ODAとは? ODA評価

「ODA評価研究会」の報告書・経緯と主たる提言

2001年2月

1.「ODA評価研究会」の設置経緯と活動

(1)2000年7月17日、外務省経済協力局長の私的諮問機関「援助評価検討部会」(部会長:河合三良(かわい さぶろう)・国際開発センター会長)の下に「ODA評価研究会」(委員長:牟田博光(むた ひろみつ)・東京工業大学教授)を設置。以下の主要課題を専門的、集中的に議論。

(a)政策レベルの評価の導入とプログラム・レベルの評価の拡充、(b)評価のフィードバック体制の強化、(c)評価の人材育成と有効活用、(d)評価の一貫性の確保(事前から中間・事後に至る一貫した評価システムの確立)、(e)ODA関係省庁間の連携推進。

(2)開発援助評価分野の専門家、学識経験者、経済団体、非政府組織(NGO)関係者のほか、外務省、国際協力事業団(JICA)、国際協力銀行(JBIC)関係者が委員(14名)として、また、ODA関係17省庁(当時)と会計検査院の関係者がオブザーバーとして参加(参加者、別紙参照)。

(3)8回に亘り研究会を開催。2001年2月28日河合会長より、報告書は河野外務大臣に提出された。

2.主たる提言

(1)政策レベル評価の導入及びプログラム・レベル評価の拡充

  • 政策レベル評価の早期導入及びプログラム・レベル評価の拡充が必要。国際的にも評価手法が確立されておらず、我が国ODAに適した評価手法を開発・拡充すべき。
  • 政策やプログラム策定の段階から、目的体系図、評価指標、モニタリング手法等の設定をしておく等が不可欠であり、相当な時間と予算をかけても、そのための枠組み設定のための準備を行なうことが必要。
  • 他国の援助機関や国際機関との合同評価を一層活用。

(2)評価のフィードバック体制の強化

  • 援助機関内部の効果的なフィードバック・メカニズムの構築が必要。常設の「評価フィードバック委員会」(仮称)の設置が有効。
  • フィードバック体制強化のために、意思決定者や企画部門、事業部門の更なる意識改革が重要。
  • 評価結果の国民への公開を進めるため、インターネットを利用した迅速かつ解りやすい公表を更に促進。被援助国側に対する評価結果のしっかりとしたフィードバックの徹底。
  • 我が国の民間関係者及び被援助国側の関係者知見を評価活動へ活用。

(3)評価人材の育成と有効活用

  • 大学院及び実務家向けの評価研修プログラムの開発・拡充。日本評価学会等の学術研究機関・組織を最大限に活用し、評価人材の資質向上を図る。
  • 国際機関、他の援助国等との人事交流と人材派遣。
  • 海外の大学院等で開発援助等を勉強している人材を評価に様々な形で活用することを検討。
  • 「評価人材データベース」の構築。外部専門家による評価のアウトソーシングの推進。

(4)評価の一貫性の確保(事前から中間・事後に至る一貫した評価システムの確立)

  • 目的、指標、達成目標、評価計画、フィードバックのあり方を網羅した「事前評価表」の作成を試験的に実施し、事前から中間・事後に至る一貫した評価システム確立に向け、引き続き努力。

(5)ODA関係省庁間の連携推進

  • 我が国全体としてのODA評価体制の確立を目指すべき。「ODA関係省庁評価部門連絡会議」(仮称)を設置し、学識経験者、NGO、民間関係者等の参加も得て、ODA関係省庁間のODA評価の向上のための定期的な意見交換・議論の場とするとともに、情報公開の場としても活用。
  • 各省庁が連携し、専門家派遣、研修生受け入れ事業等、複数のODA関係省庁が関わるODA事業についての評価を実施。
  • 各省庁が使える評価に関する標準的なガイドライン、マニュアル、雛型等の整備


ODA評価研究会

委員長 牟田博光 東京工業大学教授
委員 高千穂安長  玉川大学教授
荒木光彌 国際開発ジャーナル社編集長
山谷清志 岩手県立大学教授
森 茂子 日本大学教授
野田由美子  プライスウォーターハウスクーパースパートナー(共同経営者)
工藤高史 経済団体連合会国際協力本部副本部長
神田浩史 関西NGO協議会提言専門委員
長谷川祐弘  UNDP東京事務所駐日代表
中村修三 世界銀行東京事務所長
三好皓一 JICA企画評価部評価監理室長
佐藤活朗 JBICプロジェクト開発部開発事業評価室長
村田 修 JBIC開発業務部業務課長
白川光徳 外務省経済協力局評価室長
オブザーバー 伊藤茂男 警察庁国際部国際第一課長
若生俊彦 総務庁行政監察局政策評価等推進準備室長
宮崎修二 経済企画庁経済協力第二課長
能見利彦 科学技術庁科学技術振興局国際交流推進室長
田口博之 環境庁地球環境部環境協力室長
堀嗣亜貴 法務省大臣官房秘書課企画室長
木原隆司 大蔵省国際局開発政策課開発企画官
小山内優 文部省学術国際局教育文化交流室長
遠藤弘良 厚生省大臣官房国際課国際協力室長
田原高文 農林水産省経済局国際協力計画課長
通商産業省経済協力部経済協力課長
鶴谷祐二 特許庁総務部国際課地域政策室長
尾澤克之 運輸省運輸政策局国際業務第二課長
田中謙治 郵政省大臣官房国際部国際協力課長
恒川謙司 労働省労働大臣官房国際労働課長
木下誠也 建設省建設経済局国際課長
佐々木 淳  自治省大臣官房国際室長
田代政司 会計検査院第一局外務検査課長
事務局 石田洋子 (株)コーエイ総合研究所次長
岡田卓也 (株)コーエイ総合研究所主任研究員
山寺雅博 (株)コーエイ総合研究所研究員
省庁名及び部署名等は、平成12年12月時点のもの。

援助評価検討部会

部会長 河合三良  国際開発センター会長(元行政管理庁事務次官)
委員 中村 清 前田建設工業名誉会長(元会計検査院長)
中根千枝 東京大学名誉教授
廣野良吉 成蹊大学名誉教授(元UNDP計画政策評価局長)
小浜裕久 静岡県立大学教授
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