グローカル外交ネット
湖(うみ)を越えてつながる友情
滋賀県草津市代表団、ミシガン州ポンティアック市を訪問
デトロイト総領事館
はじめに:湖がつなぐ二つの地域
草津市代表団とポンティアック市関係者の集合写真 5年ぶりの再会を喜ぶ両市の参加者たち
2025年8月、滋賀県草津市の交流使節団が、米国ミシガン州ポンティアック市を訪問しました。
両市は1978年に姉妹都市提携を結び、今年で47年目を迎えます。姉妹都市関係のきっかけは、滋賀県とミシガン州が1968年に姉妹州提携を結んだことに端を発し、琵琶湖とミシガン湖という共通の“湖”を持つ地域同士として、文化・教育・市民交流を通じた友情を育むことを目的としていました。
新型コロナ禍による中断を経て、今回の草津市使節団の訪問は約7年ぶりとなり、かつて自動車産業で栄えたポンティアックの街に、再び草津の笑顔が戻りました。
滋賀・ミシガンをつなぐ「湖外交」
滋賀県とミシガン州の交流の原点は「湖」にあります。
1968年の姉妹州提携以来、両地域は環境保全、教育、青少年交流など幅広い分野で協力を続けてきました。
現在、ミシガン州にある27の姉妹都市のうち、14が滋賀県との関係を持っています。2025年9月には、ホイットマー・ミシガン州知事が中西部会出席のため日本を訪問し、その際滋賀県も訪問しました。ホイットマー知事は三日月・滋賀県知事と親しい関係にあり、両知事の信頼関係が、州と県の交流の深化にも大きく寄与しています。
水の恵みを分かち合う地域同士が築いた友情――まさに“湖外交”の成功例です。
草津・ポンティアック、40年の絆
カーター市議から贈られたカウボーイハットを身につける藤田草津市教育長と岸守総領事(左から藤田草津市教育長、ブレンダ・カーター市議、岸守総領事、グレイメル・ポンティアック市長)
草津市とポンティアック市の交流は、民間団体を中心に始まり、学生・市民の相互訪問を重ねてきました。
ポンティアック市はデトロイト郊外に位置し、かつて自動車産業の中心地として発展した街です。市名にもなっている「ポンティアック」は、かつてGM(ゼネラル・モーターズ)が製造していた車のブランド名としても知られています。
現在も市内には多様な人々が暮らし、草津市代表団を温かく迎え入れてくれました。また、本交流はポンティアック市のブレンダ・カーター市議(Rep. Brenda Carter)が中心的な役割を果たしており、同氏はGM勤務の経験を有し、自動車産業を通じた地域の歴史と姉妹都市関係を象徴する存在でもあります。
「Cooking Diplomacy」で心をつなぐ
Kimono Momエプロンを身につけた岸守総領事による料理交流の様子
訪問中には、デトロイト総領事館の岸守総領事によるレセプションも開催されました。
総領事自らが米国内で人気のYouTuberであるKimono Momが監修したソースを使った家庭料理を振る舞い、「Cooking Diplomacy(料理を通じた外交)」を実践。温かい料理と笑顔を囲みながら、草津市とポンティアック市の交流の歴史に新たな一頁が加えられました。
市民同士の友情、地方自治体の努力、そして食を通じた心の通い合い こうした積み重ねこそが、地域外交の力強い原動力であることを改めて実感させる訪問となりました。
おわりに:地域から世界へ
滋賀とミシガン、草津とポンティアック。それぞれの「湖」が映し出す交流の波紋は、地域の垣根を越えて、次の世代へと受け継がれています。今後も、こうした市民主体の草の根交流が、日米関係をより豊かに彩っていくことが期待されます。

