グローカル外交ネット

令和8年4月10日

秋田県鹿角市政策企画課総合戦略室

 秋田県鹿角市(かづのし)は、北東北のほぼ中央、青森県と岩手県との県境に位置しています。十和田八幡平国立公園の豊かな自然に抱かれた本市は、世界文化遺産「大湯環状列石」や、ユネスコ無形文化遺産である「大日堂舞楽」、「花輪祭の屋台行事」、「毛馬内(けまない)の盆踊」という、世界に誇る4つのユネスコ認定遺産を有する歴史と文化のまちです。
 一方、姉妹都市のハンガリー国ショプロン市は、オーストリアとの国境に位置し、中世の街並みを残す美しい都市です。第一次世界大戦後の帰属先を問う住民投票において、オーストリアではなくハンガリーを選択した歴史から「Civitas Fidelissima(シビタス・フィデリッシマ。最も忠誠なる都市の意)」という誇り高い称号を有しています。また、ベルリンの壁崩壊のきっかけとなった「汎ヨーロッパ・ピクニック」の舞台が近郊にあることでも知られるなど、極めて歴史的な意義の深い都市でもあります。
 四半世紀にわたり姉妹都市の絆を紡いできた両市の交流と、これからの展望についてご紹介します。

9年ぶりの訪問団受入れ

1 9年ぶりの行政訪問団受入れと「最も忠誠なる都市名誉賞」の受賞

 2025年10月、本市の姉妹都市であるショプロン市から、ファルカシュ・ツィプリアン市長率いる行政訪問団9名が、9年ぶりに本市を訪れました。
 2002年に姉妹都市提携を締結した両市は、これまで20年以上にわたる交流を続けてきましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や欧州のエネルギー危機などにより、直接的な往来が叶わない期間が続いていました。様々な困難を乗り越えて実現した今回の訪問団受入れは、両市が長年培ってきた「友好の絆」の強さを改めて象徴するものとなりました。

 10月16日、市役所を表敬訪問したファルカシュ市長は、「世界的な困難を乗り越え、再会できたことを心から嬉しく思う。今後さらに絆を深めていきたい」と挨拶されました。
 また、ショプロン市議会の決定により、同市における最高位の賞である「最も忠誠なる都市(Civitas Fidelissima)名誉賞」が鹿角市へ授与されることが発表されました。
 ショプロン市の誇り高い称号「Civitas Fidelissima」が冠されたこの賞は、両市の深い信頼関係と連帯を称えるものであり、今回の受賞は本市にとって大きな誇りとなりました。
 滞在中、訪問団は市内の教育施設や観光施設、酒造会社などを視察し、本市への理解を深めました。特に保育園や小学校、高校の視察では、園児や子どもたちの温かい歓迎に触れ「ショプロンの子どもたちも、鹿角の子どもたちのように育ってほしい」と感動を口にするとともに、次世代を担う子どもたちの教育環境に強い関心を示されていました。
 17日の懇談会では、市長同士で今後の交流について協議しました。青少年ホームステイの再開をはじめ、スポーツ、特産品、観光など、多角的な分野での交流を強化していくことで合意しました。
 その後の歓迎レセプションでは、行政関係者だけでなく、視察受入先の代表者や地元の国際交流関係者らが出席し、和やかな雰囲気の中で両市の今後の交流について展望を語り、再会を誓い合う有意義な時間となりました。

2 両市の絆を支える「日本語語学指導員」

 直接的な交流が制限された時期もありながら、両市の絆が揺るがなかった背景には、姉妹都市提携に先立つ1997年から本市と鹿角国際交流協会が継続派遣している、「日本語語学指導員」の存在があります。
 これまで13代にわたり派遣してきた語学指導員は、2年間の任期中、ショプロン市に滞在し、市民への日本語教育のみならず、本市をはじめとした日本文化の紹介や、市民レベルでの交流を推進する、まさに両市を結ぶ「架け橋」としての役割を担ってきました。
 パンデミックの際にも、現地に留まった語学指導員がオンラインレッスンを導入するなど、状況に応じた工夫を凝らして活動を継続したことは、両市の交流の火を絶やさない大きな力となりました。
 現在、日本語教室は毎学期あたり約70名が受講する人気講座です。これまでに延べ900人以上が受講し、語学指導員が代替わりしても受講を継続する長年のリピーターも生まれるなど、現地の市民生活に深く根付いています。
 こうした地道な取組は、ハンガリー国内でも高く評価されました。2025年10月、ハンガリーの地方自治体による先進的な取組を競う「ハンガリー国内自治体優良事例プログラム」において、ショプロン市は本市との語学指導員を通じた交流事例を「鹿角市とショプロン市を結ぶ文化の架け橋」と題し、「姉妹都市交流の部」に応募しました。
 最終選考会では現在派遣中の語学指導員がプレゼンテーションを行い、見事第3位を獲得しました。このことは、取組の価値が国際的に認められるとともに、ショプロン市が本市との関係をいかに重視し、語学指導員に対して厚い信頼を寄せてくれているかを裏付ける出来事となりました。
 なお、先に記した訪問団受入れ時の懇談会でも、日本語語学指導員の派遣が議題に上がり、派遣を継続することで合意に至っております。

日本語教室の受講生たちとの休日の交流の様子

3 「市民が主役」の交流による両市の発展を目指して

 2025年は、これまで世界情勢の影響で足踏みを余儀なくされていた姉妹都市交流が、行政訪問団の受入れを機に再び力強く動き出した年となりました。
 今後は、今回の懇談会で合意した各分野での交流を具体化させるとともに、中断していた青少年ホームステイ事業の再開を目指し取り組みたいと考えています。
 実際に現地を訪れ、互いの文化を肌で感じる実体験を伴う異文化交流は、両市の友好関係を次世代へと引き継ぐだけでなく、ひいては国際社会で活躍する人材の育成に寄与する、重要な機会になると確信しています。
 本市の国際交流は、行政だけでなく、鹿角国際交流協会、そして語学指導員をはじめとした市民一人ひとりの熱意によって支えられてきました。再び動き始めたショプロン市との歩みを止めることなく、今後も市民が主役となって参画できる多様な交流機会を創出し、姉妹都市交流を通じた両市の発展を目指してまいります。

小学校を視察したショプロン市の訪問団と子供たちの歓迎
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