G8・大西洋を越えたコカインの不正取引対策に関する
アウトリーチ閣僚会合
行動計画（骨子）
平成23年5月10日
本行動計画は,需要と供給を同時に削減しようとする,共有責任原則を唱える国連のアプローチと軌を一にするものである。
I 国際条約の普遍化
麻薬関連3条約は国際麻薬統制体制における礎。我々は国際組織犯罪防止条約や国連腐敗防止条約の効率性強化も探求すべき。我々は大西洋を越えたコカイン不正取引など麻薬問題の影響を受けている地域での条約実施努力を継続する。我々は締約国会議の作業を継続し，麻薬・組織犯罪・腐敗対策のための地域協定の実施を支持する。
II 情報収集と情報蓄積の改善
情報交換の改善は麻薬対策効率化における重要な前提条件。西アフリカに設立された海上阻止活動に携わる地域情報センターと情報ネットワークは,大西洋地域における協力強化を可能とする。これらのセンターと情報ネットワークは，すべての密輸ルートをカバーしたものとして結合されるべき。我々は可能であれば他の地域での追加的なセンター・情報ネットワーク創設による本体制の拡大を支援する。
我々は，各国レベルでの情報収集と,地域協力機関を通じた地域レベルでの戦略的情報共有を可能とする地域機構の創設を支持する。
III 海上阻止活動の強化
麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約第17条は，麻薬取引対策における最も有益なツールの一つ。同条約第17条実施モニタリングのためのUNODC（国連薬物犯罪事務所）ウェブサイトによる連絡ネットワークを歓迎し，オペレーション・システムの即応力強化にコミットする。
公海上の麻薬不正取引阻止のための調査や起訴に対処できないような法的問題への対応として，各国が同条約第17条の枠組の下，麻薬密輸船の発見，モニター，阻止，逮捕における作戦の協力・調整のための二国間協定または地域協定を締結する，又は既存の協定への参加を検討する，そして容疑者の起訴を促すための二国間または地域間協定を締結することを奨励する。
IV 犯罪資産対策のための制度構築
犯罪組織が損害をもたらす能力は，主に犯罪行為によって得た資金力によるものである。こうした脅威に断固として対応するため，以下の協力を強化する。
犯罪資産の確認，凍結，押収，没収に関する様々な法制度の評価に基づき，国際協力が強化される手法を探求する。
犯罪行為によって得られた資産の立証，凍結，没収のための国際的ネットワークであるCARIN（カムデン資産回復関係機関ネットワーク）等への各国の参加を奨励する。
マネーロンダリング対策のためのコンタクト・ポイント創設を奨励する。
FIU（金融情報機関）のフォーラムであるエグモント・グループへの加入を奨励する。
V 麻薬不正取引の長期にわたる破壊的効果への取組
麻薬不正取引は，法の支配を蝕み，人類の安全と幸福に重大な脅威を与える。我々は麻薬不正取引に伴う暴力の抑制と腐敗の根絶のため，ベスト・プラクティスと効率的戦略を確立し普及させることを支持する。
UNODC，OECD，インターポール，世銀などの関係機関に対し，犯罪収益による汚染が助長される経済のメカニズムの分析を行うよう奨励する。
VI 各国の能力強化
麻薬対策においては各国の能力強化が求められる。ドナー・コミュニティのオペレーション最適化のために各国のニーズが確認されることを推奨する。地域警察訓練センターは麻薬対策プログラムに特別な注意を払うよう奨励する。各国のすべての刑事司法プロセスにおける能力強化を支持する。拘留，社会再復帰に向けた代替的制裁の開発や生産国における違法作物削減と統合的・持続的代替作物開発のための政策を含む需要と供給削減のための統合的政策を促進する。我々は情報やベスト・プラクティスなどの提供により，技術協力プログラムに参加する各国・機関の行動の調整を改善するよう促す。アフリカや中南米の各地域機関との効果的な協力を促す。
VII 麻薬不正取引対策の資金調達
コカインをはじめとする麻薬対策においては，多くの資金を必要とする。各国は，可能であればそれぞれの国内法に従い，各国の予算上の能力に十分配慮した上で，麻薬不正取引により生じた犯罪資産を押収・没収したものを，麻薬対策改善のため使用するよう奨励する。可能であれば国内法に従い，任意により，UNODCをはじめ国際機関・地域機関への資金支援を行うとのコミットを再確認する。UNODCが加盟国と協議し，国際金融機関とともに，麻薬不正取引の防止と闘いを支援するため，犯罪没収資産の更なる活用を含む革新的アプローチ創設の可能性を探求するよう促す。
これら計画における行動は，各国の任意により行われる。この行動計画のスコープは，必要や可能性が生じれば，本イニシアティブに参加するすべての国が承認することにより，他の地域や他の薬物にも拡大される。