グローカル外交ネット

令和8年6月2日

在トンガ日本国大使館

 本年3月17日、稲垣久生駐トンガ王国日本国大使が、愛知県尾張旭市役所と同市内渋川小学校を訪問しました。トンガ王国と尾張旭市の概要と関係の始まり、これまでの交流の歴史、そして尾張旭市立渋川小学校での交流について紹介します。

1 トンガ王国と尾張旭市

 トンガ王国は、南太平洋に唯一存在する王国です。ハワイとニュージーランドを結ぶライン上に位置し、ハワイと同じ緯度にある170の島からなる国で、人口は約10万人です。ラグビーが国技で、非常に盛んです。高校生や大学生のラグビー選手が日本にも留学して日本国内のチームで活躍するとともに、日本代表チームの世界ランク向上にも貢献してきています。また、トンガを代表するダンス「ラカラカ」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
 トンガ王国は、外交権を英国が担う友好条約のもと、1900年から1970年まで保護領でしたが、1970年の独立後日本と国交を樹立しました。以来、トンガ王国と日本との関係は、日本の皇室とトンガ王室との交流を基礎に友好的な関係が56年にわたり継続しています。小学校ではそろばんの練習が毎日のカリキュラムに組み込まれ、日本語学習のクラスが選択できる高校もいくつかあります。
 一方、尾張旭市は、名古屋市と「せともの」で有名な瀬戸市との間に、(トンガとの国交樹立と同じ)1970年に市制施行され、現在の人口は8万4千人です。市の真ん中に名鉄瀬戸線の尾張旭駅があり、名古屋市内から向かうと到着直前の左手に市のシンボルタワーである「スカイワードあさひ」、右手の駅前に市役所庁舎があり、市役所を中心とした約3キロメートル以内のコンパクトな市だそうです。
 市役所を訪問した際には、柴田浩市長が迎えて下さりました。最初に、「世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局の呼びかけにより2003年に『健康都市連合』が創設された際、尾張旭市は設立メンバーとして加盟したとのお話がありました。2004年8月には、市民一人ひとりが心も体も健やかでいきいきと暮らすことを永久(とわ)の願いとし『健康都市 尾張旭』を宣言し、翌年には千葉県市川市、沖縄県宮古島市、静岡県袋井市とともに『健康都市連合日本支部』を設立したとのことです。また、尾張旭市の取り組みは、『WHOベストプラクティス賞』の複数回受賞や健康都市連合からの高評価を受けてきました。」との話がありました。さらに「日本紅茶協会によるおいしい紅茶を提供する喫茶店認定数が日本一となり、多くの市民がアフタヌーンティーを楽しんでいます。」とも述べられました。

2 トンガ王国と尾張旭市の交流の歴史

 続けて、柴田市長は、健康都市「尾張旭市」が「トンガ王国」との間で続けられてきた様々な文化交流について、次のように熱く語られました。
 2005年の愛知万博(愛・地球博)開催を迎えるにあたり、県内各市町村が公式参加国とペアになって地域を挙げておもてなしをする国際交流フレンドシップ国が2003年に決められ、尾張旭市のフレンドシップ国は、「トンガ王国」となりました。
 愛知万博開催時は、市内各所でトンガ王国紹介イベントを開催したり、トンガ王国の来訪者がホームステイをしたりし、万博閉幕後も、市民団体の使節団がトンガ王国を訪ねて小学校に算盤を280本贈呈したりするなど、様々な交流が行われました。
 また、市内の渋川小学校では、2004年に5年生の総合学習でトンガ王国勉強会を実施し、愛知万博のトンガ王国ナショナルデー公式式典では、児童が勉強会で学習した内容を記載した「トンガ学習レポート」をトンガ政府代表に贈呈しました。
 2022年にトンガにあるフンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山が爆発し、これに伴う津波が発生した際には、市が救援金・義援金の募金活動をいち早く実施するとともに、渋川小学校でも募金活動とメッセージの寄せ書きが作成され、トンガに送られました。
 翌2023年10月には、尾張旭市民祭でトンガを紹介するコーナーを設置し、トンガの紹介が行われました。
 そして、2024年2月には、スカ・マンギシ駐日大使が来訪し、この募金活動・寄せ書き作成を行った児童達との交流や、東日本大震災3.11に関係する「群青」の合唱披露が行われました。
 また、同年10月には、尾張旭市民祭でトンガを紹介するコーナーを設置し、日本トンガ友好協会、JICA中部、認定NPO法人地球市民の会、トンガOV隊などが訪問して、トンガの紹介や日本との関係についての紹介が行われました。
 さらに、同年12月には、市内の瑞鳳小学校で、5年生を対象に「トンガ学習プログラム」が開催され、日本トンガ友好協会のラトゥ・ウィリアム志南利会長(トンガ生まれでワールドカップに日本ラグビー代表として3回出場した選手)や、元JICA協力隊員としてトンガに滞在された、地球市民の会の深川千幹理事から、トンガに関するお話をいただきました。
 愛知万博20周年の2025年には、愛・地球博20祭「地球大交流フェスタ」が開催され、尾張旭市によりトンガ紹介ブースの出展、トンガ人によるダンスや歌が披露されました。
 その翌年、2026年2月には、ラグビーの元日本代表でもあるラトゥ・ウィリアム志南利会長を始めとする一行が渋川小学校を訪問し、2年生を対象に「トンガ学習プログラム」が実施されました。
 このように、柴田市長からは、尾張旭市とトンガ王国との間で続けられてきた様々な文化交流について縷々お話を頂きました。日本とは違う南太平洋の国の魅力を市民が知る機会作づくりに向けた尾張旭市の取り組みは、市の魅力となり、そして、遠い異国の貧しいトンガを力強く応援するものとなっています。今後とも、継続されることを強く願ってやみません。

(尾張旭市立渋川小学校児童によるトンガ王国紹介作品)

3 尾張旭市立渋川小学校への訪問

 3月17日、稲垣大使は、尾張旭市役所に続いて渋川小学校を訪れ、2年生の児童にトンガでの暮らしやラグビーについて大使から説明しました。
 児童からは、トンガの「おいしい食べ物・フルーツ」、「街の雰囲気」、「食材」、「飛行場」、「公園」、「おかし」、「動物」といった様々な質問が出され、これに対して大使から、米はなく芋を主食とし、パイナップルがおいしいこと、日本が整備した空港があり、クルーズ船客が海岸沿いの公園を散歩しているものの、犬が放し飼いされているので歩いていると噛まれるおそれがあることや、子供達は貧しくてラグビーボールが無いので練習にはサンダルや椰子の実を代わりに投げているといった話をし、児童らは興味深く聞き入り、トンガで鯨と一緒に泳ぎたいといった反応もありました。

(尾張旭市立渋川小学校2年生児童へのトンガについてのお話と質疑応答:向かって左が稲垣久生駐トンガ王国日本国大使、右が柴田浩尾張旭市長)

 今回の交流では、児童達がトンガの絵を描いて迎え、音楽指導に熱心でもある渋川小学校の2年生児童から、「打ちはやし」(尾張旭市における「祭囃子(まつりばやし)」の呼び名)が演奏され、さらに「群青」と「ありがとうの歌」を元気に合唱して頂きました。

(尾張旭市立渋川小学校2年生児童による「打ちはやし」の演奏)

 最後に大使から、トンガの伝統的工芸品の丸い壁掛けをプレゼントするなど、小学校での活動を通じて、尾張旭市とトンガとの交流が深まりました。子供達が、これからもトンガに興味を持ち続け、たとえば、ラグビーを見たりプレーしたりする際にも、引き続きトンガを応援してもらえると嬉しく思います。

4 あとがき

 今回の尾張旭市役所と同市内渋川小学校訪問の他にも、大使は、愛知県豊田市役所を訪問して太田稔彦市長との意見交換や、ジャパンラグビーリーグワンに所属するラグビーユニオン社会人チームであるトヨタヴェルブリッツを訪問してのトンガ出身ラグビー選手との交流、そして、元日本代表ロペティ・オト元ラグビー日本代表選手(現在は名城大学ラグビー部コーチ)との意見交換を行い、さらには名城大学ラグビー部員や中村司愛知県ラグビーフットボール協会理事等との交流も行いました。各地における特にラグビーを通じたスポーツ交流は、日本とトンガ王国との長年にわたる絆を深めるものとなっています。

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