平成12年3月30日
1.政治・経済・社会情勢
91年以降民主化定着。経済構造改革は一定の成果。後発開発途上国中最大の人口。
2.開発上の課題
貧困緩和が最大の開発目標。年平均7%台の経済成長を目指す。工業及びエネルギー・セクターによる経済の牽引を想定。開発上の主要課題は、(A)貧困緩和、人口増加率の抑制、(B)農業・農村開発、(C)工業化の推進、(D)自然災害の克服。
3.我が国の対バングラデシュ援助政策
(1)対バングラデシュ援助の意義
経済協力を中心に一貫して良好な関係。親日的で我が国への期待感が極めて強い。国連、非同盟グループ等で活発な外交を展開し途上国の代表を自認しているほか、南アジア諸国の関係強化にも尽力しており、バングラデシュとの関係強化は我が国の対途上国全般に貢献するほか、南アジア地域の政治的安定にも資するもの。大きな援助需要を踏まえ、債務負担能力に十分留意しつつ、援助を実施する必要有。
(2)ODA大綱原則との関係
総じて望ましい方向。
(3)我が国援助の目指すべき方向
(イ)より一層、質に重点を置く援助を目指す。自助努力を促す援助に留意するとともに、(A)同国の資金需要、(B)援助受入能力、(C)債務負担能力等を併せて考慮する必要あり。
(ロ)LLDCであることから、無償資金協力及び技術協力を基本とする。
(ハ)円借款については、債務負担能力に十分留意した上、経済効果が高く、かつ、適正な規模のインフラ案件等につきケース・バイ・ケースで対応する。
(ニ)技術協力と資金協力との連携を強化。
(4)重点分野・課題別援助方針
重点分野に共通する課題である人材育成、制度面の強化、環境についても配慮する。
(イ)農業・農村開発と生産性向上
インフラ整備、農業技術の普及等により生産性を高め食糧自給率改善を図るとともに、貧困層の雇用創出・所得向上を目指す。また、マイクロ・クレジット等の強化が有効。
(ロ)社会分野(基礎生活、保健医療等)の改善
(A)基礎的な衛生・医療事情の改善や子供の健康、母子保健及び人口家族計画、(B)初等教育等の援助を一層強化していく。安全な水の供給や砒素流出問題にも取り組む必要。
(ハ)投資促進・輸出振興のための基盤整備
投資促進・輸出振興に向け経済インフラ整備(電力、運輸、通信等)への支援を検討。特に、成長センターとして有望な地域のインフラや育成すべき産業セクターへの支援、円借款によるツーステップローンの検討に向けた制度金融機関の育成等を検討。
(ニ)災害対策
国際協調の下、バングラデシュが策定する国家水管理計画に沿った協力を検討。また、サイクロン対策として、多目的シェルターの建設等効果的・効率的援助を促進する。
(5)援助実施上の留意点
(A)援助受入能力の強化、(B)援助国、国際機関との連携、(C)NGOとの連携