
軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第4回外相会合
イスタンブール宣言(骨子)
平成24年6月16日
総論
- NPTの普遍化と効果的な履行にコミットし,2010年運用検討会議の行動計画の履行に向けた取組を約束。
- ウィーンで行われたNPT運用検討会議第1回準備委員会の検討と結果を歓迎。準備委員会への作業文書の提出等,NPDIがグループとして目に見える建設的な役割を果たしたことを強調。
核兵器国の取組
- 核兵器国に対し,透明で検証可能でかつ不可逆的な方法で,非戦略核兵器を含むあらゆる種類の核兵器を削減・最終的に撤廃するための一層の努力を要請。
- 6月27日~29日にワシントンDCで行われる核兵器国の第3回会合の透明性のある結果に期待。NPDIが提案している核軍縮報告フォームについて,核兵器国の見解を各国首都ベースで求めていくことに合意。
FMCTとCD
- ジュネーブ軍縮会議(CD)は,特に兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉の早期開始を含む包括的な作業計画に合意し履行しなければならない。
- FMCT交渉と発効までの間,全ての核兵器国・NPT非締約国が核兵器用核分裂性物質の生産の自発的なモラトリアムを宣言・維持するよう要請。
- CDが本年の会期末までに包括的な作業計画に合意し履行できない場合には,選択肢を議論する用意がある。この問題につき,次回NPDI外相会合で更に詳細に協議。
- 独と蘭によるFMCT専門家会合を支持。
CTBT
- 発効要件国に対し,無条件かつ遅滞なく署名・批准するよう求める。インドネシアによる批准を歓迎。
- CTBT発効までの間,核実験モラトリアムを維持するよう全ての国に求める。
- 条約の検証体制,特に国際監視体制(IMS)を構築するCTBT事務局の多大な尽力を引き続き支持。
国際的な枠組みの普遍化
- 2015年のNPT運用検討会議までに重要な核軍縮不拡散の関連条約に最大限の加入を促進するための作業計画を策定することに合意。
- APの未締結国に対して,遅滞なきAPの締結を求めるとともに,APの規定の発効前の自発的な履行開始を奨励。
- IAEA包括的保障措置協定及び追加議定書(AP)を国際的な検証基準として促進。
輸出管理
- 輸出管理の重要性にかんがみ,全ての国に対し,安保理決議第1540号等に基づき,核及び核関連汎用品及び技術に対する適切かつ効果的な国内の輸出管理の設置,発展,見直し,及び維持を行うよう促す。
国際的な不拡散レジームの未遵守の問題
- 特定の長期にわたる国際的な不拡散レジームの不遵守の問題を深く懸念し,全ての保障措置上の義務の不遵守の問題が,IAEA憲章及び各国の法的義務と完全に整合的な形で,直ちに解決されるよう強く求める。我々は,NPT体制にとって特に懸念のある事項につき議論した。
非核兵器地帯
- 国際的に承認され,かつ効果的に検証可能な非核兵器地帯の設立を奨励,支持。
- 2012年の中東非大量破壊兵器地帯に関する会議について,2010年運用検討会議で合意された実際的な措置を明確に支持。本外相会合でのフィンランド代表との意見交換を経て,会議の成功のためのファシリテーターの努力を完全に支持。第一義的に地域内の全ての国とそして国際社会による誠実で建設的な関与を求める。
原子力安全及び核セキュリティ
- この分野におけるIAEAの中心的な役割を強調。
- 核セキュリティの強化,核物質の不法取引の予防,核テロの脅威の低減に関して,ソウル核セキュリティ・サミットの成功裡の開催と2014年の蘭でのサミット開催を歓迎。
- IAEAによる国際的な原子力安全の強化を支持。世界の原子力安全の更なる強化のため,12月の原子力安全に関する福島閣僚会議の成功に向け協働する。
- G8グローバル・パートナーシップの取組を歓迎し,核テロに対抗するグローバル・イニシアティブの貢献に留意。
軍縮・不拡散教育
- 核兵器使用の悲惨な人道的結末を懸念。この関連で,NPDIの共同の取組の不可欠な部分として軍縮・不拡散教育の重要性を認識。8月の長崎に於ける軍縮・不拡散教育グローバル・フォーラムを歓迎・期待。
- 2012年のNPT運用検討会議準備委員会への市民社会からの活発な参加を歓迎し,NPT運用検討プロセスへの実質的で恒久的な貢献を認識。
- NPDIの努力に貢献し得るパートナーとのアウトリーチ活動を強化。
結語
- 次回NPDI外相会合は,国連総会のマージンにおいて9月に開催。2013年及び2014年のNPDI外相会合は,それぞれ蘭と日本で開催予定。