(仮訳)
(英語正文)
提案1:NPT締約国の間には,核兵器のための核分裂性物質の生産は停止されなければならないとのコンセンサスがある。兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)は,将来における核軍備競争のリスクを抑制し,非国家主体がそれらの物質を取得する危険を軽減するだろう。そのような条約は,世界の脆弱な核物質を防護するために行われている取組を補完するだろう。それは,核兵器のない世界の途上において必要不可欠な措置である。その行動計画において軍縮会議(CD)でのFMCT即時交渉を求めたNPT運用検討会議から1年が経過し,それが履行されていないことに対し,我々は深く失望している。交渉の過程においてすべての国の安全保障上の要求に対処しなければならないことを認識しつつ,我々は,これ以上の遅延の理由及び言い訳はないことと強調する。
1月26日,潘基文国連事務総長は,FMCTのための信頼醸成に寄与し,CDが作業計画に戻るための非公式プロセスの設置を求めた。我々は,現在の膠着状態を乗り越えるために集中的な取組を開始した。ジュネーブにおいて,CDのマージンで,日本と豪州は,交渉に向けたモメンタムを構築するため,FMCTの技術的な側面を検討する専門家による一連の議論を共催している。ウィーンにおいては,ドイツ主導の取組の中で,我々は,科学的専門家によって対処されるべき問題を列挙し,これら専門家による議論のための提案を含む,FMCTの効果的検証に関するペーパーを作成した。我々は,FMCTの技術的側面を検討することを任務とする科学的専門家グループの設置は,交渉開始を促進し,貢献できるものと考える。
これらのイニシアティブを踏まえつつ,我々は引き続き交渉の即時開始を求めていく。我々の選好は,FMCTをCDの中で交渉することである。しかし,CDが2011年の実質会期でFMCT交渉の開始に合意できない場合,我々は,すでにその議題162「2010年9月24日ハイレベル会合のフォローアップ:軍縮会議の作業の再活性化及び多国間軍縮交渉の前進」の下で本件を取り上げることになっている国連総会に対し,この問題に対処し,交渉開始のために前進する方途について検討することを求める。
提案2:包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効は,多国間の課題におけるもう一つの重要な目標である。我々は,すべてのCTBT未署名・未批准国に対し,署名・批准を求める。我々は,米国及びインドネシアによって表明された,条約の批准を確保するとのコミットメントを心強く思う。我々は,核実験の効果的な終了は,国家及びグローバルな安全保障を弱めることなく,強化し,また,グローバルな不拡散・軍縮体制を著しく増強すると確信する。CTBTは15年前に署名開放され,署名・批准国は着実に増加してきた。我々は,CTBTの普遍化及びその早期発効促進にコミットしている。様々な外交の機会を活用し,我々は,未署名・未批准国に対し,署名・批准し,発効のために必要な手続を速やかに完了するよう求めていく。我々は,効果的な監視・検証体制を整備するに当たり,包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会を支援することにコミットしており,また,すでに達成した業績を評価する。
提案3:2010年NPT運用検討会議において,核兵器国は,核軍縮に向けた具体的な措置の進展を加速させること,また,NPT締約国に対して報告を行うことにコミットした。さらに,信頼醸成措置として,同会議は,核兵器国に対し,可及的速やかに標準化された報告フォームに合意することを奨励した。我々は,核兵器国がコミットメントを実現する上で使用し得る標準化された報告フォームの案を作成している。我々は,核兵器国が6月のパリにおける会合において,我々の提案を検討するよう呼びかける。この案には,我々がすべての核兵器保有国が提供することを望む情報に関する我々の期待が反映されている。我々は,標準化された形式に基づく報告が,NPT運用検討会議で採択された行動計画において奨励されているように,国際的な信頼を醸成し,更なる軍縮を可能にする環境作りに寄与するものと信じる。我々は,核軍縮プロセスにおいて透明性と説明責任を高めることが重要だと認識している。
提案4:我々は,効果的な不拡散体制はすべての国にとって共通の安全保障上の利益であることを強調する。我々は,国家の核不拡散義務の遵守を検証する上でのIAEAの重要な役割を認識する。我々は,2010年12月にアラブ首長国連邦において,また,2011年3月にメキシコにおいてIAEA追加議定書が発効したことにより,我々の地域横断的イニシアティブに属するすべての国が,我々が不可欠な検証基準と考える包括的保障措置協定及び追加議定書を履行している事実を強調する。我々は,2010年NPT運用検討会議の行動計画に従って,不拡散義務の違反を確実に阻止し,かつ探知するためにIAEAが必要とする追加的な権限を与えるため,すべての国に対し,追加議定書を締結し,発効させることを求める。我々は,それぞれの地域において,二国間及び多国間で,追加議定書の普遍的適用を引き続き唱道していく。我々は,追加議定書の締結及び履行における経験及びベスト・プラクティスをすべての関心国と共有することを提案し,また,法的及びその他の支援を提供する用意がある。
2011年4月30日 ベルリン