平成12年3月30日
1.政治・経済・社会情勢
民主主義が着実に根付き、97年の経済危機後99年に入り経済回復の動き。社会的弱者への影響に配慮の要。
2.開発上の課題
「人間中心の開発」が基本理念。97年の経済危機後、マクロ経済の安定化、産業構造改革、国民生活への影響緩和、行政改革に重点をおき、当面の経済危機乗り切りを最重要課題としている。
3.我が国の対タイ援助政策
(1)対タイ援助の意義
伝統的な友好国かつ各分野における緊密な協力関係を有しており、特に貿易・投資等の面で密接な相互依存関係を有している。また、政治・経済的変動の激しい東南アジアにおける安定勢力として域内における政治的イニシアティブをとりASEANの中核的役割を担っており、我が国の対東南アジア外交上のパートナーでもある。
(2)ODA大綱原則との関係
総じて望ましい方向に向かっている。
(3)我が国援助の目指すべき方向
(イ)自立的な発展を支援:タイが再び安定的な発展の軌道に復帰するとの前提の上で、タイの自立的な発展を支援するような形で援助を進める(プロジェクトの共同発掘・形成、民間資金・その他公的資金との連携等)。
(ロ)アジア経済危機からの中・長期的な回復のための支援:タイ経済の持続的な成長を可能にするための支援を行う(金融分野の人材育成、雇用創出、社会的弱者救済など)。
(ハ)現行の5つの重点分野を今後も重視:中長期的には、(A)社会セクター、(B)環境保全、(C)地方・農村開発、(D)経済基盤整備、(E)地域協力支援。
(ニ)人材育成の強化:人材育成は上述の各分野共通に重要である。
(4)重点分野・課題別援助方針
(イ)社会セクター支援(教育、HIV・エイズ対策を中心として):社会的弱者、保健・衛生面、教育分野(特に高等教育)、薬物対策への支援を重視。
(ロ)環境保全:環境保全の推進が今後とも不可欠。(ハ)地方・農村開発:開発の遅れた地域を中心に農業振興・農村開発を支援。
(二)経済基盤整備:経済インフラ整備、経済・産業の高度化(金融セクター支援を含む)、中小企業等への支援を引き続き検討。
(ホ)地域協力支援:南南協力(日・タイ共同の途上国支援である日・タイパ-トナ-シッププログラムの推進を含む)の促進支援。メコン河流域の開発等域内関係国に裨益する案件の発掘・形成に努力。
(5)援助実施上の留意点
(A)プロジェクトを実施時の経費負担等につき、タイ側の努力を求めていく。(B)具体的な要請案件の審査や実施後のモニタリング能力(タイ側)を一層向上。(C)タイ側関係機関の連携を強化しODAの効果的・効率的な実施体制の強化を期待。