平成12年6月16日
1.政治・経済・社会情勢
92年以降民主化が進展。経済構造改革は一定の成果。マクロ経済指標は改善傾向。一人あたりGNPが210ドルの後発開発途上国(LLDC)。
2.開発上の課題
2002年までに年6%の経済成長を目指す。主要課題は、(A)農業基盤の強化、(B)社会サービスの改善、(C)インフラ整備、(D)人材育成、(E)保健医療サービスの向上、(F)環境
3.我が国の対タンザニア援助政策
(1)対タンザニア援助の意義
アフリカ統一機構、非同盟諸国会議、国連などで積極的な外交を展開しているほか、近隣諸国の紛争解決に向けた仲介努力にも積極的な東部、南部アフリカの安定勢力である。また、民主化や経済改革を含めた開発努力に主体的に取り組んでいるほか、各種資源も豊富で潜在的な発展可能性を秘めており、我が国のアフリカ開発支援の効果を高める上でも引き続き支援を行うことが重要。
(2)ODA大綱原則との関係
総じて望ましい方向。「良い統治」の進展を注視し、援助国の立場から助言、支援する。
(3)我が国援助の目指すべき方向
(イ)経済情勢の悪化に伴い82年以降は無償資金協力、技術協力による支援。
(ロ)債務削減措置が適用されていることから新規円借款の供与は当面困難。
(ハ)経済的格差是正に留意しつつ、より一層質に重点を置く援助を目指す。
(4)重点分野・課題別援助方針
基礎生活分野を対象とする事業を優先的に取り上げ経済的格差の是正に意を払う。また、援助による経済成長が社会各層に分配されるよう配慮する。
(イ)「農業・零細企業の振興のための支援」
インフラ整備や農業技術移転を効率的に実施。貧困救済の観点から、農業協同組合の 整備・育成や小規模農民及び零細企業への小規模金融(マイクロクレジット)も検討。
(ロ)「基礎教育支援」
教育セクタープログラムを踏まえ、他の援助国・機関との連携に配慮しつつ、同セク タープログラムに適切に位置づける形で学校施設整備を検討。教育内容の質的向上に向 けアドバイザー派遣や教員再教育プログラムなどへの支援も検討。
(ハ)「人口・エイズ及び子供の健康問題への対応」
地方医療サービス向上やHIV感染予防、家族計画に関わる教育・啓蒙活動等を支援。
(ニ)「都市部等におけるインフラ整備等による生活環境改善」
他の援助国・機関との連携・役割分担を行いつつ協力を検討。地方主要都市等のイン フラ整備も地方都市貧困層の生活改善や首都への人口流入防止等の観点から重要である。
(ホ)「森林保全」
引き続き森林の持続可能的開発に対する協力を進めていく。
(5)援助実施上の留意点
(A)援助受入体制の強化、(B)NGO、他の援助国・機関との連携、(C)債務管理能力の強化、(D)域内協力、(E)南南協力推進