グローカル外交ネット
日本とニュージーランドのホストタウン交流 「横連携」を大事にしながら
在ニュージーランド日本国大使館
広報文化センター
1 日本とニュージーランドの二国間関係
日本とニュージーランドは、政治や経済・ビジネス、文化、教育、観光、スポーツ等の様々な分野を通じこれまで深く強靱な二国間関係を築いてきましたが、その礎となってきたのが人と人との民間交流です。現在、両国は、自治体や市民団体の皆様の長年のご尽力により、計44の自治体間の姉妹都市提携を結ぶことができています。この提携数は、ニュージーランドの諸都市が海外の都市と結んでいる姉妹都市提携数の中で最多です。また、外国の青少年が日本の小中高等学校の外国語指導助手(ALT)や自治体の国際交流員(CIR)として派遣される日本政府の「JETプログラム」には、ニュージーランドから過去3,400名以上が参加し(75か国の派遣国のうち5番目に多い)、日本とニュージーランドとの間で深い相互理解と友好親善が育まれてきました。こうした重層的な両国関係は、外交関係を樹立してから今年で70周年の節目を迎えています。
2 ニュージーランドとのホストタウン交流
この深い二国間交流の幅を広げる上で重要な役割を果たしているのが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を通じたホストタウン交流です。
ニュージーランド選手の受け入れ先として登録した日本のホストタウン自治体数は16あります。これは、計185に上る日本のホストタウンの全ての相手先国・地域の中で7番目に多い登録数です。ニュージーランドのホストタウン自治体は、ウェイトリフティング(岡山県倉敷市)、ボート(滋賀県)、カヌー(石川県)、サッカー(神奈川県厚木市)、トライアスロン(山形県酒田市)、砲丸投げ(佐賀県)、ホッケー(岡山県赤磐市)、水泳(兵庫県神戸市)、柔道(大阪府箕面市)、ソフトボール(千葉県市原市・君津市)などの競技種目でニュージーランドの選手達と合宿や文化行事、学校訪問、オンライン交流等の機会を通じ、親睦を深めてきました。
各自治体による取組に加え、登録数の多さをいかした自治体同士の「横連携」も取組の特徴の一つです。例えば、千葉県市原市、神奈川県厚木市、岡山県倉敷市及び山形県酒田市は4都市で協力し、ニュージーランドのサッカークラブ(ジュニアチーム)と高校生、ホストタウン自治体の中学生が市原市に集まり、一緒に餅つきなどの日本文化体験や応援メッセージを入れた上総地方伝統の袖凧の作成を行う交流事業を行いました。また、神奈川県厚木市が中心となり、各ホストタウン自治体の市民がニュージーランドの先住民マオリ族の民謡をリレー形式で歌う応援動画が作成され、ニュージーランド選手に向けたエールが送られました。その温かい声援を受けたニュージーランド選手達は、過去最大規模の人数の選手団(222人)で東京オリンピック大会に出場し、計20のメダル獲得を果たしました。ニュージーランドのオリンピック史上最も成功した大会として、ニュージーランド国会でその功績を祝福する動議が可決されるなど、国内は歓喜に沸き、大変盛り上がりました(なお、その国会では、アーダーン首相から、新型コロナウイルス下で大会を成功に導いた日本国民や政府に向けた感謝の意も述べられました)。
競技大会開催後の10月には、12のホストタウン自治体が取組の発表や、ニュージーランドの姉妹都市協会役員などを含むニュージーランド側関係者と今後の展望を見据えた意見交換を行うオンライン会議が開催されました。
3 ジャパン・フェスティバル・ウェリントンにおけるホストタウン自治体のPR
本年6月には、ニュージーランドの首都ウェリントン市内において、在ニュージーランド日本国大使館が共催となっている大規模な日本文化交流イベント「ジャパン・フェスティバル・ウェリントン」が4年振りに開催され(来場者数は約2万5千人)、日本関連の様々な企業や団体による出展や舞台公演などを通じ、日本文化や観光、日本食、日本酒、日本の地方の魅力を味わう機会となりました。日本国大使館は、日本のホストタウン自治体と協力し、出展ブースにおいて、日本のホストタウンとニュージーランド選手との市民交流の写真展示を行いその取組を紹介したほか、動画上映を通じたホストタウン自治体の観光PRも行いました。その結果、幅広いニュージーランドの市民の皆さんに日本のホストタウンについて知っていただくことができました。
4 今後の展望
ニュージーランドのアーダーン首相は、本年4月に新型コロナウイルスの影響で滞っていた外遊を再開する最初の訪問先の一つとして日本を訪問し、日本の皆さんにニュージーランドとの再接続(リコネクト)を呼びかけました。日本も今年6月に観光客の受け入れを再開し、国際的な往来が徐々に回復している状況の中で、日本とニュージーランドの、人と人との対面交流の機会も徐々に再開されています。
在ニュージーランド日本国大使館は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会をきっかけに新たにできた日本とニュージーランドのホストタウンによるこうしたつながり(レガシー)を今後も大事にしながら、ホストタウン自治体の皆様と協力・連携し、様々な機会を通じてホストタウンを含めた民間交流の推進に取り組んでまいります。