
開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ第8回総会
(議長サマリー)(仮訳)
平成22年12月17日
- 12月16日~17日,「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」第8回総会が,我が国議長国の下,開催された。
- 今次総会は,多くの国が初めて参加する機会となったが,右はリーディング・グループの成果に対する国際社会の関心が増大していることを示している。
- MDGs達成目標の2015年まで5年。国際社会は国際協力に積極的に取組んできたが,現在も世界各地には,飢餓や紛争,気候変動やその他のグローバルな問題に苦しみ,人間としての尊厳を保てないような苦しい生活を営んでいる人々が数多くいるという厳しい現実がある。
- MDGsやその他の課題を達成するためには,安定的,予見可能且つ既存の資金に対して追加的な革新的資金調達について検討する必要がある。革新的資金調達は,必要に応じて,義務的貢献,自発的貢献,融資保証,マーケット・メカニズム,及び民間セクター投資を含む様々なメカニズムを利用するものである。
- 我々は,まず,2002年のモンテレーにおける開発資金に国際会議において開発のための革新的資金調達を検討する重要性を認識し,その後,ドーハにおける開発資金に関する国際レビュー会合において革新的資金調達に関し議論した。本年6月3日,国連において非公式会合が開催され,ニューヨークでMDGs首脳会合開催期間中の9月22日,革新的資金調達に関するハイレベル・サイドイベントが開催された。国際社会において革新的資金調達に関する議論に対する関心が高まってきている。
- 我々は,開発のための革新的資金調達に関する国連のアジェンダへの関心が高まっていることを支持する。その関連で,MDGs国連首脳会合の成果文書及び第65回総会会期中に国連で採択された新たな決議は,重要な一歩である。また,我々はG20のアジェンダに開発が含まれたことを歓迎する。
- 我々は,より多くの国及び国際機関が,革新的資金調達に対する理解を深めるよう努力してきた。今次総会よりブータン,エクアドル及びスリランカを含む多くの国がLGに参加した。これは,革新的資金調達に対する関心が,国際社会が関心を寄せる重要な議題となったことを意味している。
- 今次会合において,我々はIFFIm,AMC,航空券連帯税及び民間のイニシアティブを含む保健分野の多くの革新的資金調達メカニズムの重要なインパクトに留意した。たばこ税や新たな官民パートナーシップのような新たなアイデアも紹介された。これらのプレゼンは,同セクターにおいて達成された顕著な成果を強調するとともに,それらメカニズムの付加価値を証明した。また,専門のタスクフォースの設立が検討に付された。
- 我々は,革新的資金調達の優先課題として教育セクターを強調し,教育のための革新的資金調達に関するタスクフォースに提出された専門家報告書を歓迎した。我々は,報告書の提案の詳細をさらに検討するようタスクフォースに要請した。
- 開発のための国際金融取引に関する革新的資金調達に関しては,「開発のための国際金融取引に関するタスクフォース」が設置した専門家の報告書をベースに,開発のための金融取引税について議論した。MDGs国連首脳会合のサイドイベントで,日,仏,ベルギー,スペイン,ノルウェー及びブラジルが提案,支持した宣言は,将来の行動のための前向きな姿勢を示すものとなった。
- 加えて,不正な資金の流れが開発に与えるマイナスのインパクトを認識するとともに,ここ数年の進展を歓迎した。ノルウェー主導の下で不正な資金の流れと租税回避に関するタスクフォースによって作成された報告書に続き,透明性と情報共有はリーディング・グループにとって重要な課題であり,より多くのことがなされるべきである。
- 気候変動のための革新的資金調達に関する我々の共同作業とコペンハーゲン・サミットの際に開催されたサイドイベントに続き,我々は二酸化炭素排出取引のような既存のイニシアティブについての経験を共有し,新たなイニシアティブの創出に期待した。我々はまた,気候変動資金に関するハイレベル諮問グループにより国連事務総長に提出された報告書についても議論した。
- 我々は,移民の送金のコスト引き下げや,マイクロクレジット機関を通じた被供与国における開発へのインパクトの改善の必要性を再確認した。
- 我々は,また,飢餓や貧困と戦うための革新的な資金源の特定を目的とするリーディング・グループの作業を認識した。
- 今後の取組として,我々はイニシアティブや具体的な行動の拡大を支持する。我々は,国連において,開発のための革新的資金調達に関する国連決議のフォローアップに努める。我々は特にLDCを重視する。その関連で,2011年5月にイスタンブールで開催されるLDC会合の機会に,ハイレベル・サイドイベントのために集うことが提案された。G20は開発アジェンダの中で,革新的資金調達の潜在能力に注意を払うべきである。
- 我々は,民間セクターの自発的な関与をいかに促進するか,またグローバル化により最も利益を得ている経済セクターの客観的評価や開発に対する貢献など,につき研究を行い,それに基づき,次回会合で報告を行うよう事務局に求めた。
- 最後に,明年1月1日に,マリが日本からリーディング・グループ議長国を引き継ぐことを確認した。2011年後半にはスペインが議長国を務める。