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令和2年3月19日
(写真1)森小弁(1940年チュークにて撮影されたもの) 森小弁(1940年チュークにて撮影されたもの)
(写真3)シンポジウムの様子 シンポジウムの様子
(写真3)モリファミリーとの夕食会 モリファミリーとの夕食会

高知県文化生活スポーツ部国際交流課

交流のきっかけ(森小弁)

 高知県とミクロネシア連邦の交流は,「森小弁(もりこべん)」という一人の人物がきっかけとなり,始まりました。
 1869(明治2)年に高知市で生まれた森小弁は,1891(明治24)年に,貿易会社の一員として,小さな帆船でトラック諸島(現在のミクロネシア連邦チューク諸島)に渡りました。当時南洋と呼ばれたその地に,大きな希望を持って渡ったであろう小弁は,その後,現地で結婚し,その生涯をトラックで過ごすことになります。現在もミクロネシアチューク州には,小弁の子孫(モリ・ファミリー)が,2,000人以上も暮らしており,ひ孫であるエマニュエル・モリ氏が,第7代ミクロネシア連邦の大統領を務めるなど,政財界で活躍する方々を多く輩出しています。
 ミクロネシアのモリ・ファミリーと高知県の親戚との間で始まった草の根交流は,徐々にその輪が大きくなっていきました。2013(平成25)年には高知県・ミクロネシア友好交流協会が発足し,以降官民の合同訪問団がミクロネシアを訪問したり,複数回にわたってミクロネシア大統領が高知県を訪問するなど,今では県と国との行政同士の交流も,活発に行われています。

太平洋島嶼国・地方自治体ネットワークの設立

 両地域の交流を,さらに飛躍させる出来事が2018(平成30)年に起こりました。太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワークの設立です。このネットワークは,太平洋島嶼国と日本地方自治体の交流の活性化を目的として,日本の14の自治体と島嶼国の16の国・地域との間で設立されました。そして,日本の自治体と太平洋島嶼国それぞれの初代代表には,設立の際に中心となって呼びかけを行った高知県知事とミクロネシア連邦大統領が就任することとなりました。このネットワークの設立により,高知県とミクロネシア連邦の行政間の連携はさらに進むこととなり,新たなステージに移行したといえるでしょう。

森小弁生誕150周年記念事業

 2019(令和元)年,この年は,森小弁の生誕150周年にあたる,両地域にとって特別な年でした。
 同年10月,小弁の生誕150周年を記念して,ミクロネシア連邦から小弁の孫やひ孫たち,総勢7名が来高しました。一行は,高知県の親戚と交流したり,森家祖先の墓を訪問したほか,チューク州の学校と交流をしている高知市立三里小学校,エマニュエル元大統領が記念植樹をした牧野植物園などを訪れ,祖先のルーツである高知県での滞在を楽しみました。
 県もこの機会に,森小弁について広く県民の皆様に知っていただこうと,10月18日にシンポジウム「土佐から南洋に渡った森小弁とモリ・ファミリー」を開催しました。シンポジウムでは小弁の生涯を紹介する特別番組の上映や,両地域の絆について語るパネルディスカッションなどを実施し,小弁の功績を振り返りました。またこれに併せて,駐日ミクロネシア連邦大使夫妻も来高し,本県において日本・ミクロネシア連邦国交樹立31周年などを記念するレセプションが開催されました。
 翌年1月には,今度は高知県から官民による6名の訪問団がチューク州を訪問し,森小弁の生誕150周年慰霊祭への出席や,チューク州知事の表敬訪問などを行いました。モリ・ファミリーが訪問団のために開催した歓迎夕食会には,100人を超えるファミリーが出席し,その結束の強さや,祖先である森小弁に対する尊敬の念を感じることができました。

最後に

 モリ・ファミリーのみなさんは,高知県との関係を表す際に,「KIZUNA(絆)」という言葉を口にします。
 森小弁という一人の人物がきっかけとなり,国と県との交流にまで発展したこの素晴らしいKIZUNAを,これからも大切につないでいきたいと思います。さらに,両地域の交流が,太平洋島嶼国全体と日本の地方自治体との交流発展に少しでも貢献できるように,力を尽くしたいというのが,ミクロネシア,高知県双方の思いとなっています。

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