埼玉県三芳町　オーストラリアとの交流再開とクイーンズランド州教育省（EQI）との協定締結

1　はじめに

　埼玉県三芳町は、1993年よりオーストラリア・ブリスベン市のアスコット小学校との相互交流を重ね、児童・生徒の国際感覚を育んできました。しかし、2009年以降は新型インフルエンザの影響により交流が中断していました。そうした中、2025年にクイーンズランド州への中学生海外派遣事業の再開とともに、クイーンズランド州教育省（EQI：Education Queensland International）と新たに協定を締結し、三芳町の国際交流事業は新たな一歩を踏み出しました。本稿では両者の国際交流の模様を交え、新たな協定締結に至った経緯などを紹介します。

2　三芳町とオーストラリアの交流の歴史

　三芳町とブリスベン市アスコット小学校との交流は1993年に始まり、児童の訪問団受け入れやホームステイ、授業参加を通じて文化交流を深めてきました。1997年からは町内中学生の海外派遣事業が始まり、現地校での授業や交流を通じて親睦を深めました。1998年にはアスコット小学校との間で相互交流に関する合意書が締結され、毎年の交流事業が定着しました。しかし、2009年以降は新型インフルエンザの影響により交流が中断され、その後も再開には至りませんでした。

3　オーストラリアとの交流再開

ホスト校にて記念撮影

ローンパイン・コアラ・サンクチュアリでの体験学習

　三芳町では、オーストラリアとの交流が途絶えた後も、マレーシア・ペタリングジャヤ市との姉妹都市提携や相互交流事業を通じて、国際交流を継続的に推進してきました。そうした中、オーストラリアとの交流再開を望む声が多く寄せられたこともあり、クイーンズランド州教育省（EQI）、同州貿易投資庁駐日事務所、在ブリスベン日本国総領事館の協力を得て、2025年10月、「三芳町オーストラリア親善大使派遣事業」として町内在住の中学生20名をクイーンズランド州へ派遣し、交流が再開されました。本事業では、ホームステイや現地校での交流、ナジービーチ環境学習センターやローンパイン・コアラ・サンクチュアリの視察などを通じて、多くの学びと成果を得る意義深い機会となりました。

4　クイーンズランド州教育省（EQI）との協定締結

EQIとの協定締結

　交流再開にあわせて、三芳町はクイーンズランド州教育省（EQI）と「教育分野における協力協定」を締結しました。この協定は、市町村単位では国内初の取り組みです。主な内容は、（1）三芳町からの学生等を対象としたスタディツアーや体験型学習の実施、（2）両当事者間の継続的な情報交換、（3）文化的・教育的活動の推進、（4）国際教育連携の促進、などが挙げられます。この協定により、三芳町の子どもたちは世界水準の教育環境に触れる機会を得て、将来のグローバル人材育成に向けた大きな一歩を踏み出しました。

5　おわりに

　2025年の交流再開とクイーンズランド州教育省（EQI）との協定締結は、これまでの交流実績を礎とし、未来へとつながる新たなステージの幕開けとなりました。今後も町は、子どもたちの国際的な学びの機会を支援し、地域と世界をつなぐ架け橋としての役割を果たしていきます。また、国境を越えた友情と信頼の絆が次世代の心に深く根づき、国際理解の深化を通じて、平和な社会の実現に寄与するものと考えています。

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