グローカル外交ネット

令和3年7月27日

外交実務研修員 加藤 麻早見
(東京都から派遣)

1 はじめに

 私は、2020年4月に東京都から外務省へ派遣され、外交実務研修員として勤務しております。2017年4月に東京都に入都し、以降3年間、産業労働局観光部にてアニメや映画等コンテンツを活用した観光振興事業の担当をしておりました。次の業務ではより国際的な業務に携わりたいとの思いから、異動希望を提出したところ、外務省派遣の貴重な機会をいただきました。現在、外務省本省に派遣されて1年3か月が経ったところです。

2 地方連携推進室での勤務

 外務省本省の研修1年目の所属先は地方連携推進室となりました。主に総務班に所属し、他課室からの決裁依頼の課内とりまとめ等総務案件の処理、地方連携推進室Twitterアカウントの更新やメールマガジン「グローカル通信」に掲載する記事の執筆や依頼等の業務をメインに行っておりました。
 例年であれば、「飯倉公館活用対外発信事業」にて地方自治体と外務大臣との共催レセプションや「地域の魅力発信セミナー」の開催など、大型のイベント業務に携わる機会が数多くあるそうですが、私が派遣された令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、これらのイベントは残念ながら中止となってしまいました。
 他方で、コロナ渦における新たな取り組みとして、地方自治他の国際化支援を目的に毎年実施されている「地方連携フォーラム」につき、令和2年度に初めてウェビナー方式(ZOOM)で開催されることとなり、副担当としてイベントの準備に関わらせていただきました。
 本イベントでは、地方自治体の関心の高いテーマとして、第1部外交政策説明会では外務省アジア大洋州局参事官が最近の日中関係等について講演し、第2部では、コロナ禍での地方の魅力海外発信戦略について、外部専門家による講演及びパネルディスカッションを行いました。例年3部として行っている在京外交団を招いた意見交換会でのネットワーキングは、残念ながら実現しませんでしたが、オンラインで開催されたことにより参加できた遠方の自治体の方々もおり、この形式を歓迎する声や対面とオンラインの併用を希望する声も多数寄せられました。今回のイベント開催を通して、対面でのイベントの良さはもちろんありますが、オンラインならではの利便性と参加の広がりも感じることができました。

 また、地方連携推進室では、ホストタウン交流の側面的支援を行っており、ホストタウンと在外公館のマッチング業務や、インフルエンサーを活用した海外向けのホストタウンの広報事業のお手伝いをさせていただく機会にも恵まれました。

 地方連携推進室では、例年通りに事業を実施することが困難な状況においても、海外に日本の地方の魅力を伝える手段としてSNSに軸足をおくことで積極的に広報展開を行うことや、オンラインという新たな手法でイベントを開催していくなど、常に前向きな姿勢で業務に取り組むことを学ばせていただきました。

3 アジア大洋州局南東アジア第二課での勤務

 外務省本省の研修2年目の所属先は、アジア大洋州局南部アジア部南東アジア第二課となりました。南東アジア第二課は、二国間関係を所管するいわゆる「地域課」と呼ばれる課の一つで、管轄している地域は、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、インドネシア、東ティモールの6か国となります。
 私は、配属されて初めの一ヶ月間は課内の総務班に所属することとなり、他課室からの調査のとりまとめを主に行っておりました。その後、インドネシア班・東ティモール班の担当となりました。
 これまでの人生でインドネシアも東ティモールも訪れた経験もなく、また日本との関わりを改めて意識する機会もありませんでしたが、業務の基本知識として、インドネシアと東ティモールの地域について、二国間関係を学び始めました。把握しておくべき分野は多岐にわたり、地域情勢、政治、経済、安全保障分野など、本当に毎日知識不足を痛感しつつ勉強しております。ただ、インドネシアも東ティモールもそれぞれに大変魅力的な国であり、縁あって担当者として携わる機会をいただけて嬉しく思います。
 また、業務はスピード感をもって正確に取り組むべきものが多い上、まだ経験が浅く、一人で仕事を進めていくことは難しい場面もありますが、課内の職員の方々に助けていただきながら、日々業務に取り組んでいます。

4 おわりに

 これから残り9か月の本省勤務を終えた後、2年間在外公館での勤務を予定しております。まだ折り返し地点にも到達しておらず、長い道のりが続きますが、引き続き精進していきたいと思います。
 このような貴重な機会を与えてくださった東京都と外務省、特に、常日頃からあたたかくご指導いただいている南東アジア第二課の皆様、研修一年目に大変お世話になりました地方連携推進室の皆様にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

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