平成12年8月3日
1.政治・経済・社会情勢
民主政権が定着しており、経済状況も中南米地域で高水準の経済成長を達成している。ペルー政府は貧困対策に重点的に取り組んできているものの、依然として貧困層割合が高い。治安状況は改善されてきている。
2.開発上の課題
貧困対策が最優先課題。また、持続的な成長のためには民営化の推進による投資水準の維持、輸出競争力の強化、累積債務問題の改善、更には開発の障害となっているテロ対策が必要。
3.我が国の対ペルー援助政策
(1)対ペルー援助の意義
ペルーとは、同国における日系移住者の長期的な努力にもあずかり、緊密かつ友好的関係。ペルーが民主化と市場経済化、更には麻薬やテロ問題の原因となる貧困対策を意欲的に進め、かつ、APECに参加し太平洋国家とした関係強化を図ろうと努力し、一部その成果を収めつつあることを考慮すると、援助を通じた同国の取組の支援は、同国との関係の維持・強化への貢献とともに、中南米地域における我が国外交の幅を広げ、かつ、鉱物資源等の安定的な確保等に資する。
(2)ODA大綱原則との関係
総じて望ましい方向となっている。
(3)我が国援助の目指すべき方向
(イ)現行の経済協力の重点分野を今後も重視:貧困対策、社会セクター支援、経済基盤整備、環境保全の4分野。このうち、貧困対策が最重点課題。
(ロ)資金協力について、段階的に無償から有償を中心とした援助へ移行。
(ハ)有償資金協力について、経済・財政・債務状況等を踏まえ、援助質の向上を図りつつ効果的・効率的に実施。
(ニ)技術協力関係者の派遣について、安全を確保しつつ、協力を徐々に拡大。
(4)重点分野・課題別援助方針
(イ)貧困対策:農業生産のインフラ及び生産方法の近代化支援、上下水道整備、コカ葉代替作物の栽培。
(ロ)社会セクター支援:教育(研修、機材整備)、母子保健、家族計画の推進、保健・医療施設(機材供与)。
(ハ)経済基盤整備:運輸、電力、通信・放送等の経済インフラの整備、農林水産業の体質強化・改善、鉱山開発及びエネルギー開発の推進、観光開発。
(ニ)環境保全:大気・水質汚染対策や廃棄物処理、産業公害対策等の公害問題対策や温暖化等の地球環境問題対策を中心とした支援。
(5)援助実施上の留意点
ペルー側援助受入機関の強化、他ドナー・国際機関との連携、我が方経済協力スキーム間の連携、人の派遣を伴う経済協力への安全対策が必要。