平成12年8月3日
1.最近の政治・経済・社会情勢
91年以降民主化に資する改革が慎重に進行されている。経済構造改革も一定の成果。人口増加と貧困層の増大、エイズの蔓延などが問題。
2.開発上の課題
「国民の生活水準向上及び持続的な開発のための急速な工業化」が主要課題。年平均6%程度の経済成長を目指す。開発上の主要課題は、(A)貧困層に裨益する経済・社会開発、(B)政府の効率改善、(C)汚職の追放、(D)民間投資家の信頼回復
3.我が国の対ケニア援助政策
(1)対ケニア援助の意義
ケニアは東アフリカにおける政治・外交上の安定勢力として、アフリカにおける有力国を多く抱える域内に大きな影響力を有し、我が国による継続的な外交・援助努力の成果も相まって親日的感情も強く、我が国対東アフリカ外交上の拠点である。また、ケニアに対する我が国の援助は効果的に実施されており、我が国のサハラ以南のアフリカ諸国に対する援助のモデルともなりうる可能性がある。さらに、域内の交易拠点である同国への支援は域内全域への波及効果を有しており、アフリカにおける広域開発の推進との観点からも有益と考えられる。
(2)ODA大綱原則との関係
民主化・市場経済化の進行を背景に総じて望ましい方向に向かっている。
(3)我が国援助の目指すべき方向
(イ)より一層、質に重点を置く援助を目指す。
(ロ)国民生活の水準向上という観点からの協力の実施。
(ハ)現在実施中の各事業についても、必要に応じ協力の内容と範囲を見直す。
(4)重点分野・課題別援助方針
社会的弱者に直接裨益する「人材育成」、「農業開発」、「保健医療」を重視。
(イ)人材育成
基礎教育の拡充、農業・中小工業分野等における高等・技術教育拡充、行政官の政策策定・実施能力向上に資する支援を検討。
(ロ)農業開発
小規模農業の振興を中心に、生産性向上、灌漑技術の確立と施設のリハビリ・拡充、農民の組織化、流通システム改善、農業生産基盤の改善、研究協力及び技術普及に重点を置く。
(ハ)経済インフラ整備
投資・輸出振興に向け経済インフラ整備(交通網、エネルギー支援開発、通信網など)を、環境へ配慮しつつ支援検討。また、住民生活に密着した緊急性の高いものも支援検討。
(ニ)保健・医療
人口・エイズ問題を中心に、地方レベルへに焦点を充てた保健医療サービスとの有機的連携を十分図り、協力を検討。また安全な水へのアクセス向上に資する水質改善をも支援検討。
(ホ)環境保全
生態系の保護、乾燥地拡大防止に資する森林の保護・造成、都市・産業排水や廃棄物による湖沼や河川の汚染に対し、上下水道整備、都市衛生環境の整備等の支援検討。
(5)援助実施上の留意点
(A)援助受入体制強化、(B)NGO、他援助国、国際機関との連携、(C)南南協力推進、(D)債務管理能力の向上