平成13年5月23日
外務副大臣の杉浦正健でございます。田中大臣が国会の都合でどうにも出席できないということで、私の方からご挨拶させていただきます。本日は、お忙しいなか、「第2次ODA改革懇談会」第1回会合に御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
さて、平成10年1月に第1次ODA改革懇談会の提言が出されてから、3年以上が経過いたしました。その間、提言に沿ってODAの改革は着実に行われては来ました。例えば、ODA中期政策や国別援助計画の策定、民間モニター制度の新設など、具体的な成果も挙がっております。
しかし、今日、ODAを取り巻く国内的、国際的環境は大きく変化しております。国内においては、我が国の厳しい経済、財政状況の下で国民のODAに対する見方には非常に厳しいものがあります。そのような中で、現在の限られたODA予算をより効果的、効率的に使うために一層の努力が求められております。
また、世界に目をむけますと、急速なグローバル化の中で、環境、IT、感染症などの分野において新しい援助のニーズが生じてきております。
このように、ODAを取り巻く国内的・国際的環境が大きく変化している現在、ODAに対する国民の理解と支持が得られるよう、更なる改革を行うことが急務となっております。
奇しくも、先月、改革断行内閣として小泉内閣が誕生いたしました。ODAについても「構造改革」が求められております。さらには、今年は21世紀の最初の年でもあります。委員の皆様におかれましては、新世紀にふさわしいODAのあり方を見据えて、活発なご議論を通じ、ODA改革について幅広い御提言をいただければ幸いでございます。
なお、私は若い頃からODAの問題に取り組んでおり、若干私見を申し上げたいと思います。
ODAを取り巻く国内外の環境は様変わりしております。小泉内閣は財政構造を聖域なく見直すとの断固たる決意を表明しており、来年度の国債の発行を30兆円に抑制し、歳出を最低3兆3千億円切り込む旨言明しております。まだ具体的にはなっておりませんが、ODA予算についても見直しを求められることは間違いありません。ODAの中にも伸ばさなければならない部分もありますし、切り込むところは切り込まなければなりません。短期的には、来年度予算編成作業が始まる夏までには考えをまとめる必要があると思います。本懇談会においても、切り込む部分と伸ばす部分を検討して、早期に具体的提言を出して頂ければと思います。
また、我が国は専守防衛の大国であり、ODAは我が国の外交にとって最も重要な手段です。我が国は、戦後50年、世界から様々な恩恵を受けて素晴らしい国に成長しました。我が国が、世界に恩返しをして必要な協力を実施することは大切なことであり、ODAは途上国を中心とする世界の様々な問題に対して効果的に機能することが重要です。この点は、私が師と仰ぐ福田赳夫元総理もかねがね申しておりました。海部内閣の際に策定されたODA大綱にも明記されている通り、人口爆発は最大の問題の一つであると考えております。この問題への努力を怠る国には、我が国としてもそれなりの対応をしなければなりません。また、国力不相応の軍備を備えている国があることも問題です。軍備の抑制を怠るような国に対して協力を行うことは好ましくありません。第19回OBサミットでシュミット元独首相も強調された通り、ODAは人口爆発の抑制及び軍備の抑制にも資するものでなくてはなりません。私もこの点は重視すべきであると思っております。
21世紀のODAの在り方について、21世紀の初頭に賢人である皆様に知恵を出して頂くのがこの懇談会であると考えております。21世紀の外務省の政策に十分資するようなご提言を頂けますようご協力をお願い申し上げます。