<1>最近の政治・経済・社会情勢
*1:ドイモイ政策
1986年12月の第6回ベトナム共産党大会で採択されその後も同国の経済運営の柱となっている経済政策。ベトナム語で「刷新」を意味する。同政策のもと、ベトナムは市場経済原理の導入等経済を中心とする開放化を進めている。
*2:森林減少
ベトナムの森林は、年間10万haのペースで減少していると見られており、国土の森林面積は43年に43(14.3百万ha)%であったものが、95年には25%(9百万ha)以下となった。森林減少の原因は、少数民族の焼き畑農業及び木材の薪炭利用、商業伐採であり、ベトナム政府は木材の輸出の禁止等の措置をとっている。また、ベトナムは97年に500万haに及ぶ森林再生計画を国家計画として森林再生計画を国家計画として制定している。
<2>開発上の課題
*3:OECD/DAC新開発戦略
1996年5月、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)において、21世紀の援助の目標を定めるものとして「新開発戦略(21世紀に向けて:開発協力を通じた貢献)」と題する文書が採択された。 この開発戦略は、地球上のすべての人々の生活向上を目指し、具体的な目標と達成すべき期限を設定している。具体的には、(A)2015年までの貧困人口割合の半減、(B)2015年までの初等教育の普及、(C)2005年までの初等・中等教育における男女格差の解消、(D)2015年までの乳幼児死亡率の1/3までの削減、(E)妊産婦死亡率の1/4までの削減、(F)性と生殖に関する健康(リプロダクティヴ・ヘルス)に関する保健・医療サーヴィスの普及、(G)2005年までの環境保全のための国家戦略の策定、(H)2015年までの環境資源の減少傾向の増加傾向への逆転という目標を掲げている。この目標達成に向け、先進国及び開発途上国が共同の取組みを進めていくことが不可欠として、グローバル・パートナーシップの重要性を強調している。
*4:世銀の構造調整クレディット(SAC)及びIMFの拡大構造調整ファシリティ(ESAF)
94年9月、世銀及びIMFとベトナム政府の間で同国経済の安 定化及び構造調整の実現を目指す中期改革(1995~97年)策定のた めの「ポリシー・フレームワーク・ペーパー」(PFP)についての合意がな された。この合意を受けて同年10月から11月にかけて世銀とIMFは 総額6.85億ドルの構造調整融資(世銀はSACとして1.5億ドル、 IMFはESAFとして5.35億ドル)の実施を決定した。しかし、9 7年以降、ベトナム側の構造調整改革の遅れを理由に世銀及びIMF は融資を停止しており、現在同融資の前提となる改革プログラムについて 協議を行っている。
*5:包括的開発のフレームワーク
マクロ経済的な側面と社会的側面の両面を同様に重視し、中心的役割を果たす開発途上国のオーナーシップと市民社会、民間セクター、NGO、ドナー等、開発における様々なプレーヤー間のパートナーシップを通じて、貧困緩和を目指した持続可能な開発を行うための包括的なアプローチ。
<3>我が国の対ベトナム援助政策
*6:ベトナムの貿易に占める我が国のシェア
98年のベトナムの貿易に占める我が国のシェアは、輸出14.8%、輸入12.7%。我が国はベトナムにとって最大の輸出相手国。
*7:政府開発援助ODA大綱(ODA大綱)
我が国のODAの理念と原則を明確にするために、援助の実績、経験、教訓を踏まえ、日本の援助方針を集大成したODAの最重要の基本文書であり、平成4年6月30日に閣議決定された。内容は、基本理念、原則、重点事項、政府開発援助の効果的実施のための方策、内外の理解と支持を得る方策及び実施体制の6部から構成される。「基本理念」において、(A)人道的見地、(B)相互依存関係の認識、(C)自助努力、(D)環境保全の4点を掲げている。また「原則」において、「相手国の要請、経済社会状況、二国間関係等を総合的に判断」しつつ、4項目への配慮、すなわち(A)環境と開発の両立、(B)軍事的用途及び国際紛争助長への使用回避、 (C)軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払うこと、(D)民主化の促進、市場指向型経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払うこと、を定めている。
*8:新宮澤構想の延長分としての経済改革支援借款
4月から5月にかけて行われた日・ベトナム政策協議の結果、ベトナム政府から(A)民間セクター育成プログラムの策定・公表、(B)大規模国営企業100社の監査の実施、(C)非関税障壁の関税化の3つの政策の実施が提示されたことを受け、5月にベトナムを訪問した宮澤蔵相より、200億円の経済改革支援借款を実施する旨言及。その後、ベトナム政府が上記(A)のアクションプランを、9月23日に公表したことを受け、9月23日に正式に供与表明を行い、同29日にハノイにおいて交換公文に署名を行った。
*9:石川プロジェクト
ベトナムの市場経済化を支援するため、石川滋一橋大学名誉教授を中心に政策策定支援の開発調査(いわゆる石川プロジェクト)を95 年から実施してきている。また、98年からは今後の方向性につき検討す るためフォローアップ研究を実施したが、この研究成果を踏まえてフェー ズ3が実施されることになった。本プロジェクトは95年4月の日・ヴィ エトナム首脳会談で実施が合意されたものであり、両国間で合意された複 数のテーマ毎に日本の学者とベトナムの政策当局者が共同で研究を行 い、ベトナム政府に対して政策提言を行っている。
*10:技術協力協定
技術協力の円滑な推進を目的として、日・ベトナム両国政府間で 98年10月に締結された。同協定には、協定の目的、被援助国側及び供 与国側それぞれの負うべき義務・負担などが規定されている
*11:パートナーシップ
第7回対ベトナムCG会合(99年12月、於ハノイ)議長最終ス テートメントにおいてパートナーシップの原則として次を挙げている。
(para 24)Delegates suggested some principles: (i)aid coordination should be translated into true cooperation; (ii) Government should take the lead,and,where needed,receive the required assistance for capacity building,recognizing that this takes time; and (iii) work should start with specific sectors. This would lead to improved effectiveness of development assistance.