グローカル外交ネット
かごしまの食を中東でトップセールス
鹿児島県農政部かごしまの食輸出・ブランド戦略室
1 鹿児島県産品を中東市場へ
左)塩田康一鹿児島県知事、右)今西淳在ドバイ日本国総領事
鹿児島県では、「鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン」を策定し、県産農林水産品の輸出額を2025年度までに500億円とする目標を掲げています。
2024年度の当県の農林水産物輸出額約471億円のうち、最大の輸出先国である米国向けが約237億円と輸出額全体の半分を占めており、また、米国向け輸出品目(輸出額)は養殖ブリ、お茶、牛肉がほとんどを占めています。
鹿児島県としては、海外市場が不確実性を増す中、引き続き当県産品の輸出拡大を図るためには、輸出先の多角化を図る必要があると考えており、今後有望な市場の一つとして、人口動向や経済状況から今後成長が見込まれ、また、わが国政府も現地(ドバイ)に輸出支援プラットフォームを設置するなどしている中東地域に着目しています。そうした輸出先多角化に向けた取組の一環として、今回、塩田鹿児島県知事が、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイとサウジアラビアのリヤドにおいて、日本の在外公館の協力も得て、県産農林水産物のトップセールスを行いましたのでご紹介します。
2 在ドバイ総領事公邸での共催レセプション
レセプションの様子
2025年10月13日、当県及び県産品の認知度向上を図るとともに、県産品の中東における販路開拓の足掛かりを構築するため、在ドバイ日本国総領事公邸において、塩田県知事と今西総領事の共催でレセプションを初めて実施し、養殖ブリ、牛肉、お茶を中心とした県産食材の料理提供や、観光・県特産品のPRブースを設けました。
PRブースでは、当県生産者の方にも参加いただき、有機抹茶のデモンストレーションを交えた試飲や、ブリ・シマアジなどの水産物を西洋料理にアレンジしての提供、シェフによる和牛ステーキの実演調理などを行いました。
レセプションには、現地商社、レストランのバイヤーやシェフ、旅行事業者など、80名を超える現地の方々に出席いただき、鹿児島県からは、日高県議会議長、商業や農業の関係団体代表、県内の生産者などが参加しました。
オープニングでは、今西総領事による御挨拶の後、塩田知事から、和牛オリンピック(全国和牛能力共進会)で2連覇を達成し、品質面・生産量でも日本一を誇る県産和牛、生産量日本一で有機栽培茶など多彩なラインナップを有する鹿児島のお茶、さらには養殖量日本一で世界中に輸出されているブリなど当県が世界に誇る宝のような食材の数々を紹介したほか、「屋久島」、「奄美大島・徳之島」、「明治日本の産業革命遺産」という3つの世界遺産、「大島紬」などの伝統工芸品等、「南の宝箱 鹿児島」の魅力を紹介いたしました。
また、今回参加したお茶の生産者が商品化し、海外初お披露目となる「Sparkling Tea」で乾杯を行いました。
3 レセプション参加者の声から成果を実感
レセプションの参加者からは、当県の和牛やブリ、お茶などの産品について非常に高い評価をいただきました。
試食をしてもらいながら、生産者からそれぞれの産品の特徴やこだわりについて説明し、参加者からも活発に質問をいただくなど各ブースは大いに賑わっていました。当県が自信を持って御紹介する品々の味や香りに直に触れていただき、品質の高さを実感していただいたと考えています。
逆に、参加者から現地の食の嗜好や習慣を踏まえた、食材の新たな活用方法を御提案いただくなど、学びを得ることも多いイベントとなりました。
現地では、日本食の認知が高まりつつあり、日本屈指の食料供給基地である当県の食材に対する高い期待が感じられました。
当県から参加した生産者からも、「現地のレストランや商流を持つ現地インポーターと具体的な話ができ、今後の取引につながる話もあった」と聞き、レセプションの成果を実感しています。
ドバイでは、本レセプションのほか、現地の日本食レストランにおいて、県内事業者とともに、現地商社や量販店の代表、高級レストランシェフへのセールスも行い、実り多い訪問となりました。
4 サウジアラビア・リヤドでのトップセールス
「Japan Delicious Food Festival 2025」オープニングセレモニーの様子
ドバイでのトップセールスに先立つ10月12日には、塩田県知事は、サウジアラビア・リヤドで、森野駐サウジアラビア日本大使に同行いただき、同国環境・水資源・農業省の農業次官と意見交換を行ったほか、現地で複数のレストランを運営する会社のマネージャーからのヒアリングや、現地の大型スーパー「ウィーマート」で開催されている全国商工会連合会(全国連)主催の「Japan Delicious Food Festival 2025」のオープニングセレモニーに出席しました。
本イベントには、当県の和牛や菓子などを含む、全国連が選んだ日本各地の産品が出展され、特に当県産の和牛の試食には多くの現地の方が並ぶなど、大変な盛り上がりでした。
サウジアラビアは中東地域において大きな人口を抱え、近く万博やサッカーワールドカップの開催が予定されるなど経済成長を続ける魅力的な市場ですが、当県からの商流は極めて細く、現地での訪問先選定が難航しました。
そこで外務省地方連携推進室に相談申し上げたところ、在サウジアラビア日本大使館において、現地関係者との交流、情報収集が可能となるよう労をとっていただいた結果、県単独ではアレンジできなかった先との面会が実現し、今回の訪問により現時点で得られる最大の成果を得ることができたと考えております。
5 結び
本セールスを通して、日本食材の中でも需要の高い、ブリ、和牛、お茶の屈指の産地である当県産品に対して高い興味・関心を示していただき、改めて当県産品の高い可能性に官民での販路開拓の足掛かりが得られたと感じています。今西総領事をはじめ在ドバイ日本国総領事館の皆様、森野大使をはじめ在サウジアラビア日本大使館の皆様及び地方連携推進室に対し、改めて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
今後、中東等の市場開拓に向けた詳細な調査を行うこととしており、当該調査結果と今回の渡航で得た人脈や知見を踏まえて、効果的に中東市場の開拓に取り組んでまいりたいと考えています。

