(1) 人間の安全保障委員会は、平成12年9月の国連ミレニアム・サミットにおける日本の呼びかけに応え、緒方貞子前国連難民高等弁務官とアマルティア・セン・ケンブリッジ大学トリニティーカレッジ学長を共同議長とし、共同議長を含め12名の世界的な有識者をメンバーとして設立された。
同委員会は、国連、各国政府等からは独立した委員会であるが、国連を含む国際社会と密接に連携しつつ、活動を行うこととされている。
「人間の安全保障」を外交の重要な視点と位置付ける日本政府としては、同委員会の活動を通じて「人間の安全保障」の考え方がより深化し政策概念として具体化されることを期待して、積極的にその活動を支援している。
川口外務大臣と人間の安全保障委員会共同議長との懇談(概要)(平成14年9月15日)
(2) 人間の安全保障委員会メンバー
同委員会は、人間の安全保障の考え方を深めるとともに、国際社会にとって具体的な行動の指針となるような提言を出すことを目的としている。
平成13年1月に緒方貞子前国連難民高等弁務官がアナン国連事務総長訪日の際に「人間の安全保障委員会」の設置を発表した。(その際に発表されたプレスリリース)
平成13年6月8日から10日にかけて、米国ニューヨーク州において、人間の安全保障委員会第1回会合が開催された。
同会合の議論においては、貧困が紛争とどのように結びついており、如何なる解決策があり得るかという点を中心として、活発かつ有意義な議論が行われた。委員会の今後の活動においては、社会的不平等、アイデンティティ、人権侵害等、同会合において提起されたその他の焦点も含めて包括的な枠組み(フレームワーク)を策定し、これに沿った行動計画を打ち出していくこととなった。
平成13年12月16日から17日にかけて、東京において、人間の安全保障委員会第2回会合が開催された。
同会合においては、人間の安全保障委員会事務局が準備した「概念的枠組み文書」の「作業用定義:working definition」を土台として活発な議論が行われた。また、世界各地で行うアウトリーチ活動についても各委員から積極的な提案がなされた。
平成14年6月8日から10日にかけて、ストックホルムにおいて、人間の安全保障委員会第3回会合が開催された。
同会合においては、来年発表予定の最終報告書をまとめるにあたって、これまでの検討状況につき両共同議長より説明がなされた。
同会合においては、来年発表予定の最終報告書をまとめるにあたって、これまでの検討状況につき両共同議長より説明がなされ、各委員より様々なコメントが出された。また、トルクメニスタンやベナンでのラウンドテーブル等、これまでのアウトリーチ活動について報告がなされるとともに、平成14年8月にヨハネスブルグで開催されるWSSD(持続可能な開発に関する世界首脳会議)との連携を含め、アウトリーチ活動を強めていくことが検討された。
平成14年12月8日~10日にバンコクで開催された委員会第4回会合においては、事務局が作成した報告書案((1)人間の安全保障の概念の整理、現状、問題点の指摘、(2)紛争下の人間の安全保障についての分析(3)開発と人間安全保障についての分析(4)横断的問題・提言等、が書かれている)に沿って議論が行われ、書き込むべき要素についてある程度の合意が見られた。
平成15年2月23日、24日に東京で委員会最終会合が開催され、最終報告書について合意された。
「人間の安全保障委員会」報告書は平成15年5月1日、ニューヨークにおいて、緒方貞子、アマルティア・セン両共同議長によりコフィ・アナン国連事務総長へ提出された。