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「ばらのまち福山」を世界へ
第20回世界バラ会議福山大会2025開催
広島県福山市 ばらのまちづくり課
1 「世界バラ会議」とは
2025年5月18日から24日にかけ、広島県福山市において「世界バラ会議福山大会」が開催されました。「世界バラ会議」は3年に1度世界各地で開催されるばらに関する国際会議です。そこでは、世界各国からばらの研究者、生産者、愛好家、芸術家などの関係者が一堂に会し、ばらに関する知識の啓発と普及、研究の促進などが議論されています。世界のばら愛好家の相互親善・情報交換や、優秀庭園賞の決定、栄誉の殿堂入りのばらの発表なども行われる、ばらの世界に大きな影響力のある大会です。
2 福山市の「ばらのまちづくり」

福山市は、1950年代半ばの戦後復興期に「花を植えよう。荒廃したまちに潤いを与え、人々の心に和らぎを取り戻そう。」という声によって住民が市内の公園に約1,000本のばらの苗を植えたことをきっかけに、「ばらのまち」となりました。
その後、約70年の間に「花は美しい。それを愛し育む人の心はなお美しい。」を合言葉として市内の至る所に小さなばら花壇が作られ、ばらを通じたまちづくりが進められてきました。そして、2016年には「100万本のばらのまち」となりました。
長年にわたる「ばらのまちづくり」の取組が世界バラ会連合に認められ、2018年にデンマーク・コペンハーゲンで行われた第18回世界バラ会議において福山市が2006年の大阪大会以来アジアで2度目となる世界バラ会議の開催地に選ばれました。
3 世界バラ大会福山大会を開催するまで

開催決定後、世界バラ会議福山大会実行委員会を立ち上げ、世界中の人たちに「ばらのまちづくり」に関わってきた市民の熱意や誇りを体感してもらいながら、新たな価値を創造する大会とするためにはどうすればいいか、官民を挙げて準備に取り組みました。実行委員会にはばらの愛好団体や福山市、広島県、広島県観光連盟などが名を連ね、それぞれの知見を持ち寄りました。
そうして定めた福山大会の開催コンセプトが、「みんなで創る みんなで盛り上げる みんなで輝く」です。このコンセプトには、大会開催に向けた企画の段階から多様な立場の人々がアイデアを出し合い、市民自身が活躍できる場を創り、そしてまち全体を活気づけていくという思いが込められています。
コンセプトどおり、2021年5月から大会ホームページ上で募集開始した世界バラ会議を応援する取組(応援宣言)は2025年の大会開催までの間に3,000件を超え、カウントダウンイベントや大会開催に向けて市民や企業が提案・実施した事業に延べ約20万人が関わりました。世界バラ会議のボランティアには200人を超える応募があるなど、市民総ぐるみで盛り上げてきた大会となりました。
世界バラ会議は福山市初の本格的な国際会議であり、開催に向けた知見が十分でない中、2020年から外務省大臣官房国際文化交流審議官に特別顧問に就任いただき、会議開催に向けた助言をいただきました。加えて、会議及びRose Expoへの外務省の後援名義の付与、外務大臣賞(表彰状)の授与、羽田浩二2025年日本国際博覧会政府代表の本市のご視察など、日本国政府からの支援を仰ぎながら、大会の実現に向けて取り組みました。
更には、G7広島サミットの会場装花への本市のばらの活用や、X(旧Twitter)の「外務省やわらかツイート」でのこれまで殿堂入りしたばらの発信など、本市以外での発信活動にもご協力をいただきながら、少しずつ「ばらのまち福山」の認知度が上がってきました。
4 大会当日の模様
大会本番には世界28の国と地域から723人のお客様をお迎えし、世界バラ会議福山大会が開幕しました。
大会1日目、5月18日の歓迎レセプションでは、福山市のランドマークである福山城を望む屋外に特設会場を設け、こどもたちや市民らによる歓迎を行いました。ばらのまち福山イメージキャラクター「ローラ」とこどもたちによるダンス披露や、伝統芸能の「二上りおどり」の体験、福山城へのナイトツアーなど多彩な催しを行い、参加者と市民の親交が深まる一夜となりました。
翌5月19日に大会名誉総裁の寬仁親王妃信子殿下の御臨席の下で開催した開会式には、大会参加者以外にも、政府関係者や国内・県内の自治体首長等のゲスト、市民など総勢約1,300人が参加しました。約2年前から世界バラ会議で演奏を披露したいという夢を発表していた高校生と、その夢に応えた太鼓芸能集団 鼓童による太鼓演奏や、大会の開会宣言、栄誉の殿堂入りばらの発表や「100万本のばらのまち福山応援大使」の手嶌葵さんによる歓迎コンサートが行われました。中でも、参加国を称えて各国の国名が読み上げられた際、会場の小中学生から「Welcome!」という声を上げ、それに大会参加者が手を振ってこたえる場面は心温まる場面となりました。
そして20日から4日間にわたって開催された市内等をめぐるツアーでは、行く先々で市民による歓迎が行われました。小学生による歌の披露や、自作のポプリのプレゼント、中学生による活動発表や街の案内などが行われ、大会参加者はこどもたちによるおもてなしに感動した様子でした。また、21日には市内中心部商店街でFukuyama Street Diningと題した交流会を催しました。希望する大会参加者に浴衣の着付けサービスを行い、大会参加者が街を歩くと、伝統芸能の披露や、福山産のワインでのおもてなし、伝統産業の出店などが各商店街で行われており、約2,000人の市民と大会参加者が交流する機会となりました。
最終日である24日の閉会式・フェアウェルディナーでは、世界バラ会連合役員の交代セレモニーや、世界のばら関係者注目の優秀庭園賞・優秀書籍賞の発表が行われました。大会運営を支えたボランティアが登壇した場面では、大会参加者からスタンディングオベーションで温かい労いの拍手が送られ、世界バラ会連合会長らからも賞賛の声をいただきました。
最後に、2028年の世界バラ会議開催地であるインド・ボーパール市に世界バラ会連合旗を引き継ぎ、7日間にわたった大会が幕を閉じました。
5 今後のさらなる福山市へのMICE誘致に向けて

世界バラ会議は福山市が推進するエリアMICEの初めてのケースでもありました。福山城や商店街など福山ならではの特色を生かしたユニークベニューでのプログラム実施に高い評価をいただき、今後の国際MICE誘致への大きな実績を積んだ大会となりました。