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ジャパン・ハウス ロサンゼルスにおける復興ありがとうホストタウンイベント
外務省大臣官房地方連携推進室
ロサンゼルスと聞いて皆さん何を思い浮かべるでしょうか。ハリウッド,ディズニーランド,ロングビーチ,大谷翔平選手など様々だと思います。ロサンゼルスには,日本のアート,デザイン,食文化,先端技術等,日本の様々な魅力の紹介を通じて日本へのより深い理解を促すため外務省が設置した対外発信拠点「ジャパン・ハウス」の一つが置かれています。また,同市は2020年東京大会,2024年パリ大会に続き,2028年五輪の開催地でもあります。折しも,東北地方の祭りや伝統行事に登場する,神や神の使いの化身をモチーフにした「BAKERU(化ける)」展が開かれていたジャパン・ハウスの一角で,9月25日に2020年東京大会の「復興ありがとうホストタウン」イベントが開催されました。
米国の復興ありがとうホストタウンに登録されている自治体は,岩手県の花巻市,大船渡市,福島県の喜多方市,南相馬市の4自治体ですが,今回の渡米が叶わなかった南相馬市を除き,3自治体からパネリストが登壇,米国の支援に感謝の気持ちを表明するとともに,2020年東京大会に向けて,それぞれのホストタウン交流や町の魅力などが熱く語られました。
イベントは,かつて読売ジャイアンツから米国大リーグに渡り,ロサンゼルスのエンゼルスでも活躍した高橋尚成さんが日米の現役時代を振り返り,野球が競技種目として復活する東京大会への想いを述べることでスタートしました。続いて,上田花巻市長は同市における野球を通じた復興への軌跡,復興支援に手を差し伸べた米国の姉妹都市アーカンソー州ホット・スプリングス市との交流,神輿の数でギネス登録されている花巻祭りや温泉など街の魅力に至るまで,当意即妙な英語スピーチで観客を沸かせていました。また,大谷翔平選手や菊池雄星選手といった大リーガーの母校である花巻東高校から二人の高校球児が登壇し,「震災を乗り越えて今は元気に野球をやっている。2020年は東京だけでなく,岩手や被災地が復興した姿を見てほしい」と訴えかけました。
仲間との再会もありました。2011年の震災直後には,ロサンゼルス郡消防隊が大船渡市に駆けつけました。当時救助の指揮を執ったチャップマン消防隊長は,ステージ上で大船渡市消防隊員の千葉さんと堅く手を握り,千葉さんは「ぜひ復興した大船渡の姿を見てほしい」と来年日本での再会を約束しました。また,市内に歴史ある漕艇場を持つ喜多方市は,米国ボート協会所属選手との交流があり,今夏には,地元の中高生との間で,ボート競技から和太鼓など日本文化に至るまで幅広い交流を行いました。イベントではその様子を紹介しました。東京大会では市を挙げて米国ボートチームを応援します。
東北の食の魅力のPRも欠かせません。イベントの後半で行われた懇親会では,岩手県産のお米を使ったおにぎりや和牛の試食,米国のホストタウンで生産された様々な銘柄の地酒などが振る舞われました。米国民の皆様が来年の東京大会で日本を訪れていただく際には,ぜひ東北地方にも足を伸ばしていただき,その土地ならではの美味しい食を堪能していただきたいとPRしました。
今回のイベントでは,東日本大震災に支援の手を差し伸べてくれた米国民の皆様に対して,市長,高校球児,消防隊員といった様々なバッググラウンドを持つ被災地の関係者から「東京大会では感謝の気持ちを込めて応援したい」「復興した町の姿をぜひ見にきてほしい」といった「復興ありがとう」の生の声をしっかり伝えることができたとの手応えを感じたのではないでしょうか。来場者からは「心温まる会で,本当に参加して良かった」といった意見も聞かれるなど,米国民と東北地方の復興ありがとうホストタウンの住民との距離が一段と近づく機会となりました。2020年東京大会に向けて,また,2020年を超えて,2028年のロス五輪に至るまでレガシーとして継承されるような日米両国間の末永い交流や絆がこれからも深まっていくことを心から期待しています。