グローカル外交ネット

令和7年12月22日

在インドネシア日本国大使館
 加納 達也

1 ジャカルタ日本祭り2025の概要

日本の神輿巡行が行われた会場内は、日インドネシアのポップカルチャーと伝統文化が融合した祭りの雰囲気に包まれていました。

 2025年9月27日から28日までの2日間、官民一体となって行うインドネシア最大規模の日本文化事業であるジャカルタ日本祭り(以下、JJM)が、ジャカルタ市内のグロラ・ブン・カルノ・スタジアム東駐車場広場にて開催されました。

 本祭りは、多くのインドネシア国民に日本文化の多様な魅力に触れていただくことで、日・インドネシア両国の友好関係および双方向の交流の更なる促進を目的として2009年より開催されており、在留邦人・インドネシア市民の皆様の支えを受け、今年で15回目を迎えました。

 2025年のJJMは、従来にも増して盛大に行われ、来場者数は前年を上回る約27,000人を記録しました。特に、来場者の約8割が15歳から25歳までの若年層、残りが家族連れ層という特徴的な参加構成となり、ミレニアル層やZ世代を中心とした幅広い世代への日本文化・魅力発信の機会となりました。

 開会式では、プラモノ・アグン・ジャカルタ特別州知事および正木靖駐インドネシア日本国大使(当時)より、この日本祭りを通じて両国の文化交流がさらに発展することへの期待を込めたご挨拶が述べられました。

 また、会場内では神輿担ぎや山車の巡行といった体験ワークショップなど、日本の伝統的な祭り文化を体感できる企画が実施され、多くの来場者が熱気と魅力に触れる貴重な機会となりました。夜間のピークタイムには、JKT48やDikta、Moccaをはじめとするインドネシアの人気アーティストに加え、日本から来訪した新進気鋭のポップカルチャーアーティストによるパフォーマンスが披露され、SNSや主要メディアを通じて大きな話題となりました。

2 地方自治体によるブース出展

「日本を旅する」と題した自治体・地域による出展エリアの様子。その他のエリアにはスポンサー企業やテナント、留学情報、日本文化体験ブース等が出展。

 会場では、15の地域と自治体(北海道、青森県、茨城県、群馬県、長野県、兵庫県、岐阜県、名古屋市、岡山県、高知県、大分県、宮崎県、福岡県、熊本県、沖縄県)、日本政府観光局(JNTO)、自治体国際化協会(CLAIR)がブース出展してくださり、大変盛況となりました。これにより、日本の地方の魅力を来場者へ発信することができました。

 これらの地方自治体の出展にあたっては、自治体海外事務所やインドネシア国内にある県人会、飲食店、旅行会社、イベント会社との協力を得られたことで、日本からの出張者の負担を抑えたり、現地側に委託することでブース出展ができるよう、各自治体が工夫をされていたことが成功の一因であったと考えます。

3 地方自治体・地域による展示内容

 各自治体等では、観光パンフレットやPRグッズの配布が行われるとともに、インドネシアの事情に合わせたムスリムフレンドリーな観光のPRも特徴的でした。各ブースでは、以下のようにさまざまな工夫が凝らされていました。

(1)JNTO(日本政府観光局)

  • 日本全国の訪日観光情報を提供。映像放映による観光案内。訪日観光パンフレットの配布。
  • ガチャガチャによるプレゼント抽選会(アンケート回答者対象)。
  • 折り紙などの参加型ワークショップの実施。

(2)北海道

  • 北海道の観光記事の紹介。
  • 北海道のお土産がもらえる抽選会(イベント会社と協力)。

(3)青森県

  • ブースデコレーション、特産品の被り物。
  • 飲食販売(レストランと協力)。
  • りんごなど青森特産品の販売(輸入販売会社と協力)。

(4)茨城県

  • 観光ポスターやご当地食品会社のポスター掲示、食品サンプルの提供。

(5)群馬県

  • QRコードを利用したアンケートを実施し、PRグッズをプレゼント。観光パンフレットの配布。

(6)長野県

  • 長野県産シャインマスカットの紹介。インスタフォロワーを対象にシャインマスカットの試食を提供。
  • ポスターやポップを使い、日本の果物の歴史や栽培方法、安全性についての学習コンテンツを提供。

(7)岐阜県

  • ポスター掲載・のぼりの掲示。
  • 映像放映による観光案内。
  • 岐阜県産品サンプルの提供。

(8)名古屋市

  • 名古屋市PRグッズの配布・アンケート調査(旅行会社と協力)。観光パンフレットの配布。

(9)兵庫県

  • 観光ポスターの掲載。観光パンフレットの配布。

(10)岡山県

  • ミニゲーム体験。

(11)高知県

  • 鳴子ディスプレイ、よさこいワークショップ。
  • ノベルティや観光パンフレットの配布。

(12)大分県・宮崎県(共同ブース)

  • とり天、チキン南蛮などの販売。

(13)福岡県

  • ご当地グッズの展示。
  • からあげ、テンペチップ、Tシャツの販売(レストランと協力)。

(14)熊本県

  • ふりかけの配布や紹介。
  • 観光パンフレットの配布。

(15)CLAIR(一般財団法人自治体国際化協会)

  • 日本各地の観光PR。

(16)沖縄県

各自治体・地域のブースでは、観光PRや特産品紹介、参加型ワークショップ、食品提供などを実施。首都以外の地域について、初めて知ったという声も多く寄せられた。
  • エイサー演舞、三線演奏、歌唱パフォーマンス。
  • 琉球衣装着用モデルとの記念撮影。
  • サータアンダギー、さんぴん茶の無料提供(レストランと協力)。

4 JJMでの地方自治体出展の意義

 インドネシアは、日本語学習者数が73万人(世界第2位)にのぼり、国民の日本に対する関心も非常に高い親日国です。経済面でも、毎年5~6%の安定した成長を続けており、2024年の訪日客数は約51.7万人と、JJMが始まった2009年の約6.3万人から約8倍に増加しています。また、日本への留学生数も同期間で約2,000人から約6,800人へと伸びています。

 このように、インドネシア国民からの日本への関心が高まっている中、JJMの来場者は15歳から25歳までの若年層が8割を占めています。来場者は日本への関心の高い若者が多く、これまで主に東京や大阪などの首都圏や主要都市しか知らなかった若者たちに対して、地方の魅力をアピールすることは、日本の多様な地域に目を向けてもらう、大きな効果が期待できます。

 最後に、JJMでの出展の意義について、インバウンド需要の増加や、日本で働きたい・学びたいと考えるインドネシア人が増えている現状を踏まえ、今後訪日する可能性がある若い世代に対し、日本の文化や地方の魅力を伝えることは、さまざまな面でポジティブな影響をもたらす有意義な取り組みであると考えます。特に、これらの若者たちが今後のインドネシア社会や両国の相互理解の促進を担っていくことを思えば、日本とインドネシア双方の将来にとっても意義深いものです。当館は、引き続き日本文化や地方の魅力の発信に努めてまいります。

グローカル外交ネットへ戻る