ネパール連邦民主共和国
「シンズリ道路建設計画(第四工事区間)」
定礎式 (平成10年6月10日)
ドゥリケル市で行われた定礎式には、コイララ首相、ガッチャダール公共事業運輸相、ジョシ内務相をはじめ、政府要人や地元関係者が多数出席した他、会場周辺には地元住民、小中学校の児童1,000名余りが詰めかけ、ネパール政府と国民の期待の大きさを反映した盛大な式典となりました。
式典は、トビのスタイルをした職人さんが定礎を会場まで運搬したり、工事安全祈願がコイララ首相によってヒンズー教に則って行われるなど、日本・ネパール双方の伝統的スタイルを取り入れたユニークなもので、さらには、式典出席者の署名色紙を納めたカプセルを定礎とともに埋めるアトラクションも用意されていました。
式典の中にて柳瀬日本大使は、道路を人体の血管にたとえ「特にシンズリ道路は国の東南部地域と首都カトマンズを結ぶ重要な路線であり、21世紀に向けたネパールの経済発展を担う一大事業に参画できたことを光栄に思う。」と祝辞を述べました。対してコイララ首相は、本件道路が周辺地域及びネパール経済全体にもたらす計り知れない便益を力説し、「本案件がネパールの独自予算による建設を期してB.P.コイララ元首相(コイララ首相の実兄)により構想された1960年当時、駆け出しの政治家としてかつての定礎式準備を手伝ってきた自分が、約40年にわたる歳月を経て本日の式典に参加できたことは本当に感慨深い。これは、ひとえに日本政府の協力の賜物であり、深く感謝申し上げる。」と述べ、ネパールの開発重点分野である農業、水資源の発展の基礎を担うものとして、道路開発の重要性を改めて指摘しました。
この日、繰り返し述べられた日本政府への感謝の言葉は、コイララ元首相の記憶とともに、日本のネパールに対する協力を、広くネパール国民に印象づけたものとなりました。
(*)案件概要:平成9~11年度無償資金協力
ネパールは、労働人口の約90%が農業やその関連産業に従事する農業国で、特にインドとの国境沿いにあるタライ平原は一大農業地帯です。元来、この地域の農産物やインドからの輸入品を首都カトマンズに運搬するルートは2つありましたが、それらは山岳道路であったり、また雨期により閉鎖されることがあったため、年間を通じての通行が可能な幹線道路の建設が待たれていました。
今回、日本の無償資金協力によって建設されるシンズリ道路は、地域活動の活発化や地域住民の生活向上に貢献するとともに、経済開発を促進するものと期待されています。