ODAとは? 援助政策

国別援助計画(フィリピン)概要

平成12年8月3日

1.政治・経済・社会情勢

 90年代初めから安定的な民主政治を実現している。経済構造改革は一定の成果を挙げるも、その後のアジア経済危機の影響を受け、財政収支の悪化等を招いた。また反政府勢力の存在が国民和解や治安の阻害要因となっている。

2.開発上の課題

 持続的な経済成長の確保と社会的弱者対策を含む貧困緩和が最重要課題であり、特に地方部における貧困の削減を目指す。開発上の主要課題は、(A)持続的な成長の確保、(B)貧困緩和(特に地域間格差の是正)、(C)環境保全、(D)人的資源開発、(E)統治の改善である。

3.我が国の対フィリピン援助政策

(1)対フィリピン援助の意義

 民主化の進展や経済成長を背景に東南アジアにおける政治的・経済的な重要性を増しているフィリピンは、アジア経済危機以降も域内における相対的な地位を強め中核的役割を担うにいたっており、我が国対東南アジア外交上の拠点の一つ。また、我が国と東南アジア・中東・欧州諸国を結ぶ海上輸送路上に位置し地政学的にも重要。また、我が国はフィリピンにとり不可欠な経済的パートナーであり、深い相互依存関係にある。こうした重要性を有するフィリピンには依然として大きな援助需要があり、その政治的安定・経済的繁栄に向けた援助を実施することは、我が国の平和と繁栄にもかなうものである。

(2)ODA大綱原則との関係

 アジアで民主主義が最も定着している国の一つであり、総じて望ましい方向にある。

(3)我が国援助の目指すべき方向

(イ)これまで我が国は、フィリピンの民主化と経済再建の努力を支援する立場から、同国に対する援助を拡充してきた。

(ロ)今後は、我が国の財政事情、フィリピンの事業実施能力、債務負担能力を考慮していく必要がある。

(ハ)資金の有効活用の点から、円借款、無償資金協力、技術協力の一層の連携促進に留意する。また民間資金、ODA以外の公的資金との役割分担や連携にも考慮する。

(4)重点分野・課題別援助方針

(イ)「持続的成長のための経済体質の強化及び成長制約要因の克服」

 アジア経済危機の経験を踏まえ、中長期的観点からの産業構造強化(特に裾野産業育成)や成長制約要因である経済インフラ(交通輸送、エネルギー)の整備を促進する。

(ロ)「格差の是正(貧困緩和と地域格差の是正)」

 貧困緩和にも資する農業・農村開発の整備を進める。また貧困層に焦点を当てた、保健医療(人口家族計画、母子保健、エイズ、結核対策等)、上下水道整備等基礎的サービス改善のための支援を行う。

(ハ)「環境保全と防災」

 環境問題の深刻化を踏まえ、汚染源対策や環境保全・再生に向けた協力を検討する。また頻発する自然災害(洪水、地震、火山災害等)への支援を行う。

(ニ)「人材育成及び制度造り」

 校舎・教室の整備や教員の養成等により初等中等教育の普及や質の改善を目指す。また貧困層に対する職業訓練への支援や行政官(特に地方)能力向上にも配慮する。

(5)援助実施上の留意点

 (A)法令・制度等の執行の確保、(B)NGOとの連携、(C)地域格差是正への配慮、(D)地域住民・環境への配慮、(E)事業実施能力、債務負担能力


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