平成18年3月7日
遠山清彦外務大臣政務官は、3月6日および7日にロンドンで開催された英国政府・世界銀行・アジア開発銀行共催の国際会議「アジア2015」に出席したところ、その概要と評価は以下の通り。
(1)ミレニアム開発目標(MDGs)達成のためにアジアの直面する課題を議論する本会議には、主催側からブレア英首相、ベン英開発大臣、黒田アジア開銀総裁が参加し、アジア諸国からアジーズ・パキスタン首相兼財務相、ムルヤニ・インドネシア財務大臣、フック・ベトナム計画投資大臣をはじめとする15カ国の閣僚が参加した。このほか、NGO、学界、企業、プレス関係者が多数出席した。
(2)我が国は、遠山政務官を代表として、財務省・JBIC・JICA・学界の関係者が参加した。遠山政務官は、会議冒頭でステートメントを行ない、アジアの主な課題として(イ)経済成長を通じた格差是正、(ロ)環境の長期的な持続性確保、(ハ)人間の安全保障の推進を指摘の上、我が国が引き続きアジア諸国を支援していく旨表明した。また、南南協力をはじめとするパートナーシップの強化とアジア諸国のオーナーシップの重要性を強調した。また、6つの分科会では、我が国の重視する人間の安全保障の視点、貿易投資を通じた成長促進、開発におけるインフラの役割、教育保健水準改善のための分野横断的な取り組み、環境問題への長期的取り組み等の重要性を主張した。
(3)我が国の指摘する格差是正の努力における経済成長の重要性や南南協力の推進の重要性、環境の長期的持続性確保等については、多くのアジア諸国や英国等から、強い支持が表明された。また、これまでの我が国の援助に対しては、様々な機会にアジア諸国から謝意の表明があった
(4)我が国は、アジア開発を支援するために以下の協力を発表し、これに対して(特に下記(イ))アジア諸国、英国から高い期待が表明された。
(イ)我が国・英国・アジア開発銀行の共催により、本年秋に「援助効果向上に関するアジア地域ワークショップ」を開催し、パリ宣言実施のためにアジア諸国の経験を共有する。
(ロ)我が国・インドネシアの主導する「アジア森林パートナーシップ」を、英国の協力も得て推進することにより、違法伐採や森林管理に対する取り組みを強化する。
(ハ)開発途上国の貿易促進のために「開発イニシアチブ」の下、今後3年間に貿易・生産・流通関連インフラ分野で100億ドルの資金協力を実施し、貿易関連分野で1万人の専門家派遣・研修員受け入れを実施する。
(ニ)南南協力の推進のために日英両国は、アジア生産性機構(APO)やUNDPを通じたものを含め協力を推進する。
(5)我が国は、開発分野の日英協力の一環として本会議の準備過程から多大な貢献を行った。成果文書ではこうした我が国の特別な協力に対する共催者の謝意表明が盛り込まれた。また、共催者の共同記者会見に遠山政務官が参加して我が国の貢献を積極的にアピールした。
(1)本会議は、国際的な関心がアフリカに集まりがちな中、世界の貧困人口の3分の2を抱え、資源エネルギー消費増が著しいアジアの開発課題に関心を向ける重要な意義があった。
(2)アジアに対する最大援助国である我が国の貢献や援助哲学を国際的にアピールすることができた。
(3)我が国がアジアで推進する開発分野の協力について、アジア諸国の政治的関心を高め、英国やアジア開発銀行の協力を得て今後の実施強化にはずみをつけることができた。