ODAとは? 実施体制・援助形態

無償資金協力審査ガイドライン
(暫定版)

平成16年8月


I.基本的事項

1.目的

 本ガイドラインは外務省が無償資金協力を実施するにあたり、案件の発掘形成段階から案件の実施、さらには実施後の監理の各過程において、環境社会配慮を含む適正な事業の実施のために行うべき審査の視点及びその手順を示すことを目的とする。

2.適用範囲

 本ガイドラインを適用する無償資金協力は一般プロジェクト無償及び水産無償とする。なお、一般プロジェクト無償の中でも、業務の実施方法が異なる国際(地域)機関を実施機関とするもの(広域開発無償、感染症対策無償、子供の福祉無償の一部)は除く。

3.ガイドラインの適用と改訂

 本ガイドラインは当分の間(平成16年 月から1年間程度)、試行的に適用するものとし、本ガイドラインについて、日本国及び被援助国の政府関係者、コンサルタント等の法人、団体、専門家、NGO、その他一般の方々等の意見を聞きつつ、必要に応じ見直しながら実施する。
 試行的に適用する期間における関係者等の意見等を踏まえ、所要の改定を行って本ガイドラインを本格的に適用することとするが、その後も透明性を確保しつつ、必要に応じ改定を行うなど柔軟に対応するものとする。

4.無償資金協力業務の流れ

 ガイドラインを適用する一般プロジェクト無償資金協力、水産無償資金協力の業務の流れは図1のとおりである。

5.環境社会配慮

 本ガイドラインは、無償資金協力の実施にあたり、各段階における審査の項目、内容、方法、留意点等を示すものであり、当然、環境社会配慮が審査の中で重要な項目であることは言うまでもない。
 他方、平成15年度にJICAにおいて環境社会配慮ガイドラインの改定が行われた。この改定にあたっては、当省を含む日本国政府関係者、コンサルタント団体等の法人、専門家、NGO等の委員からなる委員会(すべて公開)によって提言が取りまとめられた。JICAはこの提言に基づき、透明性を確保しつつ、平成16年4月にガイドラインを改訂した。このJICAの環境社会配慮ガイドラインはJICAが実施する無償資金協力の事前の調査も適用の対象としている。
 このように、JICAの環境社会配慮ガイドラインが既に関係者の英知を集めたものであること、外務省のガイドラインとJICAのガイドラインは基本的な部分で一貫性が担保されていることが望ましいことから、外務省は基本的にJICAのガイドラインを準用することで外務省の環境社会配慮ガイドラインとする。したがって、環境社会配慮についての個別のガイドラインを作成することはせず、本ガイドラインにおいて、無償資金協力全体の審査のどの段階でどのようにJICAのガイドラインを適用するかについて示すこととする。





II.審査の視点と手順

1. 要請案件の審査

(1)要望調査

 無償資金協力を行う開発途上国から、ニーズを踏まえた新たな案件の要請がなされるよう、毎年度在外公館を通じて要望調査を実施する。要望調査にあたって在外公館が留意すべき事項は以下を基本とする。

(イ)一般的留意事項

(a)政府開発援助大綱(ODA大綱)、国別援助計画等、上位計画等との整合性の確保
 政府全体として一体性と一貫性をもってODAを効率的・効果的に実施すべく、国別援助計画策定国については、援助計画や最近の協議結果を踏まえる。また、その他の国も含め日本国政府の援助の重点分野との関連から選択的、集中的に案件発掘を行なう。
(b)当該被援助国の援助需要との整合性の重視
 当該被援助国の援助需要(国家開発計画、開発戦略上の重点分野(貧困削減戦略ペーパー(PRSP)やセクタープログラム(SP)が策定されている場合にはこれらを含む)との整合性が高い案件を精査し、選定する。個別案件を「総花」的に取り上げることは回避する。
(c)効果的案件の形成
 上記(a)、(b)を踏まえ、メリハリのきいた支援の実施に留意し、同時に日本の知見等にも留意しつつ、各種無償スキームを活用し、有効な援助案件の形成に努める。
(d)受け身ではない積極的な案件形成とスクリーニングの強化
 優良案件の発掘には、まずは先方政府経済協力(無償)窓口機関及び関係省庁と在外公館(現地ODAタスクフォースが設置されている国においては同タスクフォースを積極的に活用する。)との間で十分意見交換を行い、先方政府の真のニーズを把握し、積極的に情報収集を行なうのみならず、先方政府が右に基づき案件形成を行う際には適宜無償資金協力システム及び技術等の助言を行う等積極的に案件形成に取り組む事が望ましい。またプロジェクト形成調査、開発調査や予備調査を積極的に活用することも望ましいので、かかる調査との連携に十分留意する。加えて、先方政府、在外公館及びJICA事務所との間で調整を図りつつ十分なスクリーニングを行い、候補案件を絞り込む。

(ロ)案件の目的の明確化

 案件の目的に対し特定の技術・方法のみが採用されている案件については、その背景を調査し、特定企業に利することのないよう目的の明確化を図るよう留意する。

(ハ)案件形成に際しての留意点

(a)ニーズの把握
 書類による検討のみならず、実際に要請案件を確認すべくサイトを訪問するなどして、先方のニーズに関しての説明を受けると共に、現状から真のニーズを把握することに努め、案件内容を十分検討する。
(b)先方の能力
 用地の確保、先方負担分の予算確保、工事実施能力、維持管理能力等にかかる情報を得るとともに、十分留意をする。
(c)環境や社会問題への配慮(下記参照)
(d)他の援助スキームあるいは他ドナーによる支援との関係
(e)技術協力との連携の有無、必要性
 日本国政府による技術協力との連携あるいはソフト・コンポーネントの活用に最大限配慮し、可能な限り無償案件(特に機材案件、人材育成機関等の案件)を技術協力またはソフト支援と組み合わせる方針で案件を形成する。
(f)有償資金協力との連携の有無・必要性
 日本国政府による有償資金協力との連携に最大限配慮し、可能な場合には無償案件(特に人材育成機関等の案件)を有償資金協力と組み合わせる方針で案件を形成する。
(g)過去の類似案件の確認
 維持管理体制及び実施状況、施設運営効果発現等に留意する。


註)要請書のひな型は別紙のとおり。

JICA環境社会配慮ガイドラインの抜粋

【環境社会配慮の項目】
  1. 環境社会配慮の項目は、大気、水、土壌、廃棄物、事故、水利用、地球温暖化、生態系及び生物相等を通じた、人間の健康と安全及び自然環境(越境または地球規模の環境影響を含む。)並びに非自発的住民移転等人口移動、雇用や生計手段等の地域経済、土地利用や地域資源利用、社会関係資本や地域の意思決定機関等社会組織、既存の社会インフラや社会サービス、貧困層や先住民族など社会的に脆弱なグループ、被害と便益の分配や開発プロセスにおける公平性、ジェンダー、子どもの権利、文化遺産、地域における利害の対立、HIV/AIDS等の感染症を含む。
  2. 調査・検討すべき影響は、プロジェクトの直接的、即時的な影響のみならず、合理的と考えられる範囲内で、派生的・二次的な影響、累積的影響も含む。また、プロジェクトのライフサイクルにわたる影響を考慮する。
  3. 環境や地域社会に対する影響を事前に把握するには関連する様々な情報が必要であるが、影響のメカニズムが十分に明らかになっていないこと、利用できる情報が限られていること等の理由から、影響予測を行うことには一定の不確実性が伴う場合がある。不確実性が大きいと判断される場合には、可能な限り予防的な措置を組み込んだ環境社会配慮を検討する。


【カテゴリ分類】
  1. JICAは、プロジェクトを、その概要、規模、立地、当該国の環境影響評価制度の内容等を勘案して、以下に示すように環境・社会的影響の程度に応じて3段階のカテゴリ分類を行う。
  2. カテゴリA:環境や社会への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなプロジェクトはカテゴリAに分類される。また、影響が複雑であったり、先例がなく影響の予測が困難であるような場合、影響範囲が大きかったり影響が不可逆的である場合もカテゴリAに分類される。さらに、相手国政府等が定めた環境に関連する法令や基準等で詳細な環境影響評価の実施が必要となるプロジェクトはカテゴリAに分類される。影響は、物理的工事が行われるサイトや施設の領域を超えた範囲に及びうる。カテゴリAには、原則として、影響を及ぼしやすいセクターのプロジェクト、影響を及ぼしやすい特性を持つプロジェクト及び影響を受けやすい地域あるいはその近傍に立地するプロジェクトが含まれる。影響を及ぼしやすいセクター・特性や影響を受けやすい地域の例示一覧を別紙2に示す。
  3. カテゴリB:環境や社会への望ましくない影響が、カテゴリAに比して小さいと考えられる協力事業はカテゴリBに分類される。一般的に、影響はサイトそのものにしか及ばず、不可逆的影響は少なく、通常の方策で対応できると考えられる。
  4. カテゴリC:環境や社会への望ましくない影響が最小限かあるいはほとんどないと考えられる協力事業。
  5. スクリーニングの後でも、協力事業の進捗に伴い配慮すべき環境社会影響が新たに判明した場合など、必要に応じてカテゴリ分類を変更する。
  6. マスタープランは、協力事業の初期段階ではプロジェクトが明確でない場合が多いが、その場合でもプロジェクトを想定してカテゴリ分類を行う。その際に、派生的・二次的な影響や累積的影響を考慮に入れる。また、複数の代替案を検討する場合は、それら代替案のなかで最も重大な環境社会影響の可能性を持つ代替案のカテゴリ分類に拠るものとする。調査の進捗に伴いプロジェクトが明確になった以降は、必要に応じてカテゴリ分類を見直すものとする。
  7. JICAは、相手国政府に別紙3のスクリーニング様式の記入を求め、その情報をカテゴリ分類の際の参考にする。


(2)要請案件の審査

 要望調査によって上記の留意点を踏まえ発掘、形成された具体的な案件が要請案件として提出される。
 提出された要請案件は、外務本省において、上記の留意事項全てを基本的な審査ポイントとして案件の採否について検討、審査される。
 上記の審査以前に、必要とされる情報で記入ミスないしは記載漏れ等軽微な不明事項等があった場合は在外公館ないしはJICA事務所を通じて調査を行う。また、必要性、緊急性或いは優先度が認められ、案件の内容、規模等が無償資金協力によって実施可能かつ想定される裨益対象、効果が無償資金協力案件として適格であると考えられる等、案件そのものは基本的に優良と判断するが、在外公館、JICA事務所を通じた調査または要請内容に関するJICAの技術的検討の結果では要請内容が不明瞭又は懸念がある場合、あるいはJICAがガイドラインに基づき環境社会配慮調査が必要と判断された提言した場合等には、無償資金協力(事前の調査)案件の採択にあわせ、必要に応じ、調査実施上の留意点等をJICAに通知する。
 審査の結果、案件を採択した場合は、基本設計調査で要請案件の審査において、採択のための要件は満たしているがさらに詳細な調査が必要な項目や、供与する機材等のレベル、維持管理体制の詳細な確認といった、特に留意して調査すべき事項等について特記しJICAが行う基本設計調査での留意点としてJICAに通知する。

JICA環境社会配慮ガイドラインによる環境社会配慮の手続き

【要請確認段階】
  1. 外務省に要請された案件について、JICAは、事業概要、立地環境、相手国政府の環境影響評価制度の内容等に関する情報を確認し、事業特性及び地域特性を踏まえ1回目のスクリーニングによるカテゴリ分類を行った上で、要請された案件の採択に関して環境社会配慮の観点から意思決定し外務省に提言を行う。
  2. JICAは、カテゴリAに分類された要請案件については、提言の作成に先立って事業実施国、実施地域、事業概要の3点をホームページ上で一定期間、情報公開し、環境社会配慮の観点から外部の情報や意見を収集して提言に反映する。
  3. カテゴリ分類に必要な情報が不足する場合は、在外公館やJICA事務所等を通じて、相手国政府に照会する。また、照会のみでは情報が不十分と判断される場合は、JICAは調査団等を派遣し、関係者との協議や現地踏査等を通じて環境社会配慮に関する情報を収集するとともに、速やかにその調査結果報告書の情報公開を行う。
  4. 外務省が国際約束を締結した段階で、JICAは、協力事業の名称、国名、場所、概要、セクター、カテゴリ分類及びその根拠をウェブサイト上で情報公開する。また、カテゴリAとカテゴリBの協力事業については、JICAが外務省に提言した内容をウェブサイト上で情報公開する。


2. 事前の調査

(1)予備調査

 予備調査においては、不明瞭な点ないしは懸念事項の調査、確認が行われ、外務省では、その結果に基づき再度案件の審査を行い、採否を検討する。予備調査結果についての審査ポイントは要望調査時の留意事項の全てであるが、特に先方実施能力、他の援助スキームとの関係については重要である。

(2)基本設計調査

 基本設計調査は、要請書に記入された諸要件について、実際に現地で経済協力(無償)窓口機関及び実施機関との間で協議を行うと共に、サイト調査(地下水案件では試掘等)を行うなどして、より詳細な調査・解析を行い、基本設計、概算事業費の積算を行うものであり、調査結果は無償資金協力としての当該案件実施について審査するための基礎資料となる。
 JICAによる基本設計調査のドラフト報告書が作成された時点で、予備審査を行うが、予備審査における審査ポイントは、案件の採否検討時に提起された「特に留意して調査すべき事項等」についての調査結果の妥当性確認、先方の要請を如何に実施するかの観点からの供与限度額、建設工期、資機材納期等の実施スケジュールの確認である。

JICA環境社会配慮ガイドラインによる環境社会配慮の手続き

【無償資金協力のための事前の調査】

(カテゴリAの調査)
  1. JICAは、基本設計調査に先立ち、環境影響評価の実施状況及びその内容、本ガイドラインを満たす環境影響評価がなされているか否か等について予備調査等を通じ確認する。JICAは、その結果を速やかにウェブサイトで情報公開する。
  2. JICAは、環境影響評価が実施されている場合又は本ガイドラインに基づいて開発調査がなされている場合であって、改めて環境社会配慮調査を行う必要のない場合、基本設計調査(B/D)を行う。環境影響評価等の結果及び予備調査等の結果をB/Dに反映する。JICAは、基本設計報告書を完成後速やかにウェブサイト、JICA図書館と現地事務所で情報公開する。
  3. JICAは、環境影響評価が十分に実施されていない場合など、改めて環境社会配慮調査を行う必要がある場合は、開発調査等のスキームを用いて本ガイドラインの3.3を踏まえて必要な環境社会配慮調査を行うことや協力の中止を含めた対策を外務省に提言する。

(カテゴリBの調査)
  1. JICAは、環境影響評価等の実施状況及びその内容、本ガイドラインを満たす環境影響評価等がなされているか否か等について予備調査等を通じ、改めて環境社会配慮調査を行う必要があるか否かを確認する。JICAは、その結果を速やかにウェブサイトで情報公開する。
  2. JICAは、環境影響評価等が実施されている場合又は本ガイドラインに基づいて開発調査がなされている場合であって、改めて環境社会配慮調査を行う必要のない場合は、B/Dを行う。環境影響評価等の結果はB/ Dに反映する。JICAは、基本設計報告書を完成後速やかにウェブサイト上、JICA図書館と現地事務所で情報公開する。
  3. JICAは、環境影響評価等が実施されていない場合など、環境社会配慮調査が必要な場合、環境社会配慮に必要な調査団員を派遣し、予備調査等にて環境社会配慮調査のスコーピングを行う。具体的には、ニーズの把握、影響項目、調査方法、プロジェクトを実施しない案を含む代替案の検討、スケジュール等を内容とする環境社会配慮調査のTORを作成し、相手国政府と協議の上その合意を得る。
  4. JICAは、TORに従い、IEEレベルの環境社会配慮調査を行う。IEEレベルの調査が終了した段階で、2回目のスクリーニングを行う。カテゴリ分類が変更されカテゴリAとされたものについては、開発調査等のスキームを用いて本ガイドラインの3.3を踏まえて必要な環境社会配慮調査を行うことや協力の中止を含めた対応策を外務省に提言する。再度カテゴリBとされたものについては、環境社会配慮調査の結果をB/Dに反映させ、基本設計報告書を完成後速やかに情報公開する。カテゴリ分類が変更されカテゴリCとされたものについては、環境社会配慮の作業を終了する。
  5. JICAは、調査結果をウェブサイト上、JICA図書館と現地事務所で情報公開する。


3. 案件実施の審査

 基本設計調査の結果に基づき外務省は、ODA大綱を踏まえつつ、当該案件について無償資金協力の必要性を対象国の経済状況、開発ニーズ、わが国のODA基本政策との関係、二国間関係等の観点から評価し、見込まれる供与額、目的、実施内容、無償資金協力の成果の目標等について妥当性を審査し、実施の決定について判断する。
 なお、なお、環境社会配慮について、JICAのガイドラインに基づく環境社会配慮の結果として必要な手続き(現地ステイクホルダーの同意取り付け等)が案件実施の際の要件とされた場合は、実施の決定にあたって外務省は環境社会配慮の要件の充足を確認する。

 以上の審査終了後の手続きについては、実施案件について財務省との実行協議を行う。実行協議の後、実施にかかる交換公文の締結のための閣議決定を行う。その後、先方政府と交換公文(E/N)を署名交換し、無償資金協力の実施に至る。

4. 事前評価結果の公表

 上記の検討結果は当該案件がE/N供与限度額で10億円以上の場合には、「事前評価書」(「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(以下「政策評価法」という)第9条により義務づけられた事前評価)として取りまとめた上、E/N署名後、速やかに外務省HPに掲載し公表する。

5. 無償資金協力実施中

(1)実施促進業務

 E/N署名後は基本的には先方政府が事業の実施主体となり建設または機材の整備等が調達契約に基づき行われる。当該無償資金協力事業がE/N及び付属のA/M(Agreed Minutes)、R/D(Record of Discussions)に基づき適正に実施されているかについては、事業の適正かつ円滑な実施を確保するため実施促進業務としてJICAが行う。外務省はJICAの実施促進業務について、JICA等から提出される報告書(契約の締結に係る調査報告書、設計変更承認結果報告書、進捗状況報告書等)に基づきチェックすると共に、政策的な観点からも当該無償資金協力が適正に実施されているかチェックする。
 なお、無償資金協力実施中の環境社会配慮の確保については、先方政府にモニタリングと報告を義務付け、適正に確保されていることを確認する。
 また、現地ステイクホルダー等から環境社会配慮の確保について苦情があった場合には、現地においては在外公館がこれを受付け、速やかに本省に連絡し、真摯に対応する。

(2)認証業務

 E/N及びA/Mに基づき、先方政府がコンサルタント及び業者との契約を行い、当該契約を外務省は認証する。認証にあたっては、JICAによる契約の締結に係る調査報告書をチェックすると共に契約書としての記載に誤りや洩れが無く適正かどうか入念に審査する。

注)契約については、当該契約が無償資金協力ガイドライン(A/Mに規定)に基づいて適正に締結され実施されているかJICAが確認を行う。

6. 事後監理

(1)瑕疵検査

 先方政府は事業実施業者との契約に基づき、事業完了の1年後に瑕疵検査を実施する。瑕疵検査結果の報告はJICAを通じて提出されるので確認する。

(2)実施後の状況調査

 外務省は、事業実施後においても、JICAの協力を得つつ、相手国による事業運営や施設・機材の維持管理等の状況をできる限り把握するように努める。また、問題が発生している場合には、第一義的には先方政府による解決、対策を申し入れるが、問題の内容によってフォローアップの要否、可否を検討し、必要かつ可能であればフォローアップに繋げるよう手配を進める。

(3)事後評価

 外務省は、政策レベル評価やプログラムレベル事後評価(国別評価、重点課題別評価、セクター別評価、スキーム別評価)の一環としてプロジェクトの検証を行う。

(4)廃棄処分

 無償資金協力により供与された機材等が、供与後相当の年数を経過する、或いは損壊し修理不可能になる等し、処分することが適当であるといった状況になり、被援助国から処分等の要請を受けた場合は、外務省は当該機材等の状況、使用年数、援助効果の発現等について十分検討の上、要請の承認手続きを行う。なお、外務省の承認に基づき処分は被援助国が行う。

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