東ティモール民主共和国
廃墟の町に安全な水を
ディリ水道施設改善プロジェクト起工式
(平成12年度緊急無償資金協力案件)
6月29日、東ティモールの首都ディリ市内において、「ディリ水道施設改善プロジェクト」の起工式がとり行われました。日本政府の緊急無償援助によるこのプロジェクトの総額は112.8万ドル。起工式には、アマラル運輸通信・公共事業大臣と、日本大使館の福島臨時代理大使、ヤングUNDP所長ほかが列席しました。
東ティモールの首都ディリには約13万人が住んでいます。しかし、独立の是非を問う1999年の住民投票後に起こった騒乱の中で、独立反対派民兵により公共インフラがほとんど破壊されてしまいました。それに加え、市内中心部は配水管の老朽化が著しく、漏水や砂などによって給水が滞っているのが現状です。市民は自力で浅井戸を掘って生活用水の手当をしていますが、十分ではなく、水質も劣悪です。今回のプロジェクトは、ディリ市の給水量増加のために浄水処理場や配水池を増設するもので、これにより、約13万人のディリ市民に安全な水が行き渡るようになります。
起工式においては、アマラル大臣から、「日本政府は99年の騒乱以降、ずっと東ティモールを支援してくれた。水供給プロジェクトは東ティモールにとり極めて有意義であり、とくにディリ市民にもたらす便益は大きい。日本との協力関係が今後とも継続することを期待する。東ティモール国民を代表して、日本政府とその国民に対して、厚く御礼を申し上げたい」とのスピーチがありました。福島臨時代理大使からは、「アジアの友人として日本は、一貫して東ティモールを支援してきた。多くの苦難と困難を克服し、東ティモールが真の自立した国となることを希望する。そのためにも、日本としては、国の基盤造りを支援する」旨、挨拶。その後、鍬入れ式があり、プロジェクト銘板が除幕されました。地域の人々が式典に集まり、伝統舞踊などでプロジェクト開始を祝福してくれたのが印象的でした。
水はいのちと生活の基本であり、その不足は社会的不安にもつながります。新しい国造りに取り組む東ティモールにとって、安全で十分な水を得ることは、社会の安定と発展への基盤になり得るのです。