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カンボジア王国
「カンダール州立教員養成学校家庭科施設整備計画」
落成式典(平成11年11月4日)

休み時間の校庭と校舎 完成した家庭科棟
 プノンペン市郊外にあるカンダール州立教員養成学校は、カンボジア国内の各州に設置されている教員養成学校のひとつで、1980年に開校されて以来、毎年約200人の小学校教員を養成し、教育現場に送りだしています。敷地内には付属の小学校と職業訓練校もあり、教員養成学校と合わせた総生徒数は1,588名にも及びます。同校には1994年より家庭科担当の青年海外協力隊員が派遣され、従来の家庭科教育から更に進んで実習や栄養学、保健、衛生に関する教育を推進してきています。

中央が2代目の笠井JOCV隊員

学生の寝泊まりしている場所
 しかしこれまでは、不十分な設備のため、家庭科実習は劣悪な衛生環境のなかで実施せざるを得ませんでした。構内に配排水設備はなく、調理実習では調理と洗浄に必要な水はわざわざ構内敷地の外れにある雨水を溜めた貯水槽からバケツで運び、また実習専用の教室もなかったため通常の教室にてカセットコンロを使って調理していました。
 また、他の校内施設の衛生環境にも問題がありました。約400名の学生(うち女子が250名)が生活する校内の学生寮にはトイレが男性用・女性用共に2室ずつしかなく、しかも昼間は敷地内にある小学校の生徒、教員、スタッフ等合わせて1,700名がこのトイレを使用しなければなりませんでした。水浴び場に関しては、男女共用の仕切りも無い野外の雨水貯水槽が一ヶ所あるだけでした。

行水および飲料水の貯水槽 完成した女子用シャワーとトイレ
 更に食堂の衛生環境にも問題があり、排水施設の不備のために汚水が地面に流れでて、食堂周辺はいつも蚊が多く、悪臭が漂っているという悲惨な状況でした。
 家庭科の授業でいかに栄養・衛生教育に努めても、取り巻く環境が悪ければ活かすことができず、教育効果は期待できません。家庭科施設の整備と共に校内の衛生環境を改善することが、「健康を管理しながら暮らす」という家庭科教育の本来の目的を実践する上でも必要とされたのです。

改築前の学生食堂 完成した学生食堂

カンダール州立教員養成学校付属小学校児童の歓迎を受ける山本参事官
 今回完成した新しい家庭科研修棟の一階には調理実習室があり、白みがかったクリーム色の壁が清潔さを印象づけています。一階奥には清潔なトイレ・シャワー室が設置され、これで教員養成学校の女子生徒も水浴び、用足し等の基本的な生活ニーズが満たされることになりました。今後は学生らが清掃当番を決めて自主管理を行うことになっています。
 完成式典において、テープカットが行われた真新しい食堂棟では、数々の料理や子供達の大好きな菓子類が並べられていました。日本大使館を代表して式典に参列した山本参事官らは集まってくる児童達にもみくちゃにされながら、「勉強頑張るんだよ」とひとりひとりに声をかけていました。

女子生徒も華やかなサンポットで参列 食堂の視察では多くの児童らに取り囲まれた
 案件概要:平成10年度草の根無償資金協力(被供与限度額 30,968米ドル)

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