軍縮・不拡散

軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第5回外相会合
(概要と評価)

平成24年9月26日

  • (写真)軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第5回外相会合-1
  • (写真)軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第5回外相会合-2

1 全体概要

 9月26日,ニューヨークの豪州国連代表部において,軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第5回外相会合が開催された。NPDIは,2010年9月の国連総会の機会に日豪主導で立ち上げた,核軍縮・不拡散分野における地域横断的な有志国グループであり,本件外相会合は,今年6月にイスタンブールで行われた第4回会合に続く5回目の会合。午前8時50分から10時まで外相会合,その後10時30分まで共同記者会見が行われた。政治レベルの出席があった国及び出席者は以下のとおり。

我が国
玄葉外務大臣(共同議長)
豪州
カー外相(議長)
オランダ
ローゼンタール外相
チリ
モレノ外相
ドイツ
ヴェスターヴェレ外相
トルコ
ダーヴトオール外相

2 会合の概要

(1)NPT運用検討会議第1回・第2回準備委員会

 冒頭,日豪の両共同議長による歓迎挨拶が行われ,続いてNPT運用検討会議第1回準備委員会の議長を務めたウールコット豪州軍縮代表部大使から,同委員会に関するプレゼンテーションが行われた。その後,玄葉大臣より,来る第2回準備委員会に向けて,第1回準備委員会の成果の上に立ち,NPDIとして,更に質の高い作業文書を出していくこと,NAMやNAC等,各グループとの対話を更に深めることが重要と考える旨述べた。

 続いて玄葉大臣のリードの下,明年の次回準備委員会にNPDIとして提出する6本の作業文書の項目((1)包括的核実験禁止条約(CTBT),(2)非戦略核,(3)核兵器の役割低減,(4)輸出管理,(5)非核兵器地帯,(6)核兵器国への保障措置拡大)とその分担に合意した。

(2)軍縮・不拡散関連条約の普遍化

 玄葉大臣より,IAEA追加議定書(AP)の普遍化に関する外相連名書簡が近く発出されることを確認した。またローゼンタール蘭外相から,核物質防護条約の普遍化に言及があり,2014年3月にオランダで開催予定の核セキュリティ・サミットに向けた準備も念頭に,この分野でもNPDIとしても協力できればと考えているとの発言があった。

(3)核戦力の透明性向上(報告フォーム)

 NPDIの成果である核軍縮措置の報告フォームについて,引き続き核兵器国への働きかけを行っていくことを確認しつつ,玄葉大臣から,こうした働きかけを外相レベルで行っていくべき時期にきていると述べた。

(4)兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)

 カナダから,第一委員会に提出予定の決議案について説明があり,玄葉大臣から,同決議案がブレークスルーとなるよう,グループとして協力していくことが重要である旨述べた。

(5)次回外相会合

 ローゼンタール蘭外相より,次回NPDI外相会合を明年4月にハーグで行うとの発言があった。

(6)外相ステートメントの採択

 この後,(1)核兵器国との信頼醸成措置に向け,核戦力の透明性向上に関する核兵器国との協議継続,(2)中東非大量破壊兵器地帯設置構想国際会議開催への支持,(3)兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始を含む包括的作業計画採択の要請,(4)明年4月のオランダにおける次回外相会合開催,等を内容とする外相ステートメント(日本語英語)を全会一致で採択した。

3 評価

  1. (1) 今次会合は,2015年NPT運用検討会議までの中間地点であると同時に,同運用検討会議に向けた第1回および第2回準備委員会の中間地点というタイミングで開催された。軍縮・不拡散分野における諸課題に対処するため,グループとしていかに政治的推進力を維持・強化していくべきかにつき,外相間で率直な議論を行うことができたことは有意義。
  2. (2) 特に,第1回準備委員会で議長を務めたウールコット豪州軍縮代表部大使を交え,これまでのグループの活動の成果の上に立ち,今後のNPT運用検討プロセスにおいてグループが果たすべき役割につき,具体的に意見交換できたことは有益であった。
  3. (3) 核軍縮措置の報告フォームに対し,核兵器国から前向きな反応を引き出すべく働きかけを続けること,FMCTに関し,カナダが国連総会第一委員会に提出予定の決議案が停滞している現状を打破するものとなるようグループとして協力していくこと,NPDIとして,第2回準備委員会に新たに6本の作業文書を提出すること等,現実的かつ具体的な提案を外相のコミットメントとして打ち出すことができたことは,グループの活動をアピールする上で大きな意義があった。

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