的ですが、いわゆる評価のところで、事前、それから中間のところですが、重要であるということは非常によくわかります。それからコストがかかるということもよくわかりますが、コストのわりにどの程度の重要性があるのかというコストベネフィットの関連から見ると、ややわからないというか、不透明であると思います。ここには説明がもう少し欲しいと思います。場合によっては選択的にやっていく必要があると思います。むしろやはり事業の評価、それのフィードバックというところが重視されるほうが私はいいと思います。
 それから最後、5番目ですが、いわゆる環境プロジェクトですけれども、この環境プロジェクト、例えばダムを建設するということになりますと、住民移転の問題等の環境配慮というものが非常に必要です。これに対するコストと時間がものすごくかかる。恐らくJBICとか、JICAにおいては、特にJBICなんかはお手上げの状態だろうと思います。ところが、世銀なんかはそういう意味ではそれに対するある種の時間とコストをかける余裕がかなりある。そこで申し上げたいのは、こういう意味での連携というものを非常に強化するということによって、世銀の調査結果等をもっと実際にこちらで使っていくというようなことを考えることによって、環境問題に対する配慮というのができるのではないか。そういう連携ということを政府にも指導していただきたいと思います。
(渡辺議長代理) 砂川さん、ありがとうございました。それでは、浅沼委員、どうぞ。
(浅沼委員) 第1の点は、国別援助計画の拡張のところで、実行指針といいますか、プログラミング部分、しかも年々にローリングプランでもってつくり上げるというのは大賛成です。ただし、その際に戦略を書くときに、やっぱりプログラミングまで目を配らなければ、本来的に書けないわけですよね。それで、ただ単に指針とか、目標だけを掲げても、多分お経になってしまうと思います。そういう意味で、この国別援助計画そのものはプログラミングを含まないとここではっきりして、それを簡素化するというのは賛成ですけれども、今度、プログラミングを行うときに、現地のタスクフォースだけの手の中で行われて、どうも全体の戦略へのフィードバックがなくなるということを心配します。戦略を書くときに東京タスクフォースというのをつくるわけですよね。その東京タスクフォースを実行指針の年次協議みたいな形で、これはインフォーマルにでもいいですから、組み込むというようなことを考えたらどうでしょう。そうしますと、実行指針そのものが戦略から離れない。それから戦略を書くときにもきちんとプログラミングに目配りがいく、こういう結果が得られるような気がします。
 第2点は、チェック機能の強化です。ここではおっしゃっていることにはそれほど費用はかからないと思いますが、私が知りたいのは、チェック機能をどんどんと強化する。それはチェックとか、評価とかというのは、多々、それは弁ずですから、いいことですが、当然費用がかかるわけです。人員、スタッフにしろ、費用がかかる。それをどこから捻出するのか。もしそれが実際のオペレーション、業務から人を移して、評価部分を大きくするというのでは、今でも弱い業務部分がもともと弱くなると思います。そういう意味で、私がここでコメントしたいのは、評価作業の費用面、特に人的な手当、その他を一体どうするのかを考えていただきたいということです。
 第3点は、戦略性の強化と書いてあるところ、特に骨太の指針です。これと関連しますが、第6の項目の中にはODA全体の規模を拡大するということが書いてある。同時に、その中にはグレンイーグルズで首相が約束したアフリカへの援助の拡大も書いてあるわけですよね。アフリカというのは、日本にとっていろいろな意味で未知の大陸だという気がします。アフリカを知っている人間の数も少ないわけだし、それほど関係があるわけではないし、関係の歴史もそんなに蓄積されていないわけだし、しかも国の数が多くてというところで、一体、アフリカ問題に対する戦略的なレスポンスをどうするのか。これは多分、報告書を超える問題なのかもしれませんが、でも、そうだとすれば、あの骨太の方針に対する方針というのはこれだけではなく、もう一つ何かしなければいけないということになるわけです。アフリカが多少大きくなってくるとすると、これはODAの体制や組織に相当大きな変化をもたらすだろう。もしくはそれを変化させないと、多分対処できないと思います。
(渡辺議長代理) その他、いかがでしょうか。草野さん、どうぞ。
(草野委員) 私もこの点検と改善を作成するに当たっていろいろ意見を申し上げた立場からすると、ディフェンドをしなければいけないわけです。一つ、重要な点は、先ほど浅沼先生が最後におっしゃいましたように、この骨太の改革で謳われていることを主として今回われわれODA分野に携わる者としては努力をする、改善措置をとる。そのかわり、できれば、先程小泉内閣総理大臣の基本方針も大臣から指摘がありましたように、増やすと。ですから、これだけ改善努力をして、効率性を図るという、そこに主眼があるということだと思います。
 一つだけ、私、これまでの議論の過程で問題提起をするのを忘れてしまいましたが、事務方で議論が既に行われているとすれば、是非お聞かせいただきたい。全体として、この10の改善措置を実施した場合にどのくらいコストが削減されるのかということを見通しておられるか。もちろんこれは非常に難しい質問だろうと思います。しかし、このような改善措置を明らかにされたならば、どのくらい縮減される、その効果はどのくらいだと聞かれると思うので、是非お聞かせいただきたいと思います。
(渡辺議長代理) 佐渡島さん、ここのところ、いかがでしょうか。
(佐渡島参事官) 実はわれわれもそれをやることが一番アピーリングだと思いました。われわれがこれだけ削減して、その削減をここに投入しますと。全体量の計算は難しい。さんざん議論しましたが、できない。ただ、JICAについては、中期計画で平均として10%です。これは一応、予算全体がくくられていますので、目指せるというのはわかっています。有償も、幾つかのセクターのターゲットのところでは、例えば15%とか、20%とかという数字は出てきます。ただし、全体としてどれぐらいの節約効果があるのかというのは、今回はできないというので、とりあえず定性的にだけ申し上げさせていただくと、こういうことになります。
 それからもう一つは、この削減の目標は、ただ単に、より少なく使うのではないです。要するにわれわれとしてはより多くのサービスを提供するために、ただ単に、おもちゃ売場で子どもがねだったみたいに「頂戴、頂戴」と言っているのではなくて、ちゃんとぎりぎりの、やるところはきちんと効率的にやるように持っていきます、でも、それでも足りません、従って財政当局で配慮してください、こういうことをきちんと言うためにつくったわけですから、また単純に 100円を90円で買います、こういう話ではないので、本当は言えるのが一番よかったのですが、残念ながら、今申し上げたようなコンポーネントごとの幾つかの削減目標を出すということに落ち着きました。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。それは私も伺っていて、いたし方のないことだと思います。こういう個々の努力をしていって、ODA全体の質を向上しながら、コストも削減していくという態度を表明する。結果として、中を読んでいくと、物によっては増額しなければならないものもあるわけです。
(草野委員) ただ、メディア的に一番関心のあるところだろうから、改めてここの場で、そういう努力はしたけれども、難しいという説明が欲しかったということです。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。それはそうだと思いますね。わかりやすさという点ではそうかと思いますが、余りわかりやすいのも、平仄を合わせたななどというイメージを与えたくもないわけですし、しかも、佐渡島さんがさっきからおっしゃっているように、私もつくづくそう思いますが、これは第1弾であって、恒常的にこういうものをリバイズしていかなければならない。いずれ、セカンド・バージョンが出るわけだと。その過程でそういう議論をもう少し煮詰めていければなおいいかなとは思います。第1回から削減目標を決定するということになると、なかなか後が動きにくいというわけですね。削減率は、人間の常識からすれば、だんだん大きくしていかなければならないというようなことにもなりかねないので、今回はこれでよろしいのではないかなと思っております。
(砂川委員) いまの点ですが、2番目の「効率性向上 (コスト縮減) 」、私、この表現には違和感があります。即ち効率性というのはコストベネフィットですよね。だから、コストを下げるということと、ベネフィットを上げるという両面があると思います。それは今渡辺さんがおっしゃったように、質の向上だろうと思います。質の向上ということになりますと、いわゆるODAの目標というか、ODAで何をするのかというところが今多様化してきていますよね。だから、非常に多様化してきて、もっと大きなものになってきている。そういうものに対して、こういう具合にしてやっていくのだという、いわゆる質の向上という面を強調されるということが一つの効率性の向上とつながる問題だろうと思います。その辺に触れていただきたいというように思います。
 もう1点は、コストをどちらかというとシェアするという観点。それが官民連携だろうと思っています。そういう関連づけた説明をしていただくと、ここの部分がもっと生きてくるのではないか、こういう具合に思います。
(渡辺議長代理) そうかもしれませんね。次の方、どうぞ。
(浅沼委員) コストをどうするかという話ですが、今後、ODAの資金的な投入というのは増やすわけですよね。その過程で、全体的なコストを縛っていくということは、ODAに係わる人的な投入を減らすということですよね。確かに効率性の追及があって、いろんなコンポーネントで、まだまだ無駄があるから、それを効率化する、これはわかります。だけど、全体的なコストを下げるということは、日本のODA自体の質を私は低下させるのに繋がると思います。
(渡辺議長代理) わかりました。大体、私も浅沼さんと同じような考え方をしているわけですが、その意味でも全体の削減目標を今回設定しておかなくていいのではないか。むしろその方がいいのではないかという感じがいたします。草野委員も、設定すべきだと言っておられるわけではないわけでありまして、そこは今回の議論からは取り外しておきたいと思います。
 まだまだ議論があると思います。そして、これだけの大部な報告書ですから、個々の細かい細部の文言等については、コメントがあるに違いないと思います。今日の議論に基づきまして、修文すべきところがあると判断すれば修文いたします。その判断は私や事務局にお任せいただきたい。5名のワーキンググループの先生方の大変なご尽力のもとで、外務省の責任においてこれを提出するということになりますけれども、もう一度言いますと、適切な修文を施した上で最終案として発表するということになりますが、ご異論ございませんでしょうか。ありがとうございました。それでは、これについての議論は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
(佐渡島参事官) 最後に一言だけよろしいでしょうか。
 一つは、今回、ご議論いただいた改善の対象ですけれども、これは私どもの役所のやっていることを中心に書いてございますので、今後、いいモデルを外に広げていくにはどうしたらいいかというのは、また別途考えたいと思います。
 それから2番目でございますが、先程冒頭に手前どもの大臣が申し上げましたけれども、やれることはすぐやるということで、年度内に実施できるものはとにかく全部始めると。ここに書いてあるのを一斉に転がすのは難しいかと思いますけれども、遅くとも来年度中には転がし始める。実行できるものはすぐに実行する、こういうふうにやりたいと思いますので、よろしくご支援をお願いしたいと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございます。心強い発言だと思います。
 そのような次第で取りまとめについてご了承をいただいたわけでございますが、ここで、伊藤外務大臣政務官がご出席でいらっしゃいます。一言、ご感想なり、コメントなり、あるいは激励なりをいただければありがたいと思います。
(伊藤政務官) 議長代理、どうもご苦労さまでございます。今日は委員それぞれの素晴らしい戦略性、また示唆に富んだご意見を拝聴して、またこういう複雑で、大事な議論のまとめをなさった渡辺議長代理に敬意を表したいと思います。改革というのは、どこで終わりということはないわけで、援助を受けるほうも、国情がどんどん変化しておりますし、日本の状況も変わっておりますし、また価値観そのものも時代とともに変わっておりますので、本日は、とりあえず、今回の報告に対して総点検を行って、来年度からできるものから順次やっていくということでありますし、また来年度以降も、適用範囲を拡大して、改革を前進させるということだろうと思います。また、今ご議論のありましたように、外務省だけではなくて、政府全体としてどのようにこのことを改革し、より効果的なものにしていくかということも進めてまいりたいと思います。本日いただいた皆さんのそれぞれのご意見を踏まえて、今後、時代に合った、また日本の国民が納得する形でのODAの改善というものを続けていくということを、皆さんと一緒に続けてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。
 次に国別援助計画に入りたいと思います。では、インド、ラオス、バングラデシュという順序で参ります。それでは、絵所先生、よろしくお願いいたします。
(絵所主査) おはようございます。対インド国別援助計画、じっくりと討議した結果、ようやくまとまったものであります。目次を見ていただくと、全部で七つからできていまして、別紙で「対インドODA事例集」、「目標体系図」というのをつけております。余り時間もないので、最初のところだけを読ませていただきまして、後は項目だけを少し並べることでご説明にかえさせていただきたいと思います。
 最初の2ページ目、「対インド支援の理念と目的 (アジア新時代) 」に相応しい日印パートナーシップの構築に向けて) 」というのが大きな理念であります。
 (1) ソビエト連邦の崩壊に伴う冷戦の終焉に伴い、冷戦構造の中で非同盟主義を掲げていたインド外交は、米国を中心とする西側諸国及びアジアを重視した積極的な外交へと変化するとともに、経済面では自由化政策への移行により、順調な経済政策を続けている。インドは南アジアにおいて大きな影響力を有しているのみならず、近年の政治・経済的安定により、国際社会における存在感を急速に高めている。
 (2) 広くアジアを眺めてみると、インドは、近い将来、外交・政治・経済面で我が国及び中国と並ぶアジアの大国となる可能性が高いことを踏まえ、我が国、中国、インドの相互の関係を一層強化しつつ、「アジア新時代」を展望する協力関係を構築する必要がある。また、我が国を含む国際社会は、インドの国際経済へのコミットメントを強化し、世界最大の民主主義国家インドを、市場経済及び経済連携の強化を指向するアジア地域の建設的なパートナーとして発展するよう支援していく必要がある。
 (3) インドは、今後の有望な投資先・市場としての大きな潜在性を有しており、日印二国間関係緊密化の必要性は高い。また、インドは我が国のシーレーンの安全確保の上で重要な国であり、我が国の安全保障環境を強化する観点からも、親日的な国であるインドが南アジアで安定的な発展を継続することが重要である。加えて、インドには世界の貧困人口の約3分の1に相当する3億人以上の貧困層が存在することから、インドにおける貧困削減はミレニアム開発目標を達成する上でも重要である。
 (4) 2003年度及び2004年度に、インドは我が国円借款の第1位の受取国となった。経済協力を通じてインドとの間に安定した二国間関係を築き、中国に次ぐアジア経済発展のもう一つの成長軸となる可能性を持ったインドとの持続的発展を支援することは、アジアのみならず国際社会全体の平和と安定に寄与するものであり、ひいては我が国にとっても望ましい選択である。2005年4月の総理訪印を通じて日印関係も新たな段階に移行し、アジア新時代においてグローバル・パートナーシップに戦略的方向性を付加することで合意した。「アジア新時代」に向けて、日印両国がそのパートナーシップを伝統的な二国間関係から、アジア、更には世界における協力関係へと拡大させていくに際して、政治・安全保障、経済、文化、地球環境問題等とともに、経済協力を我が国の対インド外交戦略の一環として明確に位置づけることとする。
 これが基本的な考え方であります。
 その次はインドの最近の開発に係わる状況で、飛ばします。
 それから5ページ目はインドの開発戦略の動向でありますが、これも飛ばします。
 7ページに「対インドODA実施にあたっての基本認識」というのがありますが、これも飛ばさせていただきます。
 9ページ目の5、「対インドODAの重点目標」のところに移らさせていただきます。これは三つの柱というふうに考えておりまして、「経済成長の促進」、2番目が「貧困・環境問題の改善」、3番目が「人材育成・人的交流の拡充のための支援」、この三つを重点目標にしたいということであります。
 1番目の「経済成長の促進」でありますけれども、どういうふうに考えるかということですね。2番目のパラフレーズですけれども、貧困問題に対する我が国の基本的アプローチは、「経済成長を通じた貧困削減」の追求である。インドにおける経済成長を実現する上での、最大のボトルネックの1つはインフラの絶対的不足・未整備である。東アジア・東南アジアでは「円借款によるインフラ整備・技術協力による人材育成が投資環境の改善・雇用の創出をもたらし、それが直接投資の増加、輸出の増加をもたらし、さらに高度経済成長が実現して、貧困が削減したという一連の好循環が働いたと考えられている。こうした好循環がインドにおいても機能するためには、包括的な経済改革を通じて制度面での投資環境整備が今後一層進展することが重要である。したがいまして、「インフラ整備を通じた経済成長」が貧困削減において効果的であるということになりますが、これは近年の研究が明らかにしてきたことであり、またインド側も共有している考えです。とは言え、言うまでもなく、環境に十分配慮した、また貧困層や社会的弱者にとって不利にならないようなものでなければならない。人々を援助の対象ではなく、「開発の担い手」としてとらえ、自立に向けて能力強化を支援する必要があるということであります。
 具体的には、次の10ページのところになりまして、電力セクターと運輸セクターに重点を置きたいと思っております。この電力セクター、運輸セクターの支援に当たって、10ページの (ハ) のところですけれども、インフラ整備支援にあたっては、ハード面での施設整備のみならず、事業実施機関の運営維持管理能力や経営能力の改善、さらには事業効果を高めるための政策、制度の改善といった人材育成をコアとするソフト面の協力をもあわせて実施することが有効だということで、この点を追求していただきたいということですね。
 2番目の「貧困・環境問題の改善」で、確かに経済成長は貧困削減に不可欠だということは間違いありませんが、その利益が貧困層にまで及ぶためには、幾つかの前提条件が満たされていなければならない。インドの教育制度、医療・保健制度の階層指向的性格は、貧困層・社会的弱者の市場経済活動への参加を妨げている大きな要因であります。教育を受ける機会が限られている貧困層・社会的弱者にとって、母子保健、公衆衛生サービスへのアクセスも困難な場合が多く、予防可能な感染症が引き起こす影響は貧困層・社会的弱者に一層の負担を強いています。こうした貧困の悪循環は貧困層・社会的弱者に対する経済的・社会的格差の拡大を助長しており、悪循環を断ち切るために重点的に支援を実施する必要があると考えています。
 そういう認識に基づいていますが、インド側のプライオリティや自助努力を尊重しつつ、我が国がなし得る支援を考えるのが最適だと考えていまして、具体的には「保健・衛生分野に対する支援」、「地方開発に対する支援」、「防災の視点を踏まえた取組」、「雇用創出に資する観光開発支援」であります。
 12ページ目は「環境問題への対処」。これもインドでは大変深刻な問題がありますので、挙げてみると、 (a) から (e)まで、「上下水道への支援」、「森林セクターへの支援」、「再生可能エネルギー・省エネルギーへの支援」、「都市環境の改善への支援」、「河川・湖沼の環境保全への支援」というのを考えております。
 13ページに入りまして、「人材育成・人的交流の拡充のための支援」でありますが、日印関係は、円借款といいますか、援助を除きますと、民間ベースでそれほど活発ではないというのが事実でありまして、これは人材の交流が非常に少ないというところがございますので、この点を重視します。三つ考えておりますが、 (イ) は「人材育成・人的交流」、さまざまなレベルでやろうということです。 (ロ) は「魅力ある投資環境整備のためのソフト面での支援」というのを進める。それから (ハ) で日印の知的交流を更に進めて、飛躍的に高める必要があるだろうと思っております。
 6は「援助の効率化と実施体制」のところで、(1) は先程述べましたが、2番目のところがいいと思います。資金協力と技術協力の連携を進める、あるいはハード面とソフト面の支援を組み合わせることによる相乗的な効果が発揮されることが期待されるので、それを積極的に実施しようということです。
 14ページに入りまして、特に強調しておきたいのは「援助体制の強化」と「政策協議の重視と現地指導型の案件選定の尊重」、先程の報告にも検討されていたODAの点検と改善に出ているようなところでありますけれども、そこをもっと強化していく必要があるだろうと思っております。
 最後は「援助実施上の留意点」ということで、これもかなり重要だと思いますが、(1) は「軍縮・不拡散上の対応」ということであります。十分注意を払いながら、ということであります。それから2番目がODA広報、これもインドの場合、巨額の援助をしているにもかかわらず、やはり広報が弱いということがありますので、ODA広報の戦略化、積極化というのを進めるということです。3番目の「環境社会・ジェンダー面への配慮」は当然ということであります。
 別紙は、今までに行った、特にインド側の評価が非常に高いデリー高速輸送システムの建設事業、それから西ベンガル州の送電網整備事業、事例3がガンジス河汚染対策流域管理プロジェクト、4番目がインドにおける我が国の植林支援、5がジャイプール上水道整備事業における漏水・節水対策に関する我が国知見の提供というのを掲げてあります。最後に目標体系図が1枚掲げてあります。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。絵所先生には、企画の段階から中間報告、最終報告に至りますまで一貫して、現地調査を含めてご協力いただいてきたわけです。今日出されたものが、最終案として了承されればありがたいと思っております。事前にこのペーパーはお渡ししていたので、お読みいただいたと思いますが、更に何かつけ加えるべき点、あるいは問題になると考えられる指摘等がございましたら、どうぞ忌憚のないご意見をいただければと思います。
(砂川委員) 大変立派な報告書を書いていただきましてありがとうございました。1点だけお聞きしたいと思います。成長の促進という観点で、特に電力セクター、運輸セクター等を挙げておられますが、ハード面の支援、それはあると思います。問題はソフト面の支援です。インドというのは、やはりそれなりの大変なオーナーシップのある国であるというようにお聞きしているのですが、こういうソフト面での支援というものを向こうは受け入れることを望んでいるのでしょうか。それと、そういう必要性がどの程度あるのでしょうかという話と、実際にやる場合に、そこのところは、日本側の支援する側と受け入れる側がうまくハーモナイズしていけるのかという点です。
(絵所主査) もともとはかなり受け入れる余地はないという印象もありました。したがって、日本の対印援助はほとんどが円借款で、技術協力のコンポーネントは非常に少ないというのも、それがあらわれているわけですが、こういうふうに考えています。大原則は、インド側が持っていない技術は喜んで受け入れるというのが彼らの立場でありますから、オブソリートな技術は要らない。自分たちでできるものまでやってもらう必要はないと、そういうスタンスは非常に明確になっています。それで、70年ぐらいはそういう考えが定着しています。ただ、分野によっては、特に保健とか等々もそうですけれども、やはり知らないということがあります。日本の技術レベルが高いということを十分に認識していないという面もあります。これは日本側の宣伝不足だという点もあると思います。だから、もっと積極的にこういうことができますよ、ということを言っていく必要があります。そうしませんと、拒絶されてしまって、要するにインド側の持っている技術が日本側の技術より優れているのかという議論になってしまって、それなら要らないということになってしまいます。だから、待っている姿勢ではなくて、こちらからと売り込むというか、そういう必要のある国だと思っていて、その点がうまく説得できれば、必ずしも拒絶するものではないと思っています。
(砂川委員) 電力セクターとか、運輸セクターとか、そういうソフトでそういうことができるのでしょうか。
(絵所主査) ソフト面に関して、インドは全然進んでいないと思います。特に配電のところはうまくできておりませんので、日本側にどのくらい意欲があるかということだと思います。
(渡辺議長代理) 浅沼委員、どうぞご発言ください。
(浅沼委員) インドという国の性格、よく言えば、オーナーシップとおっしゃいましたけれども、干渉を嫌うという態度なんかをバックにして報告書で出された結論というのは大変妥当だと私は思います。
 しかし、二つばかりコメントがありまして、第1のコメントは人材育成と交流というのを三つの柱のうちの一つになさいました。でも、これをどうやってプログラムするかというところを見せていただきますと、この柱は何か余り強度が強くないのではないかという気がします。特に第1項目として挙げられた人材育成交流計画の「既存の」と書いてありますよね。そのほかにもトレードファシリテーションのワークショップとか、いろいろありますけれども、本当に柱に置けるほどの太いものなのか、しかも、そうなり得るのだろうか。それが第1のコメントです。
 それから第2は、砂川委員がおっしゃったインフラのハードとソフト、その組み合わせと書いてあるんですね。その表現がちょっと気になります。例えばJBICがやられたことというのは、まさにその組み合わせですよね。二つのプログラムは独立したプログラムで、別のスキームとして、それを組み合わせて行っているというスタイルなので、そうではなくて、私、これは本格にやるのだとしたら、一つのプロジェクトの中に組み込まないと無理だと思います。その後ではコンポーネントという言葉を使っていらっしゃいますけれども、一つのプロジェクトのコンポーネントとして組み込まなければ、組み合わせでは多分動かないだろうと。ソフトを単に技術と理解しないで、経営技術もありますし、組織の改革もありますし、プロジェクト・エアリアを離れた制度の改革まであります。そういうふうに考えれば、私は非常に貴重な貢献ができるのではないかと考えます。
(渡辺議長代理) 青山さん、引き続きお願いします。
(青山委員) 大変説得力のある包括的な計画ありがとうございます。特にこの計画そのものに何かつけ加えるとか、そういうことではございませんけれども、コメントとして2点ほど申し上げたいと思います。
 まず、環境・ジェンダーについての配慮が最後のところに書いてございまして、これを入れてくださったご見識に感謝いたします。ただ、やはりこの環境ジェンダーというのは言葉だけになってしまうと困るので、大きな柱になっているインフラなどの支援のときにこそ、やはり環境ジェンダーについて十分に配慮していただき、女性の人材の活用ということもございますし、また環境のところで、電力は昔もいろいろダムのことで問題になったりしたこともございますし、それから運輸セクターがございますが、大気汚染の問題がやはり大きいと思います。特にこのごろ、東南アジアの小さな途上国に行きますと、インド製の車が結構出てきていると思いますが、そういった輸出産業にもなっていることを見ますと、やはり排ガス規制のところ、運輸セクターを支援するときに、そうした法整備のところまでソフトで含めていくといいのではないかという感じを持ちました。
 それから2点目は、インド側が社会セクターや貧困の問題を国内問題としていると述べられていまして、私どもはこれで納得するのですが、ただ、日本のタックスペーヤーの中では、では何でインドに支援するのか、それだったら民間だけでいいから、別にODAでやらなくてもいいじゃないか、という議論は出る可能性があると思います。だから、こうした国内問題としている貧困だとか、社会セクターの問題に、いつもODAも働きかけているという姿勢を示していくことがやはり大切なのではないかと思います。人材交流のこともございましたけれども、インドは本当に優秀な人材が多いのに、人材がたくさん流出してしまって、国内にいないのではないか。前も中東の国に行ったら、インド人の看護師さんがたくさん働いていて、その人たちはどうしてインドで働かないのだと。恐らく賃金の問題だと思いますが、そのようなこともございますので、やはり人材の育成に関しても働く場も含めての総合的なことをやる。そういう社会的なところで、きちんと国内の問題に働きかけながらODAをしているという姿勢を示しながらやっていくことが大切なのではないかと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。草野さん。
(草野委員) 一つだけです。13ページの「援助の効率化と実施体制」、これはハード面、ソフト面の支援の組み合わせ、「官」と「民」の連携というものの重要性を指摘されているわけで、これには全く異論はありませんが、もう一つ、(2) のところで「他ドナーとの協調」、これはインドという国の性格からこうなってしまったのかなという気もしますけれど、やはり他の途上国に比べると、とりわけこの部分が弱い感じがします。ここに書かれていることには全く異論はありませんが、もう少し書きぶりとして、先ほどODAの点検と改善というものをまとめるに当たって協力をしたという立場からすると、残念ながら、さまざまな理由でこういう他のドナー間との協調だとか、あるいは情報交換だとか、国際機関との連携というのはうまくいってこなかった。だけれども、これからはその点のところが日本の援助をよりよく効率的に進めるに当たってはこういうことが重要だという書きぶりに関して、ちょっと工夫をしていただければなという感じがいたします。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。以上で議論をひとまず終了させていただこうと考えておりますが、絵所さんのほうからコメントがございましたらお願いします。
(絵所主査) ありがとうございました。人材の育成は確かに弱いというのは事実で、われわれも書いていて弱いなと思って、それはやっぱりベースが弱過ぎて、多分、日本の魅力をもっと伝える努力が必要ですね。日本に来たいというようにインド人が思ってくれないことには、優秀なインド人はみんなアメリカに行ってしまって、こっちまで目が向かないというところがあります。それから、今ちょっとインドブームになってきましたから、直接投資が増えていけば、日系の企業ができていけば、ベースははるかに広がっていくので、それに期待したいというぐらいです。
 それから組み込みというのは、確かにおっしゃるとおり、原文の下のほうは組み込みと書いてあって、組み合わせとか、いろいろ書いてありますが、そういう意図で使っております。
 それから青山先生のご意見はおっしゃるとおりだと思います。インフラに焦点を当てるけれども、絶えず貧困削減というのを意識しつつやりますということであります。
 それから草野先生のご意見は書きぶりの問題ですけれども、これもこれからじゃないでしょうか、実際に動き出すのが。動いてくれないことには。官が突出している国なのです。だから、これから少しずつ車の両輪になっていけばというふうに期待しています。
 それから他ドナーとの協調は、インドは特殊で、やっぱりアフリカと違いまして、援助会議みたいになかなか開けない。インド側はとても嫌がって、そこに入ってこないというのがあります。
(草野委員) 絵所先生はインドの専門家ですからおわかりだろうと思いますけれども、そういう常識が一般的な納税者はわかりません。何で他の国は進んでいて、インドは進まないのかと。今おっしゃったようなところがわかるような書きぶりにしていただくとありがたいという意味です。
(絵所主査) 努力してみます。ありがとうございました。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。本屋さんに行ってみると、出版社というのはなかなかレスポンスが早いので、もうインドを知らないと何とかになるというふうな本が、3~4冊既に本屋に並んでいまして、早いものだなとつくづく思いました。それも何か、日本とインドの関係、インドの経済の膨張ぶりというものを象徴している現象だろうと思います。絵所さんも忙しくなるだろうと思いますが、そういう事実に鑑みても、インドが先進諸国、われわれにとってみれば、日本の民間企業を受け入れるための条件を整備していくという観点ですね。この時点ではそこのところが明示的に書かれていませんけれども、インフラの整備とか、結果的にはそのようになっていると私は思います。つまりアジア型の好循環のメカニズムがインドでも展開するような、そういうODAの方針が必要だということが一つの大きな塔になっているということは、今の時点で言うと説得性を持つだろうと思います。その他、いろんなコメントがございまして、これらについては絵所先生のほうで合理的と思われるものの修文等されるべきところがあればしてほしいと思います。これにつきましては、それを私のところや事務局等で更に見させていただいて、若干の往復もあり得ると考えております。このODAの総合戦略会議の25回会合では、そういう問題が残りますけれども、そういう形で、今の留保を置きながら、最終案としてご了承いただきたいのでございますが、ご異論ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。それから何より絵所先生、長いお時間ご協力いただきまして、本当に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、今度はラオスのほうです。ラオスのほうは中間報告でございますので、お手元の資料に基づいて原先生のほうからご報告をお願いします。
(原主査) 今、絵所さんがインドの話をされたので、ちょっと気が重くなりまして、僕はインドの最近の人口を知りません。ただ、とにかく世界の人口の4分の1ぐらいいそうな国と、私が今から中間報告をさせていただくラオスというのは、夏にラオスに行きまして、いろいろと副首相と話してみましたら、ラオスの人口がやっとわかりかけたということで 550万ぐらいだという話を聞きました。小さな国でございまして、1人当たりのGDPの推計が、為替レートがいろいろありますが、大体 500ドルぐらいだということも、副首相から最近の数字はそんなのだと聞かされました。ということは、GDPのサイズから見ますと、 550万で 500ドルですから、大体、日本で言いますと、GDPの推計がリライアブルであると仮定しますと、日本だと10万人以下ぐらいの小さな村のようなGDPのサイズしかない国だということがまずあります。ところが、面積は本州ぐらいありまして、その9割が山である。そういう国で、メコン川流域にラオ人を中心に、ある程度集中して住んでいるところもありますけれども、いろんな括弧つきですが、エスニックグループが違う、いろんな数の勘定の仕方があるようですけれども、大体、ラオスの学者たちの意見を聞きますと、50ぐらいではないかという説もあります。言語もラオ語で一応統一されていますが、なかなか伝わらない。老人はラオ語ができない人がいっぱいいまして、そういう国であります。
 結局、そういう意味では、市場経済、たとえば国内の経済のネットワークが、国内の中の市場流通の機構とか、インフラの問題もありますが、きちんとまとまっているかというと、必ずしもそうではなくて、それぞれの地域が一番近い外国、たとえば南ラオスに行きますと、タイと完全に連動してしまっている。たとえば農村調査などをやりますと、ラオスの賃金が貧乏な国だから安いだろうと思っていたら、全然違いまして、みんなタイに出稼ぎに行きますので、日雇いの農業賃金もタイの東北タイとほとんど同じレベルになっているというような部分。あるいは北に行きますと、中国雲南省と接しておりますので、元が使われておりまして、中国人の労働者がいっぱい入っている。国内の市場統合というのがうまく進んでいない、そういう国で、かつ、1人当たり 500ドル以下ですから、最貧国であります。この国のことをどうするかということで、今いろいろやっているわけです。
 まだ中間報告なので文章になっていませんが、「対ラオス国別援助計画」第2ドラフト骨子をお配りしてあります。細かい話は今いたしませんが、その中の3ページ、あるいは1枚紙の「第2ドラフト目標体系図」、これは同じことが書いてあるので、見比べていただければと思います。現在、そういう中で、ODAのほうから言いますと、過去、1990年以前ぐらいから日本のODAといいますか、ラオスへの援助が始まり、協力が本格化しまして、基本的にそういう国なので、ベーシック・ヒューマンニーズとか、あるいは基礎的な食糧生産というようなことがベースに行われてきました。そういう部分が一つあります。同時に、現在、新しい現実というのでしょうか、ラオスもEPA、たとえばAFATとか、中国とのFTA、現在日本との間でEPAの交渉が行われているというようなことで、そういう国内の経済統合が整っているわけではない段階で、経済のグローバル化、あるいは地域化の中に巻き込まれていく。そういう中で新しい現実が非常にはっきりと出てきました。そうしますと、援助、ODAの大綱として、どういうふうにわれわれの方針を考えるのかということで、実は何度もいま議論を繰り返している最中です。
 それのやや中間的なまとめがこの「3つの援助目標」というところです。一つが「人間の安全保障」の視点から貧困削減を促進すべく云々と書いてあります。これはもちろんその中に三つの重点分野というのが書いてありますけれども、これはやや変な日本語になりますが、過去に日本のODAでやってきた事柄をいわば現代に合わせて、モデファイし、質的に改善を図るという項目になっているとご理解いただければと思います。
 第2番目が、そうは言っても、経済成長ということで、経済成長の根幹となる社会インフラとか、民間セクター強化に向けた制度構築及び人材育成、これが変な言い方ですけれども、先ほど言いましたラオスが直面し始めた新しい現実ということに対して、ラオス政府も対応していかなければいけない。それに日本のODAでできることが何か、あるいはすべきことは何かというような形で、いわばまとめたものというふうにご理解いただければと思います。
 3番目は、その文脈の中で、そういうグローバル経済化の中に巻き込まれて、たとえば金融セクター一つ取りましても、余り細かいことは書いてありませんが、対ラオスの銀行預金の調査をしますと、7割が外貨である。2割から3割弱がキップ預金ですが、残りはバーツとドルになっています。われわれ元の預金というのは余り調べていませんが、いずれにせよ外貨ということです。そうしますと、例えば貨幣政策、財政政策をやるのにも、1国ではできない。非常にむずかしいランドロックドカウンティで、そういう中で経済政策を、成長と貧困削減に向けてラオス政府がどうするのか、あるいはすべきなのか、そういうキャパシティの向上ということもやはりやってやらなければいけないだろうということです。それからラオスは何でも日本の言うことを一見聞いてくれそうな雰囲気がありまして、逆に日本に余り過剰期待を持たれても困るのではないかというのをちょっと思っていますが、そのようなことで、この三つの項目、ここに書いているようなことをやっているところです。
 結局、今われわれの現地タスクフォース及び東京サイド、草野先生、砂川さんたちともよく議論をしますが、結局、日本の援助、ODAの重点をどこに置くのかというときに、やや総花的にならざるを得ない部分がどうしてもあります。ですから、経済成長なのか、貧困削減なのかというところがまだわれわれの中でも完全な意思統一がいまできているわけではありませんが、例えば今EPAの交渉が行われていますけれども、先程言いました第2の経済成長の根幹となる云々という2の部分なんかについてですけれども、例えば東アジア、隣の国のタイだとか、あるいは今のベトナムのように、日系企業が行くかというと、行かないわけです。港もありませんし、人口が少ない。そうしますと、労働集約的な産業が入るかというと、そういうことでもない。人口という部分がありますので、どういうタイプの経済成長が必要なのかといったことも、今までの東アジアの、例えばタイがたどってきたような、渡辺先生がずっとやられてきたような形の発展でいくのかどうかというのがあります。
 そういう問題もありまして、書きぶりもいろんなものになっていると思いますが、2ページ、「ラオス独自の経済成長モデル」なんていう妙な言葉が出てくるのは、どうも一つの、ある、引っ張っていく、経済成長を一つの重点的なことで引っ張れるような戦略が可能かどうかというと、ある意味では非常に難しいのではないか。いろんな多様な経済成長のやり方があるだろうというようなことが一つありまして、この辺が経済成長と貧困削減をどういうふうにわれわれが判断をして、戦略の重点をやるのか、この辺はもう少し最終報告までに詰めた議論をしてみたいと思っております。
 それから、一方、ここに書いてあります六つの重点領域というのは、ODAから言いますと、ODAは当然、日本からの資源投入があるわけですが、投入した資源が当然ラオスの中である効果を持って、あるエフェクト、貧困削減であれ、経済成長に対してベネフィットともたらさなければいけない。そのときに、多分、第1の人間の安全保障の部分と2の経済成長というところは、中身はまた違いますが、やや大きく言いますと、片一方はものすごく時間がかかる。人材育成とか、基礎教育の充実が、貧困削減に本当に役立つには10年、もっと先のことかもわからない。しかし、インフラとか、あるいは民間セクター云々という場合はわりあい効果が早いかもしれないとか、そういう形で投入した資源がどういうベネフィットを最後にもたらすのか、時間的なラグみたいなものがかなりあるはずでして、その辺をどんなふうに、ODAの中でラオスの場合に、ややそこが極端に出てくるのではないかと思っていますので、少しその辺についてももうちょっとエクスプリストな議論をした上で、何らかの形で最終報告には書きたいと思っています。
 あとは、いろんなことがありますが、要するに全体のトーンは人間の安全保障ということから貧困削減云々というところと経済成長というところが2本立てになっているように見えますが、これは当然、ある時間、オーバータイムを考えますと、相互連関してきますので、その辺の見通しまでどれぐらい書けるか、ちょっと自信がありませんが、少しその辺も検討して、やや総花的に見える議論の中に、できればもう少しメリハリをつけないと、日本のタックスペイヤーの方々に云々というときに、何でもやるのかというイメージになるべくならないようにまとめる努力を、現地タスクフォースの方とも相談をしながら、最終報告までにはまとめてみたいと考えている次第です。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。おっしゃるように、そう簡単にこうだという援助方針を出すことがむずかしい国だという原さんの悩みを聞きながら報告を伺ったわけでありますが、どなたか、いまの時点でポイントがあったら、ご指摘いただけますか。
(浅沼委員) ポイントではなくて、質問です。この中で「東西回廊」という名前を使っていらっしゃいますよね。東西回廊があるということは、南北回廊が多分あると思うのですが、そのジオポリティカルといいますか、そういうインプリケーションはあるのかというのが第1です。
 それから第2には、ラオスの輸出産業として電力があるわけですよね。メコン流域の発電、それの売電事業というのは今後もどんどん出てくると思いますが、日本のODAとしてはそれにどうインボルグされるなり、対処するなりすべきだとお考えでしょうか。
(原主査) 後者のほうからお答えさせていただきます。もちろん浅沼先生がいまおっしゃられましたように、ベトナム戦争中につくりましたナムグムダムというのがありまして、これはまさに日本のODAで、日本とラオスの関係がよくなったのはこれだと言ってもいいと思います。つまりベトナム戦争中に日本の技師がダムをつくってくれたというのは非常に大きなあれになっている。かつ、それが最近まで輸出統計が余りちゃんとしていないのですが、輸出の中の項目の分け方によって違ってきますが、端的に言うと、電力というのは最も重要な輸出品である。そういう中で、今度も、ナムトゥントゥというダムに日本はたしか支援することになっております。そういう形でダムの問題というのがラオスの一次産業として決定的に重要であり続けるだろうということはまず第1点。
 第2点目は、ちょっと今日は言いませんでしたけれども、現在、ラオスは来年の3月の人民党大会、第6回大会ですけれども、それに向けて5カ年計画をつくっているわけです。その前に貧困削減計画という有名な計画を援助会議に出しておりまして、そのドラフトを見ますと、どういうことになっているかというと、新しいダムを含めたダムからの輸出による収入が上がり始めたところでそれを実はラオスの貧困削減のために使いたいという枠組みになっています。
 それから第1番目のほうですけれども、もちろん南北回廊はあります。ただ、南北回廊というのは、ちょっと曲者というか、これも変なことになるのですが、つまり南北というのは中国との関係が出てきます。東西回廊というのは、間違いなく、ミャンマー、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、こちらですから。従いまして、日本としてはアフター、ラオスもASEAN協定に入っています。それから日本とのEPAもある。それから日本としましては、インドシナ全体で、ラオスについては、ラオス1国では開発の条件はつくれないので、ランドロックト・カントリーですから、例えば東西回廊をやることで、簡単に言いますと、ラオスの物産はタイを経由するよりは、ダナに出したほうが早いわけです。そういうプロジェクトになってきております。従いまして、現時点ではもちろん南北回廊を無視するわけでは決してありませんが、どちらかというと、ラオスの現在の開発の状況から見ると、東西回廊のほうが重要なのではないかと、今のところ我々は思っています。
(渡辺議長代理) どうもありがとうございました。伊藤さん。
(伊藤委員) 一つは、原先生のご報告をお聞きしながら、この国は大変難しい国だという感じがします。とにかく発想を基本から変えないと、規模、それから援助の内容、そんな感じがしました。私は常にコメントをするとき、NGO的立場から発言するのですが、我々の仲間のNGOでは、例えば全国の教育委員会、それから教育省というんですか、そういったところとタイアップしながら、一つの団体が全国レベルでも、たとえば謄写版を普及させています。もう一つの団体は、今ソロバンを普及させようとしています。こういう適正な規模での援助というのがとても大事じゃないかと思います。ある意味で、本当にラオスの国内におけるNGOはまだ禁止されていると思いますが、海外から来ているNGOは中に入って活躍しています。そのときに日本のNGOをある意味で、逆に言えば、基礎教育、それから基礎インフラ的なところも含めて、そこを通して支援する、あるいはニーズを把握してくるという姿勢が必要ではないかというのが1点です。
 それからもう一つは、NGO活動をしているラオス人の女性とつき合いがあるのですが、その彼女がダムづくりについてやはり批判的なのです。環境破壊につながるし、それから何年かたつと、ダムがほとんど機能しなくなってくるというようなことで、電力もほとんど隣国のタイに売って、自国のほうでは電力そのものはそんなに使われていないのだというような批判を彼女はしていましたけれども、そういった観点から提案したいのは、例えば経済的な刺激を与えるためにも、エコツアーというもの、すなわちそういったラオスの自然を保ちながら、エコツアーを奨励するような日本のODAの使い方というのもあり得るのではないかと感じましたが、その辺のコメントをいただければと思います。
(原主査) 最後のほうですけれども、我々としては、総花的になっていて、ここにいっぱい重点に細かいことが書いてありますが、この中で例えば農村地域開発、持続的森林資源の開発というようなところで、エコツアーという言葉はここには出ていませんが、そのようなことも必要ではないかという議論はしております。そういう認識がものすごく我々にもありますし、実は私たちは一方で、ラオス政府にODAとは別ルートで経済政策をどうするかというような話をしております。そういう中で1村1品とか、エコツアーというのはどうやるというような議論もしているんですが、このODAの中でそういう細かいことまで書けるかどうかというのも、検討させていただきたいと思っています。
 それからNGOの方のルートを通じた要請の発掘というか、これは決定的に重要だと思っています。従いまして、多分、やや乱暴に言うと、日本の現地タスクフォース、それからラオスの中央政府とやっているだけでは、本当の草の根レベルでのニーズがわからないということになると思います。その辺はわりあいに気にはしていますが、おっしゃるように、ラオス政府はご存じのように、1党独裁体制です。ラオス人民革命党しかありません。従いまして、ラオス側のNGOというのはほとんど認可しません。そういう中で外国のNGOの方、今おっしゃられたような意味で、本当に手の届くような細かい援助のニーズの発見ということで非常に重要な役割を果たされていることは知っていますし、これからもそういうフェーズが続いていくだろうと思っています。ただ、それをこの中でどう位置づけるかは、まだ余りエクスプレスには議論していなかった点なので、最終報告までに検討させていただきたいと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。青山さん、お願いいたします。
(青山委員) お伺いしていて本当に難しい国で大変だということをしみじみ思いました。
 簡単なコメントで、既におっしゃられてしまいましたが、やはりラオスの場合だと、貧困削減といった問題、人間開発、社会開発が中心になってくるのだと思います。ラオス独自の経済開発モデルは大変おもしろいご意見で、先程もお話になった観光資源は何だろうとお伺いしようと思ったら、もうエコツアーという話が出ましたので、そういったラオス独自のモデルというものを開発されるということは、他にもこのような国があると思いますので、一つのモデルになるのではないかと思います。
 それからもう1点のコメントは、保健サービスも基本的なところで入っておりますけれども、人材育成や、制度をつくるという大変重要な点が指摘されておりますが、恐らく育成した後の人材を雇えないようなこともきっとあると思いますので、いかに育った人が活動できるかというところに少し目配りをしていただけるといいと思いました。
 最後に1点質問ですけれども、ラオスは麻薬の問題とかはなかったのでしょうか。その点、ちょっと教えてください。
(原主査) あります。それ以上、どうしていいかわかりません。簡単に言いますと、ラオスの今の党もそうですし、今度の5カ年計画が党大会に出てくるところで、2020年までにということになるのですが、今の現行計画では2010までに焼き畑と麻薬は追放するというのが国是になっています。それができるかどうかは知りません。ですから、まさに麻薬の問題は残っています。
 それから二つ目の人材を育成して使ってくれというのは、日本が何をやるかということです。ですから、私は個人的には、ある種のコンディショナリティをつけないといけないのではないかということを言っております。具体的に言いますと、一例だけ挙げておきますと、やっとやり始めたようです。つまりラオスは実はほとんど共産党というか、1党独裁の国ですから、簡単に言うと、全部が公務員なのです。ところが、公務員の採用試験がない。これはいけないということで、私は首相と副首相に何度も言っています。せっかく日本が大学をつくって人材育成しているのに、結局、今までは、やや乱暴に言うと、コネで入っているわけですね。これだといけないのではないかということで、大学の高等教育を受けた、採用のところでそういうルートをちゃんとつくるようなことをやってくれないと、日本がやった教育がだめになるよということは言ってはいます。そういう形の制度改革をぜひどこかで強く。これはここで言うかどうかわかりませんが、これから続くだろう政策対話とか、いろんな形でその辺を日本が言っていかないといけないのではないかなと思っています。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。ご苦労さまでございます。最後に青山さんから、これは一つのモデルになる、モデルの意味はいろいろあるだろうと思いますが、やはりあの地域に行ってみますと、ラオス領域ですけれども、大国中国の影がますます密度を濃くしているという感じがしますね。こういう膨張する大国中国の周辺にある小国がどうやって生き延びていくか。そういう意味では中国を牽制しながら、どう生きるかというような、ある種の地勢学的な関心ですね。東西回廊と南北回廊ですけれども、その言葉をあえて使えば、東西回廊を強化し、南北回廊を牽制するというふうな地勢学的な観点も前書きあたりのところであると、より説得力があるのかなと思います。これはずいぶん勝手なコメントですけれども、大国周辺の小国モデル、これをODAでどう対応するかという観点だと思います。いろいろご意見が出て、ずいぶん活発なやりとりがありましたけれども、原先生、まだしばらく続くと思いますが、ご苦労さまですが、よろしく最終報告まで持っていっていただければありがたいと思います。ありがとうございました。
 次にバングラデシュです。このバングラデシュにつきましては、インドと同じでございまして、今日をもちまして最終報告にまで持っていきたいということでございます。それでは、山形辰史主査、よろしくお願いします。
(山形主査) アジア経済研究所の山形でございます。今回で3度目の報告になりまして、杉田審議官、原先生以外の皆様には骨子の部分は以前にお話ししているかと思いますので、簡単にご報告させていただきたいと思います。その意味では、1ページ目といいますか、最終案の下のページ番号で1と書いてありますところからごらんいただきたいと思います。
 「はじめに」というところでございます。私どももこの計画をつくる際に、これはどなたが読んでくださるだろうと。バングラデシュでもあるということで、特に「はじめに」のところは読んでいただけるかもしれないけれども、もしかしたら、ほかは読んでくださらないかもしれない。ここに本当にアブストラクトをきちんと入れよういうことで、これをつくりました。これまたこのまま英語にされることになっているわけですが、そういう意味で、まずバングラデシュの現状をどういうふうに見ているかということを先に書きました。といいますのは、最貧国としての側面のみならず、成長を続けているという側面もあるということを重視したかったからであります。過去、約10年にわたって5%以上の経済成長を続けている。しかし、LDCである。さっき私非常にショックだったのですが、ラオスより、1人当たり所得がまだ低いということでございまして、社会指標も改善はします。いい方向にいっているけれども、水準は低いということです。したがって、私どもも両面作戦的なものが必要であろう。成長を持続させる政策、プラス、低い水準を上げる政策と両面必要だろう。そういうことでございまして、援助の方針といたしましても、成長と社会開発プラス人間の安全保障ということを強調しております。
 また、その両者を支えるものとして、ガバナンスを重視しているというのがバングラデシュの国別援助計画の特徴になるかと思います。この点につきましては、前回、中間報告のときに議論、大きなイシューになったかと思いますが、このガバナンスは本来であれば、タッチなインシューであるわけですけれども、現在のところ、バングラデシュ政府自身もガバナンス改善の必要を認識し、それから他ドナーもそれを強調しているということから、このガバナンスも、他ドナー、それからバングラデシュ政府と協力して改善していこうということが全体の方針になっております。
 1枚戻っていただきますと、目次になりますけれども、この「はじめに」が要約になってございまして、1「バングラデシュと日本」というところが日本にとってのバングラデシュの位置づけ、バングラデシュ人の方から見れば、日本人がバングラデシュをどう見ているかというところを理解していただくためのものになっております。2が「バングラデシュの開発を巡る状況」でございますけれども、政治、経済、社会状況、それからこれまでの援助の状況でございます。わが国も含めまして、これまでの開発の状況といいますか、バングラデシュ、それから他ドナー、それからNGOの援助の状況が書いてございまして、それらを踏まえまして、3番の「援助方針」を立てていこうということでございます。具体的に基本方針といたしましては「バングラデシュの自主性・自助努力の支援」、これはバングラデシュ自身が貧困削減計画を立てておりますので、それの尊重ということがこの象徴的なことになるかと思います。 (ロ) の「開発パートナーシップの推進」というところは、インドよりもう少し踏み込むことができているところになるかと思いますけれども、他ドナーとの強調でございます。 (ハ) として「ジェンダーと環境への配慮」。そして「重点目標・セクター」ということになってまいります。
 時間の関係もございますので、前回いただいた宿題というのを強調する形でお話しさせていただきたいと思います。本日、大臣のお話の中にもありましたけれども、ラオス同様、総花的ではないのか。選択と集中をどうするのかという課題をいただきました。前回はまずバングラデシュにおいて日本はバイラテラルで最大のドナーである。そして今まで多方面にわたってコミットしてきたので、なかなか急には引けないのだと。セクターの中で選択と集中をするように試みているというお答えをいたしましたが、我々もそれからもう少し踏み込めないのかということで議論してまいりました。実際にここから分野を落としていく。あるいはどこかから手を引いていくとしたら、どうやれるのかということについて、正直申しまして、これはこの最終案にも全く書かれておりません。ですけれども、そこで大体こういう方向かというふうに見えてきたものがございます。それは援助協調です。といいますのは、やはり無断で引きますと、何だ、あの国はということになります。私、2000年、2001年の、余りパートナーシップが進んでいないときにバングラデシュにおりましたけれども、そういうときにドナー間の会議に出て、私のような者が出る会議ですから、そんなに大きなものではなかったわけですけれども、そうしますと、例えば日本は何でそんなにインフラをやっているんだ、不人気じゃないかといったような意見を欧州に近いようなところからされることもありましたけれども、どんどん話を詰めていきますと、インフラはやはり必要だと思っているんだ、誰かがやらなければいけないと思っているけれども、自分たちはやれない、あるいはやりたくないというときに、必要がないという論理にすり替えられてしまうということがございます。これはやはり援助協調がなかった世界だからこそ、他国の悪口を言えるということになっているかと思います。
 今後、もし選択と集中でバングラデシュにおいて取り組んでいくとしたら、まずはやっていることが本当に必要か。先程伊藤先生からも、される側から見る必要があるという話がありましたけれども、ここの部分はまず現地のPRSPをきちんとプロセスを踏んでつくっていく中で確保する。その上で必要なものは、今度は誰がやるかという議論になるわけで、その中で比較優位という話になりますので、比較優位でしたら、自分の優位だけではなくて、他人の優位も見なければいけないわけで、他ドナーの動向ということが大事になります。他ドナーの誰かがきちんとカバーしてくれるのか。誰かがカバーしてくれるのであれば、そこから引いてもいいかもしれないという議論になるので、引くにしても、援助協調がなければ引けないというのが私どもの今のところの考えであります。
 したがって、実は今回は、実際、援助協調がどんどん進んでいる段階ですので、今の段階で選択と集中が非常に大きく見える形ではなされていないわけですけれども、これは大きな課題として持ちつつ、援助協調を進めていくということを考えています。
 また、実際に、どこかのセクターから完全に手を引くというのがいいのかどうか。そうしますと、その次に参入するときに非常に大きなコストになるわけですし、あるいはそれを担当しているドナーが何をやっているか見えなくなる。批判、モニターもしにくくなるというような問題もございますので、引くにしても、全部引いていいのかとか、いろんな引くための戦略という議論をしなければいけないわけで、そういうことがございまして、正直申しまして、これはここの計画に書き込めるまでではない。ここ3年、4年でコミットできるまでではないということで、今回、こういったような計画になってございますけれども、一種、実験上として援助協調を進める中でバングラデシュを考えていかなければいけないと考えています。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。先程おっしゃったように、山形さんにはここに4回出てきていただきまして、いよいよファイナル・ファイナル、それほど大きな議論があっては困るのでありますけれども、一、二、と言っても、メンバーがいなくなってしまいましたが、浅沼委員、よろしくお願いします。
(浅沼委員) 私もこのタスクフォースの一員に加えていただきましたので、アピールです。
 第1点は、長い期間で見てみると、バングラデシュというのは、ディベロプメント・コミュニティの援助が非常に効果的だったという気がします。効率的かどうかは別としまして、大変効果的なところで、特にその効果がどこにあらわれているかというと、一つは乾期の稲作を飛躍的に増大させた。やっぱりグリーン・レボリューションが乾期については成功して、それが今までの成長の下支えをしている、これは非常に大きいです。同時に、農村地帯が非常にいいのは、やはりインフラ面でも特に道路の点で相当の援助が行われてきて、これが効果を持っている。特にチッタゴンから、ダッカから、それから西北に通ずるところの道路、橋梁、これが相当効果を持っているというので、効果の上がった国だと思います。それが第1点です。
 第2点は、しかしながら、ここにも書かれてあるように、もう今までのパターンの農業部門の成長がそろそろ先が見えてきた。今後のODAの活動の中で農業の商品の多様化、商品化、商業化、これは輸出も含めて、そういうのを目指して、根本から少し努力をしないと、失速の可能性があるだろうと思います。特に農業分野で失速する。そうすると、今までの非常にプロプアなグロースパターンというのが持続しないことになる。そのアピールが一つです。ですから、これを実行に移すときに、その辺を十分に考慮してやっていただきたい。
 それからもう一つの点は、この書かれた中で、ガバナンスの問題がバングラデシュの抱える課題として出てき、それから同時に日本のODAの重点として出てくるわけです。しかしながら、ほとんどの問題というのは、もう20年、25年にわたって、特にセクターレベルでやろうとしてきたことで、みんなディベロプメント・コミュニティが一生懸命になってやろうとしてきたということで、まだできていないというところです。手のついていないところもあります。例えば電力セクターに関しては一生懸命にやってきたけれども、できてなくて、一時的には世界銀行は、それならば、といって撤退をしたりしています。それから鉄道セクターというのは、ほとんど手がついていない。そういう状況にあるわけですよ。そこで、評価をするときに、ガバナンスを重点にしましたけれども、これは長い期間とあるリスクを容認しなければできないことだという認識を当初から共有していただいて、やったけれども、できないじゃないかというような評価を、短期間のうちにいただかないようにすることが必要だと思います。これはどうしてもやらなければいけない。だけど、本当のことを言うと、本当に長丁場の問題ですし、同時に後退するようなリスクも多々含んでいるという認識が必要だと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。青山さん、どうぞ。
(青山委員) ご報告ありがとうございます。内容的に本当に包括的で、全て揃っているという感じで、特に内容的にどうこうということではございませんけれども、表現系というか、書き方でちょっとついつい疑問を持ってしまうようなところがあったので、その辺は多分表現だけ直していただければいいと思うので、少しコメントさせていただきます。
 まず政治のところで、2大政党だからいけないというような書き方がちょっとしてありますが、別に1党独裁よりもいいはずなので、何かそういう書き方をすると、何で2大政党はいけないんだというような気がするので、その辺のところは余り疑問を持たないような書き方にしてもらうといいのかなということが1点。
 それからNGOの問題で、NGOとの連携が課題であるというような書き方がしてあったと思いますが、バングラデシュの場合、やはり非常に大きなNGOもあって、ほとんどデュアルシステムというか、NGOシステムがもう一つの政府みたいなところもあるのではないかと思うので、そのところまで触れるのかどうかなのか、どの程度、NGOのことについてここにかき込むのか、あるいはどこかで連携して、もうNGOにコントラクトしちゃうことまで考えるのかというのは、ちょっとあるといいのかなと思いました。
 それから先ほどの政党にも関連して、ガバナンスのところに、公務員制度改革と入っていますけれども、それは本当に日本のODAで、できるのかというのが正直な気持ちで、やはり一応、日本の国別なので、重点課題の中に日本がやることとして入れてしまっていいのだろうかというのは、ちょっと疑問に思いました。
 それから観光が入っていましたけれども、余りバングラデシュの観光資源というのは本当に勉強不足で知らないものですから、もし観光ということを触れられるなら、例えばこんなものがあるというようなことが書いてあると、説得力を増すのではないかと思いました。
 後は、社会開発と人間安全保障のところの表現で、何か保健をすることによって人間の安全保障を推進させるというような、そういう表現がしてあったように思いますけれども、例えば保健は人間の安全保障の本当にコアになる部分なので、山形先生と私の見解の相違かもしれませんけれども、この書き方でいいのかなと。もう一度、この社会開発と人間の安全保障のところの文章の表現方法ですけれども、ちょっとお考えいただけないかなと思いました。
 また、母子保健と書いてありますが、たしか日本のプロジェクトもリプロダクトビュースか何かになっていたと思いますが、これはどちらでもいいんですけれども、通りのいいほうで、いいと思いますが、少しその辺も、日本のやっていることも踏まえてみたいな感じで考えていただけるといいのではないかと思いました。
 本当に細かいことで申しわけありませんが、内容的に異存があるというわけではなくて、表現系をもう少しわかりやすくしていただければいいなということです。
(渡辺議長代理) 伊藤さん、どうぞ。
(伊藤委員) 3点あります。別紙の資料に「対バングラデシュ援助における重点目標・セクター」、「経済成長」という中に「チッタゴン地域開発 (経済特区やその周辺を含む) の3点に特に留意する」というくだりがありますね。本文のほうにはチッタゴンの急流地帯のことが書いてあるのですが、何故このチッタゴン地域開発というのに特に重点を置こうとされているのか。それは一つ、チッタゴン丘陵地帯というのも頭のどこかの片隅にあって、その場合に少数民族、それからバングラ政府とのかなりセンシティブな関係がございますよね。そういったときに日本のODAがどういう形でそこに支援していくのかという質問が一つ。
 それから二つ目は、その次の14ページの下のほうの「農業・農村開発」ということで、下から4行目の「農村部の雇用創出に資する支援」という表現がありますけれども、具体的に農村部の雇用創出という意味、私ども、農村雇用に支援するという意味かなという想像はしていますけれども、農村部の雇用創出に支援する支援の内容を具体的にお考えであれば、お教えいただきたい。
 最後に、その次の行に「目に見える成果を上げる」と謳っていらっしゃいますが、目に見えるというのをどのように評価、そして確保するのか、その辺の表現がちょっとあってもいいのかと思いました。
 全体的には私はこの報告書を支持したいと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。山形さんのほうでリスポンスがあれば。
(山形主査) 本当に密度のコメントとご質問をありがとうございました。
 順番に、浅沼先生の農業の話は本当にそのとおりだと思います。また、そのガバナンスの部分、青山先生からのご指摘にもありましたけれども、今回、ある意味、腹をくくりまして、日本の援助だけでできるものを目標にするのではなくて、バングラデシュの援助総体としての目標にしているわけです。それで実際、効果を図るというプロセスになったときに、ガバナンスがまだ改善されていない、例えばトランスペアレンシー・インターナショナルの指標でバングラデシュはビリなんですけれども、例えばこういうはっきりした数値目標を使う場合に、これが主幹指標でして、そんなに、そんなにすぐ変わりそうもない指標だということでございまして、例えばハイチと並んでビリなんですけれども、私自身はかなり改善していると思うんですが、なかなか指標のほうが変わってくれないというようなことがございまして、成果指標を取れるもので厳密にやった場合に成果が出ないと、イコール、援助がだめだったという評価は確かにしていただきたくない。しかし、それがゆえに、これを重点から落とすというのは、それは話が逆だろうということだと思います。
 青山先生のご指摘は大体ごもっともですが、NGO連携のことにつきましても、ある意味でバングラデシュでは明らか過ぎて触れていないような部分があります。しかし、書きぶりは工夫すべきだろうと思います。ちょっとそれは考えてみたいと思います。
 それから、ガバナンスの公務員改革のところですけれども、これについては、公務員の研修所の支援等をすでに始めているということでございます。そういう意味で物はあるのだということですけれども、もちろんそれはひとり、日本の援助だけでできるということで想定されているのではないわけなんですが、趣旨は先ほど述べましたとおりです。
 観光につきましても、ユネスコの世界遺産等がありますが、例示を出すようにしたいと思います。
 保健の記述のところについては、後で教えていただきたいと思います。
 伊藤先生のチッタゴン丘陵問題ですけれども、これはチッタゴン丘陵問題を意識してここにチッタゴン地域開発を入れているということです。当然、民族対立的な問題があるわけですけれども、まずバングラデシュ政府の公式な態度としてこの問題に前向きに対処する方針が出ているわけです。ただ、それで政党がかわる、イスラム系のところが出てくるときには少し実際上は絞られてきたりする。そういうところに対してUNDPも支援しておりますし、この対策が必要だという意味ではバングラデシュ政府もドナーの間でも認識は一致している。日本も一緒にやっていこうということです。
 農村部の雇用につきましては、農業も含め、一般的なことだったと認識しておりますけれども、また、目に見える成果というのは、指標としてできるだけ出していこうということだと思います。
(渡辺議長代理) ありがとうございました。報告全体については高い評価が得られたようであります。私も大変よく書かれている報告書の一つであると思います。ガバナンスのところですけれども、ここは確かにむずかしいと言えばむずかしい。ガバナンス指標においてはいつもビリを堅持しているというお国であることは私も知っているのですが、最後の4行に書いてあることをも少しパラフレーズしていったらどうかという感じがいたします。ガバナンス改善に日本が本格的に係わるというわけにはなかなかいかない。いや、どうしても改善しないのだという絶望を胸に秘めながらやるかという書きぶりにするか、これは半分冗談で言っていますが、やはりそれに特に力を持つ、ノウハウを持つものと協調してやっていくというスタイル。17ページの最後の4行にそう書いてあるわけですけれども、そこをもう少しパラフレーズする書き方、浅沼先生、そんなのはどうでしょうか。
(浅沼委員) 私はこれを実施する際のアピールとして言ったので、これの修文をプロポーズしているわけではございません。私もチームの一員ですから。
(渡辺議長代理) そうですね。それでは、いまいろいろご意見があったところで、山形主査らの合理的と思われるところは組み込んでいただいて、ご提出いただいて、さらに私と事務局等との往復が若干あるとすればあります。それを最終文に持っていきたいと思います。そういう前提でこれを最終案としてお認めいただくことにご異論ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
(渡辺議長代理) ありがとうございました。
 最後に事務局のほうからご報告がございますか。
(杉田審議官) 私からお礼を申し上げたいと思います。絵所先生、山形先生、国別援助計画を取りまとめていただきましてありがとうございました。それから東京、それから現地のタスクフォースでもがんばっていただいたということでお礼を申し上げたいと思います。それから委員の皆様方、先程渡辺議長代理からございましたとおり、本会議としての原則的なご了承をいただいたということで、これも感謝いたします。この援助計画につきましては、政府の計画ということで、対外経済協力関係閣僚会議での決定を受けるために手続をするということ、これは外務省が中心になって進めていくということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから原先生、これからもまたよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
(渡辺議長代理) 次回についてはまた改めて調整してくださるということでよろしいでしょうか。それは改めてまた皆様のご都合を聞きながら、事務局のほうから連絡が参ると思いますので、よろしくお願いします。
 今日は長時間本当にありがとうございました。
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