
「G8食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス」
第3回リーダーシップ理事会(結果概要)
平成25年9月23日
- 9月23日(月曜日),米国・ニューヨークにおいて,「G8食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス」のリーダーシップ理事会が開催され,日本からは田中明彦JICA(国際協力機構)理事長が出席しました。「ニュー・アライアンス」とは,G8,アフリカ諸国,民間セクターが連携して,持続可能で包摂的な農業成長を達成し,サブサハラ・アフリカにおいて今後10年間に5,000万人を貧困から救い出すことを目的とするイニシアティブです。同リーダーシップ理事会は,「ニュー・アライアンス」の進捗状況の確認と今後の取組の方向性を議論するために開催されるものです。
- 同理事会において田中JICA理事長からは,「世界食料安全保障委員会(CFS)で協議が進められている「責任ある農業投資原則」が真に効果的なものとなるためには,同原則が実用的かつ活用しやすいものにすることが重要である」旨を指摘しました。そして,同原則の運用に関し,農業投資の現場の実例・教訓を収集・分析し,同原則の改善につなげるための「責任ある農業投資に関する未来志向の調査研究」を,日本の財政的な支援の下で立ち上げることを紹介し,この分野の開発協力における日本の積極的な貢献を説明しました。田中理事長はさらに,同「調査研究」の成果をCFSでの「責任ある農業投資原則」に関する協議及びその後の同原則の運用に活かしていくことの重要性を強調しました。
- 同理事会ではその他には,ニュー・アライアンスにおけるG8,民間セクター,アフリカ諸国の投資コミットメントの進捗について報告がなされた後,責任ある農業投資を推進するために解決すべき課題と優先的に取り組むべき行動について出席者が議論を交わしました。
(参考)
- 同理事会は,G8に加え,アフリカ連合委員会(AUC)及び世界経済フォーラム(WEF)の共催。昨年の国連総会時に開催された第1回,本年5月に南アフリカ共和国で開催された第2回に続き,今回が3回目の開催。同理事会の主な出席者は以下のとおり。
(1)共同議長:グリーニング英国際開発大臣,シーラン元WEF副会長(WEF代表として参加)
(2)G8:田中JICA理事長,シャー米国際開発庁(USAID)長官,カンファン仏外務大臣付開発担当大臣,ピステッリ伊外務副大臣,ピエバルグス開発担当欧州委員
(3)アフリカ諸国:キクウェテ・タンザニア大統領,マヤキNEPAD計画調整庁長官,ツムシメAUC農村経済・農業委員
(4)その他:ヌワンゼIFAD総裁,民間企業CEO,アフリカ農民組織代表,市民社会組織代表
- 「責任ある農業投資に関する未来志向の調査研究」の概要
(1)ニュー・アライアンスの参加企業やアフリカ政府の協力を得て,4関係国際機関(世界銀行,UNCTAD,FAO,IFAD)が実施。
(2)参加企業は,1)農業投資案件の実施の際に,4関係国際機関が過去の農業投資案件を通じた研究・分析に基づき作成する質問票に回答,2)追って,4関係国際機関のインタビューを通じて,「責任ある農業投資原則の現場におけるテストを通じ,どの原則が役立ったか,追加的にどのような原則が必要か,運用においてどのような仕組みが必要か」等についてフィードバック。
(3)同時に,アフリカ政府や現地の人々,その他ステークホルダーに対しても,4関係国際機関が聞き取り調査を行い,フィードバックを得る。
(4)2014年3月に,4関係国際機関が最初の進捗報告書を作成し,CFSにおける「責任ある農業投資原則」の協議へインプットする。その後作成される中間・最終の進捗報告書については,「責任ある農業投資原則」策定後に,CFSにおいて,その運用に関する議論が継続される見込みであるところ,同議論にインプット予定。