1.日時 平成17年6月6日(月)9:00~11:47 2.場所 外務省南庁舎8階 国際会議室893号室 3 出席者 町村外務大臣、ODA総合戦略会議委員が出席(千野、米山委員は欠席)。外務省(事務局)より佐藤経済協力局長他が出席。関係府省、JICA(国際協力機構)及びJBIC(国際協力銀行)がオブザーバー参加。 4.議事の経過 (1)対アフリカ支援及び来年度以降のODA予算
対アフリカ支援の重要性及びODAの拡大に向けた外務省の取組について、町村大臣より挨拶があった。これを受け、今後の対アフリカ支援のあり方(財政支援への参画の是非を含む)を中心として、委員の間で種々の意見交換が行われた。 (2)国別援助計画
(イ)対ガーナ国別援助計画について、大野 泉(おおの・いずみ)主査(政策大学院大学教授)より作業方針の報告が行われた。
(ロ)対エチオピア国別援助計画について、高橋 基樹(たかはし・もとき)主査(神戸大学大学院教授)より作業方針の報告が行われた。
(ハ)対バングラデシュ国別援助計画について、山形 辰史(やまがた・たつふみ)主査(アジア研究所開発スクール教授)より中間報告が行われた。
(3)平成16年度ODA第三者評価について、牟田 博光(むた・ひろみつ)委員より報告があった。
(4)円借款供与国の経済・財政状況について、事務局からの報告があった(議事進行の都合上、資料の配付をもって報告に代えることとなった)。
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(渡辺議長代理) | おはようございます。暑い中、ご参集いただきましてありがとうございます。 ただいまから「ODA総合戦略会議」第22回会合を開催いたします。 本日の議題は盛りだくさんです。4点あります。第1に「対アフリカ支援及び来年度以降のODA予算」についての議論。第2に「国別援助計画」、第3に「平成16年度ODA第三者評価」、そして第4に「円借款供与国の経済・財政状況」です。 第1の「対アフリカ支援及び来年度以降のODA予算」についてですが、これは前回の会合の際に申し合わせたことですが、今後この戦略会議の場では、ODAをめぐる内外の動きを踏まえ、折々の重要な問題について随時意見を交換することになっています。前回、どのようなテーマがいいかを皆様に問い、その後、ご案があったら、議長代理もしくは事務局に意見をお寄せいただきたいと申し上げておいたのですが、委員の多くの先生方から、やはり対アフリカ支援についての議論をすべきだという要望が最も多かったので、今回は対アフリカ支援を取り上げることにしました。 アフリカ開発問題の焦点に当たりますのがグレンイーグルスサミットです。これを1か月後に控えているので、アフリカ開発問題について議論しておくことは大変時宜にかなったものだと私も思います。 このアフリカ開発問題を考えるに際しては、ODAの量が重要になってきます。本日は、後ほど町村大臣がお見えになる予定になっていますので、大臣のご出席を得まして、アフリカ支援並びにODAの予算についても議論したいと考えております。 第2は国別援助計画で、これも本日は各主査より報告があります。 最初に対ガーナ国別援助計画についてですが、これは大野泉主査に既にお願いし、中間報告を進めているところです。本日は、この中間報告について、大野先生よりご報告をいただきます。 次の対エチオピア国別援助計画につきましては、高橋基樹教授にお願いしたわけですが、快く引き受けていただきました。その作業方針について、本日は報告をいただきます。 最後の対バングラデシュ国別援助計画については山形辰史主査から、これまでの調査研究に基づいた中間報告を行っていただくことになっております。 3番目は、「平成16年度ODA第三者評価」です。牟田博光委員より、平成16年度に行われたODA第三者評価についての報告をいただきます。 4番目は、「円借款供与国の経済・財政状況」です。平成16年度に円借款を供与した国の経済・財政状況について、事務局から簡単な報告をいただくことになっております。 本日は、町村大臣にご出席いただいて、対アフリカ支援及び来年度以降のODA予算についてのご挨拶をいただくことになっているのですが、大臣の日程の都合上、到着が10時20分頃になると伺っております。そのようなわけで、議題の順序を組みかえ、まず、対ガーナ国別援助計画並びに対エチオピア国別援助計画について議論をしていただきます。10時少し前から、対アフリカ支援及び来年度の以降のODA予算の議論に移り、その議論をしている最中に町村大臣が入ってこられるので、そこで議論できることになると思います。 本日はそのような手順で進めてまいりたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。 それでは、第1「対ガーナ国別援助計画」につきまして、大野泉主査より中間報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 |
(大野主査) | 昨年9月に、こちらの戦略会議にいらっしゃる荒木委員をメンバーに含む形で東京タスクフォースを設置いたしまして、ほぼ予定どおりに作業は進んでおります。東京タスクフォースでの会合、現地との3回に及ぶテレビ会議、現地協議も2回行っておりまして、現地指導によるセクター調査、それを踏まえた重点支援課題の洗い出し、援助の選択と集中のあり方、改定案の文書化を進めてきております。 本日報告させていただきますのは、現時点での改定案のポイントですが、配付資料としては3点あります。第1点目は、「改定骨子(案)」。次に、これは本文の別紙になりますが、「重点開発課題重点事項(案)」、それから最後のページに「対ガーナ国別援助計画協力図(案)」がありますので、お確かめください。 これらの内容は、実は、まさに先週、国別開発協力二課長とともに現地で協議をしてきました。ワークショップ等も含めまして、現地政府、ドナーとも協議、支持を得ています。 まず、骨子の案に沿って説明させていただきます。 「1.対ガーナ援助の理念と目的」です。なぜアフリカに、なぜガーナに支援をするのかということですが、4つのポイントが書いてあります。最初の2つはアフリカ開発についてです。 アフリカ開発を考えるときには、直接的な経済関係が強いアジアとは異なる視点で臨むべきだと思っております。つまり、アフリカ開発というのは、国際社会が共有する重要な課題として、日本としては、国際社会全体の平和と発展に貢献していくということで経済力に合った支援をしていく。それは、ODA大綱に基づき、人間の安全保障や貧困削減、持続的な成長を考えてやっていくべきだというのが基本スタンスです。 特に、今アフリカにおきましては、NEPAD(New Partnership for Africa's Development)、開発のための新しいパートナーシップということで、アフリカ諸国自身が自分たちで自助努力をしようという姿勢を示している今、日本として、東アジアにおけるいろいろな開発・援助の経験も生かした形で、貢献していく重要な責務があると考えております。 では、なぜガーナを支援していくのかということですけれども、ガーナは、混迷する西アフリカにおきまして、93年以降は民政移管し、2000年以降も民主的な形で政権交代を着実に遂げており、民主主義を基調にしながら持続的な経済開発を進めている国です。また、外交的にも、NEPAD、アフリカ連合、ECOWASといった地域的なイニシアチブにおいても重要な役目を果たしております。 したがいまして、ガーナの開発が成功するかどうかは、アフリカにおいて安定的に民主化を進め、経済成長を持続していきながら貧困削減を達成していく。そして持続的な経済成長をしていくという意味で、アフリカ開発の試金石になりうるのではないかと思います。そうした意味で、まだまだ課題を抱えているガーナに対して日本が支援していくことの重要性があると思います。 私たちは、アフリカ支援をするときには幾つかの国に集中して資源を投入して、開発の成功モデルをつくることが重要だと考えます。ガーナはその成功モデルになり得る国ではないかと思います。それは、2.に書いてあります「我が国の対ガーナ支援の中心的なコンセプト」、これはTICADプロセスにおいて表明されている経済成長を通じた貧困削減、人間中心の開発、平和の定着の3つの柱のそれぞれに対しまして、ガーナを支援していく投入の価値があるのではないかと考えます。 2ページ目の「3. ガーナにおける開発課題」ですが、ガーナにおいてもまだまだいろいろな開発課題があります。一つは、やはり経済・産業構造上の課題で、金、カカオ、木材といった一次産品への輸出の依存が続いていることです。ガーナという国は、まだ輸入・援助依存体質から脱却できておらず、構造調整の優等生という評はありますけれども、それを民間主導の経済成長に持っていくためにも、国内産業の振興、雇用創出、基幹産業である農業の振興、その付加価値を高めていくような開発、それから、非農業部門での雇用創出による農村振興が非常に重要になってきます。 それから、貧困状況は全般的には改善してきています。ただ、地域的な格差、都市と農村、北部と南部の問題を含めまして、格差是正が課題になっており、これに対する対処も必要です。 また、行政能力・制度面の課題もあります。開発戦略というのは、ガーナ政府はオーナーシップを持って作っていますが、それを予算化し、実際に政策を調整しながら実施していくといった意味で、中央レベル、それからまさに今、地方分権化も進んでおりまして、地方レベルでの調整も必要で、そういった意味での行政能力の向上がいろいろな段階で必要です。 4.にまいりますが、そうしたことを踏まえて、「我が国の対ガーナ支援の方向性」を考えてみたいと思います。現行の国別援助計画は2000年につくられたものですけれども、これに対しては幾つかの大きな点で、ガーナをめぐる開発援助環境が変化しています。それに対して私たちは真摯に対応し、取り組んでいく必要があります。 1点目の大きなところは、拡大HIPCイニシアチブの適用に伴いまして、当面は無償資金協力と技術協力を中心とした支援を実施していく形で再編成する必要があるということです。ただし、現在、政府レベルで検討中のアフリカ開発銀行との連携による円借款の供与の動きもありますので、こういった動きにつきましては、非常に注目しながら考えていきたいと思っております。 それから、ガーナ政府が主体的に作り、開発パートナー、ドナーが共通文書として取り上げているガーナの貧困削減戦略文書の優先課題、優先順位に基づいた形で日本も支援していく必要があります。 3ページに参りますが、ガーナにおける援助協調の進展は目覚ましいものがありまして、過去の援助の仕方の反省にも基づきまして、複数の援助が、手続きがバラバラに行われている状況を、ドナーが手続きを簡素化していく方向で取組みが進んでいます。 それから、主要ドナーが参加する一般財政支援の形で、政府の財政、予算制度そのものに直接財政を投入し、それにより開発の優先分野、予算配分を含めた形で議論していくような援助モダリティの変化、また、セクターレベルでも援助協調が非常に進んでいる。そういう中で、私たちも、援助のあり方、ツールを引き続き改善していく必要があるということです。 そうしたことを踏まえて、では、私たちはどうしたところを選んで支援していくかということですが、それが我が国の対ガーナ支援における重点対象課題になります。 私たちは、ガーナ支援の基本目標として、ガーナ政府自らの開発戦略が目指している経済成長を通じた貧困削減の達成を掲げたいと考えております。その中で、日本の比較優位ということも考えた上で、2つの課題を中心的柱として選びたいと思います。一つは、地方・農村部の活性化、もう一つは産業育成です。 具体的には、こちらの協力イメージ図をご参考にしていただきたいと思いますが、私たちとしましては、地方・農村の活性化、産業育成といった課題に従って、戦略的なアプローチのもとに、例えば地方・農村の活性化では農業振興というプログラム、貧困地域における保健・医療、教育を中心とした基礎生活の改善、これは、農村部の所得向上には不可欠なものですけれども、そうしたプログラムごとに戦略的に技術協力、無償資金協力等を組み合わせた形で支援していくことを考えております。 それから、産業育成におきましても、地場産業の振興という戦略プログラム、産業人材育成、これは地場産業の振興をそのまま支えるための産業人材の育成ですけれども、そうしたことに対して投入を組み合わせた形で支援していきたいと考えております。 地方・農村の活性化につきましては、やはり貧困層が集中しているような地域、北部地域も含めた形で、人間の安全保障という観点も含めて、農村全体の自立を支援するために、社会セクターのみならず、農業の振興といったことを考えていきたい。 産業につきましては、やはりポテンシャルがあるところからになりますけれども、その場合も、農業を支援する工業、製造業の育成ということで、例えば農産品の加工、あるいは、農業の生産に資するための簡単な農業用機械や道具、部品等の製造、そうしたことにつきまして、既に産業集積等があるところもありますので、集中的に支援をしていきたいと考えております。 これらの2つの課題を支援するために、選択的に、中央レベル・地方レベルでの行政能力の向上、制度整備も行っていくということです。インフラ整備等も、選択的にこうした2つの課題に貢献するものを念頭に置きながら支援していきたいと考えております。 このように、私たちとしましては、今まで、セクター別の形で、重点セクターという形で支援を行ってきたのですけれども、セクター別から課題達成型にいろいろな投入を再編成し直します。まず、日本側で、ガーナに合った課題を選び、その課題に対して比較優位をふまえて日本は何ができるかを選択し、その中で日本の投入を組み合わせた形で支援していくということで、課題別の目標達成型で支援を組んでいきたいと思っております。 最後に、こうした国別援助計画を実施する上での留意点ですが、第1点は、やはり日本側も努力すること。ただ、ガーナに対しても、現行の投入規模を維持するためには最低限の自助努力を求めていきたいということです。第2点は、予測性の向上、評価と事業形成のリンク強化ということで、これは、過去の私たちの援助の反省として、日本の援助が、スキーム別、個別プロジェクトの形成・採択・実施の議論だけに集中し、中長期的に日本がガーナにどういった意図で、どういった方向性を持って取組みを支援していくのか、そうしたメッセージが不足していたという反省があります。ですから、中期的な3~5年間の観点から戦略的に協力プログラムごとに投入を組み合わせ、例えばJOCVとか草の根無償、国際機関経由の支援などもなるべく入れた形で、ローリングする形でプログラムをつくっていきたい、なるべく指標を設けて、成果主義を念頭におきたいところです。 3点目ですけれども、実施手法の改善、援助協調への能動的な関与をやっていくこと。これは過去の援助が単発のプロジェクトに終わりがちで、せっかくいい成果も点から面への拡大が、どちらかというと弱かったことがあることは認識しております。したがって、日本の強みである現場の経験、そうしたことを上位の政策とか制度に反映していくためにも、私たちとしては、そうした面的拡大ができるような対話の仕方、プロジェクトのデザイン、場合によっては、それを可能にする財政支援型のツール開発も検討したいと思っております。 これらを実施するためには、やはり政策対話と強化が必要で、ガーナ政府の各部局、横断的なセクターの政策、予算とのリンクも加えた上で政策対話を強化していきたいと考えております。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。包括的で一貫性のある計画ができつつあるように思われます。 この点につきまして、各委員からご意見、ご質問等を含めて活発な議論をしていただきたい。 |
(青山委員) | 包括的なご発表、ありがとうございます。とくに社会セクターに重点が置かれていると感じられ、保健をやっている者としてたいへん嬉しく思いました。 いくつか教えていただきたい点がございます。いろいろな分野において、セクターワイドでの取り組みがあると思いますが、中央レベルのセクターワイドでの取組みと、地域レベルの開発とがどのように繋がるのか、そこにギャップがあるように思います。どのように繋げていくことを考えておられるのでしょうか。 次に、地域の開発を考える時に、どのくらい地方分権化されているかということが重要で、中央にすべての権限があるのなら、地域で何かしようとしてもあまり動かないのではないかと懸念されます。地域開発との関連で、地方のキャパシティビルディングや、地方への権限委譲の状況、そしてODAとして地方政府をどのように支援していくのか、教えていただきたいと思います。 それから、地域の基礎生活改善のところに、プライマリヘルスケアと感染症対策が含まれていたと思います。これは、パイロット・ケースとして、1-2ヶ所で実施するということを想定されているのでしょうか。ODAですべてをやるわけにはいきませんが、地域を限定するとODAとしてのインパクトがあまり出ない可能性もあり、NGOと連携して実施した方がよいこともあるかもしれません。ODAとしては、どのようなやり方を想定しておられるのでしょうか。 また、地域を対象とする一方で、たとえば、感染症対策では、逆に広域的に西アフリカ全体を対象としてガーナを拠点に支援するというようなやり方も、以前あったように思います。このように、西アフリカ支援の拠点としてのガーナの役割については、どのようにお考えでしょうか。 こういった点について、教えていただければありがたいです。 |
(渡辺議長代理) | それでは、砂川さん、お願いします。 |
(砂川委員) | 青山委員の質問とも関連するかと思いますが、重点対象課題として、産業育成と地方・農村の活性化を挙げられ、そうだろうと思いますけれども、こういうことを実際にやるとして、どの程度のことが達成できるのかという目標をもう少し明らかにしていただきたいと思います。 産業といっても、農業を支援する程度の産業、あるいは、産業集積もある程度起こっているという指摘がありましたけれども、産業育成をして、どの程度のことを目標としてやっていくのかということが、わかりにくい。 もう一つは、包括的なアプローチをやっていくことになりますと、アフリカで行われております財政支援型の支援とどういう関連を持つのだろうか。ガーナでは、財政支援ということに触れられておられなかったと思いますけれども、その点との関連はどうなのか。 更に1点。包括という観点から見ますと、ガーナは、いい国で、優等生であるにもかかわらず債務問題があって、いわゆるHIPCsであるので円借款を出せないことになっている。しかし、成長ということから考えると、円借款を使う余地があるのではないかと思います。優等生であるがゆえに、無償や技術協力に加えて円借款を有効に利用できる能力があると思います。この点をもう少し具体的に示すことが必要ではないかと思います。行き着くところは、結局、円癪を含めて援助というものに、これからもどの程度依存していかなければならないのかという量的な目標面が欲しい。 一方、質的な面では、援助をどのようにやっていったらいいのか。やり方も大事だろうと思います。 |
(渡辺議長代理) | では、草野さん、引き続いてどうぞ。 |
(草野委員) | 私は5月の連休に初めて、ガーナを含めたアフリカへ行きました。本当に遠いなと思いましたけれども、イメージが変わりました。失礼な言い方ですが、案外普通の国だという印象を持ちました。ただ、ガーナとケニアはアフリカでも優等生に属するのだろうと思います。その意味では、53か国の中の例外的なこの2つの国を見たということでは、アフリカを総括することはできないと思います。 2点伺わせていただきます。一つは、先ほど大野さんが、これまではセクター別でやってきたので、どちらかというと、大きな目標が必ずしも達成できたかどうかよくわからないというお話がありました。そして、今度は、課題達成型にするのだと。こういうお話ですけれども、これまでのセクター別のやり方でどんな問題点があったのか、具体的に教えていただきたいと思います。確かに、大野さんのご説明では、環境は大きく変わったというご説明がありましたけれども、日本の援助の今までのやり方で、どういうところがセクター別の支援で問題だったのか、もう少し具体例があると思うので教えていただきたいと思います。 2番目は、実施の部分にかかわる話で、中間報告の段階では出てこないのかもしれませんけれども、ガーナは西アフリカの拠点で、私は東アフリカのケニアも行ったのですが、少なくとも日本から直接ガーナに援助するよりも、東アフリカのケニアに日本がいろいろ援助してきた、そういうノウハウを西アフリカに提供するほうが、現在の財政的な事情とかそういうことを考えると、素人ながら、よほど効果的なのかなとも思います。そういう意味で、アフリカの中での地域間連携についてどのようにお考えになっているのかということをお聞きしたいと思います。 今回、アフリカは遠いということと、日本から人を送るのはお金がかかるなと思いました。例えば、専門家が足りないのではないかとか、外務省の職員が足りないとか、コストの面でもものすごく大変だと改めて感じましたので、できるだけ、今ある人材の中でどうやってそれを有効活用したらいいのかという観点から、地域間の連携についてどう考えるかをお聞きしたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | 磯田さん、どうぞ。 |
(磯田委員) | 全体的な枠組みを拝見して、よく整理されているという印象を持ち、また、使われている幾つかの重点の課題なり用語も魅力的な感じに書かれていると思いますが、具体的に、例えば地方・農村部の活性化に関しても、農村全体の自立発展のために相互に関連づけという大きなところは何となくわかるとはいえ、実際にそれに向けてどういう道筋でやれるのかがいまひとつ見えない。一つずつにそういう印象がちょっとありまして、掲げている目標に関しては賛同するものの、金額も相対的に小さい中でどのように実現しようとするのか、そこの戦略をもう少しお聞かせいただくか、書き込んでいただきたいという印象を持ちました。 |
(渡辺議長代理) | 小島さん、どうぞ。 |
(小島委員) | 対アフリカ支援をこれから後のところで議論することになるわけですけれども、やはりガーナ支援も対アフリカ支援の大きな枠の中でどう位置付けていくのかが重要になってくると思います。 1点は、ガーナ周辺諸国への配慮をここでどう考えるのかということです。2点目は、今、草野委員から提起されたような、地域との連携、地域との協力、西アフリカ地域全体の協力の中でガーナ支援をどう位置付けていくのかということ。3点目は、ガーナ支援をすると、大野先生のお話では、ここで成功モデルをつくるとおっしゃられて、その成功モデルの中身としては、最初の理念の2つが中に込められているのだろうと思いますが、もう少し具体的に、こういった協力・援助をするとアフリカの支援全体にどういった波及的効果があるのか、そういった対アフリカ支援との関連でガーナ支援をどう位置付けるのか、ご意見をお伺いできればと思います。 |
(渡辺議長代理) | 伊藤さん、どうぞ。 |
(伊藤委員) | 別紙2ページ目の2-2の「ポテンシャルを活かした産業育成」の中の「戦略プログラム3:地場産業振興」の中に、「農工間のリンケージ強化に留意し、農産品加工や農・工業製品製造などを中心とした製造業振興への支援に重点的に取り組むとともに、裾野産業の育成についても重視する」とありますが、この地場産業という考え方は、地域にある程度の実績がある地場産業を振興するという発想なのでしょうか。これを読む限りはそれが感じられませんが。 もう一つは、「裾野産業の育成についても重視する」とありますが、どういった裾野産業をイメージされているのか、その点をお聞きしたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | 浅沼さん、お願いします。 |
(浅沼委員) | 資料1の2ページ、「ガーナにおける開発課題」のところで、一次産品への依存構造からの脱却ということがうたわれていますが、長期的に見ると、ガーナは第一次産品に依存しながら、その部門を軽視してきたという一つのいい例だと思います。今、ガーナが持っている、ココアセクター、金、木材、この3つの部門は正常に動いているのでしょうか。随分前から、例えば、ココア生産にあたっては、国家ココア委員会の改革を進めてきたわけですけれども、それも金と同じようにほとんど民営化されて、集荷とか中間材の販売にしても、その辺はうまくいっているのでしょうか。 |
(渡辺議長代理) | かなり核心に迫るようなコメント、質問等がございました。時間の制約もありますので、ひとまずここで質問を打ち切らせていただいて、大野先生から、答えられるところをお答えいただきたい。 |
(大野主査) | 貴重なお言葉をいただきまして、ありがとうございました。できる範囲で幾つか答えさせていただきたいと思います。 まず、社会セクター、特に保健についての支援アプローチですけれども、確かに、ガーナはセクター・ワイド・アプローチの先進国ということで、セクタープログラムのもとでコモンファンドができていまして、それを中心に保健セクターの支援が行われております。また、最近では、一般財政支援から予算配分する形でも保健セクターの支援が行われています。 主な関係機関は、ガーナの保健省、実施機関としてガーナ保健サービスですが、特にガーナ保健サービスは地域ネットワークを張っておりまして、そこを通じてコミュニティ向けの医療サービスが提供されています。さらに、ガーナ政府自身、そこから、より末端のコミュニティに近い形で医療サービスを提供する方法を、巡回医療を含めて考えようとしています。従って、セクタープログラムを通じた形でも、地域密着型の支援は一つの優先活動となっています。 ただし、ご指摘があったように、末端レベルでの保健行政の能力の問題はあります。また、地方分権化が90年代以降進んでおり、中央のガーナ保健サービスの地域の出先機関と、分権化された郡の行政府との役割分担・調整が必要になってきています。私たちとしましては、過去にやってきた支援経験の蓄積をもとに、他の投入等も加えまして、幾つか対象地域を選定した上で、末端のコミュニティ、地方行政と出先の機関、中央行政という各層においてきめ細やかな支援を実施していきたいと考えております。 それから、西アフリカの拠点ということで考えますと、野口研究所があります。そこは感染症対策において、ガーナのみならず西アフリカの拠点として医療サービス等を展開していますので、引き続き支援をしていくことを考えております。 それから、何人かの委員の方からご指摘がありました、地場産業、産業育成についてはどういったところを目標にするかですが、これはまさに核心に触れる問題で非常に難しいところがあります。ガーナの場合は、東アジアとは違って、直接投資がどんどん入ってくるところでもなく、国内市場も比較的狭いし、人件費も高いことから、貿易投資主導型による、いわゆる東アジア型の成長、産業育成をすぐに実現できることはないと思います。まだまだ、緑の革命等を含めて農業振興もしていかなければいけないところがあります。それから、今、農業生産においては、輸入した中古の機械や道具が使われていますが、それ自体をせめて現地で製造できるように、地場産業を振興していく必要があります。 農産品につきましては、輸出用のパイナップル、マンゴーなど、そういった意味での産品はありますが、ポストハーベストのロスが大きくロスをなくし、さらには、農産品加工を振興していくといった、本当に基本的なところから、着実に地場産業を振興していくことが中心になるかと思います。 それから、HIPsにつきましては、ガーナは昨年、コンプリーション・ポイントに到達しており、日本も含めて債務削減を実施しています。債務持続可能性につきましては、世界銀行やIMFが分析を担当していますが、新規の借款供与が可能になった場合には、その枠の中でどの程度、どういった支援ができるかを考えていく必要があると思います。その意味で、現在日本政府が検討中のアフリカ開発銀行との連携を視野に置いた円借款再開の可能性には非常に関心を持っております。実施すれば、同スキームにより民間セクター開発・インフラ支援などの可能性もありえるのではないか。 草野委員からありました、セクター別のアプローチの問題点ですが、これはガーナだけに限らないかもしれませんけれども、日本の過去の援助計画では、先方政府の開発計画の中でのプライオリティ等をふまえ、日本が一旦重点セクターと決めれば、重点セクターに合致する案件であれば支援してきたと思います。ただしアフリカの場合のように、日本の援助の投入量自体がそれほど大きくない地域・国は、単に重点セクターであるから支持するのではなくて、セクター間の有機的連携にも配慮し、例えば農村開発とか、ある地域の開発に対して集中的にリソースを投入し、目標達成型へと組み替えていかないとまとまった効果が上がらないということがあると思います。 ガーナの場合は、現行、30~40億円の規模ですので、私たちとしてどういう方向にまとまった形で投入を組み合わせていくのかを考えていく必要があります。それから、相手国政府との政策対話の中でも、このセクターは支援します、という対話だけでは、先方政府にも、日本が中長期的に何を目標にし、支援を行っていきたいと思っているのか、農業の振興なのか、地場産業の育成なのかが伝わりにくいと思います。地場産業育成でも経済インフラの支援は必要ですし、人材育成も必要です。ですから、過去の方式の援助計画では何を目標に日本は支援しようとしているのか、そうしたメッセージ性が弱かった。これはガーナ政府からも言われていることで、そうしたことを克服するためにも課題達成型という方式へと改善し、2つの重点課題の柱に組み直す方針です。それぞれの柱に対して選択的に、行政能力開発をするときでも、その課題の達成に資するような形で、投入を束ねていきます。例えば、農業省に対して政策策定も支援するし、予算管理も支援するし、現場での実施も支援するという形で組み合わせていきたいと考えております。 それから、対アフリカ支援の中でのガーナの位置付け、地域との連携等のかかわりですが、一つは、冒頭に申し上げましたように、ガーナは不安定な西アフリカの中で民主制度のもとで着実に経済運営をしています。加えて、西アフリカ地域の紛争等の解決についてもイニシアチブをとっています。そうした中で、ガーナ自体を安定させていくこと自体が重要ではないかと思います。 それから、日本の支援自体の地域間連携について、もしケニアへの支援において、ほかの地域の参考にできるような経験があれば、それはぜひ活用していくべきだと思います。アフリカ支援全体の中で、まず、どういった経験なら比較的有効に使えるかということを検討することが大事だと思います。 浅沼委員からご指摘があった、ココア、金等の部門がどのように動いているかということですけれども、ココアの生産自体は、近年は順調です。それは、過去に、数年前に政府がとった、例えば農薬をまくとか、害虫駆除の面で成果が出てきています。ただ、ココア価格は国際的な市況の影響を受けやすいことは事実ですし、それを加工していく形でのプロセシングのところではまだまだ遅れているところがあります。金につきましては、最近、アメリカ企業が投資していまして、比較的順調に伸びていると理解しております。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。技術的な議論から理念的な議論に至るまで、随分たくさんの議論が出されましたけれども、今日の議論を踏まえながら、さらに優れた援助計画策定の作業を進めていただければありがたいと思います。 小島さんの言うように、対アフリカ支援の中でガーナをどう位置付けるかという観点が対ガーナ国別連所計画で明らかになると、後のアフリカの国別ODA計画をつくる上で貢献するところが大きいと考えられますので、そのような意見もお加えいただければ大変ありがたいと思います。 |
(大野主査) | 1点回答するのを忘れておりました。財政支援の話につきましては、今、ガーナでは9か国が参加する形で一般財政支援が2003年から活発に展開しております。これを軸に、世界銀行、ほかに8つのドナーが協調していまして、日本はオブザーバー・ステータスを有し、政策的な議論には参加しています。 確かに、この一般財政支援が政策的な議論を行う一つの大きな枠組みになっており、幾つかのセクターでは、セクター・プログラムともリンクする形で展開しています。私たちとしては、政策制度の改善に現場のいろいろな経験を生かしていくことが重要だと思っていまして、セクターレベルのプールファンドに入るのがいいのか、あるいは、一般財政支援に入るのがいいのか、状況に応じてエントリー・ポイントを判断すべきと考えます。ただし日本として貢献できる経験・メッセージを持たないで入ることは意味がないと思います。そういった意味で、ガーナでは、特にセクターレベルで、保健、教育、農業等で現場の事業を通じてかなり蓄積が出てきていますので、どこをエントリーポイントとして入るのが一番いいのかを見極めた上で、新しいツールへの参画方法を考えていきたいと思っております。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。荒木さん、どうぞ。 |
(荒木委員) | 私は主査の大野さんをサポートできませんでしたが、テレビ会議で、現場とやりとりして、夜遅くまで2回ほど参加しました。現場の人たちも非常に情熱を感じていまして、やりがいを感じました。 基本的には、選択と集中という、我々の戦略会議の大義名分というか、これをガーナ援助に徹底的に適用していこうということで臨んでいます。現場は現場で各省レベル、あるいは、今までのお付き合いでいろいろなところから、ご存じのように、縦軸でいろいろなプロジェクトの要請も出てくるし、それに応えなければなりません。こちらは課題別にものを投げていって、それを全部リンケージさせながらパッケージ化せよということだから、現場の大混乱は、人材も少ないという点で非常に苦労されていることを痛切に感じました。 したがって、今、日本もそうですが、ガーナを取り巻く援助環境は、大きく枠組みが変わろうとしています。その変わる中で、日本も、個別案件から、目的達成別にちゃんと包括的計画を立てていこうという流れがあります。また、従来の日本の援助はプロジェクト型でしたが、イギリスを中心として、ヨーロッパが仕掛けた新しいやり方が財政支援でありプールファンドであり、それにお金を入れろということで、各セクターワイドアプローチをやるJICAの現場の人たちは、プールファンドに足がかりをつくっていかないと、セクターアプローチのときに日本に有利な戦略展開ができない。つまり発言権がない。お金を入れた順に発言権があるような感じで、日本は有利な提言もできません。 そういう基本的なスタンスというか、日本の政策、つまり財政支援をするのか、プールファンドにどう対応するのかという最上位の政策決定をやらない限り、今のアフリカ援助の潮流にはついていけない。こういう感じになっていまして、ここが勝負の分かれ目になります。 ですから、いい援助ができるか、できないかというのは、ここにどう参画していくか、日本がセクター別でもどう発言権を得るか、これが非常に重要なことです。これは、大野主査をはじめ現場もいろいろがんばっていましたけれども、これはやはり日本政府の高度な政策判断によって左右されます。 |
(渡辺議長代理) | ありがとうございます。期せずして、後で議論する対アフリカ支援の基本方針に入る窓口となるような議論を荒木さんがしてくださいました。本当に有難うございました。作業はまだしばらく続きますが、よろしくお願いします。 大野先生、どうもありがとうございました。 次に移らせていただきます。対エチオピア国別援助計画についてです。 高橋基樹さんにお願いしていますが、今後、この作業を進めるに当たっての方針をご報告いただきたいと思います。高橋さん、よろしくお願いします。 |
(高橋主査) | 高橋でございます。 エチオピアということですが、こちらにおられる先生方は皆さん、ハイレセラシエ皇帝という名前を思い出されると思います。ハイレセラシエの意味は、アムハラ語で「三位一体の力」です。政・官を一つとして、それと民と学が三位一体の力を発揮して、エチオピアのみならずアフリカ支援がうまくいきますように、ぜひご協力をいただければと思います。 先ほど草野先生から、アフリカをやる人材が少ないということをご指摘いただきまして、ODAの組織の中では確かにそうだと思います。ただ、この前、大野泉先生と一緒にロンドンに行きましたら、われわれのレクチャーに日本人の大学院生が50~60人も出て来てくれました。イギリスですから、多くの人がアフリカの勉強をしていると言っても構わないと思います。「老壮青」と言えば、「青」の部分ではアフリカに興味を持っている人がたくさんいまして、「老壮青」が三位一体の力を発揮すれば、よりよい人材がアフリカに配置できると思いますし、小泉さんが2倍に増やすとおっしゃった援助の増分をそういうお金に使っていただければと思っております。 まず、エチオピアについての基本認識を4点述べさせていただきたいと思います。ハイレセラシエはなぜ倒れたかについては、学者の中でもいろいろ議論がありますけれども、1970年代、彼が倒れたときには大変な飢餓がありました。飢餓を大飢饉に発展させるか、させないかがエチオピアの歴代政権の大変な課題です。ハイレセラシエは明らかにその責任を問われて、一説には、3,000年続くという帝政とともに滅んだわけです。次の共産主義政権も、ダメージとなったのは、これはもっと記憶に新しい1980年代のことですが、その際の飢餓ももともとは干ばつと、そして戦争で始まりましたけれども、大飢饉に発展しまして、メンギスツ政権が倒れる遠因となりました。 こういうこともありまして、エチオピアには繰り返し飢饉の危険が及んでいまして、シーアイランドサミットでも、行動計画に具体的にエチオピアの名前が出ております。欧米の首脳が集まりますと、アフリカとなると、エチオピアとスーダンの名前が個別に常に触れられます。こういう意味では、世界の首脳にとって、エチオピアのことをどのように考えているかは、ある意味で道徳と知性を試される課題となっています。日本としても、このことについて十分な対処をしておく必要があるというのが第1の意義だろうと思っております。 国民の多くも、援助にはこういうことを期待している部分があるのではないでしょうか。最も貧困と飢餓にさいなまれている国に手を差し伸べられないで何が開発援助かという部分があり、エチオピアへ援助を行うことは当然の日本の課題だろうと思います。 さて、これだけでは、大所高所からお考えになっている戦略的な援助の使い方という意味ではご満足いかないだろうと思います。エチオピアについては、この国の戦略的重要性がずっと語られてまいりました。地図を見ていただければわかりますとおり、エチオピアはアフリカの1,000m、2,000mの高地からアフリカ大陸をにらみ下げている国です。この高地を取るか取らないかは、アメリカにとっても、ソ連にとっても大変重要な課題でした。 実は、このことは、単に軍事的、戦略的に枢要であるという問題だけではありません。アビシニア高原がエチオピアの北半分を占めていますが、ここから流れだす水は下流の国々にとって非常に重要な意味を持っております。すなわち、スーダン、エジプトにとっては、エチオピアから流れ出す水なしには生きていけないということで、戦略的に非常に重要な意味を持っています。しかも、エチオピア自体が7,000万人という人口を持っています。これは、アフリカ大陸の人口の10分の1に当たります。 このような非常に重要な国であるとともに、もう一つ申し上げなければならないのは、上のように水資源を豊かに持っていながら様々な問題がありまして、これを有効に使いきれていないということです。既に触れたような食糧不足という問題が個々の国民に生じます。エチオピア自体は、マクロではそれほど食糧不足に陥らないのですが、常に食糧輸入をしなければなりません。アフリカの食糧問題は非常に複雑ですが、エチオピアを筆頭とするアフリカの食糧問題が、今、じわじわと世界の食糧市場に影響を与えています。それは、だんだんと日本の食糧輸入のトン数に、アフリカ全体の食糧輸入のトン数が近づきつつあるということです。アフリカの食糧不足は、日本のように食糧を対外依存している国にとっては、恐らく、近い将来は座視できない問題になるだろうと思います。 こういう意味でも、我々はアフリカの問題は遠いと考えがちですし、一面でそのとおりなのですが、実は、世界市場がグローバル化するとともに、我々はアフリカの問題を座視できなくなりつつあります。アフリカ自体が食糧不足をはじめとする問題を内部から解決するかが、我々が大国として、そして、日本そのものの国益を考えたときも抜きにできない問題だろうと思います。 3番目ですが、エチオピアでは、1990年代の初頭にメンギスツ政権というソ連の完全なバックアップを受けた政権が内戦を通して倒れましたけれども、それ以降の成果を2つ、まとめてご紹介したいと思います。 実は、1992年にメンギスツがジンバブエに逃げて以降も、エチオピアは繰り返し大変深刻な干ばつに見まわれております。しかし、後を引き継いだメレス政権は国際社会の支援を受けながら非常に慎重な食糧マネジメントを行っていまして、大飢饉すなわち、飢え、それに伴う栄養失調、病気に伴う大量死の発生を何とか防げているという、これはエチオピアの歴史から見ると大変な成果を上げております。 第2に、エチオピアは長い間内戦をしてきたわけですが、この原因であった民族間あるいは地域社会間の対立にメレス政権は大胆な解決策を与えました。すなわち、分権化ということで、もし望めばエチオピアから出て行っても構わないということを憲法に書いてあります。これは、ご案内のとおり、様々な民族がそれぞれの国に住んでいるアフリカの国としては極めて大胆な実験で、メレス政権は13年にわたって国内の平和を何とか維持してきています。しかも、徐々に民主化を進めてきておりますし、平和が定着してきている。この実験を何とか支えることが国際社会の責任だろうと思います。アフリカ大陸中で様々な紛争がありますけれども、エチオピアの実験が長い間にわたって成功することは、恐らく、アフリカを今さいなんでいる紛争問題についても、大きな解決の鍵を与えることになるだろうと思います。 最後に、私は必要とされるパートナーシップについてあえて援助協調ではなく、開発協調という言葉を使いました。これは、パートナーシップが援助をしている側だけの問題ではなく、既にエチオピア政府が様々な主体や、利害関係機関が協調していく中で、エチオピア政府自身が中心になっていく。こういうことで話が進んできております。このことを評価して、パリの会合でも、あるいは、OECD、DACでも、エチオピアを開発協調のパイロット国、あるいは、それに伴う手続き的な調和化のパイロット国として扱おうとしております。ここで、日本も、3月に調和化についてのパリ宣言にサインをしたわけですから、我々も国際社会に対する責務を果たすべきだろうと思います。 方向性としてこのように作業を進めてまいりたいと申し上げたいことが3点あります。2ページ目以降ですが、まず第1は、エチオピアの大使館、JICA事務所、関係者の方々、人数は少ないながらも、大使のリーダーシップの下で常に密接な連絡をとりながら、大変なご努力をなさっておられます。資料として、ここに提出しているのは全く氷山の一角に過ぎません。他にも大量の文書を書いていただき、大量のアドバイスをいただいています。こうしたイニシアチブこそが、現場でエチオピア政府が中心になって開発活動をコーディネートしていこうということと密接に触れ合いながら、あるいは、エチオピア政府を中心とする開発・貧困削減に向けた苦しみを日々ご覧になっている方々の努力であります。それが結集したものが、3ページ目の上のほうに書いてありますけれども、持続的開発・貧困削減プログラム(SDPRP:Sustainable Development and Poverty Reduction Program)というものです。これは形式上エチオピア自体のPRSPですが、SDPRPの策定・実施過程を現場で見ながら仕事をしていただいています。 我々は、東京あるいは神戸にいますと、それこそ草野先生がおっしゃったように、どうしても現場から遠くなりますから、現場で、そこでのエチオピア政府及び民間の方々、ほかのドナー、NGO、彼らの議論を毎日聞いている人たちを主体に進めていくべきだろうと思います。 ただ、同時に、後ほど申し上げる時間があればいいのですが、どうしても国際機関が主導になってきますと、PRSPですので、紋切り型の形式を世界中でやっていこうというところも出てくるかもしれません。日本の国際協力の一番いいところは、相手の国に歴史があることをよく理解していることだと私は思います。相手の国には、それぞれの事情がありますが、これが国別援助計画を書く意味だと思いますし、自分の力をかんがみるとそこまでできるのかということもあるかもしれませんけれども、エチオピア自体が主体性をもって、SDPRPをいいものにしていくことを、日本が声を出して支援していくべきだろうと思います。 2番目に、国別援助計画の大もとの趣旨は、日本の援助自体をコーディネートし、包括性を持たせ、一貫したメッセージを持って活動していくことだろうと思います。ここで、ぜひ先生方にご議論いただきたいのは、日本の多くの伝統的な主要援助対象国と状況が違って、エチオピアでは、我々は多くのアクターの一部だということです。ですから、日本だけのスタンドアローンでやっていこうとすると、往々にしてほかの国々から孤立してしまうことがあります。そういう意味で、大野泉先生もPRSPを尊重すべきだとおっしゃったのだと思いますし、私は、まずエチオピア政府が何を考えているか、その中で我々の仕事はどのような役割を見出したら一番役に立つのかを考えるべきだと思っております。 こういう意味で、包括性というのは、エチオピアがリーダーであるチームのメンバーとして日本は何が一番できるのか。しかも、日本が生み出した格闘技で私が一番優れているものは合気道だと思いますが、人の力をうまく利用してどのように成果を上げるかということが日本人のうまいところなので、これをぜひやりたいと思います。 次に、今後の、作業方針をお示しするということで、4枚目になりますけれども、分野としては5つ挙げてあります。5つの分野ですが、この中では、エチオピアの履歴を考えると、やはり食糧安全保障がエチオピア自体の貧困削減という意味でも最も重要な意味を持っているだろうと思います。このためには、食糧安全保障は、最近では、農業開発と直接結びついていないという議論もあると思いますが、エチオピアは、農民の、あるいは、農村社会の自助努力によって、まずこれを解決しようという方向へ政府自体が舵をきっております。 同時に、エチオピアは食糧安全保障との関係で最も生かしきれていない自然の恵みは水資源です。水資源自体が、先ほど言ったように戦略的に大きな意味を持っているので、食糧安全保障とうまく絡めながら、そして、日本がプロジェクトベースで非常に大きな成果を上げているのも水資源の分野ですので、ここに大きな重点を置いてもらいたい。同時に、他の3分野も当たり前のように重要ですから、これを軽視するのではなくて、食糧安全保障や水資源との関連の中でメリハリをつけていく考え方が重要だと思います。例えば、経済インフラも、食糧安全保障とは関係のないところで、優良だからといって道路をつくるのではなく、こういうことに裨益するということをよく考えていくことが重要だろうと思います。 4番目ですが、我々として重要なことは、先ほど申し上げたとおり、日本だけでひとりよがりにがんばろうということではなく、譲れるところは譲り、我々の比較劣位のところは相手に任せる。あるいは、友好的に対話し、情報交換や連携をできるドナーを見つけて、そこにがんばってもらい、しっかりと情報はもらう、監視していくという発想が必要だと思います。 先ほど、荒木委員から口火を切っていただいたのですが、今のところ、私として、こうすべきだという結論を持っているわけではありませんが、エチオピア政府自体は、ぜひ日本に一般財政支援をしてほしいという要請をしてきております。一般財政支援については、欧米のドナーの長い苦しみと傷つきの中から生まれてきた、極めて難しい議論がたくさんあります。私自身が全体を把握しているかどうか自信がないところもありますけれども、もし、何度でも議論しろということであれば、何度でも呼んでいただいて議論したいと思いますので、一般財政支援の可能性も入れた上で国別援助計画を議論させていただければ幸いです。 何かというと、一言申し上げれば、先ほど、セクターか、それを超える包括的なことかという議論がありましたけれども、エチオピアや、その他アフリカの国々が抱えている貧困削減の課題の前では、政府が持っている、あるいは、援助を加味した資源でも足りないくらいです。この貴重な資源をどのように戦略的に重点的に配分していくかは、我々も国民の付託を受けた専門家として十分に注意を払っていかなければいけない。このときに、我々は、どのように発言権を持てるか。エチオピア政府を支援できるか。そして、国民の血税をどのようにうまく使っていけるかについて声を出せるかと考えましたときに、今、一般財政支援は非常に重要なスキームになってきていると考えます。 留意すべき点については、これはどこの国にも当てはまることが書いてありますが、まず第1に人間の安全保障の観点から、この国は無視できない。そのおおもとの趣旨を具体的な行動の中に生かしていくべきだろうということが一つあります。それから、エチオピアは分権化の実験をしていると申し上げましたけれども、日本の援助の中でもそれは配慮していかなければいけない。前後しますが、プロジェクトは常にスタンドアローンで日本がやったらいいことができた、ということで終わりにするのではなくて、その後の自立発展性を常に考えていくべきだろうと思います。そのためには、財務や経営の要素が重要だろうと思います。もちろん環境も重要です。エチオピアの状況を承りますと、農民自身が昔ながらの生活をしていること自体が環境に破壊的な影響を及ぼしている。それは、人口増加が40年間で3倍という状況になっていますので、人間が生きていくこと自体が環境に大きな負荷を与えることになっています。こういうことに配慮していく必要が十分にあります。ですから、生産を振興することと環境を尊重することは極めて重要な関連があります。 長期的開発戦略については、エチオピアの場合、まずもって農業をしっかりさせ、農民を食べさせていくことが重要で、先生方、ご案内のとおり、こういったことは将来的には、農業と非農業の間の相関的な循環的な関係がうまく回っていかないと解決できません。エチオピア政府自体がAgriculture development-led industrialization(ADLI)という政策を掲げております。これについては、まさにアジアの経験なりで日本の学会に豊かな蓄積がありますし、私は、そういうものを活用させていただいて、今後とも、国別援助計画を書き終わった後もエチオピアの政府、学会と十分なコンタクトを持って高めてもらいたいと思います。こういうことを続けていくことが、まさに日本の顔を見せる援助というよりも、志をあらわす援助だろうと思っています。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。大変短い時間ですが、ポイントがよく理解できたように思われます。これから本格的な作業が始まるという段階ですので、幾つかコメントやらご質問をいただければありがたいと思います。 |
(砂川委員) | 大変熱意がこもったご説明をいただきまして、ありがとうございました。現状につき大変よくわかりました。 1点お聞きしたいのですが、いわゆる一般財政支援をやって行かなければいけない、そして、そうするならば、ご指摘のように、財務・経営面を重視しなければならない。私も全く同感です。しかし、実はここが日本の援助では一番欠けていることと思います。そこでお聞きしたいのですが、今までのエチオピアでの日本の援助の支援の中で、こういう面はどの程度考慮されてきたのか。そして、これからそうしていかなければいけないとした場合、ODAで実際にそれができるかどうか。いわゆる技術協力という観点も入れて、この可能性にぜひ触れてほしい。これは援助計画ですから、こういうことをやらなければいけないということを主張すると共に、こういう具合にやっていけばできるよ、こうじゃないとできなよということをおっしゃっていただきたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | ありがとうございました。 それでは、大野委員、青山委員、草野委員の順でご発言ください。 |
(大野委員) | 今、ガーナとエチオピアのことを聞いていて、これはアフリカ全体にかかわることですけれども、こういう作業をするに先立って政府レベルで決めなければいけないことは、荒木さんもおっしゃいましたけれども、聞いていて、大体明確になってきたような気がするので言わせていただきます。 まず一つは、バジェットサポート(政策支援)に、もしそれがアフリカ援助のパートナーになるための入場券みたいなものになっている国については、当然、東京から、そういう国については入れという指示がなければならないのではないでしょうか。全部をアフリカでやれということではないのですけれども、状況を判断して、そうであれば入れということを東京から明確に言わなければいけないのではないかと思います。 そのときに、先程も議論がありましたけれども、入って、日本は何をやるのかについても、国によって全然違うわけですけれども、方向性として、日本はこういう方向で行けということも東京から指示があっていいのではないか。今、聞いているところは、キーワードは農業とか食糧安全保障とかの、生産支援的な面が、日本としては他のドナーと比べて比較優位があるのではないかということで、そういうことについては、日本はできるだけ入っていく。そういうことも指示してもいいのではないかと思います。 そのときに問題になるのが、日本の対アフリカ援助資源は、人的にも、資金的にも少ないわけですから、当然、数を減らしていかなければいけないので、今までのように、要請があるもの、あるいは、人間の安全保障に関係があるものはすべて取り上げるということではなくて、ある程度数を減らしていくことも必要ではないかと思います。それも言うべきだと思います。 |
(渡辺議長代理) | 数というのは、国の数ですか。 |
(大野委員) | 国もあるし、その国の中でどれだけの案件をやるか。それが全部連関して一つのプロジェクトとしてまとまるのであればいいけど、この地方では保健をやり、この地方では道路をつくり、ここで農業支援をやるとか、そういう形はやめろということは、はっきり言ったほうがいいのではないかと思います。 最後に、この関連で、教育と保健・医療の問題は、もちろん人間の安全保障、貧困削減にとっては非常に大事な問題ではありますけれども、日本の資源が少ない、欧米諸国がもう既にやっているということで、こういうものに対して日本も入っていくのか、それとも、欧米の情報とフレームワークに委ねるのか、そういうことについても、今言ったことはアフリカ全体のフレームワークとして指示がない限り、これ以上、ガーナもエチオピアも、他の国も作業がしにくいと思います。 |
(渡辺議長代理) | ありがとうございました。それでは、青山委員お願いします。 |
(青山委員) | たいへん熱のこもったご説明をありがとうございました。3点、短くご質問させていただきます。 先ほどのガーナのご説明では、西アフリカの安定というお話が少しありましたが、エチオピアのご説明では、紛争のことにあまり触れられなかったと思います。エリトリアとの間がまだくすぶっているというような話も聞きますが、たとえば、今エチオピアは、軍事費をどれくらいの割合使っているのでしょうか。もし軍事費の割合が高いのなら、そういう国に財政支援するのを、どのように考えるのでしょうか。また、今後、安定を保つなら援助を進めるという条件づけのようなことはできるのでしょうか。これが、1点目のご質問です。 2点目は、エチオピアで仕事をされた方に伺うと、非常に自立意識が強い国で、政策対話や技術協力を進めようとしてもなかなか助言を受け入れてもらえないといった話を聞いたことがあります。日本がいろいろと助言をしたら、どの程度の反応のある国なのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。 3点目は、ジェンダーの問題です。ジェンダーへの配慮については、すでに書き込まれていますが、問題のある国と思いますので、日本も女性の状況改善をたいへん重要視しているということを明確に書いていただきたいと思います。また、地方分権化すると、ある地域ではよくなるけれど、逆にある地域ではなおざりにされることがあるので、ジェンダー差別のように基本的人権に触れることについては、分権化の中でも確保されるよう、どこかに書き込んでいただきたいと思います。 |
(草野委員) | 熱のこもったレクチャー、ありがとうございました。 一つだけ、コメントと質問です。選択と集中、連携等5分野挙げられました。ご説明の中では、1~5全部が重要というよりも、1、2の食糧安全保障と農業開発、水資源開発が重要で、3、4、5については、1、2を確保するためにというご説明がありました。ぜひ、その点を実際の作業過程ではもう少し明らかにしたほうがよろしいのではないかと思います。 それはどういうことかというと、いろいろな利害関係を持っておられる方が、これからはアフリカの時代だと。あるいは、3年間で政府は対アフリカ支援の倍増を約束したということで、教育分野とか保健分野とか、みんなここに力を入れようという話になるだろうと思います。それは結構ですが、それは高橋さんのお考えとは若干違うだろうと思うので、そこら辺の選択と集中ということを、ぜひ具体的にお書きになったほうがいいと思います。 |
(渡辺議長代理) | よろしければ、ここで高橋さんからお願いします。 |
(高橋主査) | ありがとうございました。最初に訂正させていただきたいのですが、ロンドンで50~60人、将来性がある学生がいると言いましたが、私どもの大学院をはじめ日本の大学院にも優秀な人材がいますので、どうぞよろしくお願いします。不規則発言ですみません。 砂川委員からご指摘いただいたことは、まさに我が意を得たりです。今まで、エチオピアで何が、経営や財務の分野で達成できてきたかについては、むしろ、もう少し観点を広げて、アフリカで、あるいは、その他貧しい途上国で、日本がこういった分野で一体何を成し遂げてこれたかを我々は問わなければいけないと思います。ただ、最近では、プロジェクトベースの、例えばエチオピアであれば水資源管理などは大変成果を上げていると聞いていますけれども、発想をプログラム的に持って、相手の国がプロジェクトに割り当ててくる資源についても面倒を見ようという発想が出てきているように思います。更に費用回収をどのようにしていくか、あるいは、人材の配置や、その都度その都度の相手方の業務費、リカレントコストを現地政府にどのように支出してもらうかということについて、最近では発言できるようになってきました。 私の発想は、欧米の僚友ドナーに言われたからではなくて、日本は、一般財政支援のレベルでそういう財政配分の内実に関心を持っていくべきだろうと思います。これを担保するのに一番重要な要素は何かというと、予算を見ることができる人、相手の国の財政構造を理解できる人だろうと思います。日本国内にはたくさんの有能な人材がいると思いますが、アフリカにそういった人材を割り当てることができないことが大きな問題だろうと考えます。このことは、アフリカの援助が今後金額的には増えるということですので、繰り返しになりますけれども、ぜひご配慮をいただきたいと思います。今、エチオピアについては、JICAがそういう人材の配置を考えているということですので、私としては、ぜひ応援したいと思っております。 大野委員がおっしゃったことは全くそのとおりで、つけ加えることはありません。私は昔、1国1セクターということを言ったことがあって、そうしたらエチオピアで、例えば必須の保健ができなくなるじゃないかと、いろいろな人から怒られたのですが、これは極端な言い方をしたまでですが。しかし、すべての国で5セクターとか6セクターをやる必要は、恐らくないと思います。それは、よりできるドナーに任せていくことが必要なのではないかということで、草野委員へのお答えにもさせていただきたいと思います。 青山先生からのご指摘ですが、日本も政策協議を通じて、軍事費については十分に配慮するように声を大にして言っていると思いますし、もともとエリトリアとの紛争は、どちらかというとエチオピア側は、攻め込まれた側であると承知しています。こういうことについても発言をするためにも、我々が一般財政支援に参加して発言権を持てることが必要だろうと思います。 エチオピアは、基本的に植民地化されたことがないこともあって、他のアフリカ諸国に比べると主体性がしっかりしていますし、いろいろなことを自分なりの考えに基づいて言ってくる国ですが、だからこそ援助に値する国だと思います。 ジェンダーについては、特に庶民レベルで非常に大きな構造的な差別がありますけれども、ぜひ盛り込ませていただきたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。これからいよいよ作業開始という段階で、かなり本質的な議論をすることができて大変よかったと感じています。よろしくお願いいたします。 それでは、町村大臣がお見えになりましたので、次のテーマである対アフリカ支援のテーマに入ります。まず大臣からご挨拶を頂きたいと思います。 よろしくお願いいたします。 |
(町村大臣) | 皆さん、おはようございます。大変遅くなりまして、失礼いたしました。 この戦略会議の諸先生方には、大変お忙しい中、回を重ね、また、いつもご出席をいただき、貴重なご意見、ご方針をお決めいただきまして心から感謝をしているところでございます。 数多くの議題の中で、特にアフリカ支援と来年度以降のODA予算につきまして、今、いろいろなところで、政府の中でも外でも議論が大変活発になってきておりますので、ぜひ皆様方のお考えも伺いたいということで、本日の議題の4番目に挙げているわけでございます。 正直言って、私もアフリカの国々へは行ったこともほとんどございませんし、お付き合いもございませんでした。ただ、2~3年前から、森前総理が「アフリカ議連」というものを活発にやるぞと言って、おまえも手伝えと言われまして、アフリカの皆さん方とのいろいろな会合に出るようになり始めた、せいぜいその程度の経験・知識しかないわけでございます。 実際、昨年9月に外務大臣に就任して以来、アフリカの幾つかの国々の外務大臣その他とお目にかかりましたし、11月でしたか、TICAD関連の貿易・投資会議があって、そのときにもお目にかかりました。それから、4月にアジア・アフリカ首脳会議がインドネシアでございました。バンドン50周年のときです。あのときにも随分数多くのアフリカの外務大臣、首脳とお目にかかりお話をいたしました。 改めてでございますけれども、やはりアフリカのリーダーたちが、大変難しい課題はあるけれども、国づくりにかける情熱、その意気込みは大変なものがあるなと思いましたし、特に、アフリカは一つであると。大きな大陸ですし、国の数も多いのですけれども、AU(アフリカ連合)という形で、何とかアフリカの中でいろいろなことを解決したい。それは経済問題ばかりではなくて、いろいろなところに民族紛争があったりして、それらを、国連の力も借りるけれども、まずアフリカの中、アフリカの一定の地域の中だけで方向づけをし、解決する努力をするということでいろいろやっていることを学ぶことができました。そういう意味では、思いを新たにしているところでございます。 そういう中で、今年はアフリカの年と言われておりますし、7月のグレンイーグルズサミットでは、環境問題とアフリカ問題、これが2大テーマであることは皆さんご承知のとおりであります。また、9月のニューヨークのミレニアム宣言に関する首脳級会議、開発問題、なかんずくアフリカの問題が主要なテーマになるということですので、日本としても、こうした国際的な動きをにらみながら、対アフリカ支援をどうしていくのか、そして、ODA全体をどうしていくのかということを考えなければならないだろうと思います。 ちょっと振り返りますと、これは釈迦に説法ですけれども、90年代、みんなが援助について疲れていたり、関心が薄らいでいたときに、日本はただ一人、赤字国債を出しながらもODAを出し続けてきた。したがって、90年代は、日本が終始、ODA供与額では世界一の座を占めてきたことは、日本が平和国家として、あるいは、諸外国の発展を助けることに大変な情熱を注いでいるという意味で、そのことは自信を持って述べていいと思っております。 靖国神社に行ったら途端に、日本は軍国主義だとか、平和的ではないとかいう批判もありますが、とんでもないことでありまして、赤字国債を出してまでODAを一生懸命に出し続けて、少なくとも90年代は世界一の供与額であったことは、私は胸を張って国際社会に言える事柄であると思っております。 そういう意味で、特にアフリカについても、93年から、TICADプロセスを始めた。諸外国がアフリカに見向きもしないときに、日本は一人これを始めたわけですし、2000年の九州沖縄サミットで、アフリカの代表を森総理が招いたことも、サミットの歴史の中では始めてのことであります。それ以降、G8首脳とアフリカ首脳との会談がずっと継続していますけれども、その先鞭をつけたのが2000年の沖縄サミットであったということも、また自信を持って言えることだろうと考えております。 そういう中で、先般のアジア・アフリカ首脳会議でも、小泉総理からは、引き続き日本も開発問題に一生懸命に取り組んでいく、ミレニアム開発目標に寄与するため、ODAの対GNI比0.7%目標達成をいつと言えば格好よかったのですが、さすがにこれをいっぺんに言い切るだけの財政的ゆとりがないものですから、この目標達成に向けて引き続き努力する観点から、我が国にふさわしい十分なODAの水準を確保していくという表現をしました。同時に、2008年にTICAD・IVを開催し、対アフリカODAを今後3年間で倍増するという積極的なメッセージをそこで提起したわけでございます。 そういう意味で、私としては、このODA問題、なかんずく対アフリカODA問題は非常に大きな政治課題であると同時に、国際的な課題でもあると思っております。 折しも2000年を境に日本のODAが減り始め、諸外国が、特に9.11以降増やし始め、今、ODAの水準は、日本はそれでも世界2位ですけれども、この勢いでいくと一両年のうちにイギリス、フランス、ドイツに抜かれて4位、5位に落ち込んでしまう。いいじゃないか、そんなことは気にすることはないという見方もありますけれども、国際的なベクトルがODAを増やそうという方向に向いているときに、ひとり日本だけが減らし続けることは、やはり批判を受けるであろうと思っておりますし、それは日本の国益にも合致しないと考えるわけであります。 確かに財政事情は厳しいわけですけれども、そういう中で、どういう方針で臨んでいくのかということで、先ほど申し上げました総理大臣の大方針を、例えば6月20日の週には、2006年骨太方針といいますか、その中で来年度の予算編成方針が基本的には決まってしまいます。そこには、何とかODAを増やす方針を明記できるように、「増やす」と端的に書けるかどうかわかりませんけれども、そういう方向で努力したいということで、今、関係方面に働きかけを始めたところでございます。ぜひ、この点について、この戦略会議の皆様方からもご意見をいただければと思っております。その際に、目標に関するわかりやすいセリフ、これをどうするのかなというあたりについてもお知恵をいただければありがたいと思います。 かつて池田総理は「所得倍増」と言いました。「ODA倍増」と言えばわかりやすくていいのですが、とてもそれがいっぺんに政府のコンセンサスになるかどうかよくわかりません。その辺について、どういう表現ぶりにしたらいいかということを含めてご議論を賜れればと思っております。 しかし、日本国内には、アフリカを支援するぐらいなら、おれんちの前の道路も何とかしてよという声が依然として多いことも事実でございます。そういう日本国内の理解を得る努力もしなければなりませんので、そういう意味で、どういう表現、どういう説明ぶりにしたらいいか、簡単なようでなかなか難しい問題ですが、ぜひお知恵をいただければありがたいと思っております。 本日は、そういうことで、ひとつ皆様方から活発なご議論をいただけるようにお願い申し上げまして、私のご挨拶とお願いの言葉といたします。よろしくお願いいたします。 |
(渡辺議長代理) | 町村大臣、どうもありがとうございました。 それでは、ここで、町村大臣に対して、お願いやらコメントがあればいかがでございましょうか。 |
(大野委員) | 私は、キャッチフレーズはあまり上手ではなくて、そういうことも大事かもしれませんが、アフリカ支援については、日本政府が今までやってきたことについていろいろと疑問を感じています。 一つは、日本というのは、愚直なまでに同じような援助戦略をずっと続けてきて、世銀が何を言おうとずっと支援してきた国だと思っていますけれども、アフリカについては、たしか数年前、前の大臣だったときに、教育を一生懸命にやる、あるいは、水を一生懸命にやるとか大きな会議でおっしゃられたことがありますが、それが今はどうなっているのかよくわかりません。 アフリカについては、アジアのように何をやるかの中身が決まっていないと思います。それについて先ほども議論していたのですが、会議のたびに、あるいは、アフリカ年があるごとに出すのもいいし、量的に増やすのはそういう機会があればよろしいのですが、中身がないときには、一回限りの言いっぱなしになることがこれまであまりにも多かった。ですから、量的に拡大していただくことはぜひ努力していただきたいのですが、それと同時に、アフリカ支援は過去のアジアほど出せるものではないから、一体どういうお金の出しかたをすればいいかということ、これは1回限りではなくて、これから長い間、日本がアフリカ援助にかかわるためにどういうことをすればいいかということを、政府で決めていただければいいと思います。 先ほど発言しましたけれども、生産面にかかわる支援ということで、農業、水、灌漑、それに関連する食糧の安全保障、流通、技術支援、人づくり、それを生産力が高まる方向の支援をやればいいということは、僕は先ほど申し上げました。ほかにも幾つか申し上げましたけれども、国によって違いますから、何をすればいいかは現地が決めればいいのですが、大体の枠組み、方向性は東京から指示できると思います。だから、保健、医療、農業、人材育成全部やるという形で一つ一つをそのときどきに議論になっていることを言うだけではなくて、骨太というか、これからはしばらく変わらないこの方向で行けというものを現地に投げて、あとは現地に任せるという形にしていただきたいと思います。 |
(荒木委員) | 私は、バンドン会議で総理が演説して、これは日本にはあまり伝わっていないように聞いていますけれども、現地の取材をしますと、アフリカ諸国、もちろんアジア諸国も大変感動をもって聞いたと。これがアジア・アフリカ連携という中で行われて、今後、日本が援助をするときの大きなキーワードになっていくのではないかと思います。 一つは、アジアとともにアフリカ等、いろいろな国々の貧しい人々を助けていくという、アジアにおいては日本の先導的な協力で、今は中進国がかなり増えてきましたから、アジアの、特にASEANの国々と一緒になってアフリカを応援していくことは、とりもなおさず日本のアジアにおける安全保障というか、日本の長期的なアジア経済連携というか、そういう大きな流れの中で一つの枠組みをつくっていく、政策という枠組みの中で、アフリカもその中に一緒に入れてやっていく。これは、僕は一般の人たちが理解できる、特に、アジア・アフリカ連帯ということを今度の会議で言って、特にこれから、これは大きな声では言えませんけれども、常任理事国問題もいろいろありますが、要するに、多くの友を得ていく上においては絶好のチャンスだと思っています。 もう一つは、国際機関の方々も、お話をしますと、アジアでの、特にASEANでの日本のODAの成功体験は非常に参考になるのだと。アフリカにおいて、従来、ヨーロッパが行ってきたいろいろな政策は、ある意味において挫折し、失敗したこともあると。これは必ずしも日本がやるというよりも、アジアの成功体験を、アジアの国々と一緒になってやってはどうか。例えば、タイの前の外務大臣ともお話ししましたら、日本から受けたいろいろな援助、人づくりをはじめ、農業協力などは国の発展に非常に大きく寄与したと。できれば、そういうものを我々も一緒になってアフリカに行きたいということを言っていました。これは、どうでしょうか、やはり日本は一人では生きていけないという、国民の教育も含めて、それをもっと大きく声を大にして言っていって、理解できなかったら、もうODAはだめですね、ということです。 |
(渡辺議長代理) | ありがとうございました。他にどうでしょうか。 |
(砂川委員) | 南北問題ということが出た1960年ぐらいだったと思いますが、アフリカは欧州、中南米はアメリカ、アジアは日本だという垂直な絵をよく描いて教わったことを記憶していますが、欧州がアフリカに持っているイメージは、我々が持っているイメージとは根本的に違うのではないかという気がします。3月にロンドンでアフリカ委員会の報告書がまとめられて、民間にコメントを求めたところ、民間はものすごくアフリカに対して商売上の興味を持っているようで大変活発に意見が出たそうですが、総じて投資機会がものすごくあると認識されているようです。それが、欧州がアフリカに対して持っているイメージのようです。 一方、日本がアフリカに対して持っているイメージは、貧困、飢餓、AIDSなどの暗い面が強い。ところが、アフリカには、石油、ガス、水産物、鉱物といった資源が多くあって、この資源に日本も多く依存しているのが実情です。だけど、アフリカの資源に多く依存しているということは、ほとんど知られていないと思います。 そこで申し上げたいことは、アフリカに日本も経済的に依存していることをまとめてみる必要があるのではないかと思います。 それから、アフリカ向けの援助のやり方ですけれども、欧州のやり方にならってやっていく方がいいのではないかと思います。先ほど、国際機関が一つのやり方のパターンを押しつけるという話がありましたけれども、日本も日本のやり方という一つのパターンを推し進めているという面もあるのではないでしょうか。 欧米ではビジネス即ち民間とODAがうまく合体しているわけですね。例えば、アンゴラにおいて石油を開発しているシェルが学校とか病院、それに道路なんかを作っている。従業員確保のためにAIDS対策までやっている。その実績はアメリカのODAの数倍にのぼるとUSAIDは言っています。USAIDはシェルに協力を申し入れ、現在共通プログラムを実施している。民間主導の下にODAがフォローしている例です。このようなケースが結構あるようです。 |
(浅沼委員) | 日本の対アフリカODAは、国際的な状況から考えて増やさざるを得ないと思いますけれども、同時に、アフリカに対するODAはハイリスクな活動であることを認識した上でやる必要があるという気がします。なぜハイリスクかというと、アジアにおける日本の経験とかアジアの経験をアフリカに移そうという話がよく出てまいりますけれども、それができないからこそ今まで、アフリカの成長や貧困削減が達成できなかったわけですよね。2つか3つの理由があると思いますが、アジアの成長を考えたときにどうしても欠かせないものが「緑の革命」でした。「緑の革命」が技術的にできないのがアフリカです。これは、もう少し科学的に確かめなければいけないかもしれませんけれども、「緑の革命」ができない大変難しいところである。 第2に、アフリカは、戦後の植民地主義に対する反発などもあって、第一次産品の生産と輸出自体を軽視してきた。農業に関しては、東アジアに取られています。ココアを見ても、東マレーシアにとられている。唯一アジアから取っていったのは、多分、ケニアのお茶だと思われます。これはスリランカから取っていった。そのように、政策が非常に悪い。 そういう中で、今、援助を増やすと、その援助が、やはり財政支援という形をとらざるを得ないからそちらに向かっていく。そうすると、財政支援は、今、設定されたMDGsを見た上で、そのほとんどの部分がやさしいといいますか、成功率が高い社会的な指標に向けた支出に向かっていくような気がします。そうしたときに、長期的にそれは持続可能な状況ではないわけですから、先ほど大野さんがおっしゃったように、日本がもし財政支援その他に参画していくのであれば、ぜひとも長期的な生産力に対する政策と、政府支出を量的にも質的にも適切に行うように監視するといいますか、そちらに向かって走っていくようにしなければ、アフリカの成長、貧困削減はままならないだろうと思います。 そういう意味で、日本がある意味では脇役といいますか、従の立場で参画していかなければいけないODA活動で、かつ、ハイリスクな活動だと考えます。しかし、やらざるを得ないと思います。 |
(磯田委員) | ODAもそうだと思いますし、アフリカへの支援ということで、今、大臣は、一般からの賛同がなかなか得られにくいという印象を持たれていると思いますが、例えばユニセフ協会が集めているお金、いろいろな子どもたちの奨学金に対して一般の方々でも月々6,000円を1年間毎月毎月支援する人たちもいます。私は、基本的に、もう少しきちんとしたアピールなり、本当に役に立つということの説得力ある形での発信が足りないと思います。一般あるいは民間といったときに、企業の関心と一般の方の関心は同じではないと思っています。世論というのは、一つは一般国民の賛同をきちんと得ることが大事だと思います。それは、何もいい部分だけを発信し続ければ良いというのではなく、きちんとした評価を行い、悪い点は悪いとして公開し、その改善をきちんとすることと、もう1点は、現実に効果の上がる取り組みをすることが必要です。この2本立てがきちんと出来ているのであれば、国民は支持すると思います。そういうポテンシャルは既にあると思います。 実際に、アフリカなどは、ODAが最もターゲットとすべきことは貧困であり、飢餓であるということはありますから、そういう意味で、きちんとそのメッセージを出していくことが大事だと思います。繰り返しになりますけれども、そのためにはきちんとした評価、一般の方からの評価、お手盛りではない評価をきちんとすること。それから、今、浅沼さんなり、ほかの委員からも出ているような戦略性をきちんと持って、効果が上げられることを組み直すことによって、十分にできることだと思います。特に評価については、方法をいろいろとご検討いただきたいと思っています。 |
(関山委員) | アフリカの開発、現状の改善がなければ、当然「ミレニアム開発目標」が達成できないことは間違いないことです。そういう意味では、日本はそれ相応のサポートをしていく必要があるものと思います。 また、アフリカといっても、今後のODAの実施を念頭に置いた場合、アフリカを一括りにする事には無理があるのではないかと思います。というのは、我々は民間ですので、アフリカでも商売をしていますが、例えば北の方のマグレブ諸国とサブサハラでは状況が全く異なります。そうすると、援助方法とかアプローチも変わってくる。したがって、先ず各国のそうした状況整理が必要かと思います。 例えば、マグレブ諸国では、日本からの投資がもう始まっています。ODAとは関係ありませんが、我々の会社でも、チュニジアには既に発電所をBOTで持っています。これは日本からの最初の投資です。元々、親日国でもあるし、チュニジアの首相が来た場合は必ず我々の会社に寄るとか、そうした話もあります。彼らは、マグレブ諸国でも、もっといろいろな電力や水の開発をしたいけれど、電力とか浄水場とかの中心部分は民間でできますが、付帯する港湾整備、ガスパイプラインといったものについては、やはり日本のODAを希望しています。そういう分野の援助がマグレブ諸国では必要なのかと考えています。 一方、サブサハラでは、もちろん非常に難しい国々ですから、どういったアプローチが必要かということもありますが、アフリカは48か国ぐらいありますし、すべてをカバーすることは無理でしょうから、例えば、対象国の戦略的な選別といいますか、見込みがある数か国でモデル的な事業を形成して集中して支援を行ってはどうかと思います。その選別の際には、客観的な基準を設定することも必要だと思っています。 先ほど荒木さんからも御指摘がありましたが、4月に開かれたアジア・アフリカ首脳会議で、この半世紀でアフリカは植民地から独立を果たしたという大きな政治的な進歩がありました。すなわち植民地から独立したわけですから。しかしながら、社会経済面では十分な進展がない。言ってみれば、この30年間で、アジアの途上国とアフリカでは大きな差がついてしまった。この差は一体何なのかということも根本的に調べる必要があると思っています。 あと、今までODAはアフリカでもやってきたわけですが、一体どうしてこういう差がついてしまったのだろうかということと関連して、先般、東アジアのインフラの発展というテーマで、JBIC、ADB、世銀の3者で共同調査をしました。アジアのインフラ開発で何がよかったか、何が悪かったか、今後どうするべきかというシンポジウムがありました。実は、私はそこでスピーチをさせてもらったのですが、過去の経緯、何が悪かったか、今後どうすべきかを、はっきりと世間にアピールしたということです。アフリカについても、JBICなり世銀、アフリカ開銀による共同調査を実施することにより、過去は何が悪かったのか、どうすれば良いのかを明らかにし、そうした過程で日本がイニシアチブを取れば非常にいい援助ができるのではないかと思っています。 それから、先ほど皆さんからありましたが、サブサハラ国は、マネージメント能力が欠如しています。特に行財政管理とか実務能力強化のための専門家を、ODAなどを使って中長期的に投入できないだろうかと思います。これは単なるアドバイザーということではなく、政策の提言なり、実施が可能なポジション、権限を持たせる形で相手国政府に投入するべきです。これを日本政府なり現地の大使館、外務省もサポートするアプローチが必要ではないかと思っています。 |
(草野委員) | 3点ほどあります。初めの2点は、どのようにアピールするかという話です。 これは、砂川さんもおっしゃっていましたけれども、第1点目は、日本とアフリカの経済関係で、例えば直接投資とかそういう点では目立った数字はありませんけれども、エビとかマグロとかはアフリカなしには考えられないわけで、こういうものはわかりやすいと思います。 2点目は、現在でも700名近くの青年海外協力隊(JOCV)がアフリカに派遣されています。そして、累積で考えると8,000名ぐらいいます。こういう人たちから、アフリカはどのような貧困状況かという情報を一般の国民に伝えてほしい。私はこの間、ガーナ、ケニアに行って協力隊の人たちから聞きまして、本当に目からうろこでした。38度、40度のところで日本の青年ががんばって、マラリアと闘いながら生活をしている。今の日本の若い人たちに聞かせたい体験です。そういう人的資源があるのですから、せっかくですから、それを有効活用して、いかにアフリカが重要であるかをアピールしたらよろしいのではないかと思います。アイデアとして、もう既に出ていますけれども、アジアの人たちと一緒になって日本の協力隊がアフリカを支援することも大変いいと思います。 3点目は、人道的な支援と並んでより重要な具体的な話ですけれども、先ほどから出ていますように、1960年代で考えれば、アフリカとアジアは、社会経済レベルは一人当たりの国民所得でもほとんど同じでした。ところが、今はこんなに広がってしまったのは、もちろんこれはガバナンスの問題もあれ、アジアに対する日本の援助が大きく寄与しているだろうと思います。 だから、アフリカに対して日本型円借款を含めたプロジェクト型の援助を行うということは、私は必ずしも反対ではありません。ですが、他方、今日の大きな議論のテーマになっている一般財政支援が重要だという議論があって、こちらだと、1点目の、今までのやり方とは必ずしも整合性がとれない部分がありますね。これをどう整合性をとったらいいか。つまり、一般財政支援ということは、お金を全部入れてしまうわけですから、「顔」が見えない。そして、日本の発言権がどこまで確保されるのかという問題があります。こういうことで、これは別に質問というわけではないのですが、もし、外務大臣、よろしければ、この矛盾をどのようにお考えになり、どう整理されようとしているのかお聞きしたいと思います。 |
(青山委員) | アフリカが日本をどう思うかというと、旧宗主国ではないということで、遠く感じるかもしれませんが、逆によいこともあると思います。ヨーロッパの国は、どこかで、パターナリスティックというか、開発してあげようという、優位な立場からの視点で見ているのではないかという気がします。その点、日本は、パートナーとしてアフリカの人の力を生かしていけるのではないかと思います。 アフリカでの大きな問題は、頭脳流出だと思います。世銀のような国際機関やヨーロッパなどには、優秀なアフリカ人がたくさんいますが、母国に帰らないのです。優秀なアフリカの人材が、自分の国を開発できるような基盤をつくっていく支援をするのが大切ではないかと思います。 保健の分野でも、たとえば、南アフリカの看護師がイギリスへ出稼ぎに行くといった頭脳流出が起こっており、その理由は、南アフリカではお金が稼げないということなのです。そういったアフリカ人の優秀な方たちが活躍できる基盤をつくるODAを、ぜひやるようにするとよいのではないかと思います。 それから、アフリカでは紛争が繰り返されており、紛争地域では、紛争しか知らずに青少年が育っていることが、大きな問題ではないかと思います。子どもたちの心はすさんでしまっているのですが、それは希望がないからだと思います。私もケニアのスーダン難民キャンプとソマリア難民キャンプに行ってみました。スーダン難民の方は、帰還が少し始まっていて、表情が明るくなっていましたが、ソマリアの方は、難民キャンプの中でも暴力が続いているような状態でした。それはやはり希望がないからだと思います。 開発の希望を与えるような、アフリカの人材がアフリカの開発に携われる視点からの支援は、それこそ日本がアジアで培った経験を生かせるのではないかと思います。 欧米のやり方を学びながらも、日本だからできることを、ぜひアフリカ支援の方針としていけるとよいのではないかと思います。 |
(町村大臣) | その頭脳を戻すためには、どうしたらいいでしょうか。 |
(青山委員) | 中長期的な開発も重要ですし、まず職がないということが問題だろうと思います。 アフリカに残って頑張っている方に聞くと、自分たちの力でやるのだという意思もあるので、そうした人たちをサポートしながら、徐々に自国で頑張っていけるよう、制度的・技術的な面を含めた支援を地道にしていくしかないだろうと思います。 |
(渡辺議長代理) | 難しいところですね。先ほど荒木さんもおっしゃったことですが、私も、首相のバンドン演説のペーパーを読んで一番感銘を受けたのは、AA(アジア・アフリカ)協力を通じたアフリカを支援するという構想だろうと思います。アフリカに対する今の協力、これはどうしても貧困救済に傾かざるを得ません。しかし長期的には、生産力の増強、特に農業生産力の増強がベースにならなければならない。そうでなければ、日本の援助理念が成立しないのではないか。 その点、ASEAN諸国と日本との協力によってアフリカの生産力増強のために協力していく。そのことによって日本とASEANとの絆も強くなりますし、夢がある新しい援助方式ではないかと思います。ぜひ実現の方向で検討してほしいものだと思います。また、中国が登場しアジアの政治関係が複雑になっている中で、日本とASEANとの協力・絆をそういう形で強めていくことも必要です。いろいろなアングルからながめて、AA協力は日本のアフリカ協力のポリシーとして磨き上げていく必要があると思います。 大臣のほうからコメントなり、さらにこういう点を検討しておけという宿題でも投げてくだされば、私ども、いずれまた議論する機会もあろうかと思います。 |
(町村大臣) | とても大きなテーマですから、ここでいっぺんに明確な答えが出るとも思いませんが、大変貴重なご指摘をどうもありがとうございました。 私もあまり知らないから、知ったかぶりをしてものを言うつもりもありませんが、先ほど草野先生が言われた一般財政支援が今求められていることは事実だと思います。けれども、確かにおっしゃるとおり、それをやってもちっとも日本がやっていることも見えないし、むしろ、どうやれば日本の「顔」が見える財政支援が可能なのか。あるいは、「顔」が見えるということはそんなに気にしなくてもいいと割り切るのか、どちらでしょうか。 |
(草野委員) | 一つは、日本の得意な分野に対しては、我々の発言権を確保し、それが一般財政支援になるかどうかという別の疑問が出てくるとは思いますが、自分たちがこの分野に関しては優先的な発言権を確保するというイヤマーク的なやり方があるかと思います。 |
(渡辺議長代理) | 高橋さん、何かありますか。 |
(高橋主査) | 一般財政支援というと「顔」が見えない援助ということになっていますが、そうではなくて、先ほどから先生方が、生産力の強化であるとか、生産力を強化するためには、人的能力なり人間の力を高めなければいけないので、これはみんな絡み合っていることだと思いますけれども、そうした哲学を、例えば貧困削減戦略を作るときに、相手の国に聞いてもらい、それを込めていくという意味では、一般財政支援をして発言権を確保する、これが、日本の「顔」が見えるというよりも、メッセージを表す援助だとお考えいただきたい。「顔」よりもメッセージを示すことによって我々はアフリカに貢献することが一番大事だし、そうしてこそ日本は国際社会で尊敬されると思います。 |
(浅沼委員) | 私は、これはいつも言っているので破れたレコードみたいですけど、「顔」が見えるということは、資金援助と、それをするときの人的投入の比率の関数だと思います。ですから、端的に言えば、ODA要員、特に現地にいる政策要員、ODA要員を増やせば、当然、「顔」が見えるようになってくると思います。 |
(大野主査) | 一般財政支援に関して一言申し上げます。 私も一般財政支援とプロジェクト型援助は必ずしも相反するものではないと思います。日本が重点的にやってきた個別の事業の成果を、政策とか制度に上げていくといったときには、政策面でも発言していく必要がありますし、あるいは、そのために重点的に予算配分をしていくためには、予算と財務管理という観点からもかかわっていく必要があります。欧米のドナーと比べると、日本は現場の経験が非常に豊かです。農業の現場に行く、コミュニティの住民と話す、そうしたことが、今、援助自体があまりにもマクロの政策だけになりすぎてなおざりになっているところもあります。私たちは日本の投入のすべてを一般財政支援しろと言っているのではなくて、日本の強みであるプロジェクトに軸足を置きながら、それを有効に活用するために一般財政支援、あるいは、セクターレベルのプールファンドでもいいと思いますが、どこにエントリーポイントを設けて現場経験と上位の政策・制度をつなぐ支援をするかを考えていくことが必要ではないかと思います。 |
(草野委員) | 一言だけよろしいですか。 先ほど浅沼さんがおっしゃったことを具体的にここで大臣に陳情したいのですけれども、外務省の職員の方はなかなか言いにくいと思いますが、ガーナとケニアで援助の直接に携わっている要員が何人いらっしゃるか。それぞれ有能で、夜も昼もなくそれぞれ大変がんばって、しかも、時差があるので大変な努力ですけれども、例えばガーナでは具体的には3人ぐらいしかいない。しかも、援助協調の国際会議に出るのは専門調査員という博士課程の大変有能な方ではありますけれども、正規の職員の方ではないという状況で、一般財政支援という大事な問題を議論されているのが実情です。これは早急に手当てしていただいて、バックアップ体制を、それこそ人材を増やすことが、浅沼委員が言われましたけれども、顔が見える援助だと思いました。 |
(砂川委員) | 一言だけ。 財政支援援助というお話ですが、これは、いわゆる財政支援がその国の開発上一番有効なやり方だからそれをやろうということですね。ところが、顔が見えるか、見えないかというのは、日本の外交上の問題だと思います。したがって、それを同じレベルで議論することはおかしいと思います。外交上で言うならば、アフリカの開発支援が世界の大きな問題であるがゆえに、そこに一番有効とされている財政支援というやり方に日本も参画すること自体が、日本の大きな顔になるのではないかと思います。 |
(町村大臣) | 顔が見えるということでは、たまたまASEANの会議がラオスで去年あって、今年もまた行くのですが、目抜き通りの整備を、1年かけて中国が全部やったというんです。すごくきれいな街路樹をつくり、公園みたいにして、1年間で、これは中国の援助でやっていますと。日本がやったのは、国際会議場みたいなものをつくって、そこに小さく、これは日本の援助でと。この派手派手しさの違いというか、なるほど、これは顔が見えると。しかし、顔が見えても、目抜き通りがきれいになるのは悪いことではないけれども、でも、この国にとってどういう意味があるのかなと思ったときに、見えないよりは見えたほうがいいだろうけど、目抜き通りをきれいにして何になるのかと。率直にそういう印象は持ちました。だけど、そういうことが上手なんでしょうね、かの国は。 どうもありがとうございました。本当はもっとゆっくりお話を聞きたいところですが、また議論の様子は後で関係者から聞きますけれども、この短い時間でもいろいろと教えられることがありましたし、幾つかのポイントとして、総理大臣がサミットでそのまま使えるようなセリフを幾つかいただいたような気がしましたので、また今後ともご指導いただければと思います。どうもありがとうございました。 |
(渡辺議長代理) | どうもありがとうございました。 それでは、時間も迫ってきております。兒玉さんから、対アフリカ支援についての説明、これは紙が渡っていまして、わかりやすく書かれていますので、ポイントになるところをかいつまんでご紹介していただければと存じます。そのあとに、バングラデシュ国別計画についても残っておりますので、コンパクトによろしくお願いします。 |
(兒玉審議官) | 対アフリカ支援に関する論点も相当整理されたと思いますので、今までに出た議論を念頭に置いて、簡単に論点だけ整理させていただきたいと思います。 資料は、「対アフリカ支援関連資料」ということでポンチ絵等のものと、予算関係では「我が国ODAを巡る現状と課題」の2つをお配りしましたので、これをなぞっていただければ意は伝わると思います。論点の一つは、アフリカ支援の必要性ということです。なぜアフリカかという本日の議論の関係に触れさせて頂き、第2番目の日本の取組みという論点は割愛しますが、3番目に、アフリカ支援に取り組む上で何が課題なのかということで、これについて簡単に触れさせていただきます。 第1点のアフリカ支援、なぜアフリカということについては、この資料の1ページ目にありますけれども、MDGsを達成する上で、サブサハラは今のままではMDGsの達成は覚束ないという意味でオフトラック日が殆どなので、追加的な投入が最も必要であると思います。その根拠としては、本日も議論がありましたけれども、基本的には、エイズの問題、貧困そのものの問題、飢餓の問題があるので、その人道的な観点からも座視できないということで支援が必要であるということが一つ。 その次のページは、平和構築の問題で、平和なくして開発はないという論点かと思います。 では、なぜ、日本国民、日本政府はアフリカを支援すべきかという議論ですけれども、これについては、その答えはODA大綱に取っかかりを求めるべきだと思います。大綱においてODAの目的は整理されております。我が国の安全と繁栄の確保に資することということです。そうすると、大綱が列挙した重点課題、貧困削減、持続的成長、地球規模問題、平和構築、すべて、今アフリカが抱える問題に全く重なります。 それでは地域別シェアをどう考えるか。アフリカ支援はどういうシェアであるべきかが重要な論点だと思います。それについては、資料3をご覧下さい。先ほど大臣は、アフリカも含めて日本のODAは大変努力したということはそのとおりで、その実績はよく出ています。これは二国間のシェアでマルチは入っていませんけれども、ご覧いただきますように、95年から99年まで、全世界に対してODAは大変な額が投入されています。ただ、この青の部分をご覧いただきますと、アフリカについてはそんなに増えていなくて、シェアは一番高くて12~13%から、今は8%まで落ちているという問題がございます。 そこで、アフリカに対してどう考えるかというときに、シェアが落ち込んでいるということであれば、対アフリカ支援の3年倍増ということは新大綱との関係でも十分に正当化し得る政策指針であると言えると思います。 そこで、3点目として、アフリカ支援でどういう国益につながるのかについて、これは先ほど高橋先生、大野先生のお話にもありましたけれども、大きいのは、経済的な相互依存関係ということで、資源エネルギーの確保であるという観点が実は大事で、そこをしっかり認識する必要があります。原油輸出国としては、ナイジェリア、アンゴラ、ガボン等。それから、鉱産物資源の輸出国としては、南ア、ザンビア、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビーク、ナミビア、いろいろございます。既に多くの日本企業が南アに進出しているわけですけれども、ODAによるインフラ整備を通じて日系企業のサブサハラ諸国への進出を支援することは国益であるという議論ができると思います。 それから、当然のことながら、平和の構築ということ。これは日本にとっての安定的な国際環境の形成に資するということ。紛争地図をご覧いただきますと、その次のところに出ているとおりでございます。 それから、国益という点では、最後に、これは大綱の言葉ではありますが、ODAが国際社会の共感を得られる最もふさわしい政策であると言っておりますように、これこそまさに国連の安保理常任理事国入りに対する支持、アフリカ大陸53票は大票田であることも、全体のODAがもたらす、効果、意義と言えるだろうと思います。 飛びまして、今、アフリカでの課題は何かということで、先ほどから、財政支援の議論がいろいろ出ておりましたけれども、恐らく、今後考える上で大事なことは、80年代に構造調整融資が失敗したといわれていること、その大きな原因は、やはりガバナンスということをアフリカ自身がしっかり成し得なかったし、先進国のアフリカ支援はそれを担保し得なかった。その後、90年代に債務の問題が急浮上し、債務をどうするかということでHIPCsシニシアチブが動員されて、それに対するアプローチとして貧困削減戦略(PRSP)が導入されるようになった。このPRSPという包括的な戦略を担保する方法として一般財政支援が有効足り得るべしという議論があって、それが今試されているところです。まだ検証はされていないのですけれども、それが主要な援助手法の潮流として実施されております。 一例として申し上げれば、佐藤局長が先月アフリカのタンザニアに行って、イギリスDFIDとの間で実施したセミナーに参加しまして、一般財政支援のメリット・デメリットというのを議論してまいりました。そのときに、先方の財務次官が言ったのは、タンザニアの経済は、10年前は混乱状態であり、援助も完全にドナー主導、政府はどのセクターでどんな援助が行われているか全く把握できなかったという反省があって、それが今、この財政支援の中で把握できるようになっていると。そして、その一番重要なポイントは、この財政支援を通じて、タンザニアという国の公共財政管理システムが構築され、それを先進国が一緒になって支援し、構築することで、全体的な分野に、生産性がある分野にも資金が流れ、それにより成長を通じた貧困削減につながりつつあると。 そういう一つの流れにイギリスはコミットしていて、これも数字だけですが、イギリスは今後10年間、タンザニアに毎年200億円もの財政支援を投入することを表明しております。そういうことが今アフリカでは行われています。それに対して日本がどうするかは、まさに今考えなければいけない点であります。この点もぜひ我々はフォローして、これから議論をして方針を打ち出していきたいと思っております。 ODA予算については大臣から申し上げたとおりですけれども、今、外務省としては、大臣の陣頭指揮の下で6月下旬には決定される骨太の方針の中でODAの増大方針が明らかにされるよう、精力的な取組みを行っております。引き続き戦略会議の委員の先生方のご理解、ご協力を賜りたく、よろしくお願いしたいと思います。 |
(渡辺議長代理) | ありがとうございました。 皆様からコメントや質問もおありに違いありませんけれども、時間がかなり迫っておりますので、簡単にお願いします。 |
(磯田委員) | 今のご説明の中で、なぜ日本がアフリカという中に、ODAによるインフラ整備によって日本の企業の云々かんぬんがありましたけれども、ここで言っている国益というのは、国際益も含めて広い意味の国益であることを確認しているわけで、企業云々という言葉がそこで出てくるのはいかがなものかと思います。その国の経済の発展にということであれば、私は納得いきますが。 |
(渡辺議長代理) | 兒玉さんから何かありますか。 |
(兒玉審議官) | 1点だけ。インフラの重要性はアフリカでも変わらないと思いますし、私どもがこれからNEPADで、例えば国境をまたぐ幹線道路の支援とか、国境河川をまたぐ橋梁の建設とかいうことが議題に上がっていますので、それを日本としても支援すべきだろうと考えます。申し上げたかったのは、そうすることが、当然、これから進出を考えている日本企業にもプラスになるということを、そういうロジックといいますか、つながるということを国内的に、日本国民、我々自身が知らないと、なぜアフリカかというところの説明ぶりが弱いのではないかと。そういう考え方もあることをお示ししたつもりでございます。 |
(渡辺議長代理) | よろしいですか。 |
(草野委員) | 兒玉審議官は、直接そうは言われませんでしたけれども、今日の議論の中で、一般財政支援に関しては、何人かの方から、入場料だから払うのは当たり前という議論がありました。これはやはりちょっと乱暴ではないかと思います。というのは、国民の多くは、一般財政支援というのは、先ほど、顔が見えるというご説明があったけれども、やはり透明性という点でやや疑問が残るところがないわけではない。タンザニアの成功例があるわけですから、具体的に、どうやって透明性が確保できるのかをきちんと説明する。これから一般財政支援を行うと予定されている幾つかの国々についても、どうやったら透明性が確保されるのか、日本の国民に対して、納税者に対して説明できるスキームを提示しない限りは、なかなか理解は得られないと思います。入場料だから当然だということでは無理があるかなという感じがします。 |
(渡辺議長代理) | 大野さんも別にそういうふうに言っているとは思いません。 今日は時間の配分がなかなか厳しい。特に一般財政支援について、今、草野さんが出したテーマ等を含めて、もう少し精細な議論をやるべきかもしれませんけれども、残念ながら、このあたりで打ち切らざるを得ません。このテーマは、日本のODAがアフリカへ少しずつ重心を移していくにつれて、だんだん精緻な議論をしていかなければならないでしょう。本日が最後ではありませんので、次に進ませていただきたいと思います。 対バングラデシュ国別援助計画についてです。山形辰史さんにはすっかりお待たせしてしまったことになりますけれども、中間報告を、資料4に基づいてしていただき、その後、ディスカッションに入りたいと思います。 山形さん、よろしくお願いします。 |
(山形主査) | アジア経済研究所の山形です。どうぞよろしくお願いいたします。 バングラデシュは、南アジアの最貧国です。今回の報告は2回目で中間報告ですので、簡単に要点だけをお話ししたいと思います。現段階で、現地タスクフォースと東京タスクフォースの間で国別援助計画を一通り、最初から最後まで書いてみてはいるわけですが、まだまだ詰めるべきところが多いということで、今回はその中のエッセンスを取り出したものをお配りしています。作成に当たって大事にしていることは、これは日本国民に向けてということが第一義的ですけれども、同時に、英訳して、バングラデシュ国民、ドナーに全く同じものを見せられるようなものと、それから、メッセージの伝わりやすさを大事にして作成しております。 もう一つ考慮していることは、先ほど来お話に出ている選択と集中にかかわるかと思いますが、まずは、バングラデシュ側のニーズを把握し、その上で、ほかのドナー、バングラデシュ政府が何をやっているかをその中に位置付けた上で、日本の優位性も勘案しつつ、分担という形で日本がどこの部分を担当していったらいいのかという形で考えてこの中間報告といいますか、国別援助計画をつくっております。 構成としては、「はじめに」がありまして、その後、「バングラデシュと日本」のところが、主として日本国民に向けた、日本にとってバングラデシュはどういう国であるのかと。他の援助計画でいうと援助理念に当たります。その後、「2.バングラデシュの開発を巡る状況」ということで、政治、経済、社会状況を概略しまして、バングラデシュの開発ニーズについて確認します。その後、2.2の中で、バングラデシュ政府、日本のこれまでの援助、現在の他のドナーの援助状況を把握していこうと。3.に、それらを踏まえて援助方針を書いています。 「はじめに」の部分がこの援助計画のメッセージ的な部分になると考えて我々は重視しております。まず、バングラデシュの現状をどう理解しているかということですけれども、成長を続ける最貧国であると解釈しております。その意味は、成長はここ10年ほど4~5%、96年度以降に限定すると5%以上の成長をしていますけれども、生活水準、人権面などの絶対レベルは低く、最貧国としての側面も併せ持っているので、援助としても、開発計画としても、両面作成でいかなければいけない。成長を続けるために開発を続けて、経済を拡大して雇用を増やす形の取組みが必要であると同時に、貧困対策が必要である。そういう認識です。 そういう認識に基づきまして、3つの柱を出しています。それは、成長、社会開発、ガバナンスです。恐らく、このガバナンスを打ち出すことが議論の一つの大きな焦点になるのではないかと思いますけれども、背景として、今年6月をめどにバングラデシュの貧困削減戦略文書が策定される予定になっています。それを踏まえた形で、日本も、他の主要ドナー、世銀、ADB、DFIDなども、大体同じころに開発援助計画をつくる予定になっておりまして、どの国、どのドナーも、ガバナンスがこの国にとって非常に重要であると認識しております。 また、一つのガバナンス指標である汚職状況について、昔からその指標を出しているTransparency International(独のNGO)によりますと、バングラデシュは、過去3年間、その対象国の中で汚職指標で世界最下位に位置付けられてしまっています。逆に言うと、その中でもそこそこの経済成長は遂げており、そこそこの貧困削減をなしており、そこそこの社会指標の改善をしているのだけれども、そういう問題がまだ残っているということです。 そして、もう一つの大きなイシューは、バングラデシュ政府自体も、現在では、ガバナンス問題の重要性を認識するに至っていることです。ということで、ここに日本がガバナンスについて何も言わない場合には、意図して言わないように聞こえるということです。そういったようなことで、このガバナンスも3つの柱の一つとして、バングラデシュの自助努力を支援することを念頭に置き、この計画を立てています。 |
(渡辺議長代理) | 山形さん、どうもありがとうございました。 中間報告ですから、この辺を強調してほしいとか、その逆とかのご意見があれば、2~3承っておいたほうがよろしいかと思います。いかがでしょうか。 |
(大野委員) | 重点セクターの絞り方です。経済成長と社会開発、人間の安全保障、ガバナンスを入れたらほとんどみんなだと思いますが、その中でどう絞るのかという方法論。これを全部そのまま書いたのでは、何をやってもいいことになりますから、それをどのように考えておられるのかお聞きしたいと思います。 |
(青山委員) | 私も短く1点だけ、ガバナンスと関連してのご質問です。バングラデシュではNGOが非常に発達しているとのことで、BRACなどは強大な組織だと聞いております。そうするとある意味二重のシステムになっていて、政府以外の大きなNGOが、とくに社会開発の分野では、動いているのではないかと思われます。NGOとの協調や役割分担、ガバナンスの中でもNGOとの関連について、そのあたりはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 |
(伊藤委員) | 今日の資料では触れられていないのですが、バングラデシュは自然災害が多い国ですね。特に繰り返し起こる大洪水など、ネパールの禿山となったヒマラヤ山地との関係を切り離すことはできないと思います。この国境を越えた自然災害に対する対策については、バングラデシュ国別援助計画ではどのようにお考えなのか、お聞かせ願えればと思います。 |
(渡辺議長代理) | それでは、山形さん、お願いします。 |
(山形主査) | どうもありがとうございました。まず、大野先生のご質問ですけれども、先ほど、私も、選択と集中というもののバングラデシュにおける適用の仕方ということでお話しいたしましたけれども、例えば、ガバナンスを例にとってお話しさせていただきますと、ガバナンスの中でも、バングラデシュ側が必要と考えている項目が幾つかありまして、調達管理、公務員制度改革、警察改革、セクターガバナンス、ローカルガバナンス等ありますが、その中で、既に他のドナーがやっているもの、あるいは、やろうとしているもの、これが世銀やADB、DFID等々行っているものを位置付け、その中で、バングラデシュ側が必要と思っているけれども、ほかのドナーがやっていないところはどこか。また、日本のこれまでの援助の中で、ほかの国でやったことがあるのはどこかということを整理しまして、その中から選ぶという方向でやっておりますので、これはガバナンスの例をとって申し上げましたが、セクターとして、先ほど、アフリカに関して保健・教育の例が出ましたけれども、日本は、バイのドナーでトップで、全体では世銀の次の2番目という国で、オールラウンドでバングラデシュに援助してきたものですから、急に、ここは切るということもしにくいこともあります。特に、セクターの中で選択を考えていくべきだというポジションです。 青山先生のご質問で、NGOについてですけれども、特に政府が支援を受けないということでドナーから直接NGOにお金が入ることもありますし、保健部門であれば、GFATMのお金が直接援助に入ることもあります。一方、バングラデシュは、中立的な選挙管理内閣の下で総選挙が実施されます。また、主要国のほか、国内外のNGOも選挙監視団を派遣するなど、その存在感は大きく認識されており、ただ対立するというよりも、幾分ですが、同じ方向にという意識もあって動いていると理解しております。 それから、伊藤先生のご質問の中の自然災害については、洪水については毎年のことという認識で、サイクロンは数年に1回大きく来るという認識で、計画の中にも災害対策は大きく取り上げていますし、例えばサイクロンのシェルター援助についても具体的にプロジェクト等を実施しております。国際河川のところは、開発計画とは別のところでマネージされていたと思います。 |
(渡辺議長代理) | ありがとうございました。 あと2点残っています。まず牟田先生からの報告を簡単にお願いしたい。最後の、16年度に円借款を供与した国の経済・財政状況について兒玉さんからご報告を伺う予定でしたけれども、大変わかりやすい資料がお手元に配布されていますので、これを見ておいていただければ十分だと思いますので、これは恐縮ながら割愛させていただきます。 牟田先生はODAの評価有識者会議の主査をなさっております。その関係で、評価について、お手元の資料に基づいてお話をお願いいたします。 |
(牟田委員) | それでは、時間がありませんので、資料5に基づきまして簡単に説明させていただきます。 今、お話がありましたように、外務省では、政策レベル及びプログラムレベルについて第三者評価を行っております。ODA評価有識者会議がその仕事をすることになっております。平成16年度は、お手元の資料にありますように、国別評価として、バングラデシュ、ラオス、ウズベキスタン・カザフスタン、エチオピアの4件の評価を行いました。重点別課題別評価として、教育関連MDGs、保健関連MDGs、対人地雷支援評価を行いました。スキーム別として、調整融資のレビューを行いました。 これらの報告書はすべて出来上がっておりまして、その中に、分析と同時にいろいろな提言が書かれております。提言につきましては、外務省のほうで、個々の提言に対する対応策を考えていただきまして、それをこのODA評価有識者会議に報告をしていただくことになっております。さらに1年後には、このODA評価有識者会議に対して、対応策がどう実行されたかを報告していただくということになっています。このように、こういった評価が、言いっぱなし、聞きっぱなしにならないように、フィードバックがきちんとされるような仕組みに現在はなっております。 平成16年度の評価につきまして、提言がついているのは最初の7件です。これは、それぞれの評価について細かく書いてありますが、それを大きくまとめると大体同じようなことを言っているところがありまして、1項目の下にまとめてあります。1番目は、戦略的・効果的・効率的な援助ということです。戦略性が必要ということは、その当該国に対する経済協力の意義が政策文書の中に十分に書き込まれていないということです。なぜ、その国に対してこれだけの額の援助をしなければいけないかについては、きちんとした形で政策文書の中に書き込んでおく、国別計画があれば、当然、その中に書き込んでおくべきだという提言です。 それから、成果の重視ということです。いろいろなプロジェクトをやることはよろしいのですが、それは一体何のためにやっているのかということを考えなくてはなりません。戦略性とも関係することですが、やはり上位目標、あるいは、上位目標を具体的にした中間目標、そういったようないろいろなレベルの目標の体系が計画の中に示されている必要があります。評価しろといっても、そもそもの目標体系がなければ評価のしようがないわけですから、その目標を決めて、そして、その目標を達成するためにプロジェクトをやるという意識でやらなければ成果は出ないということです。 特に、MDGs関連の評価をやった関係もあります。MDGsは目標がはっきりしているわけで、個々のプロジェクトが目標に対してどう結びつくかということのロジックがしっかりしていなければいけません。当然、そのためには、効率的な援助が大事になります。 2番目は、援助能力の強化、事業の質の確保、そのための援助スキームの改善・柔軟化ということです。ものによっては、ニーズに即して援助をしているというよりは、スキームに基づいて援助をしている、成果を中心に考えるのではなくて、インプット重視になっている、そういうものもあります。 1ページめくっていただきまして、これは特にMDGs関連の評価をしたことにもよりますが、無償資金の協力について改善すべき点があるのではないかということを述べています。例えば、質が高いものを少しつくるのであれば今のやり方でもいいのですが、就学率を上げることに対しては、小学校をたくさん作ることが大事になります。この場合は質が少々低くてもいいから数をたくさんつくらないと就学率は上がりません。今の無償資金協力のやり方では、質が低くてもいいからたくさんつくるようなことには、スキームとしては合っていない。本来であれば、有償のような使い方ができる無償の援助の仕方があればいいのですが、こういうものがないという状況で、特に、MDGs、ベーシックヒューマンニーズといったようなものの関連で、借金ではなくて無償であげるのだということの中で、成果を上げていく、量を確保するということであれば、もう少し援助の方法や運用に工夫の仕方があるのではないかということです。 それから、援助の手続きの調和化、簡素化、これは先ほどのお話にも出たことですが、こういうことも大事でしょう。あるいは、そうした意味で、草の根無償資金は使い勝手がなかなかよろしいのですが、規模が小さいです。先ほどの学校のような話で、草の根無償をたくさん集めれば、安くてたくさんできるのではないかということですが、そうすると、これはなかなか管理ができないことになります。それは、下にもありますが、先ほど草野委員からもお話がありましたけれども、現地機能の強化が必要であっても、援助の要員があまりいない。そういう中で、草の根無償資金のような、小規模で使いやすいものをまとめてパックにし、企画もし管理もするということであれば、これはもうお手上げの状態になります。援助を増やすであれば、人材の増員、現地機能の強化も考えなければいけないということであります。 3番目は、ドナー協調に対する柔軟な対応ということで、これも先ほどから議論が出ていることです。財政支援、コモンバスケット、こういうものについて、どうしても参加をしなければ日本の援助が展開できないような国、分野もあります。そういうものに対して、従来のやり方ではなくて、一歩踏み込んだ考え方も大事だろうということです。 それから、ドナー協調の一環として国際機関を活用するということもあります。特に、特別拠出金をつくって、イヤマークをつけた形で国際機関と協力することも大事です。この場合、評価は国際機関任せということになっていますが、その場合に十分な評価ができていないという指摘もありますので、これについても考えましょうということであります。 それから、いろいろな援助の仕方がある中でも、上位計画、キャパシティビルディング、こういった上流のところに対する支援がどうしても大事になります。その中で、政策協議、対話を重視する、あるいは、上位計画の中でも財政基盤強化、こういうものに対する支援もこれからはもっと協力しなければいけないということでございます。 1枚めくっていただきまして、5番目です。世界的な動きの中で、やはりベーシックヒューマニズムに対する支援の強化はどうしてもやっていかなければいけない。その中で、まずその量を増やすことが大事であるということです。MDGsの評価をしたわけですが、MDGsの達成については、日本政府も約束しているわけですから、評価をすれば非常に多くのプロジェクトがMDGs達成のために新規に開拓された、あるいは、量が増えたということがわかるのかと思ったのですが、現実にはなかなかそうではありませんでした。達成の約束をしたことと、現実的に出ているお金の額が簡単に比例しているわけではありません。ですから、もう少し、MDGsということを、国際約束するのであれば、そういうものを個々の援助の中に見えるような形で染み込ませていくことが大事だと思います。 例えば日本の援助によってMDGsがどれだけ上がったか、MDGsの個々の目標がどれだけ上がったか。これはもちろん実測不可能です。では、少なくともMDGsの目標達成に向けて日本がどれだけのインプットを増やしたかということを調べようと思ったのですが、なかなかそういった統計はありません。例えば、教育とか保健・医療といっても、すべてのプロジェクトがMDGsだけにやっているわけではなくて、MDGsの目標にも役立つでしょうけれども、そのほかのものにも役立っている。では、そのプロジェクトのアクティビティのどの部分が、直接この目標のために使われたかということを調べても、そうしたような費目の分類になっていません。やはりMDGsが大事で、目標が上がったことに対してどのくらい貢献したかは難しいにしても、これをどのくらい増やしたか、これに対してどのくらいの努力をしたかがもう少し示せるような工夫がないのかなと思われます。 それから、少し個別になりますが、地域間、地域内の協力促進、分野横断的課題への配慮、こうしたものが提言として出ております。 こうしてまとめてみますと、何もこれは平成16年度の評価だけに特徴的なことではなくて、今年度もまた8件の評価を行いますが、多分、今年度やっても大体同じようなことが出るのではないかと思います。ODA一般に対する傾向がこの中にあらわれているのではないかということでご紹介させていただきました。 |
(渡辺議長代理) | 牟田先生、どうもありがとうございました。 円借款を供与した国の経済財政状況については資料をご覧いただくことにとどめます。 |
(砂川委員) | その点ですが、たしか戦略会議でどういう事項を取り上げていくかということを議論したときに、供与するシステムとか制度について一回議論しようということだったと思います。円借款供与はその一つの大きなテーマだろうと思いますので、そのときのテーマの中の一つとしてやっていただいたほうがいいのではないかと思います。 だから、これはこれでやったのだということにしないで、ご報告はお受けしましたということで、それを一回議論しましょうということにしていただければと思います。 |
(渡辺議長代理) | とてもよくわかります。アフリカ支援についても、まだ議論が十分に煮詰まったとは思いませんし、これもさらに続けなければいけないと思っています。その他、MDGsとか、今おっしゃった円借款の供与方式に関する問題、その他いろいろ残っている点がありますので、議論の手続きについて私と事務局で検討しておきます。砂川さんがおっしゃったようにお受け取りくださいませ。 次回の日程について申し上げますが、事務局と皆様方の調整を図って、そして追ってご案内を差し上げることにしたいと思います。 時間もありませんでしたので、本日は少々乱暴な議事進行をやりすぎたかなという感じがしますけれども、ご寛容お願いいたします。 |
(磯田委員) | MDGsの目標に関して、外務省の方で調書を作成していると聞きましたが、どのような状況でしょうか。 |
(渡辺議長代理) | いかがでしょうか。 |
(岡庭開発計画課長) | 委託調査という形で進めているもの自体はまだ完成していないのですけれども、しかるべきタイミングでご報告したいと思っております。 |
(渡辺議長代理) | それでは、以上で終わります。ご協力、ありがとうございました。 |