平成26年12月16日
12月15日,16日,フランス(パリ)において「第49回経済協力開発機構 開発援助委員会(OECD・DAC)ハイレベル会合」が開催されました。DAC加盟国から,開発協力を担当する各国閣僚級や援助機関の長らが出席し,我が国からは兒玉OECD日本政府代表部大使及び大菅外務省国際協力局参事官(大使)らが出席しました。最終日にはコミュニケが採択されました(コミュニケ(英文)(PDF:318KB)及びコミュニケのポイント(和文)(PDF:106KB)
)。本会合の概要は以下のとおりです。
12月15日(月曜日)~16日(火曜日) OECDカンファレンスセンター(パリ)
DAC加盟29か国・機関及びUAE(DAC Participant)。近年,途上国の開発には,DAC加盟国以外の国・機関も大きな役割を果たしていることから,今次DACハイレベル会合には,DAC非加盟国のOECD諸国やOECD加盟交渉中のコロンビア,ラトビアの他,OECD非加盟国も招待され,ブラジル,中国,クロアチア,インド,インドネシア,南ア等の代表もオブザーバーとして参加。
本会合では,ポスト2015年を見据え,DAC加盟国が,新興国や民間セクター等,開発に携わる多様な主体とのパートナーシップを強化し,また,公的及び民間資金をより効果的に活用することで,貧困や紛争,格差等といった途上国を取り巻く多様かつ複雑な課題に対応していく方策について議論を行いました。次回ハイレベル会合は2015年末ないし2016年初旬に開催される予定です。
開発協力を巡る様々な状況の変化を踏まえ,途上国の開発に貢献する公的及び民間資金を途上国へ動員し,それら資金を効果的に活用することが必要であるとの考えに基づき,各国のODA実績の測定方法の改善(現代化)やODA以外の開発に資する資金を幅広く統計として捕捉していく方策を中心に議論が行われました。
その結果,ODA実績の測定方法については,2018年実績から,新たに贈与相当分計上方式(GE方式※)を導入することや,ODA借款の譲許性の計測方法について,今までは全途上国において一律のものを適用してきていましたが,今後は途上国を一人あたり所得水準等に基づき3カテゴリー毎(後発開発途上国及び低所得国,低中所得国,高中所得国)に分類し,それぞれ異なる割引率・閾値を適用することに合意しました。
また,開発資金の幅広い捕捉に関しては,伝統的な贈与・借款のみならず,公的保証等様々な資金手段を活用した場合における資金支援の統計捕捉方法やODA以外の開発に貢献しうる資金(TOSD: Total Official Support for Development)を統計で捕捉する方法につき検討を継続することを合意しました。
※贈与相当分計上方式(Grant Equivalent:GE方式): 借款供与時に贈与相当分(グラントエレメント)のみODAに計上し,かつ返済時に減算計上をしない方式。
ポスト2015年開発アジェンダの達成には,関係するすべての主体(先進国・途上国等)の国内・国外・譲許的・非譲許的資金の効果的な活用と関連統計の改善が必要であるという問題意識の下,DACは,関連統計の収集という分野で貢献可能との認識が共有されました。この目的のため,DAC加盟国以外の開発協力主体との統計面における関係強化や非DACドナーからの統計情報提供が奨励されました。また,DAC加盟国は,国連におけるポスト2015年開発アジェンダ及び実施手段,モニタリングの議論に貢献することに合意しました。さらに,DAC加盟国は,ODAの対GNI比0.7%目標などのODA関係のコミットメントの履行を再確認し,取組を進めることに合意すると共に,後発開発途上国(LDCs),小島嶼開発途上国(SIDS),内陸開発途上国(LLDCs)や脆弱・紛争国などの「支援を必要とする国」にODAをより多く振り向けること,LDC向けODA量減少の反転に努力すること等の方針に合意しました。
2014年4月にメキシコシティで開催された第1回GPEDCハイレベル会合において,GPEDCの特長は多様な開発主体による包摂的パートナーシップであるとの共通認識が得られました。今回の会合では,GPEDCがその特長を活かし,開発協力の成功例を共有する場(ハブ)となることで,途上国自身が抱える様々な課題への取組に役立てていくことがDAC議長から提案され,DAC加盟国から賛同の意が示されました。また,開発効果に関するGPEDCのモニタリング・システムがポスト2015年開発アジェンダの実施において貢献しうることを確認しました。
我が国は,インフラ整備や能力構築により,アジア地域をはじめとする途上国の質の高い成長とそれを通じた貧困削減に貢献してきたこれまでの60年におよぶ開発協力の経験を引き続き共有するとともに,来年,GPEDCの運営委員会のメンバーとなり,これまで以上に積極的にGPEDCへ貢献していく意思を表明しました。