ODAとは? ODA改革

「第2次ODA改革懇談会」(臨時会合の概要)

「第2次ODA改革懇談会」事務局

本懇談会では、ODA改革に関する幅広いご意見を募集しております。
ご意見は、odakaikaku@mofa.go.jp又は03-5776-2083(FAX)までお寄せ下さい。

1.日時

 平成13年7月11日(水)10:00~12:00

2.場所

 外務省892号会議室

3.議題

 (1)ODA予算についての意見交換
 (2)中間報告についての意見交換

4.出席者

 懇談会メンバー(ただし、五百旗頭真神戸大学法学部教授、小島明日本経済新聞社常務取締役・論説主幹、小島朋之慶應義塾大学総合政策学部教授は欠席)。外務省から、植竹副大臣、山口大臣政務官他が出席した。また、関係府省庁、JICA(国際協力事業団)及びJBIC(国際協力銀行)がオブザーバー参加した。

5.議論の経過

(1)ODA予算について

 ODA予算の現状について事務局より説明の後、意見交換が行われた。委員の主な意見は以下の通り。

  • ODA予算が各省庁にまたがる中で、ODAの調整権限を有する外務省は、どの程度総合調整を行っているのか。外務省の総合調整機能を強化すべきではないか。
  • 国際機関への拠出金は、複数の省庁が所管しているが、誰が政策決定をして、その効果をどのように評価しているのか不透明である。国民に対しても開示されていない。また、バイの援助との関係が分からないものも多い。
  • 各省庁の技術協力は、政府として一つの戦略があって行われていれば良いが、各省庁からたまたま出てきたものもあるのではないか。大きなテーマで括りを設けて、その中で各省庁が何をできるかを考えるべきではないか。
  • 国別援助計画を作る際、外務省がとりまとめ役となっているが、各省庁が行っているODAが国益に資するものかどうかを、外部の有識者も入れて確認しながら作成していくべきではないか。
  • 輸出信用(非ODA)はODAに匹敵する規模であるが、輸出信用の実態は不透明である。また、ODAと非ODAがどのように調整されているかのかも不透明である。ODAと非ODAの関係については、議論の余地がある。
  • 日本のODAの中で「借款」の割合が大きいが、「借款」と「贈与」の割合はこのままで良いか、検討が必要である。
  • 円借款は途上国の自助努力とも背中合わせであるため、そう簡単には、ODAを全て贈与にしても良いという問題にはならない。
  • 世界的に債務救済の圧力が強まっている。債務救済無償は外務省の所管であるが、借款に起因する債務救済圧力を機関として吸収できる仕組みをJBIC自体の中に作らないといけない。必要であればJBICへ資本注入して、JBICの財務体質を改善すべし。
  • ODA予算が削減されたとしても、援助要員の増加は不可欠である。特に、途上国の政策に関与できる専門家を増やすべきである。これによって援助の質を向上させることが出来る。
  • 聖域なき構造改革は、政策として支持したいが、内向的なことによって外向的な判断を誤るのは自滅的である。質を改善しつつ、ある程度の規模を確保することが重要である。ODA予算は、他の予算と横並びで一律削減するという考え方にはなじまない。
  • 財政状況が厳しい中、ODAが聖域かどうかを考えることは当然であるが、行わなくてはいけない議論は、他の領域とのバランスである。バランスを考えた場合、ODAの削減は他の領域よりも低く抑えるべきである。平成13年度予算において、ODAは公共事業費、防衛費より削減率が大きかったことは、定見を疑わざるを得ない。


(2)中間報告について

 「ODA改革に関する主な論点」(これまでの議論において提起された主な意見を、とりあえずキーワード的に列挙したもの)を基に、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

  • 日本はODAの量的拡大をしてきたが、日本の持っている力に比べ戦線を拡大しすぎている。出来ること、出来ないことを整理する必要がある。
  • 聖域なき構造改革の中、ODAも聖域ではないとの大前提に立っているが、果たしてそうか。大前提についての議論が必要ではないか。将来に渡る問題も踏まえつつ、改革の議論を行う必要がある。ODAは日本の外交にとって重要との点をもう一度確認したい。
  • 何故ODAを推進するかという理念が曖昧である。国民にきちんと分かる形でアピールすべきである。国益自体は悪ではないにもかかわらず、国民の間に嫌悪感があるのは、どのような国益を追求するのか分からないためではないか。
  • 国民の参加は重要であるが、その前に、ODAに対する国民の理解が不足しているのではないか。国民の理解を深めるためには、どうするかが重要な点である。
  • ODAホームページで募集している国民の意見は、懇談会にどのように反映していくのか。また、ODAホームページで幅広く意見を募集しているという事実はどのぐらい知られているのか。国民の意見に対するフィードバックを考える上で、パブリック・フォーラムの開催は一つのアイデアではないか。
  • 財政が厳しい中で何故援助を行うのかという点は、国民の大多数の疑問である。このような国民の単純な疑問に答えていくことが重要である。海外との共生、地球市民としての責務を分かりやすく国民に投げかけることによって、国民一人一人が参加を考える国民的運動を作っていくことができるのではないか。
  • 海外との共生なくして、日本の経済・社会は存立し得ない。この点は、今後も引き続き維持していくべきであり、日本が踏み外してはいけない基点である。これをどう発信していくかを考えることが重要である。
  • 国によってニーズは異なっており、それに対応する形でODAを出すべきである。支援してあげるのではなく、相手国にとっても、日本にとっても利益となる形で、「目線の合ったODA」を進めることが、日本にとっての国益となる。
  • 国益論、外交戦略論は強調すべきではない。前面に出すべきものは、国際社会の中の日本である。国益論は、国別援助計画を強調することによって自然と出てくるものである。
  • 貧困削減であれ、経済成長であれ、途上国のニーズへの対応を強調すべきである。
  • 国別援助計画の作成プロセスは、ドナー主導となっているので、それをなるべく抑えて、被援助国のニーズを特定して、それに対応するようにすべきである。
  • ODAを金融的資源よりも人的資源へシフトさせることは委員の間で共有されている感覚ではないか。援助要員の増加、権限委譲、現地事務所の機能強化は強調すべき点である。
  • 国益は前面に出すべきではない。日本の利益のための援助ならば援助ではないし、感謝されない。貧しい人を助けることによって、海外から尊敬されることが、長い目で見て日本の利益となる。他方、援助は慈善ではない。援助はやるべきことであり、日本としてやるべきことをやることが、日本の長期的な利益につながる。
  • 海外との共生は重要だが、この点は日本に限らず、多くの国に当てはまる。地球市民という考え方は良い。世界中の余裕のある国が援助をすべきである。

6.次回会合

 次回会合(第5回会合)は7月17日(火)10時から開催し、「国際的な連携の強化」について議論を行うとともに、中間報告について引き続き意見交換を行うこととなった。

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