平成22年12月20日
外務省地球規模課題総括課
12月16~17日,東京において「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(LG)第8回総会が開催され,我が国は議長国として前原大臣が全体会合の議長を務めたところ,概要は以下のとおりです。会合終了後,前原大臣が議長として議論の結果を総括した「議長サマリー」を発出しました。
(1)全体会合
(2)第1セッション(保健セクターにおける革新的資金調達)
UNITAID,WHO,GAVIアライアンス,世界基金,英国及び大和証券の代表から,航空券連帯税,自発的貢献,IFFIm(予防接種のための国際金融ファシリティ),AMC(ワクチンの事前購入制度),インパクト・インベストメント及び上場投資信託(Exchange Trade Funds)を通じた資金調達といった保健分野での革新的資金調達についてそれぞれの取組や実績について最新状況が紹介されるとともに,たばこ税や医薬品のパテント・プール等につき提案がありました。
(3)第2セッション(不正な資金の流れ)
スペイン,ノルウェー,Global Financial Integrity及びOECDの代表から,租税回避等により途上国から流出する資金の大きさ(開発に与える負の影響),透明性,相互情報交換及び防止体制の必要性,途上国の徴税能力向上の重要性(キャパシティ・ビルディングの必要性とプログラムの実績),各国政府における関係部署横断的な取組の重要性等が述べられました。
(4)第3セッション(教育のための革新的資金調達)
「教育のための革新的資金調達に関するタスクフォース」専門家から,執筆委員会による報告書について報告が行われた後,セネガル,UNICEF,EC及びオランダの代表から,教育が他のミレニアム開発目標に与える影響の大きさ(妊婦の教育レベルが乳幼児死亡率に影響する等)やそれ故の支援の必要性について意見が述べられました。
(5)第4セッション(国際金融取引に関する革新的資金調達)
「開発のための国際金融取引に関するタスクフォース」専門家委員会及び我が国の「国際連帯税推進協議会」の代表から,それぞれの報告書について説明した後,ブラジル,ノルウェー,Stamp Out Poverty及びスペインから,通貨取引開発税の金融機関への影響,各国政府部内における議論の現状,各国における認知度向上の必要性,課税対象の選定(国際金融全般とするか,通貨取引とするか)等につき,意見が交わされました。
(6)第5セッション(気候変動に関する革新的資金調達)
冒頭,議長のノルウェーから潘国連事務総長の設置した「気候変動資金に関するハイレベル諮問グループ(AGF)」報告書及び我が国からCOP16における各国のリーダーシップにつき報告の上,ドイツ,世銀,メキシコから各国・機関における取組と実績について紹介が行われました。
(7)第6セッション(貧困と食料安全保障)
冒頭,議長のブラジルから自国における取組と食料に関するガイドラインの策定とベストプラクティスの収集の必要性を述べた上,モデレーターであるFAO,マリ,国連,キプロスから,各国・機関における取組が紹介され,特に,食料へのアクセス確保の重要性,食料・栄養と衛生や社会の安定との関連性等が強調されました。
(8)第7セッション(移民の送金)
冒頭,議長のチリから,移民の送金の開発に対する重要性と安定性,最近の議論の動向につき発言。イタリア,世銀,仏,OECDから各国・機関における取組,送金コストの削減の必要性,国際的な送金の効率性向上の重要性等につき考えを述べました。本国における送金の使途や送金に関する規制について,メキシコやスリランカ等から,移民の所得の移転は民間のプライベートな資金であり,その使途の限定や規制を行うべきではない等の問題意識が提起されたのに対し,マリ,0ECD,チリ等から移民の送金は途上国にとっては安定的な資金フローであり,開発に振り向けるためのチャンネル化や送金コスト引き下げにつき国際的に議論することは有益である等述べました。
(9)全体会合