グローカル外交ネット
第9回太平洋・島サミットの開催を通じて
令和3年8月27日
三重県雇用経済部 国際戦略課
1 第9回太平洋・島サミットの開催を通じて
三重県は、本年友好提携25周年を迎えたパラオ共和国等との交流や、環境や防災、漁業資源の持続可能な利用等の太平洋島しょ国と共通する課題に取り組んでいる点などが評価され、2020(令和2)年2月、第9回太平洋・島サミット開催地に選ばれました。
開催地決定を受けて、太平洋島しょ国との交流や絆にスポットが当たる1年となりました。県内でも島しょ国出身者との交流事業が多数行われ、環境問題や防災、次世代交流など、持続可能な地域づくりという共通の課題について、あらためて考える良い機会となりました。
- (1)SNSを活用した気運醸成
気運醸成にあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、大規模集客イベントに代えてSNSを積極的に活用しました。
2020(令和2)年10月から開設した公式SNSでは、太平洋島しょ国出身選手が多く活躍する本県ゆかりのラグビーチームにご協力いただくなど、開催地三重の魅力、太平洋島しょ国の紹介などを情報発信した結果、2021(令和3)年3月31時点で各SNSのインプレッション数が計989万回を超え、フォロワー数が5,316人となり多くの皆様にご覧いただくことができました。 - (2)太平洋島しょ国との交流、理解を深める事業
県内では、次世代の交流を担う若者を主なターゲットとして、太平洋島しょ国出身の方と交流を深め、理解を深めるイベントが複数開催されました。- 【県主催】
- 「グローバル環境セミナー」:島しょ国出身の留学生、パラオ共和国の高校生も参加して、環境問題をはじめとする島しょ国の課題や暮らしをオンラインで学びました。
- オンライントークイベント「同じ海に生きる島から届いたあたらしい暮らし方のヒント」:JICA中部の協力を得て、バヌアツ共和国で青年海外協力隊として活躍した方等の体験をもとに、島しょ国の価値観や多様性を学びました。
- 「みえグローカル学生大使 オンライン交流会」:島しょ国留学生とのオンライン交流を通じて、島しょ国の文化を学ぶとともに、三重県の美味しいお菓子などを事前送付して食べながらおしゃべりするなど、三重県の魅力を留学生へアピールしました。

- 【志摩市主催】
- 「ポストカードで想いを伝えよう! 志摩から南の島へ」:学校ごとに担当の国と地域を決め、市内の小中学生、高校生がそれぞれの応援・歓迎の想いをポストカードに込め、集まったカードを図書館等で展示しました。

太平洋島サミット参加国・地域へ向けたメッセージを考える子どもたち
- 「環境問題に関するジュニア交流会」:市内在住の高校生が参加し、地元でのフィールドワークでの海岸清掃や海女さんとの交流、島しょ国出身の留学生とのオンライン交流で環境問題を一緒に考えました。
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- 【民間団体主催】
- 「SHIMA SUMMIT zoom talk」:三重県青年国際交流機構(三重県IYEO)の主催により第9回太平洋・島サミットを盛り上げるため、zoomを使用して島サミットに参加する太平洋の島国について英語で学ぶトークイベントが開催されました。6回にわたって、県内の高校生や大学生が、島しょ国出身者とオンライン交流しました。
- 「第9回太平洋・島サミット紹介動画」:セントヨゼフ女子学園がクラブ活動の一環として、島サミット参加国を紹介する動画を制作し、公開しました。
- (3)PALM9ロゴマークの決定
志摩市国際交流員でタイ出身のチャブカン・チッタラポンさんの作品がPALM9のロゴマークとして外務大臣賞に選ばれました。
この作品は、青いバックグラウンドに椰子(パーム)の木と島で日本と太平洋島しょ国を繋ぐ太平洋を、そして日の丸と木を組み合わせて9回目の9の文字を表すとともに、半円は志摩市のリアス海岸の形状を表現しています。

- (4)島サミットにおける三重県の魅力発信
テレビ会議で開催された島サミットでは、政府や参加国のご理解をいただき、本県の魅力を動画によって各国首脳へ情報発信することができました。
2 太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワーク
太平洋島しょ国との交流を深める事業に取り組む中で、新たに、本県がパラオ共和国との友好提携25周年事業のひとつとして検討していた農業交流事業が、農水省の「パラオにおける栄養改善、観光振興等に資する生鮮野菜・果実の供給増大等の農業・食関連産業分野の官民連携の取組」に含まれることになりました。今後、関係者が具体化に向けて取り組んでいきます。
地域の特色を生かして、こうした太平洋島しょ国との交流を行っている自治体を中心に、2018(平成30)年に「太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワーク」が設立されました。高知県から引き継いで、2021(令和3)年5月から三重県が代表を務めています。
本県が取り組む事例をはじめ、このネットワークを活用して自治体間で交流事例を共有し、今後も引き続き、太平洋島しょ国との交流を推進していきたいと考えています。